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技術 エポキシ接着剤、並びに自動車用部材及びその製造方法

出願人 スリーエムイノベイティブプロパティズカンパニー
発明者 笠原貴裕小関大揮小林博之
出願日 2014年11月21日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-237170
公開日 2016年5月30日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2016-098333
状態 特許登録済
技術分野 接着剤、接着方法
主要キーワード 事務用クリップ 鉄含有材料 カーボン繊維強化プラスチック 充填プラスチック アルミニウム含有材料 金属部材間 集中点 ガルバニール
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

高いガラス転移温度及び低い粘度を有しかつ接着性能に優れるエポキシ接着剤、並びにこれを用いた自動車用部材及びその製造方法の提供。

解決手段

一態様において、(A)エポキシ、(B)コアシェル強靭化剤、及び(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤を含む、エポキシ接着剤であって、該(A)エポキシが、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む、エポキシ接着剤を提供する。別の態様において、第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する、硬化した上記エポキシ接着剤を含む、自動車用部材、及びその製造方法を提供する。

概要

背景

エポキシ接着剤は、一般に、接着特性機械強度、耐化学物質性及び耐熱性が良好であるため、自動車電子工学船舶宇宙土木工学建築等の幅広い分野で用いられている。これら用途の接着剤には、高温条件下でも高い信頼性を有する接着が求められる場合がある。例えば、自動車用部材用途の接着剤では、例えば約180℃以上という高温条件下での高い信頼性が求められる場合がある。

一般に、耐熱性が高い接着剤を得る手段の1つとして、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化性材料を用いることが挙げられる。しかし高Tgの硬化性材料はしばしば剛直で脆い傾向があり、従って、このような硬化性材料を用いて得られるエポキシ接着剤では、オーバーラップせん断接着強さ(OLSS)が良好である一方、剥離強さは低い傾向がある。

従来、オーバーラップせん断接着強さ(OLSS)及び剥離強さの両者に優れるエポキシ接着剤を得るために、架橋密度の低減、ゴム変性ポリマーの添加、ゴム又はウレタン変性されたエポキシ樹脂の添加、コアシェル樹脂の添加等が検討されてきた。

特許文献1は、(A)フェノールノボラック型エポキシ樹脂、(B)3官能型エポキシ樹脂及び(C)潜在性硬化剤を必須成分として含有することを特徴とする一液型耐熱エポキシ接着剤組成物を記載する。

特許文献2は、少なくとも芳香族系エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂100質量部及びジシアンジアミド系硬化剤1〜20質量部、ガラス転移温度(Tg)が−40℃未満である熱可塑性エラストマーからなる靭性付与剤10〜15質量部、並びに、フィラーを含む、電動パワーステアリング装置のための1液型エポキシ系接着剤組成物であって、前記接着剤組成物硬化後のTgが170℃以上でありそして25℃及び10Hzにおいて動的粘弾性試験機で測定したときの貯蔵弾性率が2GPa以下である、エポキシ系接着剤組成物を記載する。

特許文献3は、エポキシ樹脂、コアシェルゴム熱膨張性微粒子、及び硬化剤を含む熱硬化性接着剤であって、前記熱膨張性微粒子の平均粒径が9〜19μmであり、膨張開始温度が70〜100℃であり、かつ最大膨張温度が110〜135℃である、熱硬化性接着剤を記載する。

特許文献4は、(A)ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂及びビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂、(B)イミダゾール及びイミダゾール誘導体からなる群から選択される1種以上のイミダゾール類、(C)ジシアンジアミド、(D)有機酸ジヒドラジド化合物、(E)樹脂酸処理炭酸カルシウム及び金属水酸化物からなる群から選択される1種以上の化合物、及び(F)コアシェルアクリル粒子を含むことを特徴とする一液加熱硬化型エポキシ樹脂接着剤を記載する。

特許文献5は、(A)エポキシ樹脂100質量部、(B)潜在性硬化剤5〜30質量部、(C)平均粒径0.05〜0.5μmの架橋ゴム微粒子3〜15質量部、(D)硬化促進剤1〜5質量部、(E)平均粒径0.5〜5μmの充填剤10〜40質量部とからなる一液型エポキシ樹脂系接着剤であり、(A)のエポキシ樹脂が(A−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂75〜50質量%と、(A−2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂25〜50質量%の二成分系混合エポキシ樹脂であることを特徴とする一液型エポキシ樹脂系接着剤を記載する。

概要

高いガラス転移温度及び低い粘度を有しかつ接着性能に優れるエポキシ接着剤、並びにこれを用いた自動車用部材及びその製造方法の提供。一態様において、(A)エポキシ、(B)コアシェル強靭化剤、及び(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤を含む、エポキシ接着剤であって、該(A)エポキシが、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む、エポキシ接着剤を提供する。別の態様において、第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する、硬化した上記エポキシ接着剤を含む、自動車用部材、及びその製造方法を提供する。なし

目的

本発明は、上記の課題を解決し、良好な耐熱性を得るための高いガラス転移温度、及び良好な操作性を得るための低粘度を有し、かつオーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さの両者に優れるエポキシ接着剤、並びにこれを用いて得られる、耐熱性に優れる自動車用部材及びその製造方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

(A)エポキシ、(B)コアシェル強靭化剤、及び(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤を含む、エポキシ接着剤であって、前記(A)エポキシが、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む、エポキシ接着剤。

請求項2

円錐平板粘度計によって25℃及び回転数200秒-1で測定したときの粘度が10Pa・s以上200Pa・s以下である、請求項1に記載のエポキシ接着剤。

請求項3

前記エポキシ接着剤を硬化させて得た測定試料動的粘弾性測定装置によって測定したときのガラス転移温度(Tg)が180℃以上である、請求項1又は2に記載のエポキシ接着剤。

請求項4

JISK6850に準拠して測定したときのオーバーラップせん断接着強さが10MPa以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ接着剤。

請求項5

JISK6850に準拠して測定したときに、250℃12時間曝露後のオーバーラップせん断接着強さの、前記曝露前のオーバーラップせん断接着強さに対する比が、0.7以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ接着剤。

請求項6

JISK6351−3に準拠して測定したときのT型剥離強さが2kN/m以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ接着剤。

請求項7

第一の被着体、第二の被着体、及び、前記第一の被着体と前記第二の被着体との間に配置されて前記第一の被着体と前記第二の被着体とを接着する、硬化した請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ接着剤を含む、自動車用部材

請求項8

第一の被着体、第二の被着体、及び、前記第一の被着体と前記第二の被着体との間に配置されて前記第一の被着体と前記第二の被着体とを接着する硬化した接着剤、を含む自動車用部材の製造方法であって、前記第一の被着体と前記第二の被着体との間に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ接着剤を配置すること、及び前記エポキシ接着剤を100℃以上250℃以下で硬化させて前記硬化した接着剤を形成すること、を含む、方法。

技術分野

0001

本開示は、エポキシ接着剤、並びに自動車用部材及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

エポキシ接着剤は、一般に、接着特性機械強度、耐化学物質性及び耐熱性が良好であるため、自動車電子工学船舶宇宙土木工学建築等の幅広い分野で用いられている。これら用途の接着剤には、高温条件下でも高い信頼性を有する接着が求められる場合がある。例えば、自動車用部材用途の接着剤では、例えば約180℃以上という高温条件下での高い信頼性が求められる場合がある。

0003

一般に、耐熱性が高い接着剤を得る手段の1つとして、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化性材料を用いることが挙げられる。しかし高Tgの硬化性材料はしばしば剛直で脆い傾向があり、従って、このような硬化性材料を用いて得られるエポキシ接着剤では、オーバーラップせん断接着強さ(OLSS)が良好である一方、剥離強さは低い傾向がある。

0004

従来、オーバーラップせん断接着強さ(OLSS)及び剥離強さの両者に優れるエポキシ接着剤を得るために、架橋密度の低減、ゴム変性ポリマーの添加、ゴム又はウレタン変性されたエポキシ樹脂の添加、コアシェル樹脂の添加等が検討されてきた。

0005

特許文献1は、(A)フェノールノボラック型エポキシ樹脂、(B)3官能型エポキシ樹脂及び(C)潜在性硬化剤を必須成分として含有することを特徴とする一液型耐熱エポキシ接着剤組成物を記載する。

0006

特許文献2は、少なくとも芳香族系エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂100質量部及びジシアンジアミド系硬化剤1〜20質量部、ガラス転移温度(Tg)が−40℃未満である熱可塑性エラストマーからなる靭性付与剤10〜15質量部、並びに、フィラーを含む、電動パワーステアリング装置のための1液型エポキシ系接着剤組成物であって、前記接着剤組成物硬化後のTgが170℃以上でありそして25℃及び10Hzにおいて動的粘弾性試験機で測定したときの貯蔵弾性率が2GPa以下である、エポキシ系接着剤組成物を記載する。

0007

特許文献3は、エポキシ樹脂、コアシェルゴム熱膨張性微粒子、及び硬化剤を含む熱硬化性接着剤であって、前記熱膨張性微粒子の平均粒径が9〜19μmであり、膨張開始温度が70〜100℃であり、かつ最大膨張温度が110〜135℃である、熱硬化性接着剤を記載する。

0008

特許文献4は、(A)ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂及びビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂、(B)イミダゾール及びイミダゾール誘導体からなる群から選択される1種以上のイミダゾール類、(C)ジシアンジアミド、(D)有機酸ジヒドラジド化合物、(E)樹脂酸処理炭酸カルシウム及び金属水酸化物からなる群から選択される1種以上の化合物、及び(F)コアシェルアクリル粒子を含むことを特徴とする一液加熱硬化型エポキシ樹脂接着剤を記載する。

0009

特許文献5は、(A)エポキシ樹脂100質量部、(B)潜在性硬化剤5〜30質量部、(C)平均粒径0.05〜0.5μmの架橋ゴム微粒子3〜15質量部、(D)硬化促進剤1〜5質量部、(E)平均粒径0.5〜5μmの充填剤10〜40質量部とからなる一液型エポキシ樹脂系接着剤であり、(A)のエポキシ樹脂が(A−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂75〜50質量%と、(A−2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂25〜50質量%の二成分系混合エポキシ樹脂であることを特徴とする一液型エポキシ樹脂系接着剤を記載する。

先行技術

0010

特開平9−100456号公報
特開2005−15563号公報
国際公開第2014/071334号パンフレット
特開2010−150401号公報
特開2011−148867号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかし、これら文献に記載される技術によっても、オーバーラップせん断接着強さと剥離強さとの両者が良好であるエポキシ接着剤において得られる耐熱性が十分であるとはいえない。従って、オーバーラップせん断接着強さと剥離強さとを両立でき、しかも耐熱性にも優れるという特性を有する接着剤への要求が存在する。

0012

また、耐熱性の点で有利である剛直な分子構造は、しばしば高粘度をもたらし、従って、接着剤の操作性(例えばマイクロニードル及び/又はシリンジによる微量放出性能)の悪化をしばしばもたらす。

0013

更に、接着剤の幾つかの用途(例えば自動車用部材用途等)では、オーバーラップせん断接着強さと剥離強さとを両立でき、しかも耐熱性も優れるという性能を、種々の材質金属材料セラミック材料ポリマー材料等)の被着体に対して実現することが求められる場合があり、例えば異種の材質で構成された被着体間の接着で、上記性能の実現が求められる場合がある。

0014

本発明は、上記の課題を解決し、良好な耐熱性を得るための高いガラス転移温度、及び良好な操作性を得るための低粘度を有し、かつオーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さの両者に優れるエポキシ接着剤、並びにこれを用いて得られる、耐熱性に優れる自動車用部材及びその製造方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本開示は、以下の態様を包含する。
[1] (A)エポキシ、(B)コアシェル強靭化剤、及び(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤を含む、エポキシ接着剤であって、
該(A)エポキシが、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む、エポキシ接着剤。
[2] 第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する、硬化した本開示のエポキシ接着剤を含む、自動車用部材。
[3] 第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する硬化した接着剤、を含む自動車用部材の製造方法であって、
該第一の被着体と該第二の被着体との間に、本開示のエポキシ接着剤を配置すること、及び
該エポキシ接着剤を100℃以上250℃以下で硬化させて該硬化した接着剤を形成すること、
を含む、方法。

発明の効果

0016

本発明の幾つかの態様は、高Tg及び低粘度で、かつオーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さの両者に優れるエポキシ接着剤を提供する。本発明の幾つかの態様は、上記特性に加えて、広範な材質の被着体に対する良好な接着(すなわち異種の材質で構成された被着体間でも良好な接着が得られること)という特性も有するエポキシ接着剤を提供する。本発明の幾つかの態様は、これらのエポキシ接着剤を用いて得られる、耐熱性及び耐剥離性に優れる自動車用部材及びその製造方法を提供する。

図面の簡単な説明

0017

オーバーラップせん断接着強さの測定方法について説明する図である。
T型剥離強さの測定方法について説明する図である。
実施例1におけるDMA測定結果を示す図である。

0018

以下、本発明の例示の態様について説明するが、本発明はこれらの態様に限定されず、特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱しない任意の改変が本発明に包含されることが意図される。なお本開示において言及する各測定は、特記がない限り、[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法によって行われることが意図される。

0019

<エポキシ接着剤>
本開示の一態様は、
(A)エポキシ、(B)コアシェル強靭化剤、及び(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤を含む、エポキシ接着剤であって、
該(A)エポキシが、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む、エポキシ接着剤を提供する。

0020

(A)エポキシ
本開示のエポキシ接着剤は熱硬化性接着剤であり、(A)エポキシは熱硬化性成分としてエポキシ接着剤に含まれる。(A)エポキシは、3官能以上の液状エポキシを少なくとも50質量%含む。本開示で、液状エポキシとは、円錐平板粘度計によって70℃で測定したときの、200秒-1の回転数における粘度が0.01Pa・s以上50Pa・s以下であるエポキシを意味する。3官能以上の液状エポキシは1種又は2種以上の化合物の組合せであってよい。3官能以上の液状エポキシは、本開示のエポキシ接着剤を高Tgかつ低粘度にすることに寄与する。更に、幾つかの態様において、3官能以上の液状エポキシは、これらが有する多数の官能基の寄与により、種々の材質で構成された被着体間の接着(例えば、鉄含有材料で構成される被着体同士の接着、アルミニウム含有材料で構成される被着体同士の接着、又は鉄含有材料で構成される被着体とアルミニウム含有材料で構成される被着体との接着等)における良好な接着性能の実現に寄与する。

0021

好ましい態様において、3官能以上の液状エポキシのエポキシ当量は、入手性および反応性の観点から、約60以上、又は約70以上、又は約80以上であり、硬化後のエポキシ接着剤の耐熱性の観点及び高Tgの観点から、約1000以下、又は約500以下、又は約300以下である。

0022

3官能以上の液状エポキシの好ましい例としては、本開示のエポキシ接着剤に高Tg及び低粘度を良好に与える観点から、グリシジルアミン型エポキシ樹脂グリシジルフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、トリグリシジルアミノフェノールエポキシ化合物、トリグリシジルアミノクレゾール型エポキシ化合物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン型エポキシ化合物、テトラグリシジルビスアミメチルシクロヘキサン型エポキシ化合物、テトラグリシジルグリコールウリル型エポキシ化合物等が挙げられる。グリシジルフェノール型エポキシ樹脂としてはフェノールノボラック型エポキシ化合物、トリフェニルメタントリグリシジルエーテル型化合物等が挙げられる。

0023

トリグリシジルアミノフェノール型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(1):



で表されるトリグリシジルp−アミノフェノール、及び下記式(2):



で表されるトリクレジルm−アミノフェノールである。

0024

トリグリシジルアミノクレゾール型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(3):



で表されるトリグリシジルアミノクレゾールである。

0025

トリフェニルメタントリグリシジルエーテル型化合物の好ましい例は、下記式(4):



で表されるトリフェニルメタントリグリシジルエーテルである。

0026

テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(5):



で表されるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(4,4’−メチレンビス[N,N−ビスオキシラニルメチル)アニリン])である。

0027

テトラグリシジルメタキシリレンジアミン型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(6):



で表されるテトラグリシジルメタキシリレンジアミンである。

0028

テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(7):



で表されるテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンである。

0029

テトラグリシジルグリコールウリル型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(8):



で表されるテトラグリシジルグリコールウリルである。

0030

また、フェノールノボラック型エポキシ化合物の好ましい例は、下記式(9):



(式中、nは2以上である。)
で表される化合物である。

0031

好ましい態様において、3官能以上の液状エポキシは、3官能エポキシ、若しくは4官能エポキシ、又はこれらの組合せを含む。また、好ましい態様において、3官能以上の液状エポキシは、3官能エポキシ、若しくは4官能エポキシ、又はこれらの組合せである。

0032

3官能以上の液状エポキシの含有率は、高Tgかつ低粘度のエポキシ接着剤を得る観点から、(A)エポキシ100質量%基準で、約50質量%以上であり、好ましくは約60質量%以上、又は約70質量%以上である。上記含有率は約100質量%であってもよいが、後述のような追加のエポキシ成分を所望に応じて用いる観点から、例えば約95質量%以下、又は約90質量%以下、又は約85質量%以下であってよい。

0033

(A)エポキシは、3官能以上の液状エポキシに加えて、追加のエポキシ成分を含んでもよい。追加のエポキシ成分としては、3官能以上の液状エポキシに包含されない任意のエポキシ化合物を例示でき、脂肪族、脂環式及び芳香族ヒドロキシル化合物をグリシジル化したグリシジルエーテル、脂肪族、脂環式又は芳香族のカルボン酸をグリシジル化したグリシジルエステル等を例示できる。具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノールエポキシ樹脂ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂臭素化エポキシ樹脂脂環式エポキシ樹脂ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ化エーテル、グリシジルネオデカノエートイソシアヌレート環を有するトリグリシジルイソシアヌレートフェノキシ樹脂、1官能以上のナフタレン骨格を有するグリシジルエーテル、ビフェニル骨格を有するグリシジルエーテル等であって3官能以上の液状エポキシに包含されない化合物が挙げられる。

0034

幾つかの態様において、追加のエポキシ成分は、反応性希釈剤又は反応性可塑剤として、アルキルモノグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル等の低粘度のエポキシ化合物を含む。

0035

(B)コアシェル強靭化剤
本開示の(B)コアシェル強靭化剤は、樹脂改質剤としての強靭化剤として使用できることが当業者に理解される任意の種類のコアシェル強靭化剤を包含する。典型的な態様において、(B)コアシェル強靭化剤は、内側のコア部分と外側のシェル部分とが互いに異なる材料で構成されている複合材料である。ここで、「異なる材料」とは、組成及び/又は特性が互いに異なる材料を意図し、従って、例えば同種の樹脂であるが分子量が互いに異なる材料等も包含する。

0036

エポキシ接着剤に対する強靭化効果を良好に得る観点から、シェル部分のTgはコア部分のTgよりも高いことが好ましい。この場合、相対的に低Tgであるコア部分が応力集中点として働くことにより、硬化したエポキシ接着剤に可撓性を付与する一方で、シェル部分がコアシェル強靭化剤同士の望ましくない凝集を制御してコアシェル強靭化剤をエポキシ接着剤中に均一に分散させることができる。

0037

例示の態様において、コア部分のTgが約−110℃以上、約−30℃以下であり、かつシェル部分のTgが約0℃以上、約200℃以下となるように、コア部分及びシェル部分の材料を選択することができる。本開示において、コア部分の材料及びシェル部分の材料のTgは、動的粘弾性測定におけるtanδのピーク値の温度として定義される。

0038

コアシェル強靭化剤は、ブタジエンイソプレン、1,3−ペンタジエンシクロペンタジエンジシクロペンタジエンなどの共役ジエン、1,4−ヘキサジエンエチリデンノルボルネンなどの非共役ジエン重合体;これらの共役又は非共役ジエンと、スチレンビニルトルエンα−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物アクリロニトリルメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルメタクリレートブトキシエチルメタクリレートなどの(メタアクリレートなどとの共重合体ポリブチルアクリレートなどのアクリルゴムシリコーンゴムシリコーンポリアルキルアクリレートとからなるIPN複合ゴムなどのゴム成分を含むコア部分と、コア部分の周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル部分とを有する、コアシェル型グラフト共重合体であってよい。コア部分として、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体及びアクリルブタジエンゴム−スチレン共重合体が有利に使用でき、シェル部分としてメチル(メタ)アクリレートをグラフト共重合して形成したものが有利に使用できる。シェル部分は層状であってよく、一層又は複数の層からシェル部分が構成されていてもよい。

0039

このようなコアシェル強靭化剤として、例えば、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。コアシェル強靭化剤として、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体が有利に使用できる。

0040

コアシェル強靭化剤は通常微粒子の形状であり、その一次粒径平均値重量平均粒径)は、一般に約0.05μm以上又は約0.1μm以上、約5μm以下又は約1μm以下である。本開示において、コアシェル強靭化剤の一次粒径の平均値は、ゼータ電位粒度分布測定によって得られた値から決定される。

0041

好ましい態様において、コアシェル強靭化剤は、マトリクス中に分散された状態で用いてもよい。マトリクス中に分散されたコアシェル強靭化剤は、エポキシ接着剤中で良好に分散することができ有利である。(A)エポキシとの親和性が良好なマトリクスは、エポキシ接着剤中でのコアシェル強靭化剤の良好な分散の観点から特に好ましい。このようなマトリクスとしてはエポキシ樹脂(例えばビスフェノールA等)を例示できる。

0042

コアシェル強靭化剤としては、樹脂改質剤等として供給されている市販品を用いてもよく、例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)系のコアシェル樹脂として、BTA751(ダウケミカル社から市販で入手可能)、エポキシ中に樹脂が分散されてなるコアシェル樹脂として、MX−153(カネカ(株)から市販で入手可能の、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)がビスフェノールAジグリシジルエーテル中に分散されている樹脂)、アクリル系のコアシェル樹脂として、F351(アイカ工業(株)から市販で入手可能)、等を例示できる。

0043

(B)コアシェル強靭化剤の使用量は、硬化後のエポキシ接着剤において、オーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さを良好に両立する観点、特に、低温条件下でのオーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さ、並びに耐熱衝撃性を良好に得る観点から、(A)エポキシ100質量部を基準として、好ましくは約1質量部以上、又は約5質量部以上、又は約10質量部以上であり、良好な塗布性能を得るための粘度の観点から、好ましくは約60質量部以下、又は約50質量部以下、又は約40質量部以下である。

0044

(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤
(C)アニリン骨格を含まない潜在性硬化剤(以下、単に「(C)潜在性硬化剤」ともいう。)としては、一液型エポキシ接着剤の潜在性硬化剤として一般に用いられる種々の化合物を使用できる。潜在性硬化剤は、常温ではエポキシ樹脂を硬化する活性をもたないが、加熱によって活性化し、エポキシ樹脂を硬化することができる。例えば、従来知られている微粒状の潜在性硬化剤は、常温ではエポキシ樹脂に不溶であり、加熱すると可溶化してエポキシ樹脂を硬化することができる。(C)潜在性硬化剤は、アニリン骨格を含まない。本開示で、アニリン骨格を含まないとは、分子中にアニリン(Ph−NH2)(但しPhはフェニル基である。)構造又は該構造中の水素置換された構造を含まないことを意図する。アニリン骨格を含む潜在性硬化剤(例えばエポキシ用硬化剤として公知のジアミノジフェニルスルホン)は、エポキシ接着剤の接着性能及び低温硬化性配合物の粘度の観点から有利でない。(C)潜在性硬化剤は、アニリン骨格を含まない化合物から選択された1種又は2種以上の化合物である。本開示のエポキシ接着剤は、本開示の目的を損なわない範囲で、(C)潜在性硬化剤以外の硬化剤(すなわちアニリン骨格を含む潜在性硬化剤)を使用することを排除しないが、典型的な態様において、エポキシ接着剤が含む硬化剤は(C)潜在性硬化剤からなる。

0045

(C)潜在性硬化剤として使用される潜在性硬化剤は、(A)エポキシの種類、エポキシ接着剤の硬化物の所望の特性等に応じて、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。本開示における(C)潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂の硬化に関与する化合物を包含する。幾つかの態様において、(C)潜在性硬化剤は、硬化促進剤及び/又は架橋剤との組合せで使用される。

0046

(C)潜在性硬化剤として使用できる化合物としては、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体ヒドラジド化合物(例えば有機酸ジヒドラジド)、三フッ化ホウ素アミン錯体(例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン)、イミダゾール化合物(例えば常温で微粒状のもの、例えば2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物)、アミンイミドポリアミン、第3級アミン、アミン化合物(例えばアルキル尿素等);アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシ付加物)、アミン化合物とイソシアネート化合物との反応生成物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の組合せで使用できる。

0047

幾つかの態様において、反応開始温度が比較的高い潜在性硬化剤(例えばポリアミン化合物、ジシアンジアミド等)を使用する場合、硬化反応の良好な進行の観点から、潜在性硬化剤は硬化促進剤と組合されることが好ましい。硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、三フッ化ホウ素、3級アミン、尿素化合物(例えば、1,1’−(4−メチル−m−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア、3−(p−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア等)等を使用できる。なお当業者に公知であるように、硬化促進剤として使用可能な化合物の中には、例えば上述のイミダゾール化合物、三フッ化ホウ素、アミン−エポキシ化合物、3級アミン等のように、潜在性硬化剤としても機能できるものがある。潜在性硬化剤と硬化促進剤との組合せとしては、ジシアンジアミドとイミダゾール化合物及び/又は尿素化合物及び/又は3級アミンとの組合せ、ポリアミン化合物と尿素化合物との組合せ等を例示できる。幾つかの態様において、本開示でエポキシ接着剤に良好な耐熱性、並びにオーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さを付与する観点から、(C)潜在性硬化剤は、ジシアンジアミドを含んでもよい。潜在性硬化剤としてのジシアンジアミドと、硬化促進剤としてのイミダゾール及び/又は尿素化合物との組合せ、潜在性硬化剤としてのイミダゾール化合物が例として挙げられる。

0048

一般に、高Tgの硬化性材料は完全硬化のためにより高い硬化温度を必要とする傾向がある。しかし熱膨張係数の影響による硬化時の応力集中を防止するという観点から、より低温度の熱硬化条件が好ましい。熱硬化温度を低くできるという観点から好ましい(C)潜在性硬化剤の組成としては、潜在性硬化剤としてのジシアンジアミドと、硬化促進剤としてのイミダゾール及び/又は尿素化合物及び/又は3級アミンとの組合せ、潜在性硬化剤としてのイミダゾール化合物及び/又は3級アミンが例として挙げられる。

0049

(C)潜在性硬化剤の使用量は、エポキシ接着剤の硬化性、硬化したエポキシ接着剤の耐熱性及び耐湿性などを考慮して選択するのがよい。硬化を良好に進行させる観点、及びエポキシ接着剤のTgを高くする観点から、(A)エポキシ100質量部を基準として、好ましくは約1質量部以上、又は約2質量部以上、又は約3質量部以上であり、混合物粘度上昇抑制の観点、及び硬化物の耐熱性を損なわない観点から、好ましくは約50質量部以下、又は約40質量部以下、又は約30質量部以下の量である。

0050

硬化促進剤及び/又は架橋剤を使用する場合、これらの使用量は、用いる潜在性硬化剤の種類及び量等を考慮して選択するのがよい。硬化を良好に進行させる観点から、硬化促進剤及び架橋剤の量は、それぞれ、エポキシ100質量部を基準として、例えば約1質量部以上、又は約2質量部以上、又は約3質量部以上であることができ、また、混合物の粘度上昇抑制、及び貯蔵安定性の観点から、例えば約20質量部以下、又は約15質量部以下、又は約10質量部以下であることができる。

0051

(D)任意成分
エポキシ接着剤は上記(A)〜(C)の成分に加えて任意成分を更に含むことができる。任意成分としては、フィラー(例えばアルミニウムアルミナシリカガラスビーズ窒化ホウ素硫酸バリウム等の無機物質のフィラー);ヒュームドシリカ等のレオロジー調整剤;フェノール系、イオウ系等の酸化防止剤エポキシ変性アルコキシシラン等のシランカップリング剤難燃剤着色剤レベリング剤消泡剤溶剤分散剤等を例示できる。

0052

フィラーは、硬化したエポキシ接着剤の接着性能に良好に寄与する。低粘度のエポキシ接着剤を得る観点から、フィラーの形状は好ましくは球形である。フィラーの粒径は、エポキシ接着剤の粘度を過度に上昇させない観点から、好ましくは約0.1μm以上、又は約1μm以上であり、オーバーラップせん断接着強さ及び剥離強さを大きく損なわない観点から、好ましくは約500μm以下、又は約300μm以下、又は約100μm以下である。なお本開示で、「フィラーの粒径」は、光散乱法により求められた粒子分布を基にした中位メジアン)径(d50)を意味する。光散乱法により求められる粒子分布は、流体中に浮遊する微小粒子に光が当たって生じる散乱現象を基に、乱光量との関係が既知である条件下で散乱の光量とその発生数計測することで求められる粒径分布であり、或いは、レーザー光の微小な粒子による回折パターンが粒子の大きさにより変化することに基づいて、回折パターンを計測することで求められる粒子分布である。中位(メジアン)径(d50)は、粒子の粒径分布において、ある粒径よりも大きい粒子の個数が全粒子の50%を占めるときの粒径を意味する。

0053

任意成分の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲において適宜決定することができる。
フィラーの使用量は、フィラーの使用による効果を良好に得る観点から、(A)エポキシ100質量部を基準として、好ましくは約10質量部以上、又は約20質量部以上、又は約30質量部以上であり、良好な接着特性の観点から、好ましくは約250質量部以下、又は約220質量部以下、又は約200質量部以下である。
また、レオロジー調整剤は、エポキシ接着剤の総質量100質量%基準で、約0.1質量%以上、約0.2質量%以上、又は約0.5質量%以上、また約5質量%以下、約3質量%以下、又は約2質量%以下の量で使用することができる。

0054

エポキシ接着剤は、例えば、上記成分を必要に応じて加熱しながらミキサーで混合し、必要に応じて脱泡することにより調製することができる。

0055

好ましい態様において、エポキシ接着剤を円錐平板型粘度計によって25℃及び回転数200秒-1で測定したときの粘度は、約10Pa・s以上約200Pa・s以下である。上記粘度は、エポキシ接着剤の操作性の観点から、好ましくは約15Pa・s以上、又は約20Pa・s以上、又は約25Pa・s以上、また約180Pa・s以下、又は約170Pa・s以下、又は約160Pa・s以下である。

0056

好ましい態様において、エポキシ接着剤を硬化させて得た測定試料を動的粘弾性測定装置によって測定したときのガラス転移温度(Tg)は、約180℃以上である。上記ガラス転移温度(Tg)は、耐熱性が良好であるという観点から、好ましくは約180℃以上、又は約190℃以上、又は約200℃以上であり、エポキシ接着剤の高粘度化の抑制、及び、周囲の部材及び被着体に影響を及ぼさない程度の硬化温度下でエポキシ樹脂の架橋を可能な限り進行させるという観点から、好ましくは約350℃以下、又は約330℃以下、又は約300℃以下である。

0057

好ましい態様において、エポキシ接着剤をJIS K6850に準拠して測定したときのオーバーラップせん断接着強さは、耐せん断剥離性が良好であるという観点から、好ましくはアルミニウム板に対して、約10MPa以上、又は約12MPa以上、又は約15MPa以上である。

0058

好ましい態様において、エポキシ接着剤をJIS K6850に準拠して測定したときに、250℃12時間曝露後のオーバーラップせん断接着強さの、該曝露前のオーバーラップせん断接着強さに対する比は、耐熱老化性が良好であるという観点から、好ましくは約0.7以上、又は約0.75以上、又は約0.8以上である。上記比は大きいことが好ましく、約1であることは好ましい。

0059

好ましい態様において、エポキシ接着剤をJIS K6351−3に準拠して測定したときのT型剥離強さは、好ましくはアルミニウム板に対して、約2kN/m以上、又は約2.5kN/m以上、又は約3.0kN/m以上である。

0060

<エポキシ接着剤の用途>
本開示の別の態様は、
第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する、硬化した本開示のエポキシ接着剤を含む、自動車用部材を提供する。
また、本開示の別の態様は、
第一の被着体、第二の被着体、及び、該第一の被着体と該第二の被着体との間に配置されて該第一の被着体と該第二の被着体とを接着する硬化した接着剤、を含む自動車用部材の製造方法であって、
該第一の被着体と該第二の被着体との間に、本開示のエポキシ接着剤を配置すること、及び
該エポキシ接着剤を100℃以上250℃以下で硬化させて該硬化した接着剤を形成すること、
を含む、方法を提供する。

0061

本開示のエポキシ接着剤は、木、金属、コーティングされた金属、プラスチック及び充填プラスチック基材ガラス繊維などを含む様々な材質の被着体を互いに結合させることができる。エポキシ接着剤は、必要に応じて加熱しながら、コーキングガンなどを用いて、第一の被着体及び第二の被着体の一方又は両方に適用することができる。次に、エポキシ接着剤が両方の被着体と接触するようにこれら2つの被着体を配置する。その後、加熱することにより、エポキシ接着剤は硬化してこれら2つの被着体を接着する。エポキシ接着剤の硬化条件は、該接着剤の配合によって異なるが、一態様において、例えば約100℃以上、又は約110℃以上、又は約120℃以上、また約250℃以下、又は約230℃、又は約200℃以下の硬化温度、及び例えば約5分間〜約90分間、又は約10分間〜約60分間の硬化時間で、硬化させることができる。硬化条件のより典型的な例としては、140℃×30分間、又は180℃×10分間を挙げることができる。

0062

好ましい態様において、自動車用部材における硬化したエポキシ接着剤の厚みは、例えば約1μm以上、又は約10μm以上、又は約20μm以上、また例えば約500μm以下、又は約400μm以下、又は約300μm以下であることができる。

0063

例示の態様において、被着体はアルミニウム含有材料を含む。また、例示の態様において、被着体は鉄含有材料を含む。鉄含有材料を含む被着体としては、鋼板(例えば、鋼板、コーティングを有する鋼板、亜鉛めっき鋼板電気亜鉛めっき鋼板溶融亜鉛めっき鋼板ガルバニール鋼板など)が挙げられる。さらに別の実施態様では、被着体はカーボンFRPカーボン繊維強化プラスチック)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のプラスチック材料を含む。さらに別の実施態様では、被着体はセラミックを含む。例示の態様において、第一の被着体及び第二の被着体のうち、一方の材質がアルミニウム含有材料であり、他方の材質が鉄含有材料(例えば鋼)である。本開示のエポキシ接着剤は、第一の被着体と第二の被着体とが異種の材質で構成されている場合にも良好なオーバーラップせん断剥離強さ及び剥離強さを有することができる。

0064

本開示のエポキシ接着剤は、例えば、自動車用部材の接着、特に金属部材間の接着に好適に使用される。本開示のエポキシ接着剤が特に有利に使用できる態様として、自動車用インバータユニットにおいて昇圧コンバータ内に配置されるリアクトルコア材の接着、モーターコイル固定マグネット固定、エンジンルーム近傍の部材固定等が挙げられる。

0065

以下、実施例を挙げて本発明の例示の態様を更に説明するが、本発明はこれら実施例には何ら限定されない。

0066

1.材料
表1に示す材料を用いた。

0067

2.評価方法
(1)オーバーラップせん断接着強さ(OLSS)
JIS K6850に準拠し、以下の手順でオーバーラップせん断接着強さを測定した。
被着体:アルミニウム板(Al2024の表面をFPエッチング処理をしたもの)
被着体寸法:幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mm
接着面積:長さ25mm×幅12.5mm
接着剤厚み:0.1mm

0068

図1を参照し、被着体11上にマスキングテープによって25mm×12.5mmの矩形領域を区画した。この領域内に、実施例又は比較例に係るエポキシ接着剤13を塗布した。エポキシ接着剤厚みが0.1mmとなるように、0.1mm径ワイヤーを挟んで被着体11と被着体12とを貼り合せて、被着体11、被着体12及びこれらの間のエポキシ接着剤13を有する積層体を得た。この積層体を事務用クリップで挟んだ状態で加熱した。積層体温度180℃にて10分間硬化させ、接着面積25mm×12.5mm、及び接着剤厚み0.1mmの試験片を得た。

0069

上記試験体につき、テンシロン万能試験機((株)エー・アンド・デイ社製RTC1325A)を用い、25℃及び引張速度5mm/分の条件で、図1に示す引張方向Tにて引張試験を行った。

0070

(2)耐熱老化性
上記(1)に記載したのと同様の手順で試験片を作製した。試験片を250℃の大気中に12時間曝露した後25℃まで自然冷却して、加熱後試験片を得た。この加熱後試験片につき、上記(1)と同様の条件で、加熱後オーバーラップせん断接着強さを測定した。この値の、上記(1)で測定されるオーバーラップせん断接着強さ(すなわち曝露前のオーバーラップせん断接着強さ)の値に対する比を算出した。

0071

(3)T型剥離強さ
JIS K6351−3に準拠し、以下の手順でT型剥離強さを測定した。
被着体:アルミニウム板(Al1050の表面をFPLエッチング処理したもの)
被着体寸法:長さ150mm×幅25mm×厚み0.8mm
接着面積:長さ100mm×幅25mm
接着剤厚み:0.1mm

0072

図2を参照し、被着体21上にマスキングテープによって100mm×25mmの矩形領域を区画した。この領域内に、実施例又は比較例に係るエポキシ接着剤23を塗布した。エポキシ接着剤厚みが0.1mmとなるように、0.1mm径のワイヤーを挟んで被着体21と被着体22とを貼り合せて、被着体21、被着体22及びこれらの間のエポキシ接着剤23を有する積層体を得た。この積層体を事務用クリップで挟んだ状態で加熱した。積層体温度180℃にて10分間硬化させ、接着面積25mm×100mm、及び接着剤厚み0.1mmの試験片を得た。

0073

上記試験体につき、テンシロン万能試験機((株)エー・アンド・デイ社製RTC1325A)を用い、25℃及び引張速度50mm/分の条件で、図2に示す引張方向Tにて引張試験を行った。

0074

(4)粘度
エポキシ接着剤の初期粘度を、円錐平板型粘度計(HAKE社製のビスコメータ(VISCOMETER)により、25℃及びせん断速度(すなわち回転数)200秒-1の条件下で測定した。

0075

(5)ガラス転移温度(Tg)
エポキシ接着剤を、180℃で10分間の条件で硬化させて得た硬化物のガラス転移温度(Tg)を動的粘弾性測定装置(DMA)にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
測定モード:引張りモード
周波数:10Hz
昇温速度:4℃/分
ガラス転移温度は、貯蔵弾性率(E’)/損失弾性率(E”)で定義されるtanδのピークの温度として得た。
図3は、実施例1におけるDMA測定結果を示す。

0076

3.実験
[実施例1〜6、比較例1〜3]
表1に示す配合成分をミキサーにて混合し、エポキシ接着剤を得た。得られたエポキシ接着剤の性能評価を前述の手順で行った。
結果を表2及び3に示す。

0077

0078

0079

実施例

0080

実施例1〜6は、200℃超の高いガラス転移温度を有しながら、180℃で10分間という標準的な硬化条件で、高い接着特性(オーバーラップせん断接着強さ、T型剥離強さ、及び加熱後のオーバーラップせん断接着強さ保持率)と低い粘度との両立が得られた。
比較例1及び2では、潜在性硬化剤としてアニリン骨格を有する潜在性硬化剤を使用しており、オーバーラップせん断接着強さ及びT型剥離強さ、並びに加熱後のオーバーラップせん断接着強さ保持率が悪かった。また比較例3では3官能以上の液状エポキシを使用しておらず、Tgが低く、加熱後のオーバーラップせん断接着強さ保持率が悪かった。
更に、図3に示すように、実施例1のエポキシ接着剤は、高温領域まで高い貯蔵弾性率を有しながら、tanδの最大値は低いという特性を有していた。このことは、本開示のエポキシ接着剤が、構造体の結合のための接着のみならず、例えば封止樹脂としても有用であることを示す。

0081

本開示に係るエポキシ接着剤は、自動車用インバータユニット内に配置されるコア材等の自動車用部材を含む種々の用途に好適に適用できる。

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