図面 (/)

技術 ノロウイルス感染予防剤

出願人 アサヒカルピスウェルネス株式会社
発明者 仲村太志中村康則
出願日 2014年12月25日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-261601
公開日 2016年7月7日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-121086
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 植物物質含有医薬 医薬品製剤 動物,微生物物質含有医薬
主要キーワード 芽胞状態 撹拌液 保育園 崩壊性試験 低値傾向 卵円形 嘔吐物 便秘傾向
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

経口摂取等により、安全かつ簡便にヒトノロウイルスの感染を予防する手段を提供すること。

解決手段

バチルスズブチリス、特にバチルス・ズブチリスC−3102株またはその培養物を有効成分とするノロウイルス感染予防剤、及び前記感染予防剤薬理学的に許容しうる担体を含む錠剤

概要

背景

ノロウイルスは、カリシウイルス科に属する小型の球形ウイルス(直径約38nm)で、世界中に広く分布し、年間数十万〜数百万人に及ぶ多くの非細菌性急性胃腸炎を発生させている。ノロウイルスには、I〜Vまで5つのGenogroupが存在するが、これらのうち、ヒトに感染するのはI、II、IV型のみで、ウシから発見されたIII型、及びマウスから発見されたV型はヒトには感染しない。

ある種のバチルスズブチリス(Bucillus subtilis)の培養上清によりマウスノロウイルスの増殖が抑制されたとの報告がある(非特許文献1)。しかし、ヒトに感染するノロウイルスと、マウスに感染するノロウイルスでは、その感染、増殖機構が全く異なっており、マウスノロウイルスはヒトには感染しない(非特許文献2)。実際バチルス属微生物のヒトノロウイルスに対する作用についてはこれまで報告はない。

バチルス・ズブチリスは、好気性グラム陽性桿菌で、芽胞を形成することで、熱や消毒薬に対する耐久性を有する。出願人は、バチルス・ズブチリスの活性酸素産生抑制作用やこれを利用した炎症性腸疾患予防治療剤(特許文献1)、バチルス・ズブチリスを鶏をはじめとする家畜に摂取させて、腸内有害細菌の数を減少させて、これらの菌による食中毒を回避する効果やこれを利用した飼料添加用腸内有害細菌抑制剤(特許文献2)について報告しているが、ノロウイウルス等の感染症に対する予防効果について報告したことはない。

現在マウスノロウイルスについては培養細胞での増殖が可能となっているが、ヒトノロウイルスについては培養細胞で増殖する技術は確立できていない。さらに、ヒトの感染モデルとなる非ヒト動物モデルも存在しないため、その感染や複製機構の研究が遅れ、効果的な予防薬治療薬の開発もできていない。

ノロウイルス感染症は、食材からの感染と感染者嘔吐物糞便等からの二次感染に大別できる。そのため現在行われている主な感染予防は、食材の加熱処理、手洗いの励行、感染者の嘔吐物や糞便の適切な処理等である。ノロウイルスの感染者には子供も多いことから、経口摂取など、安全かつ簡便にノロウイルス感染を予防できる方法の開発が望まれる。

概要

経口摂取等により、安全かつ簡便にヒトノロウイルスの感染を予防する手段を提供すること。バチルス・ズブチリス、特にバチルス・ズブチリスC−3102株またはその培養物を有効成分とするノロウイルス感染予防剤、及び前記感染予防剤薬理学的に許容しうる担体を含む錠剤。なし

目的

本発明の課題は、経口摂取等により、安全かつ簡便にヒトノロウイルスの感染を予防する手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

バチルスズブチリスを有効成分として含むヒトノロウイルス感染予防剤

請求項2

バチルス・ズブチリスの培養物を有効成分として含む、請求項1に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項3

前記培養物が大豆培養物である、請求項2に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項4

バチルス・ズブチリスの芽胞を含む、請求項3に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項5

前記バチルス・ズブチリスがC−3102株(FERM BP−1096)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項6

経口摂取によりヒトノロウイルスを低減させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項7

錠剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項8

錠剤が素錠である、請求項7に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項9

錠剤が糖衣錠である、請求項7に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項10

麦芽糖及びでんぷんを含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項11

1錠あたり2.0×108〜5.0×1010CFUのバチルス・ズブチリスを含む請求項7〜10のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項12

1錠あたり4.0×108〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを含む請求項11に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項13

1日あたり1〜5錠服用されることを特徴とする、請求項11又は12に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項14

1日あたり2.0×109〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように製剤化されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

請求項15

少なくとも6カ月間服用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

技術分野

0001

本発明は、バチルスズブチリス、特にバチルス・ズブチリスC−3102株またはその培養物を有効成分とする、ヒトノロウイルス感染予防剤に関する。

背景技術

0002

ノロウイルスは、カリシウイルス科に属する小型の球形ウイルス(直径約38nm)で、世界中に広く分布し、年間数十万〜数百万人に及ぶ多くの非細菌性急性胃腸炎を発生させている。ノロウイルスには、I〜Vまで5つのGenogroupが存在するが、これらのうち、ヒトに感染するのはI、II、IV型のみで、ウシから発見されたIII型、及びマウスから発見されたV型はヒトには感染しない。

0003

ある種のバチルス・ズブチリス(Bucillus subtilis)の培養上清によりマウスノロウイルスの増殖が抑制されたとの報告がある(非特許文献1)。しかし、ヒトに感染するノロウイルスと、マウスに感染するノロウイルスでは、その感染、増殖機構が全く異なっており、マウスノロウイルスはヒトには感染しない(非特許文献2)。実際バチルス属微生物のヒトノロウイルスに対する作用についてはこれまで報告はない。

0004

バチルス・ズブチリスは、好気性グラム陽性桿菌で、芽胞を形成することで、熱や消毒薬に対する耐久性を有する。出願人は、バチルス・ズブチリスの活性酸素産生抑制作用やこれを利用した炎症性腸疾患予防治療剤(特許文献1)、バチルス・ズブチリスを鶏をはじめとする家畜に摂取させて、腸内有害細菌の数を減少させて、これらの菌による食中毒を回避する効果やこれを利用した飼料添加用腸内有害細菌抑制剤(特許文献2)について報告しているが、ノロウイウルス等の感染症に対する予防効果について報告したことはない。

0005

現在マウスノロウイルスについては培養細胞での増殖が可能となっているが、ヒトノロウイルスについては培養細胞で増殖する技術は確立できていない。さらに、ヒトの感染モデルとなる非ヒト動物モデルも存在しないため、その感染や複製機構の研究が遅れ、効果的な予防薬治療薬の開発もできていない。

0006

ノロウイルス感染症は、食材からの感染と感染者嘔吐物糞便等からの二次感染に大別できる。そのため現在行われている主な感染予防は、食材の加熱処理、手洗いの励行、感染者の嘔吐物や糞便の適切な処理等である。ノロウイルスの感染者には子供も多いことから、経口摂取など、安全かつ簡便にノロウイルス感染を予防できる方法の開発が望まれる。

0007

特再公表2008−69102号
特開平5−146260号

先行技術

0008

Shearer A.E., et al., Journal of Food Protection, 2014 Jan; vol.77(1): 145-149.
片山和彦、IASR2007年10月号、vol.28., p293-294

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の課題は、経口摂取等により、安全かつ簡便にヒトノロウイルスの感染を予防する手段を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するために鋭意検討し、発明者らは、バチルス・ズブチリスの菌体を経口摂取することで、ヒトノロウイルスが有意に低減することを見出した。

0011

すなわち、本発明は以下の(1)〜(15)を提供する。
(1)バチルス・ズブチリスを有効成分として含むヒトノロウイルス感染予防剤;
(2)バチルス・ズブチリスの培養物を有効成分として含む、上記(1)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(3)前記培養物が大豆培養物である、上記(2)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(4)バチルス・ズブチリスの芽胞を含む、上記(3)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤。
(5)前記バチルス・ズブチリスがC−3102株(FERM BP−1096)である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(6)経口摂取によりヒトノロウイルスを低減させる、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(7)錠剤である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(8)錠剤が素錠である、上記(7)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(9)錠剤が糖衣錠である、上記(7)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(10)麦芽糖及びでんぷんを含む、上記(7)〜(9)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(11)1錠あたり2.0×108〜5.0×1010CFUのバチルス・ズブチリスを含む上記(7)〜(10)のいずれか1項に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(12)1錠あたり4.0×108〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを含む上記(11)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(13)1日あたり1〜5錠服用されることを特徴とする、上記(11)又は(12)に記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(14)1日あたり2.0×109〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように製剤化されている、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤;
(15)少なくとも6カ月間服用される、上記(1)〜(14)のいずれかに記載のヒトノロウイルス感染予防剤。

発明の効果

0012

本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、微量かつ短期間でヒトノロウイルスを低減させ、その感染を予防することができる。有効成分であるバチルス・ズブチリス古くから食品等に使用されており、長期にわたって安全に経口摂取することができる。それゆえ、本発明によれば、経口摂取という簡便な方法でヒトノロウイルスを低減させ、安全にその感染を予防することができる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、バチルス・ズブチリスC−3102株ゲノムDNAの制限酵素NotIまたはSfiI消化パターンを示す。
図2は、バチルス・ズブチリスC−3102株を含む素錠を4週間連続摂取中における排便回数を示す。

0014

1.本発明のヒトノロウイルス感染予防剤
1.1 有効成分:バチルス・ズブチリス
本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)を有効成分として含む。バチルス属の菌は古くからヒトの食生活に深くかかわっており、その機能性についての情報は多いが、ヒトノロウイルスに対する効果があることは未だ報告されていない。

0015

本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、バチルス属に属する細菌の菌体またはその培養物、好ましくはバチルス・ズブチリスの菌体またはその培養物を有効成分として含むことを特徴とする。バチルス・ズブチリスの菌学的性質バージーズ・マニュアルオブバクテリオロジー Vol.11(1986)等に記載されており、具体的には例えば以下の特徴を有する。
(1)グラム陽性
(2)卵円形の芽胞を形成
(3)桿菌
(4)運動性:あり
(5)好気性
(6)カタラーゼ陽性
(7)50℃における発育:+
(8)pH5.7における発育:+
(9)クエン酸塩の利用:+
(10)糖類からの酸生成の有無:アラビノースグルコースキシロースマンニット:+
(11)VP反応:+
(12)デンプン加水分解:+
(13)硝酸塩還元性:+
(14)インドールの生成:−
(15)ゼラチンの加水分解:+
(16)カゼインの加水分解:+
(17)液体培地での被膜形成:+
(18)牛乳凝固:−
(19)牛乳のペプトン化:+

0016

バチルス・サブチリスは芽胞(胞子)を形成し、芽胞は高温消化酵素に対して耐久性を有する。本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、このバチルス・サブチリスを芽胞状態で含み、それゆえ、経口摂取しても生きたまま腸に届き、その効果を発揮できる。

0017

本発明に用いるバチルス・ズブチリスとしては、例えば、バチルス・ズブチリスC−3102株(1985年12月25日付にて受託番号FERM BP−1096として生命工学工業技術研究所に寄託されている(現 独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター:千葉県木更津市かずさ足2−5−8 122室))を挙げることができる。

0018

バチルス・ズブチリスC−3102株については、整腸作用特表2011−111783号、脂質代謝改善作用(特表2008−23608号)、腎機能改善作用(特表2008−23607号)等、さまざまな有用な効果が知られている。すでに、バチルス・ズブチリスC−3102株を含む食品も市販されており、長期摂取による安全性も確立されている。

0019

バチルス・ズブチリスC−3102株の大豆培養物は家畜に対して、腸内細菌叢改善、増体、感染防御卵殻強化肉質改善、便臭改善等の効果があり、添加物として利用されている(特公平4−24022)。またこの株の保健効果として、整腸作用、腸内腐敗産物の減少などが知られている(腸内細菌学会誌第18巻 第二号 93-99(2004))。

0020

バチルス・ズブチリスC−3102は、下記配列1及び配列2のPCRプライマーを用いてPCR反応を行うと約700bpsの断片が増幅するという特徴を持つ。他のバチルス・ズブチリスでは、このPCRプライマーによっては増幅は起こらない。バチルス・ズブチリスC−3102のゲノムをテンプレートとして増幅される約700bpsの断片は、アミラーゼの配列と相同性を有しないという特徴をもち、この点においてC−3102株はバチルス・ズブチリスの他の株と明確に識別される。
配列1:5'−GCCCCGACATACGAAAAGACTGGCTGAAA−3'(配列番号1)
配列2:5'−GGATCCCACGTTGTGATTAAAAGCAGCGAT−3'(配列番号2)

0021

さらに、バチルス・ズブチリスC−3102株は以下の性質を有する:
(1)プラスミドDNAを有しない。
(2)ゲノムDNAを調製し、制限酵素NotIまたはSfiIで消化してアガロース電気泳動により分離したときの消化パターンは図1に示されるとおりである。
(3)B.cerous抗菌物質を産生する。
(4)アンピシリンクロラムフェニコールシプロフロキサシンエリスロマイシンゲンタマイシンカナマイシンリネゾリドキヌプリスチンダルフォプリスチンリファムピンストレプトマイシンテトラサイクリントリメトプリムバンコマイシンに対して耐性を有しない(いずれも最小阻害濃度0.03〜4μg/ml)。

0022

1.2バチルス・ズブチリスの培養物
バチルス・ズブチリスは、培地として微生物培養に通常使用される炭素源窒素源無機物等を含む液体培地又は固体培地を用いて培養することができる。炭素源としては、バチルス・ズブチリスが資化可能な炭素源であればよく、例えばグルコース、フルクトーススクローススターチ糖蜜等を、また窒素源としては、例えばペプトンカゼイン加水分解物肉エキス硫安等を挙げることができる。更に、必要に応じて燐酸カリウムマグネシウムカルシウムナトリウム、鉄およびマンガン等の塩類ビタミン類アミノ酸類界面活性剤等を添加することもできる。また、これらの合成培地の他、大豆油かすなどの天然物由来物質を用いて培養してもよい。培養条件としては、好気的条件が好ましく、培養装置としては例えばジャーファーメンターによる通気撹拌液体培養、固体培養、自動製麹培養装置等が好ましい。培養温度は20〜50℃、特に30〜45℃が好ましく、培養時間は12時間〜7日間、培養初発pHはpH5〜9、特に好ましくはpH6〜8である。

0023

このようにして得られた培養物は、バチルス・ズブチリスの菌体、培地および発酵生成物を含む。培養物は、ヒトノロウイルス感染予防剤としてそのまま用いてもよく、培養物を濃縮してもよく、またはこれらに賦形剤等を加えて乾燥粉末顆粒、錠剤等の製剤として用いてもよい。また、培養物から分離した菌体を用いてもよく、培養物から菌体を除去して用いてもよく、菌体を含む形の培養物を用いてもよい。特に好ましい態様においては、バチルス・ズブチリスは、大豆油かす、大豆煮豆小豆煮豆、米飯麦飯小麦ふすま、煮とうもろこし、その他の穀類などの食用に適した天然物由来物質を用いて培養し、培養物から菌体を分離することなく、そのまま食品に配合する。

0024

本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、薬理学的に許容される担体や添加物とともに適宜製剤化され、液体粉末造粒物カプセル剤、錠剤等の形で投与してもよく、食品添加物として飲食品中に配合して摂取してもよい。飲食品としては、例えば、飲料、製菓錠菓ペーストパン魚肉加工製品乳製品ゼリーキャンディレトルト食品クッキーカステラビスケットチョコレートなどが挙げられる。本発明のヒトノロウイルス感染予防剤をこれらの様々な食品素材に添加して、健康飲料、健康食品あるいは機能性食品として提供することができる。

0025

本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は、1日あたり1.0×108〜1.0×1011CFU、好ましくは1日あたり1.0×109〜5.0×1010CFU、より好ましくは1日あたり2.0×109〜2.0×1010CFU、さらに好ましくは1日あたり2.0×109〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように服用されることが好ましい。服用回数は1錠に含まれる菌数にもより適宜設定され、特に限定されないが、1日1回〜5回、好ましくは1回〜4回、より好ましくは1日1回〜3回に分けて服用するか、あるいは1日1回服用する。

0026

本発明の有効成分であるバチルス・ズブチリスは微量かつ短期間で有効で、保存性耐酸性にもすぐれ腸内に到達して増殖しやすく、持続的なヒトノロウイルス低減作用が期待できる。一方、本発明のバチルス・ズブチリスは長期にわたって安全に摂取することができる。それゆえ、本発明のヒトノロウイルス感染予防剤は3ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上、より好ましくは1年以上継続して使用するとよい。

0027

2.ヒトノロウイルス感染予防用の錠剤
本発明は、バチルス・ズブチリス又はその培養物と薬理学的に許容しうる担体を含む錠剤(錠剤として製剤化されたヒトノロウイルス感染予防剤)を提供する。

0028

薬理学的に許容しうる担体としては、例えば賦形剤、滑沢剤結合剤崩壊剤防腐剤抗酸化剤着色剤矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体が適宜使用できる。

0031

結合剤としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロースカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースポリビニルピロリドンが挙げられる。

0032

崩壊剤としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムクロスカルメロースナトリウムカルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。

0034

着色剤としては、水溶性食用タール色素水不溶性レーキ色素、β−カロチンクロロフィルベンガラ等の天然色素が挙げられる。

0036

上記のほか、例えば、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、カテキン甜茶などの茶抽出物グルコサミンコンドロイチンノコギリヤシりんごなどの植物抽出物、ぶどうやりんごなどに含まれるポリフェノール類乳酸菌ビフィズス菌酪酸菌納豆菌糖化菌酵母、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、マンニトールやキシリトールなどの糖アルコール類、結晶セルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、グリセリン発酵乳ラクトフェリン食物繊維フレーバー等を含んでいてもよい。

0037

特に、本発明のヒトノロウイルス感染予防剤を含む錠剤は、グルコースやフルクトースなどの単糖、スクロースやラクトースなどの二糖イソマルトシクロデキストリンなどのオリゴ糖グラニュー糖、麦芽糖、乳糖などの糖類、及びでんぷんを含むことが好ましい。

0038

錠剤は、糖衣錠であっても素錠であってもよい。糖衣錠は、素錠に比べて一般的には崩壊性は低いが、有効成分の風味や臭いを感じにくいという利点がある。

0039

本発明の錠剤は、ヒトノロウイルス感染予防剤は、1日あたり1.0×108〜1.0×1011CFU、好ましくは1日あたり1.0×109〜5.0×1010CFU、より好ましくは1日あたり2.0×109〜2.0×1010CFU、さらに好ましくは1日あたり2.0×109〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを摂取できるように服用され、好ましくは1日1回〜5回、より好ましくは1回〜4回、さらに好ましくは1日1回〜3回に分けて服用するか、あるいは1日1回服用することが好ましい。それゆえ、そのような服用に適した錠剤として製剤化されることが望ましい。

0040

例えば、本発明の錠剤は、1錠あたり2.0×107〜1.0×1011CFU、好ましくは1錠あたり2.0×108〜5.0×1010CFU、より好ましくは1錠あたり4.0×108〜2.0×1010CFU、さらに好ましくは1錠あたり4.0×108〜9.0×109CFUのバチルス・ズブチリスを含むように調製される。

0041

上述のとおり、本発明の有効成分であるバチルス・ズブチリスは微量かつ短期間で有効であるが、長期にわたって安全に摂取することができる。それゆえ、本発明の錠剤は、上記用法用量にしたがい、3ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上、より好ましくは1年以上継続して使用するとよい。

0042

以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。

0043

実施例においては、バチルス属に属する細菌の例として、バチルス・ズブチリスC−3102株(1985年12月25日付にて受託番号FERM BP−1096として生命工学工業技術研究所に寄託されている(現 独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター:千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122室))を用いた。

0044

実施例1:バチルス・ズブチリスのヒトノロウイルスに対する効果
1.糖衣錠の調製
市販大豆油かす造粒品10kgに水5kgを加えて121℃、60分間殺菌し、予め前培養しておいたバチルス・ズブチリスC−3102株の培養液接種し、37℃程度で、60.5時間培養することにより、バチルス・ズブチリスC−3102株の大豆培養物を製造した。このようにして得られた培養物を乾燥粉砕し、下記の表に示す他の成分を配合して、糖衣錠を製造した。糖衣錠の組成を表1、2に示す。

0045

0046

0047

2.試験方法
幼稚園保育園で働く健康な成人従業員272名を対象とし、このうち123名に3錠あたり4 ×109CFUのバチルス・ズブチリスC−3102株を含む糖衣錠を1日3錠、6ヶ月間摂取させ、残り149名には、バチルス・ズブチリスC−3102株を摂取させなかった。毎月検便を実施し、便中のノロウイルス、サルモネラ菌赤痢菌パラチフス菌チフス菌病原性大腸菌(O1、O18、O86)を測定した。6ヶ月間の累積値を表3に示す。

0048

0049

3.結果
病原性大腸菌(O1、O18、O86)、サルモネラについて両群において有意な差はみられなかった。一方、ノロウイルスについては、バチルス・ズブチリスC−3102株摂取群において、非摂取群と比較し陽性者数が低値傾向を示した。以上の結果から、バチルス・ズブチリスC−3102株が、ノロウイルス低減作用を有することが明らかとなった。

0050

実施例2:バチルス・ズブチリスを含む素錠
実施例1にしたがい、バチルス・ズブチリスC−3102株の大豆培養物を製造した。得られた培養物を乾燥粉砕し、下記の表に示す他の成分を配合して、糖衣を施さない素錠を製造した。

0051

0052

2.崩壊性試験
第十六改正日本薬局方に準じて崩壊性試験を実施し、素錠の崩壊性を実施例1の糖衣錠と比較した。結果を下表に示す。

0053

0054

3.保存試験
アルミパウチ中で23ヶ月及び36ヶ月保存(20℃)したときの保存安定性(菌数推移)を素錠と糖衣錠で比較した。結果を下表に示す。

0055

0056

4.素錠の過剰摂取安全性試験
実施例1にしたがって、3錠あたり5×109CFUのバチルス・ズブチリスC−3102株を含む素錠を調製し、便秘傾向者(男性5名、女性1名、合計6名)に、1日3錠(1日1回、原則として朝食後摂取)、4週間連続摂取させ、摂取期間中の排便回数を記録した。結果を図2に示す。

0057

摂取1週目から排便回数が有意に増加した。バチルス・ズブチリスC−3102株大豆培養物は素錠の形態にしても、服用による有害事象は認められず、糖衣錠と同様に便秘者において排便回数増加作用を有することが明らかとなった。

0058

素錠は同じ組成の糖衣錠と比較して崩壊性に優れ、同等の保存安定性を示し、過剰摂取しても有害事象は認められず、糖衣錠と同様に安全であることが確認された。このことから、素錠についても、糖衣錠と同等あるいはそれ以上のノロウイルス低減作用が期待できる。

0059

参考例1:ホームユーステスト
実施例1及び2にしたがって、3錠あたり7×109CFUのバチルス・ズブチリスC−3102株を含む素錠及び糖衣錠を調製し、45〜54の女性30名に素錠(15名)もしくは糖衣錠(15名)を6日間服用させ、体調変化、飲みやすさ(粒の大きさや粒の数が気になるか否か)についてアンケート調査を実施した。結果を下表に示す。

0060

0061

0062

体調が改善した者は、糖衣錠摂取群と比較し、有意に素錠摂取群で多かった。また、粒の大きさや粒の数が気になる人の数が糖衣錠摂取群と比較し、素錠摂取群で減少した。

0063

製剤例1:カプセル剤
バチルス・ズブチリスC−3102株大豆培養物と食用油脂を混合し、常法により下記成分からなるソフトカプセル剤皮の中に充填し、1粒380mgのソフトカプセルを得た。
内容物
バチルス・ズブチリスC−3102株大豆培養物 100mg
食用油脂 150mg
剤皮
ゼラチン100mg
グリセリン30mg

0064

製剤例2:粉末剤
下記成分を配合し、常法に従って造粒し、5g入りスティック顆粒を製造した。
配合
バチルス・ズブチリスC−3102株大豆培養物5%
CMCNa 適宜
デキストリン適宜

実施例

0065

製剤例3:液剤
下記成分を配合し、常法に従って、水10kgを加えて液剤を調製した。
配合
バチルス・ズブチリスC−3102株大豆培養物100g
液糖4000g
DL−酒石酸ナトリウム1g
クエン酸50g
ビタミンC50g
ビタミンE150g
シクロデキストリン25g
塩化カリウム5g
硫酸マグネシウム2g

0066

本発明のノロウイルス感染予防剤は、経口摂取によりヒトノロウイルスの菌数を低減させることができる。バチルス・ズブチリスC−3102株はすでに整腸作用等を目的とした錠剤として利用されており、その安全性も確立している。よって、本発明のノロウイルス感染予防剤は、医薬品のみならず、ノロウイルス感染予防を目的とした医薬部外品、食品として有用である。

0067

配列番号1:合成DNA(フォワードプライマー
配列番号2:合成DNA(リバースプライマー

0068

FERM BP−1096

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社カネカの「 多能性幹細胞凝集抑制剤」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】この出願は、細胞周期停止剤を含むことを特徴とする多能性幹細胞の浮遊培養に用いるための多能性幹細胞凝集抑制剤、その凝集抑制剤を含む培地中で多能性幹細胞を浮遊培養する工程を含む、多能性幹... 詳細

  • 株式会社カネカの「 細胞凝集促進剤」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、細胞凝集塊の大きさを機械学的/物理学的な手段に依らずに適切に制御するための手段を提供することを目的とし、具体的には、SRF阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集... 詳細

  • 長瀬産業株式会社の「 エルゴチオネインの製造方法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】安価かつ大量にエルゴチオネインを製造する方法および該方法に使用する細菌を提供する。エルゴチオネインもしくはその関連物質、またはこれらの混合物の製造方法であって、エルゴチオネイン生産能... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ