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技術 リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 申ソクチョル木村尚貴關栄二
出願日 2014年11月27日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2014-239948
公開日 2016年6月2日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-103337
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池用電極の担体または集電体 電池の電極及び活物質
主要キーワード 熱溶着樹脂 粒子崩壊 カットオフ電流 封止箇所 積算分布曲線 複合粒子間 熱溶着強度 未使用セル
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図面 (12)

課題

シリコン又はシリコン化合物を含む負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、電池膨張を抑制し、高エネルギー密度を達成することが可能なリチウムイオン二次電池及びその製造方法の提供。

解決手段

シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含む負極活物質を有し、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素との質量混合比は、20:80〜50:50であり、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90をx、炭素の粒子のD50をy及び炭素の質量混合比をzとしたときに、x、y及びzは、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつxは2〜10μm、yは10〜23μm及びzは50〜80質量%であり、負極の満充電時の膨張率は、110〜140%であるリチウムイオン二次電池。

概要

背景

リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池等と比べてエネルギー密度が大きく、例えば、携帯電子機器電源として用いられている。近年ではさらに、ハイブリット自動車電気自動車などの車載用電源定置無停電電源、及び電力平準化用電源等、中・大型用途への適用が進められている。例えば、電気自動車には走行距離長距離化の向上の要求があり、このような要求を満たすために、リチウムイオン二次電池には、さらなる高エネルギー密度化高容量化)が望まれている。

近年、高エネルギー密度化に向け、負極活物質として、シリコン(Si)合金を用いたリチウムイオン二次電池が期待されている。Si合金とは、金属ケイ素(Si)の微細粒子が他の金属元素の各粒子中に分散された状態となっているか、又は他の金属元素がSiの各粒子中に分散された状態となっているものである。他の金属元素は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)又はマンガン(Mn)のいずれか1種類以上を含むものである。Si合金の放電容量は、黒鉛と比べて非常に高いが、満充電時の体積膨張率が約200〜300%であり、この体積膨張に対して何ら対策を講じない場合、サイクルに伴い電極崩壊欠落し、容量が低下するだけではなく、電池膨張させ実電池として成立しないおそれがある。そのため、Si合金を負極に適用するためには、膨張抑制が大きな課題である。

負極の膨張を抑制する技術として、例えば特許文献1(特開2005‐293943号公報)には、リチウム吸蔵放出可能な金属又はその化合物電子伝導性材料とからなる複合粒子を含む負極合剤層を備えた非水電解質二次電池において、上記複合粒子の積算分布曲線における、粒子径の小さい方から積算して合計個数50%の粒子径をD50(μm)、前記負極合剤層の片面の厚さをT(μm)とした場合、0.5<D50/T<1であることを特徴とする非水電解質二次電池が開示されている。特許文献1によれば、負極合剤層の厚さに対する負極活物質を含む複合粒子径が相対的に大きいので、負極合剤層中の単位体積当たりに含まれる複合粒子の数を少なくすることができ、その結果、充放電サイクルにともなって複合粒子の体積変化が生じた場合でも、複合粒子と複合粒子間および複合粒子と導電剤間の接触不良個所が少ないので、膨れの小さい非水電解質二次電池を得ることができるとされている。

特許文献2(特開2006‐253126号公報)には、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な非水電解質二次電池用負極活物質であって、Ti及びZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、上記黒鉛材料の表面が上記合金材料により被覆されていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質が開示されている。特許文献2によれば、合金材料と黒鉛材料とを併用した負極において、合金材料の膨張に伴う電池特性の低下を抑制できるため、高容量で、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できるとされている。

特許文献3(特開2010‐108944号公報)には、正極、負極、非水電解質を有する非水二次電池に於いて、該正極はリチウム含有遷移金属酸化物を含有し、該負極はリチウムの挿入放出可能なケイ素原子を含む化合物を含有し、さらに該負極のリチウム挿入に伴う膨張率が1.05以上3.0以下であること及び該ケイ素化合物平均粒子サイズが0.001〜5μmであることを特徴とする非水二次電池が開示されている。特許文献3によれば、「超微粒子」のケイ素化合物を用いることにより、負極の膨張率が小さくなりサイクル寿命が一層改良されるとされている。

特許文献4(国際公開第2013/027686号)には、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法であって、比表面積30m2/g以上の黒鉛と、リチウムイオン化合可能な電池活物質とを混合して、混合物を得る混合工程と、該混合物に球形化処理を施し、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する球形化工程とを有する、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法が開示されている。特許文献4によれば、黒鉛と電池活物質との間の接触頻度密着注が良好であり、その結果、電池活物質に高い導電性を付与し、かつ、充放電サイクルに伴う電池活物質の粒子崩壊による導電パスの欠落をも回避することが可能となり、結果としてリチウム二次電池の高いサイクル特性を実現することが出来るとされている。

特許文献5(国際公開第2013/069197号)には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であってリチウムと合金化反応可能な元素又は/及びリチウムと合金化反応可能な元素化合物からなる負極活物質粒子を含む負極材であって、上記前記負極活物質粒子は、全体を100体積%としたときに、その85体積%以上が粒径1μm以上であり、且つBET比表面積が6m2/g以下で、前記負極活物質粒子のD50が4.5μm以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材が開示されている。また、負極活物質粒子のSiO2相は、SiO2からなり、Si相の膨張・収縮を吸収すること、Si相がSiO2相により被覆されることで、Si相とSiO2相とからなる負極活物質粒子を形成しているとよいこと、微細化された複数のSi相がSiO2相により被覆されて一体となって、1つの粒子、即ち負極活物質粒子を形成しているとよく、この場合には、負極活物質粒子全体の体積変化を効果的に抑えることができるとされている。

特許文献6(国際公開第2013/054481号)には、正極と、SiOx(0.5≦x≦1.5)及び黒鉛を含む負極活物質を有する負極と、を有し、上記SiOx及び上記黒鉛を100質量%としたときのSiOxの配合割合は27質量%〜51質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池が開示されている。特許文献6によれば、活物質層において、黒鉛粉末が形成する空隙内にSiOx粉末が配置され、かつSiOx粉末が膨張しても、SiOx粉末及び黒鉛粉末が活物質層の厚み方向に膨張しないように再配置されるため、SiOx粉末が膨張しても、負極の厚み方向への体積変化は抑制されるとされている。

特許文献7(特開2013‐101921号公報)には、集電体と該集電体の表面に形成された活物質層とを有するリチウムイオン二次電池用負極において、上記活物質層は、活物質バインダー、及び緩衝材を含み、上記活物質はSiOx粉末(0.5≦x≦1.5)からなり、上記緩衝材は黒鉛粉末からなり、上記SiOx粉末のD50は、上記黒鉛粉末のD50の1/4〜1/2であり、上記黒鉛粉末の配合量は、上記黒鉛粉末の質量と上記SiOx粉末の質量を合計したものを100質量%としたときに36質量%〜61質量%であり、上記バインダーの含有量は上記活物質層全体の質量を100質量%とした時に5質量%〜25質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極が開示されている。特許文献7によれば、負極の体積変化を抑制しうるリチウムイオン二次電池とすることができるとされている。

概要

シリコン又はシリコン化合物を含む負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、電池の膨張を抑制し、高エネルギー密度を達成することが可能なリチウムイオン二次電池及びその製造方法の提供。シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含む負極活物質を有し、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素との質量混合比は、20:80〜50:50であり、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90をx、炭素の粒子のD50をy及び炭素の質量混合比をzとしたときに、x、y及びzは、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつxは2〜10μm、yは10〜23μm及びzは50〜80質量%であり、負極の満充電時の膨張率は、110〜140%であるリチウムイオン二次電池。

目的

例えば、電気自動車には走行距離の長距離化の向上の要求があり、このような要求を満たすために、リチウムイオン二次電池には、さらなる高エネルギー密度化(高容量化)が望まれている

効果

実績

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牽制数
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請求項1

リチウム吸蔵放出可能な正極と、リチウムを吸蔵放出可能な負極と、前記正極と前記負極とを仕切セパレータと、電解質と、を含み、前記負極は、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含む負極活物質を有し、前記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと前記炭素との質量混合比は、20:80〜50:50であり、前記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90をx、前記炭素の粒子のD50をy及び前記炭素の質量混合比をzとしたときに、前記x、y及びzは、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつ前記xは2μm以上10μm以下、前記yは10μm以上23μm以下及び前記zは50質量%以上80質量%以下であり、前記負極の満充電時の膨張率は、110%以上140%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池

請求項2

前記負極は、前記負極活物質を含む負極合剤層を有し、前記負極合剤層の空隙率は、15%以上35%以下であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。

請求項3

前記シリコン化合物は、シリコン合金であり、前記シリコン合金中のシリコンの添加量が50at%以上90at%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。

請求項4

前記シリコン化合物は、酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。

請求項5

前記負極は、集電箔の表面に前記負極合剤層が形成されたものであり、前記集電箔は、銅箔又はステンレス箔からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。

請求項6

前記負極合剤層は、結着材を含み、前記結着材は、ポリイミドポリアミドイミド又はポリアミドのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。

請求項7

負極活物質として、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含むリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90及び前記炭素の粒子のD50を調整する粒径調整工程を有し、前記粒径調整工程は、超微粉風力分級又はふるい網分級にて前記D90及び前記D50を調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。

請求項8

前記D90をx、前記D50をy及び前記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つに対する前記炭素の質量混合比をzとしたときに、前記x、y及びzが、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつ前記xは2μm以上10μm以下、前記yは10μm以上23μm以下及び前記zは50質量%以上80質量%以下となるように、前記粒径調整工程にて前記x及び前記yを調整することを特徴とする請求項7記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池等と比べてエネルギー密度が大きく、例えば、携帯電子機器電源として用いられている。近年ではさらに、ハイブリット自動車電気自動車などの車載用電源定置無停電電源、及び電力平準化用電源等、中・大型用途への適用が進められている。例えば、電気自動車には走行距離長距離化の向上の要求があり、このような要求を満たすために、リチウムイオン二次電池には、さらなる高エネルギー密度化高容量化)が望まれている。

0003

近年、高エネルギー密度化に向け、負極活物質として、シリコン(Si)合金を用いたリチウムイオン二次電池が期待されている。Si合金とは、金属ケイ素(Si)の微細粒子が他の金属元素の各粒子中に分散された状態となっているか、又は他の金属元素がSiの各粒子中に分散された状態となっているものである。他の金属元素は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)又はマンガン(Mn)のいずれか1種類以上を含むものである。Si合金の放電容量は、黒鉛と比べて非常に高いが、満充電時の体積膨張率が約200〜300%であり、この体積膨張に対して何ら対策を講じない場合、サイクルに伴い電極崩壊欠落し、容量が低下するだけではなく、電池膨張させ実電池として成立しないおそれがある。そのため、Si合金を負極に適用するためには、膨張抑制が大きな課題である。

0004

負極の膨張を抑制する技術として、例えば特許文献1(特開2005‐293943号公報)には、リチウム吸蔵放出可能な金属又はその化合物電子伝導性材料とからなる複合粒子を含む負極合剤層を備えた非水電解質二次電池において、上記複合粒子の積算分布曲線における、粒子径の小さい方から積算して合計個数50%の粒子径をD50(μm)、前記負極合剤層の片面の厚さをT(μm)とした場合、0.5<D50/T<1であることを特徴とする非水電解質二次電池が開示されている。特許文献1によれば、負極合剤層の厚さに対する負極活物質を含む複合粒子径が相対的に大きいので、負極合剤層中の単位体積当たりに含まれる複合粒子の数を少なくすることができ、その結果、充放電サイクルにともなって複合粒子の体積変化が生じた場合でも、複合粒子と複合粒子間および複合粒子と導電剤間の接触不良個所が少ないので、膨れの小さい非水電解質二次電池を得ることができるとされている。

0005

特許文献2(特開2006‐253126号公報)には、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な非水電解質二次電池用負極活物質であって、Ti及びZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、上記黒鉛材料の表面が上記合金材料により被覆されていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質が開示されている。特許文献2によれば、合金材料と黒鉛材料とを併用した負極において、合金材料の膨張に伴う電池特性の低下を抑制できるため、高容量で、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できるとされている。

0006

特許文献3(特開2010‐108944号公報)には、正極、負極、非水電解質を有する非水二次電池に於いて、該正極はリチウム含有遷移金属酸化物を含有し、該負極はリチウムの挿入放出可能なケイ素原子を含む化合物を含有し、さらに該負極のリチウム挿入に伴う膨張率が1.05以上3.0以下であること及び該ケイ素化合物平均粒子サイズが0.001〜5μmであることを特徴とする非水二次電池が開示されている。特許文献3によれば、「超微粒子」のケイ素化合物を用いることにより、負極の膨張率が小さくなりサイクル寿命が一層改良されるとされている。

0007

特許文献4(国際公開第2013/027686号)には、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法であって、比表面積30m2/g以上の黒鉛と、リチウムイオン化合可能な電池活物質とを混合して、混合物を得る混合工程と、該混合物に球形化処理を施し、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する球形化工程とを有する、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法が開示されている。特許文献4によれば、黒鉛と電池活物質との間の接触頻度密着注が良好であり、その結果、電池活物質に高い導電性を付与し、かつ、充放電サイクルに伴う電池活物質の粒子崩壊による導電パスの欠落をも回避することが可能となり、結果としてリチウム二次電池の高いサイクル特性を実現することが出来るとされている。

0008

特許文献5(国際公開第2013/069197号)には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であってリチウムと合金化反応可能な元素又は/及びリチウムと合金化反応可能な元素化合物からなる負極活物質粒子を含む負極材であって、上記前記負極活物質粒子は、全体を100体積%としたときに、その85体積%以上が粒径1μm以上であり、且つBET比表面積が6m2/g以下で、前記負極活物質粒子のD50が4.5μm以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材が開示されている。また、負極活物質粒子のSiO2相は、SiO2からなり、Si相の膨張・収縮を吸収すること、Si相がSiO2相により被覆されることで、Si相とSiO2相とからなる負極活物質粒子を形成しているとよいこと、微細化された複数のSi相がSiO2相により被覆されて一体となって、1つの粒子、即ち負極活物質粒子を形成しているとよく、この場合には、負極活物質粒子全体の体積変化を効果的に抑えることができるとされている。

0009

特許文献6(国際公開第2013/054481号)には、正極と、SiOx(0.5≦x≦1.5)及び黒鉛を含む負極活物質を有する負極と、を有し、上記SiOx及び上記黒鉛を100質量%としたときのSiOxの配合割合は27質量%〜51質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池が開示されている。特許文献6によれば、活物質層において、黒鉛粉末が形成する空隙内にSiOx粉末が配置され、かつSiOx粉末が膨張しても、SiOx粉末及び黒鉛粉末が活物質層の厚み方向に膨張しないように再配置されるため、SiOx粉末が膨張しても、負極の厚み方向への体積変化は抑制されるとされている。

0010

特許文献7(特開2013‐101921号公報)には、集電体と該集電体の表面に形成された活物質層とを有するリチウムイオン二次電池用負極において、上記活物質層は、活物質バインダー、及び緩衝材を含み、上記活物質はSiOx粉末(0.5≦x≦1.5)からなり、上記緩衝材は黒鉛粉末からなり、上記SiOx粉末のD50は、上記黒鉛粉末のD50の1/4〜1/2であり、上記黒鉛粉末の配合量は、上記黒鉛粉末の質量と上記SiOx粉末の質量を合計したものを100質量%としたときに36質量%〜61質量%であり、上記バインダーの含有量は上記活物質層全体の質量を100質量%とした時に5質量%〜25質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極が開示されている。特許文献7によれば、負極の体積変化を抑制しうるリチウムイオン二次電池とすることができるとされている。

先行技術

0011

特開2005‐293943号公報
特開2006‐253126号公報
特開2010‐108944号公報
国際公開第2013/069197号
国際公開第2013/027686号
国際公開第2013/054481号
特開2013‐101921号公報

発明が解決しようとする課題

0012

特許文献1では、負極活物質として酸化ケイ素(SiO)及び炭素(C)の複合微粒子のみが検討されており、純Si及びSi合金については、何ら検討がなされていない。純Si及びSi合金はSiOよりも体積膨張率が大きい又は同程度なので、純Si及びSi合金にも適用することができる負極膨張抑制技術が必要である。

0013

特許文献2は、負極活物質として、黒鉛の表面が、Ti及びZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料で被覆されている非水電解質二次電池用負極活物質が記載されている。しかしながら、特許文献2で用いられているようなSi合金被覆黒鉛は被覆工程が必要であり、製造プロセス及びコストの観点で改善が望まれる。また、電極合剤層空隙率が40〜45%と非常に大きいため、高エネルギー密度が得られない。このように高エネルギー密度が得られないほど空隙が多ければ、膨張が抑制されることは当然である。

0014

特許文献3では、負極材料(負極活物質)として、平均粒子サイズ0.001〜5μmのSi化合物(超微粒子)と黒鉛の混合物が検討されているが、Si又はSi化合物の粒径、黒鉛の粒径及び黒鉛の質量混合比と膨張率の関係については、何ら検討がなされていない。

0015

特許文献4では、黒鉛の比表面積を30m2/g以上にした上で、Si化合物と黒鉛の混合物を球形状に造粒成形する球形化工程が必須となっており、製造プロセス及びコストの観点で改善が望まれる。

0016

特許文献5では、負極活物質粒子(SiO粉末)の粒度分布及びBET比表面積を制御しているが、Si又はSi化合物の粒径、黒鉛の粒径及び黒鉛の質量混合比と膨張率の関係については、何ら検討がなされていない。

0017

特許文献6及び7でも、特許文献1と同様にSi化合物としてSiOxを対象としており、純Si及びSi合金については検討されていない。SiOよりも体積膨張率が大きい又は同程度なので、Si合金にも適用することができる負極膨張抑制技術が必要である。また、特許文献6では、黒鉛粉末が形成する空隙内にSiOx粉末が配置され、SiOx粉末が膨張しても、負極の厚みが厚くならないようにSiOx粉末及び黒鉛粉末が幅方向にずれ、再配置されることが記載されているが、幅方向の膨張を抑制することについては何ら考慮されておらず、電池の膨張を十分に抑制できないおそれがある。電池の膨張を抑制するためには、電極の厚み方向だけでなく、幅方向の膨張を抑制することも必要である。

0018

本発明は、上記事情に鑑み、シリコン又はシリコン化合物を含む負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、電池の膨張を抑制し、高エネルギー密度を達成することが可能なリチウムイオン二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0019

本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記目的を達成するため、リチウムを吸蔵放出可能な正極と、リチウムを吸蔵放出可能な負極と、上記正極と上記負極とを仕切セパレータと、電解質と、を含み、上記負極は、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含む負極活物質を有し、上記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと上記炭素との質量混合比は、20:80〜50:50であり、上記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90をx、上記炭素の粒子のD50をy及び上記炭素の質量混合比をzとしたときに、上記x、y及びzは、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつ上記xは2μm以上10μm以下、上記yは10μm以上23μm以下及び上記zは50質量%以上80質量%以下であり、上記負極の満充電時の膨張率は、110%以上140%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池を提供する。

0020

また、本発明は、負極活物質として、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つと炭素とを含むリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90及び前記炭素の粒子のD50を調整する粒径調整工程を有し、前記粒径調整工程は、超微粉風力分級又はふるい網分級にて前記D90及び前記D50を調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。

発明の効果

0021

本発明によれば、シリコン又はシリコン化合物を含む負極活物質を用い、負極及び電池の膨張を抑制(負極の満充電時の膨張率が110%以上140%以下)し、高エネルギー密度を達成することが可能なリチウムイオン二次電池及びその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0022

従来のリチウムイオン二次電池における負極膨張機構を示す断面模式図である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第1の例(小粒径Si適用)を示す断面模式図である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第2の例(小粒径炭素適用)を示す断面模式図である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第3の例(小粒径Si及び小粒径炭素適用)を示す断面模式図である。
ラミネートセルを模式的に示す分解斜視図である。
ラミネートセル内部の積層型電極群を模式的に示す分解斜視図である。
実施例1〜16と比較例1〜6のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである(z=50)。
実施例1〜16と比較例1〜6のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである(z=70)。
実施例17〜28と比較例7〜15のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである(z=50)。
実施例17〜28と比較例7〜15のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである(z=70)。
実施例17〜28と比較例7〜15のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである(z=80)。

0023

以下、本発明に係るリチウムイオン二次電池について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態に限定されるものではない。

0024

[本発明の基本思想]
本発明は、シリコン又はシリコン化合物と炭素とを含む負極の膨張を抑制するために、シリコン又はシリコン化合物と炭素の粒径をそれぞれ制御する。以下、負極活物質粒子の粒径制御と負極の膨張抑制との関連について詳述する。

0025

図1は、従来のリチウムイオン二次電池における負極膨張機構を示す断面模式図である。図1に示すように、負極100´は、集電箔101´の表面に負極合剤層105´を有するものであり、負極合剤層105´は、負極活物質として炭素粒子102´(例えば、平均粒径25μm)及びSi粒子103´(例えば、平均粒径10μm)を有する。リチウムイオン二次電池の充電時に、Si粒子103´にリチウムイオン(Li+)が挿入されると、Si粒子103´はLi3.75Si(Li‐Si)104´を形成し、体積が充電前の約4倍に膨張する。Si粒子103´の膨張によって、負極合剤層105´も膨張する。

0026

そこで、本発明は(i)Siの小粒径化、(ii)炭素の小粒径化及び(iii)Si及び炭素の小粒径化によって、負極の膨張を抑制する。以下、図2Aを用いて(i)を、図2Bを用いて(ii)を、図2Cを用いて(iii)を説明する。

0027

図2Aは、本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第1の例(小粒径Si適用)を示す断面模式図である。図2Aに示すように、Si粒子103を小粒径化(粗大なSi粒子を除去)することで(例えば、SiのD90が2.2μm)、負極合剤層105中の空隙が多くなる。このため、Si粒子103が膨張しても、空隙が膨張吸収空間となり、負極合剤層105全体で膨張を小さく抑えることができる。

0028

図2Bは、本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第2の例(小粒径炭素適用)を示す断面模式図である。図2Bに示すように、負極合剤層105を占める割合が高い炭素を小粒径化することで(例えば、炭素のD50が12.0μm)、Si粒子103の分散性が向上され、Si粒子同士が膨張し合うことなく、Si粒子の膨張を電極全体に分散させることができ、負極合剤層105全体で膨張を小さく抑えることができる。

0029

図2Cは、本発明に係るリチウムイオン二次電池における負極膨張抑制機構の第3の例(小粒径Si及び小粒径炭素適用)を示す断面模式図である。図2CではSi粒子103及び炭素粒子102の両方を小粒径化することで上述した(i)及び(ii)の効果を合わせて負極合剤層105全体の膨張を抑制することができる。

0030

上記(i)〜(iii)によって、負極の幅方向及び厚み方向の膨張を抑制することができる。上記効果を得るためには、Si粒子103と炭素粒子102のそれぞれの粒径を制御することに加え、Si粒子103と炭素粒子102の質量混合比を制御することが重要である。以下に、本発明に係るリチウムイオン二次電池について詳述する。

0031

[リチウムイオン二次電池]
<負極>
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極の負極活物質としてシリコン(純Si)又はシリコン化合物(Si合金(例えば、Si‐Ti‐Fe、Si‐Fe、Si‐Al‐Ni、Si‐Al、Si‐Cu、Si‐Ti及びSi‐Mn合金)及び酸化ケイ素(SiOx(xは、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90とは独立したものである))を含む)と炭素(人造黒鉛及び天然黒鉛を含む)を用いる。Si合金は、上述したチタン(Ti)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びマンガン(Mn)以外の異種金属元素を含むものであっても構わない。本発明において「シリコン」とは、純Siを含むものであり、「シリコン化合物」とは、Si合金及び酸化ケイ素(SiOx)を含むものである。

0032

Si合金は、通常、金属Siの微細な粒子が他の金属元素の各粒子中に分散された状態となっているか、他の金属元素がSiの各粒子中に分散された状態となっている。Si合金の作製は、メカニカルアロイ法により機械的に合成するか、又はSi粒子と他の金属元素との混合物を加熱、冷却することで行うことができる。Si合金の組成は、Siの添加量が50at%以上90at%以下(Siと他の金属元素の原子比率(at%)が、50:50〜90:10)が望ましく、より望ましくは60at%以上80at%以下である。Siの添加量が50at%未満である場合、十分なエネルギー密度が得られない。また、90at%より大きいと、負極の膨張が大きくなり過ぎる。Si合金の具体例として、Si70Ti10Fe10Al10、Si70Al30、Si70Ni30、Si70Cu30、Si70Fe30、Si70Ti30、Si70Mn30、Si70Ti15Fe15及びSi70Al10Ni20等がある。

0033

炭素(C)は、材料に特に限定は無く、人造黒鉛及び天然黒鉛等を用いることができる。Si又はSi化合物と炭素の質量混合比は、20:80〜50:50であることが好ましい。Si又はSi化合物の混合質量が20質量%未満である場合、十分なエネルギー密度が得られない。また、Si又はSi化合物の混合質量が80質量%より多いと、負極の膨張が大きくなり過ぎる。

0034

本発明では、上記したSi又はSi化合物のD90をx、炭素のD50をy及び炭素の混合質量比をzとしたときに、x、y及びzが、y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつxは2μm以上10μm以下、yは10μm以上23μm以下及びzは、上述したとおり50質量%以上80質量%以下とする。このようにx、y及びzを制御することで、負極の膨張を効果的に抑制することができる。なお、本発明において「D90」とは、100個の粒子を小さいものから順に並べたときの90番目の粒子径を意味するものであり、「D50」とは、100個の粒子を小さいものから順に並べたときの50番目の粒子径(平均粒径)を意味するものである。

0035

次に、上記負極活物質を含む負極について説明する。負極は、負極集電体として集電箔(銅箔及びステンレス箔等)を有し、該集電箔の両面に、上述した負極活物質を含む負極活物質合剤塗工層(負極合剤層)が形成されて構成される。負極活物質合剤は、上述した負極活物質のSi粒子及び炭素粒子に、結着材バインダ)と導電助剤を加えて溶媒中に分散させたものである。溶媒の量を調整することで、負極活物質合剤の粘度を調整することができる。バインダ、導電助剤及び溶媒としては、特に限定は無く、公知の材料を用いることができる。例えば、バインダとしてはポリイミドポリアミドイミド又はポリアミドのうちの少なくとも1種を含むもの、導電助剤としてはアセチレンブラック、溶媒としてはNMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)を用いることができる。

0036

負極集電体への負極活物質合剤の塗工量は、正極の容量と負極の容量が等しくなるように調節する。負極集電体の表面に塗工した塗工層を乾燥させた後、ロールプレス装置により負極合剤層の密度が2.2g/cm3となるようにロールプレスすることが好ましい。また、負極合剤層の空隙率は、10%〜40%が望ましく、15%〜35%がより望ましい。空隙率が10%未満であると、膨張を抑制することが難しくなり、40%よりも大きいと、十分なエネルギー密度が得られない。なお、負極合剤層の空隙率は、下記の式によって求めることができる。
{100−(電極密度(g/cm3)/負極合剤平均密度(g/cm3))}×100
上記電極密度は、電極の厚み及び重さから求めることができる。

0037

塗工後、溶媒を乾燥して硬化するために乾燥する。例えば、溶媒としてNMPを用いた場合には、250℃で乾燥することができる。上記工程により負極を作製することができる。

0038

<正極>
正極の構成については、特に限定は無く、公知の技術を適用することができる。正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出することができる物質であればよく、非水系二次電池において一般的に使用されている材料を使用することができる。例えば、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2が好ましい。電極群を構成する正極は、正極集電箔としてアルミニウム箔を用いることが好ましい。アルミニウム箔の両面に、上述した正極活物質を含む正極活物質合剤の塗工層(正極合剤層)が形成される。正極活物質合剤は、正極活物質の他に、導電助剤及びバインダを含む。導電助剤及びバインダとしては、特に限定は無いが、例えば、導電助剤として炭素材料(アセチレンブラック)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDF略記する。)を用いることが好ましい。溶媒の量を調整することで、正極活物質合剤の粘度を調整することができる。正極活物質、導電助剤及びバインダの質量混合比は、90:5:5で作製することが好ましい。

0039

正極集電体の表面に塗工した塗工層を乾燥させた後、ロールプレス装置により正極合剤層の密度が2.8g/cm3となるようにロールプレスすることが好ましい。また、正極活物質合剤の塗工量は、240g/m2であることが好ましい。

0040

<セパレータ>
セパレータは、正極と負極とを仕切る(隔離する)ものである。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池が何らかの原因により発熱した際に、熱収縮によりリチウムイオンの移動を遮断する材料で形成することが好ましい。例えば、ポリオレフィンをセパレータに用いることができる。ポリオレフィンは、ポリエチレンポリプロピレンに代表される鎖状高分子材料である。

0041

セパレータの他の材料としては、ポリオレフィンに、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホンポリエーテルスルホンポリフェニルスルホン又はポリアクリロニトリル等の耐熱性樹脂を含有させたものも用いることができる。セパレータの片面若しくは両面には、無機フィラー層を形成してもよい。無機フィラー層は、SiO2、酸化アルミニウム(Al2O3)、モンモリロナイト雲母酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、及び酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの少なくとも1種類を含む材料により構成されたものを用いることができる。コストや性能の視点からは、SiO2又はAl2O3を無機フィラー層に用いることが好ましい。

0042

電解液
電解液としては、特に限定は無いが、例えばエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネートEMC)とジメチルカーボネートDMC)との比が体積パーセントでEC:EMC:DMC=28:36:36の溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の電解質を溶かして1Mとした溶液を用いることができる。これ以外にも、溶媒には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートγ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンメチルアセテートエチルアセテートメチルプロピオネートテトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、1,2‐ジメトキシエタン、1‐エトキシ‐2‐メトキシエタン、3‐メチルテトラヒドロフラン、1,2‐ジオキサン、1,3‐ジオキサン、1,4‐ジオキサン、1,3‐ジオキソラン、2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン及び4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン等から選ばれた少なくとも1種以上の非水溶媒を用いることができる。また、電解質として、LiPF6以外に、LiBF4、LiClO4又はLiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩又はリチウムイオンの伝導性を有する固体電解質ゲル状電解質又は溶融塩等、リチウムイオン二次電池で使用される既知の電解質を用いることができる。

0043

上述した負極、正極、セパレータ及び電解液を用いたリチウムイオン二次電池(ラミネートセル)の作製手順について説明する。図3は、ラミネートセルを模式的に示す分解斜視図である。図3に示すように、ラミネートセル11は、積層型電極群9をラミネートフィルム8及び10で挟んだ後、ラミネートフィルム8及び10の周縁部を互いに接触させて、175℃で10秒間、熱溶着させて封止することにより作製する。封止する際に、電解液をラミネートセル内に注入するための注液口を設けるために、注液口とする一辺を除いた三辺を熱溶着し、注液口から電解液をラミネートセル内に注液した後に、この一辺を真空加圧しながら熱溶着を行い封止する。注液口とした一辺は、他の三辺に比べて熱溶着強度が弱くなるように調整する。これは、充放電に伴ってラミネートセル内にガスが発生した場合に、ガス排出弁の効果を持たせるためである。ガス排出のための手段としては上記の他に、ラミネートフィルム8の一部に薄肉部を設け、この薄肉部からガスが排出されるようにしてもよい。

0044

図4は、ラミネートセル内部の積層型電極群を模式的に示す分解斜視図である。図4に示すように、積層型電極群9は、複数の板状の正極5と複数の板状の負極6との間が複数のセパレータ7で隔てられて積層された構成となっている。一つの積層型電極群を構成する複数の正極の正極活物質の組成は全て同じものである。同様に、一つの積層型電極群を構成する複数の負極の負極活物質の組成も全て同じものである。

0045

積層型電極群9を構成する複数の正極5の正極未塗工部3は互いに束ねられて正極端子1に超音波溶接される。また、複数の負極6の負極未塗工部4も互いに束ねられて超音波溶接される。電極の溶接は超音波溶接に限らず、抵抗溶接等を用いてもよい。リチウムイオン二次電池の封止をより確実にするために、正極端子1と負極端子2の封止される箇所には、あらかじめ熱溶着樹脂端子封止箇所に塗布するか、あるいは取り付けておいてもよい。上記積層型電極群を、上述したようにラミネートフィルムに収納してラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を作製することができる。

0046

[リチウムイオン二次電池の製造方法]
上述したように、本発明は、シリコン又はシリコン化合物の粒子のD90及び炭素の粒子のD50を調整することで、負極の膨張を抑制する。本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、粒径調整工程を有することを特徴とする。粒径調整工程は、シリコン及びシリコン化合物のうちの少なくとも1つの粒子のD90と炭素のD50を、超微粉風力分級又はふるい網分級で調整する。ふるい網分級に関しては、手動であっても自動であってもよい。超微粉力分級では、空気量及びロータ回転数等を調整することで、ふるい網分級では、網目の大きさを調整することで、シリコン又はシリコン化合物の粒径(D90)と炭素の粒径(D50)を所定の値に調整することができる。

0047

<実施例1〜16及び比較例1〜6のリチウムイオン二次電池の作製及び評価結果>
図3及び4に示したリチウムイオン二次電池を作製し、単極(負極)膨張率及び電池膨張率の評価を行った。負極活物質は、Si化合物としてSi合金を用い、炭素として黒鉛(人造黒鉛)を用いた。Si合金の組成、Si合金と黒鉛の質量混合比、Si合金粒子のD50、D90及び黒鉛粒子のD50を、後述する表1に示す。Si合金粒子のD90、D50及び黒鉛のD50は、超微粉風力分級により調整した。Si合金と黒鉛の粒度分布は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した。なお、Si合金粒子のD50は本発明において限定されるものではないが、参考のために示す。

0048

上記負極活物質にバインダ(ポリアミドイミド)、導電助剤(アセチレンブラック)及び溶媒(NMP)を添加し、負極活物質合剤を調整した後、集電箔(銅箔)に塗工し、乾燥させた後、ロールプレス装置により負極活物質合剤層の密度が2.2g/cm3となるようにロールプレスした。

0049

正極活物質は、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を用い、正極活物質にバインダ(PVDF)、導電助剤(アセチレンブラック)及び溶媒(NMP)を添加し、正極活物質合剤を調整した後、集電箔(アルミニウム箔)に塗工し、乾燥させた後、ロールプレス装置により正極活物質合剤層の密度が2.8g/cm3となるようにロールプレスし、250℃で乾燥した。

0050

セパレータは、ポリエチレンとポリプロピレンの複合材を用いた。電解液は、ECとEMCとDMCとの比が体積パーセントでEC:EMC:DMC=28:36:36の溶媒にLiPF6の電解質を溶かして1Mとした溶液を用いた。

0051

<単極膨張率の評価>
実施例1〜16及び比較例1〜6の負極について、単極膨張率を以下のようにして求めた。作製した負極をポンチを用いてφ16mmに打ち抜き、約8mAh級のモデルセルを作製した。対極Li金属を用いた。電位mV電流0.1CA、カットオフ電流0.05mAで12時間定電圧定電流充電させ、電位1.5V、電流0.1CAで定電流放電させた。これを10回繰り返したあと、同様の充電を行い、100%SOC(State Of Charge(充電状態))の単極を作製した。その後、大気暴露の条件のもとで、銅箔と垂直な方向に断面加工をした後、SEM観察を行った。無作為に選んだ3視野以上を観察し、電極厚みを測定し、平均値を求め、100%SOCの電極(負極)厚みとした。この100%SOCの電極厚みを作成後(未使用電極)の電極厚みで割って単極膨張率を算出した。評価結果を表1に併記する。

0052

<電池膨張率の評価>
実施例1〜16と比較例1〜6のリチウムイオン二次電池について、セル膨張率を以下のようにして求めた。作製したリチウムイオン二次電池を用いて、電圧4.2V、電流0.05CAで22時間定電圧定電流充電させ、電圧2.0V、電流0.05CAで定電流放電させた。これを100回繰り返した後、同様の充電を行い、100%SOC(State Of Charge)のリチウムイオン二次電池を作製した。その後、3ヵ所以上の厚みを測り、それらの平均値を100%SOCのセル厚みとした。この100%SOCのセル厚みを作製後(未使用セル)のセル厚みで割って、電池膨張率を算出した。評価結果を表1に併記する。なお、参考として、黒鉛(人造黒鉛)のみを負極活物質として用いた電池の単極膨張率及び電池膨張率を表1に併記する。

0053

0054

<Si合金及び黒鉛の粒度分布と膨張率との関係>
図5及び6は、実施例1〜16と比較例1〜6のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである。図5はz=50の場合を示し、図6はz=70の場合を示す。図中、点線内の領域は、本発明の条件(y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつxは2μm以上10μm以下、yは10μm以上23μm以下)を満たす領域である。表1に示すように、Si合金及び黒鉛の粒径を調整することで、実施例1〜16は、単極膨張率110%以上140%以下及び電池膨張率112%以下を達成することができた。電池膨張率は、黒鉛を単独で使用したものと同等の値(110%)に抑えることができ、実電池として成立することができると言える。一方、比較例1〜6は、単極膨張率及び電池膨張率ともに実施例1〜16よりも大きくなった。図5及び図6に示すように、実施例1〜16(白丸)は全て本発明の条件を満たす領域内にあり、比較例1〜6(黒丸)は全て領域外にある。

0055

実施例2は、D50が12.0μmの小粒径黒鉛を適用したもので、小粒径黒鉛によりSi合金の分散性が向上され、Si合金同士が膨張し合うことなくSi合金の膨張を電極全体に分散させることができ、電池膨張率を110%に低減することができたと考えられる。実施例3は、分級により粗大Si合金粒子を除去し、D90が2.2μmのSi合金を適用したのもで、小粒径Si合金同士が形成したミクロ空間がそれらの膨張を吸収し、電池膨張率が110%に低減したと考えられる。実施例1は、粗大粒子除去Si合金と小粒径黒鉛の両方を適用したもので、電池膨張率が108%とさらに低減された。粗大粒子除去Si合金と小粒径黒鉛の両方の効果が現れたと考えられる。

0056

一方、比較例1のリチウムイオン二次電池は、実施例1〜3のリチウムイオン二次電池に比べ、Si合金のD90が12.3μm、黒鉛のD50が25.5μmと大きいので、電池膨張率が131%と大きくなることが分かった。Si合金のD90が大きいと局所的に膨張が集中し、黒鉛のD50が大きいとSi合金の分散性が悪くなり、膨張は抑制できないためであると考えられる。比較例2は、Si合金のD90が8.4μmであり、2〜10μmの範囲内にあるが、黒鉛のD50が25.5μmであり、23μmより大きい場合は、Si合金の分散性が悪いため、電池膨張率が125%と大きくなった。比較例3は黒鉛のD50が18.7μmであり、10〜23μmの範囲内の値でもSi合金のD90が範囲外であり、電池膨張率が124%と大きい。

0057

実施例4〜7は、Si合金と黒鉛の質量混合比を30:70にしたものである。実施例4は実施例1と同様、粗大粒子除去Si合金と小粒径黒鉛の両方の効果が現れ、電池膨張率が107%と低い。実施例5は、実施例2と同様に小粒径黒鉛を適用しており、Si合金の分散性が向上し、膨張率が109%と黒鉛負極を使用した電池膨張率と同等となった。実施例6では、Si合金のD90が8.4μmで黒鉛のD50が18.7μmの粒子を適用しており、電池膨張率が112%となっている。Si合金と黒鉛の質量混合比が20:80〜50:50の範囲であれば、電池膨張率が、黒鉛負極を使用した電池と同等となることが分かる。さらに、実施例7では、黒鉛のD50が22.5μm、Si合金のD90が2.2μmで電池膨張率は111%と低減できる。一方、比較例4〜6に示したように、黒鉛の混合質量比が70%の場合でも、Si合金のD90が2〜10μmの範囲外又は黒鉛のD50が10〜23μmの範囲外であると、黒鉛負極を使った電池膨張率(110%)以上になり、実施例よりも膨張率が大きくなった。

0058

実施例8〜16はSi合金の種類が異なるものであるが、本発明の条件を満足すれば、電池膨張率を黒鉛負極を使った電池膨張率(110%)同等にすることができることが分かった。

0059

<実施例17〜28及び比較例7〜15のリチウムイオン二次電池の作製及び評価結果>
負極活物質として、Si合金に替えてSiOxを用いたこと以外は、実施例1〜16及び比較例1〜6と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、単極(負極)膨張率及び電池膨張率の評価を行った。SiOxと黒鉛の質量混合比、SiOxのD50、D90及び黒鉛粒子のD50及び評価結果を、後述する表2に示す。なお、SiOxは、(a)Si粒子とSiOX粒子とを混ぜる工程、(b)SiOXを凝集させてSi結晶成長させる工程、(c)粒子を粉砕する工程及び(d)粒子表面のSiを酸化させてSiOx膜を形成させる工程を経て作製した。

0060

(a)Si粒子とSiOx粒子とを混ぜる工程
SiOx粒子中にSiが分散された粒子を製造するために、まず、SiOx粒子とSi粒子を混合させた。混合は、ボールミルを用いて150rpmで行った。

0061

(b)SiOxを凝集させてSi結晶を成長させる工程
SiOx粒子とSi粒子を混合させたものを、アルゴンガス雰囲気中で1000℃まで昇温後、3時間保持することで、不均化反応によりSiOx中にSi粒子結晶が埋まった粒子を得た。

0062

(c)粒子を粉砕する工程
SiOxを凝集させSi結晶を成長させた粒子をボールミル500rpmで処理し、所定の粒子径に粉砕した。

0063

上記手順でSiOxを合成した後、SiOxのD50、D90を超微粉風力分級を用いて調整した。

0064

0065

図7〜9は、実施例17〜28と比較例7〜15のリチウムイオン二次電池について、負極活物質の粒度分布と負極の膨張率との関係を示すグラフである。図中、点線内の領域は、本発明の条件(y≦−1.17x+0.45zを満足し、かつxは2μm以上10μm以下、yは10μm以上23μm以下)を満たす領域である。表2に示すように、Si合金の場合と同様に、SiOx及び黒鉛の粒径を調整することで、実施例17〜28は、単極膨張率110%以上140%以下及び電池膨張率116%以下を達成することができた。電池膨張率は、黒鉛を単独で使用したものと同等の値(110%)に抑えることができ、実電池として成立することができると言える。一方、比較例7〜15は、単極膨張率及び電池膨張率ともに実施例17〜28よりも大きくなった。図5及び図6に示すように、実施例17〜28(白丸)は全て本発明の条件を満たす領域内にあり、比較例7〜15(黒丸)は全て領域外にある。

0066

以上説明したように、本発明によれば、シリコン又はシリコン化合物を含む負極活物質を用い、電池の膨張を抑制(負極の満充電時の膨張率が110%以上140%以下)し、高エネルギー密度を達成することが可能なリチウムイオン二次電池及びその製造方法を提供することができることが実証された。

実施例

0067

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例は本発明を分かりやすく説明する為に詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0068

1…正極端子、2…負極端子、3…正極未塗工部、4…負極未塗工部、5…正極、6…負極、7…セパレータ、8…ラミネートフィルム、9…積層型電極群、10…ラミネートフィルム、11…ラミネートセル、100,100´…負極、101,101´…集電箔、102,102´…炭素粒子、103,103´…Si粒子、104,104´…膨張後のSi粒子(Li‐Si)、105,105´…負極合剤層。

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