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技術 ケーブル保持構造

出願人 NTN株式会社
発明者 太向真也田村四郎
出願日 2014年12月2日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2014-243916
公開日 2016年6月20日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-107659
状態 特許登録済
技術分野 車両用電気・流体回路 車両の推進装置の配置または取付け 屋内配線の据付
主要キーワード テーパ状孔 外方空間 ケーブル孔 小径寸法 内空領域 ダイレクトモータ ケーブル保持構造 動力ケーブル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

ケーブルを固定する箇所でケーブルが曲げ疲労によって破損することを防止するケーブル保持構造を提供する。

解決手段

ケーブル保持構造は、車体側メンバからインホイールモータ駆動装置まで延びるケーブル(26)と、ケーブルの一部領域を保持し、一端を自由端(71m)とし他端を固定端(71n)としてケーブルとともに曲げ変形する弾性部材(71)と、インホイールモータ駆動装置に設けられて弾性部材の固定端を固定する固定部(51)とを備える。弾性部材は、テーパ穴(74)を有し、固定端から自由端に近づくほど曲げ変形し易く構成される。

概要

背景

乗用自動車のうち、電気モータおよび内燃機関エンジン)で車輪を駆動するハイブリッド車両や、電気モータのみで車輪を駆動する電気自動車等の電動車両が知られている。電動車両の車輪の内空領域に配置され、当該車輪を駆動するインホイールモータとして例えば特開2013−112003号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1には、サスペンション装置を介して車体にインホイールモータを取り付け、車体から延びる3本の動力ケーブルおよび1本のセンサケーブルをインホイールモータの端子ボックスに接続する。車体およびサスペンション装置には係止部材がそれぞれ設けられている。そして、各ケーブル長手方向の一部を係止部材で係止するというものである。

概要

ケーブルを固定する箇所でケーブルが曲げ疲労によって破損することを防止するケーブル保持構造を提供する。ケーブル保持構造は、車体側メンバからインホイールモータ駆動装置まで延びるケーブル(26)と、ケーブルの一部領域を保持し、一端を自由端(71m)とし他端を固定端(71n)としてケーブルとともに曲げ変形する弾性部材(71)と、インホイールモータ駆動装置に設けられて弾性部材の固定端を固定する固定部(51)とを備える。弾性部材は、テーパ穴(74)を有し、固定端から自由端に近づくほど曲げ変形し易く構成される。

目的

本発明は、上述の実情に鑑み、インホイールモータ駆動装置と接続するケーブルにおいて、ケーブルに付与される曲げ応力緩和する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

車体側メンバから、前記車体側メンバに相対移動可能に取り付けられたインホイールモータ駆動装置まで延びるケーブルと、前記ケーブルの一部領域を保持し、一端を自由端とし他端を固定端として前記ケーブルとともに曲げ変形する弾性部材と、前記車体側メンバおよび前記インホイールモータ駆動装置のいずれか一方に設けられて前記弾性部材の前記固定端を固定する固定部とを備え、前記弾性部材は、前記固定端から前記自由端に近づくほど曲げ変形し易く構成される、ケーブル保持構造

請求項2

前記弾性部材は、前記固定端から前記自由端に向かうほど細くなる先細形状にされる、請求項1に記載のケーブル保持構造。

請求項3

前記弾性部材は、前記固定端から前記自由端に向かうほど細くなる先細形状の穴を有する、請求項1に記載のケーブル保持構造。

請求項4

前記弾性部材は、前記ケーブルが通されるケーブル孔を有し、前記ケーブル孔の孔壁面で前記ケーブルの外周面を保持する、請求項1〜3のいずれかに記載のケーブル保持構造。

請求項5

前記弾性部材は、前記ケーブル孔の孔壁面から前記弾性部材の表面まで延びるスリットを有する、請求項4に記載のケーブル保持構造。

請求項6

前記ケーブルの長手方向中間領域および前記弾性部材の自由端を収容する可撓性の保護チューブをさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載のケーブル保持構造。

請求項7

前記保護チューブはコルゲートチューブであり、前記弾性部材の表面には前記コルゲートチューブの凹凸形状と嵌合する凹凸表面が形成される、請求項6に記載のケーブル保持構造。

技術分野

0001

本発明は、乗用自動車車輪内部に配置され、当該車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置に関し、特に車体側からインホイールモータ駆動装置まで延びるケーブルを保持する構造に関する。

背景技術

0002

乗用自動車のうち、電気モータおよび内燃機関エンジン)で車輪を駆動するハイブリッド車両や、電気モータのみで車輪を駆動する電気自動車等の電動車両が知られている。電動車両の車輪の内空領域に配置され、当該車輪を駆動するインホイールモータとして例えば特開2013−112003号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1には、サスペンション装置を介して車体にインホイールモータを取り付け、車体から延びる3本の動力ケーブルおよび1本のセンサケーブルをインホイールモータの端子ボックスに接続する。車体およびサスペンション装置には係止部材がそれぞれ設けられている。そして、各ケーブルの長手方向の一部を係止部材で係止するというものである。

先行技術

0003

特開2013−112003号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1の技術によれば、ケーブルの途中部分がサスペンション装置に係止することから、電動車両の走行中にケーブルの途中部分が不用意に大きく動くことを防止できる。しかしケーブルの一部を固定して、ケーブル全体の動きを抑制する場合、以下の懸念が生じることを本発明者は見いだした。つまりインホイールモータは、サスペンション装置の揺動によって上下方向に移動する。また転舵輪を駆動するインホイールモータにあっては、転舵軸線回りに移動する。このためインホイールモータに移動に伴いケーブルは屈伸する。そうするとケーブル固定箇所でケーブルが集中して曲げ伸ばしされ、当該ケーブル固定箇所でケーブルが曲げ疲労によって破損する懸念がある。

0005

特にケーブルをインホイールモータに接続固定した箇所では、小さな曲率半径でケーブルが屈伸し、曲げ応力がケーブルの当該一箇所に集中して付与される懸念がある。またケーブルを車体パネルに接続固定した箇所でも、曲げ応力がケーブルの当該箇所に集中に付与される懸念がある。

0006

本発明は、上述の実情に鑑み、インホイールモータ駆動装置と接続するケーブルにおいて、ケーブルに付与される曲げ応力を緩和する技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

この目的のため本発明によるケーブル保持構造は、車体側メンバから、この車体側メンバに相対移動可能に取り付けられたインホイールモータ駆動装置まで延びるケーブルと、ケーブルの一部領域を保持し、一端を自由端とし他端を固定端としてケーブルとともに曲げ変形する弾性部材と、車体側メンバおよびインホイールモータ駆動装置のいずれか一方に設けられて弾性部材の固定端を固定する固定部とを備え、弾性部材は固定端から自由端に近づくほど曲げ変形し易く構成される。

0008

かかる本発明によれば、弾性部材に保持されるケーブル一部領域のうち自由端寄りの部分が大きな曲率半径で曲がる。したがってケーブルが特定の一箇所において小さな曲率半径で曲げ伸ばしされることがなく、ケーブルの曲げ疲労による破損を防止できる。なお車体側メンバとは、説明される部材からみて車体側に取り付けられる部材をいう。例えばインホイールモータ駆動装置からみて、サスペンション装置および車体が車体側メンバである。

0009

一実施形態として弾性部材は、固定端から自由端に向かうほど細くなる先細形状にされるとよい。先細形状の具体的形状は特に限定されないが、例えばテーパである。かかる実施形態によれば、固定端から離れるほど、弾性部材は薄肉にされて曲げ変形し易くなる。

0010

あるいは他の実施形態として例えば弾性部材は、固定端から自由端に向かうほど細くなる先細形状の穴を有するとよい。先細形状の穴の具体的形状は特に限定されないが、例えばテーパ穴である。かかる実施形態によれば、固定端から離れるほど、弾性部材は薄肉にされて曲げ変形し易くなる。

0011

弾性部材はケーブルを保持すればよく、その構成は特に限定されない。本発明の一実施形態として、弾性部材はケーブルが通されるケーブル孔を有し、ケーブル孔の孔壁面でケーブルの外周面を保持する。かかる実施形態によれば、ケーブルを確りと保持し、しかも弾性部材の弾性力によってケーブルを保護することができる。本発明の他の実施形態として、バンドクランプ部材等を使用してケーブルを弾性部材に保持してもよい。また弾性部材は、1本のケーブルを保持するものであってもよいが、好ましくは複数本のケーブルを保持するものであるとよく、1本のケーブル孔に複数本のケーブルを通してもよいが、好ましい実施形態として弾性部材は各ケーブルに対応するケーブル孔を複数有するとよい。

0012

弾性部材の構成は特に限定されないが、本発明の一実施形態として、弾性部材はケーブル孔の孔壁面から弾性部材の表面まで延びるスリットを有する。かかる実施形態によればケーブルを配線する作業において、スリットを一時的に押し広げてケーブルの途中部分をケーブル孔に押し込むことができ、ケーブル配線の作業が容易になる。

0013

より好ましい実施形態としてケーブルの長手方向中間領域および弾性部材の自由端を収容する可撓性の保護チューブをさらに備える。かかる実施形態によればケーブルおよび弾性部材を、小石泥水飛来から保護することができる。

0014

保護チューブは、例えば凹凸を繰り返す形状にされて小石の衝突に対して凹まない程度の剛性を有する構造にされるか、あるいは小石の衝突エネルギーを吸収する材料で形成されるとよいが、いずれにせよ適度な可撓性を有すればよく、保護チューブの形状および材料は特に限定されない。また保護チューブは車体側メンバおよび/またはインホイールモータ駆動装置に固定されるとよい。例えば保護チューブの端部を上述した固定部に固定してもよい。本発明の好ましい実施形態として保護チューブはコルゲートチューブであり、弾性部材の表面にはコルゲートチューブの凹凸形状と嵌合する凹凸表面が形成される。かかる実施形態によれば、保護チューブの端部を確りと弾性部材に取り付けることができ、ケーブル全体を保護チューブおよび弾性部材で覆うことができる。

発明の効果

0015

このように本発明によれば、ケーブルが屈伸する際に曲率半径を大きくして、ケーブルに作用する曲げ応力を小さくすることができる。したがってケーブルの耐久性が向上し、電動車両の足回りメンテナンス頻度を少なくすることができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の一実施形態になるケーブル保持構造を示す全体図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。
図1中のインホイールモータ駆動装置を示す図であり、車両後方からみた状態を表す。
同実施形態のケーブル保持構造を示す全体平面図である。
図3中の保護チューブを断面にして示す説明図である。
固定部および弾性部材を取り出し、弾性部材の軸方向にみた状態を示す正面図である。
図5中にVIで表される断面における縦断面図である。
弾性部材を取り出し、動力線信号線、およびブリーザホースとともに示す斜視図である。
弾性部材を取り出し、動力線および信号線とともに示す平面図である。
弾性部材を軸方向にみた状態を示す正面図である。
弾性部材を軸方向にみた状態を示す背面図である。
図10中にXIで表される断面における縦断面図である。
本発明の他の実施形態を示す平面図である。
他の実施形態になる弾性部材のみを取り出し、軸方向からみた状態を示す正面図である。
図13中にXIVで表される断面における縦断面図である。

実施例

0017

以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になるケーブル保持構造を示す図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。図2は、同実施形態を示す図であり、車両後方からみた状態を表す。図3は同実施形態を示す全体平面図である。図4は、図3中の保護チューブを縦断面にして示す説明図である。

0018

まず本実施形態のケーブル保持構造を採用するインホイールモータ駆動装置について説明する。インホイールモータ駆動装置11は、図1および図2に示す電動車両の車輪Wの内部に設けられる。この電動車両は乗用自動車であり、一般的なエンジン自動車と同様に公道を走行可能である。車輪Wは、電動車両の車幅方向両端に配置される左右輪である。また車輪Wは、電動車両の前部に配置される前輪であり、インホイールモータ駆動装置11とともに転舵軸線(キングピン)K回りに転舵する。あるいは電動車両の後部に配置される後輪であってもよい。インホイールモータ駆動装置11は、図2に示すように駆動力を発生させるモータ部11Aと、モータ部11Aの回転を減速して出力する減速部11Bと、減速部11Bからの出力を車輪Wに伝える車輪ハブ軸受部11Cとを備える。モータ部11A、減速部11B、および車輪ハブ軸受部11Cはこの順序で、インホイールモータ駆動装置の軸線Oに沿って同軸に配置される。

0019

図2に示すようにインホイールモータ駆動装置11は、車輪WのロードホイールW1の内空領域に設けられる。車輪ハブ軸受部11Cは車幅方向外側(アウトボード側)に配置され、モータ部11Aは車幅方向内側(インボード側)に配置される。

0020

モータ部11Aは円筒形状のケーシングを有し、減速部11Bはモータ部11Aのアウトボード側でモータ部11Aと同じ外径を有する円筒形状のケーシングを有し、車輪ハブ軸受部11Cは減速部11Bからアウトボード側に向かって先細に形成される円錐台形状の外径の外輪部材12Lを有する。これらケーシングおよび外輪部材12Lはインホイールモータ駆動装置11の外郭をなす非回転部材である。これに対しハブ輪12Mは、外輪部材12Lからアウトボード側に突出する回転部材である。ハブ輪12Mの軸部12Sは外輪部材12Lの中央孔を貫通し、複数の転動体(図示せず)を介して外輪部材12Lに回転自在に支持される。軸部12Sの先端から外径方向に延びる突出部12Fには、図示しない複数のボルトで、仮想線で示す車輪WのロードホイールW1が連結固定される。

0021

モータ部11Aはケーシング内に電気モータを内蔵し、車輪ハブ軸受部11Cのハブ輪12Mを駆動し、あるいはハブ輪12Mの回転を利用して電力回生を行う。減速部11Bはケーシング内に例えばサイクロイド減速機などの減速機構を内蔵し、モータ部11Aの回転を減速してハブ輪12Mに伝達する。なお減速部11Bの下部は、モータ部11Aおよび減速部11Bのケーシングよりもさらに外径側に張り出し、オイル貯留するためのオイルタンク11Rを有する。なお、減速部11Bは遊星歯車減速機、平行二軸減速機などの減速機を採用してもよい。あるいはインホイールモータ駆動装置11は、減速機を採用しない、いわゆるダイレクトモータタイプのインホイールモータ駆動装置であってもよい。

0022

相対的にアウトボード側に位置する車輪ハブ軸受部11Cは、円筒形状のロードホイールW1の内空領域に配置される。これに対し相対的にインボード側に位置するおよびモータ部11Aは、ロードホイールW1の内空領域からインボード側へはみ出す。図1に示すように、ロードホイールW1の内空領域の外に位置するモータ部11Aの外周面には箱状の端子ボックス11Tが附設される。端子ボックス11Tには複数本の動力線26、信号線27、およびブリーザホース28が接続される。

0023

減速部11Bの上部には、図2に示すように減速部11Bのケーシングから上方へ延びるナックルアーム13が設けられている。図1に示すようにナックルアーム13の根元部13lが軸線Oよりも前側(車両前方をいう)に配置され、当該根元部は減速部11Bのケーシングと一体結合する。ナックルアーム13の先端側は、図2に示すように車輪Wの外周縁W2(車輪Wのタイヤ外周縁)を超えて、車輪Wの外径側へ延びる。ナックルアーム13および減速部11Bのケーシングは金属製である。

0024

車輪Wの外径方向に延びるナックルアーム13は、図2に示すようにその根元部13lから中間部13mまで一旦インボード側へ向かって延び、次に中間部13mから先端部13nまでの領域が、アウトボード側へ張り出し、車輪Wとの干渉を回避する。また図1を参照してナックルアーム13は、中間部13mから前側へ延びて、軸線Oを跨ぎ、先端部13nに至る。ナックルアーム13の中間部13mから先端部13nまでの先端領域は、車輪Wの外周縁W2よりも外径側に位置し、車輪Wの外周縁W2と向き合って車両前後方向に延びる。

0025

先端部13nには、ボールジョイントを介して、図示しないステアリング装置タイロッドが連結される。ステアリング装置からインホイールモータ駆動装置11のナックルアーム13に転舵力を入力すると、インホイールモータ駆動装置11は車輪Wとともに、上下方向に延びる転舵軸線Kを中心として、車両の左右方向に転舵する。車輪Wの転舵角が0°のとき、インホイールモータ駆動装置11の軸線Oは図2に示すように車幅方向に延びる。これにより車両は直進走行する。

0026

次に、インホイールモータ駆動装置11を車体に取り付けるサスペンション装置につき説明する。

0027

車輪Wよりも上方に位置するナックルアーム13の中間部13mは、ボールジョイント24を介して、車幅方向に延びるアッパアーム22のアウトボード側と連結する。インホイールモータ駆動装置11のオイルタンク11Rは、ボールジョイント(図略)を介して、車幅方向に延びるロアアーム23のアウトボード側と連結する。アッパアーム22およびロアアーム23のインボード側は図示しない車体フレームと連結する。上方に配置されるアッパアーム22と、下方に配置されるロアアーム23は、ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置のサスペンション部材であり、インボード側端部を基端とし、アウトボード側端部を遊端として、上下方向に揺動可能である。これによりインホイールモータ駆動装置11は車輪Wとともに上下方向にバウンドおよびリバウンド可能とされる。

0028

アッパアーム22のアウトボード側端部に設けられたボールジョイント24とロアアーム23のアウトボード側端部に設けられたボールジョイントを結ぶ仮想直線は、転舵軸線Kを構成する。このようにしてインホイールモータ駆動装置11は、サスペンション装置を介して車体フレームに相対移動可能に取り付けられる。

0029

次にインホイールモータ駆動装置11のケーブル類につき説明する。

0030

本実施形態では、複数本の動力線26と、1本の信号線27と、1本のブリーザホース28を備える。動力線26は、金属製撚り線非導電体被覆した可撓性の電力ケーブルであり、屈曲可能である。動力線26の一端は、図1破線で示すように端子ボックス11Tと接続する。動力線26の他端は図1に断面で示すように、パネル円筒部31によって車体パネル101に固定され、車体に搭載された図示しないインバータ装置と接続する。かかる固定は例えば車体パネル101にパネル円筒部31を貫通させるように固定し、パネル円筒部31の内周面と、動力線26の外周面との隙間にゴム等の詰め物をすることにより行う。本実施形態ではモータ部11Aに三相交流電力(U相、V相、W相)を供給するため、3本の動力線26を備える。

0031

信号線27の一端は、図1に破線で示すように端子ボックス11Tと接続する。信号線27の他端は図1に断面で示すように、パネル円筒部31によって車体パネル101に固定され、車体に搭載された図示しないインバータ装置と接続する。かかる固定はパネル円筒部31の内周面と信号線27の外周面との隙間にゴム等の詰め物をすることにより行う。信号線27は、インホイールモータ駆動装置11に内蔵されるセンサ、例えばモータ回転角センサ温度センサ等、からの信号を車体側へ送信する。また信号線27は、動力線26の金属製撚り線よりも細い金属製撚り線を非導電体で被覆した可撓性の電力ケーブルであり、動力線26よりも小径であることから、動力線26よりも小さい半径で屈曲可能である。また信号線27は、繰り返し屈伸することによる曲げ疲労に関し、動力線26よりも耐久性に優れる。このように動力線26および信号線27は、車体からインホイールモータ駆動装置11まで延びる。

0032

ブリーザホース28は、インホイールモータ駆動装置11の内圧大気圧に近づけるために設けられ、可撓性を有する中空ゴムホースである。またブリーザホース28は、繰り返し屈伸することによる曲げ疲労に関し、信号線27よりも耐久性に優れる。

0033

動力線26、信号線27、およびブリーザホース28(以下、これらをまとめてケーブル類ともいう)は、図1に示すようにインホイールモータ駆動装置11のナックルアーム13に沿って配線される。ケーブル類は、車体パネル101(図3)からナックルアーム13の先端部13nまで架け渡され、さらにナックルアーム13に沿って配線され、端子ボックス11Tに引き込まれる。

0034

ケーブル類は、図4に示すように車体パネル101および先端部13n間で、パネル円筒部31と、保護チューブ41と、弾性部材71と、固定部51との中に順次通され、外方空間から遮断される。またケーブル類は、ナックルアーム13に沿って延びる区間で、図1に示すようにカバー66,67に覆われ、外方空間から遮断される。これによりケーブル類は全長に亘り、飛来する小石等の異物から物理的に保護される。

0035

図5は固定部51および弾性部材71を取り出し、弾性部材71の軸方向にみた状態を示す正面図である。図6は、図5中にVI—VIで表される平面で固定部51および弾性部材71を切断し、断面を矢印方向からみた状態を示す縦断面図であり、発明の理解を容易にするため動力線26、保護チューブ41、およびバンド61とともに示す。図7は弾性部材71を取り出して示す斜視図であり、発明の理解を容易にするため動力線26、信号線27、およびブリーザホース28とともに示す。図8は弾性部材71を取り出して示す平面図であり、発明の理解を容易にするため動力線26および信号線27とともに示す。図9および図10は、弾性部材71をその軸方向にみた状態を示す正面図および背面図である。図11は、図10中にXI—XIで表される平面で弾性部材71を切断し、断面を矢印方向からみた状態を示す縦断面図である。

0036

固定部51は、硬質の金属製のブロックであって、その中央部に両端開口の丸孔52(図6)を有する。丸孔52は略水平に延び、弾性部材71を抱えるように保持する。弾性部材71は丸孔52よりも長い円柱体であり、両端部のうちの一方端を自由端71mとし、他方端を固定端71nとし、固定端71nが固定部51に保持される。また弾性部材71は高分子材料からなり、例えばゴム製であったり、スポンジのような多孔質樹脂製であったりする。このため弾性部材71は、外力を受けると容易に弾性変形し、外力が無くなると容易に原形復帰する。

0037

固定端71nにはフランジ部73が形成される。また弾性部材の固定端71n寄りには、フランジ部72が形成される。固定部51の丸孔52は、互いに軸方向に間隔を空けて形成されるフランジ部72,73間で弾性部材71の固定端71nの外周面に係合する。これにより弾性部材71は丸孔52に抜け止め固定される。弾性部材71は、曲げ変形可能とされる。

0038

固定部51は、図5に示すように丸孔52を2個の半円に分割するように分離可能な基部53および固定具54から構成される。基部53は、上端および下端に突出部55をそれぞれ有し、各突出部55には孔57(図6)が形成される。各孔57には図示しないボルトが通され、かかるボルトはナックルアーム13の先端部13nに設けられた図示しないねじ孔に螺合する。これにより基部53はナックルアーム13に取り付け固定される。基部53および固定具54は、丸孔52よりも上方および下方に、互いに突き合わされる突き合わせ面56をそれぞれ有する。突き合わせ面56は略鉛直面であるが、段差58を含んでもよい。これにより固定具54を基部53に正しい位置で容易に突き合わせることができる。そして固定具54は、ボルト等の適切な手段で、基部53に取付固定される。

0039

弾性部材71には、複数のケーブル孔76,77,78が形成される。各ケーブル孔76,77,78は、円柱状に形成された弾性部材71の軸線と平行に延びる。ケーブル孔76,77,78は、動力線26、信号線27、およびブリーザホース28の外径に対応する内径をそれぞれ有し、これら動力線26、信号線27、およびブリーザホース28がそれぞれ通される。これにより弾性部材71は、各ケーブル孔76,77,78の孔壁面で、ケーブル類の外周面を保持する。

0040

したがって弾性部材71は、自由端71mから固定端71nまで、動力線26、信号線27、およびブリーザホース28に沿って延び、これらケーブル類の一部領域を保持する。ケーブル類が屈伸すると、弾性部材71もケーブル類とともに屈伸するよう曲げ変形する。

0041

インホイールモータ駆動装置11が車体に対し相対移動するのに伴い、ケーブル類は屈伸する。図6に示す弾性部材71の自由端領域71sは曲げ変形可能であり、ケーブル類の一部領域のうち、一端側の自由端領域71sに保持されるケーブル部分は、自由端71mとともに屈伸する。またケーブル類の一部領域のうち、他端側の固定端部71tに保持されるケーブル部分は、固定端71nとともに固定部51に拘束される。

0042

弾性部材71は円柱状の外見を呈するが、自由端71mに、有底のテーパ穴74を有する。このテーパ穴74は、自由端71mから弾性部材71の軸線に沿って固定端71nに向かって延び、固定端71nに近づくほど細くなる先細形状にされる。テーパ穴74の底部74bは、弾性部材71の軸線と直交する円形平坦面であり、フランジ部72と略同じ軸方向位置、あるいはフランジ部72よりも自由端71m寄りに配置される。これにより弾性部材71は、自由端71mを含みケーブル類を保持する自由端領域71sで相対的に弾性変形し易く、固定端71nを含みケーブル類を保持する固定端部71tで相対的に弾性変形し難く構成される。

0043

ケーブル孔76,77,78は図5に示すように、テーパ穴74の底部74bと、弾性部材71の外周表面との間に形成され、周方向に間隔を空けて配置される。このためテーパ穴74のテーパ状孔壁面は、各ケーブル孔76,77,78と交差する。そして各ケーブル孔76,77,78に通されるケーブル類は、弾性部材71の自由端71mによって、テーパ穴74の中に束ねられている。

0044

ここで附言すると、弾性部材71の外径寸法は、自由端71mから固定端71nまで軸方向位置に係わらず一定である。これに対し弾性部材71の中には、自由端71mを含む一方領域にテーパ状のテーパ穴74が形成されるため、軸方向に直角な平面で弾性部材71を切断した断面積は、自由端71mで最も小さく、自由端領域71sで固定端71nに向かうほど大きくなる。

0045

したがって弾性部材71は、自由端領域71sで、固定端71nから自由端71mに近づくほど曲げ変形し易く構成される。

0046

弾性部材71は、図10に示すように複数のスリット75をさらに有する。スリット75は各ケーブル孔76,77,78の孔壁面から弾性部材71の外周表面まで延びる。ケーブル類を図1に示すように配線する際には、各スリット75を一時的に押し広げ、各ケーブル類の途中部分をケーブル孔76,77,78に押し込むとよい。これにより各ケーブル類の端部をケーブル孔76,77,78に通す必要がなく、作業効率が向上する。

0047

保護チューブ41は、車体パネル101からナックルアーム13まで延び、ケーブル類の長手方向中間領域を収容する。保護チューブ41は、可撓性を有する公知のコルゲートチューブであり、樹脂製である。そして保護チューブ41の両端部外周面に図4に示すようにバンド61が巻かれ、保護チューブ41の両端部はパネル円筒部31と弾性部材71にそれぞれ固定される。また弾性部材71の自由端71mと、弾性部材71のうち自由端領域71sも、図6に示すように保護チューブ41に収容される。弾性部材71の外周表面には、図9に示すように保護チューブ41の凹凸に対応する凹凸表面79が設けられ、弾性部材71の軸方向において大径寸法と小径寸法を繰り返す。保護チューブ41の内周面は、図6に示すように弾性部材71の凹凸表面79に嵌合して、抜け止めされる。なお凹凸表面79は、自由端領域71s全体に形成してもよいが、好ましくは図示のように固定端71n寄りに設け、自由端領域71s全体の曲げ変形を阻害しないようにするとよい。あるいは図示はしなかったが、凹凸表面79を設けることなくバンド61のみで保護チューブ41を弾性部材71に固定してもよい。あるいは図示はしなかったが、保護チューブ41を固定部51に固定してもよい。保護チューブ41の端部は図6に示すように、バンド61と凹凸表面79との間に挟まれる。

0048

保護チューブ41は、図3に示すようにスリット42をさらに有する。スリット42は保護チューブ41の全長に亘る。ケーブル類を配線する際には、スリット42を一時的に押し広げ、各ケーブル類の途中部分を保護チューブ41に押し込むとよい。これにより各ケーブル類の端部を保護チューブ41に通す必要がなく、作業効率が向上する。図3では説明の便宜上、保護チューブ41の上側にスリット42が配置されるが、雨水がスリット42に侵入することを防止するために保護チューブ41の下側にスリット42が配置されるとよい。

0049

ところで本実施形態によれば、車体パネル101から車体フレームに相対移動可能に取り付けられたインホイールモータ駆動装置11まで延びる動力線26、信号線27、およびブリーザホース28と、これらケーブル類(動力線26、信号線27、およびブリーザホース28)の一部領域を保持し、一端を自由端71mとし他端を固定端71nとしてケーブル類とともに曲げ変形する弾性部材71と、インホイールモータ駆動装置11のナックルアーム13に設けられて弾性部材71の固定端71nを固定する固定部51とを備え、弾性部材71は、固定端71nから自由端71mに近づくほど曲げ変形し易く構成される。

0050

これによりインホイールモータ駆動装置が相対移動しても、弾性部材71の自由端領域71sに保持されるケーブル部分が全体的に屈伸し、曲げ伸ばしされるケーブル類の曲率半径を大きくすることができる。したがってケーブル類の特定の箇所に屈伸が集中することがなく、ケーブル類の曲げ疲労による破損を防止することができる。

0051

また本実施形態によれば、ケーブル類と直交する平面で弾性部材71を切断する場合における弾性部材71の断面積は、自由端領域71sで相対的に小さな断面積を有し、固定端部71tで相対的に大きな断面積を有するよう形成される。これにより、自由端領域71sに保持されるケーブル部分全体を大きな曲率半径で屈伸させることができる。

0052

次に本発明の他の実施形態を説明する。図12は本発明の他の実施形態を示す平面図であり、弾性部材およびケーブル類を取り出して示す。図13は、他の実施形態を示す正面図であり、弾性部材のみを取り出し、弾性部材の軸方向からみた状態を示す。図14は、図13中にXIV—XIVで表される平面で弾性部材を切断し、断面を矢印方向から状態を示す縦断面図である。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の実施形態では図13に示すように、弾性部材71は固定端71nから自由端71mに向かうほど細くなる先細形状にされる。

0053

先細にされた自由端71mは、弾性部材の軸線と直交する円形の平坦面を構成する。弾性部材71のテーパ外周面71rは、各ケーブル孔76,77,78と交差する。

0054

他の実施形態によれば、固定端71nから自由端71mに向かうほど細くなる先細形状にされることから、ケーブル類と直交する平面で弾性部材71を切断する場合における弾性部材71の断面積は、自由端領域71sで相対的に小さな断面積を有し、固定端部71tで相対的に大きな断面積を有するよう形成される。これにより自由端領域71sに保持させるケーブル部分を全体的に屈伸させることができる。

0055

以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。

0056

この発明になるケーブル保持構造は、電気自動車およびハイブリッド車両等の電動車両において有利に利用される。

0057

11インホイールモータ駆動装置、 11Aモータ部、
11B減速部、 11C車輪ハブ軸受部、
11T端子ボックス、 13ナックルアーム、
13l根元部、 13m 中間部、 13n 先端部、
22アッパアーム、 23ロアアーム、 26動力線、
27信号線、 28ブリーザホース、 31パネル円筒部、
41保護チューブ、 42スリット、 51 固定部、
52丸孔、 53 基部、 54固定具、 58段差、
61バンド、 66,67カバー、 71弾性部材、
71m 自由端、 71n固定端、71s 自由端領域、
71t 固定端部、 71rテーパ外周面、
72,73フランジ部、 74テーパ穴、 74b 底部、
42,75 スリット、 76,77,78ケーブル孔、
79凹凸表面、 101車体パネル、 K転舵軸線、
O軸線、 W車輪、 W1ロードホイール。

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