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図面 (20)

課題

細胞培養物蓄積するアンモニアの主要供給源であるグルタミンコントロールしたグルタミンフリー細胞培養培地、及び、グルタミンフリー哺乳動物細胞培養における組換えタンパク質(例えば抗体)の生産方法の提供。

解決手段

ポリペプチドを、該ポリペプチドを発現している哺乳動物宿主細胞において産生する方法において、アスパラギン含有のグルタミンフリー産生培養培地における培養の産生期で哺乳動物宿主細胞を培養することを含んでなる方法。産生期におけるポリペプチドの産生のための使用準備済のグルタミンフリー細胞培養培地。

概要

背景

哺乳動物細胞は臨床利用のための哺乳動物タンパク質の産生の主要なシステムとなっており、主に、適切に折畳まれ組み合わせられた異種タンパク質生産するそれらの能力、及び翻訳後修飾のそれらの能力による。抗体を含む異種タンパク質の組換え生産の間、細胞培養培地グルタミンを有することが一般的である。L-グルタミンは必須アミノ酸であり、培養における細胞のための主要エネルギー及び窒素源と考えられる。多くの市販の培地は、基本配合に含まれるか又は使用の際に液体培地配合に添加される遊離L-グルタミンで調製される。従って、成長のために必要なグルタミンを細胞自身が産生するGS NS0及びGSCHO細胞株等のグルタミン合成酵素形質移入された細胞株のためのものを除き、全ての哺乳動物細胞培養培地はグルタミンを有する。グルタミンは様々な濃度で広く使用され、基本培地では典型的には1から20mM、流加培養過程フィードにおいてはずっと高い濃度で使用される。例えばL-グルタミンの濃度は、Ames培地では0.5mMでありMCDP培地131では10mMである。DMEM/Ham's Nutrient Mixture F-12 (50:50)が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞と使用される専有培地のための開始配合としてしばしば使用される。DMEM/Ham’s Nutrient Mixture F-12におけるL-グルタミンは2.5mMである。Serum-Free/Protein Free Hybridoma MediumにおけるL-グルタミン濃度は2.7mMである。DMEM、GMEM、IMDM及びH-Y培地のL-グルタミンは4mMであり、その中でIMDMが専有のハイブリドーマ細胞培養培地のための開始配合としてしばしば使用される。ハイブリドーマ細胞は、培地に見られる平均レベルより上のL-グルタミンの濃度においてより良く成長すると一般的に考えられている。(Dennis R. Conrad, Glutamine in Cell Culture, Sigma-Aldrich Media Expert)。

グルタミンが細胞培養物蓄積するアンモニアの主要供給源であることが示された(Markus Schneider,等. 1996, Journal of Biotechnology 46:161-185による概説を参照)。従って、細胞培養培地のグルタミンを低下させることはNH4+レベルの蓄積を著しく低減し、結果としてより低い細胞傷害性となった(Markus Schneider,等. 1996,上掲を参照)。低減されたNH4+細胞傷害性はより高い細胞生存度となり、従って培養寿命延長した。CHO細胞を使用した推定グルタミン消費研究に基づくと、細胞は1日当たり0.3−0.4mMの割合でグルタミンを消費しうることが示唆された(Miller,等. 1988, Biotechnol. Bioeng. 32: 947-965)。Altamirano等(2001, J. Biotechnol. 110:171-9)は、組換え型ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(rhut-PA)を生産するCHO細胞の再分布に関する、グルタミン酸によるグルタミン置換の効果及びグルタミン酸及び糖代謝間の平衡を研究した。グルタミンがグルタミンで置換されグルコース異化代謝と平衡(炭素窒素比率、C/N比率)となった時、細胞代謝が再分布されrhut-PAの生産により有利に炭素及びエネルギー源を利用することを強いられることが分かった。また、接着培養においてCHO細胞は、培地におけるグルタミン酸からのグルタミンの合成を細胞に可能にする内因性グルタミン合成酵素活性により、添加グルタミン無しで成長することが可能であることが報告された(Sanfeliu and Stephanopoulos, 1999, Biotechnol. Bioeng. 64:46-53)。しかしながら、グルタミン含有培地におけるコントロール培養と比較して、グルタミンフリー培地細胞成長速度は遅くなり、G0/G1期分布した細胞の割合は増加した。グルタミン及びグルタミン酸の減少は細胞死を導いた。

概要

細胞培養物に蓄積するアンモニアの主要供給源であるグルタミンをコントロールしたグルタミンフリー細胞培養培地、及び、グルタミンフリー哺乳動物細胞培養における組換えタンパク質(例えば抗体)の生産方法の提供。ポリペプチドを、該ポリペプチドを発現している哺乳動物宿主細胞において産生する方法において、アスパラギン含有のグルタミンフリー産生培養培地における培養の産生期で哺乳動物宿主細胞を培養することを含んでなる方法。産生期におけるポリペプチドの産生のための使用準備済のグルタミンフリー細胞培養培地。なし

目的

(発明の詳細な説明)
定義
用語「細胞培養培地」、「培養培地」及び「栄養分混合物」とは、哺乳動物細胞を増殖させるのに用いられる栄養液を意味し、典型的には一又は複数の以下のカテゴリからの少なくとも一成分を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

ポリペプチドを、該ポリペプチドを発現している哺乳動物宿主細胞において産生する方法において、アスパラギン含有のグルタミンフリー産生培養培地における培養の産生期で哺乳動物宿主細胞を培養することを含んでなる方法。

請求項2

アスパラギンが2.5mMから15mMの範囲の濃度で添加される請求項1に記載の方法。

請求項3

アスパラギンが7.5mMから10mMの範囲の濃度で添加される請求項1に記載の方法。

請求項4

アスパラギンが10mMの濃度で添加される請求項1に記載の方法。

請求項5

アスパラギンが10mMの濃度で添加される請求項1に記載の方法。

請求項6

前記組換え宿主細胞真核生物宿主細胞である請求項1に記載の方法。

請求項7

前記真核生物宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である請求項6に記載の方法。

請求項8

前記哺乳動物宿主細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である請求項7に記載の方法。

請求項9

哺乳動物宿主細胞がdhfr−CHO細胞である請求項86に記載の方法。

請求項10

産生培地無血清である請求項1に記載の方法。

請求項11

産生培地が1)エネルギー源;2)必須アミノ酸;3)ビタミン;4)遊離脂肪酸;及び5)微量元素から成る群から選択される一又は複数の成分を含有する請求項1に記載の方法。

請求項12

産生培養培地が1)ホルモン及び他の増殖因子;2)塩及びバッファー;及び3)ヌクレオシドから成る群から選択される一又は複数の成分を更に含有する請求項11に記載の方法。

請求項13

産生期が回分又は流加培養期である請求項1に記載の方法。

請求項14

前記ポリペプチドを単離する工程を更に含んでなる請求項1に記載の方法。

請求項15

細胞生存度、培養寿命比生産性及び単離後の最終組換えタンパク質力価の一又は複数を決定することを更に含んでなる請求項14に記載の方法。

請求項16

細胞生存度、培養寿命、比生産性及び最終組換えタンパク質力価の少なくとも一つが、同じ組成のグルタミン含有産生培地で産生される同じポリペプチドと比較して増加される請求項15に記載の方法。

請求項17

ポリペプチドが哺乳動物糖タンパク質である請求項1に記載の方法。

請求項18

ポリペプチドが抗体、抗体断片及びイムノアドヘシンからなる群から選択される請求項1に記載の方法。

請求項19

前記抗体断片が、Fab、Fab′、F(ab′)2、scFv、(scFv)2、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、単鎖抗体分子ミニボディダイアボディ、抗体断片から形成された多重特性抗体から成る群から選択される請求項18に記載の方法。

請求項20

抗体又は抗体断片が、キメラヒト化又はヒトである請求項18に記載の方法。

請求項21

抗体又は抗体断片が、治療用抗体又はそれらの生物学的に機能的な断片である請求項18に記載の方法。

請求項22

前記治療用抗体が、抗HER2抗体抗CD20抗体;抗IL-8抗体;抗VEGF抗体抗CD40抗体、抗CD11a抗体;抗CD18抗体;抗免疫IgE抗体;抗Apo-2受容体抗体;抗組織因子(TF)抗体;抗ヒトα4β7インテグリン抗体抗EGFR抗体抗CD3抗体抗CD25抗体抗CD4抗体抗CD52抗体;抗Fc受容体抗体;抗癌胎児性抗原CEA)抗体;胸部上皮細胞に対する抗体;結腸癌細胞に結合する抗体;抗CD38抗体;抗CD33抗体;抗CD22抗体抗EpCAM抗体;抗GpIIb/IIIa抗体;抗RSV抗体;抗CMV抗体;抗HIV抗体;抗肝炎抗体;CA125抗体;抗αvβ3抗体;抗ヒト腎細胞癌抗体;抗ヒト17-1A抗体;抗ヒト直腸結腸腫瘍抗体;GDガングリオシドに対する抗ヒト黒色腫抗体R24;抗ヒト扁平上皮癌;及び抗ヒト白血球抗原HLA)抗体及び抗HLADR抗体からなる群から選択される請求項21に記載の方法。

請求項23

治療用抗体が、HER受容体VEGF、IgE、CD20、CD11a、CD40、BR3又はDR5に結合する抗体である請求項21に記載の方法。

請求項24

前記HER受容体がHER1及び/又はHER2である請求項23に記載の方法。

請求項25

前記HER受容体がHER2である請求項24に記載の方法。

請求項26

前記治療用抗体が、配列番号:16、17、18及び19から成る群から選択される重及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を有する請求項25に記載の方法。

請求項27

前記治療用抗体がCD20に結合する抗体である請求項23に記載の方法。

請求項28

前記治療用抗体が、配列番号:1−15から成る群から選択される重及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を有する請求項27に記載の方法。

請求項29

前記治療用抗体がVEGFに結合する抗体である請求項23に記載の方法。

請求項30

前記治療用抗体が、配列番号:20−25から成る群から選択される重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を有する請求項29に記載の方法。

請求項31

前記治療用抗体がCD11aを結合する抗体である請求項23に記載の方法。

請求項32

前記治療用抗体が、配列番号:26−29から成る群から選択される重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を有する請求項31に記載の方法。

請求項33

前記治療用抗体がDR5受容体に結合する請求項23に記載の方法。

請求項34

前記治療用抗体が、Apomabs1.1、2.1、3.1、4.1、5.1、5.2、5.3、6.1、6.2、6.3、7.1、7.2、7.3,8.1、8.3、9.1、1.2、2.2、3.2、4.2、5.2、6.2、7.2、8.2、9.2、1.3、2.2、3.3、4.3、5.3、6.3、7.3、8.3、9.3、及び25.3から成る群から選択される請求項33に記載の方法。

請求項35

前記治療用抗体がApomab 8.3又はApomab 7.3である請求項33に記載の方法。

請求項36

前記治療用抗体がApomab 7.3である請求項35に記載の方法。

請求項37

前記治療用抗体が抗BR3抗体又はBR3-Fcイムノアドヘシンである請求項23に記載の方法。

請求項38

前記ポリペプチドが治療用ポリペプチドである請求項1に記載の方法。

請求項39

治療用ポリペプチドが、成長ホルモン放出因子ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン甲状腺刺激ホルモンリポタンパク質アルファ-1-アンチトリプシンインスリンA-鎖;インスリンB鎖プロインスリン卵胞刺激ホルモンカルシトニン黄体形成ホルモングルカゴン凝固因子、例えば第VIIIC因子、第IX因子、組織因子及びヴォン・ヴィレブランド因子抗凝固因子、例えばプロテインC心房ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA);ボンベシントロンビン造血成長因子腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリナーゼランテス(RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質MIP-1-α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンミュラー管抑制因子リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロ・リラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド微生物タンパク、例えばβ‐ラクタマーゼデオキシリボヌクレアーゼ;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えばCTLA-4;インヒビンアクチビン血管内皮成長因子(VEGF);ホルモン又は増殖因子の受容体;プロテインA又はD;リウマトイド因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、NT-6)、又は神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞増殖因子、例えばaFGF及びbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGFアルファ及びTGFベータ、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4又はTGF-β5を含む;インスリン様増殖因子-I及び-II(IGF-I及びIGFII);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34及びCD40;エリスロポエチン骨誘導因子イムノトキシン骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び、-γ;コロニー刺激因子CSF)、例えばM-CSF、GM-CSF及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えばIL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼT細胞受容体表層膜タンパク質崩壊促進因子ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質インテグリン、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えばHER2、HER3又はHER4受容体;及び前記ポリペプチドの断片から成る群から選択される請求項38に記載の方法。

請求項40

産生期におけるポリペプチドの産生のための使用準備済のグルタミンフリー細胞培養培地

技術分野

0001

本発明は概してグルタミンフリー細胞培養培地に関する。本発明は更にグルタミンフリー哺乳動物細胞培養における、抗体等の組換えタンパク質生産に関する。

背景技術

0002

哺乳動物細胞は臨床利用のための哺乳動物タンパク質の産生の主要なシステムとなっており、主に、適切に折畳まれ組み合わせられた異種タンパク質を生産するそれらの能力、及び翻訳後修飾のそれらの能力による。抗体を含む異種タンパク質の組換え生産の間、細胞培養培地にグルタミンを有することが一般的である。L-グルタミンは必須アミノ酸であり、培養における細胞のための主要エネルギー及び窒素源と考えられる。多くの市販の培地は、基本配合に含まれるか又は使用の際に液体培地配合に添加される遊離L-グルタミンで調製される。従って、成長のために必要なグルタミンを細胞自身が産生するGS NS0及びGSCHO細胞株等のグルタミン合成酵素形質移入された細胞株のためのものを除き、全ての哺乳動物細胞培養培地はグルタミンを有する。グルタミンは様々な濃度で広く使用され、基本培地では典型的には1から20mM、流加培養過程フィードにおいてはずっと高い濃度で使用される。例えばL-グルタミンの濃度は、Ames培地では0.5mMでありMCDP培地131では10mMである。DMEM/Ham's Nutrient Mixture F-12 (50:50)が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞と使用される専有培地のための開始配合としてしばしば使用される。DMEM/Ham’s Nutrient Mixture F-12におけるL-グルタミンは2.5mMである。Serum-Free/Protein Free Hybridoma MediumにおけるL-グルタミン濃度は2.7mMである。DMEM、GMEM、IMDM及びH-Y培地のL-グルタミンは4mMであり、その中でIMDMが専有のハイブリドーマ細胞培養培地のための開始配合としてしばしば使用される。ハイブリドーマ細胞は、培地に見られる平均レベルより上のL-グルタミンの濃度においてより良く成長すると一般的に考えられている。(Dennis R. Conrad, Glutamine in Cell Culture, Sigma-Aldrich Media Expert)。

0003

グルタミンが細胞培養物蓄積するアンモニアの主要供給源であることが示された(Markus Schneider,等. 1996, Journal of Biotechnology 46:161-185による概説を参照)。従って、細胞培養培地のグルタミンを低下させることはNH4+レベルの蓄積を著しく低減し、結果としてより低い細胞傷害性となった(Markus Schneider,等. 1996,上掲を参照)。低減されたNH4+細胞傷害性はより高い細胞生存度となり、従って培養寿命延長した。CHO細胞を使用した推定グルタミン消費研究に基づくと、細胞は1日当たり0.3−0.4mMの割合でグルタミンを消費しうることが示唆された(Miller,等. 1988, Biotechnol. Bioeng. 32: 947-965)。Altamirano等(2001, J. Biotechnol. 110:171-9)は、組換え型ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(rhut-PA)を生産するCHO細胞の再分布に関する、グルタミン酸によるグルタミン置換の効果及びグルタミン酸及び糖代謝間の平衡を研究した。グルタミンがグルタミンで置換されグルコース異化代謝と平衡(炭素窒素比率、C/N比率)となった時、細胞代謝が再分布されrhut-PAの生産により有利に炭素及びエネルギー源を利用することを強いられることが分かった。また、接着培養においてCHO細胞は、培地におけるグルタミン酸からのグルタミンの合成を細胞に可能にする内因性グルタミン合成酵素活性により、添加グルタミン無しで成長することが可能であることが報告された(Sanfeliu and Stephanopoulos, 1999, Biotechnol. Bioeng. 64:46-53)。しかしながら、グルタミン含有培地におけるコントロール培養と比較して、グルタミンフリー培地細胞成長速度は遅くなり、G0/G1期分布した細胞の割合は増加した。グルタミン及びグルタミン酸の減少は細胞死を導いた。

0004

本発明は、少なくとも部分的には、組換えタンパク質は、グルタミンフリー生産培地を使用した哺乳類宿主細胞において何れの重大な有害作用無く生産されるだけでなく、事実、産生期におけるグルタミンフリー培地の使用は細胞生存度、培養寿命、比生産性及び/又は最終の組換えタンパク質力価を著しく増加するという予期しなかった発見に基づく。

0005

本発明は、また、アスパラギンのグルタミンフリー生産培地への添加は、グルタミンフリー生産培地を使用した哺乳動物宿主細胞における細胞生存度、培養寿命、比生産性及び/又は最終の組換えタンパク質力価を、重大な有害作用無く更に強化することができるという予期しなかった発見に基づく。

0006

一態様では、本発明は、ポリペプチド発現している哺乳動物宿主細胞における前記ポリペプチドの生産の過程に関し、アスパラギンで補充されたグルタミンフリー生産培地において培養の産生期にて哺乳動物細胞を培養することを含んでなる。
一実施態様では、哺乳類宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
別の実施態様では、哺乳類宿主細胞はdhfr−CHO細胞である。
更に別の実施態様では、生産培地は無血清である。
更なる実施態様では、生産培養培地は、
1)エネルギー源;
2)必須アミノ酸;
3)ビタミン
4)遊離脂肪酸;及び
5)微量元素
から成る群から選択される一又は複数の成分を含有する。
なお更なる実施態様では、生産培養培地は、
1)ホルモン及び他の増殖因子
2)塩及びバッファー;及び
3)ヌクレオシド
から成る群から選択される一又は複数の成分を更に含有する。

0007

全ての実施態様において、生産期は、例えば回分又は流加培養期でありうる。
全ての実施態様において、該過程は前記ポリペプチドを単離する工程を更に含んでもよい。
更なる実施態様では、単離に続いて細胞生存度、培養寿命、比生産性及び単離後の最終組換えタンパク質力価の一又は複数が決定されてもよい。
また更なる実施態様では、細胞生存度、培養寿命、比生産性及び最終組換えタンパク質力価の少なくとも一つが、同じ組成のグルタミン含有生産培地において生産される同じポリペプチドと比較して増加される。
更なる態様では、本発明は、生産期におけるポリペプチドの生産のための使用準備済のグルタミンフリー細胞培養培地に関する。
更に別の実施態様では、ポリペプチドは哺乳動物糖タンパク質である。
他の実施態様では、ポリペプチドは、抗体、抗体断片及びイムノアドヘシンからなる群から選択される。

0008

全ての実施態様において、ポリペプチドは、例えば抗体又は抗体の生物学的に機能的な断片でありうる。代表的な抗体断片はFab、Fab′、F(ab′)2、scFv、(scFv)2、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、単鎖抗体分子ミニボディダイアボディ及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。

0009

また更なる実施態様では、抗体又は抗体断片はキメラヒト化又はヒトである。治療用抗体は、限定するものではないが、抗HER2抗体抗CD20抗体;抗IL-8抗体;抗VEGF抗体抗CD40抗体、抗CD11a抗体;抗CD18抗体;抗IgE抗体;抗Apo-2受容体抗体;抗組織因子(TF)抗体;抗ヒトα4β7インテグリン抗体抗EGFR抗体抗CD3抗体抗CD25抗体抗CD4抗体抗CD52抗体;抗Fc受容体抗体;抗癌胎児抗原CEA)抗体;胸部上皮細胞に対する抗体;結腸癌細胞に結合する抗体;抗CD38抗体;抗CD33抗体;抗CD22抗体抗EpCAM抗体;抗GpIIb/IIIa抗体;抗RSV抗体;抗CMV抗体;抗HIV抗体;抗肝炎抗体;抗CA125抗体;抗αvβ3抗体;抗ヒト腎細胞癌抗体;抗ヒト17-1A抗体;抗ヒト直腸結腸腫瘍抗体;GDガングリオシドに対する抗ヒト黒色腫抗体R24;抗ヒト扁平上皮癌;及び抗ヒト白血球抗原HLA)抗体、及び抗HLADR抗体を含む。

0010

他の実施態様では、治療用抗体は、HER受容体VEGF、IgE、CD20、CD11a、CD40又はDR5と結合する抗体である。
他の実施態様では、治療用抗体は、抗BR3抗体又はBR3-Fcイムノアドヘシンである。

0011

本発明の他の実施態様では、組換え宿主細胞において発現されるポリペプチドは治療的抗体である。例えば治療用ポリペプチドは、成長ホルモン放出因子ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン甲状腺刺激ホルモンリポタンパク質アルファ-1-アンチトリプシンインスリンA-鎖;インスリンB鎖プロインスリン卵胞刺激ホルモンカルシトニン黄体形成ホルモングルカゴン凝固因子、例えば第VIIIC因子、第IX因子、組織因子及びヴォン・ヴィレブランド因子抗凝固因子、例えばプロテインC心房ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA);ボンベシントロンビン造血成長因子腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリナーゼランテス(RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質MIP-1-α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンミュラー管抑制因子リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロ・リラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド微生物タンパク、例えばβ‐ラクタマーゼデオキシリボヌクレアーゼ;IgE;細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA)、例えばCTLA-4;インヒビンアクチビン血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン類又は増殖因子の受容体プロテインA又はD;リウマトイド因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、NT-6)、又は神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞増殖因子、例えばaFGF及びbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成育因子(TGF)、例えばTGFアルファ及びTGFベータ、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4又はTGF-β5を含む;インスリン様増殖因子-I及び-II(IGF-I及びIGFII);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34及びCD40;エリスロポエチン骨誘導因子イムノトキシン骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び、-γ;コロニー刺激因子CSF)、例えばM-CSF、GM-CSF及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えばIL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼT細胞受容体表層膜タンパク質崩壊促進因子ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質インテグリン、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4及びVCAM);腫瘍関連抗原、例えばHER2、HER3又はHER4受容体;及び前記ポリペプチドの断片から成る群から選択される。

0012

全ての実施態様において、組換え宿主細胞は真核生物宿主細胞であり得、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む哺乳類宿主細等である。
これら及び他の態様は、実施例及び添付の請求項を含む下記の説明から明瞭となるであろう。

図面の簡単な説明

0013

グルタミン、グルタメート、アスパラギン及びアスパレートの異なる濃度の効果を評価する要因実験計画法(Full Factorial Design of Experiment (DOE) )による力価結果のApomab抗体キューブプロット分析モデルは、10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地においてより高い力価が得られることを予測する。
グルタミン、グルタメート、アスパラギン及びアスパレートの異なる濃度の効果を評価する要因実験計画法による力価結果のBR3-Fcイムノアドヘシンキューブプロット分析。モデルは、10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地においてより高い力価が得られることを予測する。
グルタミン、グルタメート、アスパラギン及びアスパレートの異なる濃度の効果を評価する要因実験計画法による力価結果の抗VEGF抗体キューブプロット分析。モデルは、10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地においてより高い力価が得られることを予測する。
Apomab抗体価へのグルタミンフリー、低グルタメート及び高アスパレート条件下でのアスパラギンの影響。グルタミンフリー培地において、Apomab抗体価は、アスパラギン無しでのグルタミンフリー培地と比較して2.5−15mMアスパラギンの存在下で著しく増加した。これらの条件下でグルタメートの有無は力価に影響が無かった。
グルタミンフリー及び低グルタメート条件における様々なアスパラギン及びアスパレート濃度にわたるApomab抗体価生産。これらの条件下でアスパラギン酸を0から10mMに増加した時正の滴定効果が観察された。
A−C。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地の力価への影響。Apomab抗体、抗VEGF抗体及びBR3-Fcイムノアドヘシンの最終力価はグルタミン含有培地と比較してグルタミンフリー培地において著しく高かった。
A及びB。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたDMEM/F12グルタミンフリー培地の力価への影響。Apomab抗体及び抗VEGF抗体の最終力価はグルタミン含有DMEM F12培地と比較してグルタミンフリーDMEM/F12培地において著しく高かった。
A−C。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地の細胞比生産性(Qp)への影響。Apomab抗体、抗VEGF抗体及びBR3-Fcイムノアドヘシンの細胞比生産性はグルタミン含有培地と比較してグルタミンフリー培地において著しく高かった。
A及びB。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたDMEM/F12グルタミンフリー培地の細胞比生産性(Qp)への影響。Apomab抗体及び抗VEGF抗体の細胞比生産性はグルタミン含有DMEM/F12培地と比較してグルタミンフリーDMEM/F12培地において著しく高かった。
A−C。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地の細胞生存率への影響。Apomab抗体、抗VEGF抗体及びBR3-Fcイムノアドヘシンの細胞生存率はグルタミン含有培地と比較してグルタミンフリー培地において高かった。
A及びB。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたDMEM/F12グルタミンフリー培地の細胞生存率への影響。DMEM/F12培地において、グルタミンフリー培地における細胞生存率の一貫した改善はなかった。生存率はグルタミン含有培地と比較してApomab抗体でより高く、抗VEGF抗体でより低かった。
A−C。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたグルタミンフリー培地のアンモニア形成への影響。アンモニアは通常グルタミン含有培地と比較してグルタミンフリー培地でより低かった。
A及びB。10mMアスパラギン、10mMアスパラギン酸及び1mMグルタミン酸で補充されたDMEM/F12グルタミンフリー培地のアンモニア形成への影響。アンモニアはグルタミン含有DMEM/F12培地と比較してグルタミンフリーDMEM/F12培地において著しく低減された。

実施例

0014

(発明の詳細な説明)
定義
用語「細胞培養培地」、「培養培地」及び「栄養分混合物」とは、哺乳動物細胞を増殖させるのに用いられる栄養液を意味し、典型的には一又は複数の以下のカテゴリからの少なくとも一成分を提供する:
1)エネルギー源、通常はグルコース等の炭水化物の形態:
2)幾つかの又は全ての必須アミノ酸、通常は20のアミノ酸の基本的なセットに加えてシステイン
3)ビタミン及び/又は典型的には低濃度で必要とされる他の有機化合物
4)遊離脂肪酸:及び
5)微量元素、微量元素は典型的には非常に低濃度、通常はマイクロモルの範囲で必要とされる無機化合物又は天然に生じる元素

0015

栄養分混合物は以下のカテゴリの何れかからの一又は複数の成分で任意に補充されうる。
1)ホルモン及び他の増殖因子、例えばインスリン、トランスフェリン及び上皮成長因子;
2)塩類及びバッファー、例えばカルシウムマグネシウム及びリン酸塩;及び
3)ヌクレオシド及び塩基、例えばアデノシン及びチミジン
培地が、いかなる哺乳類由来血清(例えば、胎児性牛血清(FBS))をも必須的に含まない細胞培養液は通常「無血清」である。「必須的に無」とは、細胞培養液が約0から5%の血清、好ましくは0から1%の血清及び最も好ましくは0から0.1%の血清を含むことを意味する。有利には、無血清と「確定」された培地を使用することができ、培養液中の各々の組成の同一性及び濃度は既知である(即ち、下垂体抽出(BPE)のような不確定な組成が培養液中に存在しないこと)。

0016

本発明の関連において、「細胞」、「細胞株」、「細胞培養」という表現互換的で、全てのそのような命名は子孫も含む。従って、「形質転換体」及び「形質転換宿主)細胞」には、初代適用細胞及び植え次ぎ回数を考慮せずに初代から派生した培養細胞が含まれる。また、全ての子孫は、故意又は偶発的な変異に由来して、DNA含量が正確に同一でなくてもよいと理解されている。当初形質転換された細胞でスクリーニングされたのと同様な機能又は生物学的活性を持つ変異体子孫も含まれる。明確な命名が意図される場合は、内容から明らかであろう。

0017

用語「動物宿主細胞」、「動物細胞」、「動物組換え宿主細胞」等は、無脊椎動物、非哺乳動物脊椎動物(例えばトリ爬虫類及び両生類)及び哺乳動物細胞を包含する。無脊椎動物細胞の例は以下の虫細胞を含む:ヨトウガイモムシ)、ネッタイシマカ)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエショウジョウバエ)及びカイコ。例えばLuckow等, Bio/Technology, 6:47-55 (1988); Miller等, in Genetic Engineering, Setlow, J. K.等,版, Vol. 8(Plenum Publishing, 1986), pp. 277-279;及びMaeda等, Nature, 315:592-594 (1985)を参照のこと。

0018

「哺乳類宿主細胞」、「哺乳類細胞」、「哺乳類組換体宿主細胞」等の用語は、適当な栄養素及び増殖因子を含んでなる単層培養又は懸濁培養の状態にする場合に増殖及び生存することが可能な哺乳類由来の株化細胞を意味する。特定の株化細胞に対して必要な栄養分及び増殖因子は、例えば、Mammalian Cell Culture(Mather, J.P.編, Plenum Press, N.Y. [1984])、及びBarnes及びSato,Cell, 22:649(1980)に記載されているように、過度実験をすることなく、経験的に直ぐに決定することができる。典型的には、細胞は、関心のある特定の糖タンパク質を多量に発現し培地に分泌することができ、この目的のために培養することができる。しかしながら、細胞は同様に種々の他の目的のために培養されることができ、本発明の範囲は組換え型タンパク質の生産のためだけに細胞を培養することに限られていない。本発明の培地において増殖可能な適切な哺乳類株化細胞の例は、SV40により形質転換されたサルCVI株(COS-7,ATCCR CRL 1651);ヒト胎児腎臓株293S(Graham等, J. Gen. Virolo., 36:59 (1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK, ATCCR CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243 (1980));マウス腎細胞(CVI-76, ATCCR CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76, ATCCR CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA, ATCCR CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK, ATCCR CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL3A, ATCCR CRL 1442);ヒト肺細胞(W138, ATCCR CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2, HB 8065);マウス乳癌細胞(MMT060562, ATCCR CCL 5I);ラット肝細胞癌細胞(HTC,MI.54, Baumann等, J. Cell Biol., 85:1 (1980));及びTR-1細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44 (1982))及びハイブリドーマ株化細胞を含む。CHO細胞(Urlab and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980))が本発明を実施するために好ましい株化細胞である。本発明の方法での使用に適切なCHO細胞は以下の文献にも記述されている:EP 117,159, published Aug. 29, 1989;米国特許第4,766,075号;同第4,853,330号; 同第5,185,259号; Lubiniecki等, in Advances in Animal Cell Biology and Technology for Bioprocesses, Spier等,版(1989), pp. 442-451。ここでの使用に適切な既知のCHO由来細胞は、例えばCHO/-DHFR(Urlaub and Chasin, Proc. Nati. Acad. Sci. USA, 77: 4216 (1980))、CHO-K1 DUX B11(Simonsen and Levinson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 2495-2499(1983); Urlaub and Chasin, supra)、及びdp12.CHO細胞(EP 307,247 published Mar. 15, 1989)を含む。好ましい宿主細胞はCHO-K1 DUX B11及びdp12.CHO細胞を含む。

0019

「dhfr−CHO細胞」はジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)欠損CHO細胞を意味する。哺乳動物細胞の組換え型タンパク質の生産は、臨床利用のための大きく複雑なグリコシル化ポリペプチドの多量の製造を可能にした。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)DHFR-細胞及び増幅可能であり選択可能なマーカーDHFRは、臨床的に有用な量の産物を生産する株化細胞を得るために通常用いられる。(Urlab, G. and Chasin, L. A. (1980) Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77, 4216-4220; Kaufman, R. J. and Sharp, P. (1982) J. Mol. Biol., 159, 601-621; Gasser, C. S., Simonsen, C. S., Schilling, J. W. and Schmike, R. T. (1982) Proc. Natl Sci. USA, 79, 6522-6526)。

0020

「期」とは、実施者により熟知されているような細胞のある培養時期を意味する。
細胞培養の「増殖期」は、細胞が通常迅速に分裂する指数関数的な細胞増殖対数期)の期間を意味する。この期の間、細胞は通常1から4日の所定期間、細胞増殖が最大になるような条件下で培養される。宿主細胞の増殖周期は、過度の実験を行うことなく、想定される特定の宿主細胞に対して決定され得る。増殖期の間、細胞は必要な添加物を含む栄養性培地中、通常は約30から40℃、好ましくは約37℃にて加湿され制御された空気環境中、特定の細胞系において至適増殖が達成されるように培養される。細胞は、およそ1から4日、通常はおよそ2から3日の一時期間増殖期に維持される。

0021

細胞培養の「過渡期」とは、生産期の培養条件が充実する一時期を意味する。過渡期において温度のような環境因子が増殖条件から生産条件へと移行される。
細胞培養の「生産期」とは、細胞増殖が平衡に達する一時期を意味する。生産期の間、対数細胞増殖は終了しタンパク質の生産が主となる。この時期の間、タンパク質生産を維持を補助し所望のタンパク質産物を得るために培地は通常補充される。

0022

ここで使用される「流加細胞培養系」なる用語は、最初に動物細胞及び培地が培養容器に供給され、追加的な培養栄養素が培養プロセスの間に、培養の終了まで定期的な細胞及び/又は産生物採取を伴って又は伴わずに連続的又は回分して該培地に投入される、流加培養を意味する。流加培養は、周期的に全培養物(細胞及び培地を含む)が取り除かれ新鮮な培地と交換される「半連続流加培養」を含む。流加培養は、細胞培養のための全成分(動物細胞と全培養栄養素を含む)が培養プロセス開始時に培養容器に供給される単なる「回分培養(batch culture)」とは区別される。流加培養はさらに、上清がプロセス中培養容器から除去されない限りにおいて潅流培養とも区別される(潅流培養では、細胞は例えばマイクロキャリアへの固着化、被包濾過等によって培地で抑制され、培地は連続的又は断続的に培養容器に導入され、除去される)。しかし、流加細胞培養中の、検査目的試料の除去は考慮される。

0023

ここで用いられる場合、用語「グルタミン」は、タンパク質合成のためのアミノ酸ビルディングブロックとして、及び細胞培養のエネルギー源として認識されるアミノ酸L-グルタミン(3文字表記で「Gln」及び1文字表記で「Q」としても各々知られる)を意味する。従って用語「グルタミン」及び「L-グルタミン」はここでは互換的に用いられる。
「グルコース」なる語は、別個の又は結合したα-D-グルコースもしくはβ-D-グルコースを意味する。α-及びβ-グルコース形態は溶液中で相互転換可能である。

0024

重量モル浸透圧濃度」なる表現は、水溶液中に溶解した溶質粒子浸透圧基準単位である。溶質粒子はイオン及び非イオン化分子を含む。重量モル浸透圧濃度は、1kgの水に溶解した浸透圧活性粒子の濃度(つまりオスモル)として表される(38℃でH2Oの1mOsm/kgは19mmHgの浸透圧に相当する)。「重量モル浸透圧濃度」は1リットルの水溶液中に溶解した溶質粒子の数を意味する。培地の重量モル浸透圧濃度を増加するために該培地に添加できる溶質としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、非代謝性ポリマー、ビタミン、イオン、塩、糖類、代謝産物有機酸、脂質等が挙げられる。好ましい実施態様では、ここに説明する所望の重量モル浸透圧濃度範囲を得るために、培養培地におけるアミノ酸及びNaClの濃度が増加される。ここで用いる場合、略語「mOsm」は「ミリオスモル/kg H2O」を意味する。

0025

用語「細胞密度」はここで使用される場合、任意体積の培地に存在する細胞の数を意味する。
用語「細胞生存度」はここで使用される場合、培養条件又は実験バリエーション一定条件下で、培養中の細胞が生存する能力を示す。ここで使用される場合、該用語はまた、その時間における培養物中の全細胞数(生及び死)と関連した特定の時間に生存している細胞の部分を意味する。

0026

「アミノ酸(類)」なる用語は、天然発生する全てのD及びL立体異性形態のαアミノ酸類と、その類似体及び誘導体を意味する。類似体は、アミノ酸の原子が、通常同様の特性を有する異なる原子で置換されたものとして定義される。誘導体は、別の分子又は原子が結合したアミノ酸として定義される。誘導体は例えば、アミノ基のアセチル化されたもの、カルボキシル基アミノ化されたもの、又はシステインを形成する2つのシステイン分子の硫黄残基の酸化されたものを含む。

0027

「タンパク質」とは、鎖長が三次及び/又は四次構造のより高いレベルを生産するのに十分であるアミノ酸の配列を意味する。これは、「ペプチド」又はそのような構造を持たない他の小分子量薬とは区別される。典型的には、ここでのタンパク質は少なくとも約15−20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を有するであろう。ここでの定義範囲に含まれるタンパク質の例には、あらゆる哺乳動物タンパク質、特に、治療用及び診断用タンパク質、例えば治療用及び診断用抗体、一般に、一又は複数の鎖間及び/又は鎖内ジスルフィド結合を含む多鎖ポリペプチドを含む、一又は複数のジスルフィド結合を含むタンパク質が含まれる。

0028

治療用タンパク質」又は「治療用ポリペプチド」なる用語は、その適応症又は作用機序にかかわらず、疾患の治療に使用されるタンパク質を意味する。治療用タンパク質がクリニックにおいて有用であるためには、それが多量に製造されなければならない。治療用タンパク質又は他のタンパク質の「製造スケール」の生産は、製造されるタンパク質及び需要に応じて、約400Lから約80000Lの範囲の細胞培養を利用する。典型的には、そのような製造スケールの生産は、約400Lから約25000Lの細胞培養サイズを利用する。この範囲内において、特手の細胞培養サイズ、例えば4000L、約6000L、約8000、約10000、約12000L、約14000L、又は約16000Lが利用される。

0029

ここで使用される場合、「興味のポリペプチド」は一般に約10以上のアミノ酸を有するペプチド及びタンパク質を意味する。ポリペプチドは宿主細胞に同属であり得、又は好ましくは外因性であり得、それらは異種性を意味し、つまり活用される宿主細胞に対して外来であり、例えば非ヒト哺乳類により生産されたヒトタンパク質、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。好ましくは哺乳類のポリペプチド(哺乳類生物に元々由来したポリペプチド)が使用され、培地に直接分泌されるものがより好ましい。用語「ポリペプチド」又は「興味のポリペプチド」は具体的には抗体、特に哺乳類ポリペプチドに結合する抗体、例えば下に挙げられる哺乳類ポリペプチド又はそれらの断片の何れか、並びにイムノアドヘシン(ポリペプチド-Ig融合)、例えば下に挙げる哺乳類ポリペプチド又はそれらの断片の何れかを含んでなるものを含む。

0030

哺乳動物ポリペプチドの例は、限定するものではないが、膜貫通分子(例えば受容体)及び増殖因子などのリガンドを含む。例示的なポリペプチドは、レニン;成長ホルモン放出因子、ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び、-γ;リポタンパク質;アルファ-1-アンチトリプシン;インスリンA-鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば第VIIIC因子、第IX因子、組織因子及びヴォン・ヴィレブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)、t-PA変異体を含む;ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリナーゼ;ランテス(RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロ・リラキシン;マウス・ゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク、例えばβ‐ラクタマーゼ;デオキシリボヌクレアーゼ;IgE;細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA)、例えばCTLA-4;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン類又は増殖因子の受容体;プロテインA又はD;リウマトイド因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、NT-6)、又は神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えばaFGF及びbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成育因子(TGF)、例えばTGFアルファ及びTGFベータ、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4又はTGF-β5を含む;インスリン様増殖因子-I及び-II(IGF-I及びIGFII);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34及びCD40;エリスロポエチン;骨誘導因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び、-γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばM-CSF、GM-CSF及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えばIL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表層膜タンパク質;崩壊促進因子;ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えばHER1(EGFR)、HER2、HER3又はHER4受容体;Apo2L/TRAIL、ヘッジホッグマイトジェン活性化プロテインキナーゼMAPK)、及び上に挙げたポリペプチドの何れかの断片を含む。Apo2L(TRAIL)及びその変異体は、例えば米国特許出願公開第20040186051号に開示される。抗VEGF抗体は、例えば、米国特許第8,994,879号;同第7,060,269号;同第7,169,901号;及び同第7,297,334号に開示される。抗CD20抗体は、例えば、米国特許出願公開第20060246004号に開示される。BR3ポリペプチド、抗BR3抗体及びBR3-Fcイムノアドヘシンは、例えば米国特許出願公開第20050070689号に記載されている。

0031

本明細書で使用する場合、「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインエフェクター機能とを結合した抗体様分子を示す。構造的に、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(すなわち、「異種」である)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプIgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。

0032

上記したように、ある実施態様ではタンパク質は抗体である。「抗体」(Abs)及び「免疫グロブリン」(Igs)は同じ構造的特徴を持つ糖タンパク質である。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは抗体と抗原特異性欠く他の抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系により低レベルで、また骨髄腫により増大したレベルで生産される。

0033

「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、特に、モノクローナル抗体免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体又はインタクトなモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物ポリクローナル抗体多価抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、ダイアボディ、及びscFv分子等の単鎖分子、並びに抗体断片(例えばFab、F(ab’)2及びFv)を包含する。

0034

特に断らない限りは、本明細書全体を通して「多価抗体」という表現は三又はそれ以上の抗原結合部位を含む抗体を指すために使用される。例えば、多価抗体は三又はそれ以上の抗原結合部位を持つように典型的には操作されており、一般には天然配列IgM又はIgA抗体ではない。
用語「完全長抗体」、「無傷の抗体」及び「完全抗体」は、ここで互換性をもって使用され、実質的に無傷の形態の抗体を意味し、下に定義されるような抗体断片ではない。用語はFc領域を持つ重鎖を有する抗体を特に意味する。

0035

「抗体断片」は、無傷の抗体の一部のみを有し、一般的にはインタクトな抗体の抗原結合部位を含み、これにより抗原に結合する能力を維持する。一実施態様では、抗体断片は完全な抗体の抗原結合部位を含んでなるために、抗原結合能を有する。他の実施態様では、抗体断片は、例えばFc領域を含んでなるものは、完全な抗体に存在する場合のFc領域に通常関連する生物学的な機能、例えばFcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC機能及び補体結合の少なくとも一を保持する。一実施態様では、抗体断片は、完全な抗体と実質的に類似したインビボ半減期を有する一価性抗体である。例えば、このような抗体断片は、インビボ定性を断片に与えることができるFc配列に結合した抗原結合アームを含んでもよい。

0036

抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して命名された残りの「Fc」断片を産生する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然抗原と架橋結合が可能であるF(ab’)2断片を産生する。

0037

Fab断片」は、重鎖及び軽鎖可変ドメインを有し、また軽鎖定常ドメイン及び重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインカルボキシ末端数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab’)2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。抗体断片の他の化学結合もまた知られている。本定義によって包含される抗体断片の例には、(i)VL、CL、VH及びCH1ドメインを持つFab断片;(ii)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基を持つFab断片であるFab'断片;(iii)VH及びCH1ドメインを持つFd断片;(iv)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基とVH及びCH1ドメインを持つFd'断片;(v)抗体の単一アームのVL及びVHドメインを持つFv断片;(vi)VHドメインからなるdAb断片(Ward等, Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)ヒンジ領域がジスルフィド架橋によって結合された2つのFab'断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(ix)単鎖抗体分子(例えば単鎖Fv;scFv)(Bird等, Science 242:423-426(1988);及びHuston等, PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同一のポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を持つ「ダイアボディー」(例えば、EP 404,097; WO 93/11161;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと共に抗原結合領域対を形成するタンデムFdセグメント対(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線形抗体」(Zapata等, Protein Eng. 8(10):1057-1062(1995);及び米国特許第5641870号)が含まれる。

0038

「Fv」は、完全な抗原結合部位を有する最小の抗体断片である。一実施態様では、二本鎖Fv種は強固な非共有結合の一つの重鎖可変ドメインと一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、一つの重鎖可変ドメインと一つの軽鎖可変ドメインが、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種におけるものに類似した「二量体」構造で会合しうるように、可動性ペプチドリンカーによって共有的に連結されうる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成するのはこの構造においてである。集合的には、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRだけを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性でではあるが、抗原を認識しそれに結合する能力を有している。

0039

「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照。

0040

「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持ち、その断片が同一のポリペプチド鎖(VH-VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体断片を指す。非常に短いために同一鎖上で二つのドメイン間での対形成を可能にするリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディは二価又は二重特異的でありうる。ダイアボディは、例えばEP 404,097; WO93/1161; Hudson等, (2003) Nat. Med. 9:129-134;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)に更に十分に記載されている。トリアディ及びダイアボディはまたHudson等, (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。

0041

ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、例えば少量で存在しうる天然に生じる突然変異などの、可能な突然変異体を除いて、集団を含む個々の抗体が同一である。従って、「モノクローナル」との形容は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり単一抗原に向けられる。ある実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られる。例えば、この選択プロセスは、雑種細胞クローンファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような複数のクローンからの、唯一のクローンの選択とすることができる。重要なのは、選択された標的結合配列を更に変化させることにより、例えば標的への親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多選択性抗体の生成等が可能になること、並びに、変化させた標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで通常汚染されていないという点で有利である。

0042

「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を任意の特定の方法で生産する必要があると解釈されるものではない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler及びMilstein., Nature, 256:495-97(1975); Hongoら, Hybridoma, 14(3):253-260(1995), Harlowら, Antibodies: A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版. 1988); Hammerlingら: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, 563-681(Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等, Nature, 352: 624-628(1991); Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597(1992); Sidhu等, J. Mol. Biol., 338(2):299-310(2004); Lee等, J. Mol. Biol., 340(5):1073-1093(2004); Fellouse, Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 101(34):12467-12472(2004);及びLee等, J. Immunol. Methods, 284(1-2):119-132(2004)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有する、ヒト又はヒト様抗体を動物において生成させるための技術(例えば、国際公開第1998/24893号; 国際公開第1996/34096号; 国際公開第1996/33735号; 国際公開第1991/10741号; Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 2551(1993); Jakobovits等, Nature, 362: 255-258(1993); Bruggemannら, Year in Immunol., 7:33(1993); 米国特許第5,545,807号; 同5,545,806号; 同5,569,825号; 同5,625,126号; 同5,633,425号; 及び同5,661,016号; Marks等, Bio/Technology, 10: 779-783(1992); Lonberg等, Nature, 368:856-859(1994); Morrison, Nature, 368:812-813(1994); Fishwild等, Nature Biotechnol., 14:845-851(1996); Neuberger, Nature Biotechnol., 14:826(1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93(1995)を参照)を含む、様々な技術により作製されてよい。

0043

ここでのモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応配列に一致するか又は類似するが、鎖の残りは、他の種由来の又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片における対応配列に一致するか又は類似する「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含む(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。

0044

非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエント高頻度可変領域からの残基が、マウス、ラットウサギ又は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種の高頻度可変領域からの残基(ドナー抗体)によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRsがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部をまた含む。更なる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。また例として、Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994);及び米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照。また、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74 (2001)も参照のこと。抗原刺激応答して抗体を産生するように修飾されているが、その内在性遺伝子座が無効になっているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによってヒト抗体を調製することができる(例として、XENOMOUSETM技術に関する米国特許第6075181号及び同第6150584号を参照)。また、例えば、ヒトのB細胞ハイブリドーマ技術によって生成したヒト抗体に関するLi等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)も参照のこと。ヒト化抗体はまた、PrimatizedTMを含み、抗体の抗原結合領域は興味の抗原を有するマカクザルを免疫化することによって生産される抗体に由来する。

0045

「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここで開示されたヒト抗体を製造するための何れかの技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、当該分野で知られている様々な技術を使用して生産することが可能である。一実施態様では、ヒト抗体はファージライブラリから選択される。このファージライブラリはヒト抗体を発現する(Vaughan等 Nature Biotechnology 14:309-314 (1996);Sheets等 Proc. Natl. Acad. Sci. 95: 6157-6162 (1998);Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。また、ヒト抗体は、内因性イムノグロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているトランスジェニック動物、例えばマウスにヒトイムノグロブリン遺伝子座を導入することによって作製されうる。抗原負荷によりヒト抗体産生が観察される。これは、遺伝子再構成アセンブリ及び抗体レパートリを含めすべての点でヒトにおいて見られるものと非常に類似している。この手法は、例えば米国特許第5545807号、同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号、及び以下の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996);Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球不死化により調製されてよい(このBリンパ球は個体から回収されても、インビトロで免疫化されていてもよい)。例えば、Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);Boerner等, J. Immunol., 147 (1): 86-95 (1991);及び米国特許第5750373号を参照のこと。

0046

「親和成熟」抗体とは、変化を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、抗体の一又は複数のCDR/HVRにおける一又は複数の変化を伴うものである。好ましい親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られる手順によって生産される。例えば、Marks等 Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメイン混合による親和成熟について記載している。CDR/HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えばBarbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。

0047

抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。重鎖の可変ドメインは「VH」と称されうる。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称されうる。これらのドメインは一般に抗体の最も可変の部分であり、抗原結合部位を含む。

0048

「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体間で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。それは、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の相補性決定領域(CDR)又は高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する、3つのCDRにより連結されたβシート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のHVRは、FRにより近接して保たれ、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害性への抗体の関与を示す。

0049

ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。例えば、高頻度可変領域は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つのHVRを含み;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つのHVRのうちで最も高い多様性を示し、特にH3は抗体に良好な特異性を与える際に特有役割を果たすように思われる。例えば、Xu等 Immunity 13:37-45 (2000);Johnson及びWu, Methodsin Molecular Biology 248:1-25 (Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照。実際、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は機能的であり、軽鎖が無い状態で安定である。例えば、Hamers-Casterman等 Nature 363:446-448(1993);Sheriff等 Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照のこと。

0050

任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別されるタイプの一つが割り当てられる。

0051

重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体(免疫グロブリン)は異なるクラスが割り当てられる。免疫グロブリンには5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、さらにこれらのいくつかは、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2等のサブクラス(イソ型)に分かれる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、一般的に、例えばAbbas等 Cellular and Mol. Immunology, 第4版.(W. B. Saunders, Co., 2000)に記載されている。抗体は、抗体と、一又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの共有又は非共有結合により形成される、大きな融合分子の一部とすることができる。

0052

「Fc領域」という用語は、無傷の抗体のパパイン消化で生じ得る免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。Fc領域は、天然配列Fc領域又は変異体Fc領域である。免疫グロブリンのFc領域は、一般的に、二つの定常ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、場合によってはCH4ドメインを含む。

0053

ここで使用する「Fc領域鎖」という表現は、Fc領域の2つのポリペプチド鎖のうちの1つを意味する。
ヒトIgGFc領域の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる)は、別のドメインと親密な対にならないという点で独特である。代わりに、2つのN結合分岐炭水化物鎖が、無傷の天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に挿入される。炭水化物はドメイン-ドメイン対代替物を提供し、CH2ドメインの安定化を助けることができると推測される。Burton, Molec. Immunol.22:161-206 (1985)。、ここでCH2ドメインは天然配列のCH2ドメインまたは変異体CH2ドメインとすることができる。

0054

「CH3ドメイン」は、残基C末端からFc領域のCH2ドメインへの伸長を含む。ここでのCH3領域は、天然配列CH3ドメイン又は変異体CH3ドメイン(例えばそれらの一方の鎖に「隆起」が導入され、それらの他方の鎖に「キャビティ」が導入されたCH3ドメイン;出典明記によりここに援用する米国特許第5,821,333号を参照)でありうる。このような変異体CH3ドメインは、ここに記述される多重特異性(例えば二重特異性)抗体を生産するために使用されうる。

0055

「ヒンジ領域」は、天然配列のヒンジ領域か、または変異体ヒンジ領域とすることができる。変異体ヒンジ領域の2つのポリペプチド鎖は、通常、1つのポリペプチド鎖につき少なくとも1つのシステイン残基を保持しており、よって2つの変異体ヒンジ領域のポリペプチド鎖は2つの鎖の間にジスルフィド結合を形成することができる。本発明の好ましいヒンジ領域はは、天然配列のヒトヒンジ領域、例えば天然配列のヒトIgG1ヒンジ領域である。

0056

「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の少なくとも1つの「エフェクター機能」を有する。例示的「エフェクター機能」には、C1q結合、補体依存性細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害性(ADCC);食作用細胞表面受容体(例えばB細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーション等が含まれる。このようなエフェクター機能は、通常、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わさることを必要とし、そのような抗体のエフェクター機能を評価するための当技術分野で既知の様々なアッセイを使用して評価される。

0057

「天然配列Fc領域」は、天然に由来するFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する。「変異体ポリペプチドを含む。天然配列のヒトFc領域には、天然配列のヒトIgG1Fc領域(非A-及びAアロタイプ);天然配列のヒトIgG2 Fc領域;天然配列のヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域;並びにその自然に生じる変異体が含まれる。

0058

「インタクトな」抗体は、抗原結合可変領域、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を有するものである。定常ドメインは天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体でありうる。好ましくは、インタクトな抗体は、一又は複数のエフェクター機能を有する。

0059

「親抗体」又は「野生型」抗体は、ここに開示された抗体変異体と比較して一又は複数のアミノ酸配列改変を欠くアミノ酸配列を含む抗体である。よって、親抗体は一般にここに開示された抗体変異体の対応する高頻度可変領域のアミノ酸配列とはアミノ酸配列が異なる少なくとも一つの高頻度可変領域を有している。親ポリペプチドは、天然配列(つまり天然に生じる)抗体(天然に生じる対立遺伝子変異体)、又は天然に生じる配列の既存のアミノ酸配列修飾(例えば挿入、欠失及び/又は他の改変)を有する抗体を含みうる。開示全体を通して、「野生型」、「WT」、「wt」及び「親」又は「親の」抗体は交換可能に使用される。

0060

ここで使用される場合、「抗体変異体」又は「変異体抗体」は、親抗体のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する抗体を意味する。好ましくは、抗体変異体は、天然には見出されないアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインを含む。かかる変異体は親抗体と100%未満の配列同一性又は類似性を必ず有している。好ましい実施態様では、抗体変異体は、親抗体の重鎖又は軽鎖の可変ドメインの何れかのアミノ酸配列と、約75%から100%未満、より好ましくは約80%から100%未満、より好ましくは約85%から100%未満、より好ましくは約90%から100%未満、及び最も好ましくは約95%から100%未満のアミノ酸配列同一性又は類似性があるアミノ酸配列を有する。抗体変異体は一般に一又は複数のその高頻度可変領域中に又はそれに隣接して一又は複数のアミノ酸変更を含むものである。

0061

「可変Fc領域」は、少なくとも一つのアミノ酸修飾により天然配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を有する。ある実施態様では、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも一つのアミノ酸置換を有し、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域に約1から約10のアミノ酸置換、及び好ましくは約1から約5のアミノ酸置換を有する。例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域に約1から約10のアミノ酸置換、及び好ましくは約1から約5のアミノ酸置換を有する。ここでの変異体Fc領域は、典型的には、例えば、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、又はそれらと少なくとも約90%の配列同一性、又はそれらと少なくとも約95%の配列同一性を有する。

0062

抗体「エフェクター機能」は抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰因するその生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例は、Clq結合及び補体依存性細胞傷害性;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えばB細胞受容体);及びB細胞活性化を含む。

0063

「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」又は「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcRs)に結合した分泌Igはこれらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒で標的細胞を死滅させ得る細胞傷害性の形態を意味する。ADCCを媒介する主要な細胞うち、NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の464ページの表3に要約されている。関心ある分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同5,821,337号に記述されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。あるいは又は加えて、関心ある分子のADCC活性は、例えば、Clynesら, PNAS (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価してもよい。

0064

「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球のことである。ある実施態様では、その細胞が少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行することが望ましい。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球が含まれるが、PBMCsとNK細胞が好適である。エフェクター細胞はそれらの天然供給源、例えばここに記載される血液又はPBMC等から単離されてもよい。

0065

「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。幾つかの実施態様では、FcRは天然配列ヒトFcRである。幾つかの実施態様では、IgG抗体ガンマ受容体)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態のものも含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性型受容体」)及びFcγRIIB(「阻害型受容体」)が含まれ、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型受容体FcγRIIAは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫受容体活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型受容体FcγRIIBは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫受容体阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif ;ITIM)を含んでいる(Daeron, Annu. Rev. immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRに関しては、 Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991); Capel等, Immunomethods4:25-34 (1994);及びde Haas等, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995) に総説されている。他のFcRは、ここでは、将来的に同定されるものも含めて、「FcR」という言葉によって包含される。

0066

また、「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語には、母性IgGの胎児への移送と(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))、免疫グロブリンのホメオスタシスの調節を担う新生児性レセプターFcRnも含まれる。FcRnへの結合の測定方法は公知である(例としてGhetie and Ward., Immunol. Today 18(12):592-598 (1997); Ghetie等, Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997); Hinton等, J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004); WO 2004/92219 (Hinton等)を参照)。

0067

インビボでのヒトFcRnへの結合とヒトFcRn高親和性結合ポリペプチド血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質転換されたヒト細胞株、又は変異体Fc領域を有するポリペプチドを投与された霊長類動物においてアッセイすることができる。国際公開公報00/42072(Presta) にFcRへの結合を向上又は減弱させた抗体変異型が述べられている。例としてShields等, J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。

0068

「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を意味する。古典的補体経路の活性化は、その同族抗原に結合する(適切なサブクラスの)抗体への補体系の第1の成分(Clq)の結合により開始される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods202:163 (1996)に記載されているようなCDCアッセイを実施することができる。改変されたFc領域アミノ酸配列(変異Fc領域を有するポリペプチド)及び増加又は減少されたC1q結合能力を有するポリペプチド変異体が、例えば米国特許第6,194,551 B1号及びWO 1999/51642に記載されている。例えばIdusogie等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)も参照のこと。

0069

「親和性成熟」抗体とは、その改変を有さない抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改善を生じせしめるその一又は複数のCDRにおける一又は複数の改変を伴うものである。一実施態様では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手法により生産される。Marks等 Bio/Technology 10:779-783 (1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を記述する。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム変異誘発が、Barbas等 Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813 (1994); Schier等 Gene 169:147-155 (1995);Yelton等 J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson等, J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995); and Hawkins等 J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)により記載されている。

0070

「治療用抗体」なる用語は疾患の治療に使用される抗体を意味する。治療用抗体は様々な作用機序を有しうる。治療用抗体は抗原に結合し、抗原に関連した標的の正常な機能を中和しうる。例えば、癌の生存に必要とされるタンパク質の活性を阻止するモノクローナル抗体は細胞死を引き起こす。他の治療用抗体は抗原に結合し、抗原に関連した標的の正常な機能を活性化させうる。例えば、モノクローナル抗体は細胞上のタンパク質に結合しアポトーシスシグナル惹起させうる。また他のモノクローナル抗体は疾患組織にのみ発現される標的抗原に結合しうる;モノクローナル抗体への毒性ペイロード(有効な薬剤)、例えば化学療法剤又は放射性剤コンジュゲーションは、疾患組織への毒性ペイロードの特異的送達のための薬剤をつくり、健康な組織への害を減少させることができる。治療用抗体の「生物学的に機能的な断片」は、インタクトな抗体に起因する生物学的機能幾らか又は全てとはいかないまでも少なくとも一つを示し、該機能は標的抗原への特異的結合を少なくとも含む。

0071

抗体は何れのタンパク質にも結合し得、限定するものではないが、HER受容体ファミリーメンバー、例えばHER1(EGFR)、HER2、HER3及びHER4;CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD21、CD22、及びCD34;細胞接着分子LFA-1、Mac1、p150、95、VLA-4、ICAM-1、VCAM及びαv/β3インテグリン(それらのα又はβサブユニットを含む(例えば抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体));増殖因子、VEGF等;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;及びプロテインCを含む。他の例示的なタンパク質は、成長ホルモンGH)、ヒト成長ホルモン(hGH)及びウシ成長ホルモン(bGH)を含む;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば第VIIIC因子、組織因子及びヴォン・ヴィレブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ又はヒト尿又は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリナーゼ;ランテス(RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA);ミュラー管抑制因子;リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロ・リラキシン;マウス・ゴナドトロピン関連ペプチド;デオキシリボヌクレアーゼ;インヒビン;アクチビン;ホルモン類又は増殖因子の受容体;プロテインA又はD;リウマトイド因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、NT-6)、又は神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えばaFGF及びbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成育因子(TGF)、例えばTGFアルファ及びTGFベータ、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4又はTGF-β5を含む;インスリン様増殖因子-I及び-II(IGF-I及びIGFII);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP);エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチンTPO);骨誘導因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、及び、-γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばM-CSF、GM-CSF及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えばIL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表層膜タンパク質;崩壊促進因子(DAF);ウィルス抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;イムノアドヘシン;抗体;及び上に挙げたポリペプチドの何れかの生物学的に活性な断片又は変異体を含む。多くの他の抗体及び/又は他のタンパク質が本発明により使用されることが可能であり、上記リストは限定するものではない。

0072

特に興味深い治療用抗体は、臨床腫瘍学的実践又は開発におけるものを含み、例えば市販のAVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、RAPTIVA(登録商標)(エファリズマブ)、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)、及びXOLAIR(登録商標)(オマリズマブ)、並びに抗アミロイドβ(Aβ)、抗CD4(MTRX1011A)、抗EGFL7(EGF様ドメイン7)、抗IL13、Apomab(抗DR5標的アポトーシス促進性受容体アゴニスト(PARA)、抗BR3(CD268、BLyS受容体3、BAFF-R、BAFF受容体)、抗β7インテグリン・サブユニット、ダセツズマブ(抗CD40)、GA101(抗CD20モノクローナル抗体)、MetMAb(抗MET受容体チロシンキナーゼ)、抗ニューロピリン-1(NRP1)、オクレリズマブ(抗CD20抗体)、抗-OX40リガンド、抗酸化LDL(oxLDL)、ペルツズマブ(HER二量体化阻害剤(HDI)、及びrhuMAb IFNα等である。

0073

抗体の「生物学的に機能的な断片」は無傷の抗体の一部分のみを含み、ここで、該部分は無傷抗体に存在する場合、その部分に通常は関連する機能の少なくとも一つ、多い場合は殆ど又は全てを保持している。一実施態様では、抗体の生物学的に機能的な断片は無傷抗体の抗原結合部位を含み、よって抗原に結合する能力を保持している。他の実施態様では、抗体の生物学的に機能的な断片、例えばFc領域を含むものは、無傷抗体に存在する場合、Fc領域に通常関係する生物学的機能、例えばFcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能及び補体結合の少なくとも一つを保持する。一実施態様では、抗体の生物学的に機能的な断片は無傷抗体と実質的に同様なインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、抗体のかかる生物学的に機能的な断片は断片にインビボ安定性を付与することができるFc配列に結合した抗原結合アームを含みうる。

0074

診断タンパク質」という用語は、疾患の診断に使用されるタンパク質を意味する。
「診断用抗体」なる用語は、疾患のための診断用試薬として使用される抗体を意味する。診断用抗体は、特定の疾患に特に関連し、又はそこでの発現増加を示す標的抗原に結合しうる。診断用抗体は、例えば、患者からの生体試料、又は患者における腫瘍のような疾患部位診断画像における標的を検出するために使用することができる。診断用抗体の「生物学的に機能的な断片」は、インタクトな抗体に起因する生物学的機能の幾らか又は全てとはいかないまでも少なくとも一つを示し、該機能は標的抗原への特異的結合を少なくとも含む。
「精製された」は、分子が、それが含まれている試料の少なくとも80−90重量%の濃度で試料中に存在することを意味する。精製されたタンパク質は、抗体を含み、好ましくは本質的に純粋であり望ましくは本質的に均一である(つまり混在タンパク質を含まない)。

0075

「本質的に純粋な」タンパク質は、組成物全重量に基づいて少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含むタンパク質組成物を意味する。
「本質的に均質な」タンパク質は、組成物の全重量に基づいて少なくとも約99重量%のタンパク質を含むタンパク質組成物を意味する。

0076

ここで使用される場合、「可溶な」とは、水溶液中において完全に溶存し、目視で評価して、可視できる粒子がなく透明からわずかに乳白色の溶液になることを意味する。溶液の濁度(又はタンパク質の溶解度)のさらなるアッセイは1cm経路長セルを用い、340〜360nmにおけるUV吸光度を測定することより実施され、20mg/mlの濁度は0.05吸光単位未満である。

0077

「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され及び単離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク様又は非タンパク様溶質が含まれる。ある実施態様では、抗体は、(1)例えばローリー法で測定したときに95重量%より多くの抗体まで、ある実施態様では99重量%より多くの抗体まで、(2)例えばスピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度に、あるいは、(3)例えばクーマシーブルーあるいは銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツ抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程により調製される。

0078

「プロテインA」と「ProA」という用語はここでは交換可能に使用され、その天然源から回収されるプロテインA、合成的に(例えば、ペプチド合成あるいは組換え技術により)産生されるプロテインA、及びFc領域のようなCH2/CH3領域を持つタンパク質と結合する能力を保持しているその変異体を包含する。プロテインAはRepligen、Pharmacia及びFermatechから商業的に購入することができる。プロテインAは一般に固相担体材料上に固定化される。「ProA」なる用語もまたプロテインAが共有結合したクロマトグラフィー固体担体マトリックスを含むアフィニティクロマトグラフィー樹脂又はカラムを意味する。

0079

「クロマトグラフィー」なる用語は、混合物中の対象の溶質が、混合物の個々の溶質が移動相の影響下で、又は結合及び溶離プロセスにおいて、静止媒体を通して移動する速度の差の結果として混合物中の他の溶質から分離されるプロセスを意味する。

0080

「アフィニティクロマトグラフィー」及び「プロテインアフィニティクロマトグラフィー」なる用語はここでは交換可能に使用され、対象のタンパク質又は対象の抗体が可逆的かつ特異的に生体分子特異的リガンドに結合されるタンパク質分離技術を意味する。好ましくは、生体分子特異的リガンドは、クロマトグラフィー固相物質に共有的に結合し、溶液がクロマトグラフィー固相材料に接触するとき溶液中の対象のタンパク質に接近可能である。対象のタンパク質(例えば抗体、酵素、又は受容体タンパク質)はクロマトグラフィー工程中に生体分子特異的リガンド(例えば抗原、基質、共因子、又はホルモン)に対するその特異的結合親和性を保持する一方、混合物中の他の溶質及び/又はタンパク質はリガンドには有意には又は特異的には結合しない。固定されたリガンドへの対象のタンパク質の結合は、汚染タンパク質又はタンパク質不純物クロマトグラフィー媒体を通過することを許容する一方、対象のタンパク質は固相物質上の固定化リガンドに特異的に結合したままである。ついで、対象の特異的に結合したタンパク質は低pH、高pH、高塩、競合リガンド等で固定化リガンドから活性形態で除去され、先にカラムを通過することが可能にされた汚染タンパク質又はタンパク質不純物を含まない溶離バッファーと共にクロマトグラフィーカラムを通過させられる。任意の成分を、その各特異的な結合タンパク質、例えば抗体を精製するためのリガンドとして使用することができる。

0081

「非アフィニティクロマトグラフィー」及び「非アフィニティ精製」なる用語は、アフィニティクロマトグラフィーが利用されない精製プロセスを意味する。非アフィニティクロマトグラフィーは、対象の分子(例えばタンパク質、例えば抗体)及び固相マトリックス間の非特異的相互作用に依存するクロマトグラフィー技術を含む。

0082

カチオン交換樹脂」は負に荷電し、よって、固相の上又は中を通過する水溶液中のカチオンと交換される遊離のカチオンを有する固相を意味する。固相に結合してカチオン交換樹脂を形成する負に荷電したリガンドは、例えば、カルボキシレート又はスルホネートでありうる。市販のカチオン交換樹脂は、カルボキシ-メチル-セルロースアガロース上に固定化されたスルホプロピル(SP)(例えば、SP-SEPHAROSEFASTFLOW又はSP-SEPHAROSE HIGHPERFORMANCE(商標)、Pharmacia製)及びアガロース上に固定化されたスルホニル(例えば、S-SEPHAROSE FAST FLOW(商標)、Pharmacia製)を含む。「混合モードイオン交換樹脂」はカチオン、アニオン、及び疎水性部分で共有的に修飾された固相を意味する。市販の混合モードイオン交換樹脂は、弱いカチオン交換基、低濃度のアニオン交換基、及びシリカゲル固相支持体マトリックスに結合した疎水性リガンドを含むBAKERBOND ABXTM(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)である。

0083

アニオン交換樹脂」は、例えばそれに結合した第4級アミノ基等の一又は複数の正荷電リガンドを有する、正に荷電した固相を意味するためにここで使用される。市販のアニオン交換樹脂は、DEAEセルロースQAESEPHADEXTM及びFAST Q SEPHAROSETM (Pharmacia)を含む。

0084

「バッファー」は、その酸-塩基結合成分の作用によりpH変化に抗する溶液を意味する。例えばバッファーの所望のpHに応じて使用できる様々なバッファーが、Biological Systems, Gueffroy, D.,版 Calbiochem Corporation (1975)に記載されている。一実施態様では、バッファーは、約2から約9、あるいは約3から約8、あるいは約4から約7、あるいは約5から約7の範囲のpHを有する。この範囲内にpHを制御するバッファーの非限定的例は、MES、MOPS、MOPSO、トリス、HEPES、リン酸塩、酢酸塩クエン酸塩コハク酸塩、及びアンモニウムバッファー、並びにこれらの組み合わせを含む。

0085

負荷バッファー」は、対象とするポリペプチド分子及び一又は複数の不純物を含む組成物をイオン交換樹脂に負荷するのに使用するものである。負荷バッファーは、対象とするポリペプチド分子(及び一般には一又は複数の不純物)がイオン交換樹脂に結合するような、又は対象のタンパク質が不純物が樹脂に結合している間、カラムを通過するような、伝導率及び/又はpHを有する。

0086

中間バッファー」は、対象とするポリペプチド分子の溶離に先立って、一又は複数の不純物をイオン交換樹脂から溶離するのに使用される。中間バッファーの伝導率及び/又はpHは、一又は複数の不純物がイオン交換樹脂から溶離されるが、対象とするポリペプチドの有意な量は溶離されないようなものである。

0087

洗浄バッファー」なる用語は、ここで用いられる場合、対象とするポリペプチド分子の溶離に先立って、イオン交換樹脂を洗浄又は再平衡化するのに使用されるバッファーを意味する。簡便には、洗浄バッファー及び負荷バッファーは同じであってもよいが、そうである必要はない。
「溶離バッファー」は、対象とするポリペプチドを固相から溶離するのに使用される。溶離バッファーの伝導率及び/又はpHは、対象とするポリペプチドがイオン交換樹脂から溶離されるようなものである。

0088

再生バッファー」は、イオン交換樹脂を再生してそれが再利用できるようにするのに使用される。再生バッファーは、実質的に全ての不純物と対象とするポリペプチドをイオン交換樹脂から除去するのに必要な伝導率及び/又はpHを有する。

0089

ここで使用される「実質的に同様の」又は「実質的に同じ」なる用語は、当業者が、2つの値の差異が、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の点において生物学的及び/又は統計的有意性が殆どないか又はないと考えるように、2つの数値(例えば一方は本発明の抗体に関連し、他方は参照/コンパレータ抗体)の間に十分に高度な類似性があることを示す。前記2つの値の差異は、参照/コンパレータ抗体値の関数として、例えば約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。

0090

「実質的に低減」又は「実質的に異なる」は、量又は数的値に関してここで使用される場合(化学的工程の還元への参照としてではなく)、2つの数値(一般的に一つは分子に関連し他方は参照/コンパレータ分子に関連する)間の十分に高い度合いでの差異を示し、当業者であれば、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の範囲内で、2つの値の間に、統計的に有意な差異があるとみなすであろう。前記2つの値の間の差異は、例えば、参照/コンパレータ分子に対する値の関数として、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、及び/又は約50%以上である。

0091

ここで使用される「ベクター」なる用語は、それが連結している他の核酸輸送することのできる核酸分子を意味するものである。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは付加的なDNAセグメントライゲートされうる環状二本鎖DNAを意味する。他のタイプのベクターはファージベクターである。他のタイプのベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノムライゲーションすることができる。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内において自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入によって宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、宿主ゲノムと共に複製される。更に、ある種のベクターは、それらが作用可能に連結している遺伝子の発現を方向づけ得る。このようなベクターは、ここでは、「組換え発現ベクター」、あるいは単に「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術で利用される発現ベクターは、しばしばプラスミドの形をとる。本明細書では、プラスミドが最も広く使用されているベクターの形態であるので、「プラスミド」及び「ベクター」を交換可能に使用することができる。

0092

参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を達成するために必要ならば間隙を導入し、如何なる同類置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって著作され、そのソースコードは米国著作権(ワシトンD.C.,20559)に使用者用書類と共に提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社(サウスサンフランシスコ,カリフォルニア)から公的に入手可能であり、又はソースコードからコンパイルされうる。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標)V4.0Dでの使用のためにコンパイルされなければならない。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。

0093

アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対するある程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。

0094

アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることが理解されるであろう。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを用いて直ぐ上の段落に記載されるようにして得られる。

0095

「パーセント(%)核酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後の、参照D因子コード配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ついで、配列同一性はより長い配列に対して計算される。すなわち、たとえより短い配列がより長い配列の一部と100%の配列同一性を示すとしても、全体の配列同一性は100%未満となろう。

0096

「治療」は治療的処置及び予防又は阻害的処置の両方を意味する。治療が必要なものには、既に疾患に罹患しているもの並びに予防すべき疾患あるものが含まれる。ここでの「治療」は疾患及び特定の疾患の徴候及び症状の軽減を包含する。
障害」とはタンパク質による治療から利益を被る何れかの状態である。これには慢性及び急性の障害又は疾患、例えば問題となる障害に哺乳類を罹患し易くする病理学的状態を包含する。本明細書において治療すべき障害の非限定的な例は、癌腫及びアレルギーを含む。

0097

治療の目的のための「哺乳動物」は、哺乳動物として分類される任意の動物、例えばヒト、非ヒト高等霊長類、他の脊椎動物、家畜、及び動物園スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ウマネコウシ等を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。

0098

B.本発明を実施するための例示的な方法及び材料
本発明の実施には、特に示さない限り、当業者の技量内にある分子生物学の一般的技法等を用いる。このような技術は文献に十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (J. Sambrook等, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989); Current Protocols in Molecular Biology (F. Ausubel等,版, 1987 updated); Essential Molecular Biology (T. Brown版, IRL Press 1991); Gene Expression Technology (Goeddel版, Academic Press 1991); Methodsfor Cloning and Analysis of Eukaryotic Genes (A. Bothwell等,版, Bartlett Publ. 1990); Gene Transfer and Expression (M. Kriegler, Stockton Press 1990); Recombinant DNA Methodology II (R. Wu等,版, Academic Press 1995);PCR:A Practical Approach (M. McPherson等, IRL Press at Oxford University Press 1991); Oligonucleotide Synthesis (M. Gait版, 1984); Cell Culture for Biochemists (R. Adams版, Elsevier Science Publishers 1990); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. Miller & M. Calos版, 1987); Mammalian Cell Biotechnology (M. Butler版, 1991); Animal Cell Culture (J. Pollard等,版, Humana Press 1990); Culture of Animal Cells, 2nd版 (R. Freshney等,版, Alan R. Liss 1987); Flow Cytometry and Sorting (M. Melamed等,版, Wiley-Liss 1990); the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Wirth M. and Hauser H. (1993); Immunochemistry in Practice, 3rd edition, A. Johnstone & R. Thorpe, Blackwell Science, Cambridge, MA, 1996; Techniques in Immunocytochemistry, (G. Bullock & P. Petrusz版, Academic Press 1982, 1983, 1985, 1989); Handbook of Experimental Immunology, (D. Weir & C. Blackwell,版); Current Protocols in Immunology (J. Coligan等,版 1991); Immunoassay (E. P. Diamandis & T.K. Christopoulos,版, Academic Press, Inc., 1996); Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed) Academic Press, New York; Ed Harlow and David Lane, Antibodies A laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1988; Antibody Engineering, 2nd edition (C. Borrebaeck,版, Oxford University Press, 1995);及びthe series Annual Review of Immunology; the series Advances in Immunologyを参照。

0099

1.グルタミンフリー細胞培養培地を用いた哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質の組換え生産
本発明は哺乳動物宿主細胞における大量タンパク質組換え生産に関し、アスパラギンで補充されたグルタミンフリー細胞培養培地を使用する。哺乳動物細胞は、主に、適切に折畳まれ組み合わせられた異種タンパク質を生産するそれらの能力、及び翻訳後修飾のそれらの能力のために、臨床利用のための哺乳動物タンパク質の産生の主要なシステムとなった。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及び様々な他の哺乳動物源から得られた細胞株、例えばマウスミエローマ(NS0)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、ヒト胎児由来腎臓(HEK-293)及びヒト網膜細胞が、治療用抗体を含む生物製剤の生産に対して規制当局によって承認されている。これらのうち、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)が最も一般的に使用されている工業的宿主であり、異種タンパク質の生産に一般的に使用されている。よって、ジヒドロ葉酸レダクターゼネガティブ(DHFR-)CHO細胞を含むCHOにおける大規模な抗体の生産方法が当該分野でよく知られている(例えば、Trill等, Curr. Opin. Biotechnol. 6(5):553-60 (1995)を参照)。

0100

最初に、所望の組換えタンパク質をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子エンハンサーエレメントプロモーター、及び転写終結配列を含み、各々は下に記載されている。用いられうる任意のシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列は公知であり、PCT Publication WO 97/25428に更に詳細に記載される。

0101

発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、タンパク質コード化核酸配列に機能的に連結されたプロモータを含む。プロモータは、構造遺伝子開始コドン上流(5’)に位置する否翻訳配列であり(一般に約100〜1000bp以内)、それらが機能的に連結する特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する。このようなプロモーターは典型的に誘導的及び構成的の2クラスに分類される。誘導的なプロモーターは、養分の有無又は温度変化等の培養条件のある変化に対応してその制御の下でDNAからの転写レベルを上昇させるプロモーターである。現時点で、多種の潜在宿主細胞により認識される非常に多くのプロモーターがよく知られている。これらのプロモーターは、制限酵素消化によって供給源DNAからプロモーターを排除し、ベクターに単離したプロモーター配列を挿入することで、所望のタンパク質をコードするDNAに機能的に結合している。

0102

原核生物及び真核生物宿主との使用に適したプロモーターは当技術分野で公知であり、PCT Publication No. WO97/25428に更に詳細に記載されている。
上に列挙した成分の一又は複数を含んでなる適切なベクターの構築は、標準的なライゲーション技術を用いる。単離されたプラスミド又はDNA断片は、切断され、調整され、所望の形態に再ライゲーションされ、必要なプラスミドを生成する。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための分析には、通例、ライゲーション混合物を用いて大腸菌K12 294株(ATCC31,446)を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によって選択することができる。それらの形質転換体からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化、及び/又は当該分野で公知の標準的な技術を使用して配列化させることにより分析する(例えば、Messing等, Nucleic AcidsRes. 1981, 9:309; Maxam等, Methods in Enzymology 1980, 65:499)。

0103

哺乳動物細胞において一過性に発現させる発現ベクターを使用してもよい。一般に、一過性発現は、宿主細胞が、発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次いで、発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドが高レベルで合成されるように、宿主細胞において十分に複製可能な発現ベクターを使用することを含む(Sambrook等, 上掲)。適切な発現ベクター及び宿主細胞を含む一過性発現系は、クローンDNAによりコードされるポリペプチドの簡便なポジティブな同定、並びに所望の生物学的又は生理学的特性についてのかかるポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。

0104

組換え脊椎動物細胞培養での所望の異種タンパク質の合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 1981, 293:620-625 ; Mantei等, Nature 1979, 281:40-46;欧州特許第117060号;及び欧州特許第117058号に記載されている。
大量生産のために、本発明によると、哺乳動物宿主細胞はトランスフェクトされ、好ましくは上記の発現ベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増殖のために適切に修飾された栄養培地で培養される。
トランスフェクトは、任意のコード化配列が、実際に発現するか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを称する。多くのトランスフェクトの方法、例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションは、通常、当業者に知られている。成功裏のトランスフェクトは、このベクターの操作の任意の表示が宿主細胞内で生じる場合に、一般的に認識される。

0105

形質転換とは、染色体外要素として又は染色体組込み体により、DNAが複製可能なように生物にDNAを導入することを意味する。使用する宿主細胞に従い、形質転換はかかる細胞に適切な標準技術を使用して行われる。上掲Sambrook等に記載のような塩化カルシウムを使用するカルシウム処理、又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物又は細胞壁バリアを有する他の細胞に使用される。アグロバクテリウムツメファシエンスを用いた感染が特定の植物細胞の形質転換に使用され、(Shaw等, Gene 1983, 23:315及びPCT Publication No. WO 89/05859)に記載される。更に、植物は超音波処理を使用して形質移入されうる、PCT Publication No. WO 91/00358 published 10 January 1991。

0106

このような細胞壁を持たない哺乳動物細胞には、リン酸カルシウム沈殿法(Graham and van der Eb, Virology 1978, 52:456-457)が用いられうる。哺乳動物細胞宿主システム形質転換の一般的な態様は、米国特許第4,399,216号に記載される。哺乳動物細胞の形質転換のための様々な技術は、また、Keown等 Methodsin Enzymology 1990, 185:527-537及びMansour等 Nature 1988, 336:348-352を参照。

0107

通常、大規模生産の間、生産周期を開始するために、通常は少数の形質転換組換え宿主細胞を数日間培養にて増殖させる。一旦細胞が数回の複製を受けたところで、それらを、発酵を受ける準備がなされているより大きな容器に移す。細胞が増殖される培地及び生産サイクル中に存在する酸素窒素及び二酸化炭素のレベルは生産プロセスに対して有意な影響を有しうる。増殖パラメータは各細胞株に対して特に決定され、これらのパラメータは最適な増殖及び生産条件を確保するために頻繁に測定される。

0108

細胞が十分な数まで増殖したところで、それらは大規模な生産タンクに移され、より長い期間、増殖される。プロセスのこの時点で、組換えタンパク質を収集することができる。典型的には、細胞を操作して細胞培養培地中にポリペプチドを分泌させるので、精製プロセスの第一工程は培地から細胞を分離することである。収集は、通常、収集細胞培養液(HCCF)を生産するための遠心分離と濾過を含む。ついで、培地に、細胞片、望まれないタンパク質、塩、ミネラル分他は他の望まれない元素を除去する更なる数工程の精製工程を施す。精製プロセスの終わりでは、タンパク質は非常に純粋で、ヒトの治療用途に適している。

0109

このプロセスは過去数十年にわたって多くの研究と改良の主題であったが、抗体等組換えタンパク質の大規模な商業的生産において更なる改善の余地がある。従って、哺乳類宿主細胞培養の細胞生存度、寿命、及び比生産性の増加、及び生産される組換えタンパク質の力価の改善は、生産される組換えタンパク質の価格に、また治療用タンパク質の場合は薬物生産物の価格及び可用性に真の影響を有する。

0110

本発明は、細胞培養過程の生産期において添加アスパラギンを有するグルタミンフリー培養培地を用いた、哺乳動物細胞培養における異種タンパク質の生産のための改良された方法に関する。本発明の過程において使用される培養培地は、哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質の組換え生産のための何れかの市販の培地に基づくことが可能であり、特にCHO細胞である。

0111

市販の培養培地の例は、ハムF10(Sigma)、基礎培地(「MEM」(Sigma))、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ変法イーグル培地(「DMEM」(Sigma))を含む。何れのこのような培地は、必要に応じて、ホルモン及び/又はその他増殖因子(例えばインスリン、トランスフェリン又は上皮細胞成長因子)、塩類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えばGentamycinTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源で補充されてもよい。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。更に、本発明の培養培地は、グルタミンが成分として除外されているならば、Ham and McKeehan, Meth. Enz., 58: 44 (1979); Barnes and Sato, Anal. Biochem., 102: 255 (1980);米国特許第4,767,704号;米国特許第4,657,866号;米国特許第4,927,762号;米国特許第5,122,469号又は米国特許第4,560,655号;WO 90/03430;及びWO 87/00195に記載される何れかの培地に基づくこと可能である。

0112

グルタミンフリー条件下ではアスパラギンが必要とされ、これは哺乳動物細胞はグルタミンの存在下においてのみアスパラギンを合成できるからである。アスパラギンは、アスパラギン合成酵素が存在する場合にグルタミンからアミド転移により合成される。アスパラギンは、好ましくは2.5mM〜15mMの範囲の濃度で培地に加えられる。本発明の様々な実施態様おいて、アスパラギンの好ましい濃度は少なくとも2.5mMでなければならない。好ましい実施態様では、アスパラギンは10mMの濃度で加えられる。
一般に、哺乳動物細胞培養の生産性を最大にするための原理プロトコル及び実用的な技術は、ここに記載の細胞培養培地を用いた組換えタンパク質の生産に見い出され、また適合されることができる。

0113

特定の細胞株に対する培地のための必要な成分及び増殖因子は、それらの濃度を含め、過度の実験法を用いることなく経験的に決定され、例えばMammalian Cell Culture, Mather,版 (Plenum Press: NY, 1984); Barnes and Sato, Cell, 22: 649 (1980) or Mammalian Cell Biotechnology: A Practical Approach, M. Butler,版 (IRL Press, 1991)に記載される。適切な培地は、DMEM/HAM F-12に基づく配合などの基本培地成分を有し(DMEM及びHAM F12培地及び特に無血清培地の組成については、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas, Sixth Edition, 1988, pages 346-349に記載の培養培地配合を参照)、アミノ酸、塩類、糖及びビタミン等の幾つかの成分の濃度の変更を伴い、場合によっては、グリシンヒポキサンチン及びチミジン;組換え型ヒトインスリン、加水分解ペプトン、例えばPRIMATONE HSO又はPRIMATONE RLO (Sheffield, England)、又は等価なもの;細胞保護剤、例えばPLURONIC F68O又は等価なプルロニックポリオル;GENTAMYCINO;及び微量元素を含む。特定のアミノ酸の高レベルの存在により特徴付けられる米国特許第5,122,469号に記載の培地の配合、並びに下記のPS-20は特に適切である。

0114

本発明の糖タンパク質は、多様な細胞培養条件下で所望する糖タンパク質を発現する成長細胞によって生産され得る。例えば、大規模又は小規模なタンパク質の生産のための細胞培養手順が本発明において潜在的に有用である。これに限定するものではないが、流動床バイオリアクター中空繊維バイオリアクターローラーボトル培養、又は攪拌タンクバイオリアクターシステムを含む手順が使用され、後者の2つのシステムではマイクロキャリアを伴うか伴わず、バッチ式、流加式、又は連続式で操作される。

0115

特定の実施態様では、本発明の細胞培養は、攪拌タンクバイオリアクターシステム及び流加式培養法によって行われる。好ましい流加式培養では、哺乳動物宿主細胞及び培養培地は培養容器へ最初に供給され、さらなる培養培養栄養分は、培養の停止前に周期細胞及び/又は生産物の収集を伴うか伴わず、連続的に又は不連続的な増量によって培養中の培養液へ供給される。流加式培養は、例えば、定期的に全培養液(細胞及び培地を含む)を除き、そして新鮮な培地に置き換える、半連続式流加培養を含むことが可能である。流加式培養は、培養過程が開始される時点において細胞培養に対する全ての構成成分(細胞及び全ての培養栄養分を含む)が培養容器へ供給され、単純培養法とは異なる。さらに、流加式培養は、上清が培養過程中に培養容器から取り除かれない点においては、灌流培養法とは区別され得る(灌流培養において細胞は、例えば、濾過、封入マイクロキャリアーへ固定する等により培養物中へ拘束され、培養液は連続的もしくは断続的に導入され、そして培養容器から取り除かれる)。

0116

さらに、培養される細胞は、考え得る所定の宿主細胞及び所定の生産計画に適した計画もしくは定法のいずれかに従って繁殖され得る。従って、本発明では、単一段階又は複数の段階による培養方法を考慮する。単一段階培養において、宿主細胞は培養環境接種され、速やかな発明の処理過程が、細胞培養の単一段階培養期の間利用される。場合によっては、複数段階培養が想定される。複数段階培養において、細胞は幾つかの段階又は時期において培養されてもよい。例えば、細胞は、おそらく保存サンプルから取り出され増殖及び良好な生存性を促進するのに適した培地へ接種されるような最初の段階又は増殖期培養にて増殖され得る。細胞は、宿主細胞培養物に新しい培養液を添加することにより適当な一時期間、増殖期に維持されてもよい。

0117

本発明の好ましい状態に従って、流加式又は連続的細胞培養条件は、細胞培養の増殖期において哺乳類細胞の成長を促進するために、工夫される。温度、pH、溶存酸素(DO2)及びこれに同種の培養条件は、所定の宿主の用いられるもので、当業者にとって明らかである。通常、pHは酸(例えば、CO2)又は塩基(例えば、Na2CO3又はNaOH)約6.5から7.5の間のレベルに設定される。CHO細胞のような哺乳類細胞を培養するために適切は温度範囲は、30から40℃の間であって、好ましくは37℃であり、適切なDO2は大気飽和濃度が5から90%である。
所定の段階において、細胞は細胞培養の生産期又は生産段階のものを接種するために使用され得る。場合によっては、上述したように生産期又は生産段階は接種もしくは増殖期又は増殖段階と連続てきであってもよい。

0118

哺乳類、例えばCHO細胞における標的タンパク質の生産は典型的には、半連続プロセスを使用し、これにより細胞は様々な期間で「シードトレイン」中で培養され、接種用の発酵槽へ周期的に移され、大規模に生産発酵槽播種するよう十分な細胞量を生成される。このように、所望のタンパク質の生産に使用される細胞は、最大の所定の細胞齢までの様々な期間培養される。培養中のシード密度、pH、DO2及び温度、生産培養の持続時間、回収の作動条件等の細胞培養プロセスパラメーターは、使用される特定細胞株及び培養培地の関数であり、過度の実験法無しに経験的に決定されることができる。本発明に従い、細胞培養の産生期の間、細胞培養環境が制御される。好ましい態様では、細胞培養過程の生産期は、細胞培養の生産期に対するパラメーターが保証される細胞培養の過渡期によって先行される。

0119

抗体等の所望のポリペプチドは、分泌シグナルを持たずに直接精製された場合には宿主細胞溶解物から回収するが、分泌したポリペプチドとして培養培地から回収してもよい。ポリペプチドが膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて膜から切り離すか、又は酵素的切断によりその細胞外領域を切り離すことができる。
ポリペプチドがヒト起源のもの以外の組み換え細胞内で生成される場合、ヒトのタンパク質ないしポリペプチドは含まない。しかしながら、通常は所望のポリペプチドに関して実質的に均一な調製物を得るために組み換え細胞タンパク質ないしポリペプチドからポリペプチドを回収ないし精製することが必要である。第一工程として、培養培養液ないし溶解物を遠心分離して粒子状細胞破壊物を取り除く。その後異種ポリペプチドは、適切な精製手順の例である次の手順により、夾雑物溶質性タンパク質及びポリペプチドから精製される:SP-SepharoseO又はCM-SepharoseO等のイオン交換カラムでの分画ヒドロキシアパタイト疎水性相互作用クロマトグラフィーエタノール沈殿クロマトフォーカシング硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックス(登録商標)G-75を用いるゲル濾過;及び/又はダイアフィルトレーション
組換えポリペプチドは、例えばアフィニティークロマトグラフィーにより単離できる。

0120

またフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)のようなプロテアーゼ阻害剤は、精製の間のタンパク質分解を抑制するのに役立ち、抗生物質は付随する汚染物質の増加を防ぐことを包含しうる。当該分野の技術者は、抗体を含む組換えタンパク質の精製及び単離のために適切な精製方法が、ここで使用されることができ、必要であれば標準的な技術を使用して修飾されることを理解しているであろう。

0121

遺伝子発現は、ここに提供される配列に基づき、適切な標識プローブを使用し、例えば一般的なサザンブロッティングmRNAの転写を定量化するための簡便なノーザンブロッティング(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1980, 77:5201-5205)、ドットブロッティング(DNA分析)、又はin situハイブリダイゼーションによって、直接に試料から測定することができる。種々の標識、最も一般的には、放射性同位元素、特に32Pを用いることができる。しかしながら、ポリヌクレオチドへの導入にビオチン-修飾ヌクレオチドを利用すること等、他の技術も用いることができる。ビオチンは、次いで、アビジン又は抗体への結合ための部位として機能し、それは、放射性核種蛍光剤、酵素等の幅広い標識で標識することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA‐RNAハイブリッド二本鎖、又はDNA-タンパク質二本鎖を含む特定の二本鎖を認識することができる抗体が使用されうる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。

0122

あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。免疫組織化学的染色技術では、細胞試料を、典型的には脱水と固定によって調製し、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識化抗体と反応させるが、この標識は通常は視覚的に検出可能であり、例えば酵素的標識、蛍光標識、又はルミサンス標識等である。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。

0123

2.抗体
好ましい実施態様では、本発明の方法は、治療用抗体及び診断用抗体を含む抗体の組換え生産のために使用される。本発明の範囲である抗体は、限定するものではないが:抗HER2抗体、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))を含む (Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285-4289 (1992),米国特許第5,725,856号);抗CD20抗体、米国特許第5,736,137号 に記載のキメラ抗CD20「C2B8」(RITUXAN(登録商標))、米国特許第5,721,108B1号に記載の2H7抗体のキメラ又はヒト化変異体又はトシツモマブ(BEXXAR(登録商標));抗IL-8 (St John等, Chest, 103:932 (1993),及びInternational Publication No. WO 95/23865);抗VEGF抗体、ヒト化及び/又は親和性成熟抗VEGF抗体、例えばヒト化抗VEGF抗体huA4.6.1 AVASTIN(登録商標)を含む(Kim等, Growth Factors, 7:53-64 (1992), International Publication No. WO 96/30046及びWO 98/45331, published October 15, 1998);抗PSCA抗体(WO01/40309);抗CD40抗体、S2C6及びそれらのヒト化変異体を含む(WO00/75348);抗CD11a(米国特許第5,622,700号, WO 98/23761, Steppe等, Transplant Intl. 4:3-7 (1991),及びHourmant等, Transplantation 58:377-380 (1994));抗IgE(Presta等, J. Immunol. 151:2623-2632 (1993),及びInternational Publication No. WO 95/19181);抗CD18(米国特許第5,622,700号, issued April 22, 1997、又はWO 97/26912, published July 31, 1997);抗IgE (E25、E26及びE27を含む;米国特許第5,714,338号, issued February 3, 1998又は米国特許第5,091,313号, issued February 25, 1992, WO 93/04173 published March 4, 1993,又はInternational Application No. PCT/US98/13410 filed June 30, 1998,米国特許第5,714,338号);抗Apo-2受容体抗体(WO 98/51793 published November 19, 1998);抗TNF-α抗体、cA2(REMICADE(登録商標))、CDP571及びMAK-195を含む(米国特許第5,672,347号 issued September 30, 1997, Lorenz等, J. Immunol. 156(4):1646-1653 (1996),及びDhainaut等, Crit. Care Med. 23(9):1461-1469 (1995)を参照);抗組織因子(TF)(European Patent No. 0 420 937 B1 granted November 9, 1994);抗ヒトα4β7インテグリン(WO 98/06248 published February 19, 1998);抗EGFR(WO 96/40210 published December 19, 1996に記載のキメラ又はヒト化225抗体);抗CD3抗体、例えばOKT3(米国特許第4,515,893 号issued May 7, 1985);抗CD25又は抗tac抗体例えばCHI-621(SIMULECT(登録商標)) 及び(ZENAPAX(登録商標)) (米国特許第5,693,762号 issued December 2, 1997を参照);抗CD4抗体例えばcM-7412抗体 (Choy等, Arthritis Rheum 39(1):52-56 (1996));抗CD52抗体、例えばCAMPATH-1H (Riechmann等, Nature 332:323-337 (1988));抗Fc受容体抗体、例えばFcγRIに向けられたM22抗体、Graziano等, J. Immunol. 155(10):4996-5002 (1995)に記載される;抗癌胎児抗原(CEA)抗体、例えばhMN-14(Sharkey等, Cancer Res. 55(23Suppl): 5935s-5945s (1995);胸部上皮細胞に対する抗体、huBrE-3、hu-Mc 3及びCHL6を含む (Ceriani等, Cancer Res. 55(23): 5852s-5856s (1995);及びRichman等, Cancer Res. 55(23 Supp): 5916s-5920s (1995));結腸癌細胞に結合する抗体、例えばC242(Litton等, Eur J. Immunol. 26(1):1-9 (1996));抗CD38抗体、例えばAT 13/5 (Ellis等, J. Immunol. 155(2):925-937 (1995));抗CD33抗体、例えばHu M195(Jurcic等, Cancer Res 55(23 Suppl):5908s-5910s (1995)及びCMA-676又はCDP771;抗CD22抗体、例えばLL2又はLymphoCide (Juweid等, Cancer Res 55(23 Suppl):5899s-5907s (1995));抗EpCAM抗体、例えば17-1A (PANOREX(登録商標));抗GpIIb/IIIa抗体、例えばアブシキシマブ又はc7E3Fab(REOPRO(登録商標));抗RSV抗体、例えばMEDI-493 (SYNAGIS(登録商標));抗CMV抗体、例えばPROTOVIR(登録商標);抗HIV抗体、例えばPRO542;抗肝炎抗体、例えば抗Hep B抗体 OSTAVIR(登録商標);抗CA 125抗体OvaRex;抗イディオタイプGD3エピトープ抗体BEC2;抗αvβ3抗体VITAXIN(登録商標);抗ヒト腎細胞癌抗体、例えばch-G250;ING-1;抗ヒト17-1A抗体(3622W94);抗ヒト直腸結腸腫瘍抗体(A33);GD3ガングリオシドに対する抗ヒト黒色腫抗体R24;抗ヒト扁平上皮癌(SF-25);及び抗ヒト白血球抗原(HLA)抗体、例えばSmart ID10及び抗HLADR抗体Oncolym(Lym-1)を含む。ここに記載の抗体のための好まし標的抗原は:HER2受容体、VEGF、IgE、CD20、CD11a、及びCD40である。これらの抗体の多くは、癌を含む様々な疾患を治療するために診療において広く使用される。
ある特定の実施態様では、本発明の方法は、以下の抗体及び組換えタンパク質の生産のために使用される。

0124

抗CD20抗体
リツキシマブ(リツキサン(RITUXAN)(登録商標))抗体は、CD20抗原に対する遺伝子的操作が施されたキメラマウスヒトモノクローナル抗体である。リツキシマブは1998年4月7日に発行された米国特許第5736137号(Anderson等)において「C2B8」と呼ばれている抗体である。リツキシマブは、再発性又は難治性低悪性度又は濾胞性(follicular)の、CD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の治療のためのものである。インビトロ作用機序の研究では、リツキシマブは、ヒト補体に結合し、補体依存性細胞傷害性(CDC)を介してリンパ系B細胞系統を溶解することが実証されている(Reff等, Blood 83(2):435-445 (1994))。また、それは抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)に対するアッセイで有意な活性を有している。より最近では、リツキシマブはトリチウム標識チミジン取り込みアッセイにおいて抗増殖効果を有しており、アポトーシス直接誘導することが示されたが、他の抗CD19及びCD20抗体は誘導しない(Maloney等, Blood 88:637a (1996))。リツキシマブ及び化学療法剤及び毒素間の相乗効果もまた実験的に観察されている。特に、リツキシマブは、ドキソルビシン、CDDP、VP-16、ジフテリア毒素及びリシン細胞傷害性効果に対する薬物耐性ヒトB細胞リンパ腫細胞系の感受性を高める(Demidem等 Cancer Chemotherapy & Radiopharmaceuticals 12(3):177-186 (1997))。インビボ前臨床研究では、リツキシマブが、おそらくは補体及び細胞媒介プロセスを介してカニクイザル末梢血リンパ節及び骨髄のB細胞を減少させることが示されている(Reff等 Blood 83(2):435-445 (1994))。

0125

CD20抗体に関する特許及び特許出願は、米国特許第5,776,456号、同第5,736,137号、同第6,399,061号、及び同第5,843,439号、並びに米国特許出願公開第US 2002/0197255A1号、同第US 2003/0021781A1号、同第US 2003/0082172 A1号、同第US 2003/0095963 A1号、同第US 2003/0147885 A1号(Anderson等);米国特許第6,455,043B1号及びWO00/09160(Grillo-Lopez, A.);WO00/27428(Grillo-Lopez and White);WO00/27433(Grillo-Lopez and Leonard);WO00/44788(Braslawsky等);WO01/10462(Rastetter, W.);WO01/10461(Rastetter and White);WO01/10460(White and Grillo-Lopez);米国特許出願公開第US2002/0006404号及びWO02/04021(Hanna and Hariharan);米国特許出願公開第US2002/0012665 A1号及びWO01/74388(Hanna, N.);米国特許出願公開第US 2002/0058029 A1号(Hanna, N.);米国特許出願公開第US 2003/0103971 A1号(Hariharan and Hanna);米国特許出願公開第US2002/0009444A1号及びWO01/80884(Grillo-Lopez, A.);WO01/97858(White, C.);米国特許出願公開第US2002/0128488A1号及びWO02/34790(Reff, M.);W)02/060955(Braslawsky等);WO2/096948(Braslawsky等);WO02/079255(Reff and Davies);米国特許第6,171,586B1号、及びWO98/56418(Lam等);WO98/58964(Raju, S.);WO99/22764(Raju, S.);WO99/51642、米国特許第6,194,551B1号、米国特許第6,242,195B1号、米国特許第6,528,624B1号、及び米国特許第6,538,124号(Idusogie等);WO00/42072(Presta, L.);WO00/67796(Curd等);WO01/03734(Grillo-Lopez等);米国特許出願公開第US 2002/0004587A1号及びWO01/77342(Miller and Presta);米国特許出願公開第US2002/0197256号(Grewal, I.);米国特許出願公開第US 2003/0157108 A1号(Presta, L.);米国特許第6,090,365B1号、同第6,287,537B1号、同第6,015,542号、同第5,843,398号、及び同第5,595,721号、(Kaminski等);米国特許第5,500,362号、同第5,677,180号、同第5,721,108号、及び同第6,120,767(Robinson等)号;米国特許第6,410,391B1(Raubitschek等);米国特許第6,224,866B1及びWO00/20864(Barbera-Guillem, E.);WO01/13945(Barbera-Guillem, E.);WO00/67795(Goldenberg);米国特許出願公開第US 2003/01339301 A1号及びWO00/74718(Goldenberg and Hansen);WO00/76542(Golay等);WO01/72333(Wolin and Rosenblatt);米国特許第6,368,596B1 号(Ghetie等);米国特許出願公開第US2002/0041847 A1号,(Goldenberg, D.);米国特許出願公開第US2003/0026801A1 号(Weiner and Hartmann);WO02/102312(Engleman, E.);米国特許出願公開第2003/0068664号(Albitar等);WO03/002607(Leung, S.);WO 03/049694及びUS 2003/0185796 A1(Wolin等);WO03/061694(Sing and Siegall);US 2003/0219818 A1(Bohen等);US 2003/0219433 A1及びWO 03/068821(Hansen等)を含み、各々を出典明記により本明細書中に援用する。また、米国特許第5,849,898号及び欧州出願公開第330,191号(Seed等);米国特許第4,861,579号及びEP332,865A2(Meyer and Weiss);米国特許第4,861,579号(Meyer等)及びWO95/03770 (Bhat等)も参照のこと。

0126

リツキシマブを用いた治療に関する刊行物は: Perotta and Abuel "Response of chronic relapsingITPof 10 years duration to Rituximab" Abstract # 3360 Blood 10(1)(part 1-2): p. 88B (1998); Stashi等, "Rituximab chimeric anti-CD20 monoclonal antibody treatment for adults with chronic idopathic thrombocytopenic purpura" Blood 98(4):952-957 (2001); Matthews, R. "Medical Heretics" New Scientist (7 Apr., 2001); Leandro等, "Clinical outcome in 22 patients with rheumatoid arthritis treated with B lymphocyte depletion" Ann Rheum Dis 61:833-888 (2002); Leandro等, "Lymphocyte depletion in rheumatoid arthritis: early evidence for safety, efficacy and dose response. Arthritis & Rheumatism 44(9): S370 (2001); Leandro等, "An open study of B lymphocyte depletion in systemic lupus erythematosus", Arthritis & Rheumatism 46(1):2673-2677 (2002); Edwardsand Cambridge "Sustained improvement in rheumatoid arthritis following a protocol designed to deplete B lymphocytes" Rheumatology 40:205-211 (2001); Edwards等, "B-lymphocyte depletion therapy in rheumatoid arthritis andotherautoimmune disorders" Biochem. Soc. Trans. 30(4):824-828 (2002); Edwards等, "Efficacy and safety of Rituximab, a B-cell targeted chimeric monoclonal antibody: A randomized, placebo controlled trial in patients with rheumatoid arthritis. Arthritis & Rheumatism 46(9): S197 (2002); Levine and Pestronk "IgMantibody-related polyneuropathies: B-cell depletion chemotherapy using Rituximab" Neurology 52: 1701-1704 (1999); DeVita等, "Efficacy of selective B cell blockade in the treatment of rheumatoid arthritis" Arthritis & Rheumatism 46:2029-2033 (2002); Hidashida等, "Treatment ofDMARD-Refractory rheumatoid arthritis with rituximab." Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology; October 24-29; New Orleans, La. 2002; Tuscano, J. "Successful treatment of Infliximab-refractory rheumatoid arthritis with rituximab" Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology; October 24-29; New Orleans, La. 2002. Sarwal等, N. Eng. J. Med. 349(2):125-138 (July 10, 2003) reports molecular heterogeneity in acute renal allograft rejection identified by DNA microarray profilingを含む。

0127

様々な実施態様において、本発明はヒト化抗CD20抗体を含んで成る医薬品組成物を提供する。ある実施態様では、本発明のヒト化抗体組成物は更に、IgGFcにアミノ酸改変を含み、野生型IgG Fcを持つ抗体に対し、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、より好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも125倍、更により好ましくは少なくとも150倍から約170倍のヒトFcRnに対する増加された結合親和性を呈する。

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