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図面 (2)

課題

ワカメに含まれるバリウム元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域判別する方法を提供すること。詳しくは、ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域が、中国または他の地域であるかを判別する方法を提供すること。

解決手段

ワカメに含まれるバリウムの元素量を分析し、その分析情報を用いてワカメの生育海域を判別する方法。

概要

背景

従来、日本国内で流通している湯通し塩蔵ワカメ乾燥ワカメなどのワカメ加工品は、主に日本国内(三瀬戸内など)、中国(大連、山東など)、韓国(莞島、山、機張など)などの海域で生育した原藻ワカメを原料としている。そして日本国内で流通しているワカメ加工品は、原料となる原藻ワカメの原産地名を記載することが義務付けられている。

原藻ワカメの原産地(生育海域)の確認は、原藻ワカメの収穫者、ワカメ加工者などが取引する際に生じる帳票による確認、漁協などが発行する産地証明書による確認、などによって行われているが、その確認方法として、科学的手法によりワカメの生育海域を判別する方法も求められている。

原藻ワカメの原産地(生育海域)を判別する従来技術としては、ワカメに含まれる特定元素安定同位体比を測定する方法、ワカメに含まれる特定元素の量を分析する方法、あるいは上記の方法を組合わせなどによる方法などが開示されている。

上記方法の中で、ワカメに含まれる特定元素の量を分析することによる原藻ワカメの原産地(生育海域)を判別する方法としては、(1)原藻生ワカメに含まれるアルミニウムリンマンガン、鉄およびバリウムの5元素、または原料用湯通し塩蔵ワカメに含まれるマグネシウム、アルミニウム、リン、カリウムカルシウム、マンガン、鉄、ストロンチウムおよびバリウムの9元素、の量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法非特許文献1)、(2)湯通し塩蔵ワカメに含まれるアルミニウム、リン、マンガン、鉄およびバリウムの5元素の量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法(非特許文献2)、(3)湯通し塩蔵わかめに含まれるルビジウムイットリウムカドミウム、バリウムおよびネオジムの量の違いにより三陸、鳴門、中国および韓国のいずれかを判別方法(非特許文献3)、(4)湯通し塩蔵ワカメに含まれるマンガンおよびバリウムの量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法(非特許文献4)などが開示されている。

しかし、上記の方法では、複数の元素を測定して煩雑な解析をする必要があるため、1元素のみの分析情報により、原藻ワカメ、湯通し塩蔵ワカメおよび乾燥ワカメなどのワカメの生育海域を判別する方法が求められている。

概要

ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域を判別する方法を提供すること。詳しくは、ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域が、中国または他の地域であるかを判別する方法を提供すること。ワカメに含まれるバリウムの元素量を分析し、その分析情報を用いてワカメの生育海域を判別する方法。

目的

本発明の目的は、ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域を判別する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ワカメに含まれるバリウム元素量を分析し、その分析情報を用いてワカメの生育海域判別する方法。

請求項2

ワカメの形態が原藻ワカメ、湯通し塩蔵ワカメまたは乾燥ワカメであることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項3

ワカメの生育海域が、中国または他の地域であるかを判別することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、ワカメに含まれるバリウム元素量を用いたワカメの生育海域判別する方法に関する。

背景技術

0002

従来、日本国内で流通している湯通し塩蔵ワカメ乾燥ワカメなどのワカメ加工品は、主に日本国内(三瀬戸内など)、中国(大連、山東など)、韓国(莞島、山、機張など)などの海域で生育した原藻ワカメを原料としている。そして日本国内で流通しているワカメ加工品は、原料となる原藻ワカメの原産地名を記載することが義務付けられている。

0003

原藻ワカメの原産地(生育海域)の確認は、原藻ワカメの収穫者、ワカメ加工者などが取引する際に生じる帳票による確認、漁協などが発行する産地証明書による確認、などによって行われているが、その確認方法として、科学的手法によりワカメの生育海域を判別する方法も求められている。

0004

原藻ワカメの原産地(生育海域)を判別する従来技術としては、ワカメに含まれる特定元素安定同位体比を測定する方法、ワカメに含まれる特定元素の量を分析する方法、あるいは上記の方法を組合わせなどによる方法などが開示されている。

0005

上記方法の中で、ワカメに含まれる特定元素の量を分析することによる原藻ワカメの原産地(生育海域)を判別する方法としては、(1)原藻生ワカメに含まれるアルミニウムリンマンガン、鉄およびバリウムの5元素、または原料用湯通し塩蔵ワカメに含まれるマグネシウム、アルミニウム、リン、カリウムカルシウム、マンガン、鉄、ストロンチウムおよびバリウムの9元素、の量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法非特許文献1)、(2)湯通し塩蔵ワカメに含まれるアルミニウム、リン、マンガン、鉄およびバリウムの5元素の量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法(非特許文献2)、(3)湯通し塩蔵わかめに含まれるルビジウムイットリウムカドミウム、バリウムおよびネオジムの量の違いにより三陸、鳴門、中国および韓国のいずれかを判別方法(非特許文献3)、(4)湯通し塩蔵ワカメに含まれるマンガンおよびバリウムの量の違いにより日本産であるか中国産であるかの判別方法(非特許文献4)などが開示されている。

0006

しかし、上記の方法では、複数の元素を測定して煩雑な解析をする必要があるため、1元素のみの分析情報により、原藻ワカメ、湯通し塩蔵ワカメおよび乾燥ワカメなどのワカメの生育海域を判別する方法が求められている。

先行技術

0007

独立行政法人農林水産消費安全技術センター調査研究報告第29号(平成17年12月)24〜34頁
独立行政法人農林水産消費安全技術センター 調査研究報告 第29号(平成17年12月)35〜41頁
独立行政法人農林水産消費安全技術センター 調査研究報告 第30号(平成18年12月)1〜8頁
水産学会誌VOL.77(2011)No.2 243〜245頁

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域を判別する方法を提供することである。詳しくは、ワカメに含まれるバリウムの元素量のみの分析情報を用いて、ワカメの生育海域が、中国または他の地域であるかを判別する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、ワカメに含まれるバリウムの元素量の分析情報を用いることにより、上記課題を解決することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなっている。
[1]ワカメに含まれるバリウムの元素量を分析し、その分析情報を用いてワカメの生育海域を判別する方法。
[2]ワカメの形態が原藻ワカメ、湯通し塩蔵ワカメまたは乾燥ワカメであることを特徴とする上記[1]に記載の方法。
[3]ワカメの生育海域が、中国または他の地域であるかを判別することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の方法。

発明の効果

0010

ワカメに含まれるバリウムの元素量を分析し、その分析情報を用いることによりワカメの生育海域、特に中国または他の地域{日本(三陸、瀬戸内)、韓国}のいずれかの海域であるかを判別することができる。また、ワカメが原藻ワカメに各種処理を施したワカメ加工品などの各形態のワカメであっても、各形態のワカメに含まれるバリウムの分析情報を用いることによりワカメの生育海域を判別することができる。

図面の簡単な説明

0011

乾燥ワカメのデータベース蓄積されたバリウムの元素量を判別関数代入して得たヒストグラム

0012

本発明でいうワカメとは、ワカメが生育する海域から収穫した原藻ワカメ、さらに原藻ワカメに各種処理を施して得たワカメ加工品などの各形態のワカメを意味する。

0013

上記原藻ワカメの品種としては、コンブ目チガイソ科ワカメ属に属するものが挙げられ、その種類としてはワカメ(Undaria pinnatifida)、ヒロメ(U.undarioides)、アオワカメ(U.peterseniana)などである。一般市場では、味わいが良好である点で、ワカメ(Undaria pinnatifida)が好ましく用いられている。

0014

原藻ワカメは、自生または養殖場などで生産されたものが挙げられる。原藻ワカメの生育海域としては特に制限はないが、主な生育海域としては、例えば、日本(三陸、瀬戸内など)、中国、韓国などの沿岸が挙げられる。

0015

原藻ワカメに施す各種処理としては、従来公知の処理であれば特に制限はなく、例えば、湯通し冷蔵冷凍塩蔵、乾燥などの各処理およびその組合わせなどが挙げられる。
本発明でいうワカメ加工品とは、原藻ワカメに各種処理を施したものであれば特に限定するものではないが、例えば、原藻ワカメを加温した海水などでボイルし、さらに冷蔵または冷凍した湯通し冷蔵・冷凍ワカメ、湯通しワカメに食塩を添加して脱水した湯通し塩蔵ワカメ、湯通しワカメに食塩を添加して脱水し、水洗いをして脱塩などの処理をした後に乾燥処理した乾燥ワカメなどの各形態のワカメが挙げられる。

0016

本発明のワカメの生育海域を判別する方法は、ワカメに含まれるバリウムの元素量を分析し、その分析情報を用いてワカメの生育海域を判別するものであればよく、その判別する方法に特に制限はない。

0017

本発明で判別するワカメの生育海域は、原藻ワカメの主要な生育海域である中国(渤海湾の海域:遼寧省大連、山東省煙台、山東省威海など)または他の地域であり、他の地域としては三陸(岩手県沿岸:普代、広田、小友など、県沿岸:津、塩釜など)、瀬戸内(徳島県沿岸:灘、北泊、鳴門など、庫県沿岸:あわじ、浅野浦など)、韓国(西南部の全羅南道海域:莞島、珍島郡、長興郡、高興郡など、南東部の慶尚南道海域:釜山、機張郡など)などが挙げられる。

0018

上記元素量を分析する方法としては、公知の微量元素分析方法、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS)、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)、原子吸光分析(AAS)、蛍光エックス線分析(XRF)、中性子放射化分析(NAA)などが挙げられ、好ましくは多くの元素に対して高感度で分析することができる誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS)が挙げられる。

0019

上記分析する方法のうち、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS)、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)、原子吸光分析(AAS)は、通常ワカメを前処理して得た溶液を測定に用いることが好ましい。蛍光エックス線分析(XRF)、中性子放射化分析(NAA)は、通常ワカメを酸分解することなく個体試料として測定に用いることが好ましい。

0020

本発明は、以下の工程を含む判別する方法であることが好ましい。即ち、[工程1:ワカメを酸分解する工程]、[工程2:ワカメに含まれる元素量を測定する工程]、および[工程3:元素量の分析情報を利用してワカメの生育海域を判別する工程]を例示することができる。

0021

上記[工程1:ワカメを酸分解する工程]は、ワカメを酸分解して無機成分を主に含む溶液を調整する工程である。本工程は、ワカメに酸を加えて分解すれば特にその方法に制限はなく、例えば、ワカメに硝酸を加えマイクロウェブで分解するマイクロウェブ酸分解法、ワカメに硝酸を加えてホットプレート上で加熱して分解する開放系酸分解法などが挙げられる。

0022

また、上記工程1を行う前に、ワカメを乾燥、粉砕する前処理を行うことが好ましい。例えば、原藻ワカメおよび乾燥ワカメの場合、適度な大きさにカットした後に乾燥し、該乾燥物を粉砕する前処理方法が挙げられ、湯通し塩蔵ワカメの場合、適度な大きさにカットした後に乾燥し、該乾燥物に付着している食塩を取り除き、該乾燥物粉砕する前処理方法が挙げられる。

0023

上記[工程2:ワカメに含まれる元素量を測定する工程]は、前述した公知の微量元素分析方法、好ましくは工程1で得られた試料を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS)でワカメに含まれるバリウムの元素量を測定する工程である。

0024

上記[工程3:元素量の分析情報を利用してワカメの生育海域を判別する工程]は、上記工程1、工程2に従って、判別したい海域で生育したことがわかっているワカメに含まれるバリウムの元素量を複数検体測定してワカメ生育海域ごとのデータベースを構築し、該データベースと、上記工程1、工程2に従って生育海域が不明なワカメに含まれるバリウムの元素量とを比較することで生育海域を判別することができる。

0025

データベースを構築する際は、判別したい海域で生育したワカメを、海域ごとに広範囲偏りなく、複数年にわたり数多くの検体からデータを収集しデータベースを構築することが好ましい。また、ワカメの形態として、例えば、原藻ワカメ、湯通し塩蔵ワカメ、乾燥ワカメなど、形態ごとにデータを収集しデータベースを構築することが好ましい。

0026

構築したデータベースから分析情報を得る方法としては、データベース中のバリウムの元素量についてヒストグラムを作成する方法、判別分析をおこなう方法などが挙げられる。

0027

上記ヒストグラムを作成する方法としては、例えば、構築したデータベース中の各形態のワカメごとのバリウムの元素量について、縦軸に検体数、横軸にバリウムの元素量をプロットして各形態のワカメごとの度数分布図を作成する方法などが挙げられる。作成したヒストグラムと、生育海域が不明なワカメに含まれるバリウムの元素量とを比較することにより、ワカメの生育海域が中国または他の地域であるかを視覚的に判別することができる。

0028

上記判別分析をおこなう方法としては、例えば、下記の2つの方法などが挙げられる。
1つとしては、構築したデータベースのバリウムの元素量を説明変数として判別分析を行って判別関数(各形態のワカメに対応した生育海域判別式)を得る方法が挙げられる。各形態のワカメに対応した生育海域判別式は、生育海域が不明なワカメに含まれるバリウムの元素量を代入することにより、ワカメの生育海域が中国または他の地域であるかを数値によって判別することができる。

0029

さらにもう1つとしては、構築したデータベースのバリウムの元素量を説明変数として判別分析を行って判別関数(各形態のワカメに対応した生育海域判別式)を得た後に、該判別式に各形態ごとのワカメのバリウムの元素量を代入することで得られた判別得点を用いて、各形態のワカメに対応したヒストグラムを作成する方法が挙げられる。具体的には、各形態のワカメの判別得点について、縦軸に検体数、横軸に判別得点をプロットして各形態のワカメごとの度数分布図を作成することができる。各形態のワカメに対応したヒストグラムは、生育海域が不明なワカメに含まれるバリウムの元素量を各形態のワカメに対応した生育海域判別式に代入して得られた判別得点を比較することにより、ワカメの生育海域が中国または他の地域であるかを視覚的に判別することができる。

0030

各形態のワカメから得られたバリウムの元素量を用い、各形態のワカメに共通した生育海域判別式を作成し、ワカメの生育海域を判別することも可能である。
各形態のワカメに共通した生育海域判別式を得る方法としては、例えば、構築したデータベース中のバリウムの元素量データを、ワカメ固形分に対するバリウムの元素量になるように再計算してデータベースを再構築し、再構築して得られたバリウムの元素量を説明変数として判別分析を行って判別関数(各形態のワカメに共通した生育海域判別式)を得る方法が挙げられる。

0031

上記データベースを再構築する手法としては、例えば、各形態のワカメの塩分含有量および水分含有量を測定し、特定の形態のワカメ質量から前記塩分含有量および水分含有量を除くことでワカメ固形分を算出した後に、各形態のワカメ固形分が一定となるような補正係数を各形態のワカメごとに算出し、該補正係数を構築したデータベース中のバリウムの元素量に乗じてデータベースを再構築する方法、各形態のワカメを乾燥した後に塩分含有量を測定し、各形態のワカメ質量から前記塩分含有量を除くことでワカメ固形分を算出した後に、特定の形態のワカメ固形分が一定となるような補正係数を各形態のワカメごとに算出し、該補正係数を構築したデータベース中のバリウムの元素量に乗じてデータベースを再構築する方法などが挙げられる。

0032

以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。

0033

≪各形態のワカメの収集≫
生育海域がわかっている各形態のワカメを収集した。ワカメの形態としては、原藻ワカメ(保管のため、生の原藻ワカメをそのまま冷凍して保管したもの、または乾燥して保管したもの)、湯通し塩蔵ワカメ、乾燥ワカメ(湯通し塩蔵ワカメを乾燥したもの)とし、生育海域は、三陸、瀬戸内、中国、韓国とした。収集したワカメは、2012年、2013年に収穫した原藻ワカメ267検体(三陸:66検体、瀬戸内:105検体、中国:24検体、韓国72検体)、2012年、2013年に収穫した原藻ワカメを用いた湯通し塩蔵ワカメ358検体(三陸:57検体、瀬戸内:123検体、中国:44検体、韓国:134検体)、2011年、2013年、2014年に収穫した原藻ワカメを用いた乾燥ワカメ56検体(三陸:22検体、瀬戸内:17検体、中国:8検体、韓国:9検体)である。

0034

上記収集した各形態のワカメの生育海域は、三陸としては、普代、広田、小友、歌津の海域、瀬戸内としては、北灘、北泊、鳴門町、浅野浦の海域、中国としては、凌水、金石灘、柏子の海域、韓国としては明川、薬山の海域である。

0035

上記原藻ワカメのうち、生の原藻ワカメをそのまま冷凍して保管したものは、海から収穫した原藻ワカメの表面の水分を軽く振って水切りした後、約−20℃の冷凍庫冷凍保管したものである。
上記原藻ワカメのうち、生の原藻ワカメをそのまま乾燥して保管したものは、海から収穫した原藻ワカメの表面の水分を軽く振って水切りした後、常温(約25℃)で72時間乾燥したものである。

0036

上記湯通し塩蔵ワカメは、収穫地域、加工業者によって加工方法が若干異なるが、海から収穫した原藻ワカメを、約90℃に加温した海水に、約1分間湯通しした後に海水につけて冷却、脱水した後に、湯通しワカメに対して約40質量%の食塩を添加し、1〜2日程塩漬して脱水したものである。
該湯通し塩蔵ワカメは、各種ワカメ加工品の原料として用いられ、例えば、該湯通し塩蔵ワカメの食塩量を調整することにより一般市場で販売される湯通し塩蔵ワカメが得られ、あるいは該湯通し塩蔵ワカメを後述する加工を施して乾燥ワカメが得られる。

0037

上記乾燥ワカメは、収穫地域、加工業者によって加工方法が若干異なるが、以下の方法によって得られたものが挙げられる。即ち、湯通し塩蔵ワカメを原料とし、水による洗浄により食塩量を調整したものを乾燥して得たものである。

0038

≪各形態のワカメの元素分析方法およびデータベース構築≫
[原藻ワカメをそのまま冷凍保管したものの前処理]
原藻ワカメをそのまま冷凍して保管したものは、常温で解凍した後、各検体の葉部をセラミック製の包丁を用いて約0.5×0.5cmの大きさにカットし、乾燥機型式:DK400;ヤマト化学社製)を用いて105℃、10時間乾燥させ、室温まで放冷した後、セラミック製ミル(型式:CM−45CF;京セラ社製)を用いて10分間粉砕して粉末化した。

0039

[湯通し塩蔵ワカメの前処理]
湯通し塩蔵ワカメの各検体の葉部をセラミック製の包丁を用いて約0.5×0.5cmの大きさにカットし、乾燥機(型式:DK400;ヤマト化学社製)を用いて105℃、10時間乾燥させ、室温まで放冷した後、目開き5メッシュプラスチックで約30秒間振い付着する食塩を除去した後、セラミック製ミル(型式:CM−45CF;京セラ社製)を用いて10分間粉砕して粉末化した。

0040

[原藻ワカメをそのまま乾燥して保管したもの、乾燥ワカメの前処理]
原藻ワカメをそのまま乾燥して保管したもの、および乾燥ワカメの各検体の葉部(約0.5×0.5cm)を、乾燥機(型式:DK400;ヤマト化学社製)を用いて105℃、1時間乾燥させ、室温まで放冷した後、セラミック製ミル(型式:CM−45CF;京セラ社製)を用いて10分間粉砕して粉末化した。

0041

酸分解処理
テフロン容器(型式:HPV100;マイルストーンネラル社製)に得られた各検体の粉末品のそれぞれを0.5gと硝酸8mLを入れて密封し、マイクロウェブ分解装置(型式:ETHOST TC;マイルストーンゼネラル社製)を用いて下記分解温度プログラム(時間、温度、ワット数)で分解し、検体溶液を得た。
(分解温度プログラム)
テップ1: 2分間 50℃ 1000W
ステップ2: 3分間 30℃ 0W
ステップ3:15分間 210℃ 1000W
ステップ4: 1分間 190℃ 0W
ステップ5: 4分間 210℃ 1000W
ステップ6:40分間 210℃ 1000W

0042

[誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS)による元素分析
酸分解処理した各検体溶液を誘導結合プラズマ質量分析計(型式:Agilent7700;アジレントテクノロジー社製)を用いて測定した。測定に際し、500ppbのインジウム溶液内標準としてオンラインで添加し、下記条件でバリウムの元素量を内標準法により測定した。
(ICP−MS分析条件)
プラズマ条件
RFパワー:1550W
キャリアーガス:1.03L/min
プラズマガス:15L/min
ヘリウムガス:4.3mL/min
ペリポンプ条件
測定時回転速度 :0.1rps
データ採取条件
データポイント:3点/質量数
繰り返し回数:3回

0043

上記方法によって得られた各形態のワカメに含まれるバリウムの元素量をデータベースとした。

0044

≪データベースの解析≫
(1)判別分析
データベース中の各形態のワカメごとに含まれるバリウムの元素量を説明変数として判別分析をおこない判別関数を得た。前記判別分析としては、変数を選択しない線形判別分析によって行った。

0045

(2)判別得点とヒストグラムの作成
得られた各形態のワカメごとの判別関数に、データベースに蓄積された各形態のワカメごとのバリウムの元素量を代入することで判別得点を得た。ExcelのFREQUENC関数を用い、データ配列に得られた判別得点、区間配列に判別得点の間隔を指定することで、縦軸に検体数、横軸に判別得点をとってヒストグラムを作成したところ、中国または他の地域ごとに分かれることが確認された。

0046

一例として乾燥ワカメのデータベースに蓄積されたバリウムの元素量を下記に説明する2群を判別する判別関数によるワカメの生育海域判別式に代入して得た判別得点を、ExcelのFREQUENCY関数を使用して縦軸に検体数、横軸に判別得点をとってヒストグラムを作成した。作成したヒストグラムを図1に示す。乾燥ワカメに含まれるバリウムの元素量を用いることにより図1に示す通り、中国または他の地域(三陸、瀬戸内、韓国)の2海域の分布を確認することができた。データベースのワカメの生育海域の判別率は中国100%、その他97.9%であった。
なお、上記「2群を判別する」とは、「ワカメの生育海域が中国または他の地域のいずれかであるかを判別する」、という意味である。

0047

(3)2群を判別する判別関数(ワカメの生育海域判別式1)
バリウムの元素量を用いた2群を判別する判別関数(ワカメの生育海域判別式1)は、下記に示すことができる。式中のAはバリウム元素係数であり、Bは定数である。ここで、「[ ]」内は、バリウムの元素量(濃度)であり単位はppmである。
下記ワカメの生育海域判別式1は、構築したデータベース中の各形態のワカメごとに含まれるバリウムの元素量を説明変数として判別分析をおこなって判別関数(ワカメの生育海域判別式1)を得た。
(ワカメの生育海域判別式1)
ワカメの生育海域判別式1=A[Ba]+B

0048

該ワカメの生育海域判別式1に、対象となるワカメに含まれるバリウムの元素濃度を代入し、得られた値が負の場合にはワカメの生育海域が中国、正の場合にはワカメの生育海域が他の地域であると判別する。下記式に用いる係数および定数を表1に示す。

0049

0050

「ワカメの生育海域判別式1」に表1の係数および定数を適用した各形態に対応したワカメの生育海域判別式1は下記のとおりである。
原藻ワカメの生育海域判別式 =−1.139[Ba]+19.172
湯通し塩蔵ワカメの生育海域判別式=−1.122[Ba]+12.679
乾燥ワカメの生育海域判別式 =−2.055[Ba]+38.880

0051

≪わかめの生育海域を判別する方法の有用性確認1≫
(1)ワカメの生育海域が明確な各形態のワカメのバリウム元素量分析
生育海域が三陸(歌津)、瀬戸内(北灘)、中国(正明)および韓国(明川)である原藻ワカメの冷凍保管品、湯通し塩蔵ワカメ、および生育海域が三陸、瀬戸内、中国および韓国である乾燥ワカメに含まれるバリウムの元素量を、「≪各形態のワカメの元素分析方法およびデータベース構築≫」に記載の元素分析方法で測定した。分析結果を表2に示す。

0052

0053

(2)ワカメの生育海域判別式1を用いた判別する方法の有用性確認
得られた各生育海域および各形態のワカメに含まれるバリウムの元素量を、各形態のワカメに対応した生育海域判別式1にそれぞれ代入した。結果として、全ての産地が正しく判別することができた。

0054

一例として中国、三陸、瀬戸内、韓国の原藻ワカメを用いた乾燥ワカメに含まれるバリウムの元素量を用いた乾燥ワカメに対応した生育海域判別式1の計算式を下記に示す。

乾燥ワカメ(中国)の判別式 =−2.055×[26]+38.880
乾燥ワカメ(三陸)の判別式 =−2.055×[ 9]+38.880
乾燥ワカメ(瀬戸内)の判別式=−2.055×[12]+38.880
乾燥ワカメ(韓国)の判別式 =−2.055×[15]+38.880

0055

上記式に、各元素の濃度を代入し、中国=−14.550、三陸=20.385、瀬戸内=14.220、韓国=8.055となり、中国の原藻ワカメを用いた乾燥ワカメの数値は負、中国以外の原藻ワカメを用いた乾燥わかめの数値は正であり、他の地域の海域で生育した原藻ワカメを用いた乾燥ワカメであると判別することができた。

0056

≪各形態のワカメに共通した生育海域判別式による生育海域を判別する方法≫
(1)補正係数の作成
各形態のワカメに共通した生育海域判別式を作成するために、各形態のワカメを代表する各10検体を下記方法によってワカメの固形分を得た。すなわち、各形態のワカメを「≪各形態のワカメの元素分析方法およびデータベース構築≫」で記載した「前処理」と同様の方法で乾燥し、該乾燥物に含まれる食塩含有量%をフォファルト法にて測定し、「100−食塩含有量%」でワカメ固形分(質量%)を算出した。
次いで湯通し塩蔵ワカメの固形分が1となるように乾燥ワカメ、原藻ワカメの固形分を算出した。各形態のワカメの食塩含有量(質量%)、ワカメ固形分(質量%)および補正係数を表3に示す。

0057

0058

(2)データベースの再構築および各形態のワカメに共通した生育海域判別式2
得られた補正係数を、構築したデータベース中のバリウムの元素量に乗じることにより、固形分を補正してデータベースを再構築した。再構築したデータベースのバリウムの元素量を説明変数として判別分析を行って判別関数(各形態のワカメに共通した生育海域判別式2)を得た。
各形態のワカメに共通した生育海域判別式2は下記に示すことができる。式中のAはバリウム元素の係数であり、Bは定数であり、Cは補正係数である。ここで、「[ ]」内は、バリウム元素の濃度であり単位はppmである。下記式に用いる係数および定数を表4に示す。
(各形態のワカメに共通した生育海域判別式2)
各形態のワカメに共通した生育海域判別式2=A[Ba]×C+B

0059

各形態のワカメに共通した生育海域判別式2に、対象となるワカメに含まれるバリウムの元素量を代入し、得られた値が負の場合にはワカメの生育海域が中国、正の場合にはワカメの生育海域が他の地域であると判別する。

0060

0061

「各形態のワカメに共通した生育海域判別式2」に表4の係数、定数および補正係数を適用した各形態のワカメに共通した生育海域判別式2は下記のとおりである。
各形態のワカメに共通した生育海域判別式2=−1.240[Ba]×補正係数+13.427

0062

≪わかめの生育海域を判別する方法の有用性確認2≫
表2に示した各生育海域および各形態のワカメに含まれるバリウムの元素量を、各形態のワカメに共通した生育海域判別式2に代入した。結果として、全ての産地が正しく判別することができた。

0063

一例として中国、三陸、瀬戸内、韓国の原藻ワカメを用いた乾燥ワカメに含まれるバリウムの元素濃度を用いた生育海域判別式2の計算式を下記に示す。
乾燥ワカメ(中国)の生育海域判別式 =−1.240×[26]×0.59+13.427
乾燥ワカメ(三陸)の生育海域判別式 =−1.240×[ 9]×0.59+13.427
乾燥ワカメ(瀬戸内)の生育海域判別式=−1.240×[12]×0.59+13.427
乾燥ワカメ(韓国)の生育海域判別式 =−1.240×[15]×0.59+13.427

実施例

0064

上記式より、中国=−5.595、三陸=6.843、瀬戸内=4.648、韓国=2.453となり、中国の原藻ワカメを用いた乾燥ワカメの数値は負、中国以外の原藻ワカメを用いた乾燥わかめの数値は正であり、いずれの乾燥ワカメでも原藻ワカメの生育海域を正しく判別することができた。

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