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技術 磁場計測方法及び磁場計測装置

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 長坂公夫
出願日 2015年5月27日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-107151
公開日 2016年6月2日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-101473
状態 特許登録済
技術分野 磁気的変量の測定 生体の電気現象及び電気的特性の測定・記録
主要キーワード 非線形磁気 磁場形成装置 気体原子 時間発展 線形変化 ブロッホ方程式 磁場発生器 量子数
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案すること。

解決手段

光源部2は、計測領域に配置されたガスセル3に、進行方向がz軸方向であり電場振動方向がy軸方向である直線偏光照射する。偏光計4は、ガスセル3を透過した光の光学特性を検出する。磁場発生器7は、z軸成分、y軸成分、z軸方向及びy軸方向に直交するx軸成分を可変とする人工磁場を計測領域に印加する。そして、演算制御部5は、y軸成分及びx軸成分のうちの一方を固定値とした状態で、z軸成分と、y軸成分及びx軸成分のうちの他方とを変化させた複数の人工磁場を磁場発生器7に発生させ、偏光計4の検出結果に基づき磁化値を算出し、磁化値が所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて計測領域に存在する原磁場を算出する。

概要

背景

心臓からの磁場(心磁)や脳からの磁場(脳磁)といった生体が発する磁場(生体磁場)等の微弱な磁場を計測するための装置として、アルカリ金属原子封入されたガスセル直線偏光照射し、偏光面の回転によって磁場を計測する光ポンピング式の磁気センサーを用いたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。

概要

計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案すること。光源部2は、計測領域に配置されたガスセル3に、進行方向がz軸方向であり電場振動方向がy軸方向である直線偏光を照射する。偏光計4は、ガスセル3を透過した光の光学特性を検出する。磁場発生器7は、z軸成分、y軸成分、z軸方向及びy軸方向に直交するx軸成分を可変とする人工磁場を計測領域に印加する。そして、演算制御部5は、y軸成分及びx軸成分のうちの一方を固定値とした状態で、z軸成分と、y軸成分及びx軸成分のうちの他方とを変化させた複数の人工磁場を磁場発生器7に発生させ、偏光計4の検出結果に基づき磁化値を算出し、磁化値が所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて計測領域に存在する原磁場を算出する。

目的

本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光出射する光源部と、計測領域に配置されて電場振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向に沿って照射され、磁場に応じて前記直線偏光の光学特性を変化させる媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記計測領域に人工磁場印加する磁場発生器と、を備えた磁場計測装置が、前記計測領域の磁場を計測する磁場計測方法であって、前記第一方向及び前記第二方向のうちの一方の人工磁場成分を固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、を含む磁場計測方法。

請求項2

前記原磁場を算出することは、前記磁化値が極大値条件を満たしたときの第一磁場と、前記磁化値が極小値条件を満たしたときの第二磁場とを用いて、前記原磁場を算出することを含む、請求項1に記載の磁場計測方法。

請求項3

前記人工磁場を発生させることは、前記第二方向の人工磁場成分を前記固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第一方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(1)〜(3)を用いて原磁場を算出することである、請求項2に記載の磁場計測方法。但し、Apxが前記第一磁場の第一方向の成分、Avxが前記第二磁場の第一方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afyが前記固定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。

請求項4

前記人工磁場を発生させることは、前記第一方向の人工磁場成分を前記固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第二方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(4)〜(6)を用いて原磁場を算出することである、請求項2に記載の磁場計測方法。但し、Apyが前記第一磁場の第二方向の成分、Avyが前記第二磁場の第二方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afxが前記固定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。

請求項5

前記固定値がゼロである、請求項1〜4の何れか一項に記載の磁場計測方法。

請求項6

所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、を更に含む請求項1〜5の何れか一項に記載の磁場計測方法。

請求項7

第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向から照射され、照射された前記直線偏光を透過して、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第一方向、前記第二方向、前記第三方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの一方の人工磁場成分を固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が所定の極値条件を満たしたときの前記磁場発生器による前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することとを実行する演算制御部と、を備えた磁場計測装置。

技術分野

0001

本発明は、磁場を計測する磁場計測方法等に関する。

背景技術

0002

心臓からの磁場(心磁)や脳からの磁場(脳磁)といった生体が発する磁場(生体磁場)等の微弱な磁場を計測するための装置として、アルカリ金属原子封入されたガスセル直線偏光照射し、偏光面の回転によって磁場を計測する光ポンピング式の磁気センサーを用いたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。

先行技術

0003

特開2013−108833号公報

発明が解決しようとする課題

0004

光ポンピング式の磁気センサーを用いた微弱磁場の計測では、ガスセルが配置された計測領域に存在する例えば地磁気都市ノイズ等の環境による磁場(原磁場と称す)をキャンセルする必要がある。原磁場が存在すると、その影響を受けて計測対象物が発生した磁場に対する感度が低下したり、計測精度の低下を招くためである。

0005

本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。

0007

[適用例]本適用例に係る磁場計測方法は、第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、計測領域に配置されて電場振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向に沿って照射され、磁場に応じて前記直線偏光の光学特性を変化させる媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記計測領域に人工磁場印加する磁場発生器と、を備えた磁場計測装置が、前記計測領域の磁場を計測する磁場計測方法であって、前記第一方向及び前記第二方向のうちの一方の人工磁場成分を固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、を含むことを特徴とする。

0008

本適用例によれば、計測対象物から発する磁場が存在することになる計測領域における環境に由来する原磁場を求めることができる。

0009

上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記原磁場を算出することは、前記磁化値が極大値条件を満たしたときの第一磁場と、前記磁化値が極小値条件を満たしたときの第二磁場とを用いて、前記原磁場を算出することを含むことが好ましい。
この方法によれば、原磁場を正確に求めることができる。

0010

上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記人工磁場を発生させることは、前記第二方向の人工磁場成分を前記固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第一方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(1)〜(3)を用いて原磁場を算出することであることを特徴とする。

0011

0012

0013

但し、Apxが前記第一磁場の第一方向の成分、Avxが前記第二磁場の第一方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afyが前記固定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。

0014

上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記人工磁場を発生させることは、前記第一方向の人工磁場成分を前記固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第二方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(4)〜(6)を用いて原磁場を算出することである、としてもよい。

0015

0016

0017

但し、Apyが前記第一磁場の第二方向の成分、Avyが前記第二磁場の第二方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afxが前記固定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。
これらの方法によれば、原磁場をより正確に求めることができる。

0018

上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記固定値がゼロである、とすることが好ましい。
この方法によれば、第一方向または第二方向に置け人工磁場成分をゼロとすることで、上記数式が簡略化され、原磁場をより簡便に求めることができる。

0019

上記適用例に記載の磁場計測方法において、所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、を更に含むことが好ましい。
この方法によれば、計測領域における原磁場の影響を相殺して、計測対象物が発する磁場を正確に計測することができる。

0020

[適用例]本適用例に係る磁場計測装置は、第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向から照射され、照射された前記直線偏光を透過し、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第一方向、前記第二方向、前記第三方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの一方の人工磁場成分を固定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第一方向及び前記第二方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が所定の極値条件を満たしたときの前記磁場発生器による前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することとを実行する演算制御部と、を備えたことを特徴とする。

0021

本適用例によれば、計測対象物から発する磁場が存在することになる計測領域における環境に由来する原磁場を求めることが可能な磁場計測装置を提供することができる。

0022

上記の課題を解決するための第1の発明は、第三方向に、電場の振動方向が前記第三方向に直交する第二方向である直線偏光を出射する光源部と、前記直線偏光を透過し、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第三方向、前記第二方向、前記第三方向及び前記第二方向に直交する第一方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器とを備えた装置が、前記計測領域の磁場を計測するための磁場計測方法であって、前記第二方向及び前記第一方向のうちの一方の人工磁場成分を所定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第二方向及び前記第一方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、を含む磁場計測方法である。

0023

また、他の発明として、第三方向に、電場の振動方向が前記第三方向に直交する第二方向である直線偏光を出射する光源部と、前記直線偏光を透過し、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第三方向、前記第二方向、前記第三方向及び前記第二方向に直交する第一方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、前記第二方向及び前記第一方向のうちの一方の人工磁場成分を所定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と、前記第二方向及び前記第一方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させた複数の人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値が所定の極値条件を満たしたときの前記磁場発生器による前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することとを実行する演算制御部と、を備えた磁場計測装置を構成することとしてもよい。

0024

この第1の発明等によれば、第二方向及び第一方向のうちの一方の人工磁場成分を所定値とし、第三方向の人工磁場成分と、第二方向及び第一方向のうちの他方の人工磁場成分とを変化させて媒体が配置された計測領域に複数の人工磁場を発生させる。そして、発生させた複数の人工磁場毎に得られた検出結果に基づき媒体の磁化値を算出し、所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて計測領域に存在する原磁場を算出することができる。

0025

また、第2の発明は、第1の発明において、前記原磁場を算出することは、前記磁化値が極大値条件を満たしたときの第一磁場と、前記磁化値が極小値条件を満たしたときの第二磁場とを用いて、前記原磁場を算出することを含む、磁場計測方法である。

0026

この第2の発明によれば、磁化値が極大値条件を満たしたときの第一磁場と、磁化値が極小値条件を満たしたときの第二磁場とを用いて計測領域に存在する原磁場を算出することができる。

0027

また、第3の発明は、第2の発明において、前記人工磁場を発生させることは、前記第二方向の人工磁場成分を前記所定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第一方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(1)〜(3)を用いて原磁場を算出することである、磁場計測方法である。

0028

0029

0030

但し、Apxが前記第一磁場の第一方向の成分、Avxが前記第二磁場の第一方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afyが前記所定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。

0031

この第3の発明によれば、第二方向の人工磁場成分を所定値とし、第三方向の人工磁場成分と第一方向の人工磁場成分とを変化させて複数の人工磁場を発生させた場合に、上記の式(1)〜(3)を用いて原磁場を算出することができる。

0032

また、第4の発明は、第2の発明において、前記人工磁場を発生させることは、前記第一方向の人工磁場成分を前記所定値とした状態で、前記第三方向の人工磁場成分と前記第二方向の人工磁場成分とを変化させて人工磁場を発生させることであり、前記原磁場を算出することは、下記の式(4)〜(6)を用いて原磁場を算出することである、磁場計測方法である。

0033

0034

0035

但し、Apyが前記第一磁場の第二方向の成分、Avyが前記第二磁場の第二方向の成分、Apzが前記第一磁場の第三方向の成分、Avzが前記第二磁場の第三方向の成分、Afxが前記所定値、Cxが前記原磁場の第一方向の成分、Cyが前記原磁場の第二方向の成分、Czが前記原磁場の第三方向の成分である。

0036

この第4の発明によれば、第一方向の人工磁場成分を所定値とし、第三方向の人工磁場成分と第二方向の人工磁場成分とを変化させて複数の人工磁場を発生させた場合に、上記の式(4)〜(6)を用いて原磁場を算出することができる。

0037

また、第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明において、前記人工磁場を発生させることは、前記所定値をゼロとする人工磁場を発生させることである、磁場計測方法である。

0038

この第5の発明によれば、第二方向及び第一方向のうちの一方の人工磁場成分をゼロとして複数の人工磁場を発生させ、原磁場を算出することができる。

0039

また、第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明において、所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、を更に含む磁場計測方法である。

0040

この第6の発明によれば、計測領域に存在する原磁場を相殺して計測領域に所定のターゲット磁場を形成した上で、計測対象物を計測領域に接近させて計測対象物が発する磁場を計測することができる。

図面の簡単な説明

0041

磁場計測装置の全体構成例を示す図。
光源部、ガスセル、及び偏光計配置関係の概略を示す図。
偏光面の回転を説明する図。
アライメント方位角プローブ光の検出結果との関係を示す図。
スピン偏極度Mxの分布を示す図。
図5の分布の極大点及び極小点のBx−Bz平面での位置関係を示す図。
スピン偏極度Mxの分布を示す他の図。
図7の分布の極大点及び極小点のBx−Bz平面での位置関係を示す図。
計測領域の磁場の座標系と、人工磁場の座標系との関係を示す図。
磁場形成処理の処理手順を示すフローチャート

実施例

0042

以下、本発明の磁場計測方法及び磁場計測装置を実施するための一形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。

0043

[全体構成]
図1は、本実施形態の磁場計測装置1の全体構成例を示す図である。また、図2は、磁場計測装置1を構成する光源部2、ガスセル3、及び偏光計4の配置関係の概略を示す図である。本実施形態の磁場計測装置1は、心磁を計測する心磁計や脳磁を計測する脳磁計に用いられる。この磁場計測装置1には、光ポンピング式の磁気センサーとして、ポンプ光の照射をプローブ光の照射によって兼ねるいわゆるワンビーム方式の磁気センサーが組み込まれ、非線形磁気光学回転(Nonlinear Magneto Optical Rotation:NMOR)を利用して磁場の計測を行う。なお、ワンビーム方式のものに限らず、ポンプ光を照射するための光源部とプローブ光を照射するための光源部とを分離した、いわゆるツービーム方式の構成としてもよい。

0044

図1に示すように、磁場計測装置1は、光源部2と、ガスセル3と、光学検出器としての偏光計4と、演算制御部5と、磁場発生器7とを備える。本実施形態では、図2に示すように、光源部2によってポンプ光兼プローブ光として照射される直線偏光(照射光)の進行方向である第三方向をz軸方向、この直線偏光の電場の振動方向である第二方向をy軸方向、z軸方向及びy軸方向に直交する第一方向をx軸方向と定義し、光源部2,ガスセル3,偏光計4が配置される空間を直交3軸のxyz座標空間として表す。

0045

光源部2は、光源21と偏光板23とで構成され、z軸方向に伝播し、y軸方向に沿って振動する直線偏光を照射光として出射する。光源21は、ガスセル3に封入された気体原子超微細構造準位の遷移に対応した周波数レーザービームを発生させるレーザー発生装置である。具体的には、レーザービームの波長は、ガスセル3内の気体原子(例えばセシウムカリウムルビジウム等)のD1線の超微細構造量子数FとF´(=F−1)間の状態遷移に相当する波長である。偏光板23は、光源21からのレーザービームを所定の方向に偏光させ、直線偏光にする素子である。光源部2から出射された照射光は、例えば光ファイバー等により導かれてガスセル3に照射される。

0046

ガスセル3は、カリウム(K)やルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属原子が気体の状態で封入されたガラス製の素子である。アルカリ金属原子は、光源部2からの照射光(ポンプ光兼プローブ光)により励起(光ポンピング)され、ガスセル3を透過する光の偏光面を磁場の強さに応じて回転させる媒体としての性質を有する。このガスセル3は、図1中に二点鎖線で示す磁気シールド8の内部に配置される。磁気シールド8は、一定以上の磁気遮蔽し、磁気シールド8の外部に比べて磁気を低減させた空間を形成するためのものであり、計測に際し、磁気シールド8の内部においてガスセル3が配置された計測領域(ガスセル3の周辺領域)に心臓や脳等の計測対象物としての被検者の部位が位置付けられる。後述する通り、計測領域は、磁気シールド8内に設置された磁場発生器7によって所定のターゲット磁場(例えばゼロ磁場)にすることができる。磁場計測装置1は、計測領域の磁場をターゲット磁場の状態とした後、被検者の測定部位を当該計測領域に配置することで、測定部位が発する磁場を測定する。従って、磁場計測装置1には、磁場形成装置が含まれているとも言える。なお、ガスセル3内の気体原子は磁場の計測時に気体の状態であればよく、常時気体の状態でなくてもよい。また、ガスセル3の材質は、ガラスに限らず照射光を透過する材質であればよく、樹脂等であってもよい。

0047

偏光計4は、偏光分離器41と2つの光検出器431,433とで構成され、ガスセル3を透過した照射光(プローブ光)を互いに直交する2つの偏光成分に分離し、それぞれの光強度を検出する。偏光分離器41は、ガスセル3からの照射光を、直交するα軸及びβ軸(図3を参照)の各軸方向の成分に分離する素子である。分離された一方の偏光成分は光検出器431に導かれ、他方の偏光成分は光検出器433に導かれる。この偏光分離器41は、例えばウォラストンプリズム偏光ビームスプリッター等で構成される。光検出器431,433は、偏光分離器41によって分離された偏光成分を受光し、受光光量に応じた信号を発生して演算制御部5の信号処理部51に出力する。

0048

演算制御部5は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサーASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、IC(Integrated Circuit)メモリー等を用いて構成され、装置各部の動作を統括的に制御する。この演算制御部5は、信号処理部51と、磁場算出部53と、補正磁場設定部55とを備え、計測領域での磁場計測や計測領域に所定のターゲット磁場(例えばゼロ磁場)を形成するための磁場形成処理(図10を参照)等を行う。また、演算制御部5は、フラッシュメモリーハードディスク等の記憶部を有し、プログラムを実行することで磁場形成処理を実現する構成とするならば、当該プログラムを当該記憶部に読み出し可能に記憶する。

0049

また、演算制御部5には、必要な情報を入力するための入力部61や、磁場の計測結果等を表示するための表示部63が適宜接続される。入力部61は、ボタンスイッチやレバースイッチダイヤルスイッチ等の各種スイッチ、タッチパネルキーボードマウス等の入力装置で構成される。表示部63は、LCD(Liquid Crystal Display)やELディスプレイ(Electroluminescence display)等の表示装置で構成される。

0050

信号処理部51は、プローブ光がガスセル3を透過することで回転した偏光面の回転角度を算出することによって、計測領域の磁場を計測する。この信号処理部51は、光検出器431,433からの信号を処理し、次式(7),(8)に従ってα軸及びβ軸の各軸方向の成分の二乗和W+と二乗差W-とを算出する。Eαはα軸方向の成分の光強度を表し、Eβはβ軸方向の成分の光強度を表す。

0051

0052

0053

磁場算出部53は、信号処理部51が算出した二乗差W-が所定の極値条件として後述する極大値条件及び極小値条件を満たしたときの人工磁場の値を用いて、計測領域に存在する磁場を算出する。この磁場算出部53は、人工磁場制御部531を有する。人工磁場制御部531は、磁場発生器7を制御して、計測領域に人工磁場を印加し、磁場算出部53はその際のスピン偏極度Mxを計測する。例えば、人工磁場をゼロとした際に計測領域に存在する磁場(原磁場と称す)を計測する際には、y軸方向の人工磁場成分(y軸成分と称す)を固定値(所定値)とした状態で、x軸方向の人工磁場成分(x軸成分と称す)と、z軸方向の人工磁場成分(z軸成分と称す)とを変化させた複数の人工磁場を計測領域に順次発生させ、一つの人工磁場が印加された状態で、その際のスピン偏極度Mxを計測する。要するに第1の人工磁場を発生させて、第1の人工磁場が印加されている際のスピン偏極度Mxを計測する。同様に第2の人工磁場を発生させて、第2の人工磁場が印加されている際のスピン偏極度Mxを計測する。以下同じ工程を繰り返し、第Nの人工磁場を発生させて(Nは2以上の整数)、第Nの人工磁場が印加されている際のスピン偏極度Mxを計測する。第1の人工磁場から第Nの人工磁場では、y軸成分は固定値で共通であるが、x軸成分とz軸成分とが走査され、各状態でスピン偏極度Mxが計測される。尚、原磁場とは、典型的には磁気シールド8に外部から漏れ入って来る外部磁場であるが、原磁場はそれ自体が、例えば生体が発する心磁や脳磁等の計測対象の磁場で有っても良い。

0054

補正磁場設定部55は、磁場算出部53が算出した原磁場を補正する補正磁場を設定し、磁場発生器7を制御して計測領域に補正磁場を発生させることで計測領域にターゲット磁場を形成する。原磁場が外部磁場の場合、原磁場の補正の一例は、原磁場を相殺して、ターゲット磁場をゼロ磁場とする事である。

0055

磁場発生器7は、x軸、y軸、及びz軸の各軸方向に磁場を印加するための3軸ヘルムホルツコイルで構成され、磁気シールド8の内部においてガスセル3を挟んで各軸方向に1組ずつ配置された一対のコイルと、これらコイルに電流を供給する電流供給部とを含む。磁場発生器7は、計測領域に任意の3次元方向の磁場を発生させることができる。

0056

なお、z軸方向は、本発明における第三方向であるが、図2に示すように照射光(ポンプ光)は光源部2から必ずしもz軸方向に出射されることに限定されない。出射後にガスセル3に対してz軸方向から照射光(ポンプ光)が入射すればよい。

0057

原理
以上のように構成される磁場計測装置1において、光源部2からのポンプ光がガスセル3に照射されると、ガスセル3内の気体原子がスピン偏極する。このスピン偏極によって超微細構造量子数FからF´(=F−1)にエネルギーが遷移したときに生じる磁気モーメント確率分布は、その直線偏光の振動方向であるy軸方向に沿って伸び楕円体形状となる。この偏った確率分布を「アライメント」といい、アライメントを生じさせることを「光ポンピングする」という。計測領域がゼロ磁場の場合、生じたアライメントはポンプ光の振動方向であるy軸方向に沿ったままであるが、計測領域にゼロでない磁場が存在すると、アライメントは磁場の方向を回転軸として歳差運動を行う。その結果、直線偏光の偏光面は、その進行方向であるz軸方向を回転軸として、計測領域の磁場に応じた角度で回転する。

0058

図3は、偏光面の回転を説明する図である。上記したように、アライメントは、計測領域の磁場(ガスセル3が受ける磁場)に応じて歳差運動する。そして、ポンプ光による光ポンピング作用と、気体原子がガスセル3の内壁衝突する等して起こる緩和作用とが加わることによって、アライメントは、図3中にハッチングを付した楕円体で示すように、y軸に対して磁場の強さに応じた角度(θ)だけ回転した配置で定常状態となる。

0059

このアライメントにより、ガスセル3を通過するプローブ光は線形二色性の作用を受ける。線形二色性とは、アライメントに沿った方向(Θpの方向)と、アライメントに垂直な方向(Θsの方向)とで直線偏光の透過率が異なる性質をいう。具体的には、アライメントに沿った方向よりもアライメントに垂直な方向の成分が多く吸収されるため、プローブ光の偏光面は、アライメントに沿った方向に近づくように回転する。

0060

例えば、本実施形態では、ガスセル3に入射するプローブ光は、電場の振動方向がy軸方向であるベクトルE0の直線偏光であり、アライメントは、プローブ光のうちのΘp方向の成分を透過率tpで透過し、Θs方向の成分を透過率tsで透過する。線形二色性によりtp>tsであるため、ガスセル3を透過したプローブ光の偏光面はΘp方向に近づくように回転し、ベクトルE1に沿ったものとなる。具体的に、ベクトルE0のアライメントに沿った成分をE0Pと表記し、ベクトルE0のアライメントと直線偏光の進行方向とに垂直な方向に沿った成分をE0sと表記し、ベクトルE1のアライメントに沿った成分をE1Pと表記し、ベクトルE1のアライメントと直線偏光の進行方向とに垂直な方向に沿った成分をE1sと表記した場合、E1P=tpE0PとE1s=tsE0sとの関係にある。

0061

アライメントに沿った方向と、プローブ光の電場の振動方向とが成す角(以下、「アライメント方位角」という。)をθとすると、上述の関係から、ベクトルE1のΘp方向及びΘs方向の各成分は次式(9)によって算出され、(α,β)の座標系における各成分は、次式(10)によって算出される。

0062

0063

0064

図4は、アライメント方位角θとプローブ光の検出結果との関係を示す図である。図4において二乗差W-の値に着目すると、二乗差W-は、アライメント方位角θに対して180度を周期として振動する。そして、二乗差W-は、アライメント方位角θが−45度から+45度の範囲では、アライメント方位角θに対してほぼ線形変化しているため、高い感度が得られる。また、その線形変化の中心が0度であって、その線形変化の範囲が他(二乗和W+など)と比べて広いため、計測領域に生じる磁場を計測するには好適である。心磁や脳磁等の生体磁場は微弱であり、アライメント方位角θは小さいことから、二乗差W-を用いれば偏光面の回転角度を高感度観測できる。但し、上記したように、計測領域に外部磁場が存在するとその影響を受けて感度が低下し、計測精度の低下を招く。通常は、心磁や脳磁等の計測対象の磁場を計測するには、磁気シールド8によって計測領域への磁場の侵入が抑制された環境下(外部磁場が小さい状態)で行われるが、磁気シールド8によっては、外部磁場を測定に影響しない程度に十分に低減する事が困難である。言い換えれば、外部磁場の侵入を磁気シールド8によって完全には遮蔽できない。完全に磁気を遮蔽できる磁気シールドは、装置が大がかりであり、費用も高額な上、設置コストや運用コストも高い。そこで、本実施形態では、磁気シールド8を用いた上で、磁気シールド8内の外部磁場を計測し、これを磁場発生器7で低減した状態で計測対象の磁場を計測する事とする。但し、そもそも外部磁場が低い場合や外部磁場が安定している場合には、磁気シールド8すら用いずに本実施形態を構成することもできる。

0065

ここで、二乗差W-は、ガスセル3内で生じたアライメントのスピン偏極度(Mx,My,Mz)のx軸成分Mx(以下、「スピン偏極度Mx」と表記する。)の値とほぼ比例するため、スピン偏極度Mxを用いて表すことができる。スピン偏極度(Mx,My,Mz)は、ガスセル3内における媒体(アルカリ金属原子の気体)の磁化ベクトルに相当する。以下、磁化ベクトルの第一方向の成分(x軸成分)を示す磁化値としてスピン偏極度Mxを用い、計測領域の磁場のx軸成分、y軸成分、及びz軸成分(絶対的な磁束密度Bx,By,Bz)によって磁化値(スピン偏極度Mx)がどのように変化するのかについて検討した。

0066

光ポンピングにより生じたアライメントのスピン偏極度(Mx,My,Mz)の時間発展は、次式(11)〜(13)に示すブロッホ方程式(Bloch equations)で近似される。γFは、ガスセル3内の媒体気体(アルカリ金属原子気体)の種類で決まる磁気回転比を表す。また、Γ0はスピン偏極度(Mx,My,Mz)の緩和速度を表し、Γpは光ポンピング速度を表す。

0067

0068

0069

0070

ポンプ光及びプローブ光は、定常的に一定のパワーでガスセル3に照射されるため、スピン偏極度(Mx,My,Mz)の定常解は、上記の式(11)〜(13)の左辺をそれぞれゼロとおいて解くことができる。解は、次式(14)〜(17)で表される。

0071

0072

0073

0074

0075

先ず、計測領域の磁場のy軸成分であるByの値を、By=0[nT]で固定し、x軸成分であるBx及びz軸成分であるBzの各値を変化させながら上記式(14)により求めたスピン偏極度Mxの分布を図5に示す。図5に示すように、スピン偏極度Mxの分布には、極大(最大)となる点(極大点)Pと、極小(最小)となる点(極小点)Vとが1つずつ現れる。また、図6は、図5に示した極大点P及び極小点VのBx−Bz平面での位置関係を示す図である。図6に示すように、極大点Pと極小点Vとを結ぶ直線はBx−Bz平面の平面視においてBz軸と平行であり、各点P,Vの中点FはBx−Bz平面の原点を通る。

0076

次に、計測領域の磁場のy軸成分であるByの値を、By=100[nT]で固定し、Bx及びBzの各値を図5の場合と同様の要領で変化させながら求めたスピン偏極度Mxの分布を図7に示す。また、図8は、図7に示したスピン偏極度Mxの分布の極大点P及び極小点VのBx−Bz平面での位置関係を示す図である。図8に示すように、Byの値が100[nT]の場合、極大点Pと極小点Vとを結ぶ直線はBz軸に対して傾いているものの、各点P,Vの中点FがBx−Bz平面の原点を通る特性は、図5に示したBy=0[nT]の場合と変わらない。

0077

Byが任意の固定値Bfの場合(By=Bf)、スピン偏極度Mxが極大点Pとなる磁場P=(Px,Py,Pz)及びスピン偏極度Mxが極小点Vとなる磁場V=(Vx,Vy,Vz)は、上記式(14)のMxをBxで微分し、上記式(14)のMxをBzで微分した各値をそれぞれゼロとおいてBxとBzとについて解くことで得られる(次式(18))。

0078

0079

解は、次式(19),(20)で表され、Byの値と、上記式(17)に示した定数aとから求めることができる。aは、緩和に関する定数である。

0080

0081

0082

また、上記式(19),(20)の解が示す各点PとVとの中点Fは、次式(21)に示すように、Byの値に関わらず恒常的にBx=Bz=0の関係が満たされる。尚、By=Bf=0の場合、中点Fは恒常的に原点に一致する。

0083

0084

そこで、本実施形態の磁場形成処理では、以上説明したスピン偏極度Mxの特性(つまりは二乗差W-の特性)に基づき、先ず、y軸成分を固定値(Ay=Afy)とした状態で、x軸成分(Ax)とz軸成分(Az)とを変化させた複数の人工磁場Aを磁場発生器7により発生させながら計測領域の磁場、即ち磁化値Mx、を計測する。具体的には、偏光計4の検出結果に基づき、人工磁場を印加する毎に信号処理部51が二乗差W-をスピン偏極度Mxとして算出し、記憶する。そして二乗差W-が極大値となる極大値条件を満たしたときの第一磁場(計測領域の磁場が極大点Pとなる人工磁場)と、二乗差W-が極小値となる極小値条件を満たしたときの第二磁場(計測領域の磁場が極小点Vとなる人工磁場)とを用いて原磁場を算出する。

0085

図9は、人工磁場のy軸成分がゼロ(Ay=0)の場合に、計測領域の磁場B=(Bx,By,Bz)の座標系と、磁場発生器7により発生させた人工磁場A=(Ax,Ay,Az)の座標系との関係を示す図である。図9に示すように、計測領域の磁場B=(Bx,By,Bz)は、原磁場C=(Cx,Cy,Cz)に人工磁場A=(Ax,Ay,Az)をベクトル加算することで算出できる。算出式を次式(22)に示す。

0086

0087

計測領域での磁化値Mxが極大点P=(Px,Py,Pz)となる際の人工磁場を第一磁場Ap=(Apx,Apy,Apz)とし、磁化値Mxが極小点V=(Vx,Vy,Vz)となる際の人工磁場を第二磁場Av=(Avx,Avy,Avz)は、上記式(22)の関係と、人工磁場のy軸成分を固定値(Ay=Afy)とする条件と、から次式(23),(24)で表される。

0088

0089

0090

そして、極大点Pと極小点Vとの中点Fは、上記式(21)と上記式(23),(24)とから次式(25)のように変形される。

0091

0092

したがって、原磁場のx軸成分であるCxは次式(26)で算出でき、原磁場のz軸成分であるCzは次式(27)で算出できる。

0093

0094

0095

また、極大点Pではx軸成分とy軸成分とが等しいと、上記式(19)のPx=Pyの関係と上記式(23)より、原磁場のy軸成分であるCyは次式(28)で算出できる。

0096

0097

なお、計測領域に発生させる人工磁場のy軸成分Ayは固定値Afyであればよく、任意である。固定値Afyがゼロである場合には、Afy=0で、Cyは、次式(29)に従って算出できる。

0098

0099

以上の様に、人工磁場のy軸成分を固定値として、x軸成分とz軸成分とを変化させてAy=AfyのAx−Az平面を走査し、磁化値Mxが極大となる人工磁場(第一磁場Ap)と、磁化値Mxが極小となる人工磁場(第二磁場Az)と、から原磁場Cを求める事ができる。上述の如く、原磁場は磁気シールド8内に漏れ入った外部磁場なので、心磁等の計測対象物の磁気測定の際には、こうして得られた原磁場を相殺する様に磁場発生器7を制御すれば、外部磁場の悪影響を低減した上で計測対象物の磁場を低ノイズで計測する事が可能になる。

0100

[処理の流れ]
図10は、磁場形成処理の処理手順を示すフローチャートである。磁場計測装置1は、磁気シールド8内に被検者を搬入して生体磁場の計測を行う前に、図10に示す磁場形成処理を行う。

0101

図10に示すように、磁場形成処理では、先ず、磁場算出部53が、計測領域に存在する原磁場Bcを算出する(ステップS1)。具体的な処理手順としては、先ず、人工磁場制御部531が、Ay=Afy(好適例としてはAfy=0)した状態で、Ax及びAzの各値をそれぞれ所定範囲内で走査することで磁場発生器7により複数の人工磁場を順次発生させ、二乗差W-が極大値条件を満たしたときの第一磁場Ap及び極小値条件を満たしたときの第二磁場Avを用いて上記式(26)〜(28)により原磁場を算出する。この場合、原磁場は磁気シールド8内に漏れ入った外部磁場となる。

0102

続いて、補正磁場設定部55が、ターゲット磁場T=(Tx,Ty,Tz)からステップS1で算出した原磁場Cを減算して補正磁場A=T−Cを設定する(ステップS3)。そして、補正磁場設定部55は、設定した補正磁場A=T−Cを磁場発生器7に発生させる。そうすると上記式(22)により、原磁場Cが相殺されて計測領域にはターゲット磁場Tが形成される(ステップS5)。本実施形態では、一例としてターゲット磁場T=(0,0,0)として補正磁場A=T−C=−Cを設定し、計測領域にゼロ磁場を形成する。

0103

以上説明したように、本実施形態によれば、計測領域に存在する原磁場を算出することができる。また、計測領域において原磁場を相殺してゼロ磁場を形成し、その上で磁気シールド8内に被検者を搬入して生体磁場の計測を行うことができる。これによれば、生体磁場を感度良く高精度に計測することが可能となる。

0104

(実施形態2)
上記した実施形態1では、y軸成分Ayを固定値Afy(例えばゼロ)とした状態で、x軸成分Axとz軸成分Azとを変化させて複数の人工磁場を発生させることとした。これに対し、本実施形態では、x軸成分Axを固定値Afx(例えばゼロ)とした状態で、y軸成分Ayとz軸成分Azとを変化させて複数の人工磁場を発生させることとしてもよい。そして、二乗差W-が極大値条件を満たしたときの第一磁場Ap=(Afx,Apy,Apz)と、二乗差W-が極小値となる極小値条件を満たしたときの第二磁場Av=(Afx,Avy,Avz)とを用いて次式(30)〜(32)により原磁場C=(Cx,Cy,Cz)を算出することとしてもよい。

0105

0106

0107

上記式(30)から上記式(32)の求め方は実施形態1と同様である。

0108

(変形例)
また、上記した実施形態では、磁気モーメントに偏極を生じさ、透過する光の偏光面を磁場の強さに応じて回転させる媒体としてアルカリ金属原子が気体の状態で封入されたガスセル3を用いることとしたが、アルカリ金属原子以外の媒体を用いてもよい。例えば、窒素による格子欠陥を設けたダイヤモンドといった固体素子を媒体として用いる構成としてもよい。また、本発明の磁場計測方法及び磁場計測装置は、磁気センサー以外にも、ミリサイズの小型のガスセルを用いた原子発振器にも適用が可能である。

0109

また、ターゲット磁場をゼロ磁場とする実施形態を説明したが、ターゲット磁場はゼロ磁場以外の任意の磁場とすることができる。

0110

1…磁場計測装置、2…光源部、3…ガスセル、4…光学検出器としての偏光計、5…演算制御部、7…磁場発生器、8…磁気シールド、21…光源、23…偏光板、41…偏光分離器、51…信号処理部、53…磁場算出部、55…補正磁場設定部、61…入力部、63…表示部、431,433…光検出器、531…人工磁場制御部。

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