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技術 圧力作動弁

出願人 株式会社鷺宮製作所
発明者 高田裕正松本昌宏
出願日 2016年2月5日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-021055
公開日 2016年6月16日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-106203
状態 特許登録済
技術分野 安全弁I(リリーフ弁)
主要キーワード チャタリング動作 アクション式 所定変形量 圧力作動弁 スナップアクション式 ダイヤフラム体 締め切り性 弁収容空間
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年6月16日)のものです。
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図面 (12)

課題

ダイヤフラム体チャタリング動作を抑制できる圧力作動弁を提供する。

解決手段

圧力作動弁1は、複数の薄膜金属51が積層されて構成されている。複数の薄膜金属51のそれぞれは、環状平板部53とその内縁連接された山状の突部54とを有している。そして、弁ポート16が、当該弁ポート16に最も近い薄膜金属51の突部54の中央部分Cの移動に応じて開閉され、弁ポート16が閉じられる弁閉時において、弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが反転動作開始位置P1における当該中央部分Cに対応する位置を反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1における当該中央部分C以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されている。

概要

背景

特許文献1に開示された圧力作動弁801は、図11に示すように、弁ポート817の周囲に設けられた弁座部818と、中央が略半球状に形成されて板面に作用する圧力に感応してスナップアクション式(圧力に応じてある変形量までは緩やかに変形し、当該変形量を超えると所定変形量まで一気に変形する態様)に反転動作するばね性を有するダイヤフラム体としての反転板823と、を有している。即ち、反転板823は、ある変形量までは初期形状に戻ろうとする方向のばね定数(正のばね定数)となり、当該変形量を超えると所定変形量に至るまで反転動作方向に変形しようとする方向のばね定数(負のばね定数)となる。この反転板823は、正のばね定数となる範囲内で反転動作しない程度に若干予変形されて弁座部に押しつけられて配置されている。これにより、反転板823のばね性により当該反転板823の中央部分を弁座部818に押しつけて弁締め切り性を確保している。

この圧力作動弁801によれば、反転動作しない程度に若干予変形されて弁座部に押しつけられているため、良好なスナップアクション式の動作を実現でき、開閉状態が確実に素早く切り替わる良好な弁特性を得ることができた。

概要

ダイヤフラム体のチャタリング動作を抑制できる圧力作動弁を提供する。圧力作動弁1は、複数の薄膜金属51が積層されて構成されている。複数の薄膜金属51のそれぞれは、環状平板部53とその内縁連接された山状の突部54とを有している。そして、弁ポート16が、当該弁ポート16に最も近い薄膜金属51の突部54の中央部分Cの移動に応じて開閉され、弁ポート16が閉じられる弁閉時において、弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが反転動作開始位置P1における当該中央部分Cに対応する位置を反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1における当該中央部分C以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されている。

目的

本発明は、ダイヤフラム体のチャタリング動作を抑制できる圧力作動弁を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

弁ハウジングと、前記弁ハウジングと共に弁室区画する、当該弁室内流体圧力により変形するばね性の複数の薄膜金属が積層されて構成されたダイヤフラム体と、前記弁ハウジングに設けられ、前記流体圧力による前記ダイヤフラム体の変形に伴って開閉される弁ポートが形成された弁座部と、を備えた圧力作動弁であって、前記複数の薄膜金属のそれぞれが、環状平板部と当該環状平板部の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向に山状に盛り上がった突部とを有し、単体状態において前記突部全体が初期形状から前記一方向と反対の反転動作方向に向けて所定の反転動作開始位置に至る形状まで変形されたときに当該突部がスナップアクション式の反転動作をするように形成され、前記突部がそれぞれ同一方向を向くようにして互いに積層され、前記ダイヤフラム体が、前記複数の薄膜金属のそれぞれの突部を前記弁ポート側に向けるようにして当該ダイヤフラム体の周縁が前記弁ハウジングに固定され、前記弁ポートが、当該弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央部分の移動に応じて開閉され、前記弁ポートが閉じられる弁閉時において、前記弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央部分が前記反転動作開始位置における当該中央部分に対応する位置を前記反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部の中央部分以外の部分が前記反転動作開始位置における当該中央部分以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されていることを特徴とする圧力作動弁。

請求項2

前記突部が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された複数の構成部分を有し、前記複数の構成部分のそれぞれが、隣接する他の前記構成部分と半径方向の湾曲程度又は前記環状平板部に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力作動弁。

請求項3

前記弁ポートを開閉する弁体と、前記ダイヤフラム体の変形に伴って前記弁ポートが開閉されるように当該ダイヤフラム体と前記弁体とを連結する円柱状の弁棒と、をさらに備え、前記弁棒における前記ダイヤフラム体側の端面の直径が、前記ダイヤフラム体における前記弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央に位置する前記構成部分の直径より小さくされていることを特徴とする請求項2に記載の圧力作動弁。

技術分野

0001

本発明は、流体の圧力によりダイヤフラム体を変形させて弁ポート開閉する構造を有する圧力作動弁に関する。

背景技術

0002

特許文献1に開示された圧力作動弁801は、図11に示すように、弁ポート817の周囲に設けられた弁座部818と、中央が略半球状に形成されて板面に作用する圧力に感応してスナップアクション式(圧力に応じてある変形量までは緩やかに変形し、当該変形量を超えると所定変形量まで一気に変形する態様)に反転動作するばね性を有するダイヤフラム体としての反転板823と、を有している。即ち、反転板823は、ある変形量までは初期形状に戻ろうとする方向のばね定数(正のばね定数)となり、当該変形量を超えると所定変形量に至るまで反転動作方向に変形しようとする方向のばね定数(負のばね定数)となる。この反転板823は、正のばね定数となる範囲内で反転動作しない程度に若干予変形されて弁座部に押しつけられて配置されている。これにより、反転板823のばね性により当該反転板823の中央部分を弁座部818に押しつけて弁締め切り性を確保している。

0003

この圧力作動弁801によれば、反転動作しない程度に若干予変形されて弁座部に押しつけられているため、良好なスナップアクション式の動作を実現でき、開閉状態が確実に素早く切り替わる良好な弁特性を得ることができた。

先行技術

0004

特開2002−71037号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上述した圧力作動弁801では、反転板823がスナップアクション式に反転動作するので、反転板823が反転動作したときに当該反転板823が収容された弁室内流体圧力が急激に低下する。そして、この流体圧力の低下により、反転板823が反転状態から復帰し、この復帰により弁室内の流体圧力が高まって反転板823が再度反転動作し、反転動作及びその復帰動作を繰り返して、流量が短い周期増減を繰り返すチャタリング動作を生じてしまう恐れがあるという問題があった。

0006

そこで、本発明は、ダイヤフラム体のチャタリング動作を抑制できる圧力作動弁を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、ダイヤフラム体の動作について鋭意検討を重ねた結果、単体状態でスナップアクション式の動作をする複数の薄膜金属を積層して構成すること、及び、予め特定の形状に変形(予変形)させておくこと、により、ダイヤフラム体に流体圧力が加わったとき、当該ダイヤフラム体が圧力に応じた変形動作(「スローアクション式の動作」ともいう)をすることを見出し、本発明に至った。

0008

請求項1に記載された発明は、上記課題を解決するために、弁ハウジングと、前記弁ハウジングと共に弁室区画する、当該弁室内の流体圧力により変形するばね性の複数の薄膜金属が積層されて構成されたダイヤフラム体と、前記弁ハウジングに設けられ、前記流体圧力による前記ダイヤフラム体の変形に伴って開閉される弁ポートが形成された弁座部と、を備えた圧力作動弁であって、前記複数の薄膜金属のそれぞれが、環状平板部と当該環状平板部の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向に山状に盛り上がった突部とを有し、単体状態において前記突部全体が初期形状から前記一方向と反対の反転動作方向に向けて所定の反転動作開始位置に至る形状まで変形されたときに当該突部がスナップアクション式の反転動作をするように形成され、前記突部がそれぞれ同一方向を向くようにして互いに積層され、前記ダイヤフラム体が、前記複数の薄膜金属のそれぞれの突部を前記弁ポート側に向けるようにして当該ダイヤフラム体の周縁が前記弁ハウジングに固定され、前記弁ポートが、当該弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央部分の移動に応じて開閉され、前記弁ポートが閉じられる弁閉時において、前記弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央部分が前記反転動作開始位置における当該中央部分に対応する位置を前記反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部の中央部分以外の部分が前記反転動作開始位置における当該中央部分以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されていることを特徴とする圧力作動弁である。

0009

請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記突部が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された複数の構成部分を有し、前記複数の構成部分のそれぞれが、隣接する他の前記構成部分と半径方向の湾曲程度又は前記環状平板部に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されていることを特徴とするものである。

0010

請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記弁ポートを開閉する弁体と、前記ダイヤフラム体の変形に伴って前記弁ポートが開閉されるように当該ダイヤフラム体と前記弁体とを連結する円柱状の弁棒と、をさらに備え、前記弁棒における前記ダイヤフラム体側の端面の直径が、前記ダイヤフラム体における前記弁ポートに最も近い前記薄膜金属の突部の中央に位置する前記構成部分の直径より小さくされていることを特徴とするものである。

0011

第1の参考発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された発明において、前記複数の薄膜金属の間に、非圧縮性流体充填されていることを特徴とするものである。

0012

第2の参考発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された発明において、前記複数の薄膜金属から前記弁ポートに最も近い前記薄膜金属を除いた残りの1つ又は複数の前記薄膜金属のうちの少なくとも1つは、その前記突部の中央に貫通孔が形成されていることを特徴とするものである。

発明の効果

0013

請求項1に記載された発明によれば、ダイヤフラム体を構成する複数の薄膜金属のそれぞれが、環状平板部と当該環状平板部の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向に山状に盛り上がった突部とを有している。複数の薄膜金属のそれぞれが、単体状態において突部全体が初期形状から前記一方向と反対の反転動作方向に向けて所定の反転動作開始位置に至る形状まで変形されたときに当該突部がスナップアクション式の反転動作をするように形成されている。複数の薄膜金属が、それぞれの突部が同一方向を向くようにして互いに積層されている。ダイヤフラム体が、複数の薄膜金属のそれぞれの突部を弁ポート側に向けるようにして当該ダイヤフラム体の周縁が弁ハウジングに固定されている。弁ポートが、当該弁ポートに最も近い薄膜金属の突部の中央部分の移動に応じて開閉される。そして、弁ポートが閉じられる弁閉時において、弁ポートに最も近い薄膜金属の突部の中央部分が反転動作開始位置における当該中央部分に対応する位置を反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部の中央部分以外の部分が反転動作開始位置における当該中央部分以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されている。

0014

このようにしたことから、(i)ダイヤフラム体を構成する複数の薄膜金属のそれぞれが単体状態においてスナップアクション式の動作をし、これら複数の薄膜金属を積層してダイヤフラム体を構成しているので、変形時において薄膜金属間に摺動抵抗が生じ、(ii)さらに、弁ポートの弁閉時において、当該弁ポートに最も近い薄膜金属の突部の中央部分が予め反転動作開始位置を超えて配置されているので、複数の薄膜金属のそれぞれの突部の中央部分が互いに接した状態となり、薄膜金属間に生ずる摺動抵抗がさらに大きくなって、スナップアクション式の動作が抑制される。そのため、複数の薄膜金属のそれぞれにおけるスナップアクション式の動作が抑制されることにより、ダイヤフラム体として流体圧力に応じた変形動作(スローアクション式の動作)となるので、スナップアクション式の動作と比べて、弁室内の急激な圧力変動を抑制でき、チャタリング動作を抑制することができる。

0015

(iii)また、所定の圧力を超えると一気に変形するスナップアクション式の動作を薄膜金属間の摺動抵抗により抑制しているため、ダイヤフラム体が変形されることによって各薄膜金属が単体状態であればスナップアクション式の動作をする程度まで変形された場合においても、ダイヤフラム体自体のばね定数は負の値にならず、当該ばね定数は0又は0に近い正の値となる。そのため、圧力の変化に対して比較的大きい変形量を得ることができる。そのため、流体圧力の変化量が小さくてもダイヤフラム体が大きく変形するので、弁開時において比較的大きな流量を確保することができる。

0016

請求項2に記載された発明によれば、ダイヤフラム体を構成する複数の薄膜金属の突部が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された複数の構成部分を有し、これら複数の構成部分のそれぞれが、隣接する他の構成部分と半径方向の湾曲程度又は環状平板部に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されている。このようにしたことから、例えば、全体が滑らかに連続して湾曲された半球形状の突部などに比べて、各構成部分について、それらが湾曲した形状であれば湾曲程度を、又は、それらが一方向(例えば半径方向)について平らであれば環状平板部に対する傾斜程度を、それぞれ別個に調整することができ、これにより、複数の構成部分からなる突部の変形特性についてより幅広い範囲で調整することができる。そのため、所望の変形特性のダイヤフラム体を容易に得ることができる。

0017

請求項3に記載された発明によれば、弁ポートを開閉する弁体と、ダイヤフラム体の変形に伴って弁ポートが開閉されるように当該ダイヤフラム体と弁体とを連結する円柱状の弁棒と、をさらに備えている。そして、弁棒におけるダイヤフラム体側の端面の直径が、ダイヤフラム体における弁ポートに最も近い薄膜金属の突部の中央に位置する構成部分の直径より小さくされている。このようにしたことから、薄膜金属の突部の中央に位置する構成部分は剛性が低く変形しやすいので、当該構成部分が他の薄膜金属に接しやすく、そのため、摩擦抵抗を大きくできる。これにより、スナップアクション式の動作をさらに抑制して、流体圧力に応じた変形動作(スローアクション式の動作)とすることができる。

0018

第1の参考発明に記載された発明によれば、複数の薄膜金属の間に、非圧縮性流体が充填されている。このようにしたことから、積層された薄膜金属間に微少な空間が存在していたとしても、1つの薄膜金属の変形が、非圧縮性流体を介して隣接する他の薄膜金属に伝わるので、流体圧力に対する弁開閉反応性を高めることができ、そのため、微少な圧力変化に対しても比較的大きな変形量を得ることができる。

0019

第2の参考発明に記載された発明によれば、ダイヤフラム体を構成する複数の薄膜金属から弁ポートに最も近い薄膜金属を除いた残りの1つ又は複数の薄膜金属のうちの少なくとも1つは、その突部の中央に貫通孔が形成されている。このようにしたことから、当該貫通孔の形状、大きさ、又は、貫通孔を設ける薄膜金属の数などを変えることにより、ダイヤフラム体の変形特性についてより幅広い範囲で調整することができる。そのため、所望の変形特性のダイヤフラム体を容易に得ることができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態の圧力作動弁の縦断面図である。
図1のダイヤフラム体の構成を示す断面図である。
(a)は図2のダイヤフラム体を構成する薄膜金属の斜視図であり、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。
図2のダイヤフラム体を構成する薄膜金属が単体状態にある場合において圧力が加えられたときの突部の変形状態を模式的に示す図であり、(a)は突部が初期位置にある初期状態を示す図であり、(b)は突部全体が反転動作開始位置にある状態を示す図であり、(c)は突部が反転位置にある状態を示す図である。
図2のダイヤフラム体の予変形及び変形動作について模式的に示す図であり、(a)は弁閉時の状態を示す図であり、(b)は突部全体が概ね反転動作開始位置にある状態を示す図であり、(c)は突部が反転位置にある状態を示す図である。
ダイヤフラム体に加わる流体圧力と弁棒の移動量の移動量との関係を模式的に示すグラフである。
図2のダイヤフラム体の変形例の構成を示す断面図である(弁ポートに最も近い薄膜金属を除いた他の薄膜金属の突部の中央に貫通孔が設けられている構成)。
(a)は図3の薄膜金属の第1の変形例の構成を示す断面図であり(凹に湾曲した第2構成部分を有する構成)、(b)は図3の薄膜金属の第2の変形例の構成を示す断面図であり(凸に湾曲した第2構成部分を有する構成)、(c)は図3の薄膜金属の第3の変形例の構成を示す断面図であり(全体が滑らかに連続して湾曲された半球形状の突部を有する構成)、(d)は図3の薄膜金属の第4の変形例の構成を示す断面図である(3つの構成部分を有する構成)。
単体状態の薄膜金属における流体圧力に対する変形量(突部の中央部分の移動量)の関係を示すグラフである。
ダイヤフラム体に加わる流体圧力に対する弁棒の移動量の関係を示すグラフである。
従来の圧力作動弁の縦断面図である。

実施例

0021

以下に、本発明の一実施形態に係る圧力作動弁を、図1図6を参照して説明する。

0022

図1は、本発明の実施形態の圧力作動弁の縦断面図である。図2は、図1のダイヤフラム体の構成を示す断面図である。図3(a)は図2のダイヤフラム体を構成する薄膜金属の斜視図であり、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。図4は、図2のダイヤフラム体を構成する薄膜金属が単体状態にある場合において圧力が加えられたときの突部の変形状態を模式的に示す図であり、(a)は突部が初期位置にある初期状態を示す図であり、(b)は突部全体が反転動作開始位置にある状態を示す図であり、(c)は突部が反転位置にある状態を示す図である。図5は、図2のダイヤフラム体の予変形及び変形動作について模式的に示す図であり、(a)は弁閉時の状態を示す図であり、(b)は突部全体が概ね反転動作開始位置にある状態を示す図であり、(c)は突部が反転位置にある状態を示す図である。図6は、薄膜金属に加わる流体圧力と当該薄膜金属の突部の中央部分の移動量との関係を模式的に示すグラフである。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図1における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。

0023

図1に示すように、圧力作動弁1は、弁ハウジング10と、弁部材30と、コイルばね40と、ダイヤフラム体50と、ストッパ60と、を備えている。

0024

弁ハウジング10は、本体部11と、キャップ部20と、を備えている。

0025

本体部11は、例えば、真鍮ステンレスなどの金属を用いて略円柱状に形成されており、一次側継手接続孔12と、二次側継手接続孔13と、弁収容空間14と、一次側ポート15と、弁ポート16と、ばね室17と、連通路18と、弁座部19と、を備えている。

0026

一次側継手接続孔12は、本体部11の周面を穿いて形成されている。二次側継手接続孔13は、本体部11の図中下側の端面を穿いて形成されている。弁収容空間14は、本体部11の図中上側の端面から本体部11内に伸びる円柱状の空間となるように形成されている。一次側ポート15は、一次側継手接続孔12と弁収容空間14の図中下部とを連通するように形成されている。弁ポート16は、二次側継手接続孔13と弁収容空間14の図中下部とを連通するように形成されている。二次側継手接続孔13と弁収容空間14と弁ポート16とは、本体部11と同軸になるように配置されている。本体部11における弁ポート16の周囲の部分は、後述する弁部材30のボール弁32が離座着座される弁座部19として機能する。ばね室17は、弁収容空間14を囲むようにして当該弁収容空間14と同軸に配置され、本体部11の図中上側の端面から本体部11内に伸びる略円筒状の空間となるように形成されている。換言すると、ばね室17は、弁収容空間14のまわりにリング状の深溝として形成されている。連通路18は、上記一次側ポート15とばね室17とを連通するように形成されている。

0027

一次側継手接続孔12には入口継手12aが取り付けられ、入口継手12aは一次側ポート15を介して弁収容空間14に連通されている。また、二次側継手接続孔13には出口継手13aが取り付けられ、二次側ポートとしての出口継手13aの弁ポート16側の開口端は弁ポート16を介して弁収容空間14に連通されている。これにより、入口継手12aから本体部11内に流入した流体は、一次側ポート15、弁収容空間14、弁ポート16を順次通り、出口継手13aから流出される。また、一次側ポート15は連通路18を介してばね室17に連通されている。これにより、入口継手12aから流入した流体は一次側ポート15、連通路18を順次通り、ばね室17に流入する。

0028

キャップ部20は、例えば、ステンレスなどの金属で構成されており、略円筒状の周壁部21と、周壁部21の図中上端に一体に形成されたフランジ部22と、を備えている。周壁部21は、弁ハウジング10の外径と略同一の径の円筒状(リング状)に形成されており、その図中下端が本体部11の図中上端部にろう付けにより固定して取り付けられている。キャップ部20は、後述するダイヤフラム体50がフランジ部22に重ねて配置されることで、ダイヤフラム体50とともに密閉空間である圧力室23を区画し、この圧力室23は本体部11の弁収容空間14と連なって弁室25を構成する。

0029

弁部材30は、それぞれステンレスなどの金属からなる弁棒31と、弁体としてのボール弁32と、ばね受け33と、を有している。弁棒31は、外径が弁ハウジング10の弁収容空間14の内径と略同一の円柱状に形成されている。弁棒31は、弁収容空間14に図中上下方向(即ち、本体部の軸方向)に摺動移動可能に収容されている。弁棒31の図中上方の端面は後述するダイヤフラム体50(具体的には、ダイヤフラム体50を構成する薄膜金属51の突部54の第2構成部分56)に押し当てられる。本実施形態において、当該端面の直径は、それが押し当てられる第2構成部分56の直径より小さくされている。ボール弁32は、球体状に形成されており、弁棒31の図中下端に固定して取り付けられている。ボール弁32は、弁棒31とともに図中上下方向に移動し、弁ハウジング10の弁座部19に離座・着座されて、弁ポート16を開閉する。ばね受け33は、内径が弁棒31の外径と同一の円環状に形成されており、弁棒31の図中上部にフランジ状に固定して取り付けられている。

0030

コイルばね40は、弁ハウジング10のばね室17に当該ばね室17と同軸に収容されている。コイルばね40は、弁ハウジング10の本体部11(ばね室17の底面)と弁部材30のばね受け33との間に圧縮状態で配置されている。コイルばね40は、弁棒31の図中上端を後述するダイヤフラム体50の第2構成部分56(中央部分C)に押しつけている。これにより、弁棒31は、ダイヤフラム体50の変形に追従して、図中上下方向に移動し、これに伴ってボール弁32が弁座部19に対して離座・着座される。つまり、弁棒31は、ダイヤフラム体50の変形に伴って弁ポート16が開閉されるように当該ダイヤフラム体50とボール弁32とを連結する。

0031

ダイヤフラム体50は、例えば、ステンレスなどの金属からなる平面視円形状のばね性を有する複数の薄膜金属51が積層されて構成されている。ダイヤフラム体50は、複数の薄膜金属51が積層されることによりキャップ部20の外径と略同一の径に形成されており、その周縁がキャップ部20のフランジ部22に重ねられて、当該キャップ部20の図中上側の開口をふさぐように配置されている。ダイヤフラム体50は、キャップ部20とともに密閉空間である圧力室23を区画している。この圧力室23は、弁部材30の弁棒31が弁収容空間14に収容された状態において、弁ハウジング10のばね室17、連通路18及び一次側ポート15を介して弁収容空間14と連なっている。また、ダイヤフラム体50は、そのばね力により弁閉時に弁棒31を介してボール弁32を弁座部19に押しつけている。ダイヤフラム体50の詳細については後述する。

0032

ストッパ60は、例えば、ステンレスなどの金属を用いてダイヤフラム体50と略同一径の平面視円形状の平板に形成されている。ストッパ60は、ダイヤフラム体50の図中上側に重ねて配置されており、ダイヤフラム体50の過剰な変形を防止する。また、ストッパ60の中央部分には貫通孔61が形成されている。

0033

弁ハウジング10のキャップ部20のフランジ部22、ダイヤフラム体50及びストッパ60は、それぞれの周縁部が溶接により一体になるように互いに固定して取り付けられている。

0034

以上の構成により、圧力作動弁1は、入口継手12aから、例えばR410A等のフロン系などの冷媒(流体)が流入し、この冷媒は、一次側ポート15、連通路18、ばね室17及び圧力室23を介して、ダイヤフラム体50に圧力を加える。

0035

この冷媒の圧力(流体圧力)が予め設定された圧力以下の場合には、ダイヤフラム体50は反転動作方向(図中上方)側に向けた変形をせずに、ダイヤフラム体50により弁棒31を介してボール弁32が弁座部19押し付けられて、弁ポートが閉じられた弁閉状態となる。このとき、入口継手12aから流入する冷媒は一次側ポート15から弁収容空間14に流入するが、弁閉状態ではボール弁32が弁ポート16を閉じており、冷媒は出口継手13aに流れない。

0036

一方、冷媒の圧力が高くなり、予め設定された圧力以上になるとダイヤフラム体50が反転動作方向に変形し、弁棒31とボール弁32はコイルばね40のばね力によりダイヤフラム体50の変形に追従して移動する。これにより、弁ポート16が開かれて弁開状態となる。

0037

次に、ダイヤフラム体50の構成について詳しく説明する。

0038

ダイヤフラム体50は、図2図3(a)、(b)に示すように、ステンレスなどの金属からなる複数の平面視円形状の薄膜金属51が積層されて構成されており、複数の薄膜金属51の間の空間に、例えば、比較的粘度の高いオイルなどの非圧縮性流体52が充填されている。図2では、説明の便宜上、複数の薄膜金属51の間の空間が比較的広く記載されているが、実際の構成では薄膜金属51の厚みより小さい微小な空間となる。

0039

複数の薄膜金属51のそれぞれは同一形状に形成されており、平面視円環状の環状平板部53と、該環状平板部53の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向(図2及び図3(b)において下方)に山状に盛り上がった突部54と、を備えている。突部54は、力が加えられていない初期形状において概ね半球形状になるように形成されている。また、突部54は、環状平板部53に一体に連接された環状の第1構成部分55と、第1構成部分55の内縁に一体に連接された平面視円形状の第2構成部分56と、を備えている。第1構成部分55と第2構成部分56とは、同心状に配置され半径方向に順次連接されている。第1構成部分55は、その周方向及び半径方向について外側に凸に湾曲して形成されている。第2構成部分56は、円形平板状に形成されている。つまり、第2構成部分56は、第1構成部分55と半径方向の湾曲程度が異なり、また、環状平板部53に対する傾斜程度も異なるように形成されている。複数の薄膜金属51のそれぞれは、突部54が本体部11の弁座部19(即ち、弁ポート16)に向けて凸となるように配置されて、互いに積層されるとともに突部54が互いに固定されず、かつ環状平板部53が互いに固定されて一体化された状態で弁ハウジング10のキャップ部20に取り付けられる。

0040

薄膜金属51は、単体状態(1枚の状態)において、突部54がスナップアクション式の反転動作(凸方向が反転する動作)をするように形成されている。このスナップアクション式の反転動作について、図4(a)〜(c)に模式的に示す。即ち、薄膜金属51は、突部54が外部からの力が加えられていない初期位置P0にある初期形状(図4(a))から突部54の全体に徐々に力を加えると反転動作方向(図中上方)側に向けて突部54が変形し(突出量が少なくなるように変形し)、当該突部54全体が所定の反転動作開始位置P1(図4(b))に至る形状まで変形されると、一気に反転動作が行われて、反転位置P2まで変形する(図4(c))。

0041

このような薄膜金属51のスナップアクション式の反転動作は、突部54の変形に伴って行われる。即ち、初期位置P0から反転動作開始位置P1までを正のばね定数とすれば、反転動作開始位置P1を超えて突部54が変形をすると、ばね定数の値が反転して負のばね定数となり、反転位置P2まで反転動作を行う。

0042

複数の薄膜金属51は互いに積層されてそれらの間に非圧縮性流体52が充填された状態で環状平板部53が互いに固定されることにより一体化されてダイヤフラム体50となる。本実施形態では、2枚の薄膜金属が積層されることによりダイヤフラム体50を構成している。

0043

このダイヤフラム体50の動作について、図5を参照して説明する。図5において、弁棒31に接している薄膜金属51(即ち、弁ポート16に最も近い薄膜金属51)を符号51Aで示し、薄膜金属51Aに積層された他の薄膜金属51を符号51Bで示す。

0044

ダイヤフラム体50は、弁閉時において予め変形された状態で配設されている。具体的には、図5(a)に模式的に示すように、ボール弁32が弁座部19に着座した弁閉時において薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが当該薄膜金属51Aの反転動作開始位置P1における当該中央部分Cに対応する位置を反転動作方向(図中上方)側に超えて配置され、かつ、当該突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1における中央部分C以外の部分に対応する位置より手前(図中下方)に配置されるように当該突部54が変形された状態で、環状平板部53がキャップ部20に固定されている。薄膜金属51Aの変形に沿って、それに積層された他の薄膜金属51Bも変形された状態となる。このような状態において、薄膜金属51Aは、その突部54全体が反転動作開始位置P1に到達したときに反転動作するため、中央部分Cのみが反転動作開始位置P1を超えて配置されていても反転動作しない。他の薄膜金属51Bにおいても同様である。

0045

本実施形態において、薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cは当該突部54の第2構成部分56と一致するように構成されている。勿論、これに限定されるものではなく、中央部分Cの大きさは、弁ポート16を開閉するダイヤフラム体としての作用効果を奏するように、圧力作動弁の構成や圧力特性などに応じて、突部54の中心から当該突部の半径の1/5〜1/2程度までの範囲内で適宜設定される。

0046

そして、図5(a)に示す弁閉時において弁棒31は位置Q0にあり、そして、この状態からダイヤフラム体50に加わる流体圧力が徐々に上昇すると、薄膜金属51Aの突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1に向けて徐々に変形するが、中央部分Cはその位置を保って弁棒31は移動せず位置Q0に留まる。そして、図5(b)に示すように、突部54全体が反転動作開始位置P1にほぼ到達すると、中央部分Cを含む突部54全体が、反転動作方向に向けて変形を開始する。このとき、薄膜金属51Aに他の薄膜金属51Bが積層されているためこれらの間に摺動抵抗が生じ、また、上述したように予め変形されていることにより薄膜金属51Aが他の薄膜金属51Bに強く押しつけられて、摺動抵抗がさらに大きくなる。そのため、この摺動抵抗により各薄膜金属51A、51Bにおけるスナップアクション式の動作が抑制されて一気に反転位置P2まで変化せず、圧力変化に応じて変形する。また、薄膜金属51A、51B間の摺動抵抗によりスナップアクション式の動作が抑制されていることから、ダイヤフラム体が変形されることによって各薄膜金属が単体状態であればスナップアクション式の動作をする程度まで変形された場合においても、ダイヤフラム体自体のばね定数は負の値(反転動作方向に変形しようとする方向)にならず、当該ばね定数は0又は0に近い正(初期形状に戻ろうとする方向)の値となり、これにより、圧力変化に対して比較的変形量の大きいスローアクション式の動作となる。そのため、弁棒31もこれに追従して移動し、図5(c)に示すように、薄膜金属51Aが反転位置P2まで変形して、弁棒31が位置Q2に達する。なお、上記では主に薄膜金属51Aに着目して変形動作を説明したが、薄膜金属51Aの変形に伴って、当該薄膜金属51Aに積層された他の薄膜金属51Bも同様に変形する。

0047

図6に、上述したスローアクション式の動作を行う構成と従来のスナップアクション式の動作を行う構成とのそれぞれにおける流体圧力に対する弁棒の移動量(即ち、薄膜金属51Aの中央部分Cの変形量)を模式的に表すグラフを示す。

0048

ダイヤフラム体50が上述したように予め変形されていないことによりスナップアクション式の反転動作を行う従来の構成では、図6において点線で示すように、ダイヤフラム体50が予め変形されていないので、弁棒31の初期の位置は上記位置Q0より低い位置(位置Q2からより離れた位置)にある。この状態から、流体圧力が徐々に大きくなるとダイヤフラム体50が当該流体圧力に応じて徐々に変形して、弁棒31が位置Q2に向けて徐々に移動する。そして、所定の圧力A1になったときにダイヤフラム体50がスナップアクション式の反転動作を行い、弁棒31が位置Q2まで一気に移動する。そのため、弁室25内の圧力が急激に変動して、チャタリング動作が生じる。

0049

一方、ダイヤフラム体50が上述したように予め変形されていることによりスローアクション式の動作を行う本実施形態の構成では、図6において実線で示すように、ダイヤフラム体50が予め変形されているので、初期状態において弁棒31が上記位置Q0にある。この状態から、流体圧力が徐々に大きくなるとダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51の突部54における中央部分C以外の部分が主に変形するのみで当該中央部分Cの位置は変化せず、弁棒31は位置Q0のままとなる。そして、上記圧力A1より低い所定の圧力A2になったとき、突部54の全体が概ね反転動作開始位置P1に達して、圧力に応じて比較的大きい変形量となるスローアクション式の反転動作を行い、弁棒31が位置Q2まで流体圧力に応じて移動する。そのため、弁室25内の圧力が急激に変動することがなく、チャタリング動作が抑制される。

0050

以上説明したように、本実施形態の圧力作動弁1は、弁ハウジング10と、弁ハウジング10と共に弁室25を区画する、当該弁室25内の流体圧力により変形するばね性の複数の薄膜金属51が積層されて構成されたダイヤフラム体50と、弁ハウジング10に設けられ、流体圧力によるダイヤフラム体50の変形に伴って開閉される弁ポート16が形成された弁座部19と、を備えている。ダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51のそれぞれが、環状平板部53と当該環状平板部53の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向に山状に盛り上がった突部54とを有し、単体状態において突部54全体が初期形状から前記一方向と反対の反転動作方向に向けて所定の反転動作開始位置P1に至る形状まで変形されたときに当該突部54がスナップアクション式の反転動作をするように形成され、突部54がそれぞれ同一方向を向くようにして互いに積層されている。ダイヤフラム体50が、複数の薄膜金属51のそれぞれの突部54を弁ポート16側に向けるようにして当該ダイヤフラム体50の周縁が弁ハウジング10に固定され、弁ポート16が、当該弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cの移動に応じて開閉される。そして、弁ポート16が閉じられる弁閉時において、弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが反転動作開始位置P1における当該中央部分Cに対応する位置を反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1における当該中央部分C以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されている。

0051

また、複数の薄膜金属51のそれぞれの突部54が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された第1構成部分55及び第2構成部分56を有し、これら第1構成部分55及び第2構成部分56が、隣接する他の構成部分と半径方向の湾曲程度又は環状平板部53に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されている。

0052

また、弁ポート16を開閉するボール弁32と、ダイヤフラム体50の変形に伴って弁ポート16が開閉されるように当該ダイヤフラム体50とボール弁32とを連結する円柱状の弁棒31と、をさらに備え、弁棒31におけるダイヤフラム体50側の端面の直径が、ダイヤフラム体50における弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央に位置する第2構成部分56の直径より小さくされている。

0053

また、複数の薄膜金属51の間に、非圧縮性流体52が充填されている。

0054

上より、本実施形態によれば、ダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51のそれぞれが、環状平板部53と当該環状平板部53の内縁に一体に連接された平面視円形状で一方向に山状に盛り上がった突部54とを有している。複数の薄膜金属51のそれぞれが、単体状態において突部54全体が初期形状から前記一方向と反対の反転動作方向に向けて所定の反転動作開始位置P1に至る形状まで変形されたときに当該突部54がスナップアクション式の反転動作をするように形成されている。複数の薄膜金属51が、突部54がそれぞれ同一方向を向くようにして互いに積層されている。ダイヤフラム体50が、複数の薄膜金属51のそれぞれの突部54を弁ポート16側に向けるようにして当該ダイヤフラム体50の周縁が弁ハウジング10に固定されている。弁ポート16が、当該弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cの移動に応じて開閉される。そして、弁ポート16が閉じられる弁閉時において、弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが反転動作開始位置P1における当該中央部分Cに対応する位置を反転動作方向側に超えて配置されかつ当該突部54の中央部分C以外の部分が反転動作開始位置P1における当該中央部分C以外の部分に対応する位置の手前に配置された形状に予め変形されている。

0055

このようにしたことから、(i)ダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51のそれぞれが単体状態においてスナップアクション式の動作をし、これら複数の薄膜金属51を積層してダイヤフラム体50を構成しているので、変形時において薄膜金属51間に摺動抵抗が生じ、(ii)さらに、弁ポート16の弁閉時において、当該弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央部分Cが予め反転動作開始位置P1を超えて配置されているので、複数の薄膜金属51のそれぞれの突部54の中央部分Cを互いに接した状態となり、薄膜金属51間に生ずる摺動抵抗がさらに大きくなって、スナップアクション式の動作が抑制される。そのため、複数の薄膜金属51のそれぞれにおけるスナップアクション式の動作が抑制されることにより、ダイヤフラム体50として流体圧力に応じた変形動作(スローアクション式の動作)となるので、スナップアクション式の動作と比べて、弁室25内の急激な圧力変動を抑制でき、チャタリング動作を抑制することができる。

0056

(iii)また、所定の圧力を超えると一気に変形するスナップアクション式の動作を薄膜金属51間の摺動抵抗により抑制しているため、圧力の変化に対して比較的大きい変形量を得ることができる。そのため、流体圧力の変化量が小さくてもダイヤフラム体50が大きく変形するので、弁開時において比較的大きな流量を確保することができる。

0057

また、ダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51の突部54が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された第1構成部分55及び第2構成部分56を有し、これら第1構成部分55及び第2構成部分56のそれぞれが、隣接する他の構成部分と半径方向の湾曲程度又は環状平板部53に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されている。このようにしたことから、例えば、全体が滑らかに連続して湾曲された半球形状の突部などに比べて、各構成部分について、例えば、それらが湾曲した形状であれば湾曲程度を又はそれらが一方向(例えば半径方向)について平らであれば環状平板部に対する傾斜程度をそれぞれ別個に調整することができ、これにより、第1構成部分55及び第2構成部分56からなる突部54の変形特性についてより幅広い範囲で調整することができる。そのため、所望の変形特性のダイヤフラム体50を容易に得ることができる。

0058

また、弁ポート16を開閉するボール弁32と、ダイヤフラム体50の変形に伴って弁ポート16が開閉されるように当該ダイヤフラム体50とボール弁32とを連結する円柱状の弁棒31と、をさらに備えている。そして、弁棒31におけるダイヤフラム体50側の端面の直径が、ダイヤフラム体50における弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの突部54の中央に位置する第2構成部分56の直径より小さくされている。このようにしたことから、薄膜金属51の突部54の中央に位置する第2構成部分56は剛性が低く変形しやすいので、当該第2構成部分56が他の薄膜金属51に接しやすく、そのため、摩擦抵抗を大きくできる。これにより、スナップアクション式の動作をさらに抑制して、流体圧力に応じた変形動作(スローアクション式の動作)とすることができる。

0059

また、複数の薄膜金属51の間に、非圧縮性流体52が充填されている。このようにしたことから、積層された薄膜金属51間に微少な空間が存在していたとしても、1つの薄膜金属51の変形が、非圧縮性流体52を介して隣接する他の薄膜金属51に伝わるので、流体圧力に対する弁開閉の反応性を高めることができ、そのため、微少な圧力変化に対しても比較的大きな変形量を得ることができる。

0060

以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の圧力作動弁は上述した実施形態の構成に限定されるものではない。

0061

例えば、上述した実施形態では、ダイヤフラム体50を構成する複数の薄膜金属51がそれぞれ同一形状に形成されたものであったが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、複数の薄膜金属51(1枚の薄膜金属51A、3枚の薄膜金属51C)が積層されており、弁ポートに最も近い薄膜金属51A以外の他の複数の薄膜金属51Cには中央に貫通孔58が設けられた構成のダイヤフラム体50Aとしてもよい。換言すると、複数の薄膜金属51から弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aを除いた残りの薄膜金属51Cのうちの少なくとも1つは、その突部54の中央に貫通孔58が形成されていてもよい。このようにすることで、当該貫通孔58の形状、大きさ、又は、貫通孔58を設ける薄膜金属51の数などを変えることにより、ダイヤフラム体50Aの変形特性についてより幅広い範囲で調整することができる。そのため、所望の変形特性のダイヤフラム体を容易に得ることができる。

0062

また、上述した実施形態では、ダイヤフラム体50が2枚の薄膜金属51(51A、51B)が積層されて構成されているものであったが、これに限定されるものではなく、3枚以上の薄膜金属51が積層されて構成されていてもよい。また、ダイヤフラム体50は、複数の薄膜金属51の間に非圧縮性流体52が充填されて構成されているものであったが、これに限定されるものではなく、非圧縮性流体52を省略した構成としてもよい。

0063

また、上述した実施形態では、図3に示すように、薄膜金属51の突部54が環状の第1構成部分55と円形平板状の第2構成部分56を備えた構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示すように、第1構成部分55に対して凹状に形成された第2構成部分56Dを有する薄膜金属51Dとしてもよく、又は、図8(b)に示すように、第1構成部分55に対して湾曲程度を小さくした(曲率を大きくした)凸状の第2構成部分56Eを有する薄膜金属51Eとしてもよい。または、図8(c)に示すように、全体が滑らかに連続して湾曲された半球形状の突部54Fを有する薄膜金属51Fとしてもよい。または、図8(d)に示すように、同心状に配置され半径方向に順次連接されている第1構成部分55G、第2構成部分56G及び第3構成部分57Gを備え、第1構成部分55G、第2構成部分56G及び第3構成部分57Gが半径方向に平らに形成されるとともに、隣接する他の構成部分と環状平板部53に対する傾斜程度が異なるように形成された突部54Gを備えた薄膜金属51Gとしてもよい。即ち、ダイヤフラム体を構成する薄膜金属は、本発明の目的に反しない限り、その突部が、同心状に配置されて半径方向に順次連接された複数の構成部分を有し、複数の構成部分のそれぞれが、隣接する他の構成部分と半径方向の湾曲程度又は環状平板部に対する傾斜程度が互いに異なるように形成されていてもよい。または、その突部が、全体が滑らかに連続して湾曲した形状に形成されていてもよい。

0064

また、上述した実施形態では、弁室25内の流体圧力により変形するダイヤフラム体50に連動して移動する弁部材30を介して間接的に弁ポート16を開閉する構成であったがこれに限定されるものではない。例えば、図11の従来の圧力作動弁の構成のように、ダイヤフラム体が直接弁座部に押しつけられており、ダイヤフラム体の変形によって直接的に弁ポートを開閉する構成としてもよい。

0065

なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の圧力作動弁の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。

0066

次に、本発明者らは、本発明の効果を確認するために、上述した圧力作動弁1について予変形量の異なる構成の実施例1、2及び比較例1、2を作製して、各実施例1、2及び比較例1、2について、ダイヤフラム体50に与えられた圧力に対する弁棒31の移動量(即ち、ダイヤフラム体50の変形量)の確認をする試験を行った。

0067

まず、実施例1、2及び比較例1、2において用いる薄膜金属51の具体的構成について説明する。この薄膜金属51は、ステンレス板から直径20mmの円板打ち抜くと共に、当該円板の中央を略半球状に打ち出して図3(a)、(b)に示す形状とした。この薄膜金属51は、外径(D1)が20mm、内径(D2)が14mmの環状平板部53と、環状平板部53の内縁に一体に連接された直径(D2)が14mmの突部54と、を有し、厚さ(T)が0.15mmに形成されている。この薄膜金属51の突部54は、外径(D2)が14mm、内径(D3)が4mmの環状の第1構成部分55と、直径(D3)が4mmの円形平板状の第2構成部分56と、を有し、環状平板部53からの突部54の打ち出し高さ(環状平板部53から第2構成部分56までの高さH)を、0.84mmとしている。

0068

図9に、この薄膜金属51の単体状態での圧力に対する変形量の関係のグラフを示す。図中、点線枠内がスナップアクション式の反転動作を行う変形量の範囲であり、この薄膜金属51(実線のグラフ(実施例1、2、比較例1、2))では、0.22mm〜0.65mmとなる。なお、参考として、上記構成の薄膜金属51において打ち出し高さ(H)のみ0.71mm又は0.64mmに変更した薄膜金属(一点鎖線のグラフ(参考例1)、及び、点線のグラフ(参考例2))についてもグラフを示している。参考例1では、上記範囲は0.18mm〜0.60mmとなり、参考例2では、0.21mm〜0.75mmとなっている。

0069

(実施例1)
上述した薄膜金属51を2枚積層すると共にそれらの間に非圧縮性流体52を充填してダイヤフラム体50を作製し、このダイヤフラム体50における弁ポート16に最も近い薄膜金属51Aの中央部分Cの予変形量が0.37mmになるようにして、当該ダイヤフラム体50を組み付けた圧力作動弁1を作製し、これを実施例1とした。(即ち、予変形量を上述したスナップアクション式の反転動作を行う変形量の範囲内(0.22mm〜0.65mm)とした。)

0070

(実施例2)
実施例1において、ダイヤフラム体50における薄膜金属51Aの中央部分Cの予変形量を0.57mmとした以外は、実施例1と同一の構成として作製し、これを実施例2とした。(即ち、予変形量を上述したスナップアクション式の反転動作を行う変形量の範囲内(0.22mm〜0.65mm)とした。)

0071

(比較例1)
実施例1において、ダイヤフラム体50における薄膜金属51Aの中央部分Cの予変形量を0.18mmとした以外は、実施例1と同一の構成として作製し、これを比較例1とした。(即ち、予変形量を上述したスナップアクション式の反転動作を行う変形量の範囲外(0.22mm〜0.65mm)とした。)

0072

(比較例2)
実施例1において、ダイヤフラム体50における薄膜金属51Aの中央部分Cの予変形量を0.00mm(予変形なし)とした以外は、実施例1と同一の構成として作製し、これを比較例2とした。(即ち、予変形量を上述したスナップアクション式の反転動作を行う変形量の範囲外(0.22mm〜0.65mm)とした。)

0073

(弁棒の移動量測定)
上述した実施例1、2及び比較例1、2の圧力作動弁1において、入口継手12aから流入する流体の圧力に対する弁棒31の移動量を測定して、以下の判定基準に基づいて判定をおこなった。
○・・・グラフ中に縦軸と平行な変化をする部分がなく、スナップアクション式の動作をしない。
×・・・グラフ中に縦軸と平行な変化をする部分があり、スナップアクション式の動作をする。

0074

図10に実施例1、2及び比較例1、2における流体圧力に対する弁棒の移動量の測定結果のグラフを示す。以下に、実施例1、2及び比較例1、2における判定結果を示す。
実施例1・・・○
実施例2・・・○
比較例1・・・×
比較例2・・・×

0075

実施例1、2では、スナップアクション式の動作をせず、図10のグラフからも明らかなように、圧力に応じて弁棒31の移動量、即ち、ダイヤフラム体50の変形量が変化している。即ち、スローアクション式の動作をしている。一方、比較例1、2では、スナップアクション式の動作をしており、図10のグラフからも明らかなように、所定の圧力において、弁棒31の移動量がある圧力において急激に(縦軸方向に平行に)変化している。即ち、スナップアクション式の動作をしている。

0076

このことから、実施例1、2では、流体圧力に応じて弁棒31が移動するため急激な流量の増減が生じることがないことがわかり、チャタリング動作が抑制される。一方、比較例1、2では、所定の流体圧力において弁棒31が大きく移動するため急激な流量の増減が生じることがわかり、チャタリング動作が発生する。

0077

このように、実際の動作結果からも、本発明が流量の増減を繰り返すチャタリング動作を抑制できる効果を奏することが明らかとなった。

0078

1圧力作動弁
10弁ハウジング
16弁ポート
19弁座部
25弁室
30弁部材
31弁棒
32ボール弁(弁体)
40コイルばね
50、50Aダイヤフラム体
51、51A〜51G薄膜金属
52非圧縮性流体
53環状平板部
54、54F、54G 突部
55、55G 第1構成部分
56、56D、56E、56G 第2構成部分
57G 第3構成部分
58貫通孔
C 突部の中央部分
P0 突部の初期位置
P1 突部の反転動作開始位置
P2 突部の反転位置
Q0 突部の初期位置及び反転動作開始位置に対応する弁棒の位置
Q2 突部の反転位置に対応する弁棒の位置

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