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技術 タイヤの耐久性評価方法

出願人 住友ゴム工業株式会社
発明者 高田宜幸
出願日 2014年12月19日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2014-257840
公開日 2016年6月30日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2016-118453
状態 特許登録済
技術分野 車両の試験 タイヤ一般
主要キーワード 加熱試験結果 加熱対象部位 寸法測定位置 変形指数 変形程度 仕様間 ブレーキ熱 半径方向外向
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年6月30日)のものです。
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図面 (7)

課題

主にブレーキ熱に対するタイヤ耐久性の、より簡易評価方法を提供すること。

解決手段

この耐久性評価方法は、上記タイヤ2を乾熱下において加熱する加熱ステップと、この加熱ステップの前後それぞれにおいて、タイヤ2に設定された寸法管理部位の寸法を測定する寸法変化測定テップと、この寸法変化測定ステップにおいて得られた寸法管理部位の寸法変化に基づいて、このタイヤ2の耐久性を評価する耐久性評価ステップとを含んでいる。

概要

背景

重荷重用タイヤ耐久性を評価する一つの方法として、タイヤ駆動ドラムによって走行させる台上試験が採用されている。タイヤのビード耐久試験は、例えば、JATMAに規定された最大荷重より高い加重負荷された状態で実施されている。この試験では、ビードに損傷が発生するまでの走行時間によって供試タイヤの耐久性の評価が行われる。

重荷重用タイヤのうちの特にトラックバス用タイヤ(TBタイヤ)に対しては、厳しい条件下での使用がなされる場合がある。例えば、アップダウンの多い山岳部等での走行、燃料の節約を目的としたエンジンブレーキの使用の抑制及びフットブレーキの多用等である。かかる走行では、ブレーキ動作時の発生熱(単にブレーキ熱ともいう)の、ビード部損傷への寄与が大きい。

このようなブレーキ熱等によるビード部の温度上昇に起因した剥離及び吹き抜けについての評価方法が、特開2013−257190公報に開示されている。

概要

主にブレーキ熱に対するタイヤの耐久性の、より簡易な評価方法を提供すること。この耐久性評価方法は、上記タイヤ2を乾熱下において加熱する加熱ステップと、この加熱ステップの前後それぞれにおいて、タイヤ2に設定された寸法管理部位の寸法を測定する寸法変化測定テップと、この寸法変化測定ステップにおいて得られた寸法管理部位の寸法変化に基づいて、このタイヤ2の耐久性を評価する耐久性評価ステップとを含んでいる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

イヤ耐久性評価方法であって、上記タイヤを乾熱下において加熱する加熱ステップと、この加熱ステップの前後それぞれにおいて、タイヤに設定された寸法管理部位の寸法を測定する寸法変化測定テップと、この寸法変化測定ステップにおいて得られた上記寸法管理部位の寸法変化に基づいて、このタイヤの耐久性を評価する耐久性評価ステップとを含んでいるタイヤの耐久性評価方法。

請求項2

上記寸法管理部位が、タイヤのビード部のトー内径である請求項1に記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項3

上記寸法管理部位が、チェーファー表面の半径方向に沿った長さである請求項1又は2に記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項4

上記耐久性評価ステップにおいて、上記寸法管理部位の寸法変化と、予め用意された耐久性評価基準とに基づいてタイヤの耐久性を評価する請求項1から3のいずれかに記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項5

上記耐久性評価基準が、タイヤの走行時間と上記寸法管理部位の寸法変化との相関データを含んでいる請求項4に記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項6

上記加熱ステップでは、上記タイヤが、オーブン内において90±2℃、100±2℃及び110±2℃のうちいずれかの範囲の温度となるように加熱される請求項1から5のいずれかに記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項7

上記加熱ステップにおいては、タイヤの内部に空気が充填されて内圧が保持される請求項1から6のいずれかに記載のタイヤの耐久性評価方法。

請求項8

上記耐久性評価基準における、上記タイヤの走行時間及び上記寸法管理部位の寸法変化が、タイヤを加熱しつつ走行させる走行試験によって得られたものであり、上記走行時間が、この走行試験における走行開始から損傷発生までの走行時間であり、上記寸法変化が、この走行試験での損傷発生時における変形によるものである請求項5に記載のタイヤの耐久性評価方法。

技術分野

0001

本発明はタイヤ耐久性評価方法に関する。

背景技術

0002

重荷重用タイヤ耐久性を評価する一つの方法として、タイヤを駆動ドラムによって走行させる台上試験が採用されている。タイヤのビード耐久試験は、例えば、JATMAに規定された最大荷重より高い加重負荷された状態で実施されている。この試験では、ビードに損傷が発生するまでの走行時間によって供試タイヤの耐久性の評価が行われる。

0003

重荷重用タイヤのうちの特にトラックバス用タイヤ(TBタイヤ)に対しては、厳しい条件下での使用がなされる場合がある。例えば、アップダウンの多い山岳部等での走行、燃料の節約を目的としたエンジンブレーキの使用の抑制及びフットブレーキの多用等である。かかる走行では、ブレーキ動作時の発生熱(単にブレーキ熱ともいう)の、ビード部損傷への寄与が大きい。

0004

このようなブレーキ熱等によるビード部の温度上昇に起因した剥離及び吹き抜けについての評価方法が、特開2013−257190公報に開示されている。

先行技術

0005

特開2013−257190公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、主にブレーキ熱に対するタイヤの耐久性の、より簡易な評価方法の提供にある。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係るタイヤの耐久性評価方法は、
上記タイヤを乾熱下において加熱する加熱ステップと、
この加熱ステップの前後それぞれにおいて、タイヤに設定された寸法管理部位の寸法を測定する寸法変化測定テップと、
この寸法変化測定ステップにおいて得られた上記寸法管理部位の寸法変化に基づいて、このタイヤの耐久性を評価する耐久性評価ステップとを含んでいる。

0008

好ましくは、上記寸法管理部位が、タイヤのビード部のトー内径である。

0009

好ましくは、上記寸法管理部位が、チェーファー表面の半径方向に沿った長さである。

0010

好ましくは、上記耐久性評価ステップにおいて、上記寸法管理部位の寸法変化と、予め用意された耐久性評価基準とに基づいてタイヤの耐久性を評価する。

0011

好ましくは、上記耐久性評価基準が、タイヤの走行時間と上記寸法管理部位の寸法変化との相関データを含んでいる。

0012

好ましくは、上記加熱ステップでは、上記タイヤが、オーブン内において90±2℃、100±2℃及び110±2℃のうちいずれかの範囲の温度となるように加熱される。

0013

好ましくは、上記加熱ステップにおいては、タイヤの内部に空気が充填されて内圧が保持される。

0014

好ましくは、上記耐久性評価基準における、上記タイヤの走行時間及び上記寸法管理部位の寸法変化が、タイヤを加熱しつつ走行させる走行試験によって得られたものであり、
上記走行時間が、この走行試験における走行開始から損傷発生までの走行時間であり、上記寸法変化が、この走行試験での損傷発生時における変形によるものである。

発明の効果

0015

本発明に係るタイヤの耐久性評価方法によれば、ブレーキ熱に対するタイヤの耐久性を簡単に評価することが可能となる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの耐久性評価方法に従って評価されうる重荷重用空気入りタイヤのビード部を示す断面図である。
図2は、図1のビード部を含んだタイヤを概略的に示す正面図である。
図3は、図1のビード部を構成するゴム温度変化に伴う物性変化を示すグラフである。
図4は、本発明の一実施形態に係るタイヤの耐久性評価方法の実行に用いられる試験装置の一例をタイヤとともに概略的に示す正面図である。
図5は、熱ビード試験結果に基づいてタイヤの変形と走行時間(耐久性)との相関を示す、耐久性評価基準のベースとなるグラフである。
図6は、加熱試験結果の変形と熱ビード試験結果の変形との相関を示すグラフである。

実施例

0017

以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。

0018

本発明の一実施形態に係る耐久性評価方法では、市場における重荷重用空気入りタイヤのビード部の損傷の指標となる変形を再現する。その変形の度合いからタイヤの耐久性を評価する。この評価方法においては、加熱試験1によって評価対象のタイヤを加熱する。この加熱により、市場におけるタイヤのビード部分の加熱による変形を実質的に再現し、この変形度合いから耐久性を評価する。この市場における加熱は、主に、ブレーキ動作に伴って生じた熱による、リムを介した加熱である。この評価方法では、予め耐久性評価基準を用意しておくのがよい。この評価方法によれば、評価対象タイヤを走行及び損壊させることなく、その耐久性を評価することが可能である。この評価方法は、例えば、タイヤの仕様の効果を確認するに際し、ある程度の効果を予測した上で評価タイヤにかける簡易な耐久性評価方法として用いてもよい。

0019

上記加熱試験1では、リム組みされたタイヤを加熱することにより、市場におけるタイヤビード部分の加熱による変形をこのタイヤに再現しうる。この変形程度を上記耐久性評価基準に照らし合わせることにより、そのタイヤの耐久性を評価することができる。

0020

この耐久性評価基準は、後述するとおり、予め作成しておくことができる。この耐久性評価基準は、特開2013−257190公報に示された試験装置を用いたタイヤの耐久性を評価するための試験(熱ビード試験ともいう)により作成されうる。熱ビード試験は、タイヤを加熱しつつ走行させる走行試験であり、耐久性評価試験である。この試験結果から、ビード部分に損傷が発生したときの変形と走行時間との関係(相関性1)を把握する。また、上記加熱試験1結果の評価に、熱ビード試験結果から得られる耐久性評価基準を適用するためには、予め、加熱試験結果と熱ビード試験結果との相関性(相関性2)を把握しておくのがよい。

0021

上記の「加熱試験」、「耐久性評価基準」、「熱ビード試験」及び「相関性1及び2」については、後に詳述される。

0022

図1には、本発明の一実施形態に係る耐久性評価方法が適用されうるタイヤ2のビード部分が示されている。図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に対して垂直な方向が周方向である。このタイヤ2は、図示されないトレッド及びベルト、一部が図示されたサイドウォール4、ビード6、クリンチ8、カーカス10、補強層12、カバーゴム14、インスレーション16、チェーファー18、並びに、インナーライナー20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、トラック、バス等に装着されうる。

0023

このタイヤ2は、図示されないが、ほぼ左右対称の形状を呈する。サイドウォール4は、トレッドの端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール4は、架橋ゴムからなる。サイドウォール4は、カーカス10の外傷を防止する。

0024

ビード6は、サイドウォール4の半径方向内側に位置している。ビード6は、コア22と、このコア22から半径方向外向きに延びるエイペックス24とを備えている。コア22はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス24は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス24は、高硬度な架橋ゴムからなる。

0025

クリンチ8は、サイドウォール4の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、サイドウォール4の半径方向内側部から半径方向内向きに延びている。クリンチ8は後述のチェーファー18と一体化されている。図示されないが、クリンチ8は、リムフランジ係合して締め付けられる部分である。クリンチ8の半径方向内端とがった部位をトウ8aと呼ぶ。クリンチ8の表面に露出している範囲の半径方向外端には、周方向に延びる凸条であるクリンチライン8bが形成されている。符号8cで示される部位はビードのヒールである。

0026

カーカス10はカーカスプライ26からなる。カーカスプライ26は、左右両側のビード6の間に架け渡されており、トレッド及びサイドウォール4に沿っている。カーカスプライ26は、コア22の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ26には、主部28と折り返し部30とが形成されている。折り返し部30は、クリンチ8とエイペックス24との間に積層されている。

0027

図示されないが、ベルトは、カーカス10の半径方向外側に積層されている。ベルトは、カーカス10を補強する。

0028

補強層12は、コア22の周りに巻かれている。補強層12は、カーカスプライ26と積層されている。補強層12は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、スチールからなる。この補強層12は、スチールフィラーとも称される。補強層12は、タイヤ2の耐久性に寄与する。

0029

カバーゴム14は、エイペックス24の軸方向外側に位置している。カバーゴム14は、カーカスプライ26の折り返し部30に積層されている。折り返し部30の先端は、カバーゴム14に覆われている。カバーゴム14により、応力集中が緩和される。補強層12の一端も、カバーゴム14に覆われている。カバーゴム14により、この一端への応力集中が緩和される。

0030

インスレーション16は、軸方向において、サイドウォール4やビード6の内側に位置している。インスレーション16は、カーカス10とインナーライナー20とに挟まれている。インスレーション16は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。インスレーション16は、カーカス26と強固に接合し、インナーライナー20とも強固に接合する。インスレーション16により、サイドウォール4の軸方向内側において、インナーライナー20が、カーカス10から剥離することが抑制される。

0031

チェーファー18は、ビード6の近傍に位置している。チェーファー18は、サイドウォール4の半径方向内側に位置する。チェーファー18は、クリンチ8と一体化されている。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー18がリムに当接する。この当接により、ビード6の近傍が保護される。チェーファー18は、通常は布とこの布に含浸したゴムとからなる。ゴム単体からなるチェーファー18が用いられてもよい。

0032

インナーライナー20は、軸方向においてカーカス10の内側に位置している。インナーライナー20は、左右のチェーファー18の間を架け渡されている。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する役割を果たす。インナーライナー20は、半径方向内向きに先細りである。言い換えると、インナーライナー20は、ビード6の軸方向内側において半径方向外側からその半径方向の内端に向かって先細りである。

0033

このインナーライナー20は、ゴム組成物架橋されることによって成形されている。このゴム組成物は、空気遮蔽性に優れた基材ゴムを含む。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。

0034

[加熱試験1]
以下に、前述した市場における変形をタイヤに実質的に再現するための加熱試験1についての説明がなされる。この加熱試験1では、リム組みしたタイヤを、その内部に空気を充填して正規内圧以上とした上で、規定温度で規定時間加熱する。この目的は、タイヤに狙いの変形を生じさせるためである。加熱装置としては、いわゆる乾熱オーブン湿分注入されないオーブン)が用いられる。

0035

本実施形態では、タイヤの加熱温度として、110±2℃、100±2℃、90±2℃の3種類の温度が設定される。この加熱温度の設定の根拠となったのは、実車走行を行った多くのタイヤについて調査した結果である。これらのタイヤは、使用されることによって変形していた。この変形の程度は、後述の変形指数DIとして指数化された。加熱温度の設定は、まず、市場データのうちから後述する狙いの変形形態を定め、次いで、この変形形態に対応する変形指数DIを確認し、この変形指数DIから想定されるビード部分の温度を選択することによってなされた。

0036

変形指数DIとは、下式によって特定されるものである。
DI = (A−B)/A×100(%)
ここで、Aは、タイヤの一対のビードのうちの、ブレーキドラムが装着されている側のビードトウ内径DTの変化である。Bは、タイヤ2のブレーキドラム装着側とは反対側のビードトウ内径DTの変化である。ビードトウ内径DTの変化は、走行前のビードトウ内径DTと、走行による損傷発生時のビードトウ内径DTとの差である。ビードトウ内径DTとは、図2に示されるように、ビードのトウ8aが形成する円の直径DTをいう。この直径DTは、複数箇所での測定値平均値である。この測定は、タイヤ2からリムが取り外され、内圧も荷重も負荷されていない状態で行われる。この変形指数DIから、変形に対するブレーキ熱の寄与の程度が推測できる。

0037

具体的な加熱温度の設定が、以下の通り示される。市場データから、狙いの変形形態が、以下の3つに分類された。分類された各変形形態に対応する変形指数DI、及び、この変形指数D1から想定されるビード部温度は以下の通りであった。このビード部温度が加熱温度として設定された。
1.チェーファーからの吹き抜け、 DI=30%以上60%以下、 ビード部温度 110℃程度、損傷位置はチェーファー中央部近傍図1中の符号PA)
2.コアルース、コア横のケースブレークアップ(CBU)からの吹き抜け、 DI =20%以上30%未満、 ビード部温度100℃程度、 損傷位置はビードトウ近 傍(図1中の符号PB)
3. 通常の構造損傷(PTL等)、 DI=10%以上20%未満、 ビード部温度 90℃程度、 損傷位置はプライエッジ近傍図1中の符号PC)

0038

市場においては、チェーファー18からの吹き抜けという損傷には、高荷重の負荷ではなく、ブレーキ熱が支配的な要因となっている。コアルース、コア横のCBUからの吹き抜けという損傷には、高荷重とブレーキ熱とがほぼ同等に寄与している。PTL等の通常の構造損傷には、高荷重が支配的ではあるが、ブレーキ熱もわずかに寄与している。

0039

このように、加熱温度を110±2℃、100±2℃、90±2℃の3種類に設定した根拠は、狙いとした変形形態に対応したビード部温度に合わせたことである。加熱温度は上記3つの範囲には限定されない。他の変形形態を狙う場合には、その変形に対応した加熱温度に設定可能である。

0040

また、ビード部の温度が110℃、100℃、90℃となるように加熱するのは、温度上昇によってビード部分を構成するゴムの物性を変化させて変形を促進させるためである。図3に、温度変化に伴うビード部分を構成する複数のゴムの物性の変化が例示されている。この図3には、サイドウォールゴムチェーファーゴム及びビードエイペックスゴムそれぞれの、硬さの指標である複素弾性係数E*の変化が示されている。横軸(X軸)にはゴムの温度(℃)が表され、縦軸(Y軸)には各温度における複素弾性係数E*が、常温である30℃における値を100とする指数(%)で表されている。各ゴムの複素弾性係数E*は、温度上昇とともに低下する。これにより、ビード部分の変形が促進される。

0041

乾熱オーブンにおけるタイヤの加熱時間は、以下の通り定められうる。加熱時間の設定は、図3に示されるデータに基づいている。チェーファーゴムの複素弾性係数E*は、30℃における基準値と比較して、90℃では約25%低下し、100℃では約30%低下し、110℃では約35%低下している。この実績に基づき、加熱温度の相違に応じて、加熱時間を以下の通り相違させている。加熱温度が110±2℃の場合は5日以上10日以下、加熱温度が100±2℃の場合は6日以上12日以下、加熱温度が90±2℃の場合は7日以上13日以下とされるのが好ましい。上記いずれの加熱温度についても、加熱時間が下限値未満であると、市場における変形に相応した十分な変形が得られないおそれがあり、上限値を超えると市場における変形を超えた大きな変形が生じてしまい、異なるタイヤ間、異なる仕様間において有意な差異が生じなくなるおそれがあるからである。かかる観点から、上記加熱時間は、加熱温度が110±2℃の場合は6日以上8日以下、加熱温度が100±2℃の場合は8日以上10日以下、加熱温度が90±2℃の場合は9日以上11日以下とされるのがさらに好ましい。

0042

加熱時のタイヤの内圧は、正規内圧+150±50kPaとされるのが好ましい。かかる内圧により、ビードトウ8aがリムフランジから上に浮き、チェーファー18や補強層12に変形が生じやすくなるからである。

0043

本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLDINFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。本明細書において正規荷重とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOADCAPACITY」は、正規荷重である。

0044

上記加熱のステップが終了したタイヤは、この加熱によって生じた変形の量が測定される。この変形量が、前述の耐久性評価基準によって評価されうる。ここでいう変形量は、前述した変形指数DIとは異なる。この加熱試験1では、一対のビード部の温度は互いに同一となっている。ここでいう変形量は、一種の変形指標DB1であり、下式で表される。
DB1 = A × SC
ここで、Aは、タイヤのビードトウ内径DT(図2参照)の変化量である。SCは、タイヤのチェーファー18の長さLCの変化(伸び)である。ビードトウ内径DTの変化Aは、加熱前のビードトウ内径DTと、加熱ステップ終了後のビードトウ内径DTとの差である。ビードトウ内径DTとは、前述したとおりである。チェーファー18の長さLCは、タイヤの子午線断面(図1)において、ビードヒール8cからクリンチライン8bまでのタイヤ外表面に沿った半径方向の長さLCである。この長さLCの加熱前から加熱終了後までの変化が、チェーファー18の伸びSCである。この測定は、タイヤ2からリムが取り外され、内圧も荷重も負荷されていない状態で行われる。上記寸法測定対象であるビードトウ内径DT及びチェーファー18の長さLCは、それぞれ寸法管理部位と称される。この寸法管理部位としては、換言すれば、変形指標としては、ビードトウ内径DTのみであってもよく、チェーファー18の長さLCのみであってもよい。又は、ビード部の変形指標としてふさわしい他の部位が寸法管理部位として設定されてもよい。上記チェーファー18の長さとしては、ビードヒール8cからクリンチライン8bまでには限定されない。例えば、ビードトウ8aからクリンチライン8bまででもよい。上記ビードヒール8cの位置(寸法測定位置)としては、例えば、タイヤの子午線断面上のヒール8cの外形における円弧頂点等が設定されうる。

0045

[熱ビード試験による耐久性評価基準の作成]
前述の耐久性評価基準を作成する場合には、熱ビード試験が実施される。前述のとおり、熱ビード試験による耐久性の評価は、精度は高いが評価に長時間を要する。従って、ここでは、熱ビード試験は評価基準の作成のために実施される。

0046

図4には、熱ビード試験装置42が示されている。この試験装置42は、前述の特開2013−257190公報に示されている装置と同様のものである。この試験装置42は、タイヤ2が装着される図示しない試験用リムと、このリムを回転可能に支持するリム支持装置44と、タイヤ2を回転駆動する駆動ドラム46とを備えている。リム支持装置44は、駆動ドラム46に対してタイヤ2を離間及び接近させることができる。リムに装着されたタイヤ2は、所定荷重を負荷されて駆動ドラム46に押圧させられる。タイヤ2は、この状態で、駆動ドラム46によって回転駆動される。

0047

この試験装置42は、ヒータ48と、温度センサ50と、加熱温度を制御する温度制御装置52とを備えている。ヒータ48と温度センサ50とは、温度制御装置52に電気的に接続されている。

0048

試験装置42には、ヒータ48が、図示しないが複数個装備されている。ヒータ48は、リム支持装置44の非回転の本体部分に取り付けられている。各ヒータ48は、リムに対して、このリムの半径方向と軸方向とが合成された方向における任意の位置に調節されうる。各ヒータ48は、リムフランジの任意の部位を加熱するように位置調節が可能にされている。これにより、ビード6の任意の部位を間接的に加熱することができる。加熱対象部位は、ビード6のうち、種々のビード損傷が発生する可能性の高いそれぞれの部位に対応している。位置調節後のヒータ48は固定されているので、タイヤ2が回転することにより、リムの加熱対象部位は周方向に均一に昇温させられる。

0049

温度センサ50は、リムの半径方向及び軸方向に沿った複数部位に固着されている。温度センサ50はリムの外表面に固着されてもよい。複数個の温度センサ50のうち、加熱対象部位に対応した位置のセンサ50が適宜選択されて制御対象となる。この「加熱対象部位」とは、試験において再現しようとする変形形態が発生しやすいとされる部位である。また、その変形形態に対応する加熱温度が指定される。対応する変形形態、その加熱対象部位及び加熱温度の例は、以下の通りである。
1.チェーファーからの吹き抜けが生じやすいチェーファー中央部近傍(図1中の符号 PA)であり、加熱温度は110±2℃である。
2.コアルース、コア横のCBUからの吹き抜けが生じやすいビードトウ近傍(図1中 の符号PB)であり、加熱温度は100±2℃である。
3.PTL等の構造損傷が生じやすいプライエッジ近傍(図1中の符号PC)であり、 加熱温度は90±2℃である。
以上の通り、この熱ビード試験においても、加熱温度は、前述の加熱試験1における加熱温度(110℃、100℃、90℃)と概ね同一にされている。

0050

熱ビード試験においては、この加熱対象部位が、規定温度に維持されるように加熱されつつ、駆動ドラム46によってタイヤ2が走行させられる。走行開始前のタイヤの内圧は正規内圧の封じ込めとされ、荷重は正規荷重とされ、走行速度は30km/hとされる。損傷が発生した時点で、走行が停止される。試験に供された各タイヤ2について、走行停止に至るまでの走行時間が測定される。この走行時間が実質的にタイヤの耐久性を示している。さらに、加熱の前、及び、走行停止から24時間後それぞれに、ビード部分の所定位置の寸法が測定される。この測定対象は、前述の加熱試験1と同じく、ビードトウ内径DT、及び、チェーファー18の長さLCである。すなわち、熱ビード試験により、損傷が発生したタイヤについて、そのビード部の変形量が測定される。この測定された変形量は、前述の加熱試験1の変形指標DB1と同じく、変形指標DB2として下式で表される。
DB2 = A × SC
ここで、前述したとおり、Aはビードトウ内径DTの変化量であり、SCはチェーファーの長さLCの変化(伸び)である。この測定は、タイヤ2からリムが取り外され、内圧も荷重も負荷されていない状態で行われる。

0051

[変形指標DB2と走行時間(耐久性)との相関性1]
多種類の仕様のタイヤがこの熱ビード試験に供せられ、走行時間(耐久性)と変形指標DB2とが記録される。図5のグラフは、走行時間(耐久性)と変形指標DB2との相関性(相関性1)を示している。図5には、各タイヤの走行時間と変形指標DB2との対応が示されている。横軸(X軸)に、走行終了から24時間後の上記変形指標DB2( =ビードトウ内径の変化量A ×チェーファーの伸びSC)が指数によって表されており、縦軸(Y軸)に走行時間が指数によって表されている。図5中の曲線は、変形指標DB2と走行時間との関係を指数近似することによって得られる。熱ビード試験によって得られたこの図5のグラフが、加熱試験1に供されたタイヤ2の耐久性評価基準になり得る。図5は、タイヤ2の加熱温度が110℃の場合を例示している。加熱温度が100℃の場合は、相関曲線がよりY軸方向上方にずれたデータとなり、加熱温度が90℃の場合は、相関曲線がさらにY軸方向上方にずれたデータとなる。

0052

[加熱試験結果と熱ビード試験結果との相関性2]
しかし、上記加熱試験1と熱ビード試験とは、試験条件が異なる。従って、加熱試験1で得られた変形指標DB1は、熱ビード試験によって得られた変形指標DB2とは本来異なる。そこで、熱ビード試験結果(DB2)と加熱試験結果(DB1)との相関性(相関性2)を確認する必要がある。この相関性2が存在することにより、タイヤ2の加熱試験結果(変形指標DB1)を耐久性評価基準(図5)と照合して、このタイヤ2の耐久性(走行時間)を評価することができる。

0053

記相関性2を検討するために、以下の加熱試験2が実施された。前述の熱ビード試験に供された複数のタイヤと同一仕様のタイヤが、この相関性2の検討のための加熱試験2に供された。この加熱試験2の試験条件のうち、加熱温度は、前述の「熱ビード試験」の温度と同じである。すなわち、狙いの変形に対応した3種類の加熱温度(110±2℃、100±2℃、90±2℃)が設定された。加熱は、乾熱オーブンによって行われる。加熱時間は、加熱温度ごとに設定された前述の加熱試験1におけると同一である。タイヤの初期内圧は、前述の加熱試験1と同一であり且つ同様に封じ込めとされる。

0054

この加熱試験2に供されたタイヤについて、その寸法管理部位の寸法測定により、下式で表される変形指標DB3が得られる。
DB3 = A × SC
ここで、前述と同様、Aはビードトウ内径DTの変化量であり、SCはチェーファーの長さLCの変化(伸び)である。この加熱試験2によって得られた変形指標DB3は、前述の加熱試験1によって得られる変形指標DB1と同一である。

0055

図6のグラフには、各タイヤのビード試験結果としての変形指標DB2と、加熱試験2の結果としての変形指標DB3との対応が示されている。横軸(X軸)に変形指標DB2が指数によって表されており、縦軸(Y軸)に変形指標DB3が指数によって表されている。図6は、タイヤ2の加熱温度が110℃、加熱時間が7日間の場合を例示している。図6中の直線は、変形指標DB2と変形指標DB3との関係を直線近似することによって得られる。ビード試験結果と加熱試験2結果との相関性2が明確になっている。この相関性2に基づき、熱ビード試験結果(図5)を、前述の加熱試験に供されたタイヤ2の耐久性評価基準とすることができる。加熱試験における加熱時間が長くなると、相関曲線がY軸方向上方にずれたデータとなり、加熱時間が短くなると、相関曲線がY軸方向下方にずれたデータとなる。

0056

以上の相関性1(図5)及び相関性2(図6)により、タイヤの耐久性評価が簡単に且つ短時間で行うことができる。耐久性の評価対象であるタイヤ2の加熱試験1の結果を、相関性1(図5)及び相関性2(図6)に基づき、タイヤ2を走行させる必要なく、タイヤ2を損壊させる必要なく、簡単にブレーキ熱に対するその耐久性を評価することができる。上記図5及び図6は例示である。加熱温度等の試験条件を変更することにより、これらの相関性は変化しうる。

0057

本発明に係るタイヤの耐久性評価方法は、特にブレーキ熱に対するタイヤのビードの耐久性の評価に好適である。

0058

2・・・タイヤ
4・・・サイドウォール
6・・・ビード
8・・・クリンチ
10・・・カーカス
12・・・補強層
14・・・カバーゴム
16・・・インスレーション
18・・・チェーファー
20・・・インナーライナー
22・・・コア
24・・・エイペックス
26・・・カーカスプライ
28・・・主部
30・・・折り返し部
42・・・試験装置
44・・・リム支持装置
46・・・駆動ドラム
48・・・ヒータ
50・・・温度センサ
52・・・温度制御装置
DT・・・ビードトウ内径
LC・・・チェーファーの長さ
PA・・・チェーファー中央部近傍
PB・・・ビードトウ近傍
PC・・・プライエッジ近傍

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