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技術 土壌等の除染方法および土壌等の除染システム

出願人 吉田英夫モリタ宮田工業株式会社
発明者 吉田英夫須山泰敬
出願日 2014年12月16日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-254458
公開日 2016年6月23日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-114525
状態 特許登録済
技術分野 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード ループ導管 前部スペース 縦長筒状 酸性濃度 上方スペース 可搬型装置 吸入ポンプ 窒素洗浄
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

放射性物質汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、汚染土壌減容化と放射性物質の安全な処理を図る土壌等の除染方法を提供する。

解決手段

放射性物質で汚染された除染対象物である汚染土壌17と汚染水4の一方または両方を採取して溶離溶媒49に導入し、溶離溶媒49に溶出させた後放射性物質と前記除染対象物とを固液分離する。放射性物質を除去した土壌17aを回収するとともに、溶離溶媒と汚染水を含む分離液37を電解槽13に導入して電解をおこない、陰極31に放射性物質等の金属イオン析出させる。電解によって発生したトリチウムを含む水素は電解槽13内部で捕集する。

概要

背景

2011年3月に発生した東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故によって、有害な放射性物質が広域に飛散し、都市田畑山林、海、湖沼河川等が汚染し、また人や動植物に放射性物質が付着ないし沈着して生命を危険に晒し、農業林業、牧畜業、漁業等の各種の産業活動を停止させる甚大な被害を与えた。

このような産業活動の復興再開には、生活環境および産業活動領域から放射性物質を除去することが不可欠であり、とりわけ農業従事者にとっては、田畑の土壌除染は喫緊の課題となっている。
しかし、田畑の土壌の除染は、田畑が広域に分布し、平地の他に里や山間に亘って点在するため、これを人力で処理するには多大の時間と労力を要して能率が悪く、しかも近時のような農業従事者の高齢化と相俟って困難を極めている。

このような土壌の汚染処理ないし除染処理に応ずるものとして、放射性廃棄物溶媒中に溶解後、溶媒から放射性物質を分離し、ハロゲン化放射性廃棄物を除染する方法があり、その際、ハロゲン化物を溶媒である水に溶解させて溶液中の希土類元素沈殿して回収し、また溶媒から非放射性物質を分離する手段として、溶媒を蒸発させたり冷却して、非放射性物質を析出沈殿させるものがある(例えば、特許文献1参照)。

しかし、前記除染方法において、ハロゲン化物を水に溶解させて放射性物質を回収する方法は回収率が低く、また溶媒を蒸発させたり冷却する手法は、加熱装置冷却設備を要して、設備が大掛かりで高価になる問題がある。

また、汚染土壌の除染方法として、有害な化学物質で汚染された土壌を掘り起こして加熱装置のホッパに投入し、該土壌を窒素洗浄して酸素を排除しながら加熱し、土壌中の汚染物を脱着して分離するものがある(例えば、特許文献2参照)。

しかし、この除染方法は、汚染土壌を離隔した除染装置へ移動し、除染済みの土壌を元の位置へ戻す場合も移動に手間と時間が掛かり、また汚染土壌は表土のみならず深い掘削を要するため、適当な掘削設備を要して高価かつ大掛かりになり、しかも除染装置は窒素洗浄装置や加熱装置、分離器等を要して大掛かりで高価になる等の問題があった。

更に、放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法として、汚染された土壌を給水タンクに収容し、該タンクに高分圧二酸化炭素ガスを吹き込んで水素イオンを供給し、土壌粒子表面のセシウムイオンを液相中に抽出後、この溶液を大気開放した分離槽へ移動して二酸化炭素ガスを大気へ放出し、液相のpHを上昇させてセシウム以外のアルカリ土類金属等の共存イオン炭酸塩或いは水酸化物に析出・分離し、液相中に残存するセシウムを濃縮分離するものがある(例えば、非特許文献1参照)。

しかし、前記土壌の除染方法は、給水タンクの上澄みの液相を分離槽へ送り込んでいるため、この液相中には比重の大きなセシウムの含有量は少なく、したがってセシウムの濃縮分離効率が悪い上に、給水タンクの下部にセシウムが滞留して土壌への付着や沈着を助長し、除染の効果が非常に低いため、除染後の土壌の使用を図ることが難しく実用的ではないという問題があった。

また、放射性セシウムで汚染された土壌の別の除染方法として、汚染された土壌を反応槽に収容して水を加え、該反応槽に正負電極を配置し、該電極に電圧印加して陰極側放射性セシウムイオンを析出し、土壌や他の付着物陽極側に沈着させ、汚染土壌から放射性セシウムを分離・収集することによって、汚染物の大幅な減容化を図るようにしたものがある(例えば、非特許文献2参照)。

しかし、前記土壌の除染方法は、土壌を他の付着物と共に反応槽に収容するため、高電圧の印加を要して電解効率が悪い上に、陰極側に析出した放射性セシウムイオンは夾雑物を含有して分離精度が低く、また除染後の土壌も他の付着物を含有しているため、その分離処理を要して手間が掛かり、速やかな使用を図れないという問題があった。

このような問題を解決するものとして、出願人は、放射性物質で汚染された除染対象物酸性溶離溶媒に導入して溶出し、該溶離溶媒から放射性物質を濃縮し分離する土壌等の除染方法において、前記除染対象物は汚染土壌と汚染水とを含み、これらの一方または両方を採取して溶離溶媒に導入し、溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離し、溶離溶媒から分離した土壌を固液分離して回収し、汚染土壌の減容化と放射性物質を含有しない土壌の再使用と農耕の再開を図るとともに、固液分離した放射性物質を溶出した溶離溶媒を電気分解して濃縮し、電極に析出した放射性セシウムイオンを吸着剤吸着して回収し、前記放射性セシウムイオンを吸着した吸着剤を容器密閉して収納し、該容器を適宜保管設備保管して放射性物質の安全な処理を図るようにした、土壌等の除染方法および土壌等の除染システムを開発し、これを既に提案している(例えば、特許文献3参照)。

この既に提案した土壌等の除染方法は、影響の大きい放射性セシウムの除去を意図していたため、放射性セシウム以外の放射性物質、例えばトリチウム(3H)ないしトリチウム水HTO6)の除染を意図していなかった。
前記トリチウムは、質量数が3の水素放射性同位体である三重水素で、酸素と結合してトリチウム水(HTO6)として水に混在しており、水圏中に気相、液相、固相の状態で蒸気降水地下水河川水湖沼水海水飲料水生物中に広く拡散している。
しかし、トリチウムを摂取しても、体内で均等に分布し生物的半滅期が比較的短く(2.3年)、エネルギ−も低いことから、最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ、生物に対する影響の面から一般に軽視されてきた。

前記トリチウムは弱いベータ線放射するが、その放射線細胞内では1μmしか到達しないので、血液として全身を廻っている間は、遺伝子DNAを殆ど攻撃しないが、トリチウムが細胞に取り込まれて核の中に入ると、DNAまでの距離が近くなるため、放射性セシウムと同じようにDNAを攻撃するようになる。
前記DNAには多量の水素が存在しており、トリチウムは水素と化学的性質が同じため、トリチウムが水素と入れ替わってもDNAは正常に作用する。
しかし、トリチウムが放射線を放射した後にヘリウムHeに変わると、ヘリウムに変わった部分のDNAが壊れて遺伝子が故障し、この故障がリスクになって癌の発生率が高くなるという問題が指摘されていた。

概要

放射性物質に汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、汚染土壌の減容化と放射性物質の安全な処理をる土壌等の除染方法を提供する。放射性物質で汚染された除染対象物である汚染土壌17と汚染水4の一方または両方を採取して溶離溶媒49に導入し、溶離溶媒49に溶出させた後放射性物質と前記除染対象物とを固液分離する。放射性物質を除去した土壌17aを回収するとともに、溶離溶媒と汚染水を含む分離液37を電解槽13に導入して電解をおこない、陰極31に放射性物質等の金属イオンを析出させる。電解によって発生したトリチウムを含む水素は電解槽13内部で捕集する。

目的

本発明はこのような問題を解決し、例えば放射性物質に汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、精密な除染と除染の能率向上を図るとともに、除染後の土壌に土壌活性剤を添加して土壌を改良し、これを元の田畑に速やかに戻して農耕の再開を促す一方、土壌に付着ないし沈着した放射性物質を土壌から精密に分離・濃縮し、汚染土壌の減容化と放射性物質の安全な処理を図るとともに、放射性セシウムやトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するとともに、除染装置の合理的かつ安全な廃棄処理を実現し得るようにした、土壌等の除染方法および土壌等の除染システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

放射性物質汚染された除染対象物溶離溶媒に導入して溶出し、該溶離溶媒から放射性物質を分離し、前記除染対象物は汚染土壌汚染水とを含み、これらの一方または両方を採取して溶離溶媒に導入し、該溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離し、固液分離後の放射性物質を除去した土壌回収するとともに、固液分離後の溶離溶媒と汚染水を含む分離液電解槽に導入して電解し、放射性物質等の金属イオン陰極析出する土壌等の除染方法において、電解によって発生したトリチウムを含む水素電解槽内部で捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動してトラップすることを特徴とする土壌等の除染方法。

請求項2

前記電解を電解槽を密閉して行なう請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項3

電解時に電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項4

前記陰極の周囲に該陰極から通電される一または複数の析出部材を配置し、電解時、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項5

前記分離液を電解槽に導入前に吸着フィルタに導入し、該フィルタによって放射性物質等の金属イオンを吸着する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項6

前記水素をガスボンベ充填して保管する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項7

使用済み電解槽の内部に、陰極と析出部材、それらに析出した放射性物質等の金属イオンと、水素を捕集する捕集器と、分離液の残液と、吸着フィルタを残置して保管する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項8

前記汚染水にトリチウム水が混在する請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項9

前記放射性物質に放射性セシウムとトリチウムが含まれる請求項1記載の土壌等の除染方法。

請求項10

放射性物質で汚染された除染対象物と溶離溶媒を収容し、該溶離溶媒に放射性物質を溶出可能な分離槽と、溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離可能な固液分離フィルタと、固液分離後の溶離溶媒と汚染水を含む分離液を収容して電解可能な電解槽と、を備え、前記除染対象物は汚染土壌と汚染水とを含み、放射性物質を除去した固液分離後の土壌を回収可能にするとともに、放射性物質等の金属イオンを陰極に析出可能にした土壌等の除染システムにおいて、前記電解槽内に水素を捕集可能な捕集器を設け、電解によって発生したトリチウムを含む水素を前記捕集器に捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動しトラップ可能にしたことを特徴とする土壌等の除染システム。

請求項11

前記電解槽は中空密閉容器を備え、該容器の中央部に陰極を配置するとともに、該密閉容器に正電位印加して陽極とした請求項10記載の土壌等の除染システム。

請求項12

電解槽内の捕集器より上方スペ−スに安全弁を配置し、電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出可能にした請求項10記載の土壌等の除染システム。

請求項13

前記捕集器より下方に前記陰極を囲繞して一または複数の析出部材を配置し、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出可能にした請求項10記載の土壌等の除染システム。

請求項14

トラップ管の一端を前記捕集器内に配置し、他端を水素ガス充填装置に配置し、該水素ガス充填装置は、捕集器内の水素を吸引可能な吸引ポンプと、前記水素をガスボンベに圧入可能にした充填装置と、を備えた請求項11記載の土壌等の除染システム。

請求項15

前記電解槽内に分離液中の放射性物質等の金属イオンを吸着可能な吸着フィルタを配置した請求項1記載の土壌等の除染システム。

請求項16

前記密閉容器内の底部を絶縁被覆した請求項11記載の土壌等の除染システム。

請求項17

除染対象物の採取地に移動可能な除染車両を設け、該車両に前記分離槽と電解槽、固液分離フィルタと溶離溶媒を生成可能な二酸化炭素ガスボンベと、給水タンクと水素ガス充填装置と、を搭載した請求項11記載の土壌等の除染システム。

技術分野

0001

本発明は、例えば放射性物質汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、精密な除染と除染の能率向上を図るとともに、除染後の土壌に土壌活性剤を添加して土壌を改良し、これを元の田畑に速やかに戻して農耕の再開を促す一方、土壌に付着ないし沈着した放射性物質を土壌から精密に分離・濃縮し、汚染土壌減容化と放射性物質の安全な処理を図るとともに、放射性セシウムトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するとともに、除染装置の合理的かつ安全な廃棄処理を実現し得るようにした、土壌等の除染方法および土壌等の除染システムに関する。

背景技術

0002

2011年3月に発生した東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故によって、有害な放射性物質が広域に飛散し、都市や田畑、山林、海、湖沼河川等が汚染し、また人や動植物に放射性物質が付着ないし沈着して生命を危険に晒し、農業林業、牧畜業、漁業等の各種の産業活動を停止させる甚大な被害を与えた。

0003

このような産業活動の復興と再開には、生活環境および産業活動領域から放射性物質を除去することが不可欠であり、とりわけ農業従事者にとっては、田畑の土壌の除染は喫緊の課題となっている。
しかし、田畑の土壌の除染は、田畑が広域に分布し、平地の他に里や山間に亘って点在するため、これを人力で処理するには多大の時間と労力を要して能率が悪く、しかも近時のような農業従事者の高齢化と相俟って困難を極めている。

0004

このような土壌の汚染処理ないし除染処理に応ずるものとして、放射性廃棄物溶媒中に溶解後、溶媒から放射性物質を分離し、ハロゲン化放射性廃棄物を除染する方法があり、その際、ハロゲン化物を溶媒である水に溶解させて溶液中の希土類元素沈殿して回収し、また溶媒から非放射性物質を分離する手段として、溶媒を蒸発させたり冷却して、非放射性物質を析出沈殿させるものがある(例えば、特許文献1参照)。

0005

しかし、前記除染方法において、ハロゲン化物を水に溶解させて放射性物質を回収する方法は回収率が低く、また溶媒を蒸発させたり冷却する手法は、加熱装置冷却設備を要して、設備が大掛かりで高価になる問題がある。

0006

また、汚染土壌の除染方法として、有害な化学物質で汚染された土壌を掘り起こして加熱装置のホッパに投入し、該土壌を窒素洗浄して酸素を排除しながら加熱し、土壌中の汚染物を脱着して分離するものがある(例えば、特許文献2参照)。

0007

しかし、この除染方法は、汚染土壌を離隔した除染装置へ移動し、除染済みの土壌を元の位置へ戻す場合も移動に手間と時間が掛かり、また汚染土壌は表土のみならず深い掘削を要するため、適当な掘削設備を要して高価かつ大掛かりになり、しかも除染装置は窒素洗浄装置や加熱装置、分離器等を要して大掛かりで高価になる等の問題があった。

0008

更に、放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法として、汚染された土壌を給水タンクに収容し、該タンクに高分圧二酸化炭素ガスを吹き込んで水素イオンを供給し、土壌粒子表面のセシウムイオンを液相中に抽出後、この溶液を大気開放した分離槽へ移動して二酸化炭素ガスを大気へ放出し、液相のpHを上昇させてセシウム以外のアルカリ土類金属等の共存イオン炭酸塩或いは水酸化物に析出・分離し、液相中に残存するセシウムを濃縮分離するものがある(例えば、非特許文献1参照)。

0009

しかし、前記土壌の除染方法は、給水タンクの上澄みの液相を分離槽へ送り込んでいるため、この液相中には比重の大きなセシウムの含有量は少なく、したがってセシウムの濃縮分離効率が悪い上に、給水タンクの下部にセシウムが滞留して土壌への付着や沈着を助長し、除染の効果が非常に低いため、除染後の土壌の使用を図ることが難しく実用的ではないという問題があった。

0010

また、放射性セシウムで汚染された土壌の別の除染方法として、汚染された土壌を反応槽に収容して水を加え、該反応槽に正負電極を配置し、該電極に電圧印加して陰極側放射性セシウムイオンを析出し、土壌や他の付着物陽極側に沈着させ、汚染土壌から放射性セシウムを分離・収集することによって、汚染物の大幅な減容化を図るようにしたものがある(例えば、非特許文献2参照)。

0011

しかし、前記土壌の除染方法は、土壌を他の付着物と共に反応槽に収容するため、高電圧の印加を要して電解効率が悪い上に、陰極側に析出した放射性セシウムイオンは夾雑物を含有して分離精度が低く、また除染後の土壌も他の付着物を含有しているため、その分離処理を要して手間が掛かり、速やかな使用を図れないという問題があった。

0012

このような問題を解決するものとして、出願人は、放射性物質で汚染された除染対象物酸性溶離溶媒に導入して溶出し、該溶離溶媒から放射性物質を濃縮し分離する土壌等の除染方法において、前記除染対象物は汚染土壌と汚染水とを含み、これらの一方または両方を採取して溶離溶媒に導入し、溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離し、溶離溶媒から分離した土壌を固液分離して回収し、汚染土壌の減容化と放射性物質を含有しない土壌の再使用と農耕の再開を図るとともに、固液分離した放射性物質を溶出した溶離溶媒を電気分解して濃縮し、電極に析出した放射性セシウムイオンを吸着剤吸着して回収し、前記放射性セシウムイオンを吸着した吸着剤を容器密閉して収納し、該容器を適宜保管設備保管して放射性物質の安全な処理を図るようにした、土壌等の除染方法および土壌等の除染システムを開発し、これを既に提案している(例えば、特許文献3参照)。

0013

この既に提案した土壌等の除染方法は、影響の大きい放射性セシウムの除去を意図していたため、放射性セシウム以外の放射性物質、例えばトリチウム(3H)ないしトリチウム水HTO6)の除染を意図していなかった。
前記トリチウムは、質量数が3の水素放射性同位体である三重水素で、酸素と結合してトリチウム水(HTO6)として水に混在しており、水圏中に気相、液相、固相の状態で蒸気降水地下水河川水湖沼水海水飲料水生物中に広く拡散している。
しかし、トリチウムを摂取しても、体内で均等に分布し生物的半滅期が比較的短く(2.3年)、エネルギ−も低いことから、最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ、生物に対する影響の面から一般に軽視されてきた。

0014

前記トリチウムは弱いベータ線放射するが、その放射線細胞内では1μmしか到達しないので、血液として全身を廻っている間は、遺伝子DNAを殆ど攻撃しないが、トリチウムが細胞に取り込まれて核の中に入ると、DNAまでの距離が近くなるため、放射性セシウムと同じようにDNAを攻撃するようになる。
前記DNAには多量の水素が存在しており、トリチウムは水素と化学的性質が同じため、トリチウムが水素と入れ替わってもDNAは正常に作用する。
しかし、トリチウムが放射線を放射した後にヘリウムHeに変わると、ヘリウムに変わった部分のDNAが壊れて遺伝子が故障し、この故障がリスクになって癌の発生率が高くなるという問題が指摘されていた。

0015

特開平10−213697号公報
特開平5−192648号公報
特開2014−41066号公報

先行技術

0016

第1回環境放射能除染研究発表会要旨集 環境放射能除染学会 21頁「放射性セシウム汚染土壌炭酸ガスのみで洗浄修復する安全安心可搬型装置構築丁子哲治、高田英治、布袋(富山高等専門学校)、原正憲(富山大学)
第1回 環境放射能除染研究発表会 要旨集 環境放射能除染学会 92頁「電気分解を利用した放射性物質除染技術の提案」上田祐子、渡邊 功、戸井田英基、本田克久(愛媛大農学部環境先端技術センター

発明が解決しようとする課題

0017

本発明はこのような問題を解決し、例えば放射性物質に汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、精密な除染と除染の能率向上を図るとともに、除染後の土壌に土壌活性剤を添加して土壌を改良し、これを元の田畑に速やかに戻して農耕の再開を促す一方、土壌に付着ないし沈着した放射性物質を土壌から精密に分離・濃縮し、汚染土壌の減容化と放射性物質の安全な処理を図るとともに、放射性セシウムやトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するとともに、除染装置の合理的かつ安全な廃棄処理を実現し得るようにした、土壌等の除染方法および土壌等の除染システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

請求項1の発明は、放射性物質で汚染された除染対象物を溶離溶媒に導入して溶出し、該溶離溶媒から放射性物質を分離し、前記除染対象物は汚染土壌と汚染水とを含み、これらの一方または両方を採取して溶離溶媒に導入し、該溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離し、固液分離後の放射性物質を除去した土壌を回収するとともに、固液分離後の溶離溶媒と汚染水を含む分離液電解槽に導入して電解し、放射性物質を含む金属イオン陰極に析出する土壌等の除染方法において、電解によって発生したトリチウムを含む水素を電解槽内部で捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動してトラップし、水素に含まれるトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するようにしている。

0019

請求項2の発明は、電解を電解槽を密閉して行ない、電解によって発生した水素を確実に捕集するようにしている。
請求項3の発明は、電解時に電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出し、電解の安全を確保するようにしている。
請求項4の発明は、陰極の周囲に該陰極から通電される一または複数の析出部材を配置し、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出し、分離液中の放射性セシウムや他の放射性物質、重金属等の金属イオンを精密に除去して除染し得るようにしている
請求項5の発明は、分離液を電解槽に導入前に吸着フィルタに導入し、該フィルタによって放射性物質等の金属イオンを吸着し、吸着フィルタと電解槽に分けて放射性物質等の金属イオンを合理的に吸着し、電解槽の電解時間の向上を図るようにしている。
請求項6の発明は、水素をガスボンベ充填して保管し、水素に含まれるトリチウムの漏洩を阻止し安全に保管するようにしている。

0020

請求項7の発明は、使用済み電解槽の内部に、陰極と析出部材、それらに析出した放射性物質等の金属イオンと、水素を捕集する捕集器と、分離液の残液と、吸着フィルタを残置して保管し、これらを個々に保管する不合理を解消して、合理的かつ安全で容易かつ安価に保管するようにしている。
請求項8の発明は、前記汚染水にトリチウム水が混在し、トリチウム水を含む汚染水ないし分離液を電解して発生する水素を捕集することによって、トリチウム水に含まれるトリチウムを除去し除染するようにしている。
請求項9の発明は、放射性物質に放射性セシウムとトリチウムが含まれ、反応性が強く半減期が比較的長期の放射性セシウムから、半滅期が比較的短く最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられて軽視されてきたトリチウムを除染対象にし、種々の放射性物質を除染し得るようにしている。

0021

請求項10の発明は、放射性物質で汚染された除染対象物と溶離溶媒を収容し、該溶離溶媒に放射性物質を溶出可能な分離槽と、溶離溶媒に溶出した放射性物質と前記除染対象物とを固液分離可能な固液分離フィルタと、固液分離後の溶離溶媒と汚染水を含む分離液を収容して電解可能な電解槽と、を備え、前記除染対象物は汚染土壌と汚染水とを含み、放射性物質を除去した固液分離後の土壌を回収可能にするとともに、放射性物質を含む金属イオンを陰極に析出可能にした土壌等の除染システムにおいて、前記電解槽内に水素を捕集可能な捕集器を設け、電解によって発生したトリチウムを含む水素を前記捕集器に捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動しトラップ可能にして、水素に含まれるトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するようにしている。

0022

請求項11の発明は、電解槽は中空密閉容器を備え、該容器の中央部に陰極を配置するとともに、該密閉容器に正電位を印加して陽極とし、密閉容器内での電解を実現するとともに、発生した水素の漏洩を防止し安全に電解し得るようにしている。
請求項12の発明は、電解槽内の捕集器より上方スペース安全弁を配置し、電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出可能にし、電解の安全を図っている。
請求項13の発明は、捕集器より下方に前記陰極を囲繞して一または複数の析出部材を配置し、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出可能にし、放射性物質等の金属イオンの析出を精密かつ能率良く行なうようにしている。
請求項14の発明は、トラップ管の一端を捕集器内に配置し、他端を水素ガス充填装置に配置し、該水素ガス充填装置は、捕集器内の水素を吸引可能な吸引ポンプと、前記水素をガスボンベに圧入可能にした充填装置と、を備え、捕集器から水素を吸引してガスボンベに安全に充填するようにしている。

0023

請求項15の発明は、電解槽内に分離液中の放射性物質等の金属イオンを吸着可能な吸着フィルタを配置し、電解槽と共に放射性物質等の金属イオンを合理的に吸着するとともに、使用済み電解槽の保管を容易に行えるようにしている。
請求項16の発明は、密閉容器内の底部を絶縁被覆し、密閉容器内の底部からの酸素の発生を阻止し、安全に水素を捕集し得るようにしている。
請求項17の発明は、除染対象物の採取地に移動可能な除染車両を設け、該車両に前記分離槽と電解槽、固液分離フィルタと溶離溶媒を生成可能な二酸化炭素ガスボンベと、給水タンクと水素ガス充填装置と、を搭載し、除染対象物の採取地でトリチウムを含む放射性物質の除染を有機的かつ合理的に行なうようにしている。

発明の効果

0024

請求項1の発明は、電解によって発生したトリチウムを含む水素を電解槽内部で捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動してトラップするから、水素に含まれるトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭することができる。
請求項2の発明は、電解を電解槽を密閉して行なうから、電解によって発生した水素を確実に捕集することができる。
請求項3の発明は、電解時に電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出するから、電解の安全を確保することができる。
請求項4の発明は、陰極の周囲に該陰極から通電される一または複数の析出部材を配置し、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出するから、分離液中の放射性セシウムや他の放射性物質、重金属等の金属イオンを精密に除去して除染することができる。
請求項5の発明は、分離液を電解槽に導入前に吸着フィルタに導入し、該フィルタによって放射性物質等の金属イオンを吸着するから、吸着フィルタと電解槽に分けて放射性物質等の金属イオンを合理的に吸着し、電解槽の電解時間の向上を図ることができる。

0025

請求項6の発明は、水素をガスボンベに充填して保管するから、水素に含まれるトリチウムの漏洩を阻止し安全に保管することができる。
請求項7の発明は、使用済み電解槽の内部に、陰極と析出部材、それらに析出した放射性物質等の金属イオンと、水素を捕集する捕集器と、分離液の残液と、吸着フィルタを残置して保管するから、これらを個々に保管する不合理を解消して、合理的かつ安全で容易かつ安価に保管することができる。
請求項8の発明は、前記汚染水にトリチウム水が混在するから、トリチウム水を含む汚染水ないし分離液を電解して発生する水素を捕集することによって、トリチウム水に含まれるトリチウムを除去し除染することができる。
請求項9の発明は、放射性物質に放射性セシウムとトリチウムが含まれるから、反応性が強く半減期が比較的長期の放射性セシウムから、半滅期が比較的短く最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられて軽視されてきたトリチウムを除染対象にし、種々の放射性物質を除染することができる。

0026

請求項10の発明は、電解槽内に水素を捕集可能な捕集器を設け、電解によって発生したトリチウムを含む水素を前記捕集器に捕集し、該水素を電解槽の外部へ移動しトラップ可能にしたから、水素に含まれるトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭することができる。
請求項11の発明は、電解槽は中空の密閉容器を備え、該容器の中央部に陰極を配置するとともに、該密閉容器に正電位を印加して陽極としたから、密閉容器内での電解を実現するとともに、発生した水素の漏洩を防止し安全に電解することができる。
請求項12の発明は、電解槽内の捕集器より上方スペースに安全弁を配置し、電解槽内に滞留する酸素の圧力が所定値以上に達した際、前記酸素を電解槽から排出可能にしたから、電解の安全を図ることができる。
請求項13の発明は、捕集器より下方に前記陰極を囲繞して一または複数の析出部材を配置し、前記陰極と析出部材に放射性物質等の金属イオンを析出可能にしたから、放射性物質等の金属イオンの析出を精密かつ能率良く行なうことができる。

0027

請求項14の発明は、トラップ管の一端を捕集器内に配置し、他端を水素ガス充填装置に配置し、該水素ガス充填装置は、捕集器内の水素を吸引可能な吸引ポンプと、前記水素をガスボンベに圧入可能にした充填装置と、を備えたから、捕集器から水素を吸引してガスボンベに安全に充填することができる。
請求項15の発明は、電解槽内に分離液中の放射性物質等の金属イオンを吸着可能な吸着フィルタを配置したから、電解槽と共に放射性物質等の金属イオンを合理的に吸着するとともに、使用済み電解槽の保管を容易に行なうことができる。
請求項16の発明は、密閉容器内の底部を絶縁被覆したから、密閉容器内の底部からの酸素の発生を阻止し、安全に水素を捕集することができる。
請求項17の発明は、除染対象物の採取地に移動可能な除染車両を設け、該車両に前記分離槽と電解槽、固液分離フィルタと溶離溶媒を生成可能な二酸化炭素ガスボンベと、給水タンクと水素ガス充填装置と、を搭載したから、除染対象物の採取地でトリチウムを含む放射性物質の除染を有機的かつ合理的に行なうことができる。

図面の簡単な説明

0028

本発明の除染設備を搭載した除染車両による除染作業状況を示す正面図である。
図1の除染車両を拡大して示す正面図である。
図2の平面図である。
(a)〜(h)は本発明による土壌の除染作業手順を示す説明図である

0029

本発明による土壌の除染作業の状況を示す説明図で、汚染した土壌と汚染水の分離槽導入前の状況を示している。
本発明による除染作業の状況を示す説明図で、炭酸水を作製した分離槽へ汚染した土壌を導入し、放射性セシウムを溶出し分離している状況を示している
本発明による除染作業の状況を説明図で、分離槽で放射性セシウムを分離し、炭酸水と汚染土壌を固液分離フィルタと電解槽へ導入している状況を示している。

0030

本発明による除染作業の状況を示す説明図で、電解槽で分離液を電解し、放射性セシウムイオン等の金属イオンを陰極に析出し、トリチウムを含む水素を捕集しトラップしている状況を示している。
本発明による除染作業の状況を示す説明図で、除染土壌を回収し、水素をガスボンベに充填している状況を示している。
本発明による除染作業の状況を示す説明図で、分離液の電解後清浄に調製して分離槽へ返還している状況を示している。

0031

本発明による使用済み電解槽の保管状況を示している。
本発明による使用済み電解槽の保管状況を拡大して示している。
本発明による水素を充填したガスボンベの保管状況を示している。

発明を実施するための最良の形態

0032

以下、本発明を田畑、水田湿地帯等の土壌および汚染水の除染に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図13において1は放射性物質で汚染された除染対象地で、これには一定の湿気を有し、または乾燥し硬化した汚染土壌である表土2を有する田畑3と、表土2を汚染水4に浸漬した水田5や多量の水を含有する湿地帯等を含み、本発明はこの両者の除染に対応可能にしている。図中、6は田畑3の表土2に生えた雑草、7は汚染水4中の表土2に生えた稲や雑草である。

0033

前記除染対象地1に近接する農道8または空き地に除染車両9を停車し、その除染タンク10から吸入ホース11を繰り出し、該ホース11の先端から所定の汚染土壌またはトリチウム水(HTO6)が混在した汚染水4を吸引し採取している。図中、dは田畑3の表土2の吸引ないし採取代で、放射性物質であるセシウムの浸透深さに相当し、実施形態では5cm以上の表土2を採取している。
前記除染車両9は、従来のバキューム車を改良して構成され、その車体に分離槽10と給水タンク12、電解槽13と二酸化炭素所定圧に充填したガスボンベ14と、固体液体気体吸入可能な吸入ポンプ15を搭載している。

0034

このうち、分離槽10は開蓋可能な箱形の容器で構成され、その蓋の上部に吸入ホース11を捲回可能な円筒状のリール16が回動可能に設けられ、該リール16はリコイルバネ(図示略)を介して図3上、反時計方向へ回動可能に付勢され、その周面に吸入ホース11を捲回可能にしている。

0035

そして、汚染土壌17の吸引時に吸入ホース11を外側へ引き出し、その引張り力によってリール16を図3上、時計方向へ回動し、吸入ホース11を繰り出し可能にしている
前記吸入ホース11の一端は分離槽10の内部に連通し、その先端部から吸引した汚染土壌17または汚染水4を分離槽10内に導入可能にしている。前記吸入ホース11の基端部に開閉弁18が設けられ、他端部に異物吸い込み防止用のフィルタ19が設けられている。
図中、20はリール16の外側に同心円上に配置した円筒状のホースガイドで、その接線部にホース挿通孔21が設けられている。22は分離槽10の後端部に設けたホースクランプ、23は有底のホース受けである。

0036

前記給水タンク12は開蓋可能な箱形の容器で構成され、前記分離槽10に隣接して配置されていて、その内部に清浄な水24が収容され、該水24を前記分離槽10と電解槽13へ定量供給可能にしている。この場合、給水タンク12の周面にヒータを設け、水24の凍結防止を図ることが望ましい。
前記給水タンク12の底部に開閉弁25,26が設けられ、これらに給水管27,28の一端が接続され、このうち給水管27の他端が分離槽10内の上部に配管され、また給水管28の他端が電解槽13の底部に設けた開閉弁29に接続されている。

0037

前記電解槽13はステンレス鋼板製の円筒状の密閉容器30を備え、その容積を約1.8Lに構成し、その表面に鉛を被覆して放射線を遮蔽可能にしていて、車体や隣接部材に対し絶縁可能に設置されている。
また、密閉容器30内の底面に絶縁被覆30aが設けられ、当該部からの酸素の発生を阻止している。その際、絶縁被覆部30aを除く側壁内面から発生する酸素は、側壁内面に沿って上動し密閉容器30内上部の捕集器35の上方スペースに滞留可能にされている
なお、電解槽13の外周部にヒータ(図示略)を装着して加熱可能にし、セシウムイオン、重金属イオン等の電気泳動を促すことが望ましい。

0038

前記密閉容器30の中央に棒状の陰極31が貫通して垂直に配置され、該陰極31と陽極である密閉容器30とにリード線32が配線され、該リード線32にDC電源33とスイッチ34が接続されている。
前記陰極31の下端部は密閉容器30の底部直上に配置され、該密閉容器30内の陰極31の中高位置に水素ガスを捕集する円筒状の捕集容器35を配置している。前記捕集容器35は一端を開口した深底の円筒状の容器で形成され、その開口部を下向きにして配置されている。

0039

前記捕集容器35の内側下方に、一または複数の析出部材36が陰極31を囲繞して互いに近接して配置され、かつこれらの析出部材36が陰極31に電気的に接続して配置されている。
実施形態の析出部材36は、金網製のドラム金属板金属棒等によって構成し、電解時は後述する固液分離フィルタから送り込まれる分離液37中に没入可能にされている。

0040

前記ガスボンベ14は、給水タンク12と電解槽13に区画された空スペースに立設して配置され、その上端部に開閉弁44を設け、該開閉弁44にガス導管45を接続し、該ガス導管45の他端を分離槽10の底部に設けた開閉弁39に接続している。
また、前記ガス導管45の上流部に三方弁47を介挿し、該三方弁47にガス導管48の一端を接続し、この他端を電解槽13の下部周面に接続して二酸化炭素を補給可能にしている。

0041

前記捕集容器35内の上部で分離液37の液面上に、トラップ管38の一端が配置され、該管38の他端が捕集容器35と密閉容器30を貫通して、外部の水素ガス充填装置39に接続されている。
前記水素ガス充填装置39は吸引ポンプ40と、水素ガスを充填可能なガスボンベ41とを備え、該ボンベ41の口元部にトラップ管38の端部を着脱し、常時は閉弁可能な開閉バルブ(図示略)を備えている。
図中、42は密閉容器30内の上部に設置したゼオライト等の吸着フィルタで、後述する固液分離フィルタから導入される分離液37中の放射性物質、重金属等を吸着可能にしている。43は密閉容器30内の分離液37の酸性濃度測定可能なpHセンサである。

0042

前記分離槽10は給水後、ガスボンベ14からガス導管45を介して二酸化炭素を供給可能にされ、この二酸化炭素によって放射性セシウムの溶離溶媒として、所定酸性濃度の炭酸水(H2CO3)49を作製可能にしている。
実施形態では分離槽10の炭酸水49の酸性濃度をpH3〜7に設定し、電解槽13の電解液として使用している。図中、50は分離槽10の底部に設置した攪拌用のファンである。
前記分離槽10の底部に開閉弁51が設けられ、該開閉弁51に固液導管52の一端が接続され、該導管52の他端が縦長筒状の固液分離フィルタ53に接続されている。

0043

前記固液分離フィルタ53は垂直に配置され、その内部に回転筒(図示略)を備え、この回転筒の内部に遠心分離機(図示略)を設けている。
そして、前記分離槽10から導入される固液成分のうち、それらの比重差によって重い土壌17を回転筒の外側へ移動し、放射性セシウムイオンやトリチウム水が混在する炭酸水49を回転筒の内側へ移動して、これらを固液分離可能にし、放射性物質と炭酸水から分離した土壌17aを前記分離フィルタ53内の下方に沈降させて堆積し、外部から回収可能にする一方、放射性セシウム、ストロンチウム、重金属等が混在する分離液37を電解槽13へ送り出し可能にしている。

0044

前記固液分離フィルタ53の下部に排出管54が下方に突設され、該管54に排出弁55が開閉可能に設けられ、該排出弁55の開弁を介し前記土壌17aを回収可能にしている。
したがって、固液導管52に複数の固液分離フィルタ53を配置すれば、土壌17aと放射性セシウムイオンやトリチウム水を含む炭酸水49を高精度かつ能率良く分離し得る

0045

前記固液分離フィルタ53の上端部の中央に分離液導管56の一端が接続され、その他端部が開閉弁57を介して前記吸着フィルタ42に接続され、その管端部を密閉容器13内の底部に配置している。
そして、電解槽13の陰極31と多数の析出部材36に放射セシウムやストロンチウム、重金属等の金属イオンを析出し、また電解によって発生した水素を捕集容器35に捕集後、前記遠心分離機を停止して電解槽13内の放射性物質を含まない清浄な炭酸水49を、リターンパイプ(図示略)を介して分離槽10へ返還可能にしている。

0046

一方、前記吸入ポンプ15に一対のループ導管58,59が接続され、該ループ導管58,59の他端に四方弁60が接続され、該四方弁60の二つのポートに一端を大気に開口した通気管61と、一端を分離槽10内に配管した連通管62とが接続されている。
前記四方弁60は、切換レバー63によって配管ポート切換え可能にされ、その切換え位置中立位置と排出位置および吸入位置に設定され、常時は中立位置に設定されていて、四方弁60に接続した通気管61と連通管62の導通と、分離槽10に配管した吸入ホース11との吸入および排出作動を制御可能にしている。

0047

前記汚染土壌17を採取して分離槽10へ導入する場合は、吸入ポンプ15を駆動し、図6のように切換レバー63を中立位置から吸入位置に切換え、ループ導管58,59を連通管62に連通して分離槽10内を負圧にし、吸入ホース11の先端部から汚染土壌17を吸入し、これを分離槽10へ導入して炭酸水49中に浸漬するようにしている。
そして、前記分離槽10に導入した汚染土壌17を炭酸水49によってジ・プロトン酸洗浄し、放射性セシウムイオン、ストロンチウム、重金属等の金属イオンを電離して、これらを汚染土壌17と炭酸水49等と一緒に固液分離フィルタ53ないし電解槽13へ送出可能にしている。

0048

その際、吸入ポンプ15を駆動し、図7のように切換レバー63を吸入位置から排出位置に切換え、ループ導管58,59と通気管61を連通管62に連通し、開閉弁18,46を閉弁するとともに、開閉弁51,57を開弁して、通気管61から大気を吸入し、これをループ導管58,59から連通管62へ送り出して、分離槽10内を加圧するようにしている。

0049

そして、分離槽10内の分離後の土壌17と放射性セシウムイオン、ストロンチウム、重金属等の金属イオンと、炭酸水49等が混在する泥状液を固液導管52へ送り出し、該導管52から固液分離フィルタ53へ導入して、前記泥状液を固液分離し、分離後の放射性物質、重金属等の金属イオン、炭酸水49等を含む分離液37を電解槽13へ送り出すようにしている。
その際、前記分離液37は電解槽13の導入前に吸着フィルタ42に導入され、該フィルタ42で分離液37中の放射性物質、重金属等の金属イオンを吸着し、該フィルタ42を通過後の分離液37を電解槽13へ導入して電解を実行するようにしている。

0050

前記電解槽13の電解は図8のように、スイッチ34をONして陰極31と陽極である密閉容器30とを通電し、陰極31に水素を発生させ、陽極である密閉容器30に酸素を発生させるようにしている。
前記水素にはトリチウムが微量存在し、このトリチウムを含む水素の気泡を陰極31および析出部材36に沿って浮上させ、前記気泡が分離液37の液面に到達した際に捕集器35に捕集するようにしている。
そして、捕集したトリチウムを含む水素を吸引ポンプ40を駆動して吸引し、これをトラップ管38へ導いてガスボンベ41に注入し、該ガスボンベ41に大気圧程度に充填するようにしている。

0051

一方、密閉容器30内の側面から酸素が発生し、その気泡が側壁に沿って上昇し、密閉容器30内上部の捕集器35の上方スペースへ移動して滞留する。この場合、密閉容器30内の底面は絶縁被覆30aが形成されているから、当該部から酸素は発生しない。
前記密閉容器30内の上部に安全弁72が取付けられ、該安全弁72は常時は閉弁し、密閉容器30内に所定圧以上の酸素が滞留した際、開弁して前記酸素を排出管73を介し外部へ放出可能にしている。

0052

また、前記電解中、吸着フィルタ42を通過して残留した放射性物質、重金属等の金属イオンを分離液37中に電気泳動させ、これを陰極31と、陰極31と同電位に印加した析出部材36に析出させるようにしている。
このように密閉容器30内の分離液37を電解し、放射性物質、重金属等の金属イオンを陰極31等を析出部材36に析出する一方、トリチウムを含む水素をガスボンベ41に充填して、分離液37から放射性物質を含む金属イオンと水素ガスを除去し、炭酸水49を含む清浄な水に調整するようにしている。

0053

前記清浄にした炭酸水49を含む分離液37は分離槽10へ戻して活用するようにし、その場合は図10のように吸入ポンプ15を駆動し、切換レバー63を排出位置から吸入位置へ切換え、開閉弁18,46を閉弁するとともに、開閉弁51,57を開弁して分離槽10内の炭酸水49を含む泥水を連通管62を介して吸い出し、分離槽10内を負圧に形成する一方、電解槽13内の清浄な分離液37を分離液導管56で吸い出し、これを固液導管52に導いて分離槽10へ導入するようにしている。

0054

一方、回収した除染後の土壌17aは、天日干しまたは加熱して乾燥し、乾燥後に土壌活性剤65を所定量添加して混合し、採取した土壌17を除染し改質するようにしている
前記土壌活性剤65として、堆肥等の有機肥料菌根菌、または窒素、燐、カリウムを含む種々の化学肥料が含まれ、改質した土壌17を採取した元の田畑へ戻すようにして、除染土壌17の減容化を図っている。図中、64は分離槽10内の炭酸水49の酸性濃度を測定可能なpHセンサ、66は除染作業者である。
実施形態では前記土壌活性剤65として、消火器未使用期間経過後の、第一リン酸アンモニウム若しくは硫酸アンモニウムを含有する粉末状の消火剤を使用し、その有効利用を図っている。

0055

一方、電解槽13の陰極31や析出部材36には、電解によって所定量の放射性物質が蓄積するため、分離液37の電解処理量を目安に使用済み電解槽13の廃棄交換を要する。
このうち、使用済み電解槽13の廃棄は、開閉弁57を密閉容器30から取外し、分離液導管56を中間部で切断して固液分離フィルタ53と分断する。
その際、吸着フィルタ42も同様に廃棄と交換を要するが、吸着フィルタ42は密閉容器30内に配置されているため、電解槽13と同時期に廃棄し交換する。

0056

また、リード線32を切断して電極33やスイッチ34と一緒に再利用を図り、pHセンサ43も同様に再利用を図るようにしている。
更に、トラップ管38の中間部を切断し、吸引ポンプ40とその吐出管の再利用を図るとともに、給水管28の端部を切断し、開閉弁29,26と給水管28の残部の再利用を図るようにしている。

0057

このようにして、使用済み電解槽13の周辺部材を取外して円筒状に形成し、その密閉容器30の内部に陰極31と多数の析出部材36、これらに析出した放射性物質を含む金属イオン、捕集器35と分離液37の残液、吸着フィルタ42、安全弁72を残置させて、電解槽13を立位姿勢積み重ね、これをコンクリ−ト製の安全な保管設備67に保管するようにしている。この状況は図11および図12のようである。

0058

一方、使用済み電解槽13を撤去後、新規の電解槽13を除染車両9の同位置に絶縁処理して設置し、固液分離フィルタ53に一端を接続した分離液導管56の他端を開閉弁57に接続し、またトラップ管38の一端を密閉容器30内に装着し、この他端を吸引ポンプ40に接続し、その吐出管を新規なガスボンベ41に差し込む。
更に、陰極31の上端部にリード線32を接続し、この他端を密閉容器30に接続し、pHセンサ43を密閉容器30に取付けて、交換するようにしている。

0059

また、水素ガスを充填したガスボンベ41を保管する場合は、前記保管設備67と同様な保管設備69を設け、該設備69内にガスボンベ41を図13のように横積み状態で保管するようにしている。この場合、ガスボンベ41の口元部に常時は閉弁可能なバルブ(図示略)が設けられ、充填した水素ガスの漏洩を防止している。
この他、図中、70,71は除染車両9の車体下部に設けた給水管27,28用の給水ポンプである。

0060

このように構成した土壌等の除染方法および土壌等の除染システムは、除染車両9を要し、該除染車両9は従来のバキュームカーを改良し、その車体に分離槽10と給水タンク12、電解槽13と二酸化炭素を充填したガスボンベ14、土壌や草木、田畑の滞留水等を吸引可能な吸入ポンプ15と、固液分離フィルタ53、土壌活性剤65、吸着フィルタ42等を搭載している。この状況は図2,3のようである。

0061

このうち、分離槽10は開蓋可能な箱形の容器で構成し、その上部に吸入ホース11を捲回可能な円筒状のリール16を回動可能に設け、該リール16はリコイルバネ(図示略)を介して反時計方向へ回動可能に付勢し、その周面に吸入ホース11を捲回可能にする
そして、汚染土壌の吸引時に吸入ホース11を外側へ引き出し、その引張り力によってリール16を図3上時計方向へ回動し、吸入ホース11を繰り出し可能にする。

0062

前記吸入ホース11の一端は分離槽10の内部に連通し、その他端部で吸引した汚染土壌17を分離槽10内に導入し、その基端部側に開閉弁18を設け、他端部に異物吸い込み防止用のフィルタ19を設ける。
前記給水タンク12は開蓋可能な箱形の容器に構成して、前記分離槽10に隣接して配置し、その内部に前記分離槽10と電解槽13に供給可能な一定量の清浄な水24を収容可能にする。
前記給水タンク12の底部に開閉弁25,26を設け、これらに給水管27,28の一端を接続し、このうち給水管27の他端を分離槽10内の上部に配管し、給水管28の他端を電解槽13の底部に設けた開閉弁29に接続し、これらの給水管27,28に給水ポンプ70,71を配置する。

0063

前記電解槽13はステンレス鋼板製の円筒状の密閉容器30を備え、その容積を約1.8Lに構成していて、表面に鉛を被覆して放射線を遮蔽可能にし、かつ車体や隣接部材に対し絶縁可能に設置する。そして、前記電解槽13を除染車両9の荷台前部スペースに、ガスボンベ14や給水タンク12と隣接して配置する。
前記密閉容器30は中央に棒状の陰極31を貫通して垂直に配置し、該陰極31と陽極である密閉容器30とにリード線32を配線し、該リード線32にDC電源33とスイッチ34を接続する。

0064

前記陰極31の下端部を密閉容器30の底部に直上に配置し、該密閉容器30内の陰極31の中高位置に水素ガスを捕集する円筒状の捕集容器35を配置する。前記捕集容器35は一端を開口した深底の円筒状に形成し、その開口部を下向きにして密閉容器30内に配置する。
また、密閉容器30内の上部に吸着フィルタ42を取付け、該フィルタ42に分離液導管56を接続し、その下端部を密閉容器30内の底部直上に配置するとともに、密閉容器30内の上部に安全弁72を取り付け、その排出管73を容器30の外部に開口する。
更に、前記捕集容器35の内側に、多数の析出部材36を陰極31を囲繞して近接して配置し、これらを陰極31に電気的に接続し、かつ各析出部材36を電解時に分離液37中に没入させる。

0065

前記捕集容器35内の上部で分離液37の液面上に、トラップ管38の一端を配置し、該管38の他端を捕集容器35と密閉容器30を貫通して外部の水素ガス充填装置39に接続する。
前記水素ガス充填装置39は吸引ポンプ40と、水素ガスを充填可能なガスボンベ41
を備え、該ボンベ41の口元部に常時は閉弁しトラップ管38の端部を着脱可能な開閉バルブ(図示略)を設け、該水素ガス充填装置39を電解槽13に隣接して配置する。

0066

前記ガスボンベ14を電解槽13に隣接して立設して配置し、その上端部に開閉弁44を設け、該開閉弁44にガス導管45を接続し、該ガス導管45の他端を分離槽10の底部に設けた開閉弁46に接続する。
前記ガス導管45に三方弁47を介挿し、該三方弁47にガス導管48の一端を接続し、この他端を電解槽13の下部周面に接続し、二酸化炭素を給水タンク12や電解槽13へ選択的に供給可能にする。
前記分離槽10は給水後、ガスボンベ14からガス導管45を介して二酸化炭素を供給可能にし、この二酸化炭素によって放射性セシウムの溶離溶媒として、所定酸性濃度の炭酸水(H2CO3)49を作製可能にする。

0067

前記分離槽10の底部に開閉弁51を設け、該開閉弁51に固液導管52の一端を接続し、該導管52の他端を縦長筒状の固液分離フィルタ53に接続する。
前記固液分離フィルタ53を垂直に配置し、その内部に備えた回転筒(図示略)の内部に遠心分離機(図示略)を有し、前記分離槽10から導入される固液成分のうち、土壌17を回転筒の外側へ移動し、セシウムイオンやトリチウム水が混在する炭酸水49を含む軽い汚染流体を回転筒の内側へ移動して、これらを固液分離可能にする。

0068

このように前記除染車両9は、分離槽10と給水タンク12、小形槽13とガスボンベ14と、吸入ポンプ15と固液分離フィルタ49、分離槽10の上部に捲回可能にした吸入ホース11等を合理的かつコンパクトに配置しているから、その小形化と軽量化、並びに低廉化を図れ、山間の棚田や里地の狭隘な農道へも移動でき、その機動性を発揮して土壌17の採取に重機を要することなく前記搭載機材で一連の除染作業を行なえる。

0069

次に、前記除染車両9によって放射性物質で汚染された汚染土壌17と汚染水4を除染する場合は、現地で清浄な水24を調達できない場合があるため、予め給水タンク12に所定量の清浄な水24を収容し、併せて分離槽10にも所定量の水24を収容し、この除染車両9を除染対象地1の田畑3や水田5、山林や休耕地、湖沼へ移動し、隣接する農道8等に停車する。この状況は図1のようである。また、除染作業前の分離槽10と給水タンク12、電解槽13、吸入ポンプ15の状況は図5のようである。

0070

そして、除染作業開始時、ガスボンベ14に充填した二酸化炭素を、ガス導管45を介して分離槽10の水24中へ送り込み、攪拌装置50を駆動して二酸化炭素と水24を攪拌し、pHセンサ42を基に所定酸性濃度の炭酸水49を作製する。実施形態では炭酸水49の酸性濃度をpH3〜6に設定している。
この場合、二酸化炭素は大気圧ないしそれ以上に加圧され、これが水24に溶解するから、その溶解度が促され、炭酸水49の酸性濃度の上昇を促す。また、実施形態ではセシウムの溶離溶媒として、二酸化炭素と水24によって弱酸性の炭酸水49を使用しているから、高価で取り扱いが危険な蓚酸等の強酸を要することなく、後述の除染作業を安全に行なえる。

0071

こうして炭酸水49の作製後、吸入ホース11を分離槽10から繰り出し、吸入ホース11を作業者66が保持して所定の除染作業位置へ移動する。また、これと前後して吸入ポンプ15を駆動し、その切換えレバ−63を吸入位置に切換え、通気管61と連通管62によって分離槽10内の空気を吸い出し、吸入ホース11の先端から吸引可能にする。この状況は図6のようである。

0072

このような状況の下で、吸入ホース11の先端を汚染された田畑3の表土2の直上に位置付け、また水田5や湿地帯の場合は汚染水4中に没入させ、直下の汚染土壌17や汚染水4および汚染水4に混在したトリチウム水を吸引する。この状況は図1および図4(a),(b)のようである。
そして、吸入ホース11の先端から汚染水4やトリチウム水、汚染土壌17を吸引し、これらが吸入ホース11に導かれて分離槽10へ移動する。この状況は図6のようである

0073

前記吸引された土壌17や汚染水4、トリチウム水等は混在して吸入ホース11に導かれて分離槽10の上部へ移動し、該ホース11の開口端から分離槽10内の炭酸水49中に落下して没入する。この状況は図6のようである。
このため、土壌17や汚染水4に付着ないし沈着した放射性セシウムイオンが炭酸水49に洗浄されて溶出し、該イオンが土壌17や汚染水4から分離して炭酸水49中に混在する。
この場合、土壌17や汚染水4の導入に伴なって、炭酸水49の酸性濃度が徐々に低下するから、その変化をpHセンサ42で確認し、必要に応じてガスボンベ14から二酸化炭素を供給して、酸性濃度を一定に維持する。

0074

この後、汚染土壌17や汚染水4を所定量吸引して一旦吸引を停止し、それらを分離槽10で所定時間攪拌し、炭酸水49にセシウムイオンを十分に溶出させたところで、開閉弁18を閉弁し、吸入ホース11をリール16に捲回して巻き戻し、汚染土壌17や汚染水4の吸引作業を一時終了する。

0075

次に、開閉弁51を開弁し、切換えレバー63を吸入位置から排出位置に切換える。
このようにすると、通気管61から大気が吸入され、これがループ管58,59を経て連通管52へ送り出され、分離槽10内の上部から吹き出されて分離槽10を加圧する。
このため、汚染土壌17や汚染水4、トリチウム水が分離したセシウムイオンと共に開閉弁51から固液導管47へ送り出され、これらの固液成分が固液分離フィルタ53に導入される。

0076

前記固液分離フィルタ53は、切換えレバー63の切換え操作と前後して遠心分離機が始動し、その回転筒に前記固液成分が導入され、それらの比重差によって汚染土壌17が回転筒の外側へ移動し、前記土壌17を含まない炭酸水49が回転筒の内側へ移動して、これらが固液分離される。その際、土壌17に付着した炭酸水49は、遠心分離作用によって放射性セシウムイオンと一緒に土壌17から分離する。
したがって、放射性セシウムイオンの略全量とトリチウム水が炭酸水49と一緒に分離液37として分離液導管56へ送り出され、放射性セシウムイオンを含有しない土壌17aが前記分離フィルタ49の下方へ沈降して堆積する。この状況は図7のようである。

0077

前記分離液37は分離液導管56に導かれて電解槽13上の吸着フィルタ42へ移動し、該フィルタ42で放射性物質、重金属等の金属イオンが吸着されて密閉容器30内に流下し、内部の陰極31と析出部材36を浸漬する。
こうして、分離液37を電解槽13に導入後、吸入ポンプ15の駆動を停止し開閉弁57を閉弁する。また、分離液37中の酸性濃度をpHセンサ43で確認し、必要に応じて二酸化炭素を電解槽13に補給し、炭酸水49の酸性濃度を調整するとともに、電解槽13の外部に装着したヒ−タ(図示略)を発熱させて放射性セシウムイオンの電気泳動を促す。この状況は図7のようである。

0078

この後、スイッチ34をONし、電極30,31間を通電して分離液37を電気分解し、陽極である密閉容器30に酸素が発生し、陰極31に水素が発生する。
このうち、密閉容器30内の側面から酸素が発生し、その気泡が側壁に沿って上動し、捕集器35の上方スペースに移動して滞留する。その際、密閉容器30内の底面に絶縁被覆30aが設けられているから、該絶縁被覆部30aからは酸素が発生せず、水素を安全に捕集し得る。
こうして、捕集器35の上方スペースに酸素が所定圧滞留すると、安全弁72が自動的に作動して開弁し、前記酸素が排出管73を介して外部に放出される。

0079

また、前記発生した水素は、その気泡が陰極31や析出部材36に沿って分離液37中を浮上し、その液面上へ移動して捕集器35内に捕集される。
そして、前記水素の捕集に伴い捕集器35内の空気が押し出され、水素を一定濃度に濃縮したところで、吸引ポンプ40を始動し、捕集器35内の水素を吸引してトラップ管38に導き、これをトラップ管38の端部に装着したガスボンベ41に注入して充填する。この状況は図8のようである。

0080

一方、分離液37の電気分解によって、炭酸水49に溶出した放射性物質、重金属等の金属イオンが陰極31および周辺の析出部材36側へ電気泳動し、これらに析出して付着する。この場合、析出部材36は陰極31を囲繞して密集して配置されているから、前記金属イオン等を精密かつ確実に析出し、分離液37中の夾雑物を吸着して清浄化する。この状況は図8のようである。

0081

こうして、所定時間、水素をガスボンベ41に充填するとともに、放射性物質、重金属等の金属イオンを陰極31および析出部材36に析出すると、電解槽13内に所定量の放射性物質が蓄積し、該電解槽13の廃棄と交換を要する。

0082

そこで、吸入ポンプ15を駆動し、切換レバ−63を吸入位置へ切換え、開閉弁18,46を閉弁するとともに、開閉弁51,57を開弁して、分離槽10内の炭酸水49を含む泥水を連通管62を介して吸い出し、分離槽10内を負圧に形成する一方、電解槽13内の清浄な分離液37を分離液導管56に吸い出し、これを固液分離フィルタ53から固液導管52を経て分離槽10へ還流し、その有効利用を図る。この状況は図10のようである。

0083

一方、電解槽13内に配置した吸着フィルタ42が放射性物質、重金属等の金属イオンを吸着し、所定量の放射性物質が蓄積するため、使用済みの吸着フィルタ42を電解槽13と一緒に保管設備67に保管する。
また、所定量の水素を充填した充填済みのガスボンベ41をトラップ管38から抜き取り、これを保管設備69に保管する。

0084

一方、前記固液分離によって固液分離フィルタ53に分離後の土壌17aが所定量貯留し、次期使用に支障が生ずる場合は、固液分離フィルタ53から土壌17aを回収する。
その場合は、排出弁54を開弁して土壌17aを排出管54から落下する。そして、回収した前記土壌17aを乾燥し、これに所定の土壌活性剤65を添加し、前記土壌17を改良ないし改質する。
前記土壌活性剤65としては、堆肥等の有機肥料、菌根菌、または窒素、燐、カリウムを含む種々の化学肥料を選択して使用し、これを前記土壌17aに添加して混合し、これを採取した田畑3に散布して戻す。この状況は図4(g),(h)のようである。

0085

実施形態では前記土壌活性剤65として、消火器の消火剤の未使用期間経過後の第一リン酸アンモニウム若しくは硫酸アンモニウムを含有する粉末状の消火剤を使用し、これを親水化処理した肥料にして、その有効利用を図っている。
したがって、汚染土壌17を採取した田畑3は、改良ないし改質された土壌17aが散布されて原状以上の土壌を回復し肥沃になるから、汚染土壌を単に除染し元の田畑3へ戻す場合に比べ、農業を速やかに再開し得る。

0086

一方、分離槽10に清浄な分離液37を還流し、必要に応じて給水タンク12内の新規な水24を分離槽10へ補給し、ガスボンベ14から二酸化炭素を供給して炭酸水49を作製したところで、吸入ホース11を繰り出し吸入ポンプ15を駆動して、汚染土壌17や汚染水4およびこれに混在したトリチウム水の吸引ないし採取を再開する。

0087

そして、前述と同様に汚染土壌17や汚染水4、トリチウム水等を分離槽10に導入し、それらの放射性物質を含む金属イオンを炭酸水49に溶出させ、この固液分離液を固液分離導管56を介して固液分離フィルタ53に導入し、該フィルタ53で土壌17aと放射性物質、金属イオンを含む溶離溶媒を固液分離し、分離した土壌17aを固液分離フィルタ53に貯留し、放射性物質、金属イオン、炭酸水49を含む分離液37を吸着フィルタ42に導き、分離液37中の放射性セシウム、重金属等を吸着する。

0088

このように実施形態では、電解槽13内に分離液37の残液と、陰極31や析出部材36に析出した放射性物質と金属イオン、吸着フィルタ42と安全弁72等を、一括して保管するから、これらを解体して個々に保管する場合に比べ、これを合理的でコンパクトかつ安全に保管し得るとともに、放射線被爆による事故を未然に防止し得る。

0089

一方、使用済み電解槽13を撤去後、新規の電解槽13を除染車両9の同位置に絶縁処理して設置し、固液分離フィルタ53に分離液導管56の一端を接続し、この他端を開閉弁57に接続し、またトラップ管38の一端を密閉容器30内に配置し、この他端を吸引ポンプ40に接続し、その吐出管を新規なガスボンベ41に挿入する。
更に、陰極31の上端部にリ−ド線32を接続し、この他端を密閉容器30に接続し、pHセンサ43を密閉容器30に取付けて交換する。このように電解槽13の交換に際しては、放射性物質で汚染されていない部材を再利用しているから、これを合理的かつ安価に交換し得る。

0090

また、水素を充填したガスボンベ41を保管設備69に安全に保管する。この状況は図13のようである。この場合、水素に微量混在するリチウムは、半減期が12.32年で比較的短いから、半減期経過前は厳重に保管し、半減期経過後はヘリウム3(3He)に変わるため、これを再利用し、または大気へ放出することが可能になる。

0091

このように実施形態では、除染車両9を汚染対象地1へ移動し、該汚染対象地1において汚染土壌17や汚染水4を採取し、その汚染土壌17や汚染水4を除染車両9に搭載した設備によって速やかに除染し、除染した土壌17aを改質して元の田畑3へ戻し、これら一連の除染作業を汚染対象地1で行なえるから、この種の除染作業を能率良く速やかに行なえ、農耕を速やかに再開し得るとともに、汚染土壌17の減容化を図れる。
しかも、実施形態では汚染された土壌17に限らず、汚染された水4が存在する水田5や湿地帯の除染にも適用し得るから、これを広域に亘って採用し得る実用的な効果がある

0092

また、この実施形態では放射性セシウムの他に、汚染対象地1から採取した汚染水4に混在するトリチウム水を土壌17と固液分離し、その分離液37を電解槽13で電気分解して発生した水素を捕集し、これをトラップしてガスボンベ41に充填し、水素に微量存在するトリチウムをガスボンベ41に封入して、保管設備67に安全に保管するから、トリチウムによる被爆を防止することができる。したがって、トリチウムの内部被爆によるDNAの破壊と、遺伝子の故障による癌発症の不安を払拭することができる。

0093

更に、この実施形態では使用済みの電解槽13や吸着フィルタ42と、分離液37の残液を密閉容器30に封じ込め、これらを安全に保管するから、電解槽13や吸着フィルタ42からの放射線被爆を防止し、これらを合理的かつ安全に保管することができる。

0094

このように本発明の土壌等の除染方法および土壌等の除染システムは、例えば放射性物質に汚染された田畑等の土壌や水を現地で確実かつ速やかに除染し、精密な除染と除染の能率向上を図るとともに、除染後の土壌に土壌活性剤を添加して土壌を改良し、これを元の田畑に速やかに戻して農耕の再開を促す一方、土壌に付着ないし沈着した放射性物質を土壌から精密に分離・濃縮し、汚染土壌の減容化と放射性物質の安全な処理を図るとともに、放射性セシウムやトリチウムの除染を実現し、トリチウムの内部被爆による不安を払拭するとともに、除染装置の合理的かつ安全な廃棄処理を実現し得るようにしている。

0095

1除染対象地
4汚染水
9除染車両
10分離槽
12給水タンク
13電解槽
14二酸化炭素ガスボンベ
15吸引ポンプ
17汚染土壌(除染対象物)
17a 除染土壌

0096

30密閉容器
30a絶縁被覆
31陰極
35捕集器
36析出部材
37分離液
39水素ガス充填装置
41ガスボンベ
42吸着フィルタ
49溶離溶媒(炭酸水)
53固液分離フィルタ

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