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課題

膜タンパク質結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイス負荷する方法、および結晶化デバイスを製造する方法の提供。

解決手段

a)少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態を、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注できる流体状態に変える工程と、b)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、結晶化デバイスの少なくとも一つのレセプタクル中に分注する工程であって、前記の分注されたマトリックス形成化合物が、前記のレセプタクル内固化する工程と、を含む方法。その結果、特に自動化された結晶化プロセスにおいて消耗品として使用し得る、予め充填した結晶化デバイスが得られ、また、それぞれ製造された結晶化デバイスを使用する、タンパク質結晶化方法

概要

背景

次元タンパク質構造は、興味のあるタンパク質に結合する新規薬物分子の、
理論的(構造に基づく)設計およびエンジニアリングに使用できることから、商業
的価値が非常に高い。さらに、それらは、所望の特性を有する新規タンパク質の理
論的エンジニアリングを容易にする。タンパク質および他のバイオポリマーの三次
元構造は、通常、それぞれの結晶X線回折によって決定する。X線回折の結晶学
よってそれらを可視化するためには、バイオポリマーの結晶の品質を上げなければ
ならない。残念なことに、現在、タンパク質の結晶成長の科学では、特別なタンパ
ク質が結晶化する条件を予測することはできない。従って、多くの他の組み合わせ
の問題と同様に、高次元のパラメータの余地(多数の可能なレシピ処方/組み合わ
せ)を探索して、最適な結晶化条件を見つけなければならない。時に、単純なスク
リーニングをできる限り多く実験することが最も有効な方法である。これは非常に
労働集約的で、多大な時間を要する。従って、高品質のタンパク質の結晶を製造す
ることは、依然として、X線回折結晶学によってタンパク質の構造を解明する際の障
害である。結果として、多数の異なる結晶化条件をスクリーニングするため、この
プロセスの自動化に多大な努力がなされてきた。

膜タンパク質は、全ての生細胞を囲む脂質二重層(膜)に結合するか、これを往来
する、広範な分類のタンパク質である。膜タンパク質は、典型的には、細胞膜を横切
物質および/またはシグナルの制御された動き関与する。このようなことから、
膜タンパク質は、生細胞の内側と外側の間の迅速なコミュニケーションを可能にする
。膜タンパク質の例としては、イオンチャネルシグナリングレセプターホルモン
レセプター、光レセプターおよび接着タンパク質が挙げられる。このような膜タンパ
ク質は、しばしば、薬物開発の目標であり、シグナル伝達過程に関与することから、
科学的注目の中心にある。膜タンパク質の決定的な特徴の一つは、その表面上に疎水
性および親水性領域の両者が存在することである。このことにより、膜タンパク質は
、膜の殆どを構成する膜の脂質二重層によって作り出される疎水性領域中に溶け込む
ことができ、さらに、膜のいずれかの側上の水性物質と安定な接合部分を有すること
ができる。しかし、これらの特徴により、蒸気拡散法等の、溶解性(膜に結合してい
ない)タンパク質に使用される結晶化方法によって、膜タンパク質を結晶化すること
が困難になる。膜タンパク質は、水性溶媒中で容易に変性して構造が緩む。従って、
膜タンパク質の結晶化は、特に難易度が高い。しかし、膜タンパク質は、知られてい
る全てのゲノムの約30%のゲノムによってコードされることから、それらの構造は非
常に関心が高い。

1996年、ランダウ(Landau)およびローゼンブッシュ(Rosenbusch)は、膜タンパク質
の結晶化のための脂質立方相の新規な使用を発表した。この方法によれば、洗浄剤
可溶化された膜タンパク質を、モノオレイン(またはモノパルミトレイン(monopalm
itolein))等の結晶化マトリックス形成化合物および水(または緩衝溶液)と混合し
、その後、多数回遠心分離する。この方法によって、粘性の両連続立方相が作り出さ
れ、硬化された脂質二重層が立体的に延び、水性チャネルによって透過される。従っ
て、マトリックス形成化合物のモノオレインは、膜タンパク質に好適な脂質二重層構
造を提供するので、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる。膜
タンパク質は、脂質二重層に分割し、その中で三次元に拡散し得ることから、いわゆ
る脂質立方相またはスポンジ相等の、脂質メソ相内でタンパク質の結晶成長を引き起
こし得る、多数の可能な空間的充填剤形状の探索が可能になる。各脂質立方相の例を
図1に示す。このように、各相は、膜タンパク質に非常に好適な結晶化マトリックス
である。

それ以来、膜タンパク質の好適な結晶化マトリックスを形成する能力もあるモノ
レイン代わる、さらなるマトリックス形成化合物が同定され、膜タンパク質の結晶
化に使用されている。

膜タンパク質および他のポリマーの結晶化には、なおも課題がある。これは特に、
例えばメソ、スポンジまたは立方相等の膜タンパク質の結晶化マトリックスの処理お
よび創出のように、困難である。特に、実験の設定に非常に時間がかかる。通常、一
人では一日に数件の結晶化実験しか設定し得ない。指針見出すため、しばしば多数
の結晶化条件が試験されるので、このような試験方法は、関与する過剰数の処理工程
のため、望ましくなかった。さらに、試験物質固有廃棄物がある。試験物質(例
えばマトリックス形成脂質およびタンパク質)は、その試験のみに用いられるもので
あり、物質の廃棄のため、しばしば充分な試験数が実施できなくなる。

従来技術において、基本的には、バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化マト
リックスを作り出すために使用される、二つの方法がある。一つのアプローチでは、
脂質立方相を形成するために、膜タンパク質とマトリックス形成化合物(例えば、モ
オレイン等の脂質)を水溶液中で混合するが、ここで、膜タンパク質は、マトリ
クス形成化合物、例えばモノオレインによって形成された結晶化マトリックス(立方
相)において再構成される。次に、前記の脂質立方相をディスペンサーに移す。その
後、脂質立方相は、ディスペンサーより、結晶化デバイス、例えばマルチウェルプレ
ートのレセプタクル中に分注する。次に、結晶化プロセスを開始するため、例えば沈
殿溶液等の結晶化に必要な他の成分を、分注した脂質立方相に加える。この方法は、
例えば、米国特許US 2002/0072703号に記載されている。しかし、この方法は、タン
パク質の「マスターミックス」を構成するための大量のタンパク質、および、分注の
前に結晶化マトリックス(例えば立方相)を形成するためのマトリックス形成脂質化
合物を要するが、これらは規則的には得られない。このアプローチのさらなる欠点は
、例えば、タンパク質がマトリックス形成化合物と予め混合されるので、関心のある
特定のタンパク質の最適なマトリックス形成化合物を見出すために、マトリックス形
成化合物の性質を変えることができないことである。従って、タンパク質を消耗する
、タンパク質と脂質立方相のいくつかの「マスターミックス」を調製することが必要
であり、さもなければ、マトリックス形成化合物を変えることは不可能である。さら
に、膜タンパク質と脂質マトリックス形成化合物の混合は、例えば使用者手動で実
施されなければならない。それぞれに作り出された立方相の分注は、立方相の粘性に
より困難であるため、時間もかかり、または少なくともエラーが発生しやすい。

さらなる問題は、立方相およびタンパク質に対する沈殿溶液の効果が、立方相とタ
ンパク質の混合物が沈殿溶液と接触するため、別々に制御できないことである。種々
のタイプの沈殿剤が、立方相の様々な変化を引き起こす。立方相を膜タンパク質溶液
に接触させる前に分析することは、興味深いかもしれない。従って、先ずマトリック
ス形成化合物とタンパク質を混ぜ合わせる現在の方法は、マトリックス形成化合物、
膜タンパク質および沈殿溶液の理想的な組み合わせをスクリーニングする可能性を制
限する。

別のアプローチは、例えばマルチウェルプレート等の結晶化デバイスのレセプタ
ル中に、非常に少量の純粋なマトリックス形成化合物を量することによる、マトリ
ックス形成化合物の手動の調製を用いる。次に、結晶化マトリックスの形成を誘導
るため、タンパク質溶液を調製したマトリックス形成化合物に加える。この点におい
て、マトリックス形成化合物を膜タンパク質と正確な割合/濃度で混合することは、
非常に重要である。従って、結晶化デバイスのレセプタクル中に含まれるマトリック
ス形成化合物の量は、できる限り正確な/所定の量でなければならない。しかし、マ
トリックス形成化合物は脂質の性質のため通常固体化合物であることから、このこと
は困難である。モノオレイン等の、時にフレーク状態で存在する各固体化合物は秤量
することが難しく、これは、一つの結晶化実験において、理想的には、可能な何百あ
るいは何千もの異なる条件をスクリーニングすべきであることを考慮すると、非常に
時間のかかる手法である。従って、所定量のマトリックス形成化合物を個々に秤量す
ることは、ミディアムまたはハイスループットの結晶化実験には好適ではない。さら
に、理想的および再現可能な結晶化実験には、立方相と膜タンパク質の正確な割合を
提供することが必須であるので、秤量過程もまたエラーが発生しやすい。

概要

膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイスに負荷する方法、および結晶化デバイスを製造する方法の提供。a)少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態を、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注できる流体状態に変える工程と、b)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、結晶化デバイスの少なくとも一つのレセプタクル中に分注する工程であって、前記の分注されたマトリックス形成化合物が、前記のレセプタクル内固化する工程と、を含む方法。その結果、特に自動化された結晶化プロセスにおいて消耗品として使用し得る、予め充填した結晶化デバイスが得られ、また、それぞれ製造された結晶化デバイスを使用する、タンパク質の結晶化方法。なし

目的

膜タンパク質の決定的な特徴の一つは、その表面上に疎水
性および親水性領域の両者が存在することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

膜タンパク質結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイス負荷する方法であって、以下の工程を含む、方法:a)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態を、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注できる流体状態に変える工程、およびb)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、結晶化デバイスの少なくとも一つのレセプタクル中に分注する工程であって、前記の分注されたマトリックス形成化合物が、前記のレセプタクル内固化する工程。

請求項2

前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態が、好ましくは加熱によって温度を変えることによって変えられる請求項1に記載の方法。

請求項3

前記の方法が、分注ユニットを含むロボットシステムを使用することによって自動化されている請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記のマトリックス形成化合物が、以下の特徴の少なくとも一つを有する請求項1〜3の少なくとも一項に記載の方法:a)メソ相を形成することができる;および/またはb)立方相を形成することができる;および/またはc)スポンジ相を形成することができる;および/またはd)脂質化合物である;および/またはe)両親媒性である;および/またはf)飽和または不飽和脂肪酸鎖を含む。g)脂肪酸由来アルコール誘導体である。

請求項5

膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる前記のマトリックス形成化合物が、以下の特徴の少なくとも一つを有する請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法:a)添加剤と混合することによって、添加剤組成物を形成する;b)前記のマトリックス形成化合物または前記の添加剤組成物が、i)脂肪酸、脂肪酸由来のアルコール誘導体、モノグリセリドジグリセリド、脂質およびその誘導体、好ましくは、それらの酸基ヒドロキシルまたはチオールまたはエーテルまたはチオエーテル基置換した対応する化合物、またはω-ヒドロキシアルケンまたはそのエーテルまたは同族チオールまたはチオエーテルモノアシルグリセロール、好ましくはシスモ不飽和モノアシルグリセロール、より好ましくはモノオレイン(C18:c9)、モノパルミトレイン(monopalmitolein)(C16:c9)およびモノヴァセニン(monovacennin)(C18:c7);中鎖アルキルグリコシドポリアルキレングリコールポリエチレングリコールジアシルグリセロリン脂質モノアシルグリセロリン脂質およびバイオポリマーの結晶化マトリックスを形成することができるそれらの誘導体;および/またはii)ポリケチド糖脂質プレノール脂質、ステロール脂質、スフィンゴ脂質グリセロリン脂質およびグリセロ脂質および/または脂質の誘導体、特にホスファチジルコリン(PC)、特にDOPC、ホスファチジルエタノールアミン、特にDOPE、ホスファチジルセリン、特にDOPS、カルジオリピンリゾホスファチジルコリン、2-モノオレイン、オレアミドコレステロール細胞膜成分、および結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化する天然または合成化合物よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物よりなるか、または含む。

請求項6

膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量とともに、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイスを製造する方法であって、請求項1〜5の一項に記載の方法を実施する方法。

請求項7

多数のレセプタクルを含む結晶化デバイスであって、前記のレセプタクルの少なくともいくつかが、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つの固体マトリックス形成化合物の所定の均一量を含むデバイス

請求項8

前記のマトリックス形成化合物が、未だ結晶化マトリックスを形成していない請求項7に記載の結晶化デバイス。

請求項9

膜タンパク質のための結晶化マトリックスを形成することができる前記のマトリックス形成化合物が、以下の特徴の少なくとも一つを有する請求項7または8に記載の結晶化デバイス:a)添加剤と混合することによって、添加剤組成物を形成する;b)前記のマトリックス形成化合物または前記の添加剤組成物が、i)脂肪酸、脂肪酸由来のアルコール誘導体、モノグリセリド、ジグリセリド、脂質およびその誘導体、好ましくは、それらの酸基をヒドロキシルまたはチオールまたはエーテルまたはチオエーテル基で置換した対応する化合物、またはω-ヒドロキシアルケンまたはそのエーテルまたは同族チオールまたはチオエーテル;モノアシルグリセロール、好ましくはシスモノ不飽和モノアシルグリセロール、より好ましくはモノオレイン(C18:c9)、モノパルミトレイン(monopalmitolein)(C16:c9)およびモノヴァセニン(monovacennin)(C18:c7);中鎖長アルキルグリコシド;ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ジアシルグリセロリン脂質、モノアシルグリセロリン脂質およびバイオポリマーの結晶化マトリックスを形成することができるそれらの誘導体;および/またはii)ポリケチド、糖脂質、プレノール脂質、ステロール脂質、スフィンゴ脂質、グリセロリン脂質およびグリセロ脂質および/または脂質の誘導体、特にホスファチジルコリン(PC)、特にDOPC、ホスファチジルエタノールアミン、特にDOPE、ホスファチジルセリン、特にDOPS、カルジオリピン、リゾホスファチジルコリン、2-モノオレイン、オレアミド、コレステロール、細胞膜成分、および結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化する天然または合成化合物よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物よりなるか、または含む。

請求項10

請求項7〜9に記載の結晶化デバイス、または、バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化方法において請求項1〜6に規定された方法によって製造された結晶化デバイスの使用。

請求項11

バイオポリマーの結晶化方法であって、請求項7〜9の一項に記載の結晶化デバイスまたは請求項1〜6の方法の一つによって製造された結晶化デバイスの、少なくとも一つのレセプタクルに含有される、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量が、液体と接触して結晶化マトリックスを形成する、方法。

請求項12

前記の液体が、水、1以上の添加剤および/または結晶化されるバイオポリマーを含む請求項11の方法。

請求項13

結晶化マトリックスが沈殿溶液と接触する請求項11または12に記載の方法。

請求項14

結晶化デバイスが、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物を中に入れる少なくとも一つのレセプタクル、および、前記の少なくとも一つのレセプタクルと連絡する少なくとも一つのリザーバーを含み、沈殿溶液が好ましくはリザーバー中に分注される請求項10〜13の一項に記載の方法。

請求項15

リザーバー中の沈殿溶液が、カバー、好ましくは蒸発を防ぐフィルムで覆われている請求項14に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、バイオポリマー、特に膜タンパク質結晶化、および、マトリックス形
化合物結晶化デバイス負荷するための自動化可能な方法に関する。

背景技術

0002

次元タンパク質構造は、興味のあるタンパク質に結合する新規薬物分子の、
理論的(構造に基づく)設計およびエンジニアリングに使用できることから、商業
的価値が非常に高い。さらに、それらは、所望の特性を有する新規タンパク質の理
論的エンジニアリングを容易にする。タンパク質および他のバイオポリマーの三次
元構造は、通常、それぞれの結晶のX線回折によって決定する。X線回折の結晶学
よってそれらを可視化するためには、バイオポリマーの結晶の品質を上げなければ
ならない。残念なことに、現在、タンパク質の結晶成長の科学では、特別なタンパ
ク質が結晶化する条件を予測することはできない。従って、多くの他の組み合わせ
の問題と同様に、高次元のパラメータの余地(多数の可能なレシピ処方/組み合わ
せ)を探索して、最適な結晶化条件を見つけなければならない。時に、単純なスク
リーニングをできる限り多く実験することが最も有効な方法である。これは非常に
労働集約的で、多大な時間を要する。従って、高品質のタンパク質の結晶を製造す
ることは、依然として、X線回折結晶学によってタンパク質の構造を解明する際の障
害である。結果として、多数の異なる結晶化条件をスクリーニングするため、この
プロセスの自動化に多大な努力がなされてきた。

0003

膜タンパク質は、全ての生細胞を囲む脂質二重層(膜)に結合するか、これを往来
する、広範な分類のタンパク質である。膜タンパク質は、典型的には、細胞膜を横切
物質および/またはシグナルの制御された動き関与する。このようなことから、
膜タンパク質は、生細胞の内側と外側の間の迅速なコミュニケーションを可能にする
。膜タンパク質の例としては、イオンチャネルシグナリングレセプターホルモン
レセプター、光レセプターおよび接着タンパク質が挙げられる。このような膜タンパ
ク質は、しばしば、薬物開発の目標であり、シグナル伝達過程に関与することから、
科学的注目の中心にある。膜タンパク質の決定的な特徴の一つは、その表面上に疎水
性および親水性領域の両者が存在することである。このことにより、膜タンパク質は
、膜の殆どを構成する膜の脂質二重層によって作り出される疎水性領域中に溶け込む
ことができ、さらに、膜のいずれかの側上の水性物質と安定な接合部分を有すること
ができる。しかし、これらの特徴により、蒸気拡散法等の、溶解性(膜に結合してい
ない)タンパク質に使用される結晶化方法によって、膜タンパク質を結晶化すること
が困難になる。膜タンパク質は、水性溶媒中で容易に変性して構造が緩む。従って、
膜タンパク質の結晶化は、特に難易度が高い。しかし、膜タンパク質は、知られてい
る全てのゲノムの約30%のゲノムによってコードされることから、それらの構造は非
常に関心が高い。

0004

1996年、ランダウ(Landau)およびローゼンブッシュ(Rosenbusch)は、膜タンパク質
の結晶化のための脂質立方相の新規な使用を発表した。この方法によれば、洗浄剤
可溶化された膜タンパク質を、モノオレイン(またはモノパルミトレイン(monopalm
itolein))等の結晶化マトリックス形成化合物および水(または緩衝溶液)と混合し
、その後、多数回遠心分離する。この方法によって、粘性の両連続立方相が作り出さ
れ、硬化された脂質二重層が立体的に延び、水性チャネルによって透過される。従っ
て、マトリックス形成化合物のモノオレインは、膜タンパク質に好適な脂質二重層構
造を提供するので、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる。膜
タンパク質は、脂質二重層に分割し、その中で三次元に拡散し得ることから、いわゆ
る脂質立方相またはスポンジ相等の、脂質メソ相内でタンパク質の結晶成長を引き起
こし得る、多数の可能な空間的充填剤形状の探索が可能になる。各脂質立方相の例を
図1に示す。このように、各相は、膜タンパク質に非常に好適な結晶化マトリックス
である。

0005

それ以来、膜タンパク質の好適な結晶化マトリックスを形成する能力もあるモノ
レイン代わる、さらなるマトリックス形成化合物が同定され、膜タンパク質の結晶
化に使用されている。

0006

膜タンパク質および他のポリマーの結晶化には、なおも課題がある。これは特に、
例えばメソ、スポンジまたは立方相等の膜タンパク質の結晶化マトリックスの処理お
よび創出のように、困難である。特に、実験の設定に非常に時間がかかる。通常、一
人では一日に数件の結晶化実験しか設定し得ない。指針見出すため、しばしば多数
の結晶化条件が試験されるので、このような試験方法は、関与する過剰数の処理工程
のため、望ましくなかった。さらに、試験物質固有廃棄物がある。試験物質(例
えばマトリックス形成脂質およびタンパク質)は、その試験のみに用いられるもので
あり、物質の廃棄のため、しばしば充分な試験数が実施できなくなる。

0007

従来技術において、基本的には、バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化マト
リックスを作り出すために使用される、二つの方法がある。一つのアプローチでは、
脂質立方相を形成するために、膜タンパク質とマトリックス形成化合物(例えば、モ
オレイン等の脂質)を水溶液中で混合するが、ここで、膜タンパク質は、マトリ
クス形成化合物、例えばモノオレインによって形成された結晶化マトリックス(立方
相)において再構成される。次に、前記の脂質立方相をディスペンサーに移す。その
後、脂質立方相は、ディスペンサーより、結晶化デバイス、例えばマルチウェルプレ
ートのレセプタクル中に分注する。次に、結晶化プロセスを開始するため、例えば沈
殿溶液等の結晶化に必要な他の成分を、分注した脂質立方相に加える。この方法は、
例えば、米国特許US 2002/0072703号に記載されている。しかし、この方法は、タン
パク質の「マスターミックス」を構成するための大量のタンパク質、および、分注の
前に結晶化マトリックス(例えば立方相)を形成するためのマトリックス形成脂質化
合物を要するが、これらは規則的には得られない。このアプローチのさらなる欠点は
、例えば、タンパク質がマトリックス形成化合物と予め混合されるので、関心のある
特定のタンパク質の最適なマトリックス形成化合物を見出すために、マトリックス形
成化合物の性質を変えることができないことである。従って、タンパク質を消耗する
、タンパク質と脂質立方相のいくつかの「マスターミックス」を調製することが必要
であり、さもなければ、マトリックス形成化合物を変えることは不可能である。さら
に、膜タンパク質と脂質マトリックス形成化合物の混合は、例えば使用者手動で実
施されなければならない。それぞれに作り出された立方相の分注は、立方相の粘性に
より困難であるため、時間もかかり、または少なくともエラーが発生しやすい。

0008

さらなる問題は、立方相およびタンパク質に対する沈殿溶液の効果が、立方相とタ
ンパク質の混合物が沈殿溶液と接触するため、別々に制御できないことである。種々
のタイプの沈殿剤が、立方相の様々な変化を引き起こす。立方相を膜タンパク質溶液
に接触させる前に分析することは、興味深いかもしれない。従って、先ずマトリック
ス形成化合物とタンパク質を混ぜ合わせる現在の方法は、マトリックス形成化合物、
膜タンパク質および沈殿溶液の理想的な組み合わせをスクリーニングする可能性を制
限する。

0009

別のアプローチは、例えばマルチウェルプレート等の結晶化デバイスのレセプタ
ル中に、非常に少量の純粋なマトリックス形成化合物を量することによる、マトリ
ックス形成化合物の手動の調製を用いる。次に、結晶化マトリックスの形成を誘導
るため、タンパク質溶液を調製したマトリックス形成化合物に加える。この点におい
て、マトリックス形成化合物を膜タンパク質と正確な割合/濃度で混合することは、
非常に重要である。従って、結晶化デバイスのレセプタクル中に含まれるマトリック
ス形成化合物の量は、できる限り正確な/所定の量でなければならない。しかし、マ
トリックス形成化合物は脂質の性質のため通常固体化合物であることから、このこと
は困難である。モノオレイン等の、時にフレーク状態で存在する各固体化合物は秤量
することが難しく、これは、一つの結晶化実験において、理想的には、可能な何百あ
るいは何千もの異なる条件をスクリーニングすべきであることを考慮すると、非常に
時間のかかる手法である。従って、所定量のマトリックス形成化合物を個々に秤量す
ることは、ミディアムまたはハイスループットの結晶化実験には好適ではない。さら
に、理想的および再現可能な結晶化実験には、立方相と膜タンパク質の正確な割合を
提供することが必須であるので、秤量過程もまたエラーが発生しやすい。

発明が解決しようとする課題

0010

理想的な結晶化条件を特定し、結晶化プロセスを最適化するため、特に少量のタン
パク質しか入手できない場合に、なすべき必要がある多くの改良点がなおもある。故
に、結晶化条件のミディアムおよびハイスループットのスクリーニングを可能にする
ため、科学のこの分野において自動化可能なプロセスの必要性が高い。

課題を解決するための手段

0011

本発明の第一の態様では、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイスに負荷するための方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
a)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態を、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注できる流体状態に変える工程、および
b)前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を、結晶化デバイスの少なくとも一つのレセプタクル中に分注する工程であって、前記の分注されたマトリックス形成化合物が、前記のレセプタクル内固化する工程。

図面の簡単な説明

0012

結晶化マトリックスの一例としての、モノオレイン、水、および膜タンパク質より構成される二連続の立方相の図式モデルである。
従来技術より採用した、立方相における結晶化プロセスの略図である。
流体状態において本発明によって分注したマトリックス形成化合物を示す。
実際の適用の流れにおいて、本発明による予め充填した結晶化デバイスが、結晶化実験にいかに使用し得るかを示す。
水蒸気拡散を用いる、膜タンパク質結晶化実験の組み立てを示す。

0013

膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができるマトリックス形成化合物(本書では、「マトリックス形成化合物」とも言う)は、通常、室温では固体である(上記参照)。従って、従来技術では、レセプタクル中に固体化合物の個々の量を計り入れる。上記で概説した通り、これは時間がかかり、エラーが発生しやすく、よって自動化プロセスには適さない。本発明は、そのアプローチから逸脱し、前記のマトリックス形成化合物の凝集状態を流体状態に変え、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を結晶化デバイスのレセプタクル中へ分注することを可能にする。例えば、使用するディスペンサーにもよるが、凝集状態が、マトリックス形成化合物が粘性(または液体)で、従って分注可能な凝集状態で存在するように変えられるならば、充分である。これにより、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の所定量を結晶化デバイスのレセプタクル中に分注することが可能である。流体のマトリックス形成化合物は正確な割合/量で分注され得るので、各プロセスもまた自動化可能である。今までのところ、従来技術には、バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化のため、マトリックス形成化合物を少量だが正確な量で多数提供する方法は存在しない。

0014

前記のマトリックス形成化合物は、分注された後、前記のレセプタクル内で固化する。従って、結晶化デバイスは、正確な量のマトリックス形成化合物を固体相で含む、本発明による負荷方法から得られ、従って、貯蔵可能ですぐに使える消耗品としてユーザーに提供され得る。ユーザーは、例えば、結晶化するタンパク質を、レセプタクルに含まれるマトリックス形成化合物に、例えばタンパク質溶液の形態で添加するだけでよく、それによって、結晶化するタンパク質/バイオポリマーを含む結晶化マトリックスは、自然発生的に形成される(2工程の手法もまた実行可能であり、ここで最初に水または緩衝液を加えて結晶化マトリックスを形成し、タンパク質を結晶化する。以下参照)。その後、結晶化プロセスを開始するために、沈殿溶液を加え得る。本発明の方法によって負荷された結晶化デバイスを使用することによって、問題のあるマトリックス形成化合物/結晶化マトリックスで結晶化デバイス(上記参照)を、消費者が自身で負荷することは不用である。以下に記載する通り、エンドユーザーは、結晶化するタンパク質および結晶化に必要な他の成分/溶液のみを添加すればよい。しかし、各成分が容易に分注されるので(例えば、タンパク質および/または沈殿溶液)、このことは、ミディアムまたはハイスループットのフォーマットにおける結晶化実験の実施をも可能にする。詳細は結晶化方法と併せて後に説明する。

0015

さらに、本発明の方法によって、異なるマトリックス形成化合物またはマトリックス形成化合物の混合物を結晶化デバイスのレセプタクルに負荷することが可能になるので、分注プロセスの前に立方相を形成するために例えばマトリックス形成化合物をタンパク質と予め混合する従来技術の方法と比較して、より適応性が高い。さらに、立方相の分注は−従来技術の方法では手動で行う必要があるが−困難であり、従って、ユーザーには不便である。本発明による結晶化デバイスの負荷方法は自動化が可能であり、従って、ハイスループットスクリーニングのための予め充填した結晶化デバイスの調製に好適である。貯蔵可能な予め充填した結晶化デバイスは、ロボットシステムと併せて使用することも可能であり、これはさらなる成分(例えばタンパク質および沈殿溶液)を分注して、ミディアムまたはハイスループットのスクリーニングを構成する。

0016

従って、本発明は、ユーザーに最高の適応性および利便性を提供する、貯蔵可能ですぐに使用できる、予め充填した結晶化デバイスを提供するので、従来の負荷方法を越える重要な利点を提供する。

0017

本発明による方法は、結晶化マトリックスが分注工程の前に形成されない、従来技術の方法から逸脱する。特に、マトリックス形成化合物は、分注工程の前に、結晶化するバイオポリマーと混合されない。従って、固化した所定量のマトリックス形成化合物を含む結晶化デバイスは、貯蔵することができ、従って、すぐに使用できる消耗品としてユーザーに提供し得る。結晶化マトリックスを分注し、従って、例えば立方相またはスポンジ相として予め充填する方法は、結晶化マトリックスが脆弱であり、例えば脱水により容易に崩壊するため、短時間(おそらく数ヶ月以下)しか貯蔵できない。これらの問題は、固化したマトリックス形成化合物がより頑強で、従って適当な貯蔵条件下では数年間でも貯蔵し得ることから、本発明の方法で負荷した結晶化デバイスには発生しない。

0018

結晶化デバイスは、例えば、タンパク質結晶プレートであり得る。通常、各プレートは、例えば、24、96および可能性として384ウェルのような、3 x 2NウェルであってNは自然数であるものを含む、マルチウェルフォーマットにおいて提供される。結晶化デバイスのいくつかのデザインは従来技術において知られており、本発明で使用し得る。

0019

また、本発明の方法は、ロボットステーションの不可欠な構成要素/工程として、組み込まれ/実施され得るが、これは、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を結晶化デバイスに負荷するだけではなく、例えばタンパク質溶液および結晶化プロセスに必要な他の溶液/成分(例えば沈殿溶液)の添加も行う。

0020

結晶化デバイスは、例えば、バイオポリマー、特に膜タンパク質のシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法による結晶化を可能にする、タンパク質結晶化プレートであり得る。この目的のため、一つの態様では、タンパク質結晶化プレートは、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物を中に入れる少なくとも一つのレセプタクル、およびさらに、前記の少なくとも一つのレセプタクルと連絡する少なくとも一つのリザーバーを含んでいてもよい。前記の連絡は、例えば、蒸気拡散法等において、気体であってもよい。しかし、半透過性膜を使用する微小透析アプローチもまた、実行可能である。前記のリザーバーは、例えば、結晶化プロセスを促進して、それぞれより多くの結晶化条件をスクリーニングできるように、沈殿溶液で充填し得る。また、マトリックス形成化合物のためのいくつかのレセプタクルが、少なくとも一つのリザーバーと気体の連絡をしていることも可能である(例えば、国際特許WO 00/14311号参照)。各態様は、例えば、前記の少なくとも一つのリザーバーと気体の連絡をしているレセプタクルが、種々のマトリックス形成化合物またはマトリックス形成化合物の混合物を負荷/予め充填する場合、それによってスクリーニング実験の可変性を増やすことができるため、有利である。

0021

一つの態様では、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物の凝集状態は、マトリックス形成化合物を分注可能にする流体状態に到達させるために、分注工程の前または分注工程の間、前記のマトリックス形成化合物の温度を変えることによって、変えられる。例えば、ほとんどのマトリックス形成化合物は、室温で固体である脂質化合物である。しかし、各マトリックス形成化合物は、加熱することによって流体状態に達し、ここでこの化合物は、例えば、液体であるかまたは少なくとも粘性があるので、所定量を結晶化デバイスのレセプタクル中に分注することが可能になる。分注するためにそれぞれ維持しなければならない温度は、使用するマトリックス形成化合物またはマトリックス形成化合物の組成物によって決まり、いずれの温度で流体状態に到達するかを試験することによって容易に決定し得るが、これにより、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物または組成物を結晶化デバイスのレセプタクル中に分注することが可能になる。モノオレイン等の脂質マトリックス形成化合物については、通常、30℃を超える温度、好ましくは40℃を超える温度(例えば42℃付近)で充分に、前記の化合物が結晶化デバイスのレセプタクル中に分注することが可能になる流体状態に到達する。しかし、より高い温度を使用してもよい。一つの態様では、約100 nl〜1000 nl、または500 nl未満のマトリックス形成化合物を分注する。しかし、目的とする適用および結晶化プレートのデザインによっては、より高容量を分注してもよい。

0022

好ましくは、前記の負荷方法は、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注するための少なくとも一つの分注ユニットを含む、ロボットシステムを使用することによって自動化される。凝集状態がマトリックス形成化合物の加熱によって変わる場合、規定量のマトリックス形成化合物を分注可能な温度に設定するために、ディスペンサーのチップまたはあらゆる他の部分を使用してもよい。また、例として、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を結晶化デバイスのレセプタクル中に分注することを可能にする必要な温度に到達するために、外部加熱プロセス(例えば、熱風を吹き当てる)によって、ディスペンサー内部のマトリックス形成化合物を暖めることも可能である。従って、一つの態様では、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物は、例えばロボットシステムの分注ユニットにおいて加熱される。「ディスペンサー」または「分注ユニット」という用語は、本書では、所定量の流体、例えば液体または粘性物質の分注を可能にするデバイスに用いる。小容量を分注する場合、ディスペンサーは、非常に少量であるが正確な所定量の液体および/または粘性物質を、特にμlまたはnlの容量範囲で分注するのに適しているべきである。

0023

好ましくは、前記のマトリックス形成化合物は、少なくとも一つの以下の特徴を有する。

0024

序論で概説した通り、各マトリックス形成化合物は、例えば水和により、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成するのに好適である。膜タンパク質の結晶化マトリックスの形成が可能であるためには、マトリックス形成化合物は、膜タンパク質の生体膜の脂質二重層に似た構造中への取り込みを可能にするため、生体膜の脂質二重層に似た構造を形成することができることが重要である。その目的に適する化合物は、特に脂質化合物であり、好ましくは両親媒性化合物であり、特に脂肪酸由来アルコール誘導体である。各化合物は、通常、脂質成分として飽和または不飽和脂肪酸鎖を含む。鎖長は、炭素数14〜25に変動してもよく、より好ましくは、天然脂質近似する炭素数16〜20または16〜18に変動してもよい。

0025

従来技術において知られている好適な結晶化マトリックスは、例えば、メソ相、立方相および/またはスポンジ相である。各相/結晶化マトリックスの間の境界は、明確ではない。例えば「メソ相」という用語は、しばしば、立方相およびスポンジ相を包含する総称として使用される(詳細は、例えば、キャフェレイ(Caffrey)ら、ジャーナルオブストラクチュアル・バイオロジー(Journal of Structural Biology) 142巻(2003年) 108-132頁、シェレゾフ(Cherezov)ら、バイオフィジカル・ジャーナル(Biophysical Journal) 83巻 2002年12月 3393-3407頁、シェレゾフ(Cherezov)ら、J. Mol. Biol. (2006年) 357巻、1605-1618頁を参照のこと。引用により全て本書に全体が組み込まれる)。これらの文献に概説される通り、個々の相(立方相およびスポンジ相を含む)の間の転移は緩やかであり、例えば温度、添加剤および/または含水量に依存して、特定のマトリックス形成化合物について異なることもある。例えば、より高比率の水および/または添加剤を使用することによる立方相の膨張には、立方相が二連続性の性質を保持しつつその秩序構造を緩め、スポンジ相と呼ばれるものに変形する効果がある(図1も参照のこと)。それぞれの膨張は、結晶化マトリックスの格子パラメータが上昇するので、例えば、より大きなタンパク質の結晶化を求められる場合に有益であり得る。

0026

上記で概説される通り、前記のマトリックス形成化合物は、単独または、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することもできる、さらなるマトリックス形成化合物と組み合わせて使用し得る。各混合物により、種々のタンパク質の種々の結晶化マトリックスを試験することが可能になり、それにより、結晶化するバイオポリマーの結晶化条件の最適化および微調整が可能になる。バイオポリマー、特に膜タンパク質の構造および大きさに依存して、種々のマトリックス形成化合物が種々の結晶化の結果をもたらし得ることを理解することが重要である。従って、このパラメータを変化させ最適化するために、レセプタクルに種々のマトリックス形成化合物またはマトリックス形成化合物の混合物を負荷することも有利である。この適応性は、重要な利点である。

0027

加えて、または、代わりに、結晶化するバイオポリマーの結晶化マトリックスをさらに変える/適合させるために、マトリックス形成化合物をさらなる添加剤と混合することも有利であり得る。好ましくは各脂質添加剤の添加によるが、結晶化するバイオポリマーがより良い条件/環境を見出す効果を添加剤が有し得るので、各添加剤は結晶の形成を支援し得る。マトリックス形成化合物と添加剤の混合物は、膜タンパク質の結晶化マトリックスをなおも形成することができる添加剤組成物を形成する。各添加剤は、結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化し得る、脂質の長鎖アルコールまたは天然または合成成分であってもよい。各添加剤は、マトリックス形成化合物に添加してもよく、または、結晶化マトリックスを形成する成分(例えば、タンパク質溶液、または、結晶化マトリックスを変化させる任意の添加剤を含む溶液)を添加する際に、ユーザーが添加することもありうる。

0028

前記のマトリックス形成化合物または前記の添加剤組成物は、
a)脂肪酸、脂肪酸由来のアルコール誘導体、モノグリセリドジグリセリド、脂質およびその誘導体、好ましくは、それらの酸基ヒドロキシルまたはチオールまたはエーテルまたはチオエーテル基置換した対応する化合物、またはω-ヒドロキシアルケンまたはそのエーテルまたは同族チオールまたはチオエーテルモノアシルグリセロール、好ましくはシスモ不飽和モノアシルグリセロール、より好ましくはモノオレイン(C18:c9)、モノパルミトレイン(monopalmitolein)(C16:c9)およびモノヴァセニン(monovacennin)(C18:c7);中鎖アルキルグリコシドポリアルキレングリコールポリエチレングリコールジアシルグリセロリン脂質モノアシルグリセロリン脂質およびバイオポリマーの結晶化マトリックスを形成することができるそれらの誘導体;および/または
b)ポリケチド糖脂質プレノール脂質、ステロール脂質、スフィンゴ脂質グリセロリン脂質およびグリセロ脂質および/または脂質の誘導体、特にホスファチジルコリン(PC)、特に1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリンDOPC)、ホスファチジルエタノールアミン、特に1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルセリン、特に1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスフォセリン(DOPS)、カルジオリピンリゾホスファチジルコリン、2-モノオレイン、オレアミドコレステロール細胞膜成分、および結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化する天然または合成化合物
よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物よりなるか、または含む。

0029

従って、本発明と組み合わせて単独で、または混合物として、および/または列記した添加剤と組み合わせて使用し得る、多数の好適なマトリックス形成化合物が存在する。

0030

また、本発明による方法を使用することにより、それぞれの予め充填された結晶化デバイスの製造方法が提供される。

0031

また、本発明によって、多数のレセプタクルを含む結晶化デバイスであって、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つの固体マトリックス形成化合物の所定の均一量を前記のレセプタクルのうちの少なくともいくつかが含むデバイスが提供される。この点において均一とは、マトリックス形成化合物がレセプタクルにおいて、フレーク状態ではなく、均一な液滴/構造を形成することを意味する。例えば、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を前記のレセプタクル中に凝固の流体状態で分注し、本発明の方法を使用して前記のレセプタクル内で固化した場合に、各均一構造を達成することができる。

0032

凝集状態を、前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物を分注可能にする流体状態に変えることの利点は、負荷方法と併せて上記で詳細に論じている。従って我々は、上記の開示を参照する。好ましくは、凝集の状態は、マトリックス形成化合物を加熱することによって変化させる。マトリックス形成化合物を前記のレセプタクル中に分注する際には、前記の化合物は、前記のレセプタクル内で少なくとも室温まで冷却する時に、再度固化する。また、負荷した結晶化デバイスを冷却または凍結することによって、そのプロセスを促進することも可能である。

0033

本発明の教示に従って製造される結晶化デバイスは、固体のマトリックス形成化合物の分割量固体状態でレセプタクル中に秤量されるデバイス、または、その均一構造により水和した結晶化マトリックスを含むデバイスと区別できる。例えば、マトリックス形成化合物を本発明による流体状態で分注し、レセプタクル内で固化する場合、前記のマトリックス形成化合物は、前記のレセプタクル内で均一に分布し、長期間貯蔵することができる。

0034

結晶化デバイスは、例えば、マトリックス形成化合物を水和から保護するためにシールしてもよく、従って、結晶化デバイスが水和および/またはタンパク質溶液、および任意に結晶化実験のための他の成分と接触するまでの貯蔵用に調製してもよい。固体のマトリックス形成化合物は長期間にわたって貯蔵し得るので(上記参照)、マトリックス形成化合物および任意に結晶化マトリックスを形成することができる添加剤のみを結晶化デバイスのレセプタクル内に予め負荷することは、有利な特徴である。このことは、例えば、立方相またはスポンジ相等の、予め混合した、または、予め形成した結晶化マトリックスを用いた場合では不可能であり、これらは固体構造を持たず、容易に水和し、従って貯蔵中に崩壊する。従って、予め形成した結晶化マトリックス(例えば立方相またはスポンジ相)を分注する従来技術の方法は長期間の貯蔵には適さず、影響を受けやすいため取り扱い/貯蔵がより困難である。さらに、結晶化するバイオポリマーによっては、ユーザーは、組み合わせの適応性をさらに増し、ひいては理想的な結晶条件を見出す機会をさらに増やすために、マトリックス形成化合物の水和、従って、結晶化マトリックスの創出に使用する液体を変化させることに興味があるかもしれない。

0035

従って、本発明による結晶化デバイスは、ハイスループットのスクリーニング実験に高い適応性を提供する、貯蔵可能ですぐに使える消耗品を提供するので、従来技術のデバイスを越える重要な利点を有する。さらに、上記で概説した通り、それらは、本発明による結晶化デバイスへの少なくとも一つのマトリックス形成化合物の負荷から、タンパク質溶液および沈殿溶液の添加、結晶化のために調製された結晶化デバイスのシーリングおよび貯蔵に渡る、全体の結晶化実験を実施または構成するロボットシステムと、連結して使用することもできる。

0036

従って、本発明の結晶化デバイスの有利な特徴は、例えば流体状態で分注されて各レセプタクル内で固化された前記の少なくとも一つのマトリックス形成化合物が、分注工程の前に結晶化するバイオポリマーと予め混合されず、および/または、例えば立体相またはスポンジ相等の結晶化マトリックスとして分注されなかったことであるが、これは、各結晶化マトリックスが、未だ結晶化マトリックスを形成していないマトリックス形成化合物、または、上述の通りの添加剤と任意に混合したそれらの混合物/組成物よりも、安定でないためである。その後、ユーザーが水および/またはタンパク質溶液等の必要な成分を添加すると、各結晶化マトリックスが形成される。

0037

一つの態様では、結晶化デバイスは、タンパク質結晶化プレートである。好ましくは、プレートは、マルチウェルフォーマットで存在する。好適な結晶化デバイスおよびその好適な態様は、上記で詳細に記述したので、上記の開示を引用する。

0038

一つの態様において、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる前記のマトリックス形成化合物は、以下の特徴の少なくとも一つを有する:
a)メソ相を形成することができる;および/または
b)立方相を形成することができる;および/または
c)スポンジ相を形成することができる;および/または
d)脂質化合物である;および/または
e)両親媒性である;および/または
f)飽和または不飽和脂肪酸鎖を含む;および/または
g)脂肪酸由来のアルコール誘導体である。

0039

これらの化合物、添加剤を含む好適な混合物および組成物に関するさらなる詳細は、負荷方法と併せて上記に詳細に論じており、本発明による結晶化デバイスに含まれるマトリックス形成化合物またはマトリックス形成組成物に同等に適用される。上記の開示を引用する。

0040

さらなる態様では、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる前記のマトリックス形成化合物は、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができるさらなるマトリックス形成化合物と組み合わせて使用し、および/または、少なくとも一つの添加剤と混合して、添加剤組成物を形成する。各組成物に関する詳細は、上記で詳細に論じており、本発明による結晶化デバイスに同等に適用される。

0041

一つの態様において、前記のマトリックス形成化合物または前記の添加剤組成物は、
a)脂肪酸、脂肪酸由来のアルコール誘導体、モノグリセリド、ジグリセリド、脂質およびその誘導体、好ましくは、それらの酸基をヒドロキシルまたはチオールまたはエーテルまたはチオエーテル基で置換した対応する化合物、またはω-ヒドロキシアルケンまたはそのエーテルまたは同族チオールまたはチオエーテル;モノアシルグリセロール、好ましくはシスモノ不飽和モノアシルグリセロール、より好ましくはモノオレイン(C18:c9)、モノパルミトレイン(monopalmitolein)(C16:c9)およびモノヴァセニン(monovacennin)(C18:c7);中鎖長アルキルグリコシド;ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ジアシルグリセロリン脂質、モノアシルグリセロリン脂質およびバイオポリマーの結晶化マトリックスを形成することができるそれらの誘導体;および/または
b)ポリケチド、糖脂質、プレノール脂質、ステロール脂質、スフィンゴ脂質、グリセロリン脂質およびグリセロ脂質および/または脂質の誘導体、特にホスファチジルコリン(PC)、特にDOPC、ホスファチジルエタノールアミン、特にDOPE、ホスファチジルセリン、特にDOPS、カルジオリピン、リゾホスファチジルコリン、2-モノオレイン、オレアミド、コレステロール、細胞膜成分、および結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化する天然または合成化合物
よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物よりなるか、または含む。

0042

また、本発明は、上述した通りの結晶化デバイス、または、バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化方法において上述した負荷方法によって製造された結晶化デバイスの使用にも関する。自動化の可能性および種々のスクリーニング条件を試験する適応性に関する利点は、上記で詳細に論じている。上記の開示を引用する。

0043

また、本発明は、バイオポリマーの結晶化方法に関し、ここで、上述の通りの結晶化デバイスまたは上述の方法によって製造/負荷された結晶化デバイスの少なくとも一つのレセプタクルに含有される、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つの化合物の所定量を液体と接触させて、結晶化マトリックス、例えばメソ相、立方相またはスポンジ相を形成する。

0044

上記で概説した通り、本発明と併せて使用し得るマトリックス形成化合物、特に脂質マトリックス形成化合物(上記参照)は、液体、特に水性液体と接触する際に、生体膜の脂質二重層の類似体模倣体とともに結晶化マトリックスを、自然発生的に形成する。前記の結晶化マトリックスは、好ましくは、最新技術においてよく知られている通りの、メソ相、立方相およびスポンジ相を含む群から選択される。いくつかの種々の好適な結晶化マトリックスは、上記に記載され、従来技術においても知られている(例えば、M.キャフレイ(Caffrey)、ジャーナル・オブ・ストラクチュアル・バイオロジー(Journal of Structural Biology) 142巻(2003年) 108-132頁;V.シェレゾフ(Cherezov)「移動余地:膨張脂質メソ相における結晶化膜タンパク質(Room to Move: Crystallization Membrane Proteins in Swollen Lipidic Mesophases)」J. Mol. Biol. (2006年) 357巻、1605-1618頁参照)。

0045

驚くべきことに、マトリックス形成化合物から結晶化マトリックスを作り出すための代替経路があることがわかった。例えば、マトリックス形成化合物の液体に対する割合は、形成される結晶化マトリックスの種類の決定因子である。例えば液体の比率がより高い場合には、立方相よりむしろ、スポンジ相が形成される。従って、例えば、種々のマトリックス形成化合物またはその混合物を選ぶだけではなく、マトリックス形成化合物から結晶化マトリックスを形成するための種々の水和条件を選ぶことによっても、結晶化マトリックスの性質を変え得る。通常、結晶化マトリックス形成プロセスは、少なくとも0.5〜3時間かかる。しかし、これは、使用するマトリックス形成化合物および水和溶液組成次第である。

0046

一つの態様では、通常洗浄剤を含むタンパク質溶液を、結晶化デバイスのレセプタクル内に含有されるマトリックス形成化合物/組成物に添加する。タンパク質溶液が水性である場合、タンパク質溶液をマトリックス形成化合物と共にインキュベートする際に、結晶化マトリックスが自然発生的に形成される。この手法は、結晶化マトリックス、例えば立方相またはスポンジ相が、タンパク質の存在下で形成されるという利点を有する。従って、結晶化するバイオポリマーは、普通は膜タンパク質であり、通常生体膜構造に似ている/模倣した結晶化マトリックス構造において直接的に再構成および一体化される(上記参照)。上述の通り、タンパク質溶液は添加剤を含んでもよい。

0047

別の態様では、本発明による結晶化デバイスのレセプタクル中に存在するマトリックス形成化合物を、結晶化するバイオポリマーをまだ含まない水性液体と接触させる。例えば、脂質添加剤等の添加剤を含んでいてもよい水性液体(例えば、水および/または緩衝液)の添加に際して、結晶化マトリックスは、非常に迅速に、通常1時間未満内、さらに0.5時間以内に形成される(図2も参照のこと)。それぞれ予め膨張した結晶化マトリックスは、次に、タンパク質を取り込む結晶化マトリックスを形成するためのタンパク質溶液と接触させる。バイオポリマーは、拡散による接触に際して、バイオポリマーを模倣する/似ている結晶化構造中に一体化される。

0048

結晶化マトリックスを形成する水性溶液に含まれ得る、好適な添加剤は、ポリケチド、糖脂質、プレノール脂質、ステロール脂質、スフィンゴ脂質、グリセロリン脂質およびグリセロ脂質および/または脂質の誘導体、特にホスファチジルコリン(PC)、特にDOPC、ホスファチジルエタノールアミン、特にDOPE、ホスファチジルセリン、特にDOPS、カルジオリピン、リゾホスファチジルコリン、2-モノオレイン、オレアミド、コレステロール、細胞膜成分、および結晶化マトリックスにおいて膜タンパク質を安定化する天然または合成化合物よりなる群から選択し得る。

0049

結晶化マトリックスは、結晶化プロセスを開始するために、沈殿溶液と接触させてもよい。例えば、好適な組成物の沈殿剤を添加する際に、結晶化マトリックスおよび/またはタンパク質に変化が起き、タンパク質−タンパク質の接触、および結晶形成を誘導する安定な核形成が容易になる。従って、好ましくは、沈殿溶液は、タンパク質が結晶化マトリックスに取り込まれる時に添加する。好ましくは、前記の結晶化マトリックスは、希釈してもよい沈殿溶液で覆われる。それによって、結晶化マトリックスとしても働き、取り込まれたタンパク質の結晶化の促進もする、スポンジ相が作り出され得る。好適な沈殿溶液は、従来技術において知られており、沈殿剤として、例えば、塩、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、有機化合物アルコールおよびそれらの組み合わせを含み得る。

0050

使用される結晶化デバイスは、膜タンパク質の結晶化マトリックスを形成することができる少なくとも一つのマトリックス形成化合物を中に入れる少なくとも一つのレセプタクル、および、前記の少なくとも一つのレセプタクルと連絡する少なくとも一つのリザーバーを含み得る。各設計の詳細は上述しており、ここで同様に適用する。前記のリザーバーは、沈殿溶液で満たし得るが、好ましくは、沈殿溶液は、結晶化マトリックスを覆うために使用する沈殿溶液より高い沈殿剤濃度を含む(上記参照)。

0051

さらなる態様では、リザーバー内の沈殿溶液は、例えば蒸発を防ぐフィルム等のカバーで覆われる。好適な化合物は、水に不溶性非揮発性化合物であり、水よりも密度が小さい。好適な物質は、例えば、油および低密度の化合物である。それによって、結晶化プロセスは、非常に穏やかに促進される。

0052

また、本発明は、本発明による結晶化デバイスを製造および使用することによって、結晶化パラメータ、特に最適なマトリックス形成化合物、その混合物および添加剤との混合物を特定する、スクリーニングシステムを提供する。バイオポリマー、特に膜タンパク質の結晶化反応は、このスクリーニングシステムで系統的に試験し得る。予め分注したマトリックス形成化合物は、種々の結晶化マトリックスを試験するために上述の通り変化させることもできるが、これにより、ユーザーは所望のタンパク質および沈殿溶液を分注するだけでよく、これらは両者とも容易に分注可能である。従って、このスクリーニングシステムは、完全に自動化されたシステムにおいて使用してもよく、理想的な結晶化条件のためのハイスループットアッセイおよび迅速なスクリーニングを可能にする。

0053

以下に、本発明を非限定的な実施例によって説明する。

0054

図1aは、結晶化マトリックスの一例としての、モノオレイン、水、および膜タンパク質より構成される二連続の立方相の図式モデルである。マトリックスは、二つのコンパートメントからなり、連続的水性チャネルの系によって浸透する、無限三次元周期性最低表面(周期性脂質二重層として示される)を有する膜システムである。膜タンパク質は、脂質二重層に再構成される(図1bも参照)。スポンジ相は、立方相と類似の構造を有するが、より高い水/液体含量により、構造はより開放的/緩い。

0055

図1b)は、従来技術より採用した、立方相における結晶化プロセスの略図である(マーティン・キャフレイ(Martin Caffrey)、ジャーナル・オブ・ストラクチュアル・バイオロジー(Journal of Structural Biology)、142巻(2003年)108〜132頁、図13参照)。一般的な膜タンパク質の結晶化プロセスは、水媒体において、洗浄剤中での膜タンパク質の可溶化である。洗浄剤はミセルを形成し、また、水媒体中、タンパク質を可溶化する。水媒体中で可溶化されたタンパク質を、マトリックス形成化合物、例えば、モノオレイン等の脂質と接触させる時、モノオレインの水和により、接触しているL-αおよび立方相を形成する(相の記載については、シェレゾフ(Cherezov)ら、J.Mol.Biol.(2006年)357巻、1605〜1618頁、図1も参照のこと)。マトリックス形成化合物は、結晶化するタンパク質を再構成し、従って取り込む、膜様構造を形成する。結晶化マトリックス、例えば、示した立方相の形成の間、タンパク質は再構成されて、結晶化マトリックス中に分散する。それによって、タンパク質は結晶化マトリックス、ここでは立方相の二重層において再構成され取り込まれる。水の吸引および電荷スクリーニング効果によって結晶化を開始する沈殿剤(例えば、塩)の添加により、結晶化プロセスを誘導する。立方相における二重層の曲率は、含水量が落ちるにつれて増加する。図1c)は、立方相からラメラ型構造へのタンパク質(および脂質、共結晶化の場合)の可逆的結晶化を実証する。各結晶化は、しばしば、いわゆるスポンジ相を通って起こるが、そこでは、ラメラ型構造が形成される前に、立方相の秩序構造が緩められる。

0056

一般的に、立方相、メソ相またはスポンジ相等の、各結晶化マトリックスにおけるタンパク質の結晶化プロセスは、完全には理解/考案されていない。従って、図1c)は、一つのモデル系を表しているだけである。

0057

図2は、流体状態において本発明によって分注したマトリックス形成化合物、再びモノオレイン、を示す。見られる通り、固化したモノオレインは、結晶化デバイスのレセプタクルにおいて、むしろ均一な小さな塊として取り込まれている。液体(ここでは水)と接触させた際に、モノオレインは即座に膨張し、結晶化マトリックスを形成する。

0058

図3は、実際の適用の流れにおいて、本発明による予め充填した結晶化デバイスが、結晶化実験にいかに使用し得るかを示す。左側では、タンパク質溶液を直接マトリックス形成化合物、例えばモノオレインに添加し、約2〜3時間のインキュベーション工程の間、マトリックス形成化合物の膨張が起きて、結晶化マトリックス(立方相)を作り出すが、これは再構成されたタンパク質を含む。右側は別の選択肢を示し、ここで、結晶化するバイオポリマーを含まない液体、例えば、任意に脂質または他の添加剤と混合した水を、マトリックス形成化合物に添加する。約30分のインキュベーション工程において、マトリックス形成化合物の膨張が起きて、結晶化マトリックス(立方相)を作り出すが、これはまだ結晶化するタンパク質を含まない。マトリックス形成化合物を膨張させ、結晶化マトリックス、ここでは立方相、を作り出すために、通常、この短時間で充分である。次に、タンパク質溶液を、予め膨張させた結晶化マトリックス、例えば立方相に添加する。タンパク質の立方相への侵入は、拡散によって受動的に起こる。

実施例

0059

図4は、水蒸気拡散を用いる、膜タンパク質結晶化実験の組み立てを示す。立方相(中央に示す)を1M塩溶液で覆うが、これは希釈した沈殿溶液である。前記のレセプタクルとの気体の連絡において、結晶化デバイス内にリザーバーを置くが、これは2M塩溶液を含有し、示した態様では、非希釈沈殿溶液を表す。結晶化は水蒸気拡散によって起こる。1M塩溶液は、立方相から水を引き抜き、一方リザーバー中の2M塩溶液は、1M塩溶液から水を引き抜く。このため、水の引き抜きは、非常に穏やでゆっくりと起こり、このことは、結晶化するタンパク質(バクテリオロドプシン−BR)に理想的な条件を提供する。一つの態様では、リザーバー中に存在する液体は保護フィルムで覆われるが、これは、リザーバー内部の沈殿溶液の蒸発を防ぐ。

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