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技術 熱処理装置

出願人 東京エレクトロン株式会社
発明者 菅野聡一
出願日 2014年12月22日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2014-258952
公開日 2016年6月30日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2016-119412
状態 特許登録済
技術分野 プラズマの発生及び取扱い 抵抗加熱の制御 CVD 気相成長(金属層を除く) 絶縁膜の形成
主要キーワード 温度検出ユニット 温度測定領域 ヒーターエレメント 両熱電対 導電体製 シングルループ 導電体シート 加熱部温度
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重要な関連分野

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図面 (12)

課題

プラズマからの異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度を測定することが可能な熱処理装置を提供する。

解決手段

基板に対して熱処理を行う熱処理装置1において、真空容器11内に配置された回転テーブル2は、基板Wを載置して回転軸回り公転させると共に、加熱部33によって加熱される。プラズマ処理部61は、プラズマ形成領域R3を通過する基板Wに対してプラズマによる処理を行い、温度測定端14は、回転テーブル2の温度の測定結果電気信号として出力する。導電体製プラズマシールド部261は、プラズマ形成領域R3から見て、温度測定端14を覆うように設けられている。

概要

背景

基板を加熱して処理を行う熱処理装置には、加熱された基板に薄膜成膜する成膜装置がある。成膜装置の一例として、真空容器内に配置された回転テーブル上に、その回転軸を囲むようにして複数の基板を載置し、回転テーブルの上方側の所定の位置に処理ガスが供給されるようにガス供給領域を配置したものがある。この成膜装置において、回転テーブルを回転させると、各基板が回転軸の周り公転しながらガス供給領域を繰り返し通過し、これら基板の表面で処理ガスが反応することにより成膜が行われる。

前記回転テーブルの下方側には、加熱部であるヒーターが配置され、このヒーターからの熱放射輻射熱)を利用して回転テーブルを加熱することにより、その上面に載置された基板が加熱され、処理ガスの反応が進行する。この反応の進行に影響を及ぼす基板の温度制御は、回転テーブルの温度調整を介して行われ、適切な温度制御を行うためには回転テーブルの温度を正確に測定する必要がある。
ここで一般に用いられる温度計として、熱電対測温抵抗体などのように、温度の測定を行う対象物に金属製の小型の測温部(以下、「温度測定端」という)を接触させ、その温度測定結果電気信号として外部に出力するものがある。

一方で、上述の成膜装置においては、基板の表面にプラズマ化したガスを供給して、基板に成膜された膜の改質を行う場合がある。プラズマが形成されている雰囲気に、温度測定端のような小型の金属を配置すると、平板な回転テーブルに比べてった形状の温度測定端へ向けて異常放電が発生し、基板に悪影響を及ぼすおそれが生じる。
さらに、温度測定端における温度測定の結果を電気信号として出力する際に、電気信号がプラズマの影響を受けてしまい、正しい温度測定結果が得られない場合もある。

ここで特許文献1には、真空容器内に固定配置された試料置台上にウエハを載置し、プラズマを用いてウエハへの成膜を行うプラズマ処理装置において、試料載置台を構成すると共に、プラズマ中の荷電粒子引き込むバイアス用の高周波電源が接続された金属製の基材部に、熱電対や測温抵抗体などの温度センサを配置したプラズマ処理装置が記載されている。

しかしながらこの温度センサは、基材部の下面側に形成された穴の内部に挿入されており、また基材部の上面側には誘電体膜ヒータ電極膜静電吸着用電極膜を内蔵した焼結セラミック板が積層されている。このため、ウエハの上方側に形成されたプラズマと、温度センサとの間が十分に絶縁されているので、温度センサに向けて異常放電が発生するといった問題や温度測定の結果として出力される電気信号がプラズマの影響を受けるといった問題は発生しにくい。

また特許文献2には、シャフト周りに回転する回転ディスク上にウェハを搭載し、その回転中心の上方側に配置された材料ガス導入口から材料ガスを導入して回転ディスクの上面に広げると共に、当該回転テーブルの上方に配置されたヒータにてウェハを加熱し、成膜を行うMOCVD装置が記載されている。

このMOCVD装置においては、ウェハの裏面に近接または接触するように、回転ディスクに熱電対を埋設してウェハの温度測定を行っている。しかしながら、特許文献2にはプラズマ処理における温度測定技術の記載はなく、熱電対の上面をウェハで覆っただけでは、プラズマと熱電対との間に「ウェハの厚さ×シリコン比誘電率(≒12)」の距離(例えばウェハの厚さが0.7mmの場合は、プラズマからの距離は約8mm)を取ったに過ぎない。このため、プラズマから熱電対をシールドする作用が十分でなく、正確な温度測定結果(熱電対の場合は、電位差)を出力することができないおそれが高い。また、ウェハの下面から熱電対に向けて異常放電が進入してしまうといったおそれもある。

概要

プラズマからの異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度を測定することが可能な熱処理装置を提供する。基板に対して熱処理を行う熱処理装置1において、真空容器11内に配置された回転テーブル2は、基板Wを載置して回転軸回りに公転させると共に、加熱部33によって加熱される。プラズマ処理部61は、プラズマ形成領域R3を通過する基板Wに対してプラズマによる処理を行い、温度測定端14は、回転テーブル2の温度の測定結果を電気信号として出力する。導電体製プラズマシールド部261は、プラズマ形成領域R3から見て、温度測定端14を覆うように設けられている。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラズマからの異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度を測定することが可能な熱処理装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、真空容器内に配置され、その一面側に設けられる載置領域に基板を載置して公転させるための回転テーブルと、前記回転テーブルを加熱する加熱部と、前記回転テーブルの一面側における基板の通過領域に設けられたプラズマ形成領域プラズマを形成させて基板を処理するためのプラズマ処理部と、前記回転テーブルを回転させたとき、前記プラズマ形成領域と対向する位置を通過する領域内の回転テーブルに設けられ、当該回転テーブルの温度の測定結果電気信号として出力するための温度測定端と、前記プラズマ形成領域から見て、前記温度測定端を覆うように設けられた導電体製プラズマシールド部と、を備えたことを特徴とする熱処理装置。

請求項2

前記プラズマシールド部は、前記プラズマ形成領域側から見た輪郭形状が曲線のみからなることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。

請求項3

前記プラズマシールド部は、前記プラズマ形成領域に対向する面が平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理装置。

請求項4

前記プラズマシールド部は、前記載置領域に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の熱処理装置。

請求項5

温度測定端はプラズマシールド部に接触して設けられ、このプラズマシールド部を介して前記回転テーブルの温度を測定することを特徴とする請求項4に記載の熱処理装置。

請求項6

前記回転テーブルを回転させる回転軸を備え、前記電気信号は当該回転軸内に配線された信号線を介して外部へ出力されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の熱処理装置。

請求項7

前記回転軸には、外部の受信部に対して、無線通信により前記電気信号を送信するための送信部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の熱処理装置。

請求項8

前記回転テーブルを回転させたとき、前記プラズマ形成領域に対する温度測定端の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された温度測定端の位置が前記プラズマ形成領域の外にある期間中に出力された前記電気信号のみに基づいて前記回転テーブルの温度を把握し、前記加熱部の出力を増減する加熱制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の熱処理装置。

請求項9

前記加熱部の出力を増減する加熱制御部を備え、前記加熱制御部は、前記温度測定端を用いて把握した回転テーブルの温度と、予め定めた設定温度との差分値に基づいて前記加熱部の出力を増減することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の熱処理装置。

請求項10

前記加熱部は、前記回転テーブルの下方側に配置され、熱放射によって当該回転テーブルの加熱を行い、前記加熱部が配置されている領域の温度を測定する加熱部温度計をさらに備え、前記加熱制御部は、前記温度測定端を用いて把握した回転テーブルの温度と、予め定めた設定温度との差分値に基づいて前記加熱部温度計の出力の目標温度を求め、当該加熱部温度計にて測定された測定温度と、前記目標温度との差分値に基づき前記加熱部の出力を増減するカスケード制御を行うことを特徴とする請求項9に記載の熱処理装置。

請求項11

前記載置領域は、回転テーブルの回転方向に互いに間隔を開けて複数配置され、前記温度測定端はこれらのうちの一部の載置領域における回転テーブルの温度を測定するために設けられ、前記プラズマシールド部は、前記温度測定端が設けられた載置領域を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一つに記載の熱処理装置。

請求項12

前記プラズマシールド部を構成する導電体は、プラズマの照射によって発熱し、前記温度測定端が設けられていない載置領域もプラズマの照射により発熱する導電体で覆われていることを特徴とする請求項11に記載の熱処理装置。

技術分野

0001

本発明は、回転テーブル上に載置された基板熱処理を行う際に、当該回転テーブルの温度を測定する技術に関する。

背景技術

0002

基板を加熱して処理を行う熱処理装置には、加熱された基板に薄膜成膜する成膜装置がある。成膜装置の一例として、真空容器内に配置された回転テーブル上に、その回転軸を囲むようにして複数の基板を載置し、回転テーブルの上方側の所定の位置に処理ガスが供給されるようにガス供給領域を配置したものがある。この成膜装置において、回転テーブルを回転させると、各基板が回転軸の周り公転しながらガス供給領域を繰り返し通過し、これら基板の表面で処理ガスが反応することにより成膜が行われる。

0003

前記回転テーブルの下方側には、加熱部であるヒーターが配置され、このヒーターからの熱放射輻射熱)を利用して回転テーブルを加熱することにより、その上面に載置された基板が加熱され、処理ガスの反応が進行する。この反応の進行に影響を及ぼす基板の温度制御は、回転テーブルの温度調整を介して行われ、適切な温度制御を行うためには回転テーブルの温度を正確に測定する必要がある。
ここで一般に用いられる温度計として、熱電対測温抵抗体などのように、温度の測定を行う対象物に金属製の小型の測温部(以下、「温度測定端」という)を接触させ、その温度測定結果電気信号として外部に出力するものがある。

0004

一方で、上述の成膜装置においては、基板の表面にプラズマ化したガスを供給して、基板に成膜された膜の改質を行う場合がある。プラズマが形成されている雰囲気に、温度測定端のような小型の金属を配置すると、平板な回転テーブルに比べてった形状の温度測定端へ向けて異常放電が発生し、基板に悪影響を及ぼすおそれが生じる。
さらに、温度測定端における温度測定の結果を電気信号として出力する際に、電気信号がプラズマの影響を受けてしまい、正しい温度測定結果が得られない場合もある。

0005

ここで特許文献1には、真空容器内に固定配置された試料置台上にウエハを載置し、プラズマを用いてウエハへの成膜を行うプラズマ処理装置において、試料載置台を構成すると共に、プラズマ中の荷電粒子引き込むバイアス用の高周波電源が接続された金属製の基材部に、熱電対や測温抵抗体などの温度センサを配置したプラズマ処理装置が記載されている。

0006

しかしながらこの温度センサは、基材部の下面側に形成された穴の内部に挿入されており、また基材部の上面側には誘電体膜ヒータ電極膜静電吸着用電極膜を内蔵した焼結セラミック板が積層されている。このため、ウエハの上方側に形成されたプラズマと、温度センサとの間が十分に絶縁されているので、温度センサに向けて異常放電が発生するといった問題や温度測定の結果として出力される電気信号がプラズマの影響を受けるといった問題は発生しにくい。

0007

また特許文献2には、シャフト周りに回転する回転ディスク上にウェハを搭載し、その回転中心の上方側に配置された材料ガス導入口から材料ガスを導入して回転ディスクの上面に広げると共に、当該回転テーブルの上方に配置されたヒータにてウェハを加熱し、成膜を行うMOCVD装置が記載されている。

0008

このMOCVD装置においては、ウェハの裏面に近接または接触するように、回転ディスクに熱電対を埋設してウェハの温度測定を行っている。しかしながら、特許文献2にはプラズマ処理における温度測定技術の記載はなく、熱電対の上面をウェハで覆っただけでは、プラズマと熱電対との間に「ウェハの厚さ×シリコン比誘電率(≒12)」の距離(例えばウェハの厚さが0.7mmの場合は、プラズマからの距離は約8mm)を取ったに過ぎない。このため、プラズマから熱電対をシールドする作用が十分でなく、正確な温度測定結果(熱電対の場合は、電位差)を出力することができないおそれが高い。また、ウェハの下面から熱電対に向けて異常放電が進入してしまうといったおそれもある。

先行技術

0009

特開2011−258614号公報:段落0015、0030、0044、図2
特開2004−207687号公報:段落0015〜0019、図1、2

発明が解決しようとする課題

0010

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラズマからの異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度を測定することが可能な熱処理装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明の熱処理装置は、基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
真空容器内に配置され、その一面側に設けられる載置領域に基板を載置して公転させるための回転テーブルと、
前記回転テーブルを加熱する加熱部と、
前記回転テーブルの一面側における基板の通過領域に設けられたプラズマ形成領域にプラズマを形成させて基板を処理するためのプラズマ処理部と、
前記回転テーブルを回転させたとき、前記プラズマ形成領域と対向する位置を通過する領域内の回転テーブルに設けられ、当該回転テーブルの温度の測定結果を電気信号として出力するための温度測定端と、
前記プラズマ形成領域から見て、前記温度測定端を覆うように設けられた導電体製プラズマシールド部と、を備えたことを特徴とする。

0012

前記熱処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記プラズマシールド部は、前記プラズマ形成領域側から見た輪郭形状が曲線のみからなること。また、前記プラズマシールド部は、前記プラズマ形成領域に対向する面が平坦であること。さらに、前記プラズマシールド部は、前記載置領域に設けられていること。
(b)温度測定端はプラズマシールド部に接触して設けられ、このプラズマシールド部を介して前記回転テーブルの温度を測定すること。また、前記回転テーブルを回転させる回転軸を備え、前記電気信号は当該回転軸内に配線された信号線を介して外部へ出力されること。このとき、前記回転軸には、外部の受信部に対して、無線通信により前記電気信号を送信するための送信部が設けられていること。
(c)前記回転テーブルを回転させたとき、前記プラズマ形成領域に対する温度測定端の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された温度測定端の位置が前記プラズマ形成領域の外にある期間中に出力された前記電気信号のみに基づいて前記回転テーブルの温度を把握し、前記加熱部の出力を増減する加熱制御部と、を備えたこと。
(d)前記加熱部の出力を増減する加熱制御部を備え、前記加熱制御部は、前記温度測定端を用いて把握した回転テーブルの温度と、予め定めた設定温度との差分値に基づいて前記加熱部の出力を増減すること。
(e)(d)において、前記加熱部は、前記回転テーブルの下方側に配置され、熱放射によって当該回転テーブルの加熱を行い、前記加熱部が配置されている領域の温度を測定する加熱部温度計をさらに備え、前記加熱制御部は、前記温度測定端を用いて把握した回転テーブルの温度と、予め定めた設定温度との差分値に基づいて前記加熱部温度計の出力の目標温度を求め、当該加熱部温度計にて測定された測定温度と、前記目標温度との差分値に基づき前記加熱部の出力を増減するカスケード制御を行うこと。
(f)前記載置領域は、回転テーブルの回転方向に互いに間隔を開けて複数配置され、前記温度測定端はこれらのうちの一部の載置領域における回転テーブルの温度を測定するために設けられ、前記プラズマシールド部は、前記温度測定端が設けられた載置領域を覆うように設けられていること。このとき、前記プラズマシールド部を構成する導電体は、プラズマの照射によって発熱し、前記温度測定端が設けられていない載置領域もプラズマの照射により発熱する導電体で覆われていること。

発明の効果

0013

本発明によれば、回転テーブルに載置された基板に対する熱処理を行う熱処理装置には、基板に対するプラズマ処理を行うプラズマ処理部が設けられている。さらに回転テーブルには、その温度を測定し、測定結果を電気信号として出力するための温度測定端が設けられ、この温度測定端は、前記プラズマ処理部から見て導電体製のプラズマシールド部によって覆われている。このプラズマシールド部の作用により、プラズマから温度測定端に向けた異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度をより正確に測定することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施の形態に係る成膜装置の縦断側面図である。
前記成膜装置の横断平面図である。
前記成膜装置の内部構造を示す分解斜視図である。
ヒーターの配置領域の拡大分解斜視図である。
回転テーブルに対する熱電対及びシールド部の配置を示す平面図である。
前記熱電対及びシールド部の配置を示す縦断側面図である。
回転テーブルの温度制御機構の一例を示すブロック図である。
回転テーブルを回転させたときに温度測定結果を利用する範囲を示す説明図である。
熱電対による温度測定結果の利用、停止が行われるタイミングを示す作用図である。
他の例に関わる熱電対及びシールド部の配置を示す平面図である。
回転テーブルの温度制御機構の他の例を示すブロック図である。

実施例

0015

本発明の熱処理装置の一実施形態として、ALD(Atomic Layer Deposition)法により、基板であるウエハWに対してSiO2膜を成膜する成膜装置1について説明する。本例の成膜装置1にて実施されるALD法概要について述べておくと、Si(シリコン)を含む原料ガスとしてBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスをウエハWに吸着させた後、当該ウエハWの表面に、前記BTBASを酸化する酸化ガスであるオゾン(O3)ガスを供給してSiO2(酸化シリコン)の分子層を形成する。しかる後、プラズマ発生用ガスから発生させたプラズマにウエハWを曝し、前記分子層を改質する処理を行う。1枚のウエハWに対してこの一連の処理を複数回、繰り返し行うことにより、SiO2膜が形成される。原料ガスや酸化ガスは、本実施の形態の処理ガスに相当する。

0016

図1図2に示すように、成膜装置1は、概ね円形の扁平な真空容器11と、真空容器11内に設けられた円板状の回転テーブル2と、を備えている。真空容器11は、天板12と、真空容器11の側壁及び底部をなす容器本体13と、により構成されている。

0017

回転テーブル2は、例えば石英ガラス(以下、単に「石英」という)により構成され、その中心部には鉛直下方へ伸びる金属製の回転軸21が設けられている。回転軸21は、容器本体13の底部に形成された開口部16に挿入され、開口部16の下端部を気密に塞ぐように設けられた磁気シール221を通って容器本体13の下面から真空容器11の外部へ突出している。回転軸21の外部突出部分には、真空雰囲気である真空容器11と外部との間で電気信号の配線を通すためのフィードスルー222と、プーリー231とが介設されている。

0018

回転軸21の側方には駆動モーター233が配置され、既述のプーリー231と駆動モーター233の回転軸とを連結するように駆動ベルト232を捲回することにより回転テーブル2の駆動部が構成されている。
また回転軸21の下端部には、後述の受信給電ユニット71との間で回転テーブル2の温度に係る情報の通信を実行する温度検出ユニット24が設けられている。

0019

回転テーブル2は、回転軸21を介して真空容器11内に水平に支持され、駆動モーター233の作用により回転軸21を回転させると、上面側から見て例えば時計回りに回転する。
また、開口部16の下端部には、回転テーブル2の上面側から下面側への原料ガスや酸化ガスなどの回りこみを防ぐために、当該開口部16と、回転軸21との隙間にN2(窒素)ガスを供給するガスノズル15が設けられている。

0020

一方で、真空容器11を構成する天板12の下面には、回転テーブル2の中心部に向けて対向するように突出し、平面視形状が円環状の中心部領域Cと、この中心部領域Cから回転テーブル2の外側に向かって広がるように形成された平面視形状が扇形の突出部17、17と、が形成されている(図2)。言い替えると、これら中心部領域C及び突出部17、17は、天板12の下面に、その外側領域に比べて低い天井面を形成しているといえる。

0021

中心部領域Cと回転テーブル2の中心部との隙間はN2ガスの流路18を構成している。このガス流路18には、天板12に接続されたガス供給管からN2ガスが供給され、流路18内に流れ込んだN2は、回転テーブル2の上面と中心部領域Cとの隙間から、その全周に亘って回転テーブル2の径方向外側に向けて吐出される。このN2ガスは、回転テーブル2上の互いに異なる位置(後述の吸着領域R1及び酸化領域R2)にて供給された原料ガスや酸化ガスが、回転テーブル2の中心部(流路18)をバイパスとして互いに接触することを防いでいる。

0022

図3の斜視図は、成膜装置1から天板12及び回転テーブル2を取り外した状態を示している。図3に示すように回転テーブル2の下方に位置する容器本体13の底面には、前記回転テーブル2の周方向に沿って、扁平な円環状の凹部31が形成されている。この凹部31の底面には、回転テーブル2の下面全体に対向する領域に亘って加熱部であるヒーター33が配置されている。

0023

例えば図4に示すように、ヒーター33は例えば十数cm〜数十cm程度の長さの円弧形状に形成された、細長い管状のカーボンワイヤヒータからなる多数のヒーターエレメント331を組み合わせて構成されている。これら円弧状のヒーターエレメント331を複数組み合わすことにより、ヒーター33は回転軸21を中心とした複数の同心円を描くように凹部31内に配置されている。

0024

さらに、ヒーター33が配置されている凹部31内には、回転テーブル2の径方向に沿って複数個、例えば3個の熱電対44(44a〜44c:加熱部温度計)が配置されている。各熱電対44a〜44cは、回転テーブル2の径方向に沿って当該回転テーブル2の中心部側から周縁側へ向けて並べて配置されている。これらの44a〜44cは、回転テーブル2側に設けられている後述の熱電対14a〜14cによる温度測定位置に対応して設けられ、回転テーブル2の中心部側(熱電対14a)、周縁部側(熱電対14c)及びこれらの間の位置(熱電対14b)に対応して、ヒーター33の配置領域の温度を測定することができる。熱電対44a〜44cは、不図示の温度測定器本体に接続され、各位置における温度測定結果が後述のヒーター制御部72へ向けて出力される。

0025

各ヒーター33は、側面から見ると凹部31の底面とほぼ平行となるように当該底面から浮いた状態で配置され、その両端は下方側へと屈曲され、容器本体13の底板を貫通する接続ポート332を介して、真空容器11の外部に設けられた給電部333に接続されている(給電部333については図6参照)。この結果、円環状に形成されたヒーター33の配置領域を径方向に複数に分割して、同心円状の分割領域毎にヒーター33の出力を調整することができる。なお、図4以外の各図においては、ヒーター33の屈曲部や接続ポート332の記載は省略してある。
これらヒーター33が配置された凹部31の上面は、例えば石英からなる円環形状の板部材であるヒーターカバー34によって塞がれている(図1参照)。

0026

また、前記凹部31の外周側に位置する容器本体13の底面には、真空容器11内を排気する排気口35、36が開口している。排気口35、36には、真空ポンプなどにより構成された図示しない真空排気機構が接続されている。

0027

さらに図2図3に示すように、容器本体13の側壁にはウエハWの搬入出口37と、当該搬入出口37を開閉するゲートバルブ38とが設けられている。外部の搬送機構に保持されたウエハWは、この搬入出口37を介して真空容器11内に搬入される。回転テーブル2の上面には、中心部の流路18の回りを囲むように、ウエハWの載置領域を成す複数の凹部25が形成され、真空容器11内に搬入されたウエハWは、各凹部25内に載置される。搬送機構と凹部との間のウエハWの受け渡しは、各凹部25に設けられた不図示の貫通口を介して回転テーブル2の上方位置と下方位置との間を昇降自在に構成された昇降ピンを介して行われるが、昇降ピンの記載は省略してある。

0028

図2図3に示すように、回転テーブル2の上方には、原料ガスノズル51、分離ガスノズル52、酸化ガスノズル53、プラズマ用ガスノズル54、分離ガスノズル55がこの順に、回転テーブル2の回転方向に沿って間隔をおいて配設されている。各ガスノズル51〜55は真空容器11の側壁から、回転テーブル2の中心部に向けて、径方向に沿って水平に伸びる棒状に形成されている。各ガスノズル51〜55の下面には、多数の吐出口56が互いに間隔をおいて形成され、これらの吐出口56から各ガスが下方側に向けて吐出される。
なお以下の説明において、所定の基準位置から回転テーブル2の回転方向に沿った方向を回転方向の下流側、これと反対の方向を上流側という。

0029

原料ガスノズル51は、回転テーブルの上面側へ向けて既述のBTBASガスを吐出する。図2図3に示すように、原料ガスノズル51は、当該原料ガスノズル51から、回転テーブル2の回転方向の上流側及び下流側に向けて夫々広がる扇状に形成されたノズルカバー57によって覆われている。ノズルカバー57は、その下方におけるBTBASガスの濃度を高めて、ウエハWへのBTBASガスの吸着性を高める役割を有する。また、酸化ガスノズル53は、オゾンガスを吐出し、分離ガスノズル52、55はN2ガスを吐出する。図2に示すように各分離ガスノズル52、55は、天板12に形成された扇状の突出部17、17を周方向に分割するように配置されている。

0030

次にウエハWに形成された膜に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理部61の構成について説明する。
プラズマ用ガスノズル54は、例えばアルゴン(Ar)ガスと酸素(O2)ガスとの混合ガスからなるプラズマ発生用ガスを吐出する。図2に一点鎖線で示すように、天板12には回転テーブル2の回転方向に沿った扇状の開口部が設けられている。この開口部には、石英などの誘電体からなり、当該開口部に対応する平面形状を有し、縦断側面形状がカップ状に形成されたプラズマ処理部61が挿入されている(図1図2)。プラズマ処理部61は、回転テーブル2の回転方向に見て、酸化ガスノズル53とその下流側の突出部17との間に設けられている。

0031

図1に示すようにプラズマ処理部61の下面には、当該プラズマ処理部61の周縁部に沿って突条部62が設けられており、上記プラズマ用ガスノズル54は、この突条部62に囲まれる領域にガスを吐出するように、上流側に位置する突条部62に沿って、当該領域内に挿入されている。突条部62は、プラズマ処理部61の下方へのN2ガス、オゾンガス及びBTBASガスの進入を抑え、プラズマ発生用ガスの濃度の低下を抑える役割を有する。

0032

プラズマ処理部61の上面側には窪みが形成され、この窪みには上面側が開口する箱型ファラデーシールド63が配置されている。ファラデーシールド63の底面には、絶縁用の板部材64が配置され、その上面側には、金属線鉛直軸周りにコイル状に巻回して形成され、高周波電源66に接続された、プラズマ発生用アンテナ65が設けられている。

0033

図2に示すようにファラデーシールド63の底面には、アンテナ65への高周波印加時に当該アンテナ65において発生する電磁界のうち電界成分が下方に向かうことを阻止すると共に、磁界成分を下方に向かわせるためのスリット67が形成されている。このスリット67は、アンテナ65の巻回方向に対して直交(交差)する方向に伸び、アンテナ65の巻回方向に沿って多数形成されている。

0034

図2図3に示すように、回転テーブル2の上面側において、原料ガスノズル51のノズルカバー57の下方領域は、原料ガスであるBTBASガスの吸着が行われる吸着領域R1であり、酸化ガスノズル53の下方領域は、オゾンガスによるBTBASガスの酸化が行われる酸化領域R2である。吸着領域R1や酸化領域R2は、本実施の形態のガス供給領域に相当している。また、プラズマ処理部61の下方領域は、プラズマによるSiO2膜の改質が行われるプラズマ形成領域R3となっている。そして突出部17、17の下方領域は、分離ガスノズル52、55から吐出されるN2ガスにより、吸着領域R1と酸化領域R2とを互いに分離して、原料ガスと酸化ガスとの混合を防ぐための分離領域D、Dを夫々構成する。

0035

ここで容器本体13の底面に設けられた一方側の排気口35は吸着領域R1と、当該吸着領域R1に対して前記回転方向の下流側に隣接する分離領域Dとの境界付近であって、回転テーブル2の外方側に開口し、余剰のBTBASガスを排気する。他方側の排気口36は、プラズマ形成領域R3と、当該プラズマ形成領域R3に対して前記回転方向の下流側に隣接する分離領域Dとの境界付近であって、回転テーブル2の外方側に開口し、余剰のオゾンガス及びプラズマ発生用ガスを排気する。各排気口35、36からは、各分離領域D、D、回転テーブル2の下方のガス供給管15、回転テーブル2の中心部領域Cから夫々供給されるN2ガスも排気される。

0036

この成膜装置1には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部7が設けられている(図1図6参照)。この制御部7には、ウエハWへの成膜処理を実行するプログラムが格納されている。前記プログラムは、成膜装置1の各部に制御信号を送信して各部の動作を制御する。具体的には、各ガスノズル51〜55からの各種ガス供給量調整、ヒーター33の出力制御、ガス供給管15及び中心部領域CからのN2ガスの供給量調整、駆動モーター233による回転テーブル2の回転速度調整などが、制御信号に従って行われる。上記のプログラムにおいてはこれらの制御を行い、上述の各動作が実行されるようにステップ群が組まれている。当該プログラムは、ハードディスクコンパクトディスク光磁気ディスクメモリカードフレキシブルディスクなどの記憶媒体から制御部7内にインストールされる。

0037

以上に説明した構成を備えた成膜装置1において、回転テーブル2はヒーター33により加熱され、この回転テーブル2を介して各凹部25に載置されたウエハWが加熱される。図5図6に示すように、本例の回転テーブル2には、温度測定端である複数の熱電対14(熱電対14a〜14c)が設けられている。これら熱電対14を用いて回転テーブル2の温度を測定し、この測定結果を利用して回転テーブル2の温度制御が行われる。一方で既述のように、プラズマ形成領域R3を熱電対14が通過する際に、プラズマからの影響を受ける位置に熱電対14が配置されていると、プラズマから熱電対14へ向けて異常放電が発生してしまうおそれもある。また、温度測定の結果出力される電気信号(熱電対14の場合は電位差)が、プラズマの影響を受けて変化し、正しい温度測定結果が得られない場合もある。

0038

そこで本例の成膜装置1は、熱電対14が設けられている領域に、プラズマ形成領域R3から見て熱電対14を覆うように導電体製のプラズマシールド部(以下、単に「シールド部」という)261が設けられている。
以下、図5図7を参照しながら、このシールド部261を用いてプラズマからの影響を抑えつつ、熱電対14により回転テーブル2の温度を測定すする手法、及びこれら熱電対14を用いた回転テーブル2の温度制御について説明する。

0039

図5図6に模式的に示すように、本例の回転テーブル2には、ウエハWの載置領域を成す5つの凹部25のうちの1つの凹部25内に、3個の熱電対14(14a〜14c)が設けられている。各熱電対14a〜14cは、回転テーブル2の径方向に沿って凹部25の内側に並べて配置されている。本例において熱電対14は、回転テーブル2の中心部側の位置(熱電対14c)、周縁部側の位置(熱電対14a)、及びこれらの間の中間位置(熱電対14b)に設けられている。各熱電対14a〜14cは、凹部25の下面から上方側へ突出するように設けられている。

0040

これら熱電対14a〜14cが設けられている凹部25にウエハWを直接、載置した場合には、プラズマの影響により、異常放電が発生したり正しい温度測定結果が得られなかったりする事象が発生するおそれがあるため、これら熱電対14a〜14cの上面を覆うようにシールド部261が設けられている。

0041

本例のシールド部261は、導電体であるカーボンによって構成された厚さが5〜10mm程度の円形のシートである。シールド部261は、凹部25内にウエハWを載置したとき、熱電対14a〜14cとウエハWとの間にシールド部261が挟まれた状態となるように、凹部25の底面を覆うように固定配置されている。凹部25の底面から突出して配置された各熱電対14a〜14cは、シールド部261の下面に接触し、シールド部261を介して回転テーブル2の温度測が行われる。なお、熱電対14a〜14cがシールド部261の下面に接触した状態となっていることは必須ではなく、例えば凹部25の底面近傍の下方側の回転テーブル2内に各熱電対14a〜14cを埋設し、その上面側にシールド部261を配置してもよい。

0042

一般にプラズマは、尖った部分へ向けて放電を起こしやすいので、シールド部261の上面は平坦になっている。また、シールド部261は、その上面側から見た輪郭形状がウエハWや凹部25と同様に円形であり、できるだけ曲率の大きな曲線のみによって形成されている。この結果、例えばシールド部261の輪郭形状を四角形とした場合に、その角部へ向けて異常放電が発生するといった不具合の発生を抑えることができる。

0043

導電体であるシールド部261がプラズマ形成領域R3を通過する際には、シールド部261の表皮部における電位差は小さく、異常放電は発生しにくい。また、電界は導電体であるシールド部261の表皮部分にだけ発生し、その内部までは電界が形成されない(表皮効果)。そこで電界が形成されないシールド部261の裏側に熱電対14a〜14cを配置することにより、プラズマからこれら熱電対14a〜14cを遮蔽して、プラズマの影響を抑えることができる。

0044

一方で、プラズマの影響により電位差が発生するシールド部261の表皮部には、この電界を打ち消すように渦電流が発生し、渦電流の発生に伴ってシールド部261が発熱する。従ってシールド部261が設けられている領域において、回転テーブル2はヒーター33からの加熱に加えて、シールド部261の発熱によっても加熱される。

0045

このとき、熱電対14が設けられている凹部25のみにシールド部261を設けたとすると、プラズマ形成領域R3を通過する際に発熱するシールド部261が設けられた凹部25と、シールド部261が設けられていない他の凹部25との間でウエハWの加熱条件が異なってしまう。そこで本例の回転テーブル2には、熱電対14が設けられていない凹部25に、シールド部261と共通のカーボンシートからなる導電体シート262を設けている。この結果、これらの導電体シート262がプラズマ形成領域R3を通過する際にもシールド部261と同様の発熱が発生し、シールド部261を設けた凹部25と同様の条件でウエハWを加熱することができる。

0046

図6に示すように、異なる金属を接触させて構成される熱電対14a〜14cからは、回転テーブル2の温度(シールド部261の温度)に応じて起電力が発生し、この起電力が熱電対14a〜14cに接続された信号線140によって取り出される。例えば信号線140は回転テーブル2内を径方向中心部側へ向けて配線された後、回転軸21の内部に挿入されている。回転軸21内を通る信号線140は、フィードスルー222を介して真空雰囲気から大気圧雰囲気へ取り出された後、回転軸21の下端部に設けられた温度検出ユニット24に接続されている。

0047

温度検出ユニット24内には、信号線140を介して入力された各熱電対14a〜14cの起電力を検出する電圧計や、検出した起電力に基づき、回転テーブル2の温度に対応する温度情報に変換する変換部、異なる3つの熱電対14a〜14cから得られた温度情報を互いに識別可能なように、例えば識別符号を付したシリアルデータとして出力する出力部、出力部から出力されたデータを無線通信により受信給電ユニット71へ送信する送信部などを備えている。

0048

受信給電ユニット71は、温度検出ユニット24に隣接して配置され、温度検出ユニット24から送信された温度情報を受信する受信部に相当し、受信した温度情報を制御部7に設けられているヒーター制御部72へと出力する。また、温度検出ユニット24及び受信給電ユニット71は、非接触給電により温度検出ユニット24の稼働用の電力送受電するためのコイルを各々備えている。そして、不図示の給電部から、受信給電ユニット71を介して温度検出ユニット24に供給された電力は、例えば温度検出ユニット24内に設けられた電池蓄電され、温度検出ユニット24内の各機器の作動に用いられる。

0049

次いで、回転テーブル2側に設けられた熱電対14、及びヒーター33の配置領域側に設けられた熱電対44による温度測定結果を用いて、回転テーブル2の温度制御を行う手法について説明する。図6に示すように、制御部7は各熱電対14、44から取得した温度測定結果に基づき、回転テーブル2の温度制御を行うヒーター制御部(加熱制御部)72を備えている。ヒーター制御部72は、これらの温度測定結果に基づき、給電部333から各ヒーター33(ヒーターエレメント331)へ給電される電力を増減し、同心円状の分割領域毎にヒーター33の出力調を行う機能を有する。

0050

図7は、ヒーター制御部72における回転テーブル2の温度制御を行う機構の一例を示すブロック図である。説明の便宜上、図7及び後述の図11においては、ヒーター制御部72及び給電部333以外の成膜装置1の全体を「成膜装置本体100」として総括表示してある。
本例のヒーター制御部72は、両熱電対14、44を用いて測定した回転テーブル2の温度、及びヒーター33の配置領域の温度に基づいて、ヒーター33の出力を調整するカスケード制御を採用している。

0051

詳細には、回転テーブル2の設定温度と、熱電対14から取得した回転テーブル2の温度との差分値に基づき、第1のPID制御部721にてヒーター33の配置領域の目標温度を算出する。この目標温度と、熱電対44から取得したヒーター33の配置領域の温度との差分値に基づき、第2のPID制御部722にて給電部333からヒーター33に供給する電力を求め、その結果を給電部333へ出力してヒーター33の出力調整を実行する。図7に示すカスケードループは、凹部25に設けられた各熱電対14a〜14cにより温度測定が行われる各測定位置、及びこれらの測定位置に対応付けてヒーター33の配置領域側に設けられた熱電対44a〜44cによる温度測定位置毎に、3組に分けて実行される。

0052

ここで既述のように、回転テーブル2の温度測定を行う熱電対14はシールド部261によって覆われ、プラズマ形成領域R3におけるプラズマの影響を受けにくい構成となっている。一方で、例えば回転テーブル2内に配設された信号線140がプラズマ形成領域R3を通過する際に、熱電対14から出力された電位がプラズマの影響を受けるなど、プラズマの影響を完全に排除できないおそれもある。

0053

そこで本例のヒーター制御部72は、真空容器11が通過する領域を回転テーブル2の温度測定を行う領域と、行わない領域とに区画し、温度測定を行う領域にて取得した温度測定結果に基づいてヒーター33の出力を調整する。具体的には、図8に示すように、吸着領域R1側の分離領域Dの出口から、酸化領域R2の下流側近傍位置までの範囲を温度測定領域(A)と設定し、プラズマ形成領域R3(C)、及びその前後に設定された緩衝領域(B)での温度測定結果は、ヒーター33の出力調整には用いない。

0054

回転テーブル2を回転させたときの熱電対14の位置は、例えば駆動モーター233の回転軸の回転位置と対応付けて把握される。当該回転軸の回転位置は、駆動モーター233に設けた不図示のロータリエンコーダにより把握される。そしてヒーター制御部72は、前記ロータリエンコーダの出力に基づき、回転している回転テーブル2に設けられた熱電対14の現在位置を把握し、熱電対14が温度測定領域内(A)に位置する期間中に取得した温度測定結果のみを用いて既述のヒーター33の出力調整を行う。この場合に、駆動モーター233のロータリエンコーダは、熱電対14の位置を検出する位置検出部に相当している。

0055

なお、熱電対14の位置に応じて温度測定結果が利用可能か否かの判断を行うのはヒーター制御部72に限られるものではなく、温度検出ユニット24側で行ってもよい。この場合、例えば温度検出ユニット24は、受信給電ユニット71を介して駆動モーター233からロータリエンコーダの情報を取得する構成とする。この結果、温度検出ユニット24は、ロータリエンコーダの出力から把握される熱電対14の位置に基づいて、当該熱電対14が温度測定領域内に位置する期間中に取得された温度測定結果のみをヒーター制御部72へ向けて出力することができる。

0056

以上に説明した構成を備える成膜装置1の作用について説明する。
初めに成膜装置1は、真空容器11内の圧力及びヒーター33の出力をウエハWの搬入時の状態に調節して、ウエハWの搬入を待つ。そして例えば隣接する真空搬送室に設けられた搬送アームにより処理対象のウエハWが搬送されてくると、ゲートバルブ38を開放する。搬送アームは、開放された搬入出口37を介して真空容器11内に進入し、回転テーブル2の凹部25内にウエハWを載置する。そして、各凹部25内にウエハWが載置されるように、回転テーブル2を間欠的に回転させながら、この動作を繰り返す。

0057

ウエハWの搬入を終えたら、真空容器11内から搬送アームを退避させ、ゲートバルブ38を閉じた後、排気口35、36からの排気により真空容器11内を所定の圧力まで真空排気する。また分離ガスノズル52、55や中心領域Cの流路18、回転テーブル2の下方側のガス供給管15からは、各々、所定量のN2ガスが供給されている。そして、回転テーブル2の回転を開始し、0rpmより大きく、300rpm以下の範囲の所定の回転速度となるように速度調整を行う。

0058

また、給電部333からヒーター33への電力供給を開始し、回転テーブル2の温度制御を実行する。即ち、図7に示すように、ヒーター制御部72に対して回転テーブル2の設定温度が入力されると、熱電対14にて測定した回転テーブル2の温度との比較がなされる。

0059

そして、第1のPID制御部721によるヒーター33の配置領域の目標温度の算出→熱電対44にて測定された当該配置領域の温度との温度比較→第2のPID制御部722によるヒーター33への供給電力の算出→給電部333からの供給電力の調整→ヒーター33の出力変化の順にヒーター33出力を調整する制御ループが実行される。

0060

この温度制御を実行するにあたり、回転テーブル2の温度を測定する熱電対14は、プラズマ形成領域R3から見てシールド部261によって覆われているので、プラズマ形成領域R3を通過する際の異常放電の発生を抑えることができる。そして、熱電対14を用いて測定された回転テーブル2の温度は、回転する熱電対14の下端部に設けられた温度検出ユニット24から受信給電ユニット71に対して無線送信され、ヒーター制御部72へ向けて出力される。

0061

また、温度測定を行う機器全体へのプラズマの影響を避けるため、熱電対14が、図8に示す温度測定領域(A)を通過している期間中に取得した温度測定結果のみを用いてヒーター33の出力調整が実行される。この結果、図9に示すように、熱電対14による回転テーブル2の温度測定結果を、当該回転テーブル2の温度制御に用いる動作がオンオフされる。このオフの期間は、その直前のオンの期間に測定された温度測定結果をレジスタなどにフェッチして用いればよい。
なお、図9横軸は、熱電対14が原料ガスノズル51の下方を通過する位置を「0°」として、容器本体13を上面側から見たときの周方向の位置を示している。また、図9中の符号(A)〜(C)は、図8に示す符号(A)〜(C)を付して示した各領域に対応している。

0062

また、熱電対14を設けていない凹部25には、プラズマ形成領域R3を通過する際に発熱するシールド部261と共通のカーボンシートからなる導電体シート262が配置されている。この結果、回転テーブル2に設けられた各凹部25において、シールド部261及び導電体シート262がプラズマ形成領域R3を通過すると、これらを構成するカーボンシートが同じ様に発熱するので、各ウエハWの加熱条件を均一に揃えることができる。熱電対14にて測定される回転テーブル2の温度は、ヒーター33による加熱に加え、シールド部261(熱電対14が設けられていない凹部25においては導電体シート262)の発熱の影響が含まれた温度となっている。

0063

上述の温度制御により回転テーブル2の温度が設定温度に到達したら、原料ガスノズル51、酸化ガスノズル53、プラズマ用ガスノズル54からの各種ガス(原料ガス、酸化ガス、プラズマ発生用ガス)の供給と、高周波電源66からアンテナ65への高周波印加によるプラズマの形成と、が開始される。各ガスは、選択した処理レシピに従った流量で供給される。

0064

この結果、回転テーブル2の各凹部25に載置されたウエハWは、原料ガスノズル51のノズルカバー57の下方の吸着領域R1→酸化ガスノズル53の下方の酸化領域R2→プラズマ処理部61の下方のプラズマ形成領域R3を、この順番で繰り返し通過する。

0065

そして、吸着領域R1では原料ガスノズル51から吐出されたBTBASガスがウエハWに吸着し、酸化領域R2では吸着したBTBASガスが、酸化ガスノズル53から供給されたオゾンガスにより酸化されて、SiO2膜の分子層が1層あるいは複数層形成される。プラズマ形成領域R3では、前記SiO2膜の分子層がプラズマに曝されて改質される。

0066

こうして回転テーブル2の回転を続けると、ウエハWの表面にSiO2膜の分子層が順次積層され、SiO2膜が形成されると共にその膜厚が次第に大きくなる。
またこのとき、吸着領域R1と酸化領域R2との間、プラズマ形成領域R3と吸着領域R1との間は、各々分離領域D、Dや流路18によって分離されているので、不必要な場所では原料ガスと酸化ガスとの接触に起因する堆積物は発生しにくい。

0067

そして各ウエハWに所望の膜厚のSiO2膜が形成されるタイミング、例えば所定回数だけ回転テーブル2を回転させたタイミングにて、原料ガスノズル51、酸化ガスノズル53、プラズマ用ガスノズル54からの各種ガスの供給、高周波電源66からアンテナ65への高周波電力の印加を停止する。そして、回転テーブル2の回転を停止すると共に、ヒーター33の出力を待機時の状態として、成膜処理を終了する。

0068

このとき回転テーブル2は各所から供給されるN2ガスによって熱を奪われその温度が低下する。例えばこの降温時に、ヒーター33を停止するのではなく、回転テーブル2を予熱状態に保つ場合には、図7図9を用いて説明した回転テーブル2の昇温時の制御と同様に、熱電対14による回転テーブル2の温度測定結果を利用しながら、ヒーター33の出力調整を行ってもよい。
しかる後、真空容器1内の圧力をウエハWの搬出時の状態に調節し、ゲートバルブGを開き、搬入時とは反対の手順でウエハWを取り出し、成膜処理を終える。

0069

本実施の形態に係る成膜装置1によれば以下の効果がある。回転テーブル2に載置されたウエハWに対する成膜を行う成膜装置1には、成膜された膜に対するプラズマ処理を行うプラズマ処理部61が設けられている。さらに回転テーブル2には、その温度を測定し、測定結果を電気信号として出力するための熱電対14が設けられ、この熱電対14は、前記プラズマ処理部61から見てカーボンシートのシールド部261によって覆われている。このシールド部261の作用により、プラズマから熱電対14に向けた異常放電の発生を抑えつつ、回転テーブルの温度を正確に測定することができる。

0070

また、熱電対14を設けて回転テーブル2の温度を直接測定した結果を当該回転テーブル2の温度制御に用いることにより、以下の効果も得られる。
従来、回転テーブル2の温度を直接、測定できない場合は、図4図6に示した熱電対44を用いてヒーター33の配置領域の温度を把握し、当該領域の温度が設定温度に到達してから十分な時間の経過を待っていた。これに対し、本実施の形態の成膜装置1は、熱電対14を用いて回転テーブル2の温度を直接測定することができるので、回転テーブル2が設定温度に到達した後も、予め設定された時間を待ち続けるといった不要な待ち時間の発生を抑え、ウエハWを成膜装置1に搬入してから、搬出するまでの全体の処理時間を短縮することができる。

0071

また、回転テーブル2に熱電対14を設けることにより、回転テーブル2の温度をリアルタイムで把握することが可能となるので、当該温度測定の結果をヒーター33による回転テーブル2の温度制御に利用することが可能となる。この結果、回転テーブル2の温度をフィードバックしてヒーター33の出力を増大させることにより、回転テーブル2の温度が設定温度に到達するまでの時間も短縮することができる。

0072

ここで熱電対14を設ける位置やシールド部261の形状は、図5に示した例に限定されるものではない。例えば図10は、全ての凹部25に対して、回転テーブル2の径方向に向けて熱電対14を3個ずつ並べて配置し、さらに回転テーブル2の中心側から周縁部側の領域を覆うように円環形状のシールド部261aを設けた例を示している。即ち、本例では一枚のシールド部261aによって全ての凹部25の下面が覆われている。各凹部25に熱電対14を設けることにより、各ウエハWの温度をきめ細かく把握することができる。また、円環形状のシールド部261aを用いることにより、シールド部261aがプラズマ形成領域を通過する際の発熱を回転テーブル2の周方向に沿って発生させて回転テーブル2の均一な加熱を行うことができる。

0073

一方で、シールド部261がプラズマ形成領域を通過する際の発熱の影響が小さければ、全ての凹部25に導電体シート262を設けることは必須ではない。
また、シールド部261、261a、導電体シート262を構成する材料についても、ウエハWに対する金属の影響などの問題がなければ、アルミニウムステンレススチールなどの金属製のシールド部261、261a、導電体シート262を用いてもよい。

0074

さらには、回転テーブル2に設けられる温度測定端の構成についても熱電対14の例に限定されない。例えば、温度測定端として、測温抵抗体(RTD:Resistance Temperature Detector)やサーミスタ半導体温度計を用いてもよい。
そして、温度測定端を設ける位置は、ウエハWの載置領域である凹部25内に限定されるものではなく、凹部25から外れた回転テーブル2の上面に熱電対14を配置して、その上面側をシールド部261、261aで覆ってもよい。

0075

このほか、金属によるコンタミネーションを防止するため、金属が露出している空間内でウエハWの処理を行うことが好ましくない場合には、例えば真空容器11の内側に石英製の容器を設置し、この石英容器内に回転テーブル2を配置してもよい。この場合には、既述のヒーターカバー34は設けなくてもよい。

0076

さらにヒーター制御部72において、回転テーブル2の温度制御を行う手法は、図9を用いて説明した例のように回転テーブル2の温度と、ヒーター33の配置領域の温度とを用いてヒーター33の出力調整を行うカスケード制御の例に限定されない。例えば図11に示すように、回転テーブル2の温度の測定結果のみに基づいてヒーター33の出力制御を行うシングルループ制御機構を用いてもよい。

0077

図7図11に示したいずれの制御機構においても、図8図9を用いて説明したように、回転テーブル2を回転させたときの熱電対14の位置に応じて、熱電対14による温度測定の結果をヒーター33の出力調整に用いる場合と用いない場合との切り替えを行うことは必須ではない。シールド部261、261aを設けることによるプラズマのシールド効果が十分である場合には、熱電対14の位置によらず、常時、当該熱電対14から取得した回転テーブル2の温度測定結果を用いてヒーター33の出力調整を行ってもよい。

0078

これらに加え、回転する熱電対14から温度測定結果の電気信号を取り出す手法は、温度検出ユニット24と受信給電ユニット71との間の無線通信を用いる場合に限定されない。例えば温度検出ユニット24の下面にスリップリングを設け、温度検出ユニット24内の出力部から、当該スリップリングに向けて温度情報を出力する構成としてもよい。この場合は、スリップリングの側面に接触するように設けられたブラシを介して温度情報が取り出され、受信給電ユニット71へ入力される。

0079

さらに、上述の実施の形態では、原料ガスであるBTBASガスと酸化ガスであるオゾンガスとを用いたALD法により、SiO2膜の成膜を実行する成膜装置1を用いての例について説明したが、本発明の成膜装置1を用いて実行可能な成膜処理の種類はこれに限定されるものではない。例えば、吸着領域R1にてトリメチルアルミニウム(TMA)やトリエチルアルミニウム(TEA)などの原料ガスをウエハWに吸着させ、酸化領域に替えて設けられた窒化領域R2にてNH3(アンモニア)ガスなどの窒化ガスを供給して、前記原料ガスを窒化し、窒化アルミニウム(AlN)を得るALDプロセスを実行してもよい。
これらに加え、熱処理装置内で実行される処理の種類は成膜処理に限定されるものでもない。既に成膜が行われたウエハWを回転テーブル2上に載置して、プラズマ形成領域R3を通過させる膜の改質処理のみを行ってもよい。この場合には、回転テーブル2上には吸着領域R1や酸化領域R2を設けずに、天板12に分離領域D及びプラズマ形成領域R3のみを配置してもよい。

0080

Wウエハ
1成膜装置
11真空容器
12天板
13容器本体
140信号線
14、14a〜14c
熱電対
2 回転テーブル
25 凹部
261、261a
シールド部
262導体シート
33ヒーター
44、44a〜44c
熱電対
61プラズマ処理部
7 制御部
71 受信給電ユニット
72ヒーター制御部
721 第1のPID制御部
722 第2のPID制御部

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