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課題

自家骨を用いることなく、自家骨配合移植材と同等の効果を奏する、難治性骨癒合不全適応可能な新規移植材を提供すること。

解決手段

活性成分として、(1)Ala-BMP-2と、(2)β-TCP多孔体(好ましくは、気孔経1μm前後のミクロ気孔と、気孔径数百μmのマクロ気孔とを含み、かつ気孔率が60%以上のβ-TCP多孔体)のみを含む、偽関節治療用製剤、好ましくは、ヒトを除く哺乳動物、特にイヌネコなどのペット動物における偽関節治療用製剤。

概要

背景

偽関節とは骨折部の骨癒合プロセスが完全に停止したものをいい、骨折の重篤後遺症のひとつであり、骨癒合不全ともいう。骨折整復後に骨折部に血行不良や不安定性があると癒合が遷延し、ついには修復作用が停止した難治性の偽関節となるケースはしばしば発生する。偽関節が疑われるとまず超音波治療などが行われるが、それでも癒合が得られない場合は外科的な処置を行う。ロッキングプレート髄内釘による確実な固定または再固定を行い、偽関節部の不良組織を除去してギャップがある場合はそこに骨移植が行われる。

骨移植では、患者自身腸骨から採骨した自家骨が、移植材としてはゴールドスタンダードである。しかし、移植用の自家骨を採骨するのに健常部に侵襲を加えることの問題があり、採骨部痛、感染など様々な合併症が生じる可能性がある。そのため自家骨に変わる代替材料の開発が進められている。難治性偽関節に用いる骨移植材は、周囲からの修復作用に乏しい母床に移植するので、移植材自体に高い骨形成能が必要である。例えばハイドロキシアパタイトHAP)やβ-TCPなど骨の無機成分であるリン酸カルシウムからなる人工骨の一般使用の普及は進んでいるものの、これらの材料は骨形成足場とはなるが自ら骨形成する性質はなく、難治性偽関節のような疾患には適応にならない。

高い骨形成能をもたらすものとして、BMPなどの骨形成促進タンパク骨髄細胞を培養したものを担体とともに骨移植材として応用する骨再生の研究が行われている。骨髄細胞を用いる手法は、培養のために数週間から数ヶ月の時間が必要であること、自家細胞を用いるが故に1ロットが1ユニットとなり、培養のコストとともに通常はロット単位で行われるような安全性や性能確認製品ごとになって、それらのコストは膨大なものになるという欠点があった。

BMPは未分化細胞に作用して骨芽細胞への分化を強力に促進し、骨を誘導するタンパクである。TGF-βスーパーファミリーに属し、BMPの中でもBMP-2、BMP-4、BMP-7などが骨形成には効果があるとされており、近年は遺伝子組み換えによって製造されたBMP-2、BMP-7が欧米では製品化されている。

BMPの担体として、欧米で実用化されているBMP製品にはタイプIコラーゲンが用いられている。BMP-2とコラーゲンスポンジとを組み合わせた製品(製品名:Infuse メドトロニック社)は、急性開放脛骨骨幹部骨折、椎間板変性症における脊椎固定術抜歯窩治癒過程に伴う骨欠損に対する上顎洞底挙上術および局所的な歯槽堤形成術で米国では認可されている。さらに、自家骨移植の代替をするためにBMP製品の偽関節へのオフベル使用も行われている。しかし、コラーゲン生体吸収性ではあるものの、骨を修復するということでは骨伝導能などの性質はなく、外力に対してつぶれてしまうなどの力学的な欠点もある。偽関節への適応においても、自家骨移植に比較して、必ずしも満足な結果は得られていない。

また、大腸菌発現系由来の、BMP-2のN末端アラニンが付加したAla-BMP-2と、その担体として、連通気孔を有するβ-TCP多孔体とを組み合わせた移植材についても研究されている。原田らは、この大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒とを複合した移植材をイヌ尺骨全周性欠損モデルにて評価し、このモデルでは良好な結果を得ている(非特許文献1)。これにより、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と連通気孔を有するβ-TCP多孔体は高い機能を有する骨移植材であることは判明した。

しかしながら、上記モデルのような実験的に作製した骨欠損では、骨癒合プロセスが機能しているため、移植母床としての環境がよく、骨癒合プロセスが完全に停止した難治性偽関節に上記複合移植材を適応する場合には、自家骨の使用が必須であると考えられていた。自家骨は、骨形成に寄与する細胞や因子ナチュラルに含んでおり、基質ミネラルは骨形成の良い環境をもたらすものである。それゆえ、このような自家骨とBMPの骨誘導能との併用は、実際の難治性の症例では効果が高く、移植材を構成するものとして自家骨は必要なものであった。特に、ネコやイヌなどのヒト以外の動物は、患部安静に保つことは難しく、より骨誘導能の高い自家骨の使用は必須であると考えられていた。実際、原田らは、ネコおよびイヌの重症度の高い骨癒合不全の症例の治療の際には、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と、連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒とを複合し、これにさらに自家骨を混合して調製した製剤を使用している(非特許文献2及び3)。

概要

自家骨を用いることなく、自家骨配合移植材と同等の効果を奏する、難治性の骨癒合不全に適応可能な新規移植材を提供すること。活性成分として、(1)Ala-BMP-2と、(2)β-TCP多孔体(好ましくは、気孔経1μm前後のミクロ気孔と、気孔径数百μmのマクロ気孔とを含み、かつ気孔率が60%以上のβ-TCP多孔体)のみを含む、偽関節治療用製剤、好ましくは、ヒトを除く哺乳動物、特にイヌ、ネコなどのペット動物における偽関節治療用製剤。

目的

本発明の目的は、自家骨を用いることなく、自家骨配合移植材と同等の効果を奏する、難治性の骨癒合不全に適応可能な新規移植材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

活性成分としてAla-BMP-2とβ-TCP多孔体のみを含む偽関節治療用製剤

請求項2

治療対象がヒトを除く哺乳動物である、請求項1記載の製剤。

請求項3

ヒトを除く哺乳動物がペット動物である、請求項2記載の製剤。

請求項4

ヒトを除く哺乳動物がイヌまたはネコである、請求項2記載の製剤。

請求項5

β-TCP多孔体が、気孔経1μm前後のミクロ気孔と、気孔径数百μmのマクロ気孔とを含み、かつ気孔率が60%以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製剤。

請求項6

活性成分としてAla-BMP-2とβ-TCP多孔体のみを用いるヒトを除く哺乳動物の偽関節治療方法

技術分野

0001

本発明は、偽関節治療剤に関する。より詳細には、骨形成タンパク質-2(BMP-2)のN末端アラニン(Ala)残基が付加したAla-BMP-2とβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)とからなる偽関節治療剤に関する。

背景技術

0002

偽関節とは骨折部の骨癒合プロセスが完全に停止したものをいい、骨折の重篤後遺症のひとつであり、骨癒合不全ともいう。骨折整復後に骨折部に血行不良や不安定性があると癒合が遷延し、ついには修復作用が停止した難治性の偽関節となるケースはしばしば発生する。偽関節が疑われるとまず超音波治療などが行われるが、それでも癒合が得られない場合は外科的な処置を行う。ロッキングプレート髄内釘による確実な固定または再固定を行い、偽関節部の不良組織を除去してギャップがある場合はそこに骨移植が行われる。

0003

骨移植では、患者自身腸骨から採骨した自家骨が、移植材としてはゴールドスタンダードである。しかし、移植用の自家骨を採骨するのに健常部に侵襲を加えることの問題があり、採骨部痛、感染など様々な合併症が生じる可能性がある。そのため自家骨に変わる代替材料の開発が進められている。難治性偽関節に用いる骨移植材は、周囲からの修復作用に乏しい母床に移植するので、移植材自体に高い骨形成能が必要である。例えばハイドロキシアパタイトHAP)やβ-TCPなど骨の無機成分であるリン酸カルシウムからなる人工骨の一般使用の普及は進んでいるものの、これらの材料は骨形成足場とはなるが自ら骨形成する性質はなく、難治性偽関節のような疾患には適応にならない。

0004

高い骨形成能をもたらすものとして、BMPなどの骨形成促進タンパク骨髄細胞を培養したものを担体とともに骨移植材として応用する骨再生の研究が行われている。骨髄細胞を用いる手法は、培養のために数週間から数ヶ月の時間が必要であること、自家細胞を用いるが故に1ロットが1ユニットとなり、培養のコストとともに通常はロット単位で行われるような安全性や性能確認製品ごとになって、それらのコストは膨大なものになるという欠点があった。

0005

BMPは未分化細胞に作用して骨芽細胞への分化を強力に促進し、骨を誘導するタンパクである。TGF-βスーパーファミリーに属し、BMPの中でもBMP-2、BMP-4、BMP-7などが骨形成には効果があるとされており、近年は遺伝子組み換えによって製造されたBMP-2、BMP-7が欧米では製品化されている。

0006

BMPの担体として、欧米で実用化されているBMP製品にはタイプIコラーゲンが用いられている。BMP-2とコラーゲンスポンジとを組み合わせた製品(製品名:Infuse メドトロニック社)は、急性開放脛骨骨幹部骨折、椎間板変性症における脊椎固定術抜歯窩治癒過程に伴う骨欠損に対する上顎洞底挙上術および局所的な歯槽堤形成術で米国では認可されている。さらに、自家骨移植の代替をするためにBMP製品の偽関節へのオフベル使用も行われている。しかし、コラーゲン生体吸収性ではあるものの、骨を修復するということでは骨伝導能などの性質はなく、外力に対してつぶれてしまうなどの力学的な欠点もある。偽関節への適応においても、自家骨移植に比較して、必ずしも満足な結果は得られていない。

0007

また、大腸菌発現系由来の、BMP-2のN末端にアラニンが付加したAla-BMP-2と、その担体として、連通気孔を有するβ-TCP多孔体とを組み合わせた移植材についても研究されている。原田らは、この大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒とを複合した移植材をイヌ尺骨全周性欠損モデルにて評価し、このモデルでは良好な結果を得ている(非特許文献1)。これにより、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と連通気孔を有するβ-TCP多孔体は高い機能を有する骨移植材であることは判明した。

0008

しかしながら、上記モデルのような実験的に作製した骨欠損では、骨癒合プロセスが機能しているため、移植母床としての環境がよく、骨癒合プロセスが完全に停止した難治性偽関節に上記複合移植材を適応する場合には、自家骨の使用が必須であると考えられていた。自家骨は、骨形成に寄与する細胞や因子ナチュラルに含んでおり、基質ミネラルは骨形成の良い環境をもたらすものである。それゆえ、このような自家骨とBMPの骨誘導能との併用は、実際の難治性の症例では効果が高く、移植材を構成するものとして自家骨は必要なものであった。特に、ネコやイヌなどのヒト以外の動物は、患部安静に保つことは難しく、より骨誘導能の高い自家骨の使用は必須であると考えられていた。実際、原田らは、ネコおよびイヌの重症度の高い骨癒合不全の症例の治療の際には、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と、連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒とを複合し、これにさらに自家骨を混合して調製した製剤を使用している(非特許文献2及び3)。

先行技術

0009

Harada et al., J. Bone Miner Metab., 30, 388-399, 2012
糸井他,2009年季第79回獣医麻酔外科学会,「BMP-2とβ-TCPを用いて骨再生治療を行ったの脛骨癒合不全の1症例」
糸井他,2010年度関東・東京合同地区三学会,「E-BMPを用いた骨癒合不全の2症例」

発明が解決しようとする課題

0010

上述のとおり、移植材への自家骨の使用は、患者の健常部に侵襲を加えることによる採骨部痛、感染などの合併症リスク不可避的に伴う。しかしながら、骨形成促進タンパクと人工骨素材担体との複合体のみでは、実際の難治性偽関節、特に安静を保つことが困難なヒト以外の動物における難治性偽関節への適応には不十分であり、良好な治療効果を得るには自家骨の使用が不可欠であるというジレンマがあった。
従って、本発明の目的は、自家骨を用いることなく、自家骨配合移植材と同等の効果を奏する、難治性の骨癒合不全に適応可能な新規移植材を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2(Ec Ala-BMP-2)と、従来から販売されている哺乳類由来CHO細胞発現されたBMP-2(CHO BMP-2)との間で、コラーゲンスポンジまたは連通気孔を有するβ-TCP多孔体をそれぞれ担体として用いた場合のin vivoでの骨誘導能を比較した。その結果、コラーゲンスポンジを担体として用いた場合は、Ec Ala-BMP-2とCHO BMP-2との間で骨誘導能に有意な差はなかったのに対し、β-TCP多孔体を担体として用いた場合、Ec Ala-BMP-2の骨誘導能はCHO BMP-2のそれよりも著しくすぐれていた。さらに、Ec Ala-BMP-2とβ-TCP多孔体とからなる移植材を、自家骨を用いることなく難治性の骨癒合不全であるイヌ偽関節の治療に用いたところ、驚くべきことに、自家骨を用いないにもかかわらず、自家骨を用いるのと同等の骨再生効果を示した。
以上のように、本発明者らは、Ec Ala-BMP-2とβ-TCP多孔体とからなる移植材は、自家骨を用いることなく自家骨配合移植材と同等の偽関節治療効果を示すという、従来のBMP-2製剤では達成できない効果を奏することを見出し、本発明を完成した。

0012

すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)活性成分としてAla-BMP-2とβ-TCP多孔体のみを含む偽関節治療用製剤
(2)治療対象がヒトを除く哺乳動物である、(1)記載の製剤。
(3)ヒトを除く哺乳動物がペット動物である、(2)記載の製剤。
(4)ヒトを除く哺乳動物がイヌまたはネコである、(2)記載の製剤。
(5)β-TCP多孔体が、気孔経1μm前後のミクロ気孔と、気孔径数百μmのマクロ気孔とを含み、かつ気孔率が60%以上である、(1)から(4)のいずれかに記載の製剤。
(6)活性成分としてAla-BMP-2とβ-TCP多孔体のみを用いる、ヒトを除く哺乳動物の偽関節治療方法

発明の効果

0013

本発明の偽関節治療用製剤は、自家骨を用いないため、自家骨採取のために健常部への侵襲を伴わずに治療でき、かつ自家骨を使用した場合と同等の高い効果が得られる。

図面の簡単な説明

0014

大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と哺乳動物細胞発現系由来BMP-2(Infuse)との間で、コラーゲンスポンジを担体として用いた場合のin vivoでの骨誘導能を比較した結果を示す図である。縦軸は担体中の骨塩量(単位:mg)を示す。
大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と哺乳動物細胞発現系由来BMP-2(Infuse)との間で、β-TCPを担体として用いた場合のin vivoでの骨誘導能を比較した結果を示す図である。縦軸は担体中の骨塩量(単位:mg)を示す。

0015

以下、本発明を詳細に説明する。
(I)骨形成タンパク質-2 (BMP-2)
「BMP-2」は、BMPファミリー又はGDFファミリーに属し、BMP-2のI型およびII型受容体への結合活性を有し、かつ骨形成を誘導する能力、或いは骨の再生および修復能力を有する(これらをまとめて、以下「BMP-2活性」と記載する)。

0016

本発明に用いられるBMP-2が由来する動物種は特に限定されないが、例えば、治療対象である哺乳動物由来のBMP-2が挙げられる。好ましくはヒトである。イヌ、ネコのBMP-2は、ヒトと同一のアミノ酸配列を有する。

0017

本発明で使用されるBMP-2は、Ala-BMP-2が好ましい。「Ala-BMP-2」は、N末端にアラニン残基が付加された活性型ヒトBMP-2ホモダイマーである。Ala-BMP-2は、BMP-2と同様に、システインノットと呼ばれる3個のジスルフィド結合と、1個の分子間ジスルフィド結合とを形成する、高度に保存されたシステイン残基をもつ。Ala-BMP-2は、1分子あたり1個のシステインノット、1個のα-ヘリックス、少なくとも4個のβ-シートで構成され、これによってモノマーダイマーを形成することができる。Ala-BMP-2はBMP-2と同様にホモダイマーを形成し、活性型となる。

0018

BMP-2は哺乳動物細胞内では糖鎖修飾を受けた不活性型ホモダイマーの前駆体BMP-2として合成されたのち、細胞外分泌されてからプロテアーゼによってプロセシングされて活性型ホモダイマーの成熟タンパク質となる。

0019

ヒトBMP-2のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankNCBI、米国)に登録されており、登録番号(Accession Number)はNM_001200である。

0020

特に本発明で使用されるAla-BMP-2は、BMP-2ホモダイマーのアミノ酸配列のN末端にそれぞれアラニン残基が付加された、糖鎖が付加されていないタンパク質である(WO 2012/029148)。Ala-BMP-2は、大腸菌をはじめとする原核細胞発現系を用いて組換え生産することができる。あるいは、自体公知無細胞翻訳系を用いてin vitro合成することもできる。

0021

欧米のBMP-2製品は哺乳類細胞の発現系にて製造されており、これらのアミノ酸配列はヒト内在性のものと同一であるが、糖鎖修飾のパターンは異なっている。大腸菌で生産されたAla-BMP-2は糖鎖修飾がないことにより溶解性が低下しているため、局所因子であるBMPの局所での停留性が高まり、それによって作用効率が向上するメリットがある。

0022

(II)β-リン酸三カルシウム(β-TCP)
BMP-2の担体としては、材料単独でも人工骨として応用されている骨伝導能を有するリン酸カルシウム系の多孔体が望ましく、特に生体吸収性で自家骨置換の性質を有するβ-TCP多孔体が好ましい。リン酸カルシウムはタンパクもよく吸着しBMPの保持性も高い。多孔体の気孔構造は、良好な気孔連通性が確保されていることが必要であり、気孔経は1μm前後のミクロ気孔と数百μmのマクロ気孔が含まれていること、気孔率は60%以上であることが望ましい。

0023

β-TCPの具体的な例としては、オスフェリオン(登録商標オリンパス社製)、スーパーポア(登録商標;HOYA Technosurgical社製)等を用いることができる。

0024

(III)BMP-2とβ-TCP多孔体とからなる偽関節治療用製剤
本発明の偽関節治療用製剤(以下、本発明製剤ともいう。)は、活性成分として、上記のAla-BMP-2及びβ-TCP多孔体のみを含有する。ここで「のみを含有する」とは、Ala-BMP-2及びβ-TCP多孔体と組み合わせた場合に、該2成分のみの場合と比較して、難治性偽関節の治療上区別できない程度で、骨再生作用に関与し得る添加剤を含むことを許容することを意味する。
本発明製剤は、骨再生作用自体に直接的に関与しない限り、他の医薬上許容される添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、例えば、生理食塩水ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール塩化ナトリウムなど)などの水性液緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミンポリエチレングリコールなど)、保存剤酸化防止剤などが挙げられる。

0025

本発明製剤は、例えば、Ala-BMP-2、好ましくは大腸菌発現系由来のAla-BMP-2の凍結乾燥物(調製法については、例えばWO 2012/029148を参照)を、適当な溶媒(例、注射用水希塩酸等の水性溶媒)に0.1〜10mg/mlの濃度となるように溶解し、得られたAla-BMP-2溶液をβ-TCP多孔体に、β-TCPのg体積あたり0.1〜10mgのBMP-2が含まれるように含浸させることにより調製することができる。

0026

得られた本発明製剤は、移植対象である哺乳動物の骨欠損部に、十分な骨再生が得られる程度のサイズ及び形状に調整して、移植することができる。哺乳動物として、例えば、イヌ、ネコ、ウサギなどのペット動物、ウシウマヒツジヤギブタなどの家畜動物マウスラットモルモットなどの実験動物、及びヒト、サルオランウータンチンパンジーなどの霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。安静を保つことの困難なヒト以外の哺乳動物では、偽関節の治療はより困難となるので、好ましい一実施態様において、本発明製剤の移植対象として、ヒト以外の哺乳動物が挙げられる。より好ましくは、ペット動物、特に好ましくは、イヌまたはネコである。

0027

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。

0028

実施例1イヌ橈骨尺骨骨折後の骨癒合不全症例に対する本発明製剤の移植
大腸菌で製造されたAla-BMP-2と連通気孔を有するβ-TCP多孔体の組合せ移植材を、自家骨の併用なしでイヌ橈骨尺骨の骨折後の骨癒合不全症例に適用した。
動物種はチワワ、年齢1メス、体重は1.35kgで、経緯として落下事故により受傷、ギプス固定による保存的治療を行ったが治癒せず、癒合不全となった。3ヵ月後に手術治療を実施した。
手術は、プレートおよびスクリューにより整復固定、骨再建術を実施した。デブリーマンによって生じた骨欠損部に、大腸菌で製造されたAla-BMP-2の溶液(WO 2012/029148に記載の凍結乾燥物を0.5mM塩酸溶媒に再溶解したもの)を、連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒(オスフェリオン(登録商標;オリンパス社製);気孔率75%、気孔経100〜400μm(1μm程度の細孔を含む)気孔性状で、顆粒径1〜3mmのもの)にしみ込ませた移植材を補填した。欠損の長さは4mmで、これは橈骨長に対して8.9%、また手術側橈骨は、健常側の橈骨長に対して83%の脚短縮となった。移植材の調製は、連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒0.25gをディッシュにとり、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2溶液(濃度1.25mg/ml)0.2mlを、β-TCP顆粒にまんべんなく滴下してしみ込ませることにより行った。すなわち、連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒0.25gに、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2が0.25mgを複合したものを移植材として使用した。

0029

術後は、X線撮影により移植部の骨再生の状態を観察した。移植したβ-TCP顆粒は経時的に不明瞭となり、骨形成の進行と母床骨との癒合の進行を伺わせた。画像上では移植部と母床との連続性が完全となり、骨再生が進行した術後18週で、荷重伝達を戻していくために、プレート両端のスクリュー各1本を残してその他のスクリューを抜去、この時点で良好に橈骨尺骨は再建されていた。さらに術後42週で、すべてのスクリューとプレートを抜去し、以降は再骨折などなく運動機能は保たれていた。

0030

実施例2ラット異所性骨化モデルにおけるBMP-2の骨誘導能の比較
大腸菌で製造されたAla-BMP-2(OB1)と市販されている哺乳動物細胞で製造した、BMP-2(製品名:Infuse メドトロニック社)について、担体をコラーゲンスポンジとした場合とβ-TCPとした場合とで比較を行った。
1.コラーゲンスポンジでの比較
週齢のラットの背部の皮膚を切開剥離し、皮下にOB1またはInfuseを含ませたコラーゲンスポンジ(テルダーミス真皮欠損用グラフト:コラーゲン単層タイプ、オリンパステルモバイオマテリアル社製)または希釈溶媒グリシンバッファー組成スクロース50 mg、グリシン250 mg、L-グルタミン酸37 mg、塩化ナトリウム1 mg、ポリソルベート801 mg(滅菌水10 mL中))又は0.5mM HCl)を含ませたコラーゲンスポンジを埋植した。埋植後、空気が入らないように縫合した。埋植は1回投与とした。埋植日を0日とし、3週間観察した。担体コラーゲンは、片側あたり5×5mm(厚みは3mm)になるように無菌的に切ったものを使用した。これに被験物質を所定量含む濃度に調製した溶液20μlを滴下して15分放置し移植材とした。具体的には、表1の通りの試験群で埋植を行った。
各ラットへの埋植については、麻酔は塩酸ケタミンケタラール、第一三共(株))及びキシラジンセラクタール2 %注射液バイエルメディカル(株))の併用麻酔(混合比3:1)を行った。術部の広い範囲を電気バリカンにて剃毛し、ヒビテンアルコール(0.5%グルコン酸クロルヘキシジンエタノール溶液、大日本住友製薬(株))で消毒後、背部4箇所(左右2箇所ずつ)に縦皮切を加え、皮下組織に移植材を埋植した。左右とも同様に埋植し、ナイロン糸もしくは絹糸で縫合した。抜糸は行わなかった。

0031

0032

3週間後、ケタセラ3:1の過麻酔下でラットを安楽死させ採血後、剖検を行い、異常の有無を確認したが異常は認められなかった。背筋膜下埋植担体を採取し、DEXA装置(DCS-600EX, ALOKA)にて埋植後の骨塩量を測定した。OB1で骨塩量が高い傾向が見られるものの、有意差は見られなかった(図1)。

0033

2.β-TCPでの比較
7週齢のラットの背部の皮膚を切開、剥離し、皮下にOB1またはInfuseを含ませたβ-TCP(スーパーポア:HOYA社製)または希釈溶媒(グリシンバッファー(組成:スクロース50 mg、グリシン250 mg、L-グルタミン酸37 mg、塩化ナトリウム1 mg、ポリソルベート801 mg(滅菌水10 mL中))又は0.5mM HCl)を含ませたβ-TCPを埋植した。埋植後、空気が入らないように縫合した。埋植は1回投与とした。埋植日を0日とし、3週間観察した。担体β-TCPは、片側あたり50mgになるように量したものを使用した。これに被験物質を所定量含む濃度に調製した溶液40μlを滴下して15分放置し移植材とした。具体的には、表2の通りの試験群で埋植を行った。
各ラットへの埋植については、麻酔は塩酸ケタミン(ケタラール、第一三共(株))及びキシラジン(セラクタール2 %注射液、バイエルメディカル(株))の併用麻酔(混合比3:1)を行った。術部の広い範囲を電気バリカンにて剃毛し、ヒビテンアルコール(0.5%グルコン酸クロルヘキシジン−エタノール溶液、大日本住友製薬(株))で消毒後、背部4箇所(左右2箇所ずつ)に縦皮切を加え、皮下組織に移植材を埋植した。左右とも同様に埋植し、ナイロン糸もしくは絹糸で縫合した。抜糸は行わなかった。

0034

0035

3週間後、ケタセラ3:1の過麻酔下でラットを安楽死させ採血後、剖検を行い、異常の有無を確認したが異常は認められなかった。背筋膜下埋植担体を採取し、DEXA装置(DCS-600EX, ALOKA)にて埋植後の骨塩量を測定した。OB1で骨塩量が著しく高く、強い骨誘導能があることが分かった(図2)。

実施例

0036

以上のように、大腸菌発現系由来Ala-BMP-2と連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒の組合せによる移植材において、その骨誘導能は動物細胞発現系由来BMP-2の連通気孔を有する多孔質β-TCP顆粒の組合せによる移植材に比べ著しく骨誘導能が高く、自家骨を用いることなく難治性の骨癒合不全を治癒し得ることが確認できた。

0037

実験的な骨欠損の修復ではなく、実際の難治性症例において有効性が判明したことから、ヒト、並びにヒト以外の哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ等のペット動物)における難治性骨癒合不全、偽関節の治療材料として、Ala-BMP-2とβ-TCP多孔体との組合せによる骨移植材は、臨床応用し得るものといえる。

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