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技術 家畜用乳頭パック材料

出願人 株式会社トクヤマ
発明者 近藤仁志風間秀樹乾洋治
出願日 2015年11月5日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2015-217241
公開日 2016年6月2日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2016-101159
状態 特許登録済
技術分野 家畜、動物の飼育(3)(その他の飼育)
主要キーワード ゴム系素材 パック材料 高分子無機 小型ミキサー ポリサルファイドゴム パック材 コロイド粘土 溶解対
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課題

家畜の、主として非搾乳期の乳牛乳頭乳房炎から予防するために使用される乳頭パックにおいて、長期間乳頭に密着剥離しないパック材料を容易な操作により、瞬時に形成させることが可能である材料を提供する。

解決手段

家畜の乳頭に密着させるパックを形成するための材料であって、少なくとも、(A)高分子ラテックス、(B)低分子無機系凝集剤高分子無機系凝集剤合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を含むことを特徴とする家畜用乳頭パック材料であり、好ましくは(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤、(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤との組み合わせからなる家畜用乳頭パック形成用キットである家畜用乳頭パック材料である。

概要

背景

概要

家畜の、主として非搾乳期の乳牛乳頭乳房炎から予防するために使用される乳頭パックにおいて、長期間乳頭に密着剥離しないパック材料を容易な操作により、瞬時に形成させることが可能である材料を提供する。家畜の乳頭に密着させるパックを形成するための材料であって、少なくとも、(A)高分子ラテックス、(B)低分子無機系凝集剤高分子無機系凝集剤合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を含むことを特徴とする家畜用乳頭パック材料であり、好ましくは(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤、(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤との組み合わせからなる家畜用乳頭パック形成用キットである家畜用乳頭パック材料である。なし

目的

以上のように、乳頭パックには、(イ)瞬時にパックが形成し、乳頭に密着し、長期間乳頭から剥離しないこと、特に乳頭口を閉塞しておくこと、(ロ)簡便な操作により乳頭へのパックが可能であること等が望まれている

効果

実績

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請求項1

家畜乳頭密着させるパックを形成するための材料であって、少なくとも、(A)高分子ラテックス(B)低分子無機系凝集剤高分子無機系凝集剤合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を含むことを特徴とする家畜用乳頭パック材料。

請求項2

前記(A)高分子ラテックスが、天然又は合成ゴム、あるいは合成高分子分散質として、主として水を含む分散媒に分散させたエマルジョンであることを特徴とする請求項1に記載の家畜用乳頭パック材料。

請求項3

前記(B)凝集剤が、カルシウム塩またはマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の家畜用乳頭パック材料。

請求項4

前記(B)凝集剤が、クエン酸乳酸酢酸リンゴ酸フマル酸マレイン酸酒石酸グルコン酸コハク酸プロピオン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の家畜用乳頭パック材料。

請求項5

家畜の乳頭に密着させるパックを形成するためのキットであって、所定の容器に収容された(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤、及び前記容器とは異なる容器に収容された(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群から選択された凝集剤、との組み合わせからなる家畜用乳頭パック形成用キット。

請求項6

前記(ii)凝集剤が更に、(C)水及び/または水溶性溶媒を含むことを特徴とする請求項5に記載の家畜用乳頭パック形成用キット。

請求項7

請求項1〜4のいずれか1項に記載の家畜用乳頭パック材料を用い、乳頭に密着させるパックを生成させることを特徴とする乳用家畜の乳房炎予防方法

請求項8

(i)少なくとも(A)ラテックスを含む基剤、及び(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群から選択された凝集剤の一方を乳用家畜の乳頭に付着させ、ついで他方を付着させることにより乳頭に密着させるパックを生成させることを特徴とする乳用家畜の乳房炎予防方法。

技術分野

0001

乳牛の重大な疾病の一つに乳房炎がある。乳房炎は、細菌その他の微生物乳頭口から乳房内侵入し、定着・増殖することによって起こる感染病であるが、その発生機序が複雑であるので、いまだに根絶できず、酪農界に重大な経済的損失を与え続けている疾病である。乳房炎には種々のタイプや症状があるが、乳房発赤疼痛膨張発熱或いは乳汁中への乳出現等、いわゆる臨床症状をともなった乳房炎の発見は容易であり、抗生剤治療の普及につれて世界的にも減少傾向にある。しかし、これらの臨床症状を示さないが乳汁検査すると体細胞数の増加等の異常が発見される、いわゆる潜在性乳房炎については、産乳量や乳質の低下等多大な経済的損失を及ぼしているにも係わらず、その防除は遅々として進んでいない。

0002

このような乳房炎を防除するために、現在世界的に推奨されているのは「5ポイント」と呼ばれる下記のような重点対策である。
(1)ミルカー点検整備を含めた搾乳施設等の衛生対策、
(2)乳頭の消毒
(3)臨床型乳房炎の治療、
(4)乾乳期治療(dry cow therapy,DCT)、
(5)問題淘汰(以上、非特許文献1,2,3)
上記に挙げられた対策の中でも、乳牛の乳頭消毒は、乳房炎防除の最も重要な予防対策の一つであり、英国のDoddらが1952年に乳頭消毒剤を開発、実施し、日本では昭和40年より乳質改善事業一環として使用が実施されるようになり、今日では40%の普及率となっている。

0003

現在一般に実施されている乳頭消毒は、搾乳後に乳頭をディッピング剤(殺菌消毒剤水溶液)に浸漬する方法(所謂ポストディッピング)であり、乳頭皮膚表面に付着する乳房炎起因菌を殺菌消毒し、さらに保湿剤によりひび割れ等の乳頭皮膚の状態を改善し、乳頭表面の細菌の増殖を抑制することにより、乳房炎を予防することにあり、これまで、様々なポストディッピング剤が提案(例えば特許文献1、特許文献2)されており、市場では多数の製品が市販されている。

0004

しかしながら、米国のthe National Institute for Research in Dairyingにより実施された試験において、ポストディッピング実施乳牛群の12カ月間での新たな感染は50%減少したものの、それは既に感染していた乳房の全体からみると僅か14%の減少でしかなかった。このことから、既存菌による亜臨床型感染が持続したことが伺えたと報告している。即ち、このポストディッピングは、伝播性の乳房炎起因菌による新たな感染の率は減少させるものの、いわゆる環境性乳房炎の起因菌に対する防除効果に関しては、思ったほど効果が期待できないということである。

0005

つまり、搾乳後の消毒(ポストディッピング)のみでは、その効果持続期間(例えば適用後、乳頭が牛床などに接触した際に、薬液が乳頭から除かれて効果が失われるまでに、1〜2時間)が比較的短いため、次の搾乳までに殺菌効果消失してしまうため、環境性の起因菌に対しては、その効果に限界があった。




一方、乳房炎起因菌から乳牛の乳頭を守る手段として、乳牛の乳頭全体をマスキングすることにより、細菌その他の微生物が乳頭口から乳房内へ侵入するのを防止する技術が提案されている。

0006

例えば、特許文献3は、「乳牛の乾乳期において、乳房炎に感染しやすい乾乳期の初めの約2日〜9日程度の間、及び分娩前約2日〜9日程度の間、乳頭を乳頭シール剤に浸漬して乳頭に乳頭口を閉塞する薄膜を形成した状態に保持しておくことにより、乳房炎起因菌の感染を物理的に阻止することを特徴とする乳牛の乳房炎予防方法。」を開示している(請求項1)。更に、特許文献3は、乳頭口を浸漬させる乳頭シール剤として、テトラヒドロフランアセトニトリルトリクロロエタントリクロロエチレンメチレンクロライド等のフロン代替体、トルエンキシレン等の芳香族化合物溶媒として、ウレタンゴムラテックスゴムブタジエン樹脂ポリビニルアルコール、液状ブチルゴム液状ゴム天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴムクロロプレンゴム酢酸ビニルゴム等から選択されたゴム素材を5〜15%の濃度で溶解したものを記載している。

0007

しかしながら、特許文献3のゴム系素材は溶媒が揮発パックを形成するまでに時間を要するため、パック装着後、パック形成前に牛が横臥休息した場合、液が散逸しパックが形成されないという問題を有していた。また、ゴム系素材が乾燥する際に、アセトニトリルやトルエンなどの有害な有機溶媒が揮発するため、人体又は乳牛の健康を害する恐れがあった。

0008

また、特許文献4は、「少なくとも、水、カルシウム塩およびアルギン酸塩を含み、かつ、ゲル化前の粘度が5000〜150万mPa・secである乳頭パック。」を開示しており、更に、該乳頭パック中にヨウ素などの抗菌剤を配合しておくことで、長期間乳頭を乳房炎起因菌などから保護できるとして提案されている。

0009

しかし、特許文献4に記載されている乳頭パックでは、アルギン酸塩や硫酸カルシウム塩からなる粉末成分使用直前に、水などの溶剤と混錬して得られるペーストを乳頭に塗布して使用すると説明されている。硫酸カルシウムは水に不溶、つまり疎水性成分であり、水などの親水性溶剤中に均一に分散させることは非常に難しく、所望の分散性を得るためには、術者に多大な労力及び熟練を要求するだけでなく、混錬の際には粉末成分が周囲に飛散してしまうという問題を有していた。

0010

また、特許文献4には、粉末であるアルギン酸塩や硫酸カルシウム塩からなる成分をグリセリンプロピレングリコールなどの親水性溶剤に予め分散させておくことで、上記問題が軽減されるとしてあるが、この場合であっても表面が疎水的である硫酸カルシウムを親水性溶剤中に分散させておくのが困難なため、経時的に沈降分離を起こしてしまう。その結果、場合によっては、使用する際(水と混錬する際)に、かえって分散性を損ねてしまい、混錬に時間がかかったり、気泡混入したりして、得られる乳頭パックの均一性硬化性が低下し、乳頭への密着性が悪化したり、乳頭から剥離し易くなったりしていた。

0011

以上のように、乳頭パックには、(イ)瞬時にパックが形成し、乳頭に密着し、長期間乳頭から剥離しないこと、特に乳頭口を閉塞しておくこと、(ロ)簡便な操作により乳頭へのパックが可能であること等が望まれている。

0012

特開平8−175989号公報
特開平11−155404号公報
特開2000−41529号公報
特開2006−50911号公報

先行技術

0013

畜産大事典編集委員会代表者長沢弘著、1996年2月20日、畜産大事典、株式会社養賢堂
酪農大事典生理飼育技術・環境管理、2011年3月31日、社団法人農山漁文化協会
株式会社講談社サイエンティフィック編、新編畜産ハンドブック、2006年9月10日、株式会社講談社

発明が解決しようとする課題

0014

以上の背景にあって本発明は、家畜の、主として乳牛の乳頭を乳房炎から予防するために使用される乳頭パックにおいて、長期間乳頭に密着し剥離しないパックを容易な操作により、瞬時に形成させることが可能である家畜用乳頭パック材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記の目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、高分子ラテックス金属塩、酸、及びそれらの混合物により形成されるパックが、瞬時にパックが形成し、パック装着操作が簡便である上、乳頭への密着性が良いことを見出し、本発明を完成するに至った。

0016

すなわち、本発明の家畜用乳頭パック材料は、少なくとも、(A)高分子ラテックス、(B)低分子無機系凝集剤高分子無機系凝集剤合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤(以下単に(B)凝集剤と表記することもある)を含むことを特徴とする。

0017

本発明の家畜用乳頭パック材料は、パックの強度を高めるため、前記(A)高分子ラテックスがゴム系高分子またはその誘導体水分散液から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

0018

本発明の家畜用乳頭パック材料は、パックの強度を高めるため、前記(B)凝集剤が、カルシウム塩またはマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

0019

本発明の家畜用乳頭パック材料は、パックの強度を高めるため、前記(B)凝集剤が、クエン酸乳酸酢酸リンゴ酸フマル酸マレイン酸酒石酸グルコン酸コハク酸プロピオン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

0020

本発明の家畜用乳頭パック材料は、家畜の乳頭に密着させるパックを形成するためのキットであって、所定の容器に収容された(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤、及び前記容器とは異なる容器に収容された(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群から選択された凝集剤、との組み合わせからなる家畜用乳頭パック形成用キットであることが好ましい。

0021

本発明の家畜用乳頭パック材料は、前記(ii)凝集剤が更に(C)水及び/または水溶性溶媒を含む家畜用乳頭パック形成用キットであることが好ましい。

0022

本発明の家畜用乳頭パック装着の一実施態様は、上記の家畜用乳頭パック材料を用い、乳頭に密着させるパックを生成させることが好ましい。

0023

本発明の家畜用乳頭パック装着の一実施態様は、(i)(A)高分子ラテックスを含む基剤、及び(ii)(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤の一方を乳用家畜の乳頭に付着させ、次いで他方を付着させることにより乳頭に密着させるパックを生成させることが好ましい。

発明の効果

0024

本発明の家畜用乳頭パック材料は、誰でも簡単に、瞬時に各成分の均一性(分散性)に優れる乳頭パックを調製できる。また、パックは乳頭に密着し、長期間乳頭から剥がれることがない。また形成したパックは弾性が高いため、搾乳期の乳牛乳頭の収縮及び膨張の動きにも追随できる。再搾乳の際あるいは緊急時には、付帯設備又は材料などを使用せずに速やかに外すことができる。搾乳期の乳牛を乳房炎などの感染症から効率的に予防することができ、極めて有望である。

0025

本発明の乳頭パック材料を用いると、簡便な手法により、瞬時に家畜の乳頭に密着したパックが得られ、該パックは長期間乳頭から剥がれることがない。パックは、基剤、凝集液の一方を家畜の乳頭に付着させ、次いで他方を付着させることで、ラテックス粒子凝集により生成するため、非常に簡便な手法で得ることができる。

0026

これにより、乳頭口付近が完全に密封されるうえ、搾乳牛の乳頭が収縮、膨張を繰り返してもパックがその動きに追随でき、乳頭に密着した状態を保つことが出来るため、乳房炎原生菌などの乳頭口への侵入を確実に防止する事が可能となる。

0027

また、本発明の乳頭パック材は、使用直前の混練操作が不要であり、混練不足による乳頭パックの不均一化や、気泡混入などの問題も解消される。

0028

なお、本発明の乳頭パック材料は予め(A)高分子ラテックスに(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物を添加し、凝集途中の(A)高分子ラテックスに乳頭を浸漬させて膜を形成させることが出来るが、操作時間に余裕を持たせるために、(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤と(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤との組み合わせからなるキットとする形態が好ましい。

0029

以下、本発明のパックの各構成成分について詳細に説明する。
(A)高分子ラテックス
本発明の高分子ラテックスは、天然又は合成ゴム、あるいは合成高分子分散質とし、水を含む分散媒に分散させたエマルジョンである。

0030

ラテックス」は本来、天然ゴムの樹から採取される乳白色の水系エマルジョンにつけられた名称で、通常はラテックスと言えば天然ゴムラテックスを指す(狭義のラテックス)。然しながら、合成ゴムや合成樹脂などのゴム系高分子を分散質とし、種々の有機溶媒又は無機物水溶液を分散媒としたコロイドゾルもラテックスと呼称されている(広義のラテックス)。乳化重合法を用いて製造した合成ゴムの水分散液を合成ゴムラテックスと呼称して、天然ゴムラテックスと区別することもあり、またゴム以外の樹脂のエマルジョンを樹脂ラテックスと呼称し、ゴムラテックスと区別することもある。然しながら、近年、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス及び樹脂ラテックスの全てを包有する用語として「ラテックス」という用語が使用されている。従って、本発明でも、以下「ラテックス」を広義の意味で使用する(室井宗一:高分子ラテックスの化学高分子刊行会(1976)参照)。本発明では、ゴム系高分子を分散させる分散媒は、高い安全性及びコストを抑える観点から主に水を用いるのが好ましい。

0031

本発明の高分子ラテックスの種類は特に制限されないが、パックの強度を高めるため、ゴム系高分子の水分散液が好ましい。分散媒として、若干量の有機溶媒は許容され、10質量%以下、好ましくは5質量%以下の有機溶媒は存在しても構わない。ゴム系高分子としては、例えば、天然ゴムや、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴムエチレンブタジエン共重合体ゴム、エチレン—プロピレンゴムスチレン—ブタジエン共重合体ゴム、スチレン—イソプレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、チオコールゴム、ニトリルゴム、ニトリル—ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム塩素化ポリエチレンゴムアクリルゴム、酢酸ビニルゴム、エチレン—酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴムシリコーンゴムポリサルファイドゴムポリエーテルゴムフッ素ゴム多硫化ゴム等の合成ゴムまたはその誘導体の水分散液から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、ゴム系高分子の誘導体とは、下記に示すように、ゴム系高分子を互いに共重合させたものやゴム系高分子の表面をカルボキシル基などの反応性機能性官能基変性させたもの等を指す。上記に挙げたゴム系高分子の中で、表面が負の電荷を帯びている場合の方が、多価金属化合物や酸(水素イオン)を添加した場合、ゴム系高分子表面の電荷が中和され、ゴム系高分子同士の反発力がなくなり、より早くゴム系高分子同士が癒着し、凝集するため好ましい。また、上記に挙げたゴム系高分子の中でも家畜乳頭の膨張、収縮に耐えられるように伸びが大きく高い強度を有するゴム系高分子の水分散液がより好ましい。これら、凝集のし易さや、伸びが大きく高い強度を有する観点から、天然ゴムあるいはイソプレンゴムの水分散液から構成されるラテックスが好ましい。天然ゴムあるいはイソプレンゴムの中でも、予め一部を架橋させたものは更に強度が高く好ましい。上記のラテックスは2種以上の混合物であっても良く、互いに共重合していても良い。共重合の形態は、ランダム共重合交互共重合周期的共重合、ブロック共重合グラフト共重合のいずれでも良い。ラテックス粒子中の高分子の構造は、直鎖状分岐状、デンドリマー状、網目状、環状などいずれでも良い。また、ラテックス粒子の表面をカルボキシル基などの反応性機能性官能基に変性させたものも用いることが出来る。ラテックス粒子を安定化させるために、アンモニア等の各種安定剤やグリセリン脂肪酸エステルラウリン酸エステル等の界面活性剤が添加されているものも用いることが出来る。また、必要に応じて、加硫剤加硫促進剤加硫促進助剤加硫遅延剤劣化防止剤酸化防止剤、オゾン防止剤等)、加工助剤可塑剤軟化剤粘着付与材等)、分散剤クリーミング剤泡立て剤感熱剤亜鉛アンモニウム錯塩ポリビニルメチルエーテル等)などを添加したものを用いることも出来る。高分子ラテックス中の固形分濃度は20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。

0032

固形分濃度が20質量%を下回る場合、パック形成に時間を要し、またパックの強度が弱くなる傾向にある。一方、固形分濃度が90質量%を上回る場合、基剤の粘度が高くなりパックの乳頭への塗布性が低下する傾向にある。
(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤
高分子ラテックスを構成するポリマー微粒子の表面には、例えば乳化剤分子親水基スルホン酸基水酸基など)が結合して負電荷を帯びている。凝集剤は、高分子ラテックスを構成するポリマー微粒子の表面の電荷を中和し、粒子を凝集させる役割を有する。
1.低分子無機系凝集剤(金属塩)
低分子無機系凝集剤は、多種多様な金属塩が例示される。凝集剤の中でも金属塩は、特に、このような負電荷を帯びるラテックス粒子の凝集を効果的に生じさせる。本発明において凝集剤として作用する金属塩は、広義には、酸由来陰イオン塩基由来の陽イオンイオン結合した化合物と定義し、酸と塩基の中和反応、酸と塩基性酸化物との反応、酸と金属単体との反応、塩基と酸性酸化物との反応、塩基と非金属単体との反応、酸性酸化物と塩基性酸化物との反応、非金属単体と金属との反応によって生成され、ラテックスの分散媒中で電離して金属イオンを生じうる化合物である。金属塩の種類は、上記作用を有するものである限り特に制限されることなく、既に公知のもの全てが使用できる。そのような金属塩として、例えば、塩化カルシウム塩化マグネシウム塩化鉄塩化スズ塩化アルミニウム塩化チタン塩化ナトリウム塩化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム硫酸亜鉛硫酸アルミニウム硫酸鉄硫酸ジルコニウム硫酸ナトリウム硫酸カリウム酸化亜鉛酸化マグネシウム酸化アルミニウム酸化鉄酸化チタン酸化ジルコニウム酸化スズ水酸化アルミニウム水酸化鉄水酸化ジルコニウム水酸化スズ水酸化ナトリウム水酸化カリウム酢酸亜鉛酢酸ナトリウム酢酸カリウム乳酸カルシウム乳酸亜鉛乳酸ナトリウム乳酸カリウム、フッ化チタン酸カリウムなどの金属塩が挙げられる。これらは2種以上の混合物であっても良い。これらの中でも瞬時にラテックス粒子を凝集させるため二価の金属塩が好ましく、その中でもカルシウム塩、マグネシウム塩がより好ましい。
2.高分子無機系凝集剤
高分子無機系凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム([Al2(OH)nCl6-n]m)、ポリ硫酸アルミニウム([Al2(OH)n(SO4)3-n/2]m)、ポリ塩化鉄(III)([Fe2(OH)nCl6-n]m)、ポリ硫酸鉄(III)([Fe2(OH)n(SO4)3-n/2]m)等が例示される。
3.合成高分子凝集剤
本発明で凝集剤として使用される合成高分子凝集剤としては、[ノニオン系]として、ポリアクリルアミドポリエチレンオキシド尿素ホルマリン樹脂等が例示され、[アニオン系]として、ポリアクリル酸ナトリウムアクリルアミドアクリル酸ナトリウム共重合物)、ポリアクリルアミド部分加水分解物スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリアミノアルキルメタアクリレートハロゲン化ポリビニルピリジウム、ハロゲン化ポリ
アリルアンモニウム脂等が例示され、[カチオン系]として、ポリアミノメチルアクリルアミド、ポリビニルイミダゾリンキトサンエポキシアミン系等が例示される。これらは、数万〜数百万の分子量を有し、分子量が大きいほど電荷が大きくなる。
4.酸
高分子ラテックスを構成するポリマー微粒子を凝集させる凝集剤としての酸は、その種類は特段に限定されないが、安全性の面などからクエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、プロピオン酸、酪酸等が好ましい。これらは、金属との塩でも良く、また2種以上の混合物であっても良い。
添加剤
本発明のパック材料には、以上に説明した主成分としての各成分以外にも、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、(C)水及び/または水溶性溶媒、殺菌消毒剤充填材増粘剤着色料香料防腐剤等が挙げられる。
(C)水及び/または水溶性溶媒
本発明の家畜用乳頭パック材料は、(i)高分子ラテックスを含む基剤、(ii)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤からなるキットとして保存することが好ましい。また、(ii)凝集剤には、(C)水及び/または水溶性溶媒を加え、(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を溶解し、均一な凝集剤を調製することが好ましい。均一な凝集剤を使用することで、パックの組成の均一性が良くなり、密着性を更に向上させることができる。水溶性溶媒の種類は、(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を十分に溶解させ、人体又は家畜に著しく有害なものでない限りは特に制限されることなく、既に公知のもの全てが使用できる。その中でも、エタノールプロパノールブタノールアセトン等が好ましい。(C)水及び/または水溶性溶媒の配合量は、特に制限されないが、(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤100質量部に対しての(C)水及び/または水溶性溶媒の配合量は、150質量部以上4000質量部以下が好ましく、200質量部以上3000質量部以下がより好ましい。水及び/または水溶性溶媒の配合量が低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤100質量部に対して、4000質量部を超える場合、ラテックスの凝集が瞬時に起こらない可能性がある。一方で、水及び/または水溶性溶媒の配合量が低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤100質量部に対して、150質量部に満たない場合には、低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤が十分に水及び/または水溶性溶媒に溶解しない可能性を有する。

0033

パック材料に殺菌消毒効果を持たせ、乳頭口付近の細菌数増加を抑えるために、殺菌消毒剤を用いても良い。殺菌消毒剤は、乳房炎などの病気を引き起こす各種の細菌、真菌ウイルス等の広範囲の有害な微生物を死滅させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ヨウ素化合物、銀、銅、亜鉛、チタン、鉄などの金属及び金属塩、茶葉粉末ヒノキ粉末、キトサン、塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムカプリル酸モノグリセリドなどの脂肪酸エステルトリクロサンイソプロピルメチルフェノール塩化セチルピリジニウムレゾルシントリクロロカルバニド、ハロカルバン、クロルヘキシジン塩酸クロルヘキシジングルコン酸クロルヘキシジンアクリノール次亜塩素酸ソーダ過酸化水素等を例示することができる。殺菌消毒剤は、基材及び凝集剤の両方またはいずれかに添加しても良い。

0034

これらの中でも、人あるいは家畜に対する皮膚刺激性や、殺菌消毒効果の持続性、及びコスト面における観点から、ヨウ素化合物及び銀が好適である。ヨウ素化合物としては、例えばヨウ素、ポピドンヨウ素、ヨウ素酸ナトリウムヨウ素酸カリウムヨウ化ナトリウムヨウ化カリウムヨードホルムなどが挙げられる。

0035

殺菌消毒剤の配合量は特に制限されないが、通常基剤または凝集剤中に0.1〜10質量%の範囲で含まれているのが好ましい。

0036

パックの物性を調整するために充填材を用いても良い。充填材は、基剤及び凝集液の両方またはいずれかに添加しても良い。充填剤としては、シリカアルミナ等の金属または半金属酸化物、フッ化チタンカリウムケイフッ化カリウム等の無機フッ素化合物シリコーン樹脂の粒子等を用いることが好ましい。

0037

充填材の配合量は特に制限されないが、通常基剤または凝集剤中に0.5〜30質量%の範囲で含まれているのが好ましい。

0038

また、基剤及び/または凝集剤の粘度を調整し、乳頭への基剤及び/または凝集剤(液)の歩留まりを改善するために、増粘剤を用いても良い。増粘剤は、下記に示す無機増粘剤、合成の石油ベースとする増粘剤のいずれかあるいは組み合わせて用いても良い。

0039

無機増粘剤は、概して、コロイドケイ酸マグネシウムアルミニウムコロイド粘土のような化合物であり、これらはヒューム処理するか、あるいは沈澱させて、大きい表面−サイズ比を有する粒子にされたものである。

0040

合成の石油をベースとする水溶性ポリマーは、適当なモノマーの直接的重合により製造される。このモノマーの代表例は、ビニルアルコールビニルピロリドンビニルメチルエーテルアクリル酸メタクリル酸、アクリルアミド、エチレンオキシド、およびエチレンイミンである。

0041

パックを着色し、パックの視認性を高めるために、着色料を用いても良い。着色料の種類は特に制限されないが、チタニア粒子炭酸カルシウム、酸化亜鉛等を好ましい例として挙げることができ、その中でもチタニア粒子がより好ましい。

0042

乳頭皮膚上や乳頭口付近に起こる肌荒れビランを改善するために、パック材保湿成分、化粧成分薬用成分を添加しても良い。保湿成分の例としては、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、ラノリンソルビトール等を好ましい例として挙げることができる。化粧成分としては、ヒマシ油ヤシ脂肪酸カリウム等を好ましい例として挙げることができる。薬用成分としては、アロエベラ葉エキスユーカリ油等を好ましい例として挙げることができる。

0043

調製方法及び使用方法
(1)基剤及び凝集剤の調製方法
基剤や(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸を(C)水及び/または水溶性溶媒に溶解させた場合の凝集剤の調製方法は、特に制限されるものではないが、公知の攪拌混合機を用いて調製することが出来る。ここで、攪拌混合機としては、例えばボールミルのような回転容器型混合混錬機、リボンミキサーコニーダーインターナルミキサースクリューニーダーヘンシェルミキサー万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー、などの水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混錬機を利用することが出来る。なお、凝集剤調製に関して(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸が(C)水及び/または水溶性溶媒に対して相対的に溶解性の高い場合は、溶解対象となる成分や、この成分が溶解した溶液に強いせん断力が加わらない攪拌装置を利用することもできる。このような攪拌装置としては、各種攪拌翼を備えた可搬型攪拌機、同堅型攪拌機、同側面攪拌機、管路攪拌機等を用いることが出来る。更に、上記の基剤や凝集剤の調製に関しては、上述した各種の混合攪拌機を2種類以上組み合わせて利用することもできる。

0044

(2)パック生成方法
本発明のパックは、例えば、(i)少なくとも(A)高分子ラテックスを含む基剤、及び(ii)少なくとも(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を調製しておき、片一方を乳頭に付着させ、次いで他方を付着させることにより生成する。基剤を乳頭に付着させた後、凝集剤を乳頭に付着させるのが好ましい。

0045

被覆方法付着方法)としては、浸漬法はけ塗り法、噴霧法などが挙げられるが、特に制限されない。好ましくは浸漬法である。

0046

浸漬法を用いる場合の基剤及び凝集剤の粘度は、各溶液中に乳頭が容易に浸漬するように適宜選択すれば良い。

0047

浸漬法を用いる場合の基剤及び凝集剤の粘度は、23℃でコーンプレート粘度計により測定した値で、1〜3000mPa・sの範囲にあるのが好ましい。

0048

なお、噴霧法を用いる場合の基剤及び凝集剤の粘度は、噴霧のし易さから1〜1000mPa・sの範囲にあるのが好ましい。

0049

浸漬法を用いる場合、例えば家畜の乳頭を収容可能な筒状又はカップ状の容器に基剤及び凝集剤をそれぞれ入れる。続いて、容器を乳頭の付け根方向に移動させ(引き上げ)、容器中の溶液に乳頭を浸漬した後、容器を乳頭先端方向に移動させる(引き下げる)操作を基剤、凝集剤それぞれについて行う。浸漬は、乳頭長を100%として、長さ基準で、乳頭の10%以上、好ましくは20%以上が基剤または凝集剤に浸されるように行えば良い。乳頭の浸漬時間は、基剤、凝集剤それぞれについて乳頭に十分に付着させるため2秒以上が好ましい。

0050

容器は清潔なものである限り、その材質は制限されず、金属、セラミックプラスチック、紙などいずれでも使用できる。また、容器は基剤及び凝集剤の無駄を少なくするために、基剤または凝集剤を乳頭に付着させるために必要な最低限の内容積を有していればよい。円筒状又はカップ状容器の場合、内径が約4cm〜約8cmで、高さが約2cm〜約10cmのものを使用することが出来る。容器の内側に、適量の基剤又は凝集剤を入れることができるようにした目印を備えていると便利である。

0051

基剤及び凝集剤を乳頭に均一に付着させるために、浸漬後に容器を乳頭先端方向に移動させる速度(引き下げる速度)は10〜100mm/秒とするのが好ましく、20〜50mm/秒とするのがより好ましい。

0052

基剤又は凝集剤が乳頭に十分付着した状態で、他方を乳頭に付着させてパックを形成させるために、2つの材料を、間隔を置かずに乳頭に付着させるのが好ましい。

0053

基剤と凝集剤の乳頭への付着量の比(基剤/凝集剤 [質量部/質量部])は特に制限されるものではないが、通常は0.5〜2の範囲内であることが好ましい。

0054

(3)家畜用乳頭パック
本発明の乳用家畜用パックは、例えば、上記(2)のようにして、乳用家畜の乳頭に形成されることを特徴とする。乳用家畜用パックは、乳用家畜の乳頭の保護に用いることができる。具体的には、伝染性乳房炎からの保護、環境性乳房炎からの保護、汚れその他の外的環境因子からの保護のために用いることができる。本発明において、乳用家畜とは、特に搾乳用家畜であり、例えば乳牛、山羊、その他搾乳が行われる家畜である。

0055

以下、実施例1〜実施例36、及び実施例の効果などを検証するための比較例1〜比較例7を挙げて、本発明による基剤と凝集剤の2つを用いる家畜の乳頭保護方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。

0056

実施例1〜実施例36、及び比較例1〜比較例7において乳頭パック生成に用いた原料略号及び「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価方法は以下の通りである。

0057

<原料>
(A)高分子ラテックス
天然ゴムラテックス(NR):株式会社レヂテックス製 ULACOL、固形分濃度62%、粘度50mPa・s、最低造膜温度10℃
イソプレンゴムラテックス(IR):日本ゼオン株式会社製 Nipol ME、固形分濃度50%、粘度50mPa・s、最低造膜温度10℃
ブチルゴムラテックス(BUR)、JSR株式会社製、JSR BUTYL065、固形分濃度50%、粘度32mPa・s、最低造膜温度10℃
ブタジエンゴムラテックス(BR)、JSR株式会社製、JSR BR01、固形分濃度50%、粘度45mPa・s、最低造膜温度10℃
スチレンブタジエンラテックス(SB)、JSR株式会社製、JSR SL552、固形分濃度50%、スチレンとブタジエンの重合比1:4、粘度55mPa・s、最低造膜温度5℃
ウレタンゴムラテックス(UR)、第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス460、固形分濃度40%、粘度50mPa・s、最低造膜温度5℃
ニトリルゴムラテックス(NIR)、JSR株式会社製、JSR N222SH、固形分濃度50%、粘度85mPa・s、最低造膜温度5℃
ニトリルブタジエンラテックス(NBR)、日本ゼオン株式会社製、Nipol 1561、固形分濃度40%、粘度25mPa・s、最低造膜温度5℃
クロロプレンゴムラテックス(CR)、株式会社レヂテックス製 CR−6500、固形分濃度50%、粘度100mPa・s、最低造膜温度10℃
アクリルゴムラテックスACR):日信化学工業株式会社製 2580、固形分濃度45%、粘度50mPa・s、最低造膜温度10℃
酢酸ビニルゴムラテックス(VA):日信化学工業株式会社製 A23J1−F2、固形分濃度45%、粘度2000mPa・s、最低造膜温度15℃
エチレン酢酸ビニルゴムラテックス(EVA):日信化学工業株式会社製 4018、固形分濃度61%、エチレンと酢酸ビニルの重合比1:1、粘度300mPa・s、最低造膜温度10℃
シリコーンゴムラテックス(SIR):信越化学工業株式会社製 KM−860A、固形分濃度60%、粘度350mPa・s、最低造膜温度−15℃
フッ素ゴムラテックス(FR):ダイキン工業株式会社製 E−3705S21R、固形分濃度50%、粘度300mPa・s、最低造膜温度10℃
上記全てのラテックスの分散溶媒は水である。また、ラテックスの種類により、固形分濃度は異なっている。

0058

(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤
乳酸:LA和光純薬工業株式会社製
酢酸:AA 和光純薬工業株式会社製
プロピオン酸:PA 和光純薬工業株式会社製
フマル酸:FA和光純薬工業株式会社製
マレイン酸:MAA 和光純薬工業株式会社製
クエン酸:CA 和光純薬工業株式会社製
リンゴ酸:MA 和光純薬工業株式会社製
酒石酸:TA 和光純薬工業株式会社製
グルコン酸:GA 和光純薬工業株式会社製
コハク酸:SA 和光純薬工業株式会社製
塩化カルシウム:CC 和光純薬工業株式会社製
塩化マグネシウム:MC 和光純薬工業株式会社製
ミョウバン:AL 和光純薬工業株式会社製
(C)水及び/または水溶性溶媒
水:WA
エタノール:ET 和光純薬工業株式会社製
イソプロパノール:IPA 和光純薬工業株式会社製
ブタノール:BT和光純薬工業株式会社製
アセトン:AC 和光純薬工業株式会社製
<その他成分>
Alg−K:アルギン酸カリウム(20℃ 1%水溶液粘度 300mPa・sec) 株式会社キミカ製
Alg−Na:アルギン酸ナトリウム(20℃ 1%水溶液粘度 300mPa・sec) 株式会社キミカ製
硫酸カルシウム:硫酸カルシウム二水和物和光純薬工業株式会社製
乳頭パック組成物調製用高分子化合物の有機溶媒溶液:表4
a:溶質ポリウレタンゴム12質量部を、88質量部の溶媒テトラヒドロフランに溶解したもの。
b:溶質酢酸ビニル12質量部を、88質量部の溶媒キシレンに溶解したもの。
c:溶質ブチルゴム9質量部を、91質量部の溶媒トルエンに溶解したもの。
d:溶質ブタジエンゴム9質量部を、91質量部の溶媒トルエンに溶解したもの。

0059

<評価方法>
(1)「密着性」の評価方法
乳牛の乳頭の形状(内径3cmφ、長さ4cm)をした型の中に、歯科用シリコーン印象材(トクヤマデンタル社製 「ソフリライナータフスーパーソフト」)を入れ、印象材硬化後、型から取り出し、疑似乳頭を作製した。

0060

実施例1〜実施例36においては、基剤及び凝集剤をそれぞれ、カップ(内径6cmφ、長さ4cmの筒状容器)の中に満たした。次に、上記疑似乳頭の上端を持ち、カップに満たされた基剤に接触させた状態から、ゆっくり力を加えていき、疑似乳頭先端の長さ20%分を差し込み、直ちに引き抜いた。続いて、同様の方法により、基剤でコーティングされた疑似乳頭全体を凝集剤に付着(浸漬)させる事で、疑似乳頭周辺にパックを生成させた。造膜温度は乳頭の温度に近い37℃とした。

0061

比較例1においては、基剤をカップ(内径6cmφ、長さ4cmの筒状容器)の中に満たした。次に、上記疑似乳頭の上端を持ち、カップに満たされた基剤に接触させた状態から、ゆっくり力を加えていき、疑似乳頭先端の長さ20%分を差し込み、直ちに引き抜いて疑似乳頭先端に基剤を塗布しそのまま放置した。

0062

比較例2〜比較例5においては、各乳頭パック組成物調製用高分子化合物の有機溶媒溶液a〜dを40gそれぞれカップ(内径6cmφ、長さ4cmの筒状容器)の中に満たした。次に、上記疑似乳頭の上端を持ち、カップに満たされた溶液に接触させた状態から、ゆっくり力を加えていき、疑似乳頭先端の長さ20%分を差し込み、直ちに引き抜いて疑似乳頭先端に溶液を塗布しそのまま放置した。

0063

比較例6及び比較例7においては、粉成分と液成分の重量比が1:15となるように混練用カップの中に量り取り、混練用ヘラを用いて均一なペーストとなるまで混練し、得られたペーストをカップの中に満たした。次に、疑似乳頭の上端を持ち、カップに満たされたペーストに接触させた状態から、ゆっくり力を加えていき、乳頭すべてが隠れるまで差し込み、直ちに引き抜き、ペーストを硬化させた(10分程度放置)。

0064

上述した方法にて生成させたパック(疑似乳頭先端に生成させたパック)を、疑似乳頭の乳頭側を下方にぶら下げた状態で23℃、相対湿度50%の条件下に放置し、経時的に乳頭パックの状態を目視観察し、下記評価基準により評価した。
○:乳頭との密着性も良好で、脱落も生じていない状態。
△:乳頭との密着性が損なわれているものの、脱落までには至っていない状態。(乳頭パックが下方に移動している。)
×:乳頭パックが乳頭から脱落した状態。

0065

(2)「耐久性」の評価方法
乳牛の乳頭の形状(内径3cmφ、長さ4cm)をした型の中に、歯科用シリコーン印象材(トクヤマデンタル社製 「ソフリライナータフスーパーソフト」)を入れ、印象材が硬化後、型から取り出し、疑似乳頭を作製した。

0066

パックを温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で15分、1時間、1日間、2日間、3日間、4日間それぞれ放置した。その各々のパックに対して下記に示す耐久試験を実施した。実際のパック使用現場を想定し、耐久試験において、パックを衝突させる面は土とした。

0067

疑似乳頭の中心軸方向から荷重が加わるように、疲労試験機インストロン社製、E3000)にセットし、1〜5kgf/cm2の荷重を加えた。なお、3kgf/cm2を荷重の中央値とし、振幅を2kgf/cm2とした。また、周波数を1Hz、サイクル数を100とした。

0068

耐久試験を実施した後、パックの状態を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて「耐久性」を評価した。なお、3日後までに×の評価となった場合には、それ以降の試験は実施しなかった。表には、—(評価なし)と記している。

0069

耐久性評価基準:
○:パックの破損や浮き上がりは認められない。
△:パックが一部破損しているものの、乳頭口付近は被覆されている。
×:全体が破損、あるいは剥離している。

0070

(3)「耐摩耗性」の評価方法
乳牛の乳頭の形状(内径3cmφ、長さ4cm)をした型の中に、歯科用シリコーン印象材(トクヤマデンタル社製 「ソフリライナータフスーパーソフト」)を入れ、印象材が硬化後、型から取り出し、疑似乳頭を作製した。

0071

「密着性」の評価の場合と同様に、疑似乳頭周辺にパックを形成させた。続いて、パックを温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で15分、1時間、1日間、2日間、3日間、4日間それぞれ放置した。その各々のパックに対して下記に示す摩耗試験を実施した。

0072

疑似乳頭を、乳頭口を上にして治具で固定し動かないようにしてからに乗せ、ブラシ(毛の長さ25mm、毛の材質:ナイロン製)により乳頭口付近を水平方向に50往復こすった。その際、振幅は約5cm、荷重は約1kgfとした。摩耗試験を実施した後、パックの状態を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて「耐摩耗性」を評価した。なお、3日後までに×の評価となった場合には、それ以降の試験は実施しなかった。表には、—(評価なし)と記している。

0073

耐摩耗性評価基準
○:乳頭口付近の露出は認められない。
△:乳頭口の一部が露出している。
×:乳頭口が完全に露出している。

0074

(4)「細菌数」の評価方法
上記(2)「耐久性」の評価でパック装着4日後に耐久試験した後のパックを内部に汚れが付かないように慎重に剥がした。パックをしていた乳頭口に当たる部分約1cm2を綿棒(Promedia ST−25、エルメックス社製)によりふき取り、10mLの生理食塩水に綿棒を浸漬させた。その内の1mLを培地好気性金用培地、6400AC、3M社製)に滴下し、37℃で48時間培養した。培養後、培地中のコロニー数カウントし、1個の細菌が1個のコロニーを形成すると仮定し、コロニー数から上記10mLの生理食塩水中の細菌数を算出した(コロニー数×10=細菌数)。求めた細菌数を以下の基準に従い評価した。一般的には、1000個/cm2未満であれば清潔に保たれていると判断できる。

0075

なお、外部の細菌数(土の中にいる細菌数)はばらつきがあるものの概ね10000個/cm2以上である。
○1000個/cm2未満:細菌数が少なく、パック内部が清潔に保たれている。
△1000個/cm2以上10000個/cm2未満:細菌数はやや多めだが、外部の細菌数よりは少ない。
×10000個/cm2以上:細菌数が多くなっており、パックによる細菌数低減効果が確認できない。

0076

(5)「パック外し易さ」の評価方法
上記の(1)と同様にしてパックを生成させ、疑似乳頭の乳頭側を下方にぶら下げた状態で23℃、相対湿度50%の条件下で1日放置した。疑似乳頭全体を綿製の布(20cm四方)で強くふき取った時に、そのパックをきれいに外すことが出来るか評価した。
○:1回できれいにパックを剥がすことが出来る。
△:1回ではパックを剥がせないが、2〜3回拭き取れば剥がすことが出来る。
×:2〜3回ふき取ってもパックを剥がすことが出来ない。

0077

実施例1
(A)天然ゴムラテックスを40g容器に量りとり、基剤とした。また、(B)乳酸40gを量りとり、凝集剤とした。

0078

基剤及び凝集剤を用いて、パックを形成させ「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0079

実施例2〜実施例25
基剤及び凝集剤の組成を表1〜表2に示すものにした以外は、実施例1と同様にしてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0080

実施例26
天然ゴムラテックスを40g容器に量りとり、基剤とした。凝集剤は、水500gに乳酸100gを添加し30分攪拌して調製した。調製した凝集剤の内、40gを容器に量り取った。基剤及び凝集剤を用いて、パックを形成させ「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0081

実施例27〜実施例36
基剤及び凝集剤の組成を表2に示すものにした以外は、実施例26と同様にしてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0082

比較例1
天然ゴムラテックスを40g容器に量りとり、基剤とした。基剤を用いてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0083

比較例2〜比較例5
乳頭パック組成物調製用高分子化合物の有機溶媒溶液を40g量りとり、そのまま基剤として用いた。基材を用いてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」及び、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0084

比較例6
アルギン酸ナトリウム20.0g、硫酸カルシウム20.0gをそれぞれ小型ミキサー(イワタニ社製フードミキサー)に投入し5分間撹拌し、均一な粉成分を得た。また液成分として蒸留水600gを用意した。粉成分及び液成分を用いてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0085

比較例7
粉成分の組成を表5に示すものにした以外は、比較例6と同様にしてパックを形成させ、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価を行った。

0086

実施例1〜実施例36及び比較例1〜7の家畜用乳頭パック材料の組成を表1〜表5に示した。また、実施例1〜36及び比較例1〜7における、「密着性」、「耐久性」、「耐摩耗性」、「細菌数」、及び「パック外し易さ」の評価結果を表6〜表8に示す。

0087

0088

0089

0090

0091

0092

0093

0094

0095

実施例1〜実施例36は、本発明の要件全てを満足するように調整したものであるが、いずれの場合においても、密着性、耐久性、耐摩耗性が高い被膜が得られた。細菌数は十分に少なく、パックは外し易かった。

0096

これに対して、比較例1は、(B)低分子無機系凝集剤、高分子無機系凝集剤、合成高分子凝集剤、酸、及びそれらの混合物から成る群より選択された凝集剤を使用しなかった例であるが、パック材が乾燥してパックが形成するのに30分程度要したため、パック組成物塗布後15分後の時点ではパックが形成しておらず、耐久試験中及び耐摩耗性試験中にパック材が散逸し耐久試験及び摩耗試験を耐えることは出来なかった。

0097

比較例2〜比較例5は、特許文献3に倣い、乳頭パック組成物調製用高分子化合物の有機溶媒溶液をそのまま基剤として用いた例であるが、パック材が乾燥してパックが形成するのに30分程度要したため、パック組成物塗布後15分後の時点ではパックが形成しておらず、耐久試験及び摩耗試験を耐えることは出来なかった。

実施例

0098

比較例6及び比較例7は、特許文献4に倣い、アルギン酸塩を用いた組成物を塗布した場合であるが、混錬時に気泡が多く混入し、また混錬物の粘度が均一でない為、1日未満でひび割れるなどし、パックの密着性、耐久性、耐摩耗性が著しく低いことが分かった。

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