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図面 (5)

課題

変速完了後エンジンの駆動を再開した際にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する。

解決手段

本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、点火栓駆動部及び/又は燃料噴射駆動部を介して、点火及び/又は燃料噴射を再開する際に、スロットル開度鞍乗型車両アクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度TH1になるように、モータ駆動部を6制御する。

概要

背景

自動二輪車の中には、ドッグトランスミッションを備えるものがある。かかるドッグ式トランスミッションでは、運転者が、メインクラッチを操作することなく、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士(ドッグ歯同士)が当接してエンジン駆動輪との一方が他方を駆動している状態で、変速を行うことができる。かかる構成によれば、運転者が、メインクラッチの操作を省略して、迅速に変速を行うことが可能となる。

ところが、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態では、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の接触面に大きな押圧力が作用している。このため、運転者が変速のためにドッグ同士を引き離そうとしても、接触面に押圧力に比例した大きな静止摩擦力が作用しているために、運転者の操作によりドッグ同士を引き離すことが困難となる傾向がある。

かかる状況下で、特許文献1には、自動二輪車の変速制御装置に関し、運転者によるシフトアップ方向の変速操作が検出された場合に、ドッグ同士の接触を解除して変速を可能にするために、エンジンの点火栓による点火の停止を実行することによってエンジンの駆動力を低下させ、変速完了後にエンジンの点火栓による点火を再開する構成が開示されている。

概要

変速完了後にエンジンの駆動を再開した際にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する。本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、点火栓駆動部及び/又は燃料噴射駆動部を介して、点火及び/又は燃料噴射を再開する際に、スロットル開度鞍乗型車両アクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度TH1になるように、モータ駆動部を6制御する。

目的

本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、変速完了後にエンジンの駆動を再開した際にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

メインクラッチ及びドッグトランスミッションを順に介してエンジン駆動力駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンの点火栓点火を行わせる点火栓駆動部と、前記エンジンに燃料噴射する燃料噴射弁を駆動する燃料噴射弁駆動部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの前記接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記変速操作を検出した場合には、前記点火の停止及び/又は前記燃料の噴射の停止を実行するように前記点火栓駆動部及び/又は前記燃料噴射弁駆動部を制御すると共に、前記モータ駆動部を制御することによって前記スロットル開度を制御する制御部と、を備える駆動力制御装置であって、前記制御部は、前記点火及び/又は前記燃料の噴射を再開する際に、前記スロットル開度が前記鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度になるように、前記モータ駆動部を制御することを特徴とする駆動力制御装置。

請求項2

前記所定開度は、前記エンジンの回転速度、前記スロットル開度、前記アクセル操作に対応するアクセル開度、及び前記ドッグ式トランスミッションの変速段のうちの少なくとも一つに応じて可変に設定されることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。

請求項3

前記ドッグ同士の前記係合解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、前記所定開度は、前記ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値、又は前記ノーロードラインに対応する前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の開度値に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力制御装置。

請求項4

前記制御部は、前記スロットル開度が所定の閾値以上である場合に、前記点火の前記停止及び/又は前記燃料の前記噴射の前記停止を実行するように前記点火栓駆動部及び/又は前記燃料噴射弁駆動部を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の駆動力制御装置。

請求項5

前記所定の閾値は、前記エンジンの前記回転速度及び前記ドッグ式トランスミッション前記変速段の少なくとも一方に応じて可変に設定されることを特徴とする請求項4に記載の駆動力制御装置。

技術分野

0001

本発明は、駆動力制御装置に関し、特に、メインクラッチ及びドッグトランスミッションを順に介してエンジン駆動力駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載される駆動力制御装置に関する。

背景技術

0002

自動二輪車の中には、ドッグ式トランスミッションを備えるものがある。かかるドッグ式トランスミッションでは、運転者が、メインクラッチを操作することなく、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士(ドッグ歯同士)が当接してエンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態で、変速を行うことができる。かかる構成によれば、運転者が、メインクラッチの操作を省略して、迅速に変速を行うことが可能となる。

0003

ところが、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態では、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の接触面に大きな押圧力が作用している。このため、運転者が変速のためにドッグ同士を引き離そうとしても、接触面に押圧力に比例した大きな静止摩擦力が作用しているために、運転者の操作によりドッグ同士を引き離すことが困難となる傾向がある。

0004

かかる状況下で、特許文献1には、自動二輪車の変速制御装置に関し、運転者によるシフトアップ方向の変速操作が検出された場合に、ドッグ同士の接触を解除して変速を可能にするために、エンジンの点火栓による点火の停止を実行することによってエンジンの駆動力を低下させ、変速完了後にエンジンの点火栓による点火を再開する構成が開示されている。

先行技術

0005

特開2009−47174号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成は、運転者によるシフトアップ方向の変速操作が検出された場合に、ドッグ同士の接触を解除して変速を可能にするために、エンジンの点火栓による点火の停止を実行することによってエンジンの駆動力を低下させ、変速完了後にエンジンの点火栓による点火を再開するものではあるが、変速完了後にエンジンの点火栓による点火を再開した際に、アクセル操作で要求される要求スロットル開度にエンジンのスロットル開度追従させたままでは、エンジンの駆動力が急増し、トルクショックが大きくなる傾向が考えられて改善の余地がある。このような傾向は、車両が自動二輪車等の軽量な鞍乗型車両である場合に、より顕著となるものでもある。

0007

本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、変速完了後にエンジンの駆動を再開した際にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

以上の目的を達成するべく、本発明は、メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンの点火栓に点火を行わせる点火栓駆動部と、前記エンジンに燃料噴射する燃料噴射弁を駆動する燃料噴射弁駆動部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの前記接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記変速操作を検出した場合には、前記点火の停止及び/又は前記燃料の噴射の停止を実行するように前記点火栓駆動部及び/又は前記燃料噴射弁駆動部を制御すると共に、前記モータ駆動部を制御することによって前記スロットル開度を制御する制御部と、を備える駆動力制御装置であって、前記制御部は、前記点火及び/又は前記燃料の噴射を再開する際に、前記スロットル開度が前記鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度になるように、前記モータ駆動部を制御することを第1の局面とする。

0009

また、本発明は、第1の局面に加えて、前記所定開度は、前記エンジンの回転速度、前記スロットル開度、前記アクセル操作に対応するアクセル開度、及び前記ドッグ式トランスミッションの変速段のうちの少なくとも一つに応じて可変に設定されることを第2の局面とする。

0010

また、本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記ドッグ同士の前記係合が解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、前記所定開度は、前記ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値、又は前記ノーロードラインに対応する前記スロットル開度と前記要求スロットル開度との間の開度値に設定されることを第3の局面とする。

0011

また、本発明は、第1から第3の局面のうちのいずれかに加えて、前記制御部は、前記スロットル開度が所定の閾値以上である場合に、前記点火の前記停止及び/又は前記燃料の前記噴射の前記停止を実行するように前記点火栓駆動部及び/又は前記燃料噴射弁駆動部を制御することを第4の局面とする。

0012

また、本発明は、第4の局面に加えて、前記所定の閾値は、前記エンジンの前記回転速度及び前記ドッグ式トランスミッションの前記変速段の少なくとも一方に応じて可変に設定されることを第5の局面とする。

発明の効果

0013

以上の本発明の第1の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部が、点火及び/又は燃料の噴射を再開する際に、スロットル開度が鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度になるように、モータ駆動部を制御するものであるため、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にエンジンの駆動力が急増することが抑制され得て、トルクショックが発生することを抑制することができる。

0014

また、本発明の第2の局面にかかる駆動力制御装置によれば、所定開度が、エンジンの回転速度、スロットル開度、アクセル操作に対応するアクセル開度、及びドッグ式トランスミッションの変速段のうちの少なくとも一つに応じて可変に設定されるものであるため、制御部が、点火及び/又は燃料の噴射を再開する際に、適切な所定開度を用いて、スロットル開度を要求スロットル開度偏位させることができ、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0015

また、本発明の第3の局面にかかる駆動力制御装置によれば、ドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、所定開度が、ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値、又はノーロードラインに対応するスロットル開度と要求スロットル開度との間の開度値に設定されるものであるため、変速を円滑なものにし得る適切な所定開度を用いて、スロットル開度を要求スロットル開度に対して偏位させることができ、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0016

また、本発明の第4の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部が、スロットル開度が所定の閾値以上である場合に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行するように点火栓駆動部及び/又は燃料噴射弁駆動部を制御するものであるため、変速のためにエンジンの駆動力を大きく低下させたい状態であるスロットル開度の増大時に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行することができ、変速を円滑に行いながら、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0017

また、本発明の第5の局面にかかる駆動力制御装置によれば、所定の閾値が、エンジンの回転速度及びドッグ式トランスミッションの変速段の少なくとも一方に応じて可変に設定されるものであるため、適切な閾値を用いて、変速のためにエンジンの駆動力を大きく低下させたい状態であるスロットル開度の増大時に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止をより確実に実行することができる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、本発明の実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。
図2(a)は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2(b)は、図2(a)中の駆動力制御処理の一部のより詳細な内容を示すフローチャートである。
図3は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理で参照されるエンジンの回転速度(エンジン回転速度)及びドッグ式トランスミッションの変速段をパラメータとするスロットル開度の閾値の一例を示す図である。
図4は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際の変速操作に伴うスロットル開度及び点火停止時間変化を主として示す図である。

実施例

0019

以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における駆動力制御装置につき、詳細に説明する。

0020

〔駆動力制御装置の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態における駆動力制御装置の構成について説明する。

0021

図1は、本実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。

0022

図1に示すように、本実施形態における駆動力制御装置1は、ECU(Electronic Control Unit)等の電子制御装置によって構成され、いずれも図示を省略するメインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する典型的には自動二輪車等の鞍乗型車両に搭載されている。

0023

駆動力制御装置1は、クラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、制御部5、モータ駆動回路6、点火栓駆動回路7、及び燃料噴射弁駆動回路8を備えている。なお、これらのクラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、及び制御部5は各々機能ブロックとして示している。また、駆動力制御装置1は、図示を省略するメモリ等を備えており、メモリには、駆動力制御装置1に必要な制御プログラム及び制御データ等が格納されている。

0024

具体的には、クラッチ状態検出部2は、運転者がメインクラッチを接続又は遮断する際のその操作に関する情報を坦持するクラッチスイッチ11からの入力信号に基づいて、メインクラッチの接続又は遮断を検出する。クラッチ状態検出部2は、このように検出したメインクラッチの断続操作に応じた電気信号を制御部5に入力する。

0025

変速操作検出部3は、運転者がドッグ式トランスミッションの変速操作を行う際のその変速操作に関する情報を坦持する変速操作スイッチ12からの入力信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する。変速操作検出部3は、このように検出したドッグ式トランスミッションの変速操作の有無に応じた電気信号を制御部5に入力する。

0026

変速段検出部4は、ギヤポジションセンサ13が出力するドッグ式トランスミッションのシフトドラム回転位置に対応してドッグ式トランスミッションで選択されている変速段(ギヤポジション)に応じた信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションで選択されている変速段を検出する。変速段検出部4は、このように検出した変速段を示す電気信号を制御部5に入力する。

0027

制御部5は、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した場合には、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行するように点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御すると共に、エンジンのスロットルバルブ開度(スロットル開度)、つまり実際のスロットル開度である実スロットル開度を調整するようにモータ駆動回路6を制御する。制御部5は、このような、点火の停止、燃料の噴射の停止及びスロットル開度の調整のための各々の制御信号を、点火栓駆動回路7、燃料噴射弁駆動回路8及びモータ駆動回路6に入力する。

0028

ここで、制御部5は、スロットルポジションセンサ15、アクセル開度センサ16、及びクランク角センサ17からの入力信号をも更に用いて、後述する駆動力制御処理を実行する。スロットルポジションセンサ15は、エンジンのスロットル開度に応じた電気信号を入力する。アクセル開度センサ16は、鞍乗型車両のアクセルグリップ等のアクセル操作部材操作量(アクセル開度)に応じた電気信号を入力する。また、クランク角センサ17は、エンジンのクランク角クランク軸回転角度)に応じた電気信号を入力する。

0029

モータ駆動回路6は、制御部5からの制御信号に従って、スロットルモータ14を駆動することによってスロットル開度を制御する。

0030

点火栓駆動回路7は、制御部5からの制御信号に従って、エンジンの点火栓18によるエンジンへの点火動作、つまり点火の開始、停止及び再開といった一連の点火動作を制御する。

0031

燃料噴射弁駆動回路8は、制御部5からの制御信号に従って、エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁19の、つまり燃料噴射の開始、停止及び再開といった一連の燃料噴射動作を制御する。

0032

以上のような構成を有する駆動力制御装置1は、以下に示す駆動力制御処理を実行することによって、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制する。以下、更に図2から図4をも参照して、駆動力制御処理を実行する際の駆動力制御装置1の動作について、詳細に説明する。

0033

〔駆動力制御処理〕
図2(a)は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理の流れを示すフローチャートであり、図2(b)は、図2(a)中の駆動力制御処理のステップS6の処理のより詳細な内容を示すフローチャートである。図3は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理で参照されるエンジンの回転速度(エンジン回転速度)及びドッグ式トランスミッションの変速段をパラメータとするスロットル開度の閾値の一例を示す図である。また、図4は、本実施形態における駆動力制御装置による駆動力制御処理を実行する際の変速操作に伴うスロットル開度及び点火カットの時間変化を主として示す図である。なお、図4中において、特性線L11は、鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度、特性線L12は、スロットル開度、特性線L13は、ノーロードラインに対応するスロットル開度、特性線L14は、スロットル開度がゼロであることを示す線、特性線L15は、点火及び/又は燃料噴射の停止のオンオフ(実行/解除)を示す線、特性線L16は、電子制御スロットル復帰処理の実行を示す線、特性線L17は変速段の変速完了を示す線、及び特性線L18は、変速操作の開始を示す線を各々示している。また、特性線L12は、駆動力制御装置1の制御上では目標スロットル開度を示すものであるが、現実的には、目標スロットル開度に向けてフィードバック制御される実スロットル開度を示していると考えてもかまわない。

0034

図2(a)に示すフローチャートは、鞍乗型車両のイグニッションスイッチがオンされて駆動力制御装置1が起動されたタイミングで開始となり、駆動力制御処理はステップS1の処理に進む。駆動力制御処理は、鞍乗型車両が起動されて駆動力制御装置1が起動されている間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。

0035

ステップS1の処理では、制御部5が、クラッチ状態検出部2及び変速操作検出部3から入力された電気信号に基づいて、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出したか否かを判別する。判別の結果、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出されていない場合には、制御部5は、今回の一連の駆動力制御処理を終了する。一方、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS2の処理に進める。

0036

ここで、図4に示す時刻t=t1において、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において、変速操作検出部3は、ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出している。

0037

ステップS2の処理では、制御部5が、メモリに記憶されたフラグ情報に基づいて、今回のステップS2の処理が初めて実行される初回の処理であるか否かを判別する。判別の結果、今回のステップS2の処理が2回目以後の処理である場合には、制御部5は、今回の一連の駆動力制御処理を終了する。一方、今回のステップS2の処理が初回の処理である場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS3の処理に進める。

0038

ステップS3の処理では、制御部5が、クランク角センサ17が入力するエンジンのクランク角に応じた電気信号に基づいてエンジンの回転速度NEを検出すると共に、変速段検出部4から入力された電気信号に基づいて変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段を検出する。そして、制御部5は、エンジンの回転速度NE及び変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段に基づいてステップS4の処理において用いるスロットル開度の閾値を算出する。具体的には、制御部5は、エンジンの回転速度NE及び変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段とスロットル開度の閾値との関係を示すマップデータから、このように検出したエンジンの回転速度NE及び変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段に対応する閾値を読み出す。これにより、ステップ3の処理は完了し、駆動力制御処理はステップS4の処理に進む。

0039

ここで、エンジンの回転速度NE及び変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段とスロットル開度の閾値との関係を示すマップデータとしては、図3に示すような内容のものを例示できる。図3に示すマップデータにおいて、特性線L0は、ノーロードラインを示し、特性線L1から特性線L5は、各々、変速操作が検出される際のドッグ式トランスミッションの変速段が1段、2段、3段、4段、及び5段であるときのスロットル開度の閾値とエンジン回転速度との関係を示す。即ち、図3に示すマップデータでは、変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段が大きい程、またエンジン回転速度NEが大きい程、スロットル開度の閾値は大きな値に設定されることになる。

0040

また、かかるノーロードラインは、エンジンの駆動力がエンジンのその抵抗力機械的な摩擦力潤滑油粘弾性力等)と釣り合った状態のエンジンの運転状態を示し、典型的には、エンジン回転速度及びスロットル開度をパラメータとし、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示す特性データから成って、予め設定されてメモリ内に記憶されている。詳しくは、ノーロードラインは、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合状態減速時の係合状態と加速時の係合状態との間で切り換わるエンジンの運転状態の境界を規定するもので、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態、及びドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態におけるエンジン回転速度及びスロットル開度間の関係を規定するものである。つまり、ノーロードラインは、エンジン回転速度及びスロットル開度を各々の座標軸とする直交座標系において、単なる線のみならず、それを含んである程度の上下幅を有して延びる領域となる。また、図3に示す特性線L0及び図4に示すスロットル開度TH0は、このようなノーロードラインに対応する領域におけるスロットル開度の代表値を例示するものである。

0041

ステップS4の処理では、制御部5が、スロットルポジションセンサ15から入力された電気信号に基づいて、現在のスロットル開度がステップS3の処理において算出された閾値以上であるか否かを判別する。判別の結果、スロットル開度が閾値未満である場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS5の処理に進める。一方、スロットル開度が閾値以上である場合には、制御部5は、駆動力制御処理をステップS6の処理に進める。

0042

ステップS5の処理では、制御部5が、モータ駆動回路6及びスロットルモータ14を介してエンジンのスロットル開度を制御することによってエンジンの駆動力を制御する。この際、制御部5は、点火栓駆動回路7及び点火栓18を介したエンジンへの点火の開始、停止及び再開といった一連の点火動作の制御によるエンジンの駆動力の制御や、燃料噴射弁駆動回路8及び燃料噴射弁19を介したエンジンへの燃料噴射の開始、停止及び再開といった一連の燃料噴射動作の制御によるエンジンの駆動力の制御は行わない。これにより、ステップS5の処理は完了し、今回の一連の駆動力制御処理は終了する。

0043

ステップS6の処理では、制御部5は、モータ駆動回路6を介してエンジンのスロットル開度を制御する共に、点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御することによって点火の停止及び/又は燃料噴射の停止を実行することにより、エンジンの駆動力を制御する(停止併用処理)。この停止併用処理の詳細については、図2(b)に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS6の処理は完了し、今回の一連の駆動力制御処理は終了する。

0044

〔停止併用処理〕
図2(b)に示すフローチャートは、図2(a)に示すステップS4の処理においてスロットル開度が閾値以上であると判別されたタイミングで開始となり、停止併用処理はステップS11の処理に進む。

0045

ステップS11の処理では、制御部5が、メモリに記憶されたフラグ情報に基づいて、今回のステップS11の処理が初めて実行される初回の処理であるか否かを判別する。判別の結果、今回のステップS11の処理が初回の処理である場合には、制御部5は、停止併用処理をステップS12の処理に進める。一方、今回のステップS11の処理が2回目以後の処理である場合には、制御部5は、停止併用処理をステップS15の処理に進める。

0046

ステップS12の処理では、制御部5が、所定時間を計測するための減算タイマの計時をスタートさせる。これにより、ステップS12の処理は完了し、停止併用処理はステップS13の処理に進む。

0047

ステップS13の処理では、制御部5が、点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御することによって点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行する。これにより、ステップS13の処理は完了し、停止併用処理はステップS14の処理に進む。

0048

ここで、図4に示す時刻t=t1において、制御部5が、点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御することによって点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行している。

0049

ステップS14の処理では、制御部5が、鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度から偏位した開度値であるイニシャル開度TH1を算出する。これにより、ステップS14の処理は完了し、停止併用処理はステップS17の処理に進む。

0050

ここで、典型的には、イニシャル開度TH1は、変速操作がシフトアップ操作(下位の変速段から上位の変速段に変速段を変化させる変速操作)である場合には、鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度よりも小さい開度値に設定される。また、イニシャル開度TH1は、変速操作がシフトダウン操作(上位の変速段から下位の変速段に変速段を変化させる変速操作)である場合にも、例えば運転者が車両を加速させるためにアクセルを開く方向に操作しているときは、要求スロットル開度よりも小さい開度値に設定される。また、イニシャル開度TH1は、変速操作の簡便性を考慮すれば、エンジンの回転速度NE、スロットル開度、アクセル開度、及び変速操作検出時のドッグ式トランスミッションの変速段のうちの少なくとも一つに基づき算出される可変値であることが好ましい。また、この際のイニシャル開度TH1の算出処理を簡素化するのであれば、イニシャル開度TH1は、固定値であってもよい。更に、イニシャル開度TH1は、変速操作の簡便性をより向上する観点から、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0に合致する開度値に設定されることが好ましい。ここで、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0に合致する開度値とは、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態を実現するもののみならず、ドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態を実現するものをも含んでもよい。つまり、ノーロードラインに対応するスロットル開度TH0に合致する開度値とは、厳密にスロットル開度TH0に合致するもののみならず、それから数度程度上下に偏位したものを含み得る。

0051

ステップS15の処理では、制御部5が、変速段検出部4から入力された電気信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わったか否か、つまり変速が完了したか否かを判別する。判別の結果、ドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わらずに変速が完了していない場合には、制御部5は、停止併用処理をステップS16の処理に進める。一方、ドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わって変速が完了した場合には、制御部5は停止併用処理をステップS18の処理に進める。

0052

ここで、図4に示す時刻t=t2において、制御部5が、変速段検出部4から入力された電気信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速が完了したと判別している。また、図4中では、変速操作をシフトアップ操作として示しているが、変速操作は、シフトダウン操作であってもよい。

0053

ステップS16の処理では、制御部5が、減算タイマによる所定時間の計時が完了したか否かを判別する。かかる減算タイマによる所定時間の計時が完了の判別処理は、ステップS15の処理における変速が完了の判別処理を補完するものである。判別の結果、所定時間の計測処理が完了していない場合には、制御部5は停止併用処理をステップS17の処理に進める。一方、所定時間の計測処理が完了した場合には、制御部5は停止併用処理をステップS18の処理に進める。

0054

つまり、制御部5が、変速が完了する前に減算タイマによる所定時間の計時が完了したと判別した場合には、制御部5は停止併用処理をステップS18の処理に進めるものである。

0055

ステップS17の処理では、制御部5が、エンジンのスロットル開度がステップS14の処理において算出されたイニシャル開度TH1に近づいてそれに一致するようにモータ駆動回路6を制御する。これにより、ステップS17の処理は完了し、今回の一連の停止併用処理は終了する。

0056

ここで、図4に示す時刻t=t1からt2の期間において、制御部5が、スロットル開度がイニシャル開度TH1に近づいてそれに一致するようにモータ駆動回路6を制御している。

0057

ステップS18の処理では、制御部5が、点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御することによって、点火及び/又は燃料の噴射の停止を終了して点火及び/又は燃料の噴射を再開する。これにより、ステップS18の処理は完了し、停止併用処理はステップS19の処理に進む。

0058

ここで、図4に示す時刻t=t2において、制御部5が、点火及び/又は燃料の噴射の停止を終了して点火及び/又は燃料の噴射を再開している。

0059

ステップS19の処理では、制御部5が、アクセル開度センサ16から入力された電気信号に基づいて、鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度にエンジンのスロットル開度を復帰させるようにモータ駆動回路6を制御するマージ処理を実行する。これにより、ステップS19の処理は完了し、停止併用処理はステップS20の処理に進む。

0060

ここで、図4に示す時刻t=t2からt3の期間において、制御部5が、要求スロットル開度にスロットル開度を復帰させるようにモータ駆動回路6を制御するマージ処理を実行している。また、図4中では、変速操作をシフトアップ操作として示しているため、マージ処理中のスロットル開度は、典型例として増加されているが、変速操作がシフトダウン操作である場合には、マージ処理中のスロットル開度は、典型的には減少されることになる。なお、かかるマージ処理におけるスロットル開度は、直線的に変化するものであっても、又は曲線的に変化するものであってもかまわない。

0061

ステップS20の処理では、制御部5が、スロットルポジションセンサ15から入力された電気信号に基づいて、エンジンのスロットル開度が要求スロットル開度に到達したか否かを判別する。判別の結果、エンジンのスロットル開度が要求スロットル開度に到達していない場合には、制御部5は停止併用処理をステップS11の処理に戻す。一方、エンジンのスロットル開度が要求スロットル開度に到達した場合には、制御部5は、今回の一連の停止併用処理を終了する。

0062

ここで、図4に示す時刻t=t3において、制御部5が、スロットル開度が要求スロットル開度に到達したと判別している。

0063

以上の説明から明らかなように、本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、点火及び/又は燃料の噴射を再開する際に、スロットル開度が鞍乗型車両のアクセル操作によって要求される要求スロットル開度から小さい開度値側に偏位した所定開度TH1になるように、モータ駆動部を6制御するものであるため、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にエンジンの駆動力が急増することが抑制され得て、トルクショックが発生することを抑制することができる。

0064

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、所定開度TH1が、エンジンの回転速度、スロットル開度、アクセル操作に対応するアクセル開度、及びドッグ式トランスミッションの変速段のうちの少なくとも一つに応じて可変に設定されるものであるため、制御部5が、点火及び/又は燃料の噴射を再開する際に、適切な所定開度を用いて、スロットル開度を要求スロットル開度に対して偏位させることができ、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0065

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、ドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインが予め設定されており、所定開度TH1が、ノーロードラインに対応するスロットル開度に合致する開度値TH0、又はノーロードラインに対応するスロットル開度TH0と要求スロットル開度との間の開度値に設定されるものであるため、変速を円滑なものにし得る適切な所定開度TH1を用いて、スロットル開度を要求スロットル開度に対して偏位させることができ、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0066

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、制御部5が、スロットル開度が所定の閾値以上である場合に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行するように点火栓駆動部7及び/又は燃料噴射弁駆動部8を制御するものであるため、変速のためにエンジンの駆動力を大きく低下させたい状態であるスロットル開度の増大時に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行することができ、変速を円滑に行いながら、変速完了後にエンジンへの点火及び/又は燃料の噴射を再開した際にトルクショックが発生することをより確実に抑制することができる。

0067

また、本実施形態における駆動力制御装置1では、所定の閾値が、エンジンの回転速度及びドッグ式トランスミッションの変速段の少なくとも一方に応じて可変に設定されるものであるため、適切な閾値を用いて、変速のためにエンジンの駆動力を大きく低下させたい状態であるスロットル開度の増大時に、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止をより確実に実行することができる。

0068

なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。

0069

以上のように、本発明は、変速完了後にエンジンの駆動を再開した際にトルクショックが発生することを抑制可能な駆動力制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等の駆動力制御装置に広く適用され得るものと期待される。

0070

1…駆動力制御装置
2…クラッチ状態検出部
3…変速操作検出部
4…変速段検出部
5…制御部
6…モータ駆動回路
7…点火栓駆動回路
8…燃料噴射弁駆動回路
11…クラッチスイッチ
12…変速操作スイッチ
13…ギヤポジションセンサ
14…スロットルモータ
15…スロットルポジションセンサ
16…アクセル開度センサ
17…クランク角センサ
18…点火栓
19…燃料噴射弁

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