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技術 船舶推進装置

出願人 株式会社カレントダイナミックス
発明者 南繁行森和彦
出願日 2014年12月2日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2014-244150
公開日 2016年6月20日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-107665
状態 特許登録済
技術分野 船舶の推進 ガスタービン、高圧・高速燃焼室 ジエット推進設備 スパークプラグ
主要キーワード スチームエンジン 可燃流体 回転駆動型 棒状金属 満水センサ 気化ガソリン 爆発室 船舶航
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図面 (9)

課題

主要な駆動機構摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、水質汚染騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な船舶推進装置を提供する。

解決手段

ノズル3から噴射水31を噴射した反作用により推進力Aを発生させる船舶推進装置10であって、船体喫水線B以下に配設される筒状容器でなる本体燃焼室1と、本体燃焼室1の後端に開口する噴射口2と、本体燃焼室1の前端に配設されて流入のみ可能な逆止弁4と、本体燃焼室1が逆止弁4を介して注入された充填水Wにより規定量まで満たされた後、酸素および可燃流体を含む可燃ガス13を、本体燃焼室1の少なくとも点火位置9を覆うように圧入する可燃ガス圧入部5と、点火位置9を覆う可燃ガス13に放電着火可能な点火器6と、可燃ガス圧入部5および点火器6を規定のシーケンスで機能させる制御部8と、を備えた。

概要

背景

従来、大量のパワーロスがあったスチームエンジンから、現在のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンのようなレシプロエンジンまで、パワー直線運動回転運動に変換することにより得ている。ただし、この方法では、レシプロエンジンであれば、ピストンシリンダ部の接触抵抗及び各部の回転抵抗等のように、変換効率の違いはあれパワーロスを発生するのが現状である。

また、化石燃料を使用するレシプロエンジンでは、排気による大気汚染だけでなく排出されるオイルによる水中汚染までも引き起こしている。しかも使用する化石燃料は、残り少ない高価なものであるにも関わらず、大量に使用せざるを得ないのが実情である。

船舶に前記レシプロエンジンを使用する発明として、特許文献1がある。この特許文献1の段落[0002]には、「従来の船舶は、空気を燃料と混合した可燃ガスシリンダ内燃焼させて駆動力を発生させる」旨の記載がある。

一方、スクリューを不要にしながら、推進力を発生する船舶推進装置として、接触抵抗及び回転抵抗を無くしパワーロスを削減するとともに、二酸化炭素の排出量及び残り少ない化石燃料の使用量削減を図った船舶用エンジンが知られている。具体的には、中央部にウォーターボトルを配置し、その前方上部に逆止弁を介して爆発室を設け、前方下部に逆止弁を介してインジェクションポートを配し、ウォーターボトルに漏電感知装置を、前記爆発室に混合ガス注入口を有する点火室付設するというものである(特許文献2)。

また、船舶を浅瀬でも航行させることができ、しかも故障しにくく、さらに小形化することのできる船舶推進機関も知られている。具体的には、液体水素を液体水素噴射管から燃焼室噴射させるとともに液体酸素を液体酸素噴射管から燃焼室に噴射させ燃焼室で液体水素と液体酸素を接触させて着火して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器の液体水素噴射管に液体水素を供給し液体酸素噴射管に液体酸素を供給する推進剤供給系とを備えているというものである(特許文献3)。

概要

主要な駆動機構摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、水質汚染騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な船舶推進装置を提供する。ノズル3から噴射水31を噴射した反作用により推進力Aを発生させる船舶推進装置10であって、船体喫水線B以下に配設される筒状容器でなる本体燃焼室1と、本体燃焼室1の後端に開口する噴射口2と、本体燃焼室1の前端に配設されて流入のみ可能な逆止弁4と、本体燃焼室1が逆止弁4を介して注入された充填水Wにより規定量まで満たされた後、酸素および可燃流体を含む可燃ガス13を、本体燃焼室1の少なくとも点火位置9を覆うように圧入する可燃ガス圧入部5と、点火位置9を覆う可燃ガス13に放電着火可能な点火器6と、可燃ガス圧入部5および点火器6を規定のシーケンスで機能させる制御部8と、を備えた。

目的

本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ノズルから噴射水噴射した反作用により推進力を発生させる船舶推進装置であって、船体喫水線以下に配設される筒状容器でなる本体燃焼室と、該本体燃焼室の後端に開口する噴射口と、前記本体燃焼室の前端に配設されて流入のみ可能な逆止弁と、前記本体燃焼室が前記逆止弁を介して注入された充填水により規定量まで満たされた後、酸素および可燃流体を含む可燃ガスを、本体燃焼室の少なくとも点火位置を覆うように圧入する可燃ガス圧入部と、前記点火位置を覆う前記可燃ガスに放電着火可能な点火器と、前記可燃ガス圧入部および前記点火器を規定のシーケンスで機能させる制御部と、を備えたことを特徴とする船舶推進装置。

請求項2

前記点火器は、前記点火位置に露出された少なくとも1対の電極絶縁支持する絶縁体沿面放電させることが可能な高電圧印加する高電圧印加手段に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶推進装置。

請求項3

前記本体燃焼室が前記逆止弁を介して注入された充填水で満たされたことを検出する満水検知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶推進装置。

請求項4

前記点火器は、前記可燃ガスの圧入が終わる前に前記放電着火することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項5

前記高電圧印加手段は、直流電源と、該直流電源によって充電可能なコンデンサと、該コンデンサに充電された電荷を前記点火器へ供給される放電電流開閉する点火スイッチと、を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項6

前記コンデンサへの充電電流を開閉する充電スイッチを備え、少なくとも前記点火スイッチが閉じられる期間だけは前記充電スイッチを開くように、前記制御部がタイミング制御することを特徴とする請求項5に記載の船舶推進装置。

請求項7

前記可燃流体は、水素プロパンガスブタンガス天然ガスアセチレンガスガソリンおよびアルコールのうち少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項8

前記可燃ガスは、常温液体液体燃料気化器により気化して供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項9

船舶航路の水質が、海水淡水かあるいはその他の混濁水かの違いによる電気抵抗の変化に応じて、前記点火器に印加する放電電圧を適宜切り替えて安定確実な沿面放電を確保することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項10

前記本体燃焼室に連通する内部空間を有するとともに他から抜きん出た高い位置に副燃焼室付設し、該副燃焼室に前記点火器を配設し、前記点火位置がたとえ前記充填水に浸漬する場合においても、点火可能にしたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

請求項11

前記燃料は水素であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の船舶推進装置。

技術分野

0001

本発明は、船舶推進装置に関し、より詳細には、回転駆動型原動機動力伝達用推進軸およびスクリューを不要にしながら、推進力を制御可能に連続発生する船舶推進装置に関する。

背景技術

0002

従来、大量のパワーロスがあったスチームエンジンから、現在のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンのようなレシプロエンジンまで、パワー直線運動回転運動に変換することにより得ている。ただし、この方法では、レシプロエンジンであれば、ピストンシリンダ部の接触抵抗及び各部の回転抵抗等のように、変換効率の違いはあれパワーロスを発生するのが現状である。

0003

また、化石燃料を使用するレシプロエンジンでは、排気による大気汚染だけでなく排出されるオイルによる水中汚染までも引き起こしている。しかも使用する化石燃料は、残り少ない高価なものであるにも関わらず、大量に使用せざるを得ないのが実情である。

0004

船舶に前記レシプロエンジンを使用する発明として、特許文献1がある。この特許文献1の段落[0002]には、「従来の船舶は、空気を燃料と混合した可燃ガスシリンダ内燃焼させて駆動力を発生させる」旨の記載がある。

0005

一方、スクリューを不要にしながら、推進力を発生する船舶推進装置として、接触抵抗及び回転抵抗を無くしパワーロスを削減するとともに、二酸化炭素の排出量及び残り少ない化石燃料の使用量削減を図った船舶用エンジンが知られている。具体的には、中央部にウォーターボトルを配置し、その前方上部に逆止弁を介して爆発室を設け、前方下部に逆止弁を介してインジェクションポートを配し、ウォーターボトルに漏電感知装置を、前記爆発室に混合ガス注入口を有する点火室付設するというものである(特許文献2)。

0006

また、船舶を浅瀬でも航行させることができ、しかも故障しにくく、さらに小形化することのできる船舶推進機関も知られている。具体的には、液体水素を液体水素噴射管から燃焼室噴射させるとともに液体酸素を液体酸素噴射管から燃焼室に噴射させ燃焼室で液体水素と液体酸素を接触させて着火して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器の液体水素噴射管に液体水素を供給し液体酸素噴射管に液体酸素を供給する推進剤供給系とを備えているというものである(特許文献3)。

先行技術

0007

特開2007−69791号公報
特開2010−52503号公報
特開平8−150998号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1に記載のように、従来のレシプロガスタービン等の内燃機関には大気水質汚染騒音等が発生するという問題がある。また、特許文献2に記載の船舶用エンジンの場合は、点火容器が水面上にあるため、騒音の発生が避けられないばかりか、逆止弁が2つ必要であり、構造を簡素化する等の改善余地があった。

0009

また、特許文献3に記載の船舶推進機関の場合は、超低温に保存中の液体酸素と液体水素を燃料とするため、安定的な混合推進のためにバルブ操作の調整を始めとする取り扱いが困難であるという欠点もあり、特殊用途以外の船舶には普及実用も困難であるという問題があった。

0010

本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、主要な駆動機構摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、水質汚染や騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な船舶推進装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ノズル(3)から噴射水(31)を噴射した反作用により推進力(A)を発生させる船舶推進装置(10,20)であって、船体喫水線(B)以下に配設される筒状容器でなる本体燃焼室(1,1a)と、該本体燃焼室(1,1a)の後端に開口する噴射口(2)と、前記本体燃焼室(1,1a)の前端に配設されて流入のみ可能な逆止弁(4)と、前記本体燃焼室(1,1a)が前記逆止弁(4)を介して注入された充填水(W)により規定量まで満たされた後、酸素および可燃流体を含む可燃ガス(13)を、本体燃焼室(1,1a)の少なくとも点火位置(9)を覆うように圧入する可燃ガス圧入部(5)と、前記点火位置(9)を覆う前記可燃ガス(13)に放電着火可能な点火器(6)と、前記可燃ガス圧入部(5)および前記点火器(6)を規定のシーケンスで機能させる制御部(8)と、を備えたことを特徴とする。

0012

また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記点火器(6)は、前記点火位置(9)に露出された少なくとも1対の電極(61,62)を絶縁支持する絶縁体(63)に沿面放電ないし気中放電させることが可能な高電圧印加する高電圧印加手段(60)に接続されていることを特徴とする。

0013

また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記本体燃焼室(1,1a)が前記逆止弁(4)を介して注入された充填水(W)で満たされたことを検出する満水検知手段(65)を備えたことを特徴とする。

0014

また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記点火器(6)は、前記可燃ガス(13)の圧入が終わる前に前記放電着火することを特徴とする。

0015

また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記高電圧印加手段(60)は、直流電源と、該直流電源によって充電可能なコンデンサ(C)と、該コンデンサ(C)に充電された電荷を前記点火器(6)へ供給される放電電流開閉する点火スイッチ(SW1)と、を備えたことを特徴とする。

0016

また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記コンデンサ(C)への充電電流を開閉する充電スイッチ(SW2)を備え、少なくとも前記点火スイッチ(SW1)が閉じられる期間だけは前記充電スイッチ(SW2)を開くように、前記制御部(8)がタイミング制御することを特徴とする。

0017

また、請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記可燃流体は、水素プロパンガスブタンガス天然ガスアセチレンガスガソリンおよびアルコールのうち少なくとも何れかを含むことを特徴とする。

0018

また、請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記可燃ガス(13)は、常温液体液体燃料(12)を気化器(59)により気化して供給することを特徴とする。

0019

また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、船舶航路の水質が、海水淡水かあるいはその他の混濁水かの違いによる電気抵抗の変化に応じて、前記点火器(6)に印加する放電電圧を適宜切り替えて安定確実な沿面放電を確保することを特徴とする。

0020

また、請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記本体燃焼室(1a)に連通する内部空間を有するとともに他から抜きん出た高い位置に副燃焼室(21)を付設し、該副燃焼室(21)に前記点火器(6)を配設し、前記点火位置(9)がたとえ前記充填水(W)によって浸漬する場合においても、点火可能にしたことを特徴とする。

0021

また、請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の船舶推進装置(10,20)において、前記燃料は水素であることを特徴とする。

発明の効果

0022

本発明によれば、主要な駆動機構に摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、水質汚染や騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な船舶推進装置を提供することが可能である。

図面の簡単な説明

0023

本発明の実施例1に係る船舶推進装置(以下、「本装置」ともいう)の概略を示す一部断面図である。
本装置で用いる点火器および支援装置の説明図であり、(a)は点火器を透視した拡大斜視図および高電圧印加手段の説明図、(b)は本装置における放電着火の状態を説明するための模式図、(c)はコンデンサを用いた高電圧印加手段の回路図および点火器の断面図、(d)は点火スイッチSW1および充電スイッチSW2の開閉動作についてのタイムチャートである。
本装置の運転中における各工程を説明するための断面図であり、(a)満水待機工程、(b)可燃ガス圧入工程、(c)点火工程、(d)膨張噴射工程、(e)燃焼完了工程、(f)注水工程を示す。
実施例1,2に係る本装置の動作タイミングを説明するためのタイムチャート(グラフ含む)であり、(a)空気圧弁開信号、(b)可燃ガス圧入弁開信号、(c)点火スイッチON信号、(d)可燃ガスの注入速度、(e)点火器への印加電圧、(f)ノズル出口噴射速度を示す。
本発明の実施例2に係る本装置の概略を示す一部断面図である。
図5に示した本装置の運転中における各工程を説明するための断面図であり、(a)満水待機工程、(b)可燃ガス圧入工程、(c)点火工程、(d)膨張噴射工程、(e)燃焼完了工程、(f)注水工程を示す。
実施例2に係る本装置の動作タイミングを制御する制御信号のタイムチャートであり、(a)空気圧入弁開信号、(b)可燃ガス圧入弁開信号、(c)点火スイッチを閉じるタイミング信号、(d)充電スイッチを開くタイミング信号を示す。
図2(c)の高電圧印加手段の変形例の一次側回路のみを示す要部回路図である。

0024

以下、図1図4を参照して実施例1に係る船舶推進装置(本装置)について説明する。
図1は、本装置の概略を示す一部断面図である。本装置10は、不図示の船体の喫水線B以下に配設された本体燃焼室1と、その本体燃焼室1の各所に、噴射口2と、ノズル3と、逆止弁4と、可燃ガス圧入部5と、点火器6と、燃料供給部7と、制御部8と、を備えて構成されている。

0025

本体燃焼室1は、鋼鉄製の筒状容器であり、内部で燃焼(爆発)した燃焼ガス15(図3(d),(e))が高速度で膨張する衝撃および高熱に耐えられるだけの剛性耐熱性とを有する。この本体燃焼室1の後部には、噴射口2が開口している。この噴射口2から本体燃焼室1の内外を連通する漏斗型の噴射ノズル3が後方に延設されている。噴射ノズル3は、本体燃焼室1に充填された充填水Wが、噴射口2を通じて後方へ噴射される流れを整えることによりにより、前方への推進力Aを強化する機能を有する。なお、噴射口2および噴射ノズル3の経路に、不図示の逆止弁等の機能を具備することにより、後方への噴射水31のみを通し、外部の水Waが本体燃焼室1の内側へ吸い込まれる方向には閉弁するようにしても良い。

0026

本体燃焼室1には、前方に逆止弁4が配設され、前方かつ上方に可燃ガス圧入部5が配設され、前後方向の中間で上方に点火器6が配設されている。逆止弁4は、本体燃焼室1の容積に対して短時間(例えば、5秒以内)で満水にすることが可能な流量を確保されている。
なお、逆止弁4は本体燃焼室1と外部の水Waとの圧力差受動的に弁の開閉動作を行うばかりでなく、制御部8の制御信号に基づく適切なタイミングで能動的に開閉動作するシャッタ(不図示)を採用しても構わない。

0027

可燃ガス圧入部5は、空気圧入弁51と、圧縮空気供給管52と、可燃ガス圧入弁53と、可燃ガス供給管54と、を備えて構成されている。空気圧入弁51は、圧縮空気供給管52から供給される圧縮空気を適切なタイミング(図4(a))で本体燃焼室1に圧入する。可燃ガス圧入弁53は、可燃ガス供給管54から供給される可燃ガス13を適切なタイミング(図4(b))で本体燃焼室1に圧入する。可燃ガス圧入部5は、制御部8の命令により、圧縮空気と、可燃ガス13と、を着火容易な混合比率加減し、適切なタイミングで本体燃焼室1に圧入する。

0028

圧縮空気供給管52は、圧縮機55および圧縮空気タンク56に接続されている。なお、圧縮空気タンク56に代えて不図示の酸素ボンベおよび圧力調整器等を接続すれば、本装置10を高出力化することも可能である。

0029

可燃ガス供給管54は、ガスボンベ57および圧力調整器58に接続されている。ガスの種類は水素、プロパンガス、ブタンガス、天然ガス、アセチレンガス等、着火温度が低く、安価、安全で調達容易な種類から選択することが可能である。あるいは、周知のガソリンエンジンの気化器と同等の気化器59を用いて揮発性の液体燃料12を気化し、それで得られた可燃ガス13を圧縮する圧縮機55を、可燃ガス供給管54に接続すれば、ガソリンやアルコールを燃料に用いることも可能である。なお、可燃ガス供給管54には、ガスボンベ57、気化器59および液体燃料12の全てを接続し、不図示の選択弁により適宜選択可能にしても良いが、実際には、一種類の燃料系があれば足りる。

0030

可燃ガス圧入部5は、本体燃焼室1が満水状態図3(a)に示す満水待機工程)の充填水Wを、本体燃焼室1の容積に対する所定割合(例えば、15%)だけ、短時間(例えば、1秒以内)で置換排除しながら、圧縮空気(又は酸素)および可燃ガス13を圧入可能に、各弁の開閉タイミングを設定されている。

0031

図2は、本装置で用いる点火器および支援装置の説明図であり、図2(a)は点火器を透視した拡大斜視図および高電圧印加手段の説明図、図2(b)は本装置における放電着火の状態を説明するための模式図、図2(c)はコンデンサを用いた高電圧印加手段の回路図および点火器の断面図、図2(d)は点火スイッチSW1および充電スイッチSW2の開閉動作についてのタイムチャートである。図2(a)に示すように、点火器6は、棒状金属の第1電極61と、第1電極61の中心軸に対する外周側を取り囲むように同軸配設された筒状の第2電極62と、これら第1電極61および第2電極62(以下、「両電極61,62」または、単に「電極61,62」ともいう)の間に充填されて両電極61,62を絶縁保持しながら支持結合する絶縁体63と、を備えて構成されている。

0032

点火器6は、点火位置9に露出された少なくとも1対の電極61,62を絶縁支持する絶縁体63に沿面放電させることが可能な高電圧を印加する高電圧印加手段60に接続されている。高電圧印加手段60は、高電圧電源64および点火スイッチSW1を具備し、適切なタイミングで、両電極61,62間に高電圧を印加する。点火タイミングについては、図3(c)点火工程、図4(c)点火スイッチON信号83、および図4(e)点火器への印加電圧の波形、その他を参照しながら後述する。

0033

図2(b)に示すように、点火器6は、充填水Wに水没又は浸漬された状態であっても、両電極61,62の点火位置9に約100Jのエネルギーを加えれば、プラズマ状態導電性ガスを伴う沿面放電を発生させる。このとき、点火位置9を覆う可燃ガス13があれば(図3(c)参照)、可燃ガス13に放電着火して着火炎14を発生させる。可燃ガス13は、本体燃焼室1が充填水Wで規定量まで満たされた後、可燃ガス圧入部5が、空気(酸素)および可燃流体を適切な比率で混合し、本体燃焼室1の少なくとも点火位置9を覆うように圧入する(図1参照)。

0034

図2(c)に示すように、高電圧印加手段60は、直流電源Eと、充電電流を制限するための抵抗Rと、コンデンサCと、高電圧発生用の昇圧トランスTと、点火スイッチSW1(以下、単にSW1と略す)と、充電スイッチSW2(以下、単にSW2と略す)と、を備えて構成されている。なお、E,R,Cの符号は、各部材を特定する符号であるとともに、各物理定数としての直流電圧値E、抵抗値R、容量値Cの意味も兼用する符号である。

0035

ここで、直流電源Eは、抵抗RとSW2とを直列に介挿して充電用のコンデンサCを直流電圧Eに充電することが可能に接続されている。制御部8から出力される充電スイッチOFF信号84がHiのタイミングでSW2が閉じているとき、コンデンサCの容量と電圧Eに比例した電荷Q=CVがコンデンサCに充電される。すなわち、容量値Cと直流電圧値Eとにそれぞれ比例する電荷量Qが、抵抗値Rと容量値Cで定められる時定数τ(不図示)に基づく時間でコンデンサCに充電される。このようにコンデンサCが充電された後、制御部8から出力される点火スイッチON信号83(図4(c))によりSW1を閉じて昇圧トランスTの一次側コイルに電荷量Qのエネルギーを入力することで、二次側から1万V〜5万Vの電圧を出力する。その結果、昇圧トランスTより出力される1万V〜5万Vの電圧が両電極61,62間に印加(図4(e))されることにより、点火位置9で沿面放電する。

0036

なお、直流電圧値E=300Vとする直流電源Eの供給手段については、図示を省略するが、直流12V又は24Vのバッテリ電圧DC−DCコンバータで昇圧して供給する。また、船舶航路の天候気温気圧湿度、水質、その他の環境要因の違いによる放電現象の変化に応じて、点火器6に印加する放電電圧を適宜切り替えて安定確実な放電を確保する。放電電圧の切り替えは、DC−DCコンバータの昇圧レベルを加減して行う。

0037

コンデンサCに充電された電荷Qは、SW1を短時間で開閉することにより、昇圧トランスTの一次側コイルに点火パルスとして入力される。点火パルスは、一次側と二次側の巻き線比に応じて昇圧され、二次側コイルから高電圧パルスとして出力される。なお、コンデンサCからスイッチSW2および昇圧トランスTの一次側の回路において、抵抗Rに加えた他の素子に含まれる不図示の直流抵抗成分により、適切に電流制限される。また、スパイク状の点火パルスは電流変化が大きいので、その電流変化を妨げるように、トランスTのInductance成分が作用して誘導起電力を発生する。

0038

図2(d)に示すように、SW1がONするときは、SW2が必ず開いているように、制御部8がタイミング設定するように、点火スイッチON信号83と、充電スイッチOFF信号84と、を出力する。もし、タイミング設定が狂ってSW1とSW2が同時に閉じた場合、300Vの直流電源Eから昇圧トランスTへ、不必要な直流電流が流れて電力の無駄になるばかりか、昇圧トランスTを焼損する危険性もある。したがって、SW1とSW2は同時に閉じないように設定されている。また、直流電流が、昇圧トランスTへ継続的に入力されても、直流電流の立ち上がり時と立ち下がり時以外には、昇圧トランスTから出力を得ることができない。

0039

なお、図2(c)に示した回路は一例に過ぎず、水中でも着火可能にする高エネルギー電圧パルスを得る目的であれば、他の回路でも構わない。例えば、図8に示して後述する高電圧印加手段の変形例のように回路構成しても構わない。

0040

制御部8は、不図示のマイクロコンピュータコンピュータプログラム等を用いたシーケンサ又は時系列パルス発生器等を備え、規定のシーケンス制御機能を有している。この制御部8によって、各信号間に所定の遅延時間を設定された制御信号が生成させる。その制御部8から出力される制御信号が、規定のタイミングで、各部を制御している。

0041

なお、制御部8によるシーケンス制御機能については、図7を用いて後述するが、シーケンス制御機能の概略は以下のとおりである。すなわち、本体燃焼室1に逆止弁4を介して注入された充填水Wが規定量まで満たされた後、可燃ガス圧入部5が本体燃焼室1へ可燃ガス13を規定量だけ圧入し、圧入された可燃ガス13に点火器6が点火する。点火タイミングは、制御部8が出力する点火スイッチON信号83(図4(c)、図7(c))により決定される。

0042

また、満水検知手段65は、点火器6を満水センサとして兼用し、両電極61,62が水没状態か否かを、両電極61,62間の電気抵抗又は静電容量の変化に基づいて検出し、検出結果を制御部8へ入力するようにしても良い。あるいは専用の満水センサを最適位置に配設しても構わない。なお、満水検知の機能は、効率的な推進のための機能だけでなく、安全機能も兼ね備えることが考えられる。すなわち、上等において、万が一の誤操作等により推進機が運転されようとしても、満水検知されない限り点火が阻止されるので、周囲に迷惑な騒音の発生を防止することも可能になる。

0043

点火器6における沿面放電について、より詳細に説明する。従来から周知のガソリンエンジンの点火プラグは液体燃料の過剰供給、あるいは、エンジン吸気混入する水しぶき等の原因により電極間ギャップ濡れると電気火花の発生が阻害され、失火エンジン出力低下、およびエンジン停止等の害が知られていた。また、電極間のギャップを乾燥状態に維持できない水中あるいは半ば水中における可燃ガスへのスパーク点火は無理だと考えられていた。

0044

そこで、本装置10の点火器6は、従来の空間(ギャップ)放電でなく沿面放電を採用している。まず、テフロン(R)を材料とする絶縁体63を挟持する第1電極61と第2電極62の間に高電圧印加手段60からある程度の高電圧が印加された場合を例示する。このとき、テフロン(R)表面における微粉末等の汚損物質付着層による両電極61,62間の僅かな漏洩電流によるジュール熱により、点火位置9付近のテフロン(R)で構成される絶縁体63が蒸発してプラズマ化した気体となり、沿面放電が生起する。更なる印加された高電圧大電流によって、圧入された可燃性ガス13に点火するに十分な高温エネルギーが、両電極61,62間に空洞を形成することによって、可燃性ガス13が空気・酸素と反応し、急激に膨張する。なお、実施例1では、約100J(ジュール)のエネルギーを点火器6に付与することで、点火位置9付近の絶縁体63が濡れていても失火しないという所望の効果が得られた。

0045

また、本装置10の点火器6において、点火位置9付近の絶縁体63に沿面放電が発生する他の動作原理として、上述したテフロン(R)等で構成された絶縁体63の点火位置9付近が、純水でない充填水(不純物混濁液)Wや汚染物皮膜により濡れていた場合を例示する。このとき、空気や純水よりも導電率の高い不純物混濁液による充填水Wは、比較的容易にプラズマ化する。その結果、点火位置9付近の絶縁体63が濡れていても、沿面放電(図1図3(c)点火工程)し、可燃ガス13を爆発的な高速で燃焼する(図3(d)膨張噴射工程)。つまり、点火位置9を水中でも放電点火させることが可能であり、失火し難いという所望の効果が得られた。

0046

なお、船舶の航路が、海水か淡水かあるいはその他の混濁水かの違いによる電気抵抗の変化に応じて、点火器6の両電極61,62間における放電電圧を適宜切り替えて安定確実な放電を確保することが好ましい。例えば、海水を標準電圧として、淡水ならば2倍の高電圧に切り替えることにより、失火を避けることが可能である。

0047

図3は、図1に示した本装置の運転中における各工程を説明するための断面図であり、(a)満水待機工程、(b)可燃ガス圧入工程、(c)点火工程、(d)膨張噴射工程、(e)燃焼完了工程、(f)注水工程を示す。ここで、図3(f)から説明する。まず、図3(f)注水工程に示すように、本体燃焼室1が逆止弁4を順方向に通過して注入された充填水Wで規定量まで満たされた結果、図3(a)の満水待機工程となる。つぎに、図3(b)の可燃ガス圧入工程では、可燃ガス圧入部5が、制御部8の命令により、圧縮空気と、可燃流体と、を着火容易かつ燃焼容易な混合比率に加減し、適切なタイミングで本体燃焼室1に圧入する。可燃ガス圧入部5は、可燃ガス13を、本体燃焼室1の少なくとも点火位置9を覆うまで圧入する。

0048

なお、可燃ガス供給管54および可燃ガス圧入弁53から供給される可燃ガス(可燃流体)は、気化ガソリン等のほか、空気(酸素)が混合される以前の生ガス、例えば水素やプロパンガスである場合も含まれる。一方、点火位置9を覆う可燃ガス13は、最適比率で空気(酸素)が混合されている。いずれの場合でも、本明細書では可燃ガスと呼ぶ。

0049

図3(c)の点火工程では、点火器6が、制御部8のシーケンス制御による点火タイミングで、両電極61,62間の点火位置9に沿面放電を発生させる。その結果、着火炎14が急激に拡大膨張し、図3(d)の膨張噴射工程を経て、図3(e)の燃焼完了工程に至る。図3(c)の点火工程において、本体燃焼室1の容積に対する所定割合(例えば、15%)だけ占めていた可燃ガスが、図3(e)の燃焼完了工程では、瞬時に本体燃焼室1の容積全体を占有するまでに充填水Wを置換排除する。

0050

図3(d)膨張噴射工程および図3(e)の燃焼完了工程に示すように、本体燃焼室1に残された充填水Wは、本体燃焼室1の容積に対して100%以上の体積に膨張する燃焼ガス15で置換排除される。置換排除された充填水Wは、噴射口2を通じて噴射ノズル3により後ろ向きに整えられた噴射水31となって後方へ強く噴射される。その噴射の反動により、本体燃焼室1は前向きに強力な推進力Aを発生する。このような流体噴射の反動による推進力は、ロケットで知られているとおりである。つまり、本装置10は、スクリュー、タービン又は回転駆動軸といった回転部分を不要とする簡素な構成にもかかわらず、強力な推進力Aを発生させることが可能である。

0051

図3(e)の燃焼完了工程では、充填水Wの100%が、高温高圧の燃焼ガス15により置換排除される。その後、図3(f)注水工程に示すように、本体燃焼室1の内部に残存する燃焼ガス15が常温まで冷却収縮することによって、真空に近い低圧部分Vを生じる。その結果、図3(f)の注水工程において、比較的大口径の逆止弁4の弁作用による外から内向きに流入する充填水16と、噴射口2から僅かながらも流入する外部の水Waと、により本体燃焼室1の内容積の大部分を、例えば、数秒以下の短時間で満水させる。なお、図3(a)満水待機工程において、図とは異なるが、本体燃焼室1の内部に多少の残渣ガス等の気体が残存した状態で、つぎの可燃ガス圧入工程へと進んでも構わない。

0052

図4は、実施例1,2に係る本装置の動作タイミングを説明するためのタイムチャート(グラフ含む)であり、(a)〜(f)各図ともに横軸は時間(s)である。図4(a)〜図4(c)の縦軸は、制御信号のHigh/Lowのレベルを示しており、実施例1ないし実施例2における一連の動作を制御するために制御部8で生成される制御信号を例示している。すなわち、図4(a)は空気圧入弁開信号81、図4(b)は可燃ガス圧入弁開信号82、図4(c)点火スイッチON信号83である。

0053

図4(d)〜(f)は、各図別に縦軸が異なり、図4(d)は可燃ガスの注入速度(m3/s)、図4(e)は点火器6への印加電圧(kV)、図4(f)はノズル出口の噴射速度(m3/s)を例示している。図4(d)〜(f)は、図3(a)〜(e)に示した各工程における現象を定量的にグラフ表示している。

0054

図4(d)可燃ガスの注入速度(m3/s)は、図3(a)満水待機工程から、図3(b)可燃ガス圧入工程を経て、図3(c)点火工程に至るまでの期間において、緩慢な注入速度で注入開始する。この可燃ガス13は、時間とともに注入速度を増加させ、注入速度がピークを過ぎた時点で急減して注入停止する。図4(d),(e)に示すように可燃ガス13の注入速度がピークを過ぎ容器1を必要十分に満たした時点で点火される。

0055

図4(e)に示すように、点火器6への印加電圧(kV)は、瞬時に立ち上がって急峻に下がる鋸歯状の1波、又は不図示であるが上下する複数パルスである。なお、本装置10において、鋸歯状の1波のみで点火器6に沿面放電させて可燃ガス13に着火する旨を図示しているのは、説明を簡素にした一例に過ぎない。失火のない確実な着火を目的として、不図示の連続パルスによる沿面放電を採用しても構わない。

0056

図4(f)に示すノズル出口の噴射速度(m3/s)は、図3(c)点火工程から図3(d)膨張噴射工程を経て図3(e)膨張行程に至るまでの期間における噴射水31の流れを定量的にグラフ表示している。図4(e)および図4(f)のグラフにおいて、点火から僅かに遅れて可燃ガス13に着火した直後、本体燃焼室1内部で急膨張した燃焼ガス15により、充填水Wが置換排水される。置換排水された充填水Wは、ノズル3から噴射水31となって噴射される。噴射水31は、噴射速度が瞬時に立ち上がった後、漸減しながら静止するよう推移する。

0057

なお、図4(a)空気圧入弁開信号81、すなわち空気導入タイミングと、図4(b)可燃ガス圧入弁開信号82、すなわち燃料導入タイミングと、は同時でなくてもよい。また、図4(c)点火スイッチON信号83のタイミングも含め、後述する実施例2において、本体燃焼室1a(図5)の大きさ、燃料の種類を考慮して最適設定を開示する。

0058

噴射水31は、本装置10の後部に位置するノズル3から後方へと噴射される。その後方へ噴射する反作用により、本装置10は前向きの推進力Aが得られる。なお、本装置10は、1つの船舶に対して複数を備えた多気筒構成することが好ましい。本装置10を多気筒構成し、膨張工程を始めとする動作タイミングをずらすことにより、脈動を少なくして滑らかに連続する推進力を得ることが可能である。

0059

本発明の実施例1に係る本装置10は、ピストン、クランクシャフト回転軸およびスクリュー等が不要であるほか、爆発音を伴う本体燃焼室1が船舶の喫水線B以下(水面下)に位置する。したがって、主要な駆動機構に摩擦する箇所が少なく、簡素な構造であり、潤滑油漏洩するような水質汚染や騒音の発生が少なく、しかも、失火によるエンジン停止も少なく、取り扱いが容易な船舶推進装置を提供することが可能である。

0060

以下、図5図7を参照して本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1も含めた各図にわたり、同一効果の部材や信号等については同一符号を付して説明を省略し、主に実施例1と実施例2との相違点について説明する。また、実施例2の本装置20は、実施例1の本装置10について、本体燃焼室1の形状を改良するとともに、図4を用いて説明した動作タイミングを図7に示すように最適化したものである。

0061

図5は、本発明の実施例2に係る船舶推進装置(本装置)20の概略を示す断面図である。図5に示すように、本装置20は、本体燃焼室1aが、直径D=50mm、長さL=500mmの筒状容器であり、基本的形状は実施例1で示した本装置10の本体燃焼室1と大差なく、動作原理もほぼ同じである。しかし、最大の相違点として、本装置20には副燃焼室21が配設されている点がある。その副燃焼室21は、内部空間が本体燃焼室1aに連通するとともに、他から抜きん出た高い位置に付設されている。この副燃焼室21に点火器6が配設されている。この点火器6の点火位置9も高い位置であるため、充填水Wに水没することを免れ易い。なお、図1および図5に示したように、点火器6へは防水した給電線によって点火エネルギー伝送されるので、点火位置9が水面下にあるかどうかは一連の点火・推進の機能に影響しない。

0062

図6は、図5に示した本装置20の運転中における各工程を説明するための断面図であり、(a)満水待機工程、(b)可燃ガス圧入工程、(c)点火工程、(d)膨張噴射工程、(e)燃焼完了工程、(f)注水工程を示す。これら各工程および動作原理も実施例1で示した本装置10と大差なく、制御部8のシーケンス制御も基本的にほぼ同じである。しかし、本装置20の相違点は、副燃焼室21の付設された本体燃焼室1aの形状・寸法を特定した点に加えて、燃料を水素に特化しているため、空気と可燃ガスを圧入する弁の開閉タイミングおよび点火のタイミングを最適化した点である。

0063

燃料に水素を採用した本装置20は、最適の運転を目指して以下の好適な条件を見出した。まず、図6(b)可燃ガス圧入工程では、空気圧5気圧、水素ガス5気圧を副燃焼室21に圧入する。その際、空気圧入弁51と、可燃ガス圧入弁53と、それぞれの開弁時間を約0.1秒に設定した。つぎに、図6(c)点火工程では、副燃焼室21に空気と燃料が満たされつつあるタイミングで、両電極61,62間に放電可能な高電圧・高エネルギーのパルス電圧を印加して空気と水素が混合された可燃ガス13に点火する。このとき、点火器6は、可燃ガス13の圧入が終わる前に放電着火する。

0064

図7は、実施例2に係る本装置20の動作タイミングを制御する制御信号のタイムチャートであり、(a)空気圧入弁開信号81、(b)可燃ガス圧入弁開信号82、(c)点火スイッチON信号83、(d)充電スイッチOFF信号84を示す。

0065

図7に示した制御信号を構成するそれぞれのパルスは、制御部8のシーケンス制御を実現するために具備されたタイミング生成用の時系列パルス発生器(不図示)により、各パルス間に設定される遅延時間を制御しながら発生される。点火に際しては、高電圧印加手段60において、容量8μF〜10,000μFのコンデンサCを約300Vに充電し、昇圧トランスTの一次側コイルにそのエネルギーを入力することで、二次側から1万V〜5万Vの電圧を出力する。その結果、昇圧トランスTより出力される1万V〜5万Vの電圧が両電極61,62間に印加されることにより、点火位置9で沿面放電する。

0066

図8は、図2(c)の高電圧印加手段の変形例の一次側回路のみを示す要部回路図である。なお、一次側回路とは、コンデンサCに充電されたエネルギーを、昇圧トランスTの一次側コイルに入力する回路であり、点火SW1が閉じられることによって、コンデンサCから昇圧トランスTへとエネルギーが転送される。図8の回路が、図2(c)の回路に対して異なる点は、点火SW1とコンデンサCとの配置が入れ替わったことである。しかし、点火SW1および充電SW2の機能に変わりなく、図2(d)に示すタイミングで開閉動作も行う。なお、抵抗Rを高めの抵抗値に設定することにより、図8の回路における充電SW2を省略して常時ONにしても構わない。

0067

実施例2の本装置20では、推進点火を始める前、すなわち、機関起動前において、容器1a内部の点火器6の両電極61,62間は、水により濡れている場合が多い。そのため、実施例1の本装置10と同じく大きな点火エネルギーにより、沿面放電で可燃ガス13を点火する必要がある。しかし、一旦点火し、着火および燃焼すれば、この両電極61,62前の副燃焼室21の空間は、圧入した空気中の成分である乾燥窒素主体とした未燃焼残渣で満たされる。したがって、両電極61,62間は乾いている。そのため、必要な点火エネルギーを実施例1の場合よりも小さくすることが可能になる。つまり、乾いた両電極61,62間は、沿面放電モードに依らず、両電極61,62間の直接の気体間放電モードとなり、少エネルギーでの直接点火が繰り返されることとなる。

0068

副燃焼室21の機能等については以下のとおりである。まず、図6(b)に示すように、本装置20の起動時における副燃焼室21の内容は、空気圧入弁51を通して導入された空気と、可燃ガス供給弁54を通して導入された燃料の水素である。また、図6(a)に示すように、2回目以降の点火燃焼における副燃焼室21の内容は、空気と燃料との燃焼反応で生じた残渣ガス16による気体層で占められる。副燃焼室21の天井には、点火器6の両電極61,62が、絶縁体63を介する至近距離で露出し、点火位置9を形成している。このように、副燃焼室21の天井に露出するように配設された点火位置9は、喫水線B直下の水圧均衡する残渣ガス16で覆われている。したがって、点火位置9は、海水等、外部の水Waが押し寄せても、気体層が安定して保持されるので水没せず、濡れることも少ない。

0069

その結果、淡水や海水等、外部の水Waで本体燃焼室1aが満たされたときであっても、点火器6の前面の点火位置9は、水濡れを防止するための機構を追加して設ける必要もなく、常に気体層を保持し、乾燥状態を維持し易い。この気体層を両電極61,62間の点火位置9に保持することで、より低電力で沿面放電できることが明らかになった。なお、副燃焼室21が水中にあるか空気中にあるかは、この副燃焼室21と沿面放電の容易さに対して無関係である。ただし、副燃焼室21を水中に配設することによって、放電時に発生するアーク放電および爆発の騒音を低減できるという利点がある。

実施例

0070

以上説明したように、本発明によれば、主要な駆動機構に摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、潤滑油の漏洩による水質汚染や騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な船舶推進装置10,20を提供することが可能である。さらに、燃料として水素を用いる実施例2の本装置20によれば、燃焼した結果、発生する排気成分水蒸気のみであるため、大気・水質汚染は皆無である。また、実施例2の本装置20は、実施例1の本装置10に無かった副燃焼室21が高い位置にあるため、この副燃焼室21を喫水線B以下に常時水没させる設定にすることにより、アーク放電音や爆発音等による騒音の発生も低く抑えられる。

0071

本発明に係る船体推進装置は、航路の水質が海水か淡水か、水深が深いか浅いか、あるいは船舶の大小や用途を問わず、各種の船舶に用いられる可能性がある。特に、スクリューが不要である点で、浅い水深の航路に好適な利用可能性がある。

0072

1,1a 本体燃焼室、2噴射口、3ノズル、4逆止弁、5可燃ガス圧入部、6点火器、7燃料供給部、8 制御部、9点火位置、10,20船舶推進装置(本装置)、12液体燃料、13 可燃ガス、14着火炎、15燃焼ガス、16残渣ガス、21副燃焼室、22満水センサ、31噴射水、51空気圧入弁、52圧縮空気供給管、53 可燃ガス圧入弁、54可燃ガス供給管、55圧縮機、56圧縮空気タンク、57ガスボンベ、57h水素ボンベ、58圧力調整器、59気化器、60高電圧印加手段、61 第1電極、62 第2電極、63絶縁体、64高電圧電源、65満水検知手段、81点火スイッチON信号、82充電スイッチOFF信号、A推進力、B (船体の)喫水線、Cコンデンサ、L昇圧トランス、E直流電源、R抵抗、SW1 点火スイッチ、SW2 充電スイッチ、V低圧部分、W充填水、Wa 外部の水

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