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技術 燃料電池用セパレータ

出願人 フクビ化学工業株式会社
発明者 兼岩秀和夏梅透
出願日 2014年12月19日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2014-256862
公開日 2016年6月30日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-119181
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 導電性樹脂板 材料比率 ミルドファイバ ステープルヤーン FRTP 炭素フィラー シート単体 試験内容
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重要な関連分野

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図面 (3)

課題

金属材料よりも化学的に安定で耐食性に優れており、更に優れた導電性曲げ強度曲げ弾性率及びプレス等による加工性(賦形性)を並立させることが可能な燃料電池用セパレータを提供すること。

解決手段

導電性樹脂板1の片面または両面上に、CFRTPシート2を積層し、これらを熱融着により一体化して構成された燃料電池用セパレータにおいて、前記CFRTPシート2を、熱可塑性樹脂マトリックス樹脂として、当該マトリックス樹脂中に、連続炭素繊維を一方向または複数方向に配列すると共に、樹脂中に粒子状または不連続繊維状の炭素フィラー材を分散させて構成した。

概要

背景

近年、燃料電池は、電極電解質及びセパレータ(仕切板)から成るセル積み重ねた構造(セルスタック)のものが主流となっている。また、セルに使用されるセパレータには、厚さ方向の導電性が求められるが、セパレータに金属板を使用するとすぐに腐食してしまうため、化学的に安定な素材として炭素含有導電性樹脂板が利用されている。

また更に、上記導電性樹脂板に関しては、導電物質である炭素粉バインダー樹脂結着した構造が一般的であるが、バインダー樹脂に対する炭素粉の充填量が小さいと充分な導電性が得られず、逆にバインダー樹脂に対して炭素粉を高充填すると、機械的強度が低下し易かったため、セパレータとしての機能や加工性満足させることができなかった。

そこで、従来においては、熱可塑性樹脂中に炭素粉を高充填して成る導電性樹脂板の表面に、導電性樹脂板よりも低い割合で繊維状の炭素フィラー材を含有する熱可塑性樹脂シートを積層して、これらを熱融着によりさせることにより、導電性樹脂板の表面側に補強層を形成する技術も提案されている(特許文献1参照)。

しかしながら、上記文献1に係る技術に関しては、セパレータの中間層の炭素含有率よりも、補強層の炭素含有率が低くなるため、補強層の電気抵抗が中間層よりも大きくなって、セパレータの導電性が低下する問題があった。しかも、補強層の機械的強度は樹脂の物性によるところが大きかったため、強度の改善効果にも限界があった。

一方、従来においては、熱可塑性樹脂中に炭素粉を高充填して成る導電性樹脂板の表面に、連続炭素繊維を一方向に引き揃えた繊維層シート面上に形成された熱可塑性樹脂シートを積層し、これらを熱プレスにより融着一体化して、導電性樹脂板の表面側に補強層を形成したものも公知となっている(特許文献2参照)。

しかし、上記文献2に係る技術に関しては、熱可塑性樹脂シート中に炭素フィラー材が含まれていなかったため、導電性樹脂板と熱可塑性樹脂シートとを熱融着させた際に、セパレータの表面部分および融着部分炭素材料を含まない樹脂層が形成されて、この樹脂層によってセパレータの導電性が阻害される問題があった。

概要

金属材料よりも化学的に安定で耐食性に優れており、更に優れた導電性、曲げ強度曲げ弾性率及びプレス等による加工性(賦形性)を並立させることが可能な燃料電池用セパレータを提供すること。導電性樹脂板1の片面または両面上に、CFRTPシート2を積層し、これらを熱融着により一体化して構成された燃料電池用セパレータにおいて、前記CFRTPシート2を、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として、当該マトリックス樹脂中に、連続炭素繊維を一方向または複数方向に配列すると共に、樹脂中に粒子状または不連続繊維状の炭素フィラー材を分散させて構成した。

目的

本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

粒子状または不連続繊維状の炭素材料を含有させた熱可塑性樹脂から成る導電性樹脂板(1)の片面または両面上に、炭素繊維と熱可塑性樹脂の複合材料から成るCFRTPシート(2)を積層し、これらを熱融着により一体化して構成された燃料電池用セパレータであって、前記CFRTPシート(2)が、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として、当該マトリックス樹脂中に、連続炭素繊維を一方向または複数方向に配列すると共に、樹脂中に粒子状または不連続繊維状の炭素フィラー材を分散させて構成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータ。

請求項2

CFRTPシート(2)において、マトリックス樹脂中の連続炭素繊維が、繊維を単一方向に引き揃えた状態で、或いは単一方向に引き揃えた複数の繊維層を上下の繊維が直交または所定方向に交差するように積層した状態で配列されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。

請求項3

CFRTPシート(2)に占める各材料の割合が、体積含有率でマトリックス樹脂35〜85vol%、連続炭素繊維10〜50vol%、炭素フィラー材3〜27vol%となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。

請求項4

CFRTPシート(2)において、連続炭素繊維とマトリックス樹脂の体積比が、10:90〜50:50であり、かつ、マトリックス樹脂と炭素フィラー材の体積比が、70:30〜95:5であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項5

CFRTPシート(2)における各材料の体積比が、連続炭素繊維100に対し、マトリックス樹脂70〜900、炭素フィラー材6〜270となっていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項6

CFRTPシート(2)に、炭素フィラー材として粒子径100μm以下の炭素粒子または繊維長1000μm以下の炭素繊維が使用されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項7

CFRTPシート(2)に、MFRが10〜50g/10minのマトリックス樹脂が使用されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項8

CFRTPシート(2)に繊維径3〜30μmの連続炭素繊維が使用されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項9

CFRTPシート(2)の厚みが0.1〜5mmであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

請求項10

CFRTPシート(2)の体積固有抵抗率が10×10-3Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一つに記載の燃料電池用セパレータ。

技術分野

0001

本発明は、燃料電池用セパレータの改良、詳しくは、化学的に安定で耐食性に優れるだけでなく、導電性曲げ強度および曲げ弾性率にも優れた燃料電池用セパレータに関するものである。

背景技術

0002

近年、燃料電池は、電極電解質及びセパレータ(仕切板)から成るセル積み重ねた構造(セルスタック)のものが主流となっている。また、セルに使用されるセパレータには、厚さ方向の導電性が求められるが、セパレータに金属板を使用するとすぐに腐食してしまうため、化学的に安定な素材として炭素含有導電性樹脂板が利用されている。

0003

また更に、上記導電性樹脂板に関しては、導電物質である炭素粉バインダー樹脂結着した構造が一般的であるが、バインダー樹脂に対する炭素粉の充填量が小さいと充分な導電性が得られず、逆にバインダー樹脂に対して炭素粉を高充填すると、機械的強度が低下し易かったため、セパレータとしての機能や加工性満足させることができなかった。

0004

そこで、従来においては、熱可塑性樹脂中に炭素粉を高充填して成る導電性樹脂板の表面に、導電性樹脂板よりも低い割合で繊維状の炭素フィラー材を含有する熱可塑性樹脂シートを積層して、これらを熱融着によりさせることにより、導電性樹脂板の表面側に補強層を形成する技術も提案されている(特許文献1参照)。

0005

しかしながら、上記文献1に係る技術に関しては、セパレータの中間層の炭素含有率よりも、補強層の炭素含有率が低くなるため、補強層の電気抵抗が中間層よりも大きくなって、セパレータの導電性が低下する問題があった。しかも、補強層の機械的強度は樹脂の物性によるところが大きかったため、強度の改善効果にも限界があった。

0006

一方、従来においては、熱可塑性樹脂中に炭素粉を高充填して成る導電性樹脂板の表面に、連続炭素繊維を一方向に引き揃えた繊維層シート面上に形成された熱可塑性樹脂シートを積層し、これらを熱プレスにより融着一体化して、導電性樹脂板の表面側に補強層を形成したものも公知となっている(特許文献2参照)。

0007

しかし、上記文献2に係る技術に関しては、熱可塑性樹脂シート中に炭素フィラー材が含まれていなかったため、導電性樹脂板と熱可塑性樹脂シートとを熱融着させた際に、セパレータの表面部分および融着部分炭素材料を含まない樹脂層が形成されて、この樹脂層によってセパレータの導電性が阻害される問題があった。

先行技術

0008

特開2013−93334号公報
特開2009−93967号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、金属材料よりも化学的に安定で耐食性に優れており、更に優れた導電性、曲げ強度、曲げ弾性率及びプレス等による加工性(賦形性)を並立させることが可能な燃料電池用セパレータを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。

0011

即ち、本発明は、粒子状または不連続繊維状の炭素材料を含有させた熱可塑性樹脂から成る導電性樹脂板1の片面または両面上に、炭素繊維と熱可塑性樹脂の複合材料から成るCFRTPシート2を積層し、これらを熱融着により一体化して構成された燃料電池用セパレータにおいて、
前記CFRTPシート2を、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として、当該マトリックス樹脂中に、連続炭素繊維を一方向または複数方向に配列すると共に、樹脂中に粒子状または不連続繊維状の炭素フィラー材を分散させて構成した点に特徴がある。なお、「連続炭素繊維」には、フィラメントトウステープルヤーン等が含まれる。

0012

また、上記CFRTPシート2において、マトリックス樹脂中の連続炭素繊維を、繊維を単一方向に引き揃えた状態で、或いは単一方向に引き揃えた複数の繊維層を上下の繊維が直交(90°)または所定方向(45°等)に交差するように積層した状態で配列することによって、CFRTPシートの厚さを抑えることができる。

0013

また、上記構成から成る燃料電池用セパレータにおいて、優れた曲げ強度、賦形性および導電性を並立するために、CFRTPシート2に占める各材料の割合を、体積含有率でマトリックス樹脂35〜85vol%、連続炭素繊維10〜50vol%、炭素フィラー材3〜27vol%とするのが好ましい。

0014

また、上記と同様の理由で、CFRTPシート2中における連続炭素繊維とマトリックス樹脂の体積比を、10:90〜50:50とし、かつ、マトリックス樹脂と炭素フィラー材の体積比を、70:30〜95:5とするのが好ましい。また、上記と同様の理由で、CFRTPシート2における各材料の体積比を、連続炭素繊維100に対し、マトリックス樹脂70〜900、炭素フィラー材6〜270とするのが好ましい。

0015

また更に、上記CFRTPシート2に、炭素フィラー材として粒子径500μm以下の炭素粒子または繊維長2000μm以下の炭素繊維を使用すれば、マトリックス樹脂中に、炭素フィラー材を均一に分散させることができる。

0016

他方また、上記CFRTPシート2には、成形性や連続炭素繊維への含浸性プレス加工等の二次加工容易性を考慮して、MFRが10〜2500g/10minのマトリックス樹脂を使用するのが好ましい。

0017

そして更に、上記CFRTPシート2には、曲げ強度やマトリックス樹脂の含浸性、賦形性を考慮して、繊維径3〜30μmの連続炭素繊維を使用するのが好ましい。また、上記CFRTPシート2については、曲げ強度及び賦形性を考慮して、厚みを0.1〜5mmとするのが好ましい。また、上記CFRTPシート2については、体積固有抵抗率が10×10-3Ω・cm以下となるようにするのが好ましい。

発明の効果

0018

本発明では、導電性樹脂板と熱可塑性樹脂シートを融着一体化して成る燃料電池用セパレータにおいて、熱可塑性樹脂シートにCFRTPシートを使用すると共に、このCFRTPシートのマトリックス樹脂中に炭素フィラー材を分散させて構成したことにより、セパレータの表面部分や融着部分に炭素フィラー材が含まれる構造となるため、厚さ方向の導電性を改善することが可能となる。

0019

しかも、本発明では、上記CFRTPシートのマトリックス樹脂中に配列した連続炭素繊維によって、炭素粉を高含有する導電性樹脂板を使用する場合でも、しっかりと補強することができる。またこれにより、セパレータの曲げ強度や曲げ弾性率等を向上させて、使用時の破損等を防止することができるため、燃料電池のセルに安心して使用できる。

0020

したがって、本発明により、化学的に安定な炭素複合材料によって耐腐食性を向上させることができるだけでなく、セルの構成部品として求められる機械的強度や導電性の条件もクリアできる高性能な燃料電池用セパレータを提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。

図面の簡単な説明

0021

本発明の実施例1における燃料電池用セパレータを表わす断面図である。
本発明の実施例1における燃料電池用セパレータを表わす断面図である。

0022

『実施例1』
まず本発明の実施例1について、図1及び図2に基いて以下に説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、導電性樹脂板であり、符号2で指示するものは、CFRTPシートである。

0023

[燃料電池用セパレータの構造]
本実施例では、燃料電池用セパレータSを、図1に示すように、微細な炭素材料を含有させた熱可塑性樹脂から成る導電性樹脂板1の両面上に、炭素繊維と熱可塑性樹脂の複合材料から成るCFRTPシート2を積層して、CFRTPシート2・2間に導電性樹脂板1を挟み込んだ状態で、これらを熱融着により一体化して構成している。

0024

また、上記CFRTPシート2については、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として、このマトリックス樹脂中に、連続炭素繊維を一方向または複数方向に配列すると共に、マトリックス樹脂中に、導電性材料となる炭素フィラー材を分散させた構造としている。

0025

なお、上記マトリックス樹脂中の連続炭素繊維は、CFRTPシート2の厚さ等の観点から、単一方向に引き揃えて配列したり、単一方向に引き揃えた複数の繊維層を上下の繊維が異なる方向を向くように(例えば、直交または所定方向に交差するように)積層して配列したりするのが好ましいが、織組織として複数方向に配列することもできる。

0026

また更、上記CFRTPシート2については、曲げ強度及び賦形性を考慮して、厚みを0.05〜2mm(より好ましくは0.1〜1mm)となるようにしている。これは、厚みが0.1mmよりも小さいと、シートの強度が不充分になるためであり、5mmよりも大きいと、シートの柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られないためである。

0027

そして、上記燃料電池用セパレータSを使用する際には、平板状のセパレータSをプレス成形して、図2に示すような波形状の形態で使用する。この際、上記賦形性を考慮したセパレータの構成により、良好な成形品を得ることができる。

0028

[導電性樹脂板に用いる熱可塑性樹脂]
上記導電性樹脂板1の熱可塑性樹脂には、CFRTPシート2のマトリックス樹脂と熱融着性を有する材料を使用でき、その中でも特に化学反応性(通電時を含む)のない材料として、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンやHDPE、LDPE、LLDPE、ポリブテン環状ポリオレフィン等)、またはフッ素系樹脂(PTFEやPFA、ETFE、PVDF、PCTFE、PVF、FEP、ECTFE等)を好適に使用できる。

0029

[導電性樹脂板に用いる炭素材料]
上記導電性樹脂板1の炭素材料には、粒子状の黒鉛粉末カーボンブラック、または不連続炭素繊維を使用できる。またカーボンブラックには、各種製法(アセチレン法やオイルファーネス法サーマル法、チャンネル法等)によるものを使用でき、不連続炭素繊維には、長繊維状短繊維状原糸(PAN系やピッチ系)を細かく切断したチョップドファイバや、原糸を細かく粉砕したミルドファイバを使用できる。

0030

また、上記導電性樹脂板1の炭素材料は、導電性を考慮して粒子径0.001〜500μm(より好ましくは0.05〜150μm)の炭素粒子または繊維長0.1〜2000μm(より好ましくは0.5〜1000μm)の炭素繊維を使用するのが好ましい。

0031

[CFRTPシートに用いる熱可塑性樹脂]
上記CFRTPシート2のマトリックス樹脂には、導電性樹脂板1と熱融着性を有する熱可塑性樹脂を適宜選択することができ、その中でも特に化学反応性(通電時を含む)のない材料として、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンやHDPE、LDPE、LLDPE、ポリブテン、環状ポリオレフィン等)、またはフッ素系樹脂(PTFEやPFA、ETFE、PVDF、PCTFE、PVF、FEP、ECTFE等)を好適に使用できる。

0032

また、上記CFRTPシート2のマトリックス樹脂には、成形性や連続炭素繊維への含浸性、プレス加工等の二次加工の容易性を考慮して、MFRが10〜50g/10minの熱可塑性樹脂を使用するのが好ましい。これは、MFRが10g/10minよりも小さいと、粘度が高すぎて充填することができず、MFRが2500g/10minよりも大きいと、粘度が低すぎて樹脂が繊維に纏わり付かず、異形断面に成形する2次加工にも適さないためである。

0033

[CFRTPシートに用いる連続炭素繊維]
上記CFRTPシート2の連続炭素繊維には、長い糸状のものであれば、フィラメント(多数の単繊維から構成される長繊維束)やトウ(多数のフィラメントから構成される長繊維束で撚りのないもの)、ステープルヤーン(短繊維に撚りをかけて長い糸状にしたもの)から選択して使用することができる。

0034

加えて、上記CFRTPシート2の連続炭素繊維には、曲げ強度やマトリックス樹脂の含浸性、賦形性を考慮して、繊維径3〜30μmの連続炭素繊維を使用するのが好ましい。これは繊維径が3μmよりも小さいと、強度が不充分になり、30μmよりも大きいと、マトリックス樹脂が含浸し難くなって、形態安定性が損なわれる上に、柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られないためである。

0035

[CFRTPシートに用いる炭素フィラー材]
上記CFRTPシート2の炭素フィラー材には、導電性樹脂板1の炭素材料と同様、粒子状の黒鉛粉末やカーボンブラック、或いは不連続炭素繊維を使用することができる。また更に、CFRTPシート2の炭素フィラー材については、マトリックス樹脂中に炭素フィラー材を均一に分散させるために、粒子径100μm以下(より好ましくは50μm以下)の炭素粒子または繊維長1000μm以下(より好ましくは500μm以下)の炭素繊維を使用するのが好ましい。

0036

[CFRTPシートを構成する各材料の比率]
上記CFRTPシート2に占める各材料の割合については、体積含有率でマトリックス樹脂35〜85vol%(より好ましくは45〜65vol%)、連続炭素繊維10〜50vol%(より好ましくは15〜45vol%)、炭素フィラー材3〜27vol%(より好ましくは5〜20vol%)とするのが好ましい。これは、連続炭素繊維が10vol%よりも少ないと、充分な曲げ強度が得られず、50vol%よりも多いと良好な賦形性が得られないためである。

0037

また、上記マトリックス樹脂については、35vol%よりも少ないと良好な賦形性が得られず、85vol%よりも多いと充分な導電性が得られないためである。また、炭素フィラー材については、3vol%よりも少ないと充分な導電性が得られず。27vol%よりも多いと良好な賦形性が得られないためである。

0038

そしてまた、上記CFRTPシート2中における連続炭素繊維と炭素フィラー材については、これらを合計した導電物質全体の体積含有率を、17vol%以上とするのが導電性を確保するために好ましく、更に30〜65vol%とするのがより好ましい。

0039

また更に、曲げ強度や賦形性、電導性を並立するために、CFRTPシート2中における連続炭素繊維とマトリックス樹脂の体積比を、10:90〜50:50とし、かつ、マトリックス樹脂と炭素フィラー材の体積比を、70:30〜95:5とするのがより好ましく、またCFRTPシート2における各材料の体積比を、連続炭素繊維100に対し、マトリックス樹脂70〜900、炭素フィラー材6〜270とするのがより好ましい。

0040

[CFRTPシート単体の体積固有抵抗率]
CFRTPシート2単体の導電性については、体積固有抵抗率が10×10-3Ω・cm以下となるようにすることが好ましく、9.2×10-3Ω・cm以下となるようにすることがより好ましい。但し、これに限定されるものではない。

0041

[効果の実証試験]
次に、上記燃料電池用セパレータの効果を示すために行った実証試験について以下に説明する。まず本試験では、上記構成から成るセパレータとそれ以外のセパレータの性能上の比較を行うために、使用材料材料比率、構造の異なるサンプル(下記の実施例1〜11および比較例1〜5)を作製した。

0042

「実施例1」
本実施例では、導電性樹脂板1の熱可塑性樹脂に、MFRが5g/10minのポリプロピレンを使用すると共に、炭素材料に平均粒径5μmの人造黒鉛粉を使用し、導電性樹脂板1の各材料比率を、体積含有率で熱可塑性樹脂83vol%、炭素材料17vol%とした。また導電性樹脂板1については、厚みが1.3mmとなるように押出成形で作製し、導電性樹脂板1単体の体積固有抵抗率を測定したところ、1.75×10-3Ω・cmであった。

0043

また更に本実施例では、CFRTPシート2のマトリックス樹脂に、MFRが9g/10minのポリプロピレンを使用すると共に、炭素フィラー材に平均粒径3μmの人造黒鉛粉を使用し、CFRTPシート2の各材料比率を、体積含有率でマトリックス樹脂55vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は45vol%)とした。またCFRTPシート2は、厚みを0.2mmとし、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、7.99×10-3Ω・cmであった。

0044

「実施例2」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂63vol%、連続炭素繊維10vol%、炭素フィラー材27vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は37vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、3.54×10-3Ω・cmであった。

0045

「実施例3」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂83vol%、連続炭素繊維10vol%、炭素フィラー材7vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は17vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、9.07×10-3Ω・cmであった。

0046

「実施例4」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂35vol%、連続炭素繊維50vol%、炭素フィラー材15vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は65vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、2.02×10-3Ω・cmであった。

0047

「実施例5」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂46vol%、連続炭素繊維50vol%、炭素フィラー材4vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は54vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、4.76×10-3Ω・cmであった。

0048

「実施例6」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂65vol%、連続炭素繊維15vol%、炭素フィラー材20vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は35vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、3.81×10-3Ω・cmであった。

0049

「実施例7」
本実施例では、導電性樹脂板1の熱可塑性樹脂に、MFRが20g/10minのETFEを使用すると共に、炭素材料に平均粒径5μmの人造黒鉛粉を使用し、導電性樹脂板1の各材料比率を、体積含有率で熱可塑性樹脂83vol%、炭素材料17vol%とした。また導電性樹脂板1については、厚みが1.3mmとなるように押出成形で作製し、導電性樹脂板1単体の体積固有抵抗率を測定したところ、2.38×10-3Ω・cmであった。

0050

また更に、CFRTPシート2のマトリックス樹脂には、MFRが25g/10minのETFEを使用すると共に、炭素フィラー材に平均粒径3μmの人造黒鉛粉を使用し、CFRTPシート2の各材料比率を、マトリックス樹脂63vol%、連続炭素繊維10vol%、炭素フィラー材27vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は37vol%)とした。またCFRTPシート2は、厚みを0.2mmとし、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、3.62×10-3Ω・cmであった。

0051

「実施例8」
本実施例では、実施例7の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂83vol%、連続炭素繊維10vol%、炭素フィラー材7vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は17vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、9.19×10-3Ω・cmであった。

0052

「実施例9」
本実施例では、実施例7の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂35vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材25vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は65vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、2.32×10-3Ω・cmであった。

0053

「実施例10」
本実施例では、実施例7の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂55vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は45vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.07×10-3Ω・cmであった。

0054

「実施例11」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート2の炭素フィラー材に、平均繊維長300μmのチョップドファイバを使用した。また本実施例では、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂55vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は45vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.25×10-3Ω・cmであった。

0055

「実施例12」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート2の連続炭素繊維を、単一方向に引き揃えた二つの繊維層を上下の繊維が直交するように積層した状態でマトリックス樹脂中に配列した。そして、本実施例では、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂55vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は45vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.21×10-3Ω・cmであった。

0056

「実施例13」
本実施例では、実施例12の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂35vol%、連続炭素繊維50vol%、炭素フィラー材15vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は65vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、2.26×10-3Ω・cmであった。

0057

「実施例14」
本実施例では、実施例12の条件のうち、CFRTPシート2の炭素フィラー材に、平均繊維長300μmのチョップドファイバを使用した。そして、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂55vol%、連続炭素繊維40vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は45vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.42×10-3Ω・cmであった。

0058

「比較例1」
本比較例では、導電性樹脂板1の両側にCFRTPシート2・2を積層せず、導電性樹脂板1単体からサンプルを構成した。また、導電性樹脂板1に用いる材料および材料比率は実施例1と同様とした。

0059

「比較例2」
本比較例では、実施例1の条件のうち、炭素フィラー材を用いずにマトリックス樹脂と連続炭素繊維のみからCFRTPシート2を構成した。そして、CFRTPシート2の各材料比率を、マトリックス樹脂60vol%、連続炭素繊維40vol%とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.27×10-2Ω・cmであった。

0060

「比較例3」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂65vol%、連続炭素繊維5vol%、炭素フィラー材30vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は35vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、4.29×10-2Ω・cmであった。

0061

「比較例4」
本実施例では、実施例1の条件のうち、CFRTPシート1の各材料比率を、マトリックス樹脂35vol%、連続炭素繊維60vol%、炭素フィラー材5vol%(前二者を足した導電物質全体の比率は65vol%)とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、3.12×10-3Ω・cmであった。

0062

「比較例5」
本実施例では、実施例7の条件のうち、炭素フィラー材を用いずにマトリックス樹脂と連続炭素繊維のみからCFRTPシート2を構成した。そして、CFRTPシート2の各材料比率を、マトリックス樹脂60vol%、連続炭素繊維40vol%とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、9.48×10-2Ω・cmであった。

0063

「比較例6」
本実施例では、実施例12の条件のうち、炭素フィラー材を用いずにマトリックス樹脂と連続炭素繊維のみからCFRTPシート2を構成した。そして、CFRTPシート2の各材料比率を、マトリックス樹脂60vol%、連続炭素繊維40vol%とした。また、CFRTPシート2単体の体積固有抵抗率を測定したところ、8.44×10-2Ω・cmであった。

0064

試験内容
次に本試験では、上記実施例及び比較例の各サンプルについて、体積固有抵抗率、曲げ強度および曲げ弾性率の測定、並びに加工性の評価を行った。なお、加工性の評価については、幅50mm×長さ100mmのサンプルをプレス成形にてL字型折曲げ、折曲げ後の表面状態を観察し、連続炭素繊維が表面に露出していないものを“○”、露出しているものを“×”と評価した。

0065

そして、上記試験の結果、体積固有抵抗率、曲げ強度、曲げ弾性率および加工性は、以下の[表1][表2][表3]に示す値及び評価となった。またこの結果から、比較例1が曲げ強度と曲げ弾性率、比較例2・3・5が体積固有抵抗率(電導率)、比較例4が加工性に問題があるのに対し、実施例1〜11は、全て良好な値、評価となっていることから、本発明品では従来品よりも優れた効果を奏することが確認できた。

0066

なお、上記体積固有抵抗率については、10×10-3Ω・cm以下であることが好ましい。また、上記曲げ強度については、50MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましい。また、上記曲げ弾性率については、5GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましい。

実施例

0067

本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、導電性樹脂板1の両面ではなく片面上にのみCFRTPシート2を積層一体化して燃料電池用セパレータを構成することもできる。また、導電性樹脂板1及びCFRTPシート2に、実施例に記載されていない材料を加えてもよく、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。

0068

最近では、発電効率に優れた燃料電池の開発が進んでおり、セルスタック型の燃料電池では、個々のセルを構成する部品の性能が全体の発電能力に大きく影響する。そのような中で、本発明の燃料電池用セパレータは、優れた機械的強度を保持しつつ導電性の改善を図れる実用的な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。

0069

1導電性樹脂板
2 CFRTPシート
S 燃料電池用セパレータ

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