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技術 均一加熱用の誘導加熱コイル

出願人 ザ・ボーイング・カンパニー
発明者 ジョン・アール・ハルヴィヤチェスラフ・コジコフロバート・ジェイ・ミラースティーヴン・アール・アモロジランガサミー・エランゴヴァン
出願日 2015年9月17日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-183786
公開日 2016年6月2日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-103467
状態 特許登録済
技術分野 誘導加熱一般 飛行船・気球・飛行機
主要キーワード 左コイル 中空経路 右コイル 蛇行コイル 低温スポット 幾何学的経路 追加コイル 電源配置
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図面 (12)

課題

強磁性サセプタと、加熱コイルと、AC(交流電源からなる航空機用誘導加熱着氷防止システムにおいて、低温スポットをなくして、着氷防止システムのサセプタのより均一な加熱を可能にする誘導加熱システムの構造を提供する。

解決手段

少なくとも一つの導電性コイル120が強磁性サセプタに近接して設けられる。少なくとも一つの導電性コイルは第一の電源161aによって第一の周波数電力供給される。少なくとも一つの補償コイル160が、強磁性サセプタに近接して設けられ、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置される。少なくとも一つの補償コイルは、第二のAC電源161bによって第二の周波数で電力供給される。

概要

背景

航空機用誘導加熱着氷防止システムは、典型的に、強磁性サセプタと、一つ以上の加熱コイルと、コイルにAC(交流電流を提供する電源とを含む。前縁の加熱では、サセプタは、翼の前縁のエロージョンシールドに含まれるか、又は、エロージョンシールドのすぐ後ろに配置されて、エロージョンシールドに良好に熱接触する。加熱コイルは、サセプタのすぐ後ろに配置される。AC電流がコイルを流れると、コイルが発生させる磁場が強磁性サセプタに誘導結合される。サセプタ内での磁束の変化と共に、サセプタに電流が誘導され、そして、サセプタは電気抵抗を有するので、サセプタにジュール加熱が生じる。サセプタ内のジュール加熱のエリア熱出力が、サセプタから周囲環境への熱伝達よりも大きい場合、サセプタの温度が上昇する。誘導加熱のコンセプトは、着氷防止システムにおいていくつかの利点を有する。電気的に非常に効率的であり、の形成を防止することが望まれる乗り物ビークル)の部品に熱が直ちに付与される。また、取り付けが簡単で、必要であるとしても少数ファスナ留め具)しか必要としないシステムを提供する。

乗り物に対する誘導加熱システムの設計上の制約により、螺旋パンケーキ状等の平坦なコイルの使用が推奨される。コイルは、典型的に、サセプタの輪郭に従うが、そのサセプタは、翼の前縁、エンジン室ノーズカウル等の着氷防止が望まれる表面の形状に従うように輪郭が合わせられる。螺旋パンケーキの形状は、磁場の接線成分が最小の領域を常に生じさせる。この磁場の最小が生じる理由は、この領域の両側におけるフィラメントの電流が逆方向のものであり、電流が発生させる磁場がコイルの中心において打ち消されるからである。円形の螺旋パンケーキでは、磁場の最小は、螺旋の内側原点にある。細長楕円状螺旋では、磁場の最小は、コイルの中央の線分に沿って生じる。コイルの磁場最小部に隣接するサセプタの領域は、サセプタの残りの領域よりもはるかに加熱されない。入射磁場の垂直成分が、サセプタの最小加熱を生じさせる。更に、乗り物での熱伝達はサセプタの厚さ方向を主に横断するものである。また、サセプタの厚さは薄い。従って、磁場が実質的なものであるサセプタの部分から、磁場が最小であるサセプタの部分へのサセプタ内部の熱伝達は無視できる。

こうした物理的動作条件のため、サセプタには比較的低温スポットが常に存在する。コイル全体を流れる電流は、氷が形成させる温度よりも高くこのスポットを保つのに十分なものでなければならない。この電流は、氷が形成される温度よりも高くサセプタの他の部分を保つのに必要とされるよりもはるかに多いので、サセプタの全ての部分を氷が形成される温度よりも高く保つのにちょうど十分なだけ加熱する場合よりも、誘導加熱が効率的なものではなくなる。また、サセプタの最大量加熱部分は、サセプタ近傍の乗り物の構造を熱的に損傷させるのに十分なだけ高い温度に達する可能性を有する。

従って、形状によって誘導される低温スポットをなくして、着氷防止システムのサセプタのより均一な加熱を可能にする誘導加熱システムの構造を提供することが望まれている。

本願が優先権を主張する米国出願は、本出願と同一の出願人(譲受人)の“SYSTEMS AND METHODS FOR PREDICTING AND CONTROLLING ICE FORMATION”との名称で2014年3月3日に出願された米国特許出願第14/195491号と同時係属している。

概要

強磁性サセプタと、加熱コイルと、AC(交流)電源からなる航空機用の誘導加熱着氷防止システムにおいて、低温スポットをなくして、着氷防止システムのサセプタのより均一な加熱を可能にする誘導加熱システムの構造を提供する。少なくとも一つの導電性コイル120が強磁性サセプタに近接して設けられる。少なくとも一つの導電性コイルは第一の電源161aによって第一の周波数電力供給される。少なくとも一つの補償コイル160が、強磁性サセプタに近接して設けられ、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置される。少なくとも一つの補償コイルは、第二のAC電源161bによって第二の周波数で電力供給される。A

目的

航空機用の誘導加熱着氷防止システムは、典型的に、強磁性サセプタと、一つ以上の加熱コイルと、コイルにAC(交流)電流を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

航空機飛行表面の外側に近接して設けられた強磁性サセプタ(110)と、前記強磁性サセプタ(110)に近接して設けられた少なくとも一つの導電性コイル(120)であって、第一の交流電源(161a)によって第一の周波数電力供給される少なくとも一つの導電性コイル(120)と、前記強磁性サセプタ(110)に近接して設けられ、前記少なくとも一つの導電性コイル(120)に対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、前記少なくとも一つの導電性コイル(120)によって誘導される誘導加熱カバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置された少なくとも一つの補償コイル(160)であって、第二の交流電源(161b)によって第二の周波数で電力供給される少なくとも一つの補償コイル(160)とを備えた誘導加熱システム(200)。

請求項2

前記少なくとも一つの導電性コイル(120)が第一の複数の導電性コイルを備える、請求項1に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項3

前記少なくとも一つの補償コイル(160)が第二の複数の導電性コイルを備える、請求項2に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項4

前記第一の複数の導電性コイルが一対の螺旋パンケーキコイルを備える、請求項2又は3に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項5

前記一対の螺旋パンケーキコイル(120)がノーズライン(105)周り対称であり、前記少なくとも一つの補償コイル(160)が、前記ノーズライン(105)周りで対称な前記一対の螺旋パンケーキコイル(120)の上に設けられた第三のコイルを備える、請求項4に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項6

前記第一の複数の導電性コイルが一対の螺旋パンケーキコイルを備える、請求項3から5のいずれか一項に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項7

前記一対の螺旋パンケーキコイルがノーズライン(105)周りで対称であり、前記第二の複数の導電性コイルが、前記ノーズライン(105)周りで対称な前記一対の螺旋パンケーキコイルの上に設けられた第二のコイル対(170)を備える、請求項6に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項8

前記第二の交流電源(161b)が、前記少なくとも一つの補償コイルに対して直列であり且つ前記第一の交流電源(161a)に接続された位相調整部(163)を備え、前記位相調整部(163)が、ランダムな時間に第三のコイル(160)の電流位相を変化させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項9

前記第一の複数の導電性コイルが複数のセグメント化ソレノイド(310)を備える、請求項2から8のいずれか一項に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項10

前記少なくとも一つの補償コイルが、ソレノイド(310)の隣接する対の間にそれぞれコイルループを提供するように設けられた蛇行コイル(420)を備える、請求項9に記載の誘導加熱システム(200)。

請求項11

航空機の飛行表面の除氷及び着氷防止のための均一誘導加熱を提供する方法であって、航空機の飛行表面の外側に近接して強磁性サセプタのシートを提供するステップ(602)と、強磁性サセプタ(110)を誘導加熱するように前記強磁性サセプタ(110)に近接して第一の複数の導電性コイルを設けるステップであって、前記第一の複数の導電性コイルが第一の交流電源(161a)によって第一の周波数で電力供給される、ステップと、前記強磁性サセプタ(110)に近接して少なくとも一つの補償コイル(160)を設けるステップであって、前記少なくとも一つの補償コイル(160)が、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、前記第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置され、第二の交流電源(161b)によって第二の周波数で電力供給される、ステップとを備えた方法。

請求項12

前記少なくとも一つの補償コイルが第二の複数の導電性コイルを備える、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記第二の交流電源(161b)が、前記少なくとも一つの補償コイル(160)に対して直列な電子回路を備え、前記電子回路が、前記第一の交流電源(161a)に接続され且つ前記第一の複数の導電性コイルの電流位相と比較して前記第二の複数の導電性コイルの電流位相の変化を提供するソレノイド、キャパシタ又はこれらの組み合わせを備える、請求項11に記載の方法。

請求項14

前記第一の複数の導電性コイル及び前記第二の複数の導電性コイルが、サセプタシート上に不均一な誘導加熱強度パターンを与えて、前記飛行表面の形状によって生じる気流パターンに起因したサセプタシートから隣接する周囲環境への熱伝達率の変動を補償するように配置される、請求項12又は13に記載の方法。

請求項15

加熱の均一性に影響を与えるように、前記第一の複数の導電性コイルの電流対前記第二の複数の導電性コイルの電流の比を制御するステップを更に備えた請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本開示の実施形態は、一般的に航空機着氷防止システム係り、特に第一の電力系統に接続された一対のコイルと、第二の電力系統に接続された第三のコイルとを採用して、サセプタシート均一加熱を生じさせる誘導加熱システム用のコイル形状の実施形態に関する。コイルの形状は、コイル対と第三のコイルとの間の磁束鎖交をゼロにするように決定される。

背景技術

0002

航空機用誘導加熱着氷防止システムは、典型的に、強磁性サセプタと、一つ以上の加熱コイルと、コイルにAC(交流電流を提供する電源とを含む。前縁の加熱では、サセプタは、翼の前縁のエロージョンシールドに含まれるか、又は、エロージョンシールドのすぐ後ろに配置されて、エロージョンシールドに良好に熱接触する。加熱コイルは、サセプタのすぐ後ろに配置される。AC電流がコイルを流れると、コイルが発生させる磁場が強磁性サセプタに誘導結合される。サセプタ内での磁束の変化と共に、サセプタに電流が誘導され、そして、サセプタは電気抵抗を有するので、サセプタにジュール加熱が生じる。サセプタ内のジュール加熱のエリア熱出力が、サセプタから周囲環境への熱伝達よりも大きい場合、サセプタの温度が上昇する。誘導加熱のコンセプトは、着氷防止システムにおいていくつかの利点を有する。電気的に非常に効率的であり、の形成を防止することが望まれる乗り物ビークル)の部品に熱が直ちに付与される。また、取り付けが簡単で、必要であるとしても少数ファスナ留め具)しか必要としないシステムを提供する。

0003

乗り物に対する誘導加熱システムの設計上の制約により、螺旋パンケーキ状等の平坦なコイルの使用が推奨される。コイルは、典型的に、サセプタの輪郭に従うが、そのサセプタは、翼の前縁、エンジン室ノーズカウル等の着氷防止が望まれる表面の形状に従うように輪郭が合わせられる。螺旋パンケーキの形状は、磁場の接線成分が最小の領域を常に生じさせる。この磁場の最小が生じる理由は、この領域の両側におけるフィラメントの電流が逆方向のものであり、電流が発生させる磁場がコイルの中心において打ち消されるからである。円形の螺旋パンケーキでは、磁場の最小は、螺旋の内側原点にある。細長楕円状螺旋では、磁場の最小は、コイルの中央の線分に沿って生じる。コイルの磁場最小部に隣接するサセプタの領域は、サセプタの残りの領域よりもはるかに加熱されない。入射磁場の垂直成分が、サセプタの最小加熱を生じさせる。更に、乗り物での熱伝達はサセプタの厚さ方向を主に横断するものである。また、サセプタの厚さは薄い。従って、磁場が実質的なものであるサセプタの部分から、磁場が最小であるサセプタの部分へのサセプタ内部の熱伝達は無視できる。

0004

こうした物理的動作条件のため、サセプタには比較的低温スポットが常に存在する。コイル全体を流れる電流は、氷が形成させる温度よりも高くこのスポットを保つのに十分なものでなければならない。この電流は、氷が形成される温度よりも高くサセプタの他の部分を保つのに必要とされるよりもはるかに多いので、サセプタの全ての部分を氷が形成される温度よりも高く保つのにちょうど十分なだけ加熱する場合よりも、誘導加熱が効率的なものではなくなる。また、サセプタの最大量加熱部分は、サセプタ近傍の乗り物の構造を熱的に損傷させるのに十分なだけ高い温度に達する可能性を有する。

0005

従って、形状によって誘導される低温スポットをなくして、着氷防止システムのサセプタのより均一な加熱を可能にする誘導加熱システムの構造を提供することが望まれている。

0006

本願が優先権を主張する米国出願は、本出願と同一の出願人(譲受人)の“SYSTEMS AND METHODS FOR PREDICTING AND CONTROLLING ICE FORMATION”との名称で2014年3月3日に出願された米国特許出願第14/195491号と同時係属している。

課題を解決するための手段

0007

例示的な実施形態は、航空機の飛行表面の外側に近接して設けられる強磁性サセプタを採用した誘導加熱システムを提供する。少なくとも一つの導電性コイルが、強磁性サセプタに近接して設けられる。少なくとも一つの導電性コイルは、第一の電源によって第一の周波数電力供給される。少なくとも一つの補償コイルが、強磁性サセプタに近接して設けられ、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置される。少なくとも一つの補償コイルは、第二のAC電源によって第二の周波数で電力供給される。

0008

航空機の飛行表面の除氷及び着氷防止用の均一誘導加熱を提供する方法が、本開示の実施形態によって提供され、強磁性サセプタがが、航空機の飛行表面の外側に近接して設けられる。第一の複数の導電性コイルが、強磁性サセプタに近接して設けられて、強磁性サセプタを誘導加熱する。少なくとも一つの補償コイルが、強磁性サセプタに近接して設けられ、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置される。

0009

上述の特徴、機能及び利点は、本開示の多様な実施形態において独立的に達成可能であり、又は、更に他の実施形態と組み合わせられ得るが、その更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照して明らかになるものである。

図面の簡単な説明

0010

翼の前縁上の誘導加熱システムのサセプタ及びコイルの側断面図である。
図1Aの線FIG.1B‐FIG.1Bに沿った翼長方向の部分断面図である。
図1Aの誘導加熱システムの背面図である。
一対の誘導加熱コイルと、均一加熱のための補償コイルと、これらに関連する電源との概略図である。
図2Aの誘導加熱コイル対と補償コイルとの断面図である。
誘導加熱コイルと、均一加熱のための補償コイルと、代替的な電源配置構成の概略図である。
一対の誘導加熱コイルと、均一加熱のための一対の補償コイルとの概略図である。
エンジン室の前縁用のソレノイドコイルを用いた誘導加熱システムの背面透視図である。
図4Aのソレノイドコイル誘導加熱システムの部分詳細図である。
ソレノイドコイルと、関連する補償コイルとの部分詳細図である。
本開示の実施形態を実施する航空機の飛行表面の除氷及び着氷防止のための均一誘導加熱の方法のフローチャートである。

実施例

0011

本開示の実施形態は、サセプタ全体にわたる均一加熱を提供するコイル形状を提供する。例示的な実施形態では、前縁のノーズラインに沿って最大の加熱を提供するように直列に巻かれたコイル対を採用する。各コイルによるサセプタの誘導加熱は、前縁から離れた箇所において低温スポットを有する。コイル対に対するゼロ磁束鎖交用に定められた形状を有する補償コイルが、コイル対の上に置かれ、コイル対の低温スポットにおいてサセプタに熱を提供する。コイル対に電力供給する電源とは別の独立した電源が、補償コイルに電力供給する。補償コイルの形状は、補償コイルへ繋がるコイル対からの正味の磁束が実質的にゼロになるように予め決定される。この形状は、正味ゼロの磁束結合のものであり、コイル対と補償コイルとの間の相互インダクタンスは無視できる。対称性により、補償コイルから生じる磁束によってコイル対に誘導される全電圧は実質的にゼロである。このようにして、二つの独立した電源は互いに干渉しない。エンジン室のノーズカウル用の着氷防止システムに見受けられるような螺旋パンケーキ又はトロイダル状に巻かれたセグメント化ソレノイドを、コイルに用いることができる。

0012

図面を参照すると、図1Aには、翼の前縁用の着氷防止応用の典型的な構成において、サセプタ及び加熱コイル対の側断面図が示されている。乗り物の運動方向は、典型的には図1Aの左に向かう。誘導加熱システム100は、サセプタ110と、加熱コイル対120とを有する。サセプタ110は、金属又は金属合金シートであり得る。前縁のノーズラインは符号105によって示されている。サセプタ110は、翼の前縁の形状に従う。図1Bには、図1Aのシステム100の上部に線FIG.1B‐FIG.1Bで表される断面図が示されていて、翼の長さ部分に沿うように、紙面内に伸びていく形状を示している。図1Aの線FIG.1C‐FIG.1Cに沿った加熱コイル対120の背面図に最も良く見て取れるように、コイル対120は上部コイル130及び下部コイル140を含む。上部コイル130は電流リード135を有し、下部コイル140は電流リード145を有する。矢印は、所定の時点における電流の相対方向を示す。上部コイル及び下部コイルはリード150によって電気的に接続され、両方のコイルが、ノーズライン105に沿って同じ方向の電流を有するようにする。上部コイル130によるサセプタの誘導加熱は低温スポット132を発生させ、下部コイル140によるサセプタの誘導加熱は低温スポット142を発生させる。細長の螺旋コイル130及び140の場合、磁場の最小は、コイルの中央の線分に沿って生じる。この磁場の最小が生じる理由は、この領域の両側におけるフィラメント中の電流が逆方向のものであり、これらの電流が発生させる磁場がコイルの中心において打ち消されるからである。図示される実施形態の場合、一対のコイルは、直角の角を有する一対の細長の螺旋パンケーキコイルの形状を有する。図面においては、見易くするために、巻線の数を間引いてある。螺旋の形状及び巻線の数は、必要に応じて、サセプタに望まれる誘導加熱を提供するように実際の実施形態では異なり得る。

0013

均一加熱用の誘導加熱コイルの例示的な実施形態の基本構成図2A及び図2Bに示されている。誘導加熱システム200は、図1A図1Cに示される誘導加熱システム100の構成要素と共に、補償コイルである第三のコイル160を含み、その第三のコイル160は電流リード162及び164を有する。図示されている実施形態では、第三のコイル160は、コイル対120の頂部(インボード)に取り付けられ、第三のコイル160は、コイル対120のように、ノーズライン105周り対称である。コイル対120から第三のコイル160への正味の磁束鎖交が実質的にゼロになる幾何学的関係性、つまり、正味ゼロの磁束条件又は磁束鎖交のない条件で、第三のコイル160がコイル対120の上に置かれる。図2Aでは、第三のコイル160は、直角の角を有する一巻で示されており、磁場の最小が生じて両側のフィラメントの電流が逆方向のものであるコイル対120の各コイルの中央の線分の上に整列したコイルの部分に取り付けられている。代替実施形態では、第三のコイル160は、多様な幾何学的形状を有する任意の巻き数を有し得て、コイル対120に対して正味ゼロの磁束条件を提供するように配置される。同様に、上部コイル130及び下部コイル140の巻き数は、図2Aに示されるものよりも少なくも多くもなり得る。図2Aでは、上部コイル130及び下部コイル140はノーズライン105周りで対称に示されているが、一般的にこれは制約されるものではなく、特に、翼の前縁の上部は通常その下部とは異なる形状を有するので、このように制約されるものではない。非対称な対を用いても、コイルフィラメント間の間隔と、第三のコイル160の幾何学的経路を調整することによって、正味ゼロの磁束鎖交条件を維持することができる。

0014

図2A及び図2Bの例示的な実施形態では、コイル対120及び第三のコイル160は、独立した電源161a及び161bを有し、二つの電源の周波数は異なる。実際の実施形態では、周波数の差は非常に小さなものであり得る。これら三つのコイルが全て同じ周波数で一定の位相差で動作しても、コイル対の低温スポットはなくならず、単に別の箇所に移動するだけである。コイル対120とは異なる周波数で第三のコイル160を動作させることが、第三のコイルの平均加熱をコイル対の平均加熱に対して加算的なものにすることを保証する。

0015

図2Cに示される代替実施形態では、コイル対120及び第三のコイル160が、同じ電源161に接続されて、コイル対120が第三のコイル160と並列にされる。しかしながら、第三のコイル160は位相調整部163を有し、その位相調整部163は、第三のコイルに直列な電子回路としてのソレノイド、キャパシタ、又はこれらの組み合わせを採用し得て、第三のコイルにランダムな時間で電流の位相変化を与える第一のAC電源161に接続される。第三のコイル160の存在は、コイル対のみの場合と比較して、加熱均一性の大幅な改善を与えるが、図2A及び図2Cの水平方向及び垂直方向の両方におけるフィラメント間隔を調整することによって、更に加熱均一性を改善することができる。コイル対120の電流対第三のコイル160の電流の比を、少なくとも一方の電源に関係するマイクロプロセッサ制御装置165又は同様の制御装置によって制御することで、加熱均一性に影響を与えることもできる。実際の着氷防止応用では、絶対的な均一性は望まれないものとなり得る。例えば、周囲環境への最大の熱伝達は、典型的には、前縁のノーズラインに沿ったものであり、ノーズラインから離れると減少する。一般的に、実際の熱伝達分布は、乗り物の相対速度及び気流に対する迎え角に依存する。上述の電流制御を用いると、予測される周囲環境への熱伝達率に一致するようにサセプタの加熱を調整することができる。

0016

コイルペア120に対するゼロ磁束鎖交は、複数のコイル、複数層のコイルを用いても達成可能である。例えば、図2Aの補償コイルである第三のコイル160を、図3に示されるような左コイル180及び右コイル190から成る第二のコイル対170に置き換えることができる。また、第三の独立電源によって電力供給される第三のコイル層を、第二のコイル対170によって形成される第二のコイル層の上に追加することもできる。コイル対の代わりに、三つ以上のコイルがコイル層を形成することができる。

0017

翼の前縁等の表面に対する実質的に対称な加熱用のコイル対を有する実施形態について説明してきたが、誘導加熱用単一コイルが、同様の低温スポットを有し、その単一コイルに対して正味ゼロの磁束形状を有する補償コイルを採用して、低温スポットの均一加熱を提供することができる。

0018

螺旋パンケーキ型のコイル形状に加えて、エンジン室のノーズカウルに対する着氷防止に使用され得るもの等のトロイダル状に巻かれたセグメント化ソレノイドコイルを採用した実施形態で、均一加熱を改善するゼロ磁束形状を実現することができる。図4Aは、このようなソレノイドコイルを用いたノーズカウルの着氷防止のための基本的な誘導加熱システムを示す。図4Bに詳細が示されるように、コイルは、ノーズカウル320内部にトロイダル状に巻かれて配置された一組のセグメント化ソレノイド310から成る。図4A及び図4Bでは、見易くするためにコイルワイヤの直径は誇張されている。ソレノイド310は、直列に、並列に、又は直列及び並列の組み合わせで互いに配線され得る。ノイズを減らすためにノーズカウルでは中空経路が使用されることが多く、ノーズカウル320は、エロージョンシールドに必要な厚さよりも厚く示されている。サセプタ330も、図示されている実施形態ではエロージョンシールドであり、ノーズカウル320を覆う。ソレノイド内部の磁束の方向は矢印340で示されている。図4に見て取れるように、ソレノイドの極性は、コイルセグメント円周上で交互になっている。この構成はサセプタ330を効率的に加熱するが、隣接するソレノイドからの接線成分の磁束が打ち消される箇所においてサセプタに低温スポット350を生じさせる。

0019

図5に示されるのは、ソレノイドに対して正味ゼロの磁束形状を提供する追加コイルを、このタイプの構成における低温スポットをなくすための補償コイルとして採用したものである。図5では、見易くするために、ノーズカウルを示していない。セグメント化ソレノイド310に加えて、補償コイルとして機能する蛇行コイル420が誘導加熱システム400に配置されている。蛇行コイル420は、ソレノイド310の隣接する対の間にそれぞれコイルループを提供し、また、セグメント化ソレノイド310の低温部分において接線方向の磁束を提供する。螺旋パンケーキコイルの場合と同様に、蛇行コイル420は、セグメント化ソレノイド310のものとは異なる電源から電力供給される。更に、蛇行コイルをくぐるソレノイドからの正味の磁束は実質的にゼロであり、二つの独立電源間には干渉がない。

0020

図6に示されるように、本開示の実施形態は、航空機の飛行表面の除氷及び着氷防止用の均一誘導加熱の方法を提供する。ステップ602において、強磁性サセプタシートが、航空機の飛行表面の外側に設けられる。ステップ604において、第一の複数の導電性コイルが、強磁性サセプタシートを誘導加熱するように強磁性サセプタシートに近接して設けられる。第一の複数の導電性コイルは、第一のAC電源によって第一の周波数で電力供給される。ステップ606において、少なくとも一つのコイルを有する補償コイル又は第二の複数の導電性コイルが、強磁性サセプタシートに近接して設けられ、第一の複数の導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置される。第二の複数の導電性コイルは、第二のAC電源によって第二の周波数で電力供給される。

0021

ステップ608では、選択された実施形態について、第一の複数の導電性コイルと、補償コイル又は第二の複数の導電性コイルとは、サセプタシート上に所定の不均一な誘導加熱強度パターンを与えるように配置されて、飛行表面の形状によって生じる気流パターンに起因したサセプタシートから隣接する周囲環境への熱伝達率の変動を補償する。また、ステップ610において、第一の複数の導電性コイルの電流対第二の複数の導電性コイルの電流の比を少なくとも一方の電源に関係するマイクロプロセッサ制御装置又は同様の制御装置によって制御することで、加熱の均一性に影響を与えることができる。

0022

更に、本開示は、以下の項に係る実施形態を有する。

0023

項1
航空機の飛行表面の外側に近接して設けられた強磁性サセプタと、
強磁性サセプタに近接して設けられた少なくとも一つの導電性コイルであって、第一のAC電源によって第一の周波数で電力供給される少なくとも一つの導電性コイルと、
強磁性サセプタに近接して設けられ、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、少なくとも一つの導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置された少なくとも一つの補償コイルであって、第二のAC電源によって第二の周波数で電力供給される少なくとも一つの補償コイルとを備えた誘導加熱システム。

0024

項2
少なくとも一つの導電性コイルが第一の複数の導電性コイルを備える、項1に記載の誘導加熱システム。

0025

項3
少なくとも一つの補償コイルが第二の複数の導電性コイルを備える、項2に記載の誘導加熱システム。

0026

項4
第一の複数の導電性コイルが一対の螺旋パンケーキコイルを備える、項2又は3に記載の誘導加熱システム。

0027

項5
一対の螺旋パンケーキコイルがノーズライン周りで対称であり、少なくとも一つの補償コイルが、ノーズライン周りで対称な螺旋パンケーキコイル対の上に設けられた第三のコイルを備える、項4に記載の誘導加熱システム。

0028

項6
少なくとも一つの補償コイルが第二の複数の導電性コイルを備える、項2から5のいずれか一項に記載の誘導加熱システム。

0029

項7
第一の複数の導電性コイルが一対の螺旋パンケーキコイルを備える、項6に記載の誘導加熱システム。

0030

項8
一対の螺旋パンケーキコイルがノーズライン周りで対称であり、第二の複数の導電性コイルが、ノーズライン周りで対称な螺旋パンケーキコイル対の上に設けられた第二のコイル対を備える、項7に記載の誘導加熱システム。

0031

項9
第二のAC電源が、少なくとも一つの補償コイルに対して直列であり且つ第一のAC電源に接続された位相調整部を備え、位相調整部がランダムな時間に第三のコイルの電流位相を変化させる、項1から8のいずれか一項に記載の誘導加熱システム。

0032

項10
位相調整部が、一組のソレノイド、キャパシタ、又はこれらの組み合わせから選択されている、項9に記載の誘導加熱システム。

0033

項11
第一の複数の導電性コイルが複数のセグメント化ソレノイドを備える、項2から10のいずれか一項に記載の誘導加熱システム。

0034

項12
少なくとも一つの補償コイルが、ソレノイドの隣接する対の間にそれぞれコイルループを提供するように設けられた蛇行コイルを備える、項11に記載の誘導加熱システム。

0035

項13
航空機の飛行表面の除氷及び着氷防止のための均一誘導加熱を提供する方法であって、
航空機の飛行表面の外側に近接して強磁性サセプタのシートを設けるステップと、
強磁性サセプタを誘導加熱するように強磁性サセプタに近接して第一の複数の導電性コイルを設けるステップであって、第一の複数の導電性コイルが第一のAC電源によって第一の周波数で電力供給される、ステップと、
強磁性サセプタに近接して少なくとも一つの補償コイルを設けるステップであって、少なくとも一つの補償コイルが、少なくとも一つの導電性コイルに対して実質的に正味ゼロの磁束を与えるように決定された形状を有し、第一の複数の導電性コイルによって誘導される誘導加熱がカバーしない箇所に誘導加熱を誘導するように配置され、第二のAC電源によって第二の周波数で電力供給される、ステップとを備えた方法。

0036

項14
少なくとも一つの補償コイルが第二の複数の導電性コイルを備える、項13に記載の方法。

0037

項15
航空機の飛行表面が翼又はエンジン室の前縁を備える、項13又は14に記載の方法。

0038

項16
第二のAC電源が、少なくとも一つの補償コイルに対して直列の電子回路を備え、電子回路が、第一のAC電源に接続され且つ第一の複数の導電性コイルの電流位相と比較して第二の複数の導電性コイルの電流位相の変化を与えるソレノイド、キャパシタ又はこれらの組み合わせを備える、項13から15のいずれか一項に記載の方法。

0039

項17
第一の複数の導電性コイル及び第二の複数の導電性コイルが、サセプタシート上に所定の不均一な誘導加熱強度パターンを与えて、飛行表面の形状によって生じる気流パターンに起因したサセプタシートから隣接する周囲環境への熱伝達率の変動を補償するように配置される、項14から16のいずれか一項に記載の方法。

0040

項18
加熱の均一性に影響を与えるように第一の複数の導電性コイルの電流対第二の複数の導電性コイルの電流の比を制御するステップを更に備えた項14から17のいずれか一項に記載の方法。

0041

項19
電流の比を制御するステップが、少なくとも一方の電源に関連したマイクロプロセッサ制御装置によって達成される、項18に記載の方法。

0042

特許法による要請により本開示の多様な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者は、本開示の具体的な実施形態に対する修正及び置換を認識するものである。こうした修正も、添付の特許請求の範囲に定められる本開示の範囲及び目的の中にある。

0043

105ノーズライン
110サセプタ
120導電性コイル
160補償コイル
161電源
163位相調整部
165マイクロプロセッサ制御装置
200 誘導加熱システム

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