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技術 半導体装置用ボンディングワイヤ

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社日鉄マイクロメタル株式会社
発明者 小山田哲哉宇野智裕小田大造山田隆
出願日 2014年12月17日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2014-255111
公開日 2016年6月23日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-115875
状態 特許登録済
技術分野 ボンディング 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 接合間隔 最終熱処理温度 小径ボール 圧着形状 接合相手 ウェッジ接合 中間線 ワイヤ線
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重要な関連分野

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課題

メモリボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性、ウェッジ接合性を同時に満足することができるボンディングワイヤを提供する。

解決手段

Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることを特徴とする。

概要

背景

現在、半導体素子上の電極外部リードの間を接合する半導体装置用ボンディングワイヤ(以下、ボンディングワイヤという)として、線径15〜50μm程度の細線が主として使用されている。ボンディングワイヤの接合方法超音波併用熱圧着方式が一般的であり、汎用ボンディング装置、ボンディングワイヤをその内部に通して接続するキャピラリ冶具等が用いられる。ボンディングワイヤの接合プロセスは、ワイヤ先端アーク入熱加熱溶融し、表面張力によりボール部を形成した後に、150〜300℃の範囲内で加熱した半導体素子の電極上にこのボール部を圧着接合(以下、ボール接合という)し、次にループを形成した後、外部リード側の電極にワイヤ部を圧着接合(以下、ウェッジ接合という)することで完了する。ボンディングワイヤの接合相手である半導体素子上の電極には、Si基板上にAlを主体とする合金膜成膜した電極構造、外部リード側の電極にはAgめっき、Pdめっきなどを施した電極構造が用いられることが多い。

ボンディングワイヤには、良好なボール形成性、ボール接合性、ウェッジ接合性ループ形成性などの性能が要求される。これらの要求性能総合的に満足するボンディングワイヤの材料として、Auが主に用いられてきた。一方で、近年のAu価格の高騰により、Auに比べて安価な材料を用いたボンディングワイヤの開発が盛んに行われている。最近では、Auを用いたボンディングワイヤ(以下、Auボンディングワイヤという)が主流であるメモリ分野において、Auから安価な材料への代替を目指した開発が行われている。

メモリ分野においてAuボンディングワイヤが使用されているのは、電気抵抗が低く、優れたウェッジ接合性が得られるためである。電気抵抗が低いほど、ボンディングワイヤ1本あたりに流すことのできる電流が大きくなる。これにより、ボンディングワイヤの総数を減らすことができ、メモリを小型化できたり、高い生産性を得ることができる。また、Auは軟質かつ表面酸化等の表面劣化現象への耐性が高い。このため、Auボンディングワイヤは、低エネルギー条件での接合においても優れたウェッジ接合性が得られるので、薄型化が進んでいるメモリ用の半導体素子で問題となるウェッジ接合時の半導体素子の損傷を低減できる。

上記のメモリ用ボンディングワイヤの要求性能を満たし、Auに対して低コスト化を実現する材料として、Agが着目されている。Agの比抵抗は1.6μΩ・cmとAuの比抵抗の2.2μΩ・cmに比べて低く、低比抵抗化の観点からはAgの方がAuよりも有利である。また、Agのヤング率(約83×109 N/m2)は、Auのヤング率(約80×109N/m2)とほぼ等しい。Agは表面の劣化現象に対する耐性も高い。したがって、Agを用いたボンディングワイヤ(以下、Agボンディングワイヤという)は、Auボンディングワイヤと同等の優れたウェッジ接合性が得られると期待されている。

しかしながら、Agボンディングワイヤは、Auボンディングワイヤに比べてボール接合部の接合信頼性(以下、ボール接合信頼性と略す。)が劣るため、メモリ用ボンディングワイヤとしての実用化が困難とされている。ボール接合信頼性評価には、高温放置試験高温高湿試験などの半導体寿命加速評価する試験が用いられる。Agボンディングワイヤは、高温高湿試験において、Auボンディングワイヤに比べて短時間でボール接合部の剥離が発生するためメモリ用ボンディングワイヤとして実用化を目指す上で問題とされている。これはボール接合部の剥離が発生すると、ボール接合部で電気的な接続が損なわれて半導体デバイス故障の原因となるためである。

特許文献1には、ボール接合信頼性の課題を解決する方法として、AgにAu,Pdを添加し、合金化する技術が開示されている。Ag−Au合金が0.01から30.00wt.%のAuおよび残余のAgを含み、Ag−Pd合金が0.01から10.00wt.%のPdおよび残余のAgを含み、Ag−Au−Pd合金が0.01から30.00wt.%のAu、0.01から10.00wt.%のPdおよび残余のAgを含む合金が報告されている。特許文献2には、ボール接合信頼性の課題を解決する方法として、Ag合金の外周にPd又はPtの被覆層を設けた構造が開示されている。

概要

メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性、ウェッジ接合性を同時に満足することができるボンディングワイヤを提供する。Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることを特徴とする。なし

目的

本発明は、上記の課題を解決してメモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性、ウェッジ接合性を同時に満足することができるボンディングワイヤを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることを特徴とする半導体装置用ボンディングワイヤ

請求項2

前記芯材と前記被覆層の間に、Ga,In及びSnの1種以上と、Pd及びPtの1種以上と、Agとを含み、残部が不可避不純物からなる合金層を備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ボンディングワイヤ。

請求項3

前記合金層の厚さが、前記被覆層の厚さに対して、10〜60%であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置用ボンディングワイヤ。

請求項4

前記被覆層の最表面にAuを15〜50at.%含むAu含有領域を有し、前記Au含有領域の厚さが0.001〜0.050μmであることを特徴とする請求項3記載の半導体装置用ボンディングワイヤ。

請求項5

さらに前記芯材にCu,Pd,Pt及びAuの1種以上を総計で0.1〜0.7at.%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置用ボンディングワイヤ。

請求項6

さらにワイヤ全体として、B,P,Ca,La,及びSeの1種以上を総計で80〜500at.ppm含むことを特徴とする請求項1〜3、及び5のいずれか1項記載の半導体装置用ボンディングワイヤ。

技術分野

0001

本発明は、半導体素子上の電極外部リード等の回路配線基板配線を接続するために利用される半導体装置用ボンディングワイヤに関するものである。

背景技術

0002

現在、半導体素子上の電極と外部リードの間を接合する半導体装置用ボンディングワイヤ(以下、ボンディングワイヤという)として、線径15〜50μm程度の細線が主として使用されている。ボンディングワイヤの接合方法超音波併用熱圧着方式が一般的であり、汎用ボンディング装置、ボンディングワイヤをその内部に通して接続するキャピラリ冶具等が用いられる。ボンディングワイヤの接合プロセスは、ワイヤ先端アーク入熱加熱溶融し、表面張力によりボール部を形成した後に、150〜300℃の範囲内で加熱した半導体素子の電極上にこのボール部を圧着接合(以下、ボール接合という)し、次にループを形成した後、外部リード側の電極にワイヤ部を圧着接合(以下、ウェッジ接合という)することで完了する。ボンディングワイヤの接合相手である半導体素子上の電極には、Si基板上にAlを主体とする合金膜成膜した電極構造、外部リード側の電極にはAgめっき、Pdめっきなどを施した電極構造が用いられることが多い。

0003

ボンディングワイヤには、良好なボール形成性、ボール接合性、ウェッジ接合性ループ形成性などの性能が要求される。これらの要求性能総合的に満足するボンディングワイヤの材料として、Auが主に用いられてきた。一方で、近年のAu価格の高騰により、Auに比べて安価な材料を用いたボンディングワイヤの開発が盛んに行われている。最近では、Auを用いたボンディングワイヤ(以下、Auボンディングワイヤという)が主流であるメモリ分野において、Auから安価な材料への代替を目指した開発が行われている。

0004

メモリ分野においてAuボンディングワイヤが使用されているのは、電気抵抗が低く、優れたウェッジ接合性が得られるためである。電気抵抗が低いほど、ボンディングワイヤ1本あたりに流すことのできる電流が大きくなる。これにより、ボンディングワイヤの総数を減らすことができ、メモリを小型化できたり、高い生産性を得ることができる。また、Auは軟質かつ表面酸化等の表面劣化現象への耐性が高い。このため、Auボンディングワイヤは、低エネルギー条件での接合においても優れたウェッジ接合性が得られるので、薄型化が進んでいるメモリ用の半導体素子で問題となるウェッジ接合時の半導体素子の損傷を低減できる。

0005

上記のメモリ用ボンディングワイヤの要求性能を満たし、Auに対して低コスト化を実現する材料として、Agが着目されている。Agの比抵抗は1.6μΩ・cmとAuの比抵抗の2.2μΩ・cmに比べて低く、低比抵抗化の観点からはAgの方がAuよりも有利である。また、Agのヤング率(約83×109 N/m2)は、Auのヤング率(約80×109N/m2)とほぼ等しい。Agは表面の劣化現象に対する耐性も高い。したがって、Agを用いたボンディングワイヤ(以下、Agボンディングワイヤという)は、Auボンディングワイヤと同等の優れたウェッジ接合性が得られると期待されている。

0006

しかしながら、Agボンディングワイヤは、Auボンディングワイヤに比べてボール接合部の接合信頼性(以下、ボール接合信頼性と略す。)が劣るため、メモリ用ボンディングワイヤとしての実用化が困難とされている。ボール接合信頼性評価には、高温放置試験高温高湿試験などの半導体寿命加速評価する試験が用いられる。Agボンディングワイヤは、高温高湿試験において、Auボンディングワイヤに比べて短時間でボール接合部の剥離が発生するためメモリ用ボンディングワイヤとして実用化を目指す上で問題とされている。これはボール接合部の剥離が発生すると、ボール接合部で電気的な接続が損なわれて半導体デバイス故障の原因となるためである。

0007

特許文献1には、ボール接合信頼性の課題を解決する方法として、AgにAu,Pdを添加し、合金化する技術が開示されている。Ag−Au合金が0.01から30.00wt.%のAuおよび残余のAgを含み、Ag−Pd合金が0.01から10.00wt.%のPdおよび残余のAgを含み、Ag−Au−Pd合金が0.01から30.00wt.%のAu、0.01から10.00wt.%のPdおよび残余のAgを含む合金が報告されている。特許文献2には、ボール接合信頼性の課題を解決する方法として、Ag合金の外周にPd又はPtの被覆層を設けた構造が開示されている。

先行技術

0008

特開2013−139635号公報
特開2013−33811号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者らは、先行特許文献に開示されているAgボンディングワイヤについて評価した結果、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性、ウェッジ接合性の基準を満たすことができなかった。

0010

はじめに、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性について説明する。ボール接合信頼性は、一般に、高温試験又は高温高湿試験によって評価を行う。Agボンディングワイヤを用いた場合、特に高温高湿環境においてボール接合部の剥離が問題となる。高温高湿試験におけるボール接合部の剥離は、AgとAlの金属間化合物の一部が腐食し、Agと腐食生成物の界面の密着性が低下することが原因と考えられている。これまで高温高湿試験は、温度が121℃、相対湿度が100%の条件で行うPCT(Pressure Cooker Test)と呼ばれる試験や、温度が130℃、相対湿度が85%の条件で行うuHAST(unbiased Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)と呼ばれる試験が主流であった。近年では、ボール接合信頼性への要求は厳しくなっており、uHASTの温度、湿度環境下でさらにボール接合部に3.6Vのバイアス電圧印加して劣化を加速させるHASTと呼ばれる試験での性能が要求されている。メモリ用ボンディングワイヤには、HASTにおいて120時間経過後も正常に動作することが求められている。

0011

次に、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるウェッジ接合性について説明する。ウェッジ接合性は、ボンディングワイヤを接合し、ウェッジ接合部における接合不良の発生有無によって評価を行う。ここで接合不良とは、ボンディングワイヤがリード側の電極から剥がれた状態と定義する。メモリ用ボンディングワイヤには、外部リード側のAg電極に対して、175℃以下の温度域、低エネルギー条件でウェッジ接合した際に、接合不良が発生しないことが求められる。

0012

上記特許文献1に開示されているAgにPd,Auなどを添加したボンディングワイヤは、高温高湿環境におけるボール接合信頼性を向上させることが可能であることが述べられている。しかしながら前記ボンディングワイヤでは、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性の基準を満たすことができなかった。ボール接合信頼性を改善するためには、合金元素の濃度を高くすることが有効であるが、ワイヤ硬質化してウェッジ接合性が低下する課題があった。したがって、Agの合金設計だけでは、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性とウェッジ接合性を同時に満足することは困難であった。また、Agは硫黄吸着し易いため、ワイヤの表面に吸着した硫黄がウェッジ接合時にAgの拡散阻害して、ウェッジ接合性が低下する課題があった。

0013

上記特許文献2に開示されているAgの表面にPd,Ptなどの被覆層を設けた構造のボンディングワイヤは、高温高湿環境におけるボール接合信頼性を向上させることが可能であることが述べられている。しかしながらボール接合信頼性は、被覆層の構成元素や厚さによって変化すると考えられるが、前記ボンディングワイヤでは、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性の基準を満たすことができなかった。ウェッジ接合性については、Agに比べて硫黄の吸着性が低い元素を被覆層に用いることで改善が見られたが、被覆層とAgの界面の密着性が低く、ウェッジ接合において被覆層がAgから剥離する課題があった。

0014

また、Agの合金設計とAg合金の表面に被覆層を設ける技術を組み合わせた場合においても、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性を得ることができなかった。

0015

以上の理由から、先行技術文献に開示されているAgボンディングワイヤ及びその組み合わせでは、メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性とウェッジ接合性を同時に満足することができないことが判明した。

0016

本発明は、上記の課題を解決してメモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性、ウェッジ接合性を同時に満足することができるボンディングワイヤを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

本発明に係るボンディングワイヤは、Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明によれば、ボール接合信頼性とウェッジ接合性を同時に満足することができる。

0019

(ボール接合信頼性およびウェッジ接合性)
本発明者らは、鋭意検討した結果、ボール接合信頼性およびウェッジ接合性を同時に満足するためには、芯材に添加する元素と濃度、被覆層に用いる元素と被覆層の膜厚を適切に制御する必要があることを見出した。

0020

本実施形態に係るボンディングワイヤのボール接合信頼性に対する有効性を説明する。Agからなる芯材に添加される元素は、Ga,In又はSnが有効であり、その濃度は0.1at.%以上が有効である。被覆層に用いる元素は、Pd又はPtが有効であり、被覆層の厚さは0.005μm以上が有効である。すなわち、本実施形態に係るボンディングワイヤを用いれば、HASTにおいて120時間経過後もAl電極とのボール接合部において剥離は発生しなかった。また、電気的な接続が失われることもなかった。本実施形態に係るボンディングワイヤの芯材に含まれるGa,In又はSn、および被覆層に含まれるPd又はPtが、高温高湿試験中のボール接合部におけるAgとAlの金属間化合物の成長を抑制することができた。これは、芯材に含まれる元素と被覆層に含まれる元素を主体とする化合物層が、ボール接合部の接合界面に形成され、AgとAlの拡散を効果的に抑制したためと考えられる。以上より、本実施形態に係るボンディングワイヤはメモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性に対する基準を満たすことが明らかとなった。

0021

次に、本実施形態に係るボンディングワイヤのウェッジ接合性に対する有効性を説明する。芯材に含まれる元素は、Ga,In又はSnが有効であり、その濃度はGa,In及びSnの1種以上を総計で0.05at.%以上3.0at.%以下が有効である。また、被覆層に用いる元素は、Pd又はPtが有効であり、被覆層の厚さは0.003μm以上0.070μm以下が有効である。すなわち、本実施形態に係るボンディングワイヤを用いれば、低エネルギー条件、175℃でウェッジ接合を行った場合においても、接合不良は発生しなかった。優れたウェッジ接合性が得られた理由を以下説明する。1つめの理由は、芯材に含まれるGa,In及びSnの1種以上の総計濃度を適切に制御することで軟質であることを維持できるためである。2つめの理由は、芯材の周囲にPd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAgを含み、残部が不可避不純物からなる被覆層を設けることで、硫黄の吸着を抑制できるためである。3つめの理由は、芯材に添加する元素と被覆層に用いる元素および被覆層の厚さを適切に制御することで、芯材と被覆層の密着性を高め、ウェッジ接合時の被覆層の剥離を抑制できるためである。以上より、本実施形態に係るボンディングワイヤはメモリ用ボンディングワイヤに要求されるウェッジ接合性に対する基準を満たすことが明らかとなった。

0022

メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性とウェッジ接合性に対する基準を同時に満足するためには、Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることが有効である。本実施形態に係るボンディングワイヤは、メモリ用ボンディングワイヤに要求される性能を満足しつつ、Auボンディングワイヤに比べて抵コスト化できることから、Auボンディングワイヤからの代替が可能であることが明らかになった。

0023

ここで、Ga,In及びSnの1種以上の総計が0.1at.%未満の場合、高温高湿試験において腐食の原因となるAgとAlの金属間化合物の成長抑制が不十分であり、メモリ用途で要求されるボール接合信頼性は得られない。Ga,In及びSnの1種以上を総計で3.0at.%超含むボンディングワイヤは、ボンディングワイヤの強度が増加し、ウェッジ接合性が低下するため実用に適さない。前記総計濃度が0.2〜1.5at.%であれば、軟質性と高い延性両立でき、優れたウェッジ接合性が得られるため、好ましい。さらにボンディングワイヤは、前記総計濃度が0.3〜1.0at.%であれば、さらに優れたウェッジ接合性が得られるため、より好ましい。

0024

芯材に含まれる元素のうち、In及びSnの1種以上の元素を0.1〜3.0at.%含んでいればより優れたボール接合信頼性の改善効果が得られるため、好ましい。これは、芯材に含まれるIn又はSnが接合界面のAgとAlの金属間化合物の成長抑制効果に特に優れていることによる。

0025

本実施形態に係るボンディングワイヤの芯材に含まれるGa,In及びSnの濃度は、芯材の部分をオージェ電子分光分析AES:Auger Electron Spectroscopy)装置、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)もしくは透過型電子顕微鏡TEM:Transmission Electron Microscope)に備え付けエネルギー分散X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)装置などを用いて測定することができる。芯材を露出させる方法は、ボンディングワイヤを樹脂に埋込み、機械研磨によって断面を露出させる方法やボンディングワイヤの表面をArイオンビームによって削る方法が使用できる。

0026

本実施形態に係るボンディングワイヤの被覆層は、ボンディングワイヤの表面と中心を直線で結んだ領域のうち、Pd,Pt及びAuの総計濃度が50at.%以上の領域と定義する。ボンディングワイヤの被覆層の厚さおよび組成は、オージェ電子分光分析装置を用いて測定することができる。具体的な方法は、まずボンディングワイヤの表面からスパッタ等で削りながら濃度測定を行い、深さ方向の濃度プロファイル所得する。濃度プロファイルの対象とする元素は、Ag,Ga,In,Sn,Pd及びPtとする。次に得られた濃度プロファイルをもとにPd及びPtの総計濃度を算出する。被覆層の厚さは、1か所の測定値でも良いが、2か所以上の測定値の平均値を用いるほうが好ましい。

0027

(ボール形成性)
次に、本実施形態に係るボンディングワイヤのボール形成性の改善に対する有効性を説明する。本実施形態に係るボンディングワイヤは、芯材と被覆層の間にGa,In及びSnの1種以上と、Pd及びPtの1種以上と、Agとを含み、残部が不可避不純物からなる合金層を有することにより、直径が小さいボール(以下、小径ボールという)において、真球性が低いボール(以下、異形ボールという)の発生を抑制することができる。小径ボールとは、直径がボンディングワイヤの線径の1.5〜1.7倍のボールと定義する。通常、ボールの直径はボンディングワイヤの線径の1.7〜2.5倍の範囲である。

0028

Agボンディングワイヤのボールを形成する際には、アーク放電を安定させるために、窒素あるいは窒素に水素を3〜5%添加した混合ガスを吹き付ける。異形は、ボンディングワイヤの表面がアーク放電によって溶融する際に、表面と内部が溶けるタイミングがずれるため発生する。この課題に対して、芯材と被覆層の間にGa,In及びSnの1種以上と、Pd及びPtの1種以上と、Agとを含み、残部が不可避不純物からなる合金層を有することにより、異形ボールの発生を抑制できる。これは前記合金層を形成することで、ボンディングワイヤの表面から内部にかけて、融点勾配が連続的に変化することにより、ワイヤの表面から内部にかけて連続的に溶融させることができるためである。吹き付けるガス窒素ガスを用いた場合、ガスを使用しなかった場合においても異形ボールの発生を抑制することができる。

0029

前記合金層は、ボンディングワイヤの表面と中心を直線で結んだ領域のうち、Pd及びPtの総計濃度が5〜50at.%の領域でかつGa,In及びSnの濃度がボンディングワイヤの中心部分の濃度よりも高い領域と定義する。前記合金層の厚さが被覆層の厚さに対して、10〜60%であれば、小径ボールにおいて、アーク放電が安定し、ボールの直径のばらつきを抑制することができるため、好ましい。合金層の組成は、被覆層の組成と同様の方法で測定することができる。具体的な方法は、まずボンディングワイヤの表面からスパッタ等で削りながら濃度測定を行い、深さ方向の濃度プロファイルを取得する。濃度プロファイルの対象とする元素は、Ag,Ga,In,Sn,Pd及びPtとする。次に得られた濃度プロファイルをもとにPd及びPtの総計濃度を算出する。合金層の厚さおよび組成は、1か所の測定値でも良いが、2か所以上の測定値の平均値を用いるほうが好ましい。

0030

(キャピラリ寿命)
次に、本実施形態に係るボンディングワイヤのキャピラリ寿命に対する有効性を説明する。本実施形態に係るボンディングワイヤは、被覆層の最表面にAuを15〜50at.%以上含むAu含有領域を有することでボンディングワイヤの表面とキャピラリの摩擦を低減し、キャピラリの使用寿命を改善するができる。これはAuが被覆層のPd及びPtよりも軟質であり延性にも優れることによる。Au含有領域の厚さが、0.001〜0.050μmであれば、優れた改善効果が得られるため、有効である。Auの濃度が15at.%未満あるいは該厚さが0.050μm未満では、改善効果が不十分である。Auの濃度が50at.%超又はAu含有領域の厚さが0.050μm超では、Auがキャピラリに詰まることがあり、キャピラリ寿命の改善効果は得られない。Au含有領域の厚さおよび組成は、オージェ電子分光分析装置を用いて測定することができる。具体的な方法は被覆層の組成と同様の方法で測定することができる。

0031

(ボール圧着形状
次に、本実施形態に係るボンディングワイヤのボール圧着形状に対する有効性を説明する。メモリパッケージの小型化に伴い、半導体素子の電極間の距離が短くなっている。従来、Agボンディングワイヤのボール接合時には、ボールが超音波の印加方向に優先的に変形するため、隣接する電極に接触し短絡引起こすことがあった。したがって、ボール接合においてボール変形の異方性を低減し、真円に近いつぶれ形状に制御する必要がある。ボール変形の異方性は結晶粒径が大きいほど増加する傾向があるため、ボール部の結晶粒微細化する技術が有効である。本実施形態に係るボンディングワイヤは、前記芯材にさらにCu,Pd,Pt及びAuの1種以上を総計で0.1〜0.7at.%含むことで、ボールの結晶粒を微細化し、より真円に近いボール形状を得ることが可能となる。ここで、上記濃度が0.1at.%未満では、ボール形状の改善効果は得られない。また、上記濃度が0.7at.%超では、ボールが硬質化し、接合時のチップ損傷が問題となるため実用に適さない。ボンディングワイヤの芯材に含まれるPd,Pt及びAuの濃度は、芯材の部分をAES、SEMもしくはTEMに備え付けたEDX装置などを用いて測定することができる。芯材を露出させる方法は、ボンディングワイヤを樹脂に埋込み、機械研磨によって断面を露出させる方法やボンディングワイヤの表面をArイオンビームによって削る方法が使用できる。

0032

(ループ形成性)
次に、本実施形態に係るボンディングワイヤのループ形成性に対する有効性を説明する。本実施形態に係る芯材と被覆層と合金層を含むボンディングワイヤは、ボンディングワイヤにB,P,Ca,La及びSeの1種以上を総計で80〜500at.ppm含むことにより、ループの直進性を改善することができる。近年のメモリパッケージの小型化に伴い、リード側の電極の狭ピッチ化し、ボンディングワイヤ同士接合間隔も狭くなっている。ボンディングワイヤには、ワイヤ同士の接触による短絡を防ぐため、高い直進性が求められている。本実施形態に係るボンディングワイヤは、B,P,Ca,La及びSeの1種以上を総計で80〜500at.ppm含むことで曲げ強度を向上させることが可能となり、高いループの直進性が得られる。ここで、上記濃度が80at.ppm未満では、ループの直進性の改善効果は得られない。また、上記濃度が500at.ppm超では、ボールが硬質化し、接合時のチップ損傷が問題となるため実用に適さない。ボンディングワイヤに含まれるB,P,Ca,La及びSeの濃度は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置を用いて測定することができる。

0033

(製造方法)
次に、上記実施形態に係るボンディングワイヤの製造方法を説明する。

0034

(芯材)
ボンディングワイヤの芯材に用いるAg合金は、原料を同時に溶解することによって製造できる。溶解には、アーク加熱炉高周波加熱炉抵抗加熱炉等を利用することができる。その手順は、直径がφ3〜6mmの円柱型に加工したカーボンるつぼに原料を装填し、真空中もしくはN2及びArガス等の不活性雰囲気で1100〜1500℃まで加熱して溶解させた後、炉冷もしくは空冷を行うことで完了する。得られたAg合金は、ダイスを用いた引抜加工を繰り返し行うことで最終線径まで成形する。

0035

(被覆層)
被覆層を形成する方法は、最終線径のAg合金線に被覆層となる皮膜を形成する手法、あるいは、中間線径の太いAg合金線に上記皮膜を形成した後に、伸線して最終線径に到達する手法等を用いることができる。前者の最終線径で皮膜を形成する場合には、品質管理が簡便であり、後者の中間線径で皮膜を形成後に伸線を行う場合には、芯材との密着性を向上させるのに有利である。それぞれの製造方法について具体的に説明する。

0036

Ag合金の表面にPd,Ptの皮膜を形成する方法は、めっき法、蒸着法、溶融法等を用いることができる。めっき法は、電解めっき法無電解めっき法のどちらでも製造可能である。ストライクめっきフラッシュめっきと呼ばれる電解めっきでは、めっき速度が速く、下地との密着性も良好である。無電解メッキに使用する溶液は、置換型還元型分類され、膜厚が薄い場合には置換型めっきのみでも十分であるが、厚い膜を形成する場合には置換型めっきの後に還元型めっきを段階的に施すことが有効である。蒸着法では、スパッタ法イオンプレーティング法真空蒸着等の物理吸着と、プラズマCVD化学蒸着:Chemical Vapor Deposition)等の化学吸着を利用することができる。いずれも乾式であるため、被覆層形成後の洗浄が不要で、洗浄時の表面汚染等の心配がない。

0037

最終線径のAg合金線に皮膜を形成する手法について説明する。溶解によって得られたφ3〜6mmの円柱状のAg合金に対して、引抜加工を行ってφ0.9〜1.2mmまで成形する。その後、ダイスを用いて連続的に伸線加工することによって、φ300〜600μmのワイヤを作製する。このとき、塩酸等を用いた酸洗処理を行うと、表面の酸化物硫化物等が除去でき品質の向上に有効である。その後、伸線加工を繰返して最終線径のφ15〜25μmまで成形する。伸線には市販の潤滑液を用い、伸線時のワイヤ送り速度は300〜1000m/分とする。

0038

最終線径のAg合金線に皮膜を形成する場合、Ag合金線の表面に0.010〜0.140μmのPd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAgを含む皮膜を形成した後、最終熱処理を行う方法等が有効である。最終熱処理はワイヤを連続的に掃引しながら行うと、高い生産性が得られるため、有効である。最終熱処理条件は、被覆層の厚さを適正な範囲に制御できる条件に設定する必要がある。具体的には最終熱処理温度は200〜600℃とし、熱処理時間は0.2〜1.0秒の範囲に制御することが有効である。この最終熱処理により、Ag合金線とAg合金線の表面に形成した皮膜の元素が相互拡散して、被覆層の厚さを0.005〜0.070μmの範囲に制御することが可能である。また、この最終熱処理条件を用いれば、加工硬化したAg合金を再結晶させることができるため、ボンディングワイヤに要求される軟質化も同時に実現できる。

0039

次に、中間線径の太いAg合金線に皮膜を形成した後に、伸線して最終線径に到達する手法について説明する。溶解によって得られたφ3〜6mmの円柱状のAg合金に対して、引抜加工を行ってφ0.9〜1.2mmまで成形する。その後、ダイスを用いて連続的に伸線加工することによって、φ300〜600μmのワイヤを作製する。φ300〜600μmのAg合金線において、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAgを含む皮膜を形成する。このとき皮膜の厚さは、皮膜を形成する時点におけるAg合金線の線径とボンディングワイヤの最終線径によって変える必要がある。具体的には、最終線径において皮膜の厚さが0.010〜0.140μmとなるように調整すれば良い。ここで、皮膜を形成する時点におけるAg合金線の線径をR1、皮膜の厚さをr1、最終線径におけるAg合金線の線径をR2とすると、最終線径における皮膜の厚さr2は次式(1)〜(3)で表わされる。それぞれの単位はμmとする。
r2=(R2/R1)r1…(1)
0.010≦r2<0.140…(2)
(1)、(2)式より
0.010≦(R2/R1)r1<0.140…(3)

0040

最終線径におけるAg合金線の線径は、皮膜の厚さに対して十分大きいため、ボンディングワイヤの最終線径をRとすれば、R2≒Rと近似できる。したがって、式(3)は次式(4)で表わすことができる。
0.010≦(R/R1)r1<0.140…(4)

0041

式(4)より、皮膜を形成する線径と最終線径を決めれば、φ300〜600μmの線径において形成させる皮膜の厚さを決定することが可能である。その後、伸線加工を繰返して最終線径のφ15〜25μmまで成形し、最終熱処理を行う。最終熱処理はワイヤを連続的に掃引しながら行うと、高い生産性が得られるため、有効である。最終熱処理条件は、被覆層の厚さを適正な範囲に制御できる条件に設定する必要がある。具体的には最終熱処理温度は200〜600℃とし、熱処理時間は0.2〜1.0秒の範囲に制御することが有効である。Ag合金線とAg合金線の表面に形成した皮膜の元素が相互拡散して、被覆層の厚さを0.005〜0.070μmの範囲に制御することが可能である。

0042

(合金層)
芯材と被覆層の間に合金層を形成するためには、最終熱処理後に追加熱処理をすることが有効である。これによりAg合金に含まれるGa,In及びSnの被覆層側への拡散が促進される。追加熱処理条件は、600〜700℃とし、合金層の厚さを制御する場合には、熱処理時間を変えることが有効である。上記熱処理温度範囲で、熱処理時間を0.2〜0.5秒とすることで、前記合金層の厚さが被覆層の厚さに対して10〜60%の範囲にすることができる。追加熱処理の方法はワイヤを連続的に掃引しながら行う方法を用いることができる。

0043

(Au含有領域)
被覆層の最表面にAu含有領域を設ける場合も、被覆層の形成方法と同様の方法を利用することができる。またその厚さや組成の制御も被覆層の形成方法と同様の方法を用いることができる。すなわち、中間線径まで加工した段階で被覆層を形成した後にAu皮膜を形成する方法、最終線径まで加工した段階で被覆層を形成した後にAu皮膜を形成する方法が利用できる。例えば、最終線径のAg合金線に被覆層を形成した後にAu皮膜を形成する場合、0.0008〜0.04μmのAu皮膜を形成した後、最終熱処理を行う方法等が有効である。

0044

以下、実施例について詳細に説明する。上記製造方法に従い、ボンディングワイヤを作製した。原材料となるAgは純度が99.99at.%以上で、残部が不可避不純物からなるものを用いた。Ga,In,Sn,Cu,Pd,Pt,Au,B,P,Ca,La及びSeは、純度が99.9at.%以上で残部が不可避不純物からなるものを用いた。ここで、10at.ppm以下の濃度の元素は不可避不純物とする。中間線径の太いAg合金線にPd,Ptの皮膜を形成した後に、伸線して最終線径に到達する手法を用いて、被覆層を形成した。Ag合金の表面にPd,Ptの皮膜を形成する方法は、電解めっき法を用いた。ワイヤを連続的に掃引しながらめっき液に浸漬させた。被覆層の最表面にAu含有領域を形成する方法も、電解めっき法を用いた。この場合もワイヤを連続的に掃引しながらめっき液に浸漬させた。

0045

(ボール接合信頼性の評価)
ボール接合信頼性は、温度が130℃、相対湿度が85%、バイアス電圧が3.6Vの条件で高温高湿試験後の接合寿命を評価した。サンプルは、市販の接合装置によって半導体素子にボンディングワイヤを接合し、エポキシ系の封止樹脂モールドして作製した。半導体素子の電極には厚さ1μmのAl電極を用いた。接合寿命は、24時間毎にボール接合部のシェア試験を実施し、シェア強度の値が初期に得られたシェア強度の1/3となる時間とした。高温高湿試験後のシェア試験は、酸処理によって樹脂を除去して、ボール接合部を露出させてから行った。シェア試験機は市販の微小強度試験機を用いた。シェア強度の値は無作為に選択したボール接合部の10か所の測定値の平均値を用いた。上記の評価において、接合寿命が120時間未満であれば実用上問題があると判断し△印、120時間以上168時間未満であれば、実用上問題ないと判断し○印、168時間以上であれば優れていると判断し◎印と表記した。

0046

(ウェッジ接合性の評価)
複数の半導体素子が積層された構造を有するデバイスに対して、線径がφ15〜20μmのボンディングワイヤを用いてウェッジ接合を行った。接合時の温度は175℃、160℃、150℃とし、リード側の電極材料はAgを用いた。接合条件は、通常の条件よりも超音波の出力を下げた低エネルギー条件とした。接合後のサンプルに対して、1000箇所のウェッジ接合部の観察を行い、不良が発生したか否かで合否を判定した。ここで、不良とはボンディングワイヤが電極から剥離した状態と定義する。175℃でのウェッジ接合において不良が発生すれば実用上問題があると判断し△印、不良が発生しなければ実用上問題がないと判断し○印と表記した。160℃でのウェッジ接合において不良が発生しなければ優れていると判断し◎印、150℃でのウェッジ接合において不良が発生しなければ、特に優れていると判断し☆印と表記した。

0047

(ボール形成性の評価)
ボール形成性は、市販の接合装置を用いてボールを形成し、その外観観察を行い評価した。ボールの形成条件は、N2+5%H2ガスとした。ボールの直径はワイヤ線径の1.5倍とした。ボールの外観観察には光学顕微鏡を用いた。ボール形成性は、上記の評価方法に基づいて、無作為に選んだ200個のボールのうち真球性が劣るボールの数によって判定した。真球性が劣るボールの数が3,4個であれば実用上問題がないと判断し○印、2個以下であれば優れていると判断し◎印と表記した。

0048

(キャピラリ寿命の評価)
キャピラリ寿命の評価は、市販の接合装置を用いてボンディングワイヤを接合後、キャピラリの観察を行い、摩耗の有無によって判定した。ボンディングワイヤの線径は20μm、接合の試行回数は5000回とした。キャピラリの先端の穴をSEMを用いて観察し、摩耗によって真円形状からずれていても問題なく使用可能であれば実用上問題がないと判断し○印、真円形状を維持していれば優れていると判断し◎印と表記した。

0049

(ボール圧着形状の評価)
ボールの圧着形状は、Si基板に厚さ1.0μmのAl膜を成膜した電極に、市販のワイヤボンダーを用いてボール接合を行い、直上から光学顕微鏡で観察し、評価した。ボールのつぶれ形状の判定は、つぶれ形状が円形に近いのであれば良好と判定し、楕円形花弁状の形状であれば不良と判定した。100箇所のボール接合部を光学顕微鏡で観察し、不良が1〜4個であれば実用上問題がないと判断し○印、不良が全く発生しなければ特に優れていると判断し◎印と表記した。

0050

(ループ形成性の評価)
ループ形成性は、市販のワイヤボンダーを用いて接合を行い、ループ部分を観察してループ同士が接触しているか否かを評価した。ループ長さは2.5mm、ループ高さは0.2mmとした。接合した200本のボンディングワイヤのループ部分を光学顕微鏡で観察し、隣接するボンディングワイヤが接触した箇所があれば不良と判定した。不良が1〜4箇所であれば実用上問題がないと判断し○印、不良が全く発生しなければ特に優れていると判断し◎印と表記した。

0051

表1は本発明に係るボンディングワイヤの組成などの特徴とそれぞれのボンディングワイヤの各評価結果を記載した実施例を示している。表2は比較例を示している。

0052

0053

0054

0055

0056

0057

第1請求項に係るボンディングワイヤはNo.1、2、17〜24、45、50〜52、56、62〜66、70〜72、76〜84である。メモリ用ボンディングワイヤに要求されるボール接合信頼性とウェッジ接合性を満足できることを確認した。

0058

実施例1〜84に係るボンディングワイヤは、Ga,In及びSnの1種以上を総計で0.1〜3.0at.%含み、残部がAgおよび不可避不純物からなる芯材と、前記芯材の表面に形成された、Pd及びPtの1種以上、又は、Pd及びPtの1種以上とAg、を含み、残部が不可避不純物からなる被覆層とを備え、前記被覆層の厚さが0.005〜0.070μmであることから、ボール接合信頼性とウェッジ接合性を同時に満足することが確認された。これに対し比較例のNo.1〜14に示すように、Ga,In,Snの濃度が上記の範囲外、又は被覆層の厚さが上記の範囲外の場合には、ボール接合信頼性とウェッジ接合性を同時に満足することができないことを確認した。

0059

実施例3〜6、8、10〜15、17、19、20、22〜32、35、36、38〜65、67〜80、82〜84に係るボンディングワイヤは、合金層の厚さが、前記被覆層の厚さに対して、10〜60%であることから、ボール形成性が優れることが確認された。

0060

実施例26、27、30、31に係るボンディングワイヤは、Auを15〜50at.%含むAu含有領域の厚さが0.001〜0.050μmであることから、キャピラリ寿命を改善できることが確認された。

0061

実施例33〜44、46〜50、57〜60に係るボンディングワイヤは、芯材にCu,Pd,Pt及びAuの1種以上を総計で0.1〜0.7at.%含むことから、ボール圧着形状の評価が特に優れていることが確認された。

実施例

0062

実施例3、4、9〜16、34〜38、48、49、54、55、68、69、74、75に係るボンディングワイヤは、ワイヤ全体として、B,P,Ca,La,及びSeの1種以上を総計で80〜500at.ppm含むことから、ループ形成性の評価が特に優れていることが確認された。

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