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技術 連続鋳造鋳片およびその製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 高屋慎田口謙治
出願日 2014年12月16日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-253658
公開日 2016年6月23日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-112590
状態 特許登録済
技術分野 連続鋳造
主要キーワード 矯正温度 凹湾曲面 グラインダー研削 断面収縮率 基礎試験 コーナー近傍 矯正応力 横ひび割れ
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重要な関連分野

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図面 (3)

課題

Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片であって、表面割れの発生が抑制された連続鋳造鋳片を提供する。

解決手段

質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ni:0. 2〜2.0%、B:0.0002〜0.0030%、およびTi:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、前記不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、かつsol.Al:0.005%未満であり、[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]を満たす、連続鋳造鋳片。ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。

概要

背景

近年、厚鋼板等の鉄鋼材料として、機械特性向上のため、Ti、Nb、Ni、Cuなどの合金元素を含有する低合金鋼が製造されている。しかし、これら合金元素の添加に伴い、このような低合金鋼を連続鋳造によって製造する際、鋳片の表層横ひび割れ、および表皮下割れといった欠陥が生じ、操業上および製品品質上の問題となっている。

「横ひび割れ」とは、鋳片表面に発生する状の割れである。「表皮下割れ」とは、およそ表面から3mmの深さと表面から15mmの深さとの間の表層で生じる割れである。横ひび割れと表皮下割れとを総称して、「表面割れ」という。ここで、「表面」および「表皮」は鋳片外面部を意味し、「表層」は鋳片外面部から15mmまでの深さの領域を意味する。

表面割れが発生した鋳片を観察すると、表面割れは、鋳片表層において、旧オーステナイト粒界に沿って発生していることがわかる。表面割れは、AlN、NbC等の析出により脆化したオーステナイト粒界、および旧オーステナイト粒界に沿って生成するフィルムフェライトに、矯正応力が集中することで発生する。

矯正応力は、湾曲型または垂直曲げ型連続鋳造機矯正点において鋳片に付与される応力である。表面割れは、特に、オーステナイトからフィライトへの相変態温度近傍の温度域において発生しやすい。この温度域では、鋳片の延性が低下し脆化が生じる。したがって、通常は、矯正点での鋳片表層の温度は、鋳片の延性が低下する温度域(脆化温度域)を回避して設定される。これにより、割れの発生が抑制されるが、鋳片幅方向に関して、表面温度のばらつきが生じるために、この方法では、必ずしも割れ発生を完全に防止することはできない。

上述のように、表面割れ発生の一因として、粒界部にAlN等の炭窒化物が析出することが挙げられる。鋼中のAlN等の析出を制御するために、Tiを添加し、TiNを析出させることがしばしば行われ、割れの抑制に関して高い効果が得られている。

また、表面割れを抑制する他の方法として、特許文献1には、鋳型から引き抜いた鋳片の表面温度を制御する方法が開示されている。この連続鋳造方法では、オーステナイト相変態が完了しない間にAr3点未満の温度まで鋳片を冷却し、その後950℃〜1200℃に復熱させ矯正を行うことで、割れの起点となるAlNの粒界に沿った析出を防止する。この方法により、高い割れ防止効果が得られるとされている。

概要

Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片であって、表面割れの発生が抑制された連続鋳造鋳片を提供する。質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ni:0. 2〜2.0%、B:0.0002〜0.0030%、およびTi:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、前記不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、かつsol.Al:0.005%未満であり、[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]を満たす、連続鋳造鋳片。ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。

目的

本発明の目的は、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片であって、表面割れの発生が抑制された連続鋳造鋳片、およびそのような連続鋳造鋳片を製造することができる製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ni:0. 2〜2.0%、B:0.0002〜0.0030%、およびTi:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、前記不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、かつsol.Al:0.005%未満であり、下記式(1)を満たす、連続鋳造鋳片。[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)](1)ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。

請求項2

請求項1に記載の連続鋳造鋳片であって、Feの一部に代えて、Si:0〜0.5%、Cu:0〜2.0%、Nb:0〜0.05%、Cr:0〜0.1%、およびMo:0〜0.1%からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、連続鋳造鋳片。

請求項3

請求項1または2に記載の連続鋳造鋳片であって、前記式(1)に代えて下記式(2)を満たす、連続鋳造鋳片。[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]+0.0002(2)

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造鋳片の化学組成に対応する化学組成を有する溶鋼を用いて、湾曲型または垂直曲げ型連続鋳造機で、連続鋳造鋳片を製造する方法。

請求項5

請求項4に記載の、連続鋳造鋳片の製造方法であって、前記鋳片を矯正する際、前記鋳片の矯正点での表面温度を850〜1000℃とする、製造方法。

技術分野

0001

本発明は、微量のAlを含有する連続鋳造鋳片、およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、厚鋼板等の鉄鋼材料として、機械特性向上のため、Ti、Nb、Ni、Cuなどの合金元素を含有する低合金鋼が製造されている。しかし、これら合金元素の添加に伴い、このような低合金鋼を連続鋳造によって製造する際、鋳片の表層横ひび割れ、および表皮下割れといった欠陥が生じ、操業上および製品品質上の問題となっている。

0003

「横ひび割れ」とは、鋳片表面に発生する状の割れである。「表皮下割れ」とは、およそ表面から3mmの深さと表面から15mmの深さとの間の表層で生じる割れである。横ひび割れと表皮下割れとを総称して、「表面割れ」という。ここで、「表面」および「表皮」は鋳片外面部を意味し、「表層」は鋳片外面部から15mmまでの深さの領域を意味する。

0004

表面割れが発生した鋳片を観察すると、表面割れは、鋳片表層において、旧オーステナイト粒界に沿って発生していることがわかる。表面割れは、AlN、NbC等の析出により脆化したオーステナイト粒界、および旧オーステナイト粒界に沿って生成するフィルムフェライトに、矯正応力が集中することで発生する。

0005

矯正応力は、湾曲型または垂直曲げ型連続鋳造機矯正点において鋳片に付与される応力である。表面割れは、特に、オーステナイトからフィライトへの相変態温度近傍の温度域において発生しやすい。この温度域では、鋳片の延性が低下し脆化が生じる。したがって、通常は、矯正点での鋳片表層の温度は、鋳片の延性が低下する温度域(脆化温度域)を回避して設定される。これにより、割れの発生が抑制されるが、鋳片幅方向に関して、表面温度のばらつきが生じるために、この方法では、必ずしも割れ発生を完全に防止することはできない。

0006

上述のように、表面割れ発生の一因として、粒界部にAlN等の炭窒化物が析出することが挙げられる。鋼中のAlN等の析出を制御するために、Tiを添加し、TiNを析出させることがしばしば行われ、割れの抑制に関して高い効果が得られている。

0007

また、表面割れを抑制する他の方法として、特許文献1には、鋳型から引き抜いた鋳片の表面温度を制御する方法が開示されている。この連続鋳造方法では、オーステナイト相変態が完了しない間にAr3点未満の温度まで鋳片を冷却し、その後950℃〜1200℃に復熱させ矯正を行うことで、割れの起点となるAlNの粒界に沿った析出を防止する。この方法により、高い割れ防止効果が得られるとされている。

先行技術

0008

特開平11−33688号公報
特開2014−5490号公報

発明が解決しようとする課題

0009

ところで、近年では、Alに代えて、Ti、Mn、Si等の弱脱酸元素によって脱酸した鋼のニーズが増えている。そのため、Alが脱酸支配元素とならない程度の含有量でAlを含有する鋼、すなわち、Al含有量が微量(数十質量ppm以下)である鋼を鋳造することが多くなってきている。このような微量Al含有鋼では、Al含有量は、AlNが生成し得ない程度の量ではあるものの、表面の横ひび割れ、または表皮下割れが発生する場合がある。さらに、上述のように、一般的には、Tiの添加によりAlNの析出を抑制でき、割れの発生が抑制できるとされているが、微量Al含有鋼では、Tiが添加されている鋼種であっても表面割れが発生する。

0010

特許文献1には、Ti添加せず、かつ十分高い矯正温度を確保したうえで、表面割れを防止する鋼の連続鋳造方法が開示されているが、上述の微量Al含有鋼に関しては、記載も示唆もされていない。そのため、微量Al含有鋼に対して、特許文献1の技術を適用しても、同様に表面割れの発生を抑制できるかどうかは不明である。

0011

そこで、本発明の目的は、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片であって、表面割れの発生が抑制された連続鋳造鋳片、およびそのような連続鋳造鋳片を製造することができる製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、下記(A)連続鋳造鋳片、および下記(B)の連続鋳造鋳片の製造方法を要旨とする。

0013

(A)質量%で、
C:0.03〜0.2%、
Mn:0.1〜3.0%、
Ni:0. 2〜2.0%、
B:0.0002〜0.0030%、および
Ti:0.005〜0.1%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
前記不純物中、
P:0.04%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下、かつ
sol.Al:0.005%未満であり、
下記式(1)を満たす、連続鋳造鋳片。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)] (1)
ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。

0014

(B)上記(A)に記載の連続鋳造鋳片の化学組成に対応する化学組成を有する溶鋼を用いて、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機で、連続鋳造鋳片を製造する方法。

発明の効果

0015

本発明の連続鋳造鋳片は、その鋳造時において、表面割れの発生が抑制されている。また、本発明の連続鋳造鋳片の製造方法により、鋳造時に、鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、各試験片について、引張温度と絞り値との関係を示す図である。
図2は、[Ni(%)]×[S(%)]、および[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)−2])と、割れ指数との関係を示す図である。

0017

本明細書では、鋼または鋳片に含有されるAlは、sol.Al(酸可溶Al)をいうものとする。

0018

以下、本発明者らが本発明を完成するまでに検討したことについて説明する。
鋳片(鋼)の横ひび割れおよび表皮下割れの発生には、鋳片中で析出するAlNが大きな影響を与えることが知られている。しかし、AlNが生成し得ないような数十質量ppm以下のAl含有量を有する鋼においても、横ひび割れおよび表皮下割れは発生する。本発明者らは、この問題を解決するために、高温引張試験により、鋼の高温延性の詳細な調査を行い、以下の知見を得た。

0019

(イ)数十質量ppm以下のAl含有量を有する鋼の高温延性の低下は、粒界偏析したSおよび粒界析出した微細な炭窒化物に起因する。炭窒化物は、主として、(Ti、Nb)(C、N)、すなわち、TiC、TiN、NbC、もしくはNbN、またはこれらの間の固溶体である。

0020

(ロ)[Ti(%)]/[N(%)]を制御して、粒界析出し得る炭窒化物を粗大化および粒内析出させることにより、高温延性が回復する。ここで、[Ti(%)]は、Ti含有量(質量%)であり、[N(%)]は、N含有量(質量%)である。

0021

(ハ)上記(ロ)の制御に加えて、粒界強化元素のBを添加して、粒界偏析したSの影響を低減することにより、高温延性が大きく回復する。

0022

ここで、Bの延性への効果について説明する。従来、Bは脆化元素であり、Bの添加は横ひび割れを助長すると考えられてきた。しかし、本発明者らは、高温延性の詳細な調査から、Bによる脆化はBNが析出することによって起こり、鋼に固溶したBは、逆に粒界を強化し、高温延性を改善する働きを有することを知見した。したがって、鋼中のNをTi等と化合させて固定した上で、Bを添加すると、BNの析出が抑制され、鋳片の表面割れ防止が可能である。

0023

本発明者らは、鋳造を模擬するべく溶融凝固した鋼を試験片として、さらなる高温引張試験を実施した。表1に、試験に用いた鋼A〜Dの組成を示す。表1の数値は、いずれも質量%である。鋼A〜DのAl含有量は、いずれも0.001〜0.002質量%であり、微量である。

0024

0025

まず、鋼を、溶融するまで加熱し、120秒以上溶融状態を保った後、冷却速度を0.4℃/秒として、所定の温度(試験温度)まで冷却して、試験片を得た。この試験片について、各試験温度で引張試験を行い、絞り値(断面収縮率)を測定した。鋼は、脆化の程度が大きいほど、変形しやすく、したがって、絞り値は低い値を示す。

0026

図1に、各試験片について、引張温度と絞り値との関係を示す。図1より、微量のAlを含有する鋼は広い脆化温度域を有することがわかる。試験片を分析することにより、これらの鋼の脆化要因は、粒界偏析したS、および引張応力によりオーステナイト粒界に動的析出した(Ti、Nb)(C、N)であることを知見した。汎用連続鋳造機を用いた連続鋳造においても、鋳片表層に加えられる矯正応力により、同様の脆化が起こり、横ひび割れ、または表皮下割れが発生するおそれがある。

0027

表1および図1から、高温延性を改善するためには、B含有量およびTi含有量の少なくとも一方を多くすることが有効であることがわかる。本発明者らは、鋼中析出物および粒界偏析元素の詳細な解析を行い、下記(i)〜(iii)の知見を得た。

0028

(i)N含有量に対するTi含有量の比が2以上([Ti(%)]/[N(%)]≧2)になると、鋼中の炭窒化物はTiNを主体とした粗大な炭窒化物となり、脆化に悪影響を及ぼすBNまたは微細なTiもしくはNbの炭化物もしくは窒化物の粒界における析出量が減少する。

0029

(ii)Bを含有しない鋼の粒界には、Sの粒界偏析が顕著に見られた。特許文献2では、Niを含有する鋼では、Sの粒界偏析によって粒界が脆化することを、第一原理計算により明らかにしている。上記の引張試験においても同様の傾向が確認された。この脆化は、NiとSとが共存するときのみに起こり、Ni含有量またはS偏析量が多くなるほど顕著になる。

0030

(iii)Bを含有する鋼の粒界には、Bの偏析が顕著に見られ、Sの偏析が抑制されている。よって、B添加は延性改善に有効であるが、上記(i)に示す関係である[Ti(%)]/[N(%)]≧2を満たさない場合は、BNが粒界析出し、逆に脆化を引き起こす原因となる。

0031

したがって、高温延性を改善するためには、炭窒化物の形態をTiN主体としたうえで、NiとSとによる粒界脆化の程度に応じ、Bを添加する必要がある。

0032

以上の基礎試験の結果から、TiおよびBの適正な添加によって連続鋳造時の表面割れを防止できると考えられる。

0033

図2は、[Ni(%)]×[S(%)]、および[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)と、割れ指数との関係を示す図である。[B(%)]は、B含有量(質量%)であり、[Ni(%)]は、Ni含有量(質量%)であり、[S(%)]は、S含有量(質量%)である。

0034

上記(ハ)および(iii)の知見から、[B(%)]は、粒界強化のパラメータであり、上記(ロ)および(ii)の知見から、[Ti(%)]/[N(%)]は、炭窒化物の析出を制御することによる高温延性回復のパラメータである。したがって、縦軸の[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)は、高温延性の高さ(脆化の抑制)の指標である。すなわち、図2において、縦軸の値が高いほど、表面割れが抑制されることが予想される。

0035

上記(イ)および(ii)の知見から、[Ni(%)]、および[S(%)]は、いずれも、脆化の程度のパラメータである。したがって、横軸の[Ni(%)]×[S(%)]は、割れ感受性の高さの指標である。すなわち、図2において、横軸の値が高いほど、表面割れが顕著になることが予想される。

0036

図2において、実線は、[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)=0.1×[Ni(%)]×[S(%)]を示し、破線は、[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)=0.1×[Ni(%)]×[S(%)]+0.0002を示す。
割れ指数は、表面割れの程度を示す指標であり、割れ指数の数値が小さいほど、割れの程度が小さいことを示す。

0037

図2から、鋳片の化学組成(連続鋳造に用いる溶鋼の組成と同じとみなすことができる)が下記式(1)を満たすことにより、割れ指数を1以下にできることがわかる。より詳細には、微量のAlを含有する鋼の連続鋳造において、鋳片の化学組成が下記式(1)の関係を満たすことで、高温延性の低下に起因する表面割れを抑制できる。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)] (1)

0038

鋳片が、上記式(1)に代えて下記式(2)を満たすと、割れ指数を0に、すなわち、高温延性の低下に起因する表面割れを、さらに抑制できる。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]+0.0002 (2)

0039

本発明は、この知見(着想)に基づいて完成したものである。本発明の連続鋳造鋳片は、上述のように、質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ni:0. 2〜2.0%、B:0.0002〜0.0030%、およびTi:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる。前記不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、かつsol.Al:0.005%未満である。この連続鋳造鋳片は、上記式(1)を満たす。

0040

[鋳片の化学組成]
以下、本発明の連続鋳造鋳片の化学組成について、成分ごとに説明する。以下、成分元素の含有量について、「質量%」を、単に「%」とも記す。

0041

C:0.03〜0.2%
炭素(C)は、鋳造された鋳片である鋼、そして、これを素材として得られる鋼材(たとえば、鋼板)の強度を高める。C含有量が0.03%未満では、鋼板の十分な強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると、スポット溶接性が低下する。したがって、C含有量は、0.03〜0.2%とする。鋼の強度を保ち、かつ良好な靱性および溶接性を確保するためには、C含有量は、好ましくは、0.05〜0.15%とする。

0042

Mn:0.1〜3.0%
マンガン(Mn)は、鋼の強度を顕著に高める効果を有する元素である。鋼を高温にすると、Mnが炭化して炭化物が生成する。Mn含有量が0.1%未満では、相対的に、炭化するMnの割合が大きくなり、金属状態のMnの割合が少なくなるので、鋼の強度が低下する。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼の組織低温変態相主体となるため、鋼の延性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.1〜3.0%とする。鋼材の強度を保ち、かつ良好な靱性を確保するためには、Mn含有量は、好ましくは、0.5〜2.5%とする。

0043

Ni:0.2〜2.0%
ニッケル(Ni)は、鋼の強度と低温靱性とを顕著に高める効果を有する元素である。強度と低温靱性とは、Ni含有量が0.2%以上で顕著に上昇する。一方、Ni含有量が2.0%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Ni含有量は、0.2〜2.0%とする。鋼材について、強度を高く保ち、かつ高い靱性を確保するためには、Ni含有量は、好ましくは、0.5〜1.5%とする。

0044

B:0.0002〜0.0030%
ホウ素(B)は、耐表面割れ感受性を向上し、鋼の強度を顕著に高める効果を有する元素である。耐表面割れ感受性の向上のためには、B含有量は、0.0002%以上である必要がある。一方、B含有量が、0.0030%を超えると、上記効果が飽和するとともに、靱性が低下する。したがって、B含有量は、0.0002〜0.0030%とする。B添加の上記効果を明確に発現させるためには、B含有量は、好ましくは、0.0004〜0.0020%である。

0045

Ti:0.005〜0.1%
チタン(Ti)は、溶鋼中の酸素と結合してTi酸化物を生成することにより、溶鋼から脱酸する。さらに、Tiは、溶接熱影響部の靭性を向上させる。Ti含有量が0.005%未満では、これらの効果が得られない。一方、Ti含有量が0.1%を超えると、生成するTi酸化物が粗大となり、靭性および加工性が低下する。したがって、Ti含有量は、0.005〜0.1%とする。溶鋼中で脱酸元素として働きかつ、かつ良好な靱性および加工性を確保するためには、Ti含有量は、好ましくは、0.008〜0.05%である。

0046

本発明の連続鋳造鋳片の化学組成で、上記の成分以外は、Feおよび不純物からなる。ここで、不純物とは、鋳片を工業的に製造する際に、原料としての鉱石もしくはスクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明の対象とする鋳片(鋼)の特性に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
上記不純物中のP、S、N、およびsol.Alの含有量は、次の通りである。

0047

P:0.04%以下
りん(P)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。しかし、鋼の強度上昇等を目的として、積極的に含有させてもよい。P含有量が0.04%を超えると、溶接性が著しく低下する。したがって、P含有量は、0.04%以下とする。P含有による鋼の強度上昇は、0.02を超えると飽和するため、P含有量は、好ましくは、0.02%以下とする。

0048

S:0.01%以下
硫黄(S)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。S含有量が0.01%を超えると、この鋼を用いた製品の加工性および溶接性が著しく低下する。さらに、Sは高温延性にも影響を与え、鋳造時の表面割れを引き起こす。したがって、S含有量は、0.01%以下とする。製品の加工性および溶接性を高くするためには、S含有量は、0.005%以下で可能な限り低くすることが好ましい。

0049

N:0.01%以下
窒素(N)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。N含有量が0.01%を超えると、鋼の強度および延性が著しく低下する。したがって、N含有量は、0.01%以下とする。製品の強度および靱性を高くするためには、N含有量は、0.006%以下で可能な限り低くすることが好ましい。

0050

sol.Al:0.005%未満
アルミニウム(Al)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。Al含有量が0.005%以上であると、Al酸化物生成量が多くなり、Ti酸化物の生成が妨げられ、その結果、溶接熱影響部の靱性が低下する。したがって、Al含有量は、0.005%未満とする。

0051

本発明の連続鋳造鋳片は、Feの一部に代えて、Si、Cu、Nb、CrおよびMoからなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有してもよい。

0052

Si:0〜0.5%
シリコン(Si)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、Siは、鋼の強度を高め、延性を向上させる。しかし、Si含有量が0.5%を超えると、製品表面に、いわゆる赤スケールストライプ状のスケール模様)が発生することによる外観劣化、および化成処理性の低下が顕著となる。したがって、Si含有量は、0〜0.5%とする。Si含有量が0.4%を超えると、Si含有により強度が増大する効果がほぼ飽和するとともに、赤スケールの発生が目立つようになる。このため、Siを含有する場合は、Si含有量は、好ましくは、0.4%以下とする。

0053

Cu:0〜2.0%
銅(Cu)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、Cuは、鋼の強度と耐候性とを高める。しかし、Cu含有量が2.0%を超えると、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は、2.0%以下とする。鋼の強度および耐候性は、Cu含有量を、0.2%以上にすると顕著に向上するが、この効果は、Cu含有量が1.5%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Cuを含有する場合は、Cu含有量は、好ましくは、0.2〜1.5%とする。

0054

Nb:0〜0.05%
ニオブ(Nb)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、鋼の強度を高める。しかし、Nb含有量が0.05%を超えると、靱性の低下が無視できなくなる。したがって、Nb含有量は、0〜0.05%とする。Nbは、0.005%以上含有させることにより、鋼の強度を顕著に上昇させるが、この効果は、Nb含有量が0.03%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Nbを含有する場合は、Nb含有量は、好ましくは、0.005〜0.03%とする。

0055

Cr:0〜0.1%、Mo:0〜0.1%
クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)は、いずれも任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、これらの元素は、いずれも、鋼の焼入れ性を高め、また、鋼の強度および靭性を向上させる。しかし、これらの元素のそれぞれの含有量が0.1%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Cr含有量は、0〜0.1%とし、Mo含有量は、0〜0.1%とする。Cr含有量およびMo含有量は、それぞれ0.01%以上で、鋼の強度および靱性が顕著に上昇するが、この効果は、Cr含有量およびMo含有量が、それぞれ0.05%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Crを含有させる場合、Cr含有量は、好ましくは、0.01〜0.05%であり、Moを含有させる場合、Mo含有量は、好ましくは、0.01〜0.05%である。

0056

本発明の連続鋳造鋳片の化学組成は、さらに、上記式(1)を満たす。これにより、割れの起点となる(Ti、Nb)(C、N)等の粒界析出物の生成、および粒界脆化を引き起こすSの粒界偏析を抑制でき、表面割れを抑制できる。

0057

鋳片の化学組成が、上記式(1)に代えて上記式(2)を満たすと、割れ指数をさらに低減できる。すなわち、表面割れをさらに抑制するためには、鋳片の化学組成は、上記式(1)に代えて上記式(2)を満たすことが好ましい。

0058

[連続鋳造鋳片の製造方法]
上述のように、本発明の連続鋳造鋳片の製造方法は、本発明の連続鋳造鋳片の化学組成に対応する化学組成を有する溶鋼を用いて、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機で、連続鋳造鋳片を製造する方法である。この製造方法により、Al含有量が微量で、表面割れが抑制された連続鋳造鋳片を製造することができる。

0059

この製造方法では、前記鋳片を矯正する際、前記鋳片の矯正点での表面温度を850〜1000℃とすることが好ましい。これにより、矯正点で表面割れおよび内部割れが発生することを抑制できる。ただし、溶鋼の化学組成が式(2)を満たすと、鋳片の矯正点での表面温度が850℃未満であっても、矯正点で表面割れが発生することを抑制し得る。

0060

5点矯正型の垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、連続鋳造試験を行い、スラブ鋳片を製造した。連続鋳造機は、幅2300mm、厚み300mmのキャビティが形成された鋳型を備えたものであった。鋳造速度は、0.65〜1.0m/minとし、二次冷却の水量は、0.7〜0.9L/kg−steelとした。

0061

表2に、連続鋳造試験に使用した溶鋼の化学組成、矯正点での鋳片表面温度(表2に、「矯正温度」と記す。)、および鋳片の割れ指数を示す。化学組成で、表2に示すものの残部はFeおよび不純物からなる。表2には、[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)で定義されるA値と、[Ni(%)]×[S(%)]で定義されるB値とを、併せて示している。

0062

0063

本発明例1〜8の鋳片の化学組成は、A値≧0.1×B値、すなわち、上記式(1)を満たすが、比較例1〜5の鋳片は、A値≧0.1×B値を満たさない。本発明例1〜3の鋳片の化学組成は、A値≧0.1×B値+0.0002、すなわち、上記式(2)も満たす。

0064

鋳片の表面温度は、非接触型放射温度計を用いて、鋳片の矯正部近傍において鋳片引抜方向下流側の面上(凹湾曲面側)の幅中央部で測定した。

0065

得られた鋳片について、表面割れの発生状況を評価した。評価は、鋳片の上面と下面とに対して、それぞれ、研削厚を1.0mmずつとして、グラインダー研削を行った後に、カラーチェックを実施することにより行った。割れが見られた場合は、割れがなくなるまで手動グラインダーで研削し、その深さを測定した。ただし、観察された割れの個数が多い場合は、カラーチェック実施後、その面の全面に対して、研削厚をさらに2.0mmとしてグラインダー研削を行い、研削厚を計3.0mmとした後、再びカラーチェックを実施し、割れ状況を観察した。

0066

鋳片表面の割れの発生状況は、割れ指数として0〜3の4段階で評価した。割れ指数0は、カラーチェックの結果、割れが観察されなかったことを意味する。割れ指数1は、割れが、表面から2.0mm未満の深さに存在し、手入れによって容易に除去できる軽度なレベルであったことを意味する。割れ指数2は、割れが、表面から4.0mm未満の深さに存在し、除去には重度の手入れが必要なレベルであったことを意味する。割れ指数3は、割れが表面から4mm以上の深さにまで存在し、除去には重度の手入れが必要であり、かつ歩留まりの大幅な低下を招くレベルであったことを意味する。

0067

比較例1および2の鋳片は、割れ指数が2であり、重度の横ひび割れが発生していた。割れは、鋳片のコーナーから200mm以内の位置に散見された。これらの鋳片について、割れ部の詳細な調査を行ったところ、割れは旧オーステナイト粒界に沿って発生しており、旧オーステナイト粒界上には、粒界偏析したSと粒析出物とが多数存在した。一方、Bの偏析はほとんどなかった。

0068

比較例3および4の鋳片は、割れ指数が3であり、重度の横ひび割れが発生していた。割れはコーナー近傍を中心として幅方向全域で発生していた。

実施例

0069

本発明例1〜8の鋳片では、表面割れは皆無または軽度であった。溶鋼の化学組成が式(2)を満たす本発明例1〜3では、矯正温度によらず、割れ指数は0であった。溶鋼の化学組成が式(2)を満たさない(ただし、式(1)は満たす)本発明例の鋳片でも、850℃以上の矯正温度で矯正を行った本発明例4,5の鋳片は、割れ指数が0であった。

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