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技術 クラッド鋼板の製造方法、製造設備およびそれによって製造されたクラッド鋼板

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 田村雄太籔本恵三木島秀夫
出願日 2014年12月11日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2014-250944
公開日 2016年6月23日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-113641
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 熱処理 物品の熱処理
主要キーワード 組立て方式 組立て材 方向温度差 合せ材 製造結果 製品板幅 誘導加熱条件 矯正中
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

サンドイッチ型組立て材被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、合せ材炭化物析出による割れ抑制や母材機械特性向上効果を得るために、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度表層硬度均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる技術を提供する。

解決手段

サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する方法であって、被圧延材を加熱する加熱工程と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却工程と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱工程とを備え、高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。

概要

背景

クラッド鋼板は、炭素鋼または低合金鋼鋼板母材)の片面にステンレス鋼板等(合せ材)を接合したものが一般的である。

このようなクラッド鋼板を製造する方法には、圧延による方法、爆着による方法、肉盛による方法、鋳込による方法等があるが、生産性コスト面で優れている圧延による方法が広く採用されている。なお、ここでは、圧延は熱間圧延を意味している。

圧延による方法(圧延クラッド法)では、予め母材と合せ材を組立てておき、その組立て材被圧延材として圧延することになるが、組立て方式には、図1に示すように、サンドイッチ型オープン型がある。

図1(a)に示すように、サンドイッチ型の組立て材(被圧延材)10は、母材11と合せ材12を重ね合わせたものと、母材13と合せ材14を重ね合わせたものとを、剥離材15を挟んで上下対称になるように組立てたものである。なお、サンドイッチ型の組立て材10を組立てる際には、重ね合わせた母材11、合せ材12、合せ材14、母材13の四周を電子ビーム溶接機によって溶接する。最終的に、サンドイッチ型の組立て材10は、溶接された四周を切断された後、剥離材15の部分で剥離されて、2枚のクラッド鋼板となる。

一方、図1(b)に示すように、オープン型の組立て材(被圧延材)20は、母材21と合せ材22を重ね合わせたものであり、上下非対称である。最終的に、1枚のクラッド鋼板となる。

圧延クラッド法では、圧延終了後加速冷却水冷による強制冷却)を行うことで、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果が期待できる。しかし、上下非対称であるオープン型の被圧延材20に対して加速冷却を適用すると、合せ材22と母材21の熱収縮量の差によって冷却中に大きな反りが生じて、搬送不能になるなどの問題がある。そのため、圧延後の加速冷却は、上下対称であるサンドイッチ型の被圧延材10に対して適用される。

ただし、サンドイッチ型の被圧延材10では、圧延後の加速冷却中は反りが生じないが、加速冷却中に図2に示すような板厚方向(中心と表層)での温度差が生じ、この温度差によって被圧延材10の表層に引張応力板厚中心部に圧縮応力が発生し、その結果、板厚方向(中心と表層)で図3に示すような板幅方向塑性歪の差が発生して、加速冷却後に被圧延材10を2枚のクラッド鋼板に剥離した際に、加速冷却時の板幅方向塑性歪の差により生じた残留応力によって、クラッド鋼板に大きな反りが生じるという問題がある。

鋼板の大きな反りを矯正する方法としては、プレス矯正や強圧下のローラー矯正が一般的であるが、剥離後に生じたクラッド鋼板の反りをプレス矯正や強圧下のローラー矯正で矯正する場合、生産能率が低下し、生産性を著しく低下させる。また、プレス矯正を行うと加工硬化により局所的に母材の表層硬度が上昇する問題があり、強圧下のローラー矯正を行う場合も同様に鋼板幅方向に不均一に母材の表層硬度が上昇する可能性がある。

サンドイッチ型の被圧延材10を2枚のクラッド鋼板に剥離する前に、予めローラー矯正などによって、加速冷却によって生じた残留応力を低減して、剥離後の反りを抑制する方法が考えられるが、剥離前のサンドイッチ型の被圧延材10は、クラッド鋼板が2枚重なっているので板厚が厚く、十分な矯正効果が得られないため、反りを抑制することは困難である。例えば、製品板厚35mmのクラッド鋼板の場合は、剥離前のサンドイッチ型の被圧延材10の板厚は70mmとなる。

これに対して、上記の方法以外でクラッド鋼板の反りを抑制する方法として、特許文献1では、オープン型の被圧延材について、熱間矯正前あるいは熱間矯正中に熱収縮量の大きい金属板側をより強く冷却することで、最終形状の平坦化を図っている。

また、特許文献2では、鋼板の変態点以下の温度で圧延を完了することで、変態中に生じる反りを圧延によって矯正するとともに、圧延後の加速冷却では、矯正を繰り返しながら冷却を行うことで、形状の平坦化を図っている。

また、厚鋼板反り抑制方法として、特許文献3では、加速冷却後に厚鋼板の幅端部が幅中央部よりも40℃以上高くなるように加熱することにより、厚鋼板の幅端部近傍の残留応力を除去する方法が提案されている。

概要

サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果を得るために、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる技術を提供する。サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する方法であって、被圧延材を加熱する加熱工程と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却工程と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱工程とを備え、高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。

目的

本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果を得るために、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

サンドイッチ型組立て材被圧延材としてクラッド鋼板を製造する方法であって、被圧延材を加熱する加熱工程と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却工程と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱工程とを備え、高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。

請求項2

高周波誘導加熱工程において、1回の高周波誘導加熱によって被圧延材を加熱することを特徴とする請求項1に記載のクラッド鋼板の製造方法。

請求項3

高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上、周波数を500Hz以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載のクラッド鋼板の製造方法。

請求項4

加速冷却工程と高周波誘導加熱工程との間に、ホットレベラーによって被圧延材を矯正する矯正工程を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造方法。

請求項5

サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する設備であって、被圧延材を加熱する加熱炉と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延機と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却装置と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱装置とを備え、高周波誘導加熱装置において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造設備

請求項6

高周波誘導加熱装置において、1回の高周波誘導加熱によって被圧延材を加熱することを特徴とする請求項5に記載のクラッド鋼板の製造設備。

請求項7

高周波誘導加熱装置において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上、周波数を500Hz以上とすることを特徴とする請求項5または6に記載のクラッド鋼板の製造設備。

請求項8

加速冷却装置と高周波誘導加熱装置との間に、被圧延材を矯正するホットレベラーを備えていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造設備。

請求項9

請求項1〜4のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造方法によって製造されたことを特徴とするクラッド鋼板。

請求項10

請求項5〜8のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造設備によって製造されたことを特徴とするクラッド鋼板。

技術分野

0001

この発明は、クラッド鋼板の製造方法、製造設備およびそれによって製造されたクラッド鋼板に関するものである。

背景技術

0002

クラッド鋼板は、炭素鋼または低合金鋼鋼板母材)の片面にステンレス鋼板等(合せ材)を接合したものが一般的である。

0003

このようなクラッド鋼板を製造する方法には、圧延による方法、爆着による方法、肉盛による方法、鋳込による方法等があるが、生産性コスト面で優れている圧延による方法が広く採用されている。なお、ここでは、圧延は熱間圧延を意味している。

0004

圧延による方法(圧延クラッド法)では、予め母材と合せ材を組立てておき、その組立て材被圧延材として圧延することになるが、組立て方式には、図1に示すように、サンドイッチ型オープン型がある。

0005

図1(a)に示すように、サンドイッチ型の組立て材(被圧延材)10は、母材11と合せ材12を重ね合わせたものと、母材13と合せ材14を重ね合わせたものとを、剥離材15を挟んで上下対称になるように組立てたものである。なお、サンドイッチ型の組立て材10を組立てる際には、重ね合わせた母材11、合せ材12、合せ材14、母材13の四周を電子ビーム溶接機によって溶接する。最終的に、サンドイッチ型の組立て材10は、溶接された四周を切断された後、剥離材15の部分で剥離されて、2枚のクラッド鋼板となる。

0006

一方、図1(b)に示すように、オープン型の組立て材(被圧延材)20は、母材21と合せ材22を重ね合わせたものであり、上下非対称である。最終的に、1枚のクラッド鋼板となる。

0007

圧延クラッド法では、圧延終了後加速冷却水冷による強制冷却)を行うことで、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果が期待できる。しかし、上下非対称であるオープン型の被圧延材20に対して加速冷却を適用すると、合せ材22と母材21の熱収縮量の差によって冷却中に大きな反りが生じて、搬送不能になるなどの問題がある。そのため、圧延後の加速冷却は、上下対称であるサンドイッチ型の被圧延材10に対して適用される。

0008

ただし、サンドイッチ型の被圧延材10では、圧延後の加速冷却中は反りが生じないが、加速冷却中に図2に示すような板厚方向(中心と表層)での温度差が生じ、この温度差によって被圧延材10の表層に引張応力板厚中心部に圧縮応力が発生し、その結果、板厚方向(中心と表層)で図3に示すような板幅方向塑性歪の差が発生して、加速冷却後に被圧延材10を2枚のクラッド鋼板に剥離した際に、加速冷却時の板幅方向塑性歪の差により生じた残留応力によって、クラッド鋼板に大きな反りが生じるという問題がある。

0009

鋼板の大きな反りを矯正する方法としては、プレス矯正や強圧下のローラー矯正が一般的であるが、剥離後に生じたクラッド鋼板の反りをプレス矯正や強圧下のローラー矯正で矯正する場合、生産能率が低下し、生産性を著しく低下させる。また、プレス矯正を行うと加工硬化により局所的に母材の表層硬度が上昇する問題があり、強圧下のローラー矯正を行う場合も同様に鋼板幅方向に不均一に母材の表層硬度が上昇する可能性がある。

0010

サンドイッチ型の被圧延材10を2枚のクラッド鋼板に剥離する前に、予めローラー矯正などによって、加速冷却によって生じた残留応力を低減して、剥離後の反りを抑制する方法が考えられるが、剥離前のサンドイッチ型の被圧延材10は、クラッド鋼板が2枚重なっているので板厚が厚く、十分な矯正効果が得られないため、反りを抑制することは困難である。例えば、製品板厚35mmのクラッド鋼板の場合は、剥離前のサンドイッチ型の被圧延材10の板厚は70mmとなる。

0011

これに対して、上記の方法以外でクラッド鋼板の反りを抑制する方法として、特許文献1では、オープン型の被圧延材について、熱間矯正前あるいは熱間矯正中に熱収縮量の大きい金属板側をより強く冷却することで、最終形状の平坦化を図っている。

0012

また、特許文献2では、鋼板の変態点以下の温度で圧延を完了することで、変態中に生じる反りを圧延によって矯正するとともに、圧延後の加速冷却では、矯正を繰り返しながら冷却を行うことで、形状の平坦化を図っている。

0013

また、厚鋼板反り抑制方法として、特許文献3では、加速冷却後に厚鋼板の幅端部が幅中央部よりも40℃以上高くなるように加熱することにより、厚鋼板の幅端部近傍の残留応力を除去する方法が提案されている。

先行技術

0014

特公平2−4374号公報
特公平3−71954号公報
特許第3791454号公報

発明が解決しようとする課題

0015

上述したように、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果が期待できる圧延後の加速冷却は、上下対称であるサンドイッチ型の被圧延材10に対して適用されるが、サンドイッチ型の被圧延材10の場合、加速冷却後に被圧延材10を2枚のクラッド鋼板に剥離した際に、加速冷却時の板厚方向における板幅方向塑性歪の差により生じた残留応力によって、クラッド鋼板に大きな反りが生じるという問題がある。

0016

これに対して、上述したように、剥離後に生じたクラッド鋼板の大きな反りをプレス矯正や強圧下のローラー矯正などで矯正するのは、生産性の低下や製品品質の悪化(表層硬度の不均一)が生じる。

0017

また、上記の特許文献1〜3に記載の反り抑制方法についても、以下のような問題がある。

0018

すなわち、特許文献1の方法は、熱間矯正前あるいは矯正中に被圧延材の上下面で冷却量を変えることで、最終形状の平坦化を図るものであるが、この方法は、オープン型の被圧延材にのみ反り抑制効果があり、サンドイッチ型の被圧延材には反り抑制効果が無い。

0019

また、特許文献2の方法は、変態点以下の温度で圧延する必要があり、焼入れ開始温度を確保できずに母材の機械的特性満足できない問題がある上、矯正を繰り返しながら連続冷却を行うには、冷却帯内に矯正機を導入する必要があり、コストが膨大となる。また上述のように、サンドイッチ型の被圧延材は板厚が厚く、十分な矯正効果が得られずに反りを抑制することは困難である上、矯正時に鋼板幅方向に不均一に母材の表層硬度上昇を引き起して、母材の表層硬度分布が不均一になる問題がある。

0020

また、特許文献3の方法は、加速冷却によって生じた幅端部と幅中央部の温度差によって生じた残留応力を、加速冷却後の加熱によって除去するものであり、板厚方向に生じた板幅方向塑性歪差によって発生する反りを解決できるものではない。

0021

本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果を得るために、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる技術を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0022

上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。

0023

[1]サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する方法であって、被圧延材を加熱する加熱工程と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却工程と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱工程とを備え、高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。
[2]高周波誘導加熱工程において、1回の高周波誘導加熱によって被圧延材を加熱することを特徴とする前記[1]に記載のクラッド鋼板の製造方法。

0024

[3]高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上、周波数を500Hz以上とすることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のクラッド鋼板の製造方法。

0025

[4]加速冷却工程と高周波誘導加熱工程との間に、ホットレベラーによって被圧延材を矯正する矯正工程を備えていることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造方法。

0026

[5]サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する設備であって、被圧延材を加熱する加熱炉と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延機と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却装置と、加速冷却された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱装置とを備え、高周波誘導加熱装置において、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することを特徴とするクラッド鋼板の製造設備。

0027

[6]高周波誘導加熱装置において、1回の高周波誘導加熱によって被圧延材を加熱することを特徴とする前記[5]に記載のクラッド鋼板の製造設備。

0028

[7]高周波誘導加熱装置において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上、周波数を500Hz以上とすることを特徴とする前記[5]または[6]に記載のクラッド鋼板の製造設備。

0029

[8]加速冷却装置と高周波誘導加熱装置との間に、被圧延材を矯正するホットレベラーを備えていることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造設備。

0030

[9]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造方法によって製造されたことを特徴とするクラッド鋼板。

0031

[10]前記[5]〜[8]のいずれかに記載のクラッド鋼板の製造設備によって製造されたことを特徴とするクラッド鋼板。

発明の効果

0032

本発明によれば、サンドイッチ型の組立て材を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果を得るために、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる。

図面の簡単な説明

0033

クラッド鋼板を圧延で製造する際に用いる組立て材を示す図である。
加速冷却時の被圧延材における板厚方向での温度差を示す図である。
加速冷却時の被圧延材における板厚方向での板幅方向塑性歪差を示す図である。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の被圧延材における板厚方向での温度差を示す図である(3回の高周波誘導加熱)。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の被圧延材における板厚方向での板幅方向塑性歪差を示す図である(3回の高周波誘導加熱)。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の被圧延材における板厚方向での温度差を示す図である(1回の高周波誘導加熱)。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の被圧延材における板厚方向での板幅方向塑性歪差を示す図である(1回の高周波誘導加熱)。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を違えた場合の被圧延材における板厚方向での温度差を示す図である。
本発明の実施形態において、高周波誘導加熱時の周波数を違えた場合の被圧延材における板厚方向での温度差を示す図である。
本発明の実施形態におけるクラッド鋼板の製造設備を示す図である。

0034

本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

0035

本発明の実施形態におけるクラッド鋼板の製造方法においては、サンドイッチ型の組立て材10を被圧延材としてクラッド鋼板を製造するに際して、被圧延材を加熱する加熱工程と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却工程と、高周波誘導加熱によって被圧延材を加熱する高周波誘導加熱工程とを備えていて、高周波誘導加熱工程において、図4に示すように、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱している。これによって、熱間圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することを可能にしている。

0036

すなわち、後述する実施例1でもその効果を示すが、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差を50℃以上300℃以下とすることで、被圧延材の表面に圧縮応力、板厚中心部に引張応力がそれぞれ適正量発生し、図5に示すように、加速冷却時に生じた板厚方向の板幅方向塑性歪差が緩和されて、切断・剥離後の反りが抑制される。また、これにより、プレス矯正や強圧下のローラー矯正をする必要がなくなり、母材の表層硬度の均一性が保たれる。

0037

なお、より高い反り抑制効果を得るためには、好ましくは、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差を100℃以上とするのが良い。

0038

ちなみに、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃未満である場合は、その際に発生する応力が小さく、十分な反り抑制効果が得られない。そのため、剥離後にプレス矯正や強圧下のローラー矯正を行う必要があり、局所的な表層硬度の上昇を引き起して、母材の表層硬度が不均一となってしまう。

0039

一方、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が300℃を超えると、被圧延材に発生する応力が大きすぎて、板幅方向塑性歪差が逆方向に増加し、剥離後のクラッド鋼板の最終形状として逆方向の反りが生じてしまう。

0040

そして、上述した図4図5では、高周波誘導加熱工程において、所定の間隔をおいて直列に設置した3台の誘導加熱コイルを用いて加熱し、誘導加熱コイル間で冷却を行う場合(3回加熱)を示しているが、高周波誘導加熱工程において、1台の誘導加熱コイルを用いて加熱し、加熱の途中で空冷や水冷などの冷却を行わない1回加熱によって被圧延材を昇温させることで、より効率的に反りを抑制することができる。

0041

すなわち、図4図5のように、複数回加熱(例えば、3回加熱)の場合は、誘導加熱コイル間の冷却時に一旦板厚方向温度差が減少するため、板厚方向に大きな温度差を付けにくい。

0042

それに対して、1回加熱の場合は、図6温度履歴図7に板幅方向塑性歪を示すように、複数回加熱のような誘導加熱コイル間での冷却がないので、板厚方向に大きな温度差を付け易いため、大きな応力を発生させることができ、効率的に反りを抑制することが可能となる。しかも、1回加熱の場合は、板厚方向平均温度の上昇が小さくてすみ、靭性などの材質への影響を最小限に抑えながら、反りを抑制することができる。

0043

また、高周波誘導加熱工程において、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量が100W/cm2以上、周波数が500Hz以上とすることで、より効率的に反りを抑制することができる。

0044

すなわち、高周波誘導加熱時の被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上とすることで、板厚方向温度差を付け易くなる。例えば、図8に示すように、投入熱量を50W/cm2にした場合と100W/cm2にした場合の温度履歴を比較すると、100W/cm2にした場合のほうが、より短い時間で反り抑制に十分な板厚方向温度差を付けることができる。しかも、板厚方向平均温度の上昇も小さくてすみ、靭性などの材質への影響を最小限に抑えながら、反りを抑制することが可能となる。

0045

また、高周波誘導加熱時の周波数を500Hz以上とすることで、表層を板厚中央部に比べて急速に昇温させる表層急速加熱を実現でき、加熱時の板厚方向温度差を付けやすくなる。

0046

すなわち、高周波誘導加熱時の発熱領域スキンデプスδで特徴付けられ、以下の(1)式で表記される。

0047

δ=(πfμσ)−0.5 ・・・(1)
ここで、fは周波数(Hz)、μは透磁率(H/m)、σは導電率(S/m)
したがって、周波数fが大きいほどスキンデプスδは小さく、発熱領域が表層近傍に限定される。例えば、図9に示すように、周波数fを300Hzとした場合と1000Hzとした場合を比較すると、周波数fを1000Hzとした場合の方が、より短い時間で反り抑制に十分な板厚方向温度差を付けることができる。しかも、板厚方向平均温度の上昇も小さくてすみ、靭性などの材質への影響を最小限に抑えながら、反りを抑制することが可能となる。

0048

なお、より一層効率的に反りを抑制するためには、投入熱量200W/cm2以上、周波数1000Hz以上とするのが良い。

0049

また、必要に応じて、加速冷却工程と高周波誘導加熱工程との間に、ホットレベラーによって被圧延材を矯正する矯正工程を設けてもよい。ホットレベラーで被圧延材の形状を平坦にした後に、高周波誘導加熱を行うことで、より均一な加熱を行うことができる。

0050

なお、上記において、被圧延材の温度や板幅方向塑性歪の時間的推移等については、シミュレーション計算によって算定することができる。

0051

そして、このような、本発明の実施形態におけるクラッド鋼板の製造方法を実施するための製造設備を図10に示す。

0052

図10に示すように、本発明の実施形態におけるクラッド鋼板の製造設備30は、サンドイッチ型の組立て材10を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する設備であって、サンドイッチ型の組立て材10を組立てる組立て装置(図示せず)と、被圧延材を加熱する加熱炉31と、加熱された被圧延材を熱間圧延する熱間圧延機32と、熱間圧延された被圧延材を加速冷却する加速冷却装置33と、加速冷却された被圧延材を矯正するホットレベラー34と、矯正された被圧延材を高周波誘導加熱によって加熱する高周波誘導加熱装置35と、高周波誘導加熱した被圧延材の四周を切断し、剥離材15の部分で剥離して2枚のクラッド鋼板を得る切断・剥離装置36を備えている。

0053

そして、高周波誘導加熱装置35は、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差が50℃以上300℃以下となるように加熱することができるようになっている。

0054

また、高周波誘導加熱装置35は、誘導加熱コイルを直列に複数台備えていて、1回加熱と複数回加熱のどちらも可能になっている。

0055

また、高周波誘導加熱装置35は、被圧延材への投入熱量と周波数を変更できるようになっており、被圧延材への投入熱量を100W/cm2以上、周波数を500Hz以上にすることが可能になっている。

0056

なお、高周波誘導加熱装置35は、比較的熱効率の良いソレノイド型の誘導加熱コイルを有した高周波誘導加熱装置であることが望ましい。

0057

また、サンドイッチ型の組立て材10を組立てる組立て装置は、真空チャンバーと、真空チャンバーの中で、重ね合わせた母材11、合せ材12、合せ材14、母材13の四周を溶接する電子ビーム溶接機を備えている。

0058

なお、場合によっては、ホットレベラー34を省略してもよい。

0059

そして、このクラッド鋼板の製造設備30では、切断・剥離装置36で切断・剥離されて得られたクラッド鋼板の反りを矯正するためのコールドレベラー37とプレス装置38を備えている。

0060

この実施形態では、基本的に、切断・剥離後のクラッド鋼板の反りは小さいので、その反りを矯正する際には、コールドレベラー37で軽圧下の1パス矯正を行う。

0061

ただし、試験等で、切断・剥離後のクラッド鋼板に大きな反りが発生した場合は、コールドレベラー37で強圧下の多数パス矯正を行い、さらに反りが大きい場合には、プレス装置38で矯正するようにしている。

0062

このようにして、本発明の実施形態においては、サンドイッチ型の組立て材10を被圧延材としてクラッド鋼板を製造する際に、高周波誘導加熱中の被圧延材の表層と板厚中心部の最大温度差を50℃以上300℃以下となるように加熱することによって、圧延後の加速冷却時に発生した板厚方向での板幅方向塑性歪差を緩和することができる。その結果、合せ材の炭化物析出による割れ抑制や母材の機械特性向上効果を得るために、圧延後に加速冷却を行っても、生産性を低下させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができる。

0063

そして、特に、サンドイッチ型の組立て材10の板厚が20mm以上100mm以下、クラッド鋼板の製品板幅が1000mm以上5000mm以下の時に、顕著な効果を発揮する。

0064

本発明の実施例として、図10に示したクラッド鋼板の製造設備30を用いてクラッド鋼板を製造した。

0065

その際、サンドイッチ型の組立て材10を加熱炉31で所定温度に加熱し、熱間圧延機32で板厚40mm、板幅2500mm、板長15mとした後、加速冷却装置33で800℃から500℃まで冷却し、ホットレベラー34で矯正して、高周波誘導加熱装置35で加熱した後、切断・剥離装置36で切断・剥離して、クラッド鋼板を得た。

0066

なお、高周波誘導加熱装置35は、ソレノイド型の誘導加熱コイルを直列に3台備えていて、1回加熱と複数回加熱のどちらも可能になっていた。

0067

そして、生産性を落とすことなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れたクラッド鋼板を製造するためには、切断・剥離後の反り量を10mm以下とする必要があった。

0068

切断・剥離後の反り量が10mm以下であれば、コールドレベラー37で軽圧下の1パス矯正によって矯正できるので、生産性を落とさずに、表層硬度も上昇させることなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造できるが、切断・剥離後の反り量が10mmより大きいと、コールドレベラー37で強圧下の多数パス矯正が必要であり、さらに反りが大きい場合は、プレス装置38による矯正となるため、生産性が著しく低下する上、鋼板面内で不均一な硬度上昇が生じてしまうからである。

0069

ちなみに、クラッド鋼板の反り量は、クラッド鋼板の板幅方向両端を結んだ線を基準線として、板幅方向中央部から基準線までの垂線の長さとした。

0070

上記の本発明の実施形態に基づいて行った本発明例(本発明例1〜5)と、比較のために行った比較例(比較例1〜3)について、製造条件誘導加熱条件)と製造結果(切断・剥離後の反り量)を表1に示す。

0071

すなわち、本発明例(本発明例1〜5)は、誘導加熱中の板厚方向最大温度差が50〜300℃になるようにした場合であり、比較例(比較例1〜3)は、その条件を満たしていない場合である。

0072

0073

本発明例1では、3台の誘導加熱コイルによって加熱した。そして、搬送速度を制御することで、加熱中の板厚方向最大温度差を150℃とした。この結果、切断・剥離後の反り量は5mmとなり、生産性を落とすことなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができた。

0074

本発明例2では、1台の誘導加熱コイルのみを使用して加熱した。1回加熱なので3回加熱である本発明例1と同じ投入電力、周波数でも板厚方向温度差を付け易く、搬送速度を制御することで、加熱中の板厚方向最大温度差を200℃とした。切断・剥離後の反り量は3mmとなり、生産性を落とすことなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができた。

0075

本発明例3〜5では、3台の誘導加熱コイルによって加熱した。その際に、投入熱量200W/cm2以上、周波数1000Hz以上という好適条件は満足していないので、加熱中の板厚方向最大温度差は付き難くなったが、いずれも加熱中の板厚方向最大温度差は50℃以上であったので、切断・剥離後の反り量は10mm以下となり、生産性を落とすことなく、平坦度と表層硬度の均一性に優れた高品質なクラッド鋼板を製造することができた。

0076

比較例1では、高周波誘導加熱装置35での加熱を行わなかった。その結果、加速冷却時の板幅方向塑性歪差により生じた残留応力がそのまま残存し、切断・剥離後の反り量が50mmとなった。反り量が大きいためプレス装置38での矯正が必要となり、生産性が著しく低下した上、鋼板面内で不均一な硬度上昇が生じた。

0077

比較例2では、3台の誘導加熱コイルによって加熱したが、搬送速度が速かったため、加熱中の板厚方向最大温度差は40℃となった。その結果、切断・剥離後の反り量は12mmとなり、コールドレベラー37による強圧下の多数パス矯正が必要となり、生産性が低下した上、鋼板面内で不均一な硬度上昇が生じた。

0078

比較例3では、3台の誘導加熱コイルによって加熱したが、投入熱量が300W/cm2であった上、搬送速度が遅かったので、加熱中の板厚方向最大温度差は350℃となった。その結果、切断・剥離後の反り量は14mmとなり、コールドレベラー37による強圧下の多数パス矯正が必要となり、生産性が低下した上、鋼板面内で不均一な硬度上昇が生じた。

実施例

0079

これによって、本発明の有効性が確認された。

0080

10サンドイッチ型の組立て材(被圧延材)
11母材
12合せ材
13 母材
14 合せ材
15剥離材
20オープン型の組立て材(被圧延材)
21 母材
22 合せ材
30クラッド鋼板の製造設備
31加熱炉
32熱間圧延機
33加速冷却装置
34ホットレベラー
35高周波誘導加熱装置
36 切断・剥離装置
37コールドレベラー
38 プレス装置

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