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図面 (5)

課題

変速完了後トルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する。

解決手段

本実施形態における駆動力制御装置1では、メインクラッチの接続が検出されている状態においてドッグトランスミッション変速操作が検出された場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合解除し又は弱めてドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、モータ駆動部6を制御することによってスロットル開度に一時的な変化を生じさせて駆動力を一時的に変化させる制御部5が、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度からスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部6を制御する。

概要

背景

自動二輪車の中には、ドッグトランスミッションを備えるものがある。かかるドッグ式トランスミッションでは、運転者が、メインクラッチを操作することなく、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士(ドッグ歯同士)が当接してエンジン駆動輪との一方が他方を駆動している状態で、変速を行うことができる。かかる構成によれば、運転者が、メインクラッチの操作を省略して、迅速に変速を行うことが可能となる。

ところが、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態では、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の接触面に大きな押圧力が作用している。このため、運転者が変速のためにドッグ同士を引き離そうとしても、接触面に押圧力に比例した大きな静止摩擦力が作用しているために、運転者の操作によりドッグ同士を引き離すことが困難となる傾向がある。

かかる状況下で、特許文献1は、自動二輪車の変速制御装置に関し、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態において変速操作が検出された場合に、電子制御によってスロットル開度を変化させてエンジンの駆動力を変化させることにより、ドッグ同士の接触を一時的に解除する構成が開示されている。

概要

変速完了後トルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する。本実施形態における駆動力制御装置1では、メインクラッチの接続が検出されている状態においてドッグ式トランスミッションの変速操作が検出された場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、モータ駆動部6を制御することによってスロットル開度に一時的な変化を生じさせて駆動力を一時的に変化させる制御部5が、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度からスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部6を制御する。

目的

本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

メインクラッチ及びドッグトランスミッションを順に介してエンジン駆動力駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記ドッグ式トランスミッションの前記変速操作を検出した場合には、前記ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合解除し又は弱めて前記ドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、前記モータ駆動部を制御することによって前記スロットル開度に一時的な変化を生じさせて前記駆動力を一時的に変化させる制御部と、を備える駆動力制御装置であって、前記ドッグ式トランスミッションの変速段を検出する変速段検出部を更に備え、前記制御部は、前記変速段検出部によって検出された前記変速段が切り換わるのに応じて、前記スロットル開度を所定開度から前記スロットル開度の前記一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを特徴とする駆動力制御装置。

請求項2

前記制御部は、前記スロットル開度を時間の経過に対して傾斜させながら前記スロットル開度の前記一時的な変化が収束する前記方向へ変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。

請求項3

前記制御部は、前記変速段検出部によって検出された前記変速段が切り換わるのに応じて、前記スロットル開度を前記所定開度から前記鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度へ向かって変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力制御装置。

請求項4

前記制御部は、前記変速段が切り換わった時点の前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の前記所定開度に前記スロットル開度を維持した後に、前記スロットル開度を前記要求スロットル開度へ向かって変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを特徴とする請求項3に記載の駆動力制御装置。

請求項5

前記ドッグ同士の前記係合が解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、前記所定開度は、前記ノーロードラインに対応する前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の開度値に設定されることを特徴とする請求項4に記載の駆動力制御装置。

技術分野

0001

本発明は、駆動力制御装置に関し、特に、メインクラッチ及びドッグトランスミッションを順に介してエンジン駆動力駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載される駆動力制御装置に関する。

背景技術

0002

自動二輪車の中には、ドッグ式トランスミッションを備えるものがある。かかるドッグ式トランスミッションでは、運転者が、メインクラッチを操作することなく、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士(ドッグ歯同士)が当接してエンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態で、変速を行うことができる。かかる構成によれば、運転者が、メインクラッチの操作を省略して、迅速に変速を行うことが可能となる。

0003

ところが、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態では、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の接触面に大きな押圧力が作用している。このため、運転者が変速のためにドッグ同士を引き離そうとしても、接触面に押圧力に比例した大きな静止摩擦力が作用しているために、運転者の操作によりドッグ同士を引き離すことが困難となる傾向がある。

0004

かかる状況下で、特許文献1は、自動二輪車の変速制御装置に関し、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態において変速操作が検出された場合に、電子制御によってスロットル開度を変化させてエンジンの駆動力を変化させることにより、ドッグ同士の接触を一時的に解除する構成が開示されている。

先行技術

0005

特許第4392794号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成は、より詳しくは、運転者による変速操作(シフトアップ操作及びシフトダウン操作)が検出された場合に、エンジンのスロットル開度をイニシャル開度まで変化させると共に、変速完了後もエンジンのスロットル開度をイニシャル開度に維持した後、エンジンのスロットル開度を段階的に要求スロットル開度へ近づけるものではある。

0007

ここで、本発明者の更なる検討によれば、このようにスロットル開度を段階的に要求スロットル開度へ近づけるように変化させた場合には、変速完了後にトルクショックが長期間にわたって継続する傾向が考えられて改善の余地がある。また、もちろん、変速完了時点でエンジンのスロットル開度を急変させて要求スロットル開度へ復帰させた場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士が強く衝突し、大きなトルクショックが発生する傾向が考えられる。このような傾向は、車両が自動二輪車等の軽量な鞍乗型車両である場合に、より顕著となるものでもある。

0008

本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

以上の目的を達成するべく、本発明は、メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記ドッグ式トランスミッションの前記変速操作を検出した場合には、前記ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めて前記ドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、前記モータ駆動部を制御することによって前記スロットル開度に一時的な変化を生じさせて前記駆動力を一時的に変化させる制御部と、を備える駆動力制御装置であって、前記ドッグ式トランスミッションの変速段を検出する変速段検出部を更に備え、前記制御部は、前記変速段検出部によって検出された前記変速段が切り換わるのに応じて、前記スロットル開度を所定開度から前記スロットル開度の前記一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを第1の局面とする。

0010

また、本発明は、第1の局面に加えて、前記制御部は、前記スロットル開度を時間の経過に対して傾斜させながら前記スロットル開度の前記一時的な変化が収束する前記方向へ変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを第2の局面とする。

0011

また、本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記制御部は、前記変速段検出部によって検出された前記変速段が切り換わるのに応じて、前記スロットル開度を前記所定開度から前記鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度へ向かって変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを第3の局面とする。

0012

また、本発明は、第3の局面に加えて、前記制御部は、前記変速段が切り換わった時点の前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の前記所定開度に前記スロットル開度を維持した後に、前記スロットル開度を前記要求スロットル開度へ向かって変化させるように、前記モータ駆動部を制御することを第4の局面とする。

0013

また、本発明は、第4の局面に加えて、前記ドッグ同士の前記係合が解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、前記所定開度は、前記ノーロードラインに対応する前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の開度値に設定されることを第4の局面とする。

発明の効果

0014

以上の本発明の第1の局面にかかる駆動力制御装置によれば、メインクラッチの接続が検出されている状態においてドッグ式トランスミッションの変速操作が検出された場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、モータ駆動部を制御することによってスロットル開度に一時的な変化を生じさせて駆動力を一時的に変化させる制御部が、変速段検出部によって検出された変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度からスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制することができる。

0015

また、本発明の第2の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部が、スロットル開度を時間の経過に対して傾斜させながらスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0016

また、本発明の第3の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部が、変速段検出部によって検出された変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度から鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度へ向かって変化させるように、モータ駆動部を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0017

また、本発明の第4の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部が、変速段が切り換わった時点のスロットル開度と要求スロットル開度との間の所定開度にスロットル開度を維持した後に、スロットル開度を要求スロットル開度へ向かって変化させるように、モータ駆動部を制御するものであるため、変速中にドッグ同士の衝突による衝撃を緩和することができ、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0018

また、本発明の第5の局面にかかる駆動力制御装置によれば、ドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、所定開度が、ノーロードラインに対応するスロットル開度と要求スロットル開度との間の開度値に設定されるものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制しつつ、鞍乗型車両の走行挙動を運転者の要求するものに近づけることができる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際のシフトアップ操作に伴うスロットル開度の時間変化を示す図である。
図4は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際のシフトダウン操作に伴うスロットル開度の時間変化を示す図である。

実施例

0020

以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における駆動力制御装置につき、詳細に説明する。

0021

〔駆動力制御装置の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態における駆動力制御装置の構成について説明する。

0022

図1は、本実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。

0023

図1に示すように、本実施形態における駆動力制御装置1は、ECU(Electronic Control Unit)等の電子制御装置によって構成され、いずれも図示を省略するメインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する典型的には自動二輪車等の鞍乗型車両に搭載されている。

0024

駆動力制御装置1は、クラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、制御部5、及びモータ駆動回路6を備えている。なお、これらのクラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、及び制御部5は各々機能ブロックとして示している。また、駆動力制御装置1は、図示を省略するメモリ等を備えており、メモリには、駆動力制御装置1に必要な制御プログラム及び制御データ等が格納されている。

0025

具体的には、クラッチ状態検出部2は、運転者がメインクラッチを接続又は遮断する際のその操作に関する情報を坦持するクラッチスイッチ11からの入力信号に基づいて、メインクラッチの接続又は遮断を検出する。クラッチ状態検出部2は、このように検出したメインクラッチの断続操作に応じた電気信号を制御部5に入力する。

0026

変速操作検出部3は、運転者がドッグ式トランスミッションの変速操作を行う際のその変速操作に関する情報を坦持する変速操作スイッチ12からの入力信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する。変速操作検出部3は、このように検出したドッグ式トランスミッションの変速操作の有無に応じた電気信号を制御部5に入力する。

0027

変速段検出部4は、ギヤポジションセンサ13が出力するドッグ式トランスミッションのシフトドラム回転位置に対応してドッグ式トランスミッションで選択されている変速段(ギヤポジション)に応じた信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションで選択されている変速段を検出する。変速段検出部4は、このように検出した変速段を示す電気信号を制御部5に入力する。

0028

制御部5は、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した後に、変速段検出部4からの入力信号に基づきドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わったと判別した場合には、スロットルモータ14の駆動によるエンジンのスロットルバルブ開度(スロットル開度)、つまり実際のスロットル開度である実スロットル開度を鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度へ向かって変化させるようにこれを制御する。制御部5は、このようにスロットル開度を調整するための制御信号を、モータ駆動回路6に入力する。

0029

ここで、制御部5は、スロットルポジションセンサ15、アクセル開度センサ16、及びクランク角センサ17からの入力信号をも更に用いて、後述する駆動力制御処理を実行する。スロットルポジションセンサ15は、エンジンのスロットル開度に応じた電気信号を入力する。アクセル開度センサ16は、鞍乗型車両のアクセルグリップ等のアクセル操作部材操作量アクセル開度)に応じた電気信号を入力する。また、クランク角センサ17は、エンジンのクランク角クランク軸回転角度)に応じた電気信号を入力する。

0030

モータ駆動回路6は、制御部5からの制御信号に従って、スロットルモータ14を駆動することによってスロットル開度を制御する。

0031

以上のような構成を有する駆動力制御装置1は、以下に示す駆動力制御処理を実行することによって、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制する。以下、更に図2から図4をも参照して、駆動力制御処理を実行する際の駆動力制御装置1の動作について、詳細に説明する。

0032

〔駆動力制御処理〕
図2は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理の流れを示すフローチャートである。図3は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際のシフトアップ操作に伴うスロットル開度の時間変化を示す図である。図4は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際のシフトダウン操作に伴う目標スロットル開度の時間変化を示す図である。なお、図3及び図4中において、特性線L1は、スロットル開度、特性線L2は、アクセル開度センサ16によって検出されたアクセル開度に応じたスロットル開度(運転者が要求する要求スロットル開度)、特性線L3は、ドッグ式トランスミッションの変速段、及び特性線L4は、ドッグ式トランスミッションの変速操作の有無を各々示している。

0033

図2に示すフローチャートは、鞍乗型車両のイグニッションスイッチオンされて駆動力制御装置1が起動されたタイミングで開始となり、駆動力制御処理はステップS1の処理に進む。駆動力制御処理は、鞍乗型車両が起動されて駆動力制御装置1が起動されている間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。

0034

ステップS1の処理では、制御部5が、クラッチ状態検出部2及び変速操作検出部3から入力された電気信号に基づいて、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において、変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出したか否かを判別する。判別の結果、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において、変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出されていない場合には、制御部5は、今回の一連の駆動力制御処理を終了する。一方、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において、変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS2の処理に進める。

0035

ここで、図3に示す時刻t=t1及び図4に示す時刻t=t5において、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において、変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出している。

0036

ステップS2の処理では、制御部5が、メモリに記憶されたフラグ情報に基づいて、エンジンのスロットル開度のイニシャル開度を算出済みであるか否かを判別する。判別の結果、イニシャル開度を算出済みである場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS5の処理に進める。一方、イニシャル開度を算出済みでない場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS3の処理に進める。

0037

ステップS3の処理では、制御部5が、クランク角センサ17が入力するエンジンのクランク角に応じた電気信号に基づいてエンジンの回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、このように検出したエンジン回転速度NEに基づいてエンジンのスロットル開度のイニシャル開度を算出すると共に、メモリにそのイニシャル開度が算出済みであることを示すフラグ情報を記憶する。これにより、ステップS3の処理は完了し、駆動力制御処理はステップS4の処理に進む。

0038

ここで、イニシャル開度は、変速操作の簡便性をより向上する観点から、ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値に設定されることが好ましい。ここで、ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値とは、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態を実現するもののみならず、ドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態を実現するものをも含んでもよい。つまり、ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値とは、厳密にスロットル開度に合致するもののみならず、それから数度程度上下に偏位したものを含み得る。なお、イニシャル開度は、必要に応じて、大気温度大気圧、エンジンの潤滑油の温度及びエンジンのクーラントの温度に基づいて、環境補正されてもよい。

0039

また、かかるノーロードラインは、エンジンの駆動力がエンジンのその抵抗力機械的な摩擦力や潤滑油の粘弾性力等)と釣り合った状態のエンジンの運転状態を示し、典型的には、エンジン回転速度及びスロットル開度をパラメータとし、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示す特性データから成って、予め設定されてメモリ内に記憶されている。詳しくは、ノーロードラインは、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合状態減速時の係合状態と加速時の係合状態との間で切り換わるエンジンの運転状態の境界を規定するもので、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態、及びドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態におけるエンジン回転速度及びスロットル開度間の関係を規定するものである。つまり、ノーロードラインは、エンジン回転速度及びスロットル開度を各々の座標軸とする直交座標系において、単なる線のみならず、それを含んである程度の上下幅を有して延びる領域となる。また、図3及び図4に示すスロットル開度TH0は、このようなノーロードラインに対応する領域におけるスロットル開度の代表値を例示するものである。

0040

ステップS4の処理では、制御部5が、エンジンの目標スロットル開度をステップS3の処理において算出されたイニシャル開度に設定する。これにより、ステップS4の処理は完了し、駆動力制御処理はステップS5の処理に進む。

0041

ここで、図3に示す時刻t=t1及び図4に示す時刻t=t5において、制御部5が、エンジンの目標スロットル開度をイニシャル開度TH1に設定している。

0042

ステップS5の処理では、制御部5が、エンジンのスロットル開度がステップS4の処理において設定した目標スロットル開度に近づくようにモータ駆動回路6を制御する。この結果、モータ駆動回路6からの駆動信号により駆動されるスロットルモータ14によって、スロットルバルブは、その実スロットル開度が目標スロットル開度に近づいて一致するようにフィードバック制御されながら駆動され、実スロットル開度は、目標スロットル開度に追従していく。これにより、ステップS5の処理は完了し、駆動力制御処理はステップS6の処理に進む。

0043

ステップS6の処理では、制御部5が、変速段検出部4から入力された電気信号に基づいて、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わったか否か、つまり変速が完了したか否かを判別する。判別の結果、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わらずに変速が完了していない場合には、制御部5は、今回の一連の駆動力制御処理を終了する。一方、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わって変速が完了した場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS7の処理に進める。なお、かかる変速が完了の判別処理補完するために、減算タイマによる所定時間の計測処理を付加してもよい。

0044

ここで、図3に示す時刻t=t2及び図4に示す時刻t=t6において、制御部5が、変速段検出部4から入力された電気信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速が完了したと判別している。

0045

ステップS7の処理では、制御部5が、エンジンの目標スロットル開度を所定開度TH2に所定時間維持するようにモータ駆動回路6を制御する。そして、所定時間経過後、制御部5は、アクセル開度センサ16から入力された電気信号に基づいて、鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度に目標スロットル開度を近づけるようにモータ駆動回路6を制御するマージ処理を実行する。このようなスロットル開度の復帰処理により、ステップS7の処理は完了し、今回の一連の駆動力制御処理は終了する。

0046

ここで、所定開度TH2は、ドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わった時点におけるエンジンの目標スロットル開度と要求スロットル開度との間のスロットル開度に設定される。つまり、所定開度TH2は、ノーロードラインに対応するスロットル開度と要求スロットル開度との間のスロットル開度に設定される。また、このように変速段が切り換わった時点におけるエンジンのスロットル開度(実スロットル開度)は、イニシャル開度TH1に設定された目標スロットル開度に実質一致している。

0047

この際、所定開度TH2は、鞍乗型車両に加減速を生じさせるようなエンジンの駆動力変化を与える吸入空気量の変化量を超えない範囲に設定されることが好ましい。この結果、所定開度TH2に応じたスロットル開度によるエンジンの駆動力によりドッグ式トランスミッションのドッグ同士は駆動輪側又はエンジン側に押圧されるが、その押圧力は、ドッグ式トランスミッションから路面までの応答系で吸収され、鞍乗型車両に加減速を生じさせることがない範囲に収まることになる。例えば、ドッグ式トランスミッションの変速操作がシフトアップ操作(下位の変速段から上位の変速段に変速段を変化させる変速操作)である場合は、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0を大きい値側に数度越えたスロットル開度、シフトダウン操作(上位の変速段から下位の変速段に変速段を変化させる変速操作)である場合には、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0を小さい値側に数度越えたスロットル開度を各々所定開度TH2として用いることが望ましい。

0048

また、マージ処理を実行する際、制御部5は、時間の経過に対して傾斜させながらエンジンのスロットル開度を変化させるようにモータ駆動回路6を制御することが望ましい。

0049

ここで、図3に示す時刻t=t3以降の期間、及び図4に示す時刻t=t7以降の期間において、制御部5が、要求スロットル開度にスロットル開度を復帰させるようにモータ駆動回路6を制御するマージ処理を実行している。また、図3中では、変速操作をシフトアップ操作として示しているため、マージ処理中のスロットル開度は、典型例として増加され、図4中では、変速操作をシフトダウン操作として示しているため、マージ処理中のスロットル開度は、典型例として減少されている。なお、かかるマージ処理におけるスロットル開度は、直線的に変化するものであっても、又は曲線的に変化するものであってもかまわない。

0050

以上の説明から明らかなように、本実施形態における駆動力制御装置1では、メインクラッチの接続が検出されている状態においてドッグ式トランスミッションの変速操作が検出された場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、モータ駆動部6を制御することによってスロットル開度に一時的な変化を生じさせて駆動力を一時的に変化させる制御部5が、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度からスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部6を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制することができる。

0051

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、スロットル開度を時間の経過に対して傾斜させながらスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させるように、モータ駆動部6を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0052

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、変速段検出部4によって検出された変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度から鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度へ向けて変化させるように、モータ駆動部6を制御するものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0053

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、変速段が切り換わった時点のスロットル開度と要求スロットル開度との間の所定開度TH2にスロットル開度を維持した後に、スロットル開度を要求スロットル開度へ向かって変化させるように、モータ駆動部6を制御するものであるため、変速中にドッグ同士の衝突による衝撃を緩和することができ、変速完了後にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0054

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、ドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、所定開度TH2が、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0と要求スロットル開度との間の開度値に設定されるものであるため、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制しつつ、鞍乗型車両の走行挙動を運転者の要求するものに近づけることができる。

0055

なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。

0056

以上のように、本発明は、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等の駆動力制御装置に広く適用され得るものと期待される。

0057

1…駆動力制御装置
2…クラッチ状態検出部
3…変速操作検出部
4…変速段検出部
5…制御部
6…モータ駆動回路
11…クラッチスイッチ
12…変速操作スイッチ
13…ギヤポジションセンサ
14…スロットルモータ
15…スロットルポジションセンサ
16…アクセル開度センサ
17…クランク角センサ

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