図面 (/)

技術 超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラム

出願人 キヤノンメディカルシステムズ株式会社
発明者 河田諭志坂田幸辰小野利幸武口智行松本信幸
出願日 2014年11月18日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-233877
公開日 2016年5月30日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-096853
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置
主要キーワード 複数回収集 双曲線関数 観測位相 I信号 検波周波数 平均パワー値 Q信号 リニアアンプ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

クラッタ成分を効果的に抑圧すること。

解決手段

実施形態の超音波診断装置は、変換部と、第1算出部と、第2算出部と、再変換部と、移動体情報演算部とを備える。変換部は、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分データ列と、位相成分のデータ列とに変換する。第1算出部は、前記振幅成分のデータ列を関数近似した近似振幅成分のデータ列を算出する。第2算出部は、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する。再変換部は、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する。移動体情報演算部は、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する。

概要

背景

従来、生体の内部を観察、診断するために、超音波診断装置が用いられている。超音波診断装置は、超音波送受信することで収集された反射波信号に基づくデータ(反射波データ)を用いて、生体内組織形状血流動態観測して表示する。超音波ドプラモード(単にドプラモードとも言う)では、例えば超音波を同一方向に複数回送受信することで得られた反射波データから、ドプラ効果による周波数偏移ドプラシフト)により、血流由来の信号成分(血流成分)の速度やパワーといった情報を抽出する。なお、複数回の超音波送受信で得られた、同一の方向及び深度に関する反射波データのデータ列は、パケットと呼ばれる。

また、反射データには、血流成分の他に血管壁や弁などの組織由来の信号成分(クラッタ成分)も含まれることがある。通常、クラッタ成分の信号強度は、血流成分の信号強度より数十〜数百dB大きい。例えば、血管中を流れる血流成分を描出するためには、血管壁の信号成分を抑圧することがある。

概要

クラッタ成分を効果的に抑圧すること。実施形態の超音波診断装置は、変換部と、第1算出部と、第2算出部と、再変換部と、移動体情報演算部とを備える。変換部は、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。第1算出部は、前記振幅成分のデータ列を関数近似した近似振幅成分のデータ列を算出する。第2算出部は、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する。再変換部は、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する。移動体情報演算部は、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する。

目的

本発明が解決しようとする課題は、クラッタ成分を効果的に抑圧することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分データ列と、位相成分のデータ列とに変換する変換部と、前記振幅成分のデータ列を関数近似した近似振幅成分のデータ列を算出する第1算出部と、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する第2算出部と、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する再変換部と、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報演算する移動体情報演算部と、を備える、超音波診断装置

請求項2

前記収集信号列から、前記変換信号列を減算した減算信号列を生成する減算部を更に備え、前記移動体情報演算部は、前記減算信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する、請求項1に記載の超音波診断装置。

請求項3

前記第1算出部は、関数の最小二乗フィッティングにより、前記近似振幅成分のデータ列を算出し、前記第2算出部は、関数の最小二乗フィッティングにより、前記近似位相成分のデータ列を算出する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。

請求項4

前記第1算出部は、関数への射影により、前記近似振幅成分のデータ列を算出し、前記第2算出部は、関数への射影により、前記近似位相成分のデータ列を算出する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。

請求項5

前記収集信号列の実数信号のデータ列を関数で近似した近似実数信号のデータ列を算出する第3算出部と、前記収集信号列の虚数信号のデータ列を関数で近似した近似虚数信号のデータ列を算出する第4算出部と、を更に備え、前記減算部は、更に、前記収集信号列から、前記近似実数信号のデータ列と前記近似虚数信号のデータ列とを減算した減算信号列を生成し、前記移動体情報演算部は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて前記移動体情報を演算する、請求項2〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項6

前記第3算出部は、関数の最小二乗フィッティングにより、前記近似実数信号のデータ列を算出し、前記第4算出部は、関数の最小二乗フィッティングにより、前記近似虚数信号のデータ列を算出する、請求項5に記載の超音波診断装置。

請求項7

前記第3算出部は、関数への射影により、前記近似実数信号のデータ列を算出し、前記第4算出部は、関数への射影により、前記近似虚数信号のデータ列を算出する、請求項5に記載の超音波診断装置。

請求項8

前記第1算出部は、複数種類の関数により、複数の近似振幅成分のデータ列を算出し、前記第2算出部は、複数種類の関数により、複数の近似位相成分のデータ列を算出し、前記再変換部は、前記複数の近似振幅成分のデータ列と前記複数の振幅成分のデータ列とを任意に組み合わせた再変換により、複数の変換信号列を生成し、前記減算部は、前記収集信号列から、前記複数の変換信号列それぞれを減算して、複数の減算信号列を生成し、前記移動体情報演算部は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて、前記移動体情報を演算する、請求項2〜7のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項9

前記第3算出部は、複数種類の関数により、複数の近似実数信号のデータ列を算出し、前記第4算出部は、複数種類の関数により、複数の近似虚数信号のデータ列を算出し、前記減算部は、更に、前記収集信号列から、前記複数の近似実数信号のデータ列と前記複数の近似虚数信号のデータ列とを任意に組み合わせて減算した複数の減算信号列を生成し、前記移動体情報演算部は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて前記移動体情報を演算する、請求項8に記載の超音波診断装置。

請求項10

複数の減算信号列のそれぞれについて統計量を算出し、算出した前記統計量が最小である減算信号列を選択する選択部を更に備え、前記移動体情報演算部は、選択された前記減算信号列を用いて、前記移動体情報を演算する、請求項5〜9のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項11

前記選択部は、前記統計量としてノルム、分散、及び度のうちいずれか一つを算出する、請求項10に記載の超音波診断装置。

請求項12

前記選択部は、前記統計量としてノルム、分散、及び尖度をそれぞれ算出し、より多くの統計値が小さくなった減算信号列を選択する、請求項10に記載の超音波診断装置。

請求項13

前記関数のうち少なくとも1つが、多項式関数指数関数三角関数、及び双曲線関数のいずれかである、請求項1〜12のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項14

前記振幅成分に対する関数及び前記位相成分に対する関数が同一の関数である、請求項1〜12のいずれか一つのいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項15

前記関数が、多項式関数、指数関数、三角関数、及び双曲線関数のいずれかである、請求項14に記載の超音波診断装置。

請求項16

前記振幅成分に対する関数は0次多項式以外の関数であり、前記位相成分に対する関数は1次多項式以外の関数である、請求項14に記載の超音波診断装置。

請求項17

前記移動体情報に基づいて、超音波画像データを生成する画像生成部を更に備える、請求項1〜16のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

請求項18

複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する変換部と、前記振幅成分のデータ列を関数で近似した近似振幅成分のデータ列を算出する第1算出部と、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する第2算出部と、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する再変換部と、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する移動体情報演算部と、を備える、画像処理装置

請求項19

複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換し、前記振幅成分のデータ列を関数で近似した近似振幅成分のデータ列を算出し、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出し、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成し、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する各処理をコンピュータに実行させる、画像処理プログラム

技術分野

0001

本発明の実施形態は、超音波診断装置画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。

背景技術

0002

従来、生体の内部を観察、診断するために、超音波診断装置が用いられている。超音波診断装置は、超音波送受信することで収集された反射波信号に基づくデータ(反射波データ)を用いて、生体内組織形状血流動態観測して表示する。超音波ドプラモード(単にドプラモードとも言う)では、例えば超音波を同一方向に複数回送受信することで得られた反射波データから、ドプラ効果による周波数偏移ドプラシフト)により、血流由来の信号成分(血流成分)の速度やパワーといった情報を抽出する。なお、複数回の超音波送受信で得られた、同一の方向及び深度に関する反射波データのデータ列は、パケットと呼ばれる。

0003

また、反射データには、血流成分の他に血管壁や弁などの組織由来の信号成分(クラッタ成分)も含まれることがある。通常、クラッタ成分の信号強度は、血流成分の信号強度より数十〜数百dB大きい。例えば、血管中を流れる血流成分を描出するためには、血管壁の信号成分を抑圧することがある。

先行技術

0004

特許第2589894号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする課題は、クラッタ成分を効果的に抑圧することである。

課題を解決するための手段

0006

実施形態の超音波診断装置は、変換部と、第1算出部と、第2算出部と、再変換部と、移動体情報演算部とを備える。変換部は、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。第1算出部は、前記振幅成分のデータ列を関数近似した近似振幅成分のデータ列を算出する。第2算出部は、前記位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する。再変換部は、前記近似振幅成分のデータ列と前記近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する。移動体情報演算部は、前記変換信号列に基づく信号列を用いて、前記同一位置における移動体情報を演算する。

図面の簡単な説明

0007

図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図。
図2は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部の構成例を示すブロック図。
図3は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部による振幅成分のデータ列の近似の一例を示す図。
図4は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部による位相成分のデータ列の近似の一例を示す図。
図5は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部により再変換された複数のIQ信号の一例を示す図。
図6は、クラッタ成分のIQ信号及び血流成分のIQ信号の一例を示す図。
図7は、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部の構成例を示すブロック図。
図8は、第1の実施形態に係る振幅近似部によって生成された近似振幅成分のデータ列の一例を示す図。
図9は、第1の実施形態に係る位相近似部によって生成された近似位相成分のデータ列の一例を示す図。
図10は、第1の実施形態に係る複素信号変換部により再変換されたIQ信号の一例を示す図。
図11Aは、第1の実施形態に係るドプラ画像データの一例を示す図。
図11Bは、第1の実施形態に係るドプラ画像データの一例を示す図。
図12は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理手順を示すフローチャート
図13は、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部によるクラッタ成分抑圧処理の手順を示すフローチャート。
図14は、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部の構成例を示すブロック図。
図15は、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部によるクラッタ成分抑圧処理の手順を示すフローチャート。
図16は、第2の実施形態に係る選択部による減算信号選択処理の手順を示すフローチャート。
図17Aは、第2の実施形態に係る超音波診断装置を説明するための図。
図17Bは、第2の実施形態に係る超音波診断装置を説明するための図。
図17Cは、第2の実施形態に係る超音波診断装置を説明するための図。
図18は、第2の実施形態の変形例に係る選択部による減算信号列選択処理の手順を示すフローチャート。
図19は、第3の実施形態に係るクラッタ抑圧部の構成例を示すブロック図。
図20は、その他の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図。

実施例

0008

以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。

0009

(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。

0010

超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号(反射波信号)に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。

0011

超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンス不連続面次々反射され、反射波として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信され、反射波信号に変換される。反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。

0012

入力装置3は、マウスキーボード、ボタンパネルスイッチタッチコマンドスクリーンフットスイッチ、トラックボールジョイスティック等を有する。入力装置3は、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。

0013

モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像データ等を表示したりする。

0014

装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。装置本体10は、図1に例示するように、送信部11と、受信部12と、直交検波部13と、A/D変換器14と、Bモード処理部15と、ドプラ処理部16と、クラッタ抑圧部17と、内部記憶部18と、画像生成部19と、画像メモリ20と、制御部21とを有する。

0015

送信部11は、図1に示すように、レーパルス発生器11aと、送信遅延回路11bと、送信パルサ11cとを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。レートパルス発生器11aは、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスは、送信遅延回路11bを通ることで異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサ11cへ電圧印加する。すなわち、送信遅延回路11bは、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、レートパルス発生器11aが発生する各レートパルスに対し与える。なお、ビーム状に集束された超音波のことを「超音波ビーム」と呼ぶ。

0016

送信パルサ11cは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。駆動パルスは、送信パルサ11cからケーブルを介して超音波プローブ1内の圧電振動子まで伝達した後に、圧電振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動は、生体内部で超音波として送信される。ここで、圧電振動子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、収束されて、所定方向伝搬していく。すなわち、送信遅延回路11bは、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。

0017

送信部11は、後述する制御部21のスキャン制御機能により、送信開口(超音波ビームの送信時に用いる圧電振動子の数及び位置)を制御することで、送信指向性を与える。送信部11は、1本の走査線での超音波送信が完了する度に、送信開口を移動する。また、送信部11は、送信開口の各圧電振動子が駆動するタイミングを、送信遅延回路11bを用いて制御することで、超音波をビーム状に集束させる。

0018

なお、送信部11は、後述する制御部21の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニット電気的に切り替える機構によって実現される。

0019

受信部12は、超音波プローブ1から反射波信号を受信する。例えば、超音波プローブ1が送信した超音波の反射波が超音波プローブ1内部の圧電振動子まで到達した後、圧電振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信部12に入力される。受信部12は、図1に示すように、プリアンプ12aと、受信遅延加算回路12bとを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって、アナログデータである反射波データを生成する。

0020

プリアンプ12aは、チャンネルごとに反射波信号を増幅してゲイン調整を行なう。受信遅延加算回路12bは、反射波信号に受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。また、受信遅延加算回路12bは、受信遅延時間が与えられたことで時相が揃えられた反射波信号の加算処理整相加算処理)を行なって反射波データを生成する。受信遅延加算回路12bの整相加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。

0021

受信部12は、後述する制御部21のスキャン制御機能により、受信開口(反射波信号の受信時に用いる圧電振動子の数及び位置)を制御することで、受信指向性を与える。受信部12は、送信開口が移動される度に、受信開口を移動する。受信部12は、受信開口の各圧電振動子が受信した反射波信号のデジタルデータを整相加算することで、1本の走査線における反射波データを生成する。

0022

このように、送信部11及び受信部12は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。

0023

直交検波部13は、受信部12が生成した反射波データをベースバンド帯域同相信号I信号、I:In-phase)と直交信号Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。ここで、ドプラモードが選択された場合、同一走査線上で複数回の超音波を送信することで、複数の反射波データを収集する。このため、直交検波部13は、同一走査線上の各サンプル点で複数のIQ信号を生成することになる。このようにして同一走査線上の各サンプル点において生成された複数のIQ信号のことを「収集信号列」と称する。

0024

A/D変換器14は、直交検波部13によって検波された複数のIQ信号である収集信号列をデジタル信号へ変換する。例えば、A/D変換器14は、I信号のデータ列とQ信号のデータ列とをそれぞれデジタル信号へ変換する。

0025

Bモード処理部15は、A/D変換器14によってデジタルデータに変換された反射波データに対して、対数増幅包絡線検波処理、対数圧縮などを行なって、信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。また、Bモード処理部15は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。

0026

クラッタ抑圧部17は、デジタル信号へ変換されたI信号のデータ列とQ信号のデータ列とからクラッタ成分を抑圧する。そして、クラッタ抑圧部17は、クラッタ成分を抑圧したI信号のデータ列とQ信号のデータ列とをドプラ処理部16に出力する。このクラッタ成分を抑圧したI信号のデータ列とQ信号のデータ列とを「減算信号列」と称する。なお、クラッタ抑圧部17の詳細については、図7から図10を用いて後述する。

0027

ドプラ処理部16は、クラッタ抑圧部17により出力された減算信号列を周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理部16は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれでドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織造影剤である。本実施形態に係るドプラ処理部16は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。なお、ドプラ処理部16のことを「移動体情報演算部」とも言う。

0028

画像生成部19は、Bモード処理部15及びドプラ処理部16が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部19は、Bモード処理部15が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部19は、ドプラ処理部16が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像分散画像パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像データを生成する。

0029

ここで、画像生成部19は、一般的には、超音波走査走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部19は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部19は、超音波画像データに、種々のパラメータ文字情報目盛りボディーマーク等を合成する。なお、画像生成部19は、Bモード処理部15が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像を生成することが可能である。また、画像生成部19は、ドプラ処理部16が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のカラードプラ画像を生成することが可能である。また、画像生成部19は、3次元の画像データに対して、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元超音波画像データを生成することが可能である。

0030

画像メモリ20は、画像生成部19が生成した画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ20は、Bモード処理部15やドプラ処理部16が生成したデータを記憶することも可能である。

0031

内部記憶部18は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。例えば、内部記憶部18は、必要に応じて、画像メモリ20が記憶する画像データの保管等にも使用される。

0032

制御部21は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部21は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部18から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信部11、受信部12、Bモード処理部15、クラッタ抑圧部17、ドプラ処理部16、及び画像生成部19の処理を制御する。

0033

また、制御部21は、画像メモリ20が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ2にて表示するように制御する。なお、画像メモリ20及びは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子であり、内部記憶部18は、例えば、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク光ディスク等の記憶装置などである。また、モード処理部14、直交検波部13、クラッタ抑圧部17、ドプラ処理部16、画像生成部19、及び制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。

0034

以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置では、ドプラモードが選択された場合、ドプラ処理部16は、クラッタ抑圧部17によって収集信号列からクラッタ成分が除去された減算信号列を用いて、ドプラデータを生成する。ここで、図2から図5を用いて、クラッタの強度および速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部の一例を説明する。図2は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部の構成例を示すブロック図である。なお、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部のことを、「上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917」と適宜記載する。

0035

図2に示すように、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917は、振幅・位相変換部917aと、振幅平均部917bと、位相直線回帰部917cと、複素信号変換部917dと、クラッタ成分減算部917eとを有する。なお、図2中に示す直行検波部913は図1に示す直交検波部13と同様の機能を有し、図2中に示すA/D変換器914は図1に示すA/D変換器14と同様の機能を有し、図2中に示すドプラ処理部916は図1に示すドプラ処理部16と同様の機能を有する。

0036

振幅・位相変換部917aは、複数回の超音波送受信により収集された同一位置(同一サンプル点)の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。具体的には、振幅・位相変換部917aは、ある時刻tに収集したI信号I(t)とQ信号Q(t)とから、振幅信号A(t)を以下の式1により演算し、位相信号P(t)を以下の式2により演算する。なお、以下では、同一位置において16回の超音波送信を行い、同一位置において16回IQ信号を収集する場合について説明する。

0037

0038

0039

振幅平均部917bは、例えば、得られた16個の振幅成分のデータ列の平均値を算出する。また、位相直線回帰部917cは、得られた16個の位相成分のデータ列を直線回帰する。すなわち、位相直線回帰部917cは、得られた16個の位相成分のデータ列に対して一次関数を用いた最小二乗フィッティングを行う。複素信号変換部917dは、振幅平均部917bにて算出された振幅成分のデータ列の平均値と、位相直線回帰部917cにて算出された位相成分のデータ列の直線回帰結果とを以下の式3及び式4を用いて16個のIQ信号に再変換する。

0040

0041

0042

ここで、複素信号変換部917dによって再変換された複数のIQ信号は、収集信号列の近似成分を表す。ここで、IQ信号においてクラッタ成分の信号強度は血流成分の信号強度よりもはるかに大きい。このため、クラッタ成分減算部917eは、再変換されたIQ信号をクラッタ成分と見なし、この再変換されたIQ信号を収集信号列から減算する。これにより、収集信号列から支配的なクラッタ成分の信号が抑圧される。

0043

このように上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917によれば、複数回収集したIQ信号について、振幅成分のデータ列の平均と位相成分のデータ列の直線回帰とによりクラッタ成分を近似して減算する。

0044

ところで、ドプラ変位した反射波データの振幅は、ドプラ変位した成分の信号の強度を表し、反射波データの位相の変化量は、血流の移動速度を表す。つまり、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917は、観測時間中、振幅を平均値で近似し、位相に対して直線回帰を行っている。

0045

しかしながら、実際の観測信号は、観測時間中に強度や速度が変化することが起こり得る。このような場合、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917は、クラッタ成分を十分に近似することができない。この結果、減算によりクラッタ成分を抑圧しきれなかったり、クラッタ成分だけでなく血流成分も失われたりする場合がある。図3は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部による振幅成分のデータ列の近似の一例を示す図であり、図4は、クラッタの強度及び速度が一定であると仮定した場合におけるクラッタ抑圧部による位相成分のデータ列の近似の一例を示す図である。

0046

図3では、血流成分が存在しない領域において同一位置で収集された複数のIQ信号の振幅成分のデータ列と、近似した振幅成分のデータ列とを示す。図3横軸はIQ信号の観測時刻を示し、縦軸は振幅の大きさを示す。図3破線は、観測期間中に収集された複数のIQ信号から変換した振幅成分のデータ列(観測振幅成分とも言う)を示し、図3実線は、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917により近似した振幅成分のデータ列(近似振幅成分とも言う)を示す。図3に示す例では観測振幅成分が変動しており、平均値による近似では収集したIQ信号の振幅成分のデータ列と、近似した振幅成分のデータ列との誤差が大きくなる。IQ信号の振幅成分のデータ列は、ドプラ変位した被検体の信号強度を表すため、平均値による近似を行う上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、観測振幅成分の強度が変化するクラッタを近似しきれないことになる。

0047

また図4では、図3と同一位置で収集された複数のIQ信号の位相成分のデータ列と、近似した位相成分のデータ列とを示す。図4の横軸はIQ信号の観測時刻を示し、縦軸は位相の大きさを示す。図4の破線は、観測期間中に収集された複数のIQ信号から変換した位相成分のデータ列(観測位相成分とも言う)を示し、図4の実線は、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917により直線回帰された位相成分のデータ列(近似位相成分とも言う)を示す。図4に示す例では観測位相成分が変動しており、直線回帰による近似では収集したIQ信号の位相成分のデータ列と、近似した位相成分のデータ列とに誤差が生じている。IQ信号の位相成分は、信号の収集タイミングを表すため、位相の変化量はドプラ変位した被検体の速度を表す。図4に示す例ではクラッタ成分の速度が変化しており、直線回帰では誤差が生じている。つまり、直線回帰による近似を行う上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、観測位相成分の強度が変化するクラッタを近似しきれないことになる。

0048

図5は、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917により再変換された複数のIQ信号の一例を示す図である。図5では、図3に示す例で近似した近似振幅成分のデータ列と、図4に示す例で近似した近似位相成分のデータ列とをIQ信号に再変換した場合を示す。図5横軸は複素数実部、つまりI信号の大きさを表し、縦軸は複素数の虚部、つまりQ信号の大きさを表す。図5の実線は、近似した振幅成分のデータ列と近似した位相成分のデータ列とをIQ信号に再変換した結果を示す。また、図5の破線は、収集された複数のIQ信号である収集信号列を示す。図5に示すように、観測時間中にクラッタ成分の信号強度と速度とが変動しているため、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、再変換された複数のIQ信号は、収集信号列への近似に誤差が生じている。

0049

続いて、収集信号列への近似に誤差が生じた場合の影響について説明する。図6は、クラッタ成分のIQ信号及び血流成分のIQ信号の一例を示す図である。図6では、破線でクラッタ成分のIQ信号を示し、実線でクラッタ成分のIQ信号と血流成分のIQ信号とを合成したIQ信号を示す。図6に示すように、クラッタ成分の信号強度は血流成分の信号強度よりもはるかに大きい。このため、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、例えば、収集信号列を正確に近似しきれずクラッタ成分を抑圧しきれなかった場合には、血流成分に対してクラッタ成分が大きく残存する。この結果、ドプラ画像を表示する時に視認性を損なうことになる。また、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、例えば、収集信号列を正確に近似しきれず血流成分まで抑圧した場合には、ドプラ画像から血流成分が失われることになる。

0050

上述したように、上記仮定に基づくクラッタ抑圧部917では、観測時間中に強度や速度が変化するクラッタに対して近似性能が十分でなく、クラッタ抑圧性能が十分でない場合がある。

0051

このようなことから、第1の実施形態に係る超音波診断装置において、クラッタ抑圧部17は、収集信号列の振幅成分に対する関数による近似と、収集信号列の位相成分に対する関数による近似により、観測時間中に強度や速度が変化するクラッタ成分を良好に近似する。ここで言う関数による近似とは、最小二乗法等の回帰分析を用いた関数のフィッティングや、関数への射影を指す。以下では、最小二乗法を用いた関数のフィッティング(以下、最小二乗フィッティング)を用いた場合を例にとり、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17について説明する。

0052

図7は、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17は、振幅・位相変換部17aと、振幅近似部17bと、位相近似部17cと、複素信号変換部17dと、クラッタ成分減算部17eとを有する。

0053

振幅・位相変換部17aは、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。例えば、振幅・位相変換部17aは、A/D変換器14にてデジタル信号に変換された複数のIQ信号からなる収集信号列を、上述の式1により振幅成分のデータ列に変換し、上述の式2により位相成分のデータ列に変換する。そして、振幅・位相変換部17aは、変換した振幅成分のデータ列を振幅近似部17bに出力し、位相成分のデータ列を位相近似部17cに出力する。

0054

振幅近似部17bは、振幅成分のデータ列を関数で近似した近似振幅成分のデータ列を算出する。例えば、振幅近似部17bは、振幅成分のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似振幅成分を生成する。図8は、第1の実施形態に係る振幅近似部17bによって生成された近似振幅成分のデータ列の一例を示す図である。

0055

図8では、図3と同様に、血流成分が存在しない領域において同一位置で収集された複数のIQ信号の振幅成分のデータ列と、近似した振幅成分のデータ列とを示す。図8の横軸は収集信号列の収集時刻を示し、縦軸は振幅の大きさを示す。図8の破線は、収集したIQ信号の振幅成分のデータ列を示し、図8の実線は振幅近似部17bにおいて、5次多項式のフィッティングにより近似された近似振幅成分のデータ列を示す。図8に示す例では、多項式のフィッティングにより近似した近似振幅成分のデータ列は、強度が変化する収集信号列の振幅成分のデータ列に近似している。なお、振幅近似部17bは、生成した近似振幅成分のデータ列を複素信号変換部17dへ出力する。また、振幅近似部17bのことを第1の算出部とも言う。

0056

位相近似部17cは、位相成分のデータ列を関数で近似した近似位相成分のデータ列を算出する。例えば、位相近似部17cは、位相成分のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似位相成分データ列を生成する。図9は、第1の実施形態に係る位相近似部17cによって生成された近似位相成分のデータ列の一例を示す図である。

0057

図9では、図4と同様に、血流成分が存在しない領域において同一位置で収集された複数のIQ信号の位相成分のデータ列と、近似した位相成分のデータ列とを示す。図9の横軸は収集信号列の収集時刻を示し、縦軸は位相の大きさを示す。図9の破線は、収集したIQ信号の位相成分のデータ列を示し、図9の実線は位相近似部17cにおいて、5次多項式のフィッティングにより近似された近似位相成分のデータ列を示す。図9に示す例では、多項式フィッティングにより近似した近似位相成分のデータ列は、速度が変化する収集信号列の位相成分のデータ列に近似している。なお、位相近似部17cは、生成した近似位相成分のデータ列を複素信号変換部17dへ出力する。また、位相近似部17cのことを第2の算出部とも言う。

0058

複素信号変換部17dは、近似振幅成分のデータ列と近似位相成分のデータ列とを複数のIQ信号に再変換した変換信号列を生成する。例えば、複素信号変換部17dは、近似振幅成分と近似位相成分とを上述の式3及び式4を用いてIQ信号へ再変換し、近似クラッタ成分としてクラッタ成分減算部17eに出力する。なお、複素信号変換部17dのことを再変換部とも言う。

0059

図10は、第1の実施形態に係る複素信号変換部17dにより再変換されたIQ信号の一例を示す図である。図10では、図8に示す例で近似した近似振幅成分のデータ列と、図9に示す例で近似した近似位相成分のデータ列とをIQ信号に再変換した場合を示す。図10横軸は複素数の実部、つまりI信号の大きさを表し、縦軸は複素数の虚部、つまりQ信号の大きさを表す。図10の実線は、近似した振幅成分のデータ列と近似した位相成分のデータ列とをIQ信号に再変換した変換信号列を示す。また、図10の破線は、収集された複数のIQ信号である収集信号列を示す。図10に示すように、収集信号列の信号強度と速度とが変動していても、収集信号列と変換信号列とでは、近似に誤差が生じていない。すなわち、第1の実施形態によれば、クラッタ成分の強度や速度が変化する場合でも、クラッタ成分を良好に近似できる。

0060

クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から、変換信号列を減算した減算信号列を生成する。ここで、第1の実施形態によれば、クラッタ成分の強度や速度が変化する場合でも、クラッタ成分を良好に近似できるので、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列を減算することで、収集信号列からクラッタ成分を正確に抑圧することが可能となる。

0061

より具体的には、上述した式3で示した収集信号列のI信号は、以下の式5で表される。式5において、Ac(t)cos(Pc(t))は、クラッタ成分のI信号であり、Av(t)cos(Pv(t))は、血流成分のI信号である。すなわち、収集信号列のI信号は、クラッタ成分のI信号と血流成分のI信号との加算値として表される。

0062

0063

また、上述した式4で示した収集信号列のQ信号は、以下の式6で表される。式6において、Ac(t)sin(Pc(t))は、クラッタ成分のQ信号であり、Av(t)sin(Pv(t))は、血流成分のQ信号である。すなわち、収集信号列のQ信号は、クラッタ成分のQ信号と血流成分のQ信号との加算値として表される。

0064

0065

ここで、クラッタ成分を良好に近似できているものとすると、クラッタ成分減算部17eが、収集信号列のI信号から変換信号列のI信号を減算した場合、式5において血流成分のI信号のみが得られる。また、クラッタ成分減算部17eが、収集信号列のQ信号から変換信号列のQ信号を減算した場合、式6において血流成分のQ信号のみが得られる。すなわち、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列を減算することで、収集信号列からクラッタ成分を正確に抑圧することが可能となる。

0066

このように、第1の実施形態に係わる超音波診断装置によれば、多項式のように変動する関数を用いてクラッタを近似することで、収集信号列の収集中に強度や速度が変化するクラッタに対する近似性能が高まる。この結果、第1の実施形態に係わる超音波診断装置では、クラッタを良好に抑圧することが可能となる。このようにして、第1の実施形態に係る超音波診断装置では、走査範囲内の各サンプル点で上記の処理が行われ、各サンプル点のクラッタ成分を状況に応じて精度良く近似できる。

0067

そして、第1の実施形態に係るドプラ処理部16は、変換信号列に基づく信号列を用いて、同一位置における移動体情報を演算する。例えば、ドプラ処理部16は、減算信号列を用いて、同一位置における移動体情報を演算する。続いて、画像生成部19は、ドプラ処理部16が生成したドプラデータからドプラ画像データを生成する。そして、制御部21は、ドプラ画像データをモニタ2に表示させる。図11A及び図11Bは、第1の実施形態に係るドプラ画像データの一例を示す図である。

0068

図11Aでは、収集信号を用いて生成されたドプラ画像データをモニタ2に表示した場合を示し、図11Bでは、収集信号から変換信号列が減算された減算信号列を用いて生成されたドプラ画像データをモニタ2に表示した場合を示す。

0069

図11Aに示すように、収集信号を用いてドプラ画像データを生成した場合、血流成分に対してクラッタ成分が大きく残存し、ドプラ画像を表示する時に視認性を損なうことになる。一方、クラッタ抑圧部17によって収集信号から変換信号列が減算された減算信号列を用いてドプラ画像データを生成した場合、クラッタ成分を抑圧することが可能となり、血流成分の視認性を向上することが可能となる。

0070

次に、図12用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置により処理手順について説明する。図12は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置において、送信部11は、同一走査線上において複数回の超音波を送信する(ステップS11)。

0071

そして、受信部12は、反射波信号を受信し(ステップS12)、反射波データを生成する(ステップS13)。続いて、クラッタ抑圧部17は、クラッタ成分抑圧処理を実行する(ステップS14)。なお、クラッタ成分抑圧処理の詳細については、図13を用いて後述する。

0072

ドプラ処理部16は、クラッタ成分抑圧処理の終了後、ドプラデータを生成する(ステップS15)。そして、画像生成部19は、ドプラ画像を生成し(ステップS16)、制御部21は、ドプラ画像をモニタ2に表示させる(ステップS17)。

0073

次に、図13を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なうクラッタ成分抑圧処理の一例について説明する。図13は、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17によるクラッタ成分抑圧処理の手順を示すフローチャートである。

0074

図13に示すように、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17の振幅・位相変換部17aは、収集信号列を振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とに変換する(ステップS101)。振幅・位相変換部17aは、変換した振幅成分のデータ列を振幅近似部17bに、位相成分のデータ列を位相近似部17cにそれぞれ出力する。

0075

次に、振幅近似部17bは、振幅成分のデータ列を近似する(ステップS102)。例えば、振幅近似部17bは、振幅成分のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似振幅成分のデータ列を生成する。また、位相近似部17cは、位相成分のデータ列を近似する(ステップS103)。例えば、位相近似部17cは、位相成分のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似位相成分のデータ列を生成する。なお、ステップS102とステップS103との処理は、実行順序入れ替え可能であり、また、並列して同時に実行されてもよい。

0076

そして、複素信号変換部17dは、近似振幅成分のデータ列と近似位相成分のデータ列とをIQ信号に変換して変換信号列を生成する(ステップS104)。続いて、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列を減算し(ステップS105)、処理を終了する。

0077

上述したように、第1の実施形態では、多項式のように変動する関数を用いてクラッタを近似することで、観測時間中に強度や速度が変化するクラッタに対する近似性能を高める。これにより、第1の実施形態では、クラッタを良好に抑圧することが可能となる。この結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、ドプラ画像を表示する時に視認性を向上することが可能となる。

0078

(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、収集信号列の振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを多項式フィッティングにより近似する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、近似に用いられる関数の種類は多項式に限るものではなく、例えば、指数関数対数関数三角関数双曲線関数、及び多項式以外のその他の関数が用いられても良い。例えば、振幅近似部17bは、指数関数や対数関数、三角関数、双曲線関数、多項式以外のその他の関数を用いて収集信号列の振幅成分のデータ列を近似しても良い。また、例えば、位相近似部17cは、指数関数や対数関数、三角関数、双曲線関数、及び多項式以外のその他の関数を用いて収集信号列の位相成分のデータ列を近似しても良い。なお、関数が、多項式関数である場合、振幅成分に対する関数は0次以外の関数であり、位相成分に対する関数は1次以外の関数である。

0079

また、上述した第1の実施形態では、振幅近似部17bと位相近似部17cとが同一種類の関数を用いる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、振幅近似部17bと位相近似部17cとが異なる種類の関数を用いてもよい。一例をあげると、振幅近似部17bが多項式フィッティングにより収集信号列の振幅成分のデータ列を近似し、位相近似部17cが指数関数により収集信号列の位相成分のデータ列を近似してもよく、或いは、振幅近似部17bが対数関数により収集信号列の振幅成分のデータ列を近似し、位相近似部17cが指数関数により収集信号列の位相成分のデータ列を近似してもよい。なお、振幅近似部17bと位相近似部17cとがそれぞれ1種類の関数を用いていれば、振幅近似部17b及び位相近似部17cが用いる関数の種類の組み合わせは任意である。

0080

また、上述した第1の実施形態では、関数の最小二乗フィッティングにより、振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを近似したが、予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。すなわち、振幅成分や位相成分のデータ列と、予め用意した基底関数との内積を計算し、内積の値を重みとした基底関数の線形結合により振幅成分や位相成分をそれぞれ近似してもよい。基底関数として、例えば離散フーリエ変換基底離散コサイン変換の基底、離散ウェーブレット変換の基底を用いることができる。

0081

(第2の実施形態)
第1の実施形態では収集信号列の振幅成分に対する関数の最小二乗フィッティングと、収集信号列の位相成分に対する関数の最小二乗フィッティングとにより、クラッタ成分を抑圧する場合について説明した。第2の実施形態では、収集信号列の振幅成分に対する関数の最小二乗フィッティングと、収集信号列の位相成分に対する関数の最小二乗フィッティングとに加えて、収集信号列の実数成分であるI信号と、収集信号列の虚数成分であるQ信号とに対して関数の最小二乗フィッティングを更に行う方法について説明する。

0082

第2の実施形態に係る超音波診断装置は、クラッタ抑圧部17とは一部の機能が異なるクラッタ抑圧部170を有する点を除いて、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成となる。このため、クラッタ抑圧部170についてのみ詳細に説明する。

0083

図14は、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170の構成例を示すブロック図である。図14に示すように、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170は、振幅・位相変換部17aと、振幅近似部17bと、位相近似部17cと、複素信号変換部17dと、クラッタ成分減算部17eと、実数近似部170aと、虚数近似部170bと、IQ信号減算部170cと、選択部170dとを有する。なお、図7に示した第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17と同様の機能を有する各部については同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。

0084

実数近似部170aは、収集信号列の実数信号のデータ列を関数で近似した近似実数信号のデータ列を算出する。例えば、実数近似部170aは、IQ信号の実部、すなわちI信号のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似実数信号のデータ列を生成する。実数近似部170aは、生成した近似実数信号をIQ信号減算部170cへ出力する。なお、実数近似部170aのことを第3の算出部とも言う。

0085

虚数近似部170bは、収集信号列の虚数信号のデータ列を関数で近似した近似虚数信号のデータ列を算出する。例えば、虚数近似部170bは、IQ信号の虚部、すなわちQ信号のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似虚数信号のデータ列を生成する。虚数近似部170bは、生成した近似虚数信号をIQ信号減算部170cへ出力する。なお、虚数近似部170bのことを第4の算出部とも言う。

0086

IQ信号減算部170cは、収集信号列から、近似実数信号のデータ列と近似虚数信号のデータ列とを減算した減算信号列を生成する。例えば、IQ信号減算部170cは、実数近似部170aから受け取った近似実数信号と、虚数近似部170bから受け取った近似虚数信号とを、A/D変換器14から受け取った収集信号列から減算し、減算信号列を生成する。IQ信号減算部170cは、生成した減算信号列を選択部170dに出力する。

0087

選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列と、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列とを比較し、いずれか一つを選択してドプラ処理部16に出力する。例えば、選択部170dは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量を算出し、算出した統計量が最小である減算信号列を選択する。ここで、選択部170dは、統計量としてノルム、分散、及び度のうちいずれか一つを算出する。

0088

ここでは、統計量として、減算信号列を並べたベクトルのノルムを算出する場合について説明する。減算信号列のI信号は、以下の式7で表され、減算信号列のQ信号は、以下の式8で表される。

0089

0090

0091

また、減算信号列のI信号を並べたベクトルは、以下の式9で表され、減算信号列のQ信号を並べたベクトルは、以下の式10で表される。なお、式9及び式10では、16回の超音波を送信して、16回IQ信号を収集した場合を示す。

0092

0093

0094

そして、選択部170dは、減算信号列を並べたベクトルのノルムを以下の式11により算出する。なお、式11は、式12に展開される。また、式11及び式12では2次のノルムを算出する場合を示す。

0095

0096

0097

選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムと、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムとをそれぞれ算出し、算出したノルムを比較する。そして、選択部170dは、例えば、算出したノルムが小さい方の減算信号列を選択する。

0098

これによりドプラ処理部16は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて移動体情報を演算する。例えば、ドプラ処理部16は、選択部170dによって選択された1つの減算信号列を用いて、移動体情報を演算する。

0099

なお、選択部170dは、統計量として、減算信号列を並べたベクトルの分散を算出する場合には、減算信号列を並べたベクトルの分散を以下の式12により算出する。また、選択部170dは、統計量として、減算信号列を並べたベクトルの尖度を算出する場合には、減算信号列を並べたベクトルの尖度を以下の式14により算出する。

0100

0101

0102

次に、図15を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置が行なうクラッタ成分抑圧処理の一例について説明する。図15は、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170によるクラッタ成分抑圧処理の手順を示すフローチャートである。なお、図15において、ステップS201からステップS205までの処理は、図13に示したステップS101からステップS105までの処理と同様であるので説明を省略する。

0103

図15に示すように、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170の実数近似部170aは、実数信号のデータ列を近似する(ステップS206)。例えば、実数近似部170aは、収集信号列の実部、すなわちI信号のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似実数信号のデータ列を生成する。また、虚数近似部170bは、虚数信号のデータ列を近似する(ステップS207)。例えば、虚数近似部170bは、収集信号列の虚部、すなわちQ信号のデータ列に対して、多項式等の最小二乗フィッティングによる近似を行い、近似虚数信号のデータ列を生成する。なお、ステップS206とステップS207との処理は、実行順序を入れ替え可能であり、また、並列して同時に実行されてもよい。

0104

続いて、IQ信号減算部170cは、収集信号列から近似実数信号のデータ列と近似虚数信号のデータ列とを減算する(ステップS208)。そして、選択部170dは、減算信号列選択処理を実行し(ステップS209)、処理を終了する。なお、減算信号列選択処理の詳細については、図16を用いて説明する。

0105

図16は、第2の実施形態に係る選択部170dによる減算信号列選択処理の手順を示すフローチャートである。図16に示すように、選択部170dは、減算信号列を受付ける(ステップS301)。

0106

そして、選択部170dは、減算信号列について、ノルム、分散、及び尖度のうちいずれか一つを算出する(ステップS302)。例えば、選択部170dは、減算信号列について、ノルムを算出する。

0107

続いて、選択部170dは、比較結果に基づいて、減算信号列のうちいずれか一つを選択する(ステップS303)。例えば、選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムと、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムとをそれぞれ算出し、算出値が小さい一方を選択する。なお、選択部170dは、ステップS302で分散を算出した場合、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を並べたベクトルの分散及びIQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を並べたベクトルの分散について、値が小さい一方を選択する。また、選択部170dは、ステップS302で尖度を算出した場合、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を並べたベクトルの尖度及びIQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を並べたベクトルの尖度について、値が小さい一方を選択する。

0108

上述した第2の実施形態に係る超音波診断装置の効果について、図17Aから図17Cを用いて説明する。図17Aから図17Cは、第2の実施形態に係る超音波診断装置を説明するための図である。

0109

図17Aでは、収集信号列が原点付近を通過する場合を示す。また、図17Bは、図17Aに示す収集信号列の振幅成分のデータ列を示し、図17Cは、図17Aに示す収集信号列の位相成分のデータ列を示す。ここで、振幅成分は、原点から収集信号列までの距離に相当する。このため、振幅成分のデータ列は、図17Bに示すように、収集信号列が原点に近づく前後で急峻に変換する。また、位相成分は、原点からの収集信号列の角度に相当する。このため、位相成分のデータ列は、図17Cに示すように、収集信号列が原点に近づく前後で急峻に変換する。

0110

このように振幅成分のデータ列や位相成分のデータ列が急峻な変化をする場合、例えば、多項式で最小二乗フィッティングした際の誤差が大きくなる場合がある。かかる場合には、クラッタ抑圧部170は、クラッタを良好に近似できなくなる。

0111

この一方で、収集信号列が図17Aに示すように原点付近を通過する場合には、収集信号列の実数成分であるI信号と、虚数成分であるQ信号に対して関数の最小二乗フィッティングした際の誤差が小さくなる場合がある。このような場合、クラッタ抑圧部170は、クラッタを良好に近似できる。このようなことから、クラッタ抑圧部170は、図17Aに示すように原点付近を通過するような収集信号列について、振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを関数の最小二乗フィッティングするのではなく、実数成分であるI信号と、虚数成分であるQ信号に対して関数の最小二乗フィッティングした方が誤差を小さくできる場合がある。

0112

第2の実施形態では、収集信号列の振幅成分に対する関数の最小二乗フィッティングと、収集信号列の位相成分に対する関数の最小二乗フィッティングとに加えて、収集信号列の実数成分であるI信号と、虚数成分であるQ信号に対して関数の最小二乗フィッティングを更に行う。そして、第2の実施形態では、例えば、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムと、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を並べたベクトルのノルムとをそれぞれ算出し、算出値が小さい一方を選択する。このようなことから、第2の実施形態に係るドプラ処理部16は、クラッタの近似をより良好にできた減算信号列を用いてドプラデータを生成することが可能となる。

0113

なお、上述した第2の実施形態では、振幅近似部17b、位相近似部17c、実数近似部170a、及び虚数近似部170bの4つの近似部は、多項式を最小二乗フィッティングに用いるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。4つの近似部は、例えば指数関数、対数関数、三角関数、双曲線関数、及び多項式以外のその他の関数などを最小二乗フィッティングに用いてもよい。また、4つの近似部は、同一種類の関数を用いることに限定されるものではなく、4つの近似部ごとに用いる関数を任意に組み合わせても良い。例えば、振幅近似部17bは、多項式を用いて近似し、位相近似部17cは、指数関数を用いて近似し、実数近似部170aは、対数関数を用いて近似し、虚数近似部170bは三角関数を用いて近似する。

0114

また、上述した第2の実施形態では、関数の最小二乗フィッティングにより、収集信号列の実数成分であるI信号と虚数成分であるQ信号とを近似したが、予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。すなわち、I信号やQ信号と、予め用意した基底関数との内積を計算し、内積の値を重みとした基底関数の線形結合によりI信号やQ信号をそれぞれ近似してもよい。なお、かかる場合も同様に、振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。基底関数として、例えば離散フーリエ変換の基底や離散コサイン変換の基底、離散ウェーブレット変換の基底を用いることができる。

0115

(第2の実施形態の変形例1)
上述した第2の実施形態では、選択部170dは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量としてノルム、分散、及び尖度のうちいずれか一つを算出して、減算信号列を選択する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、選択部170dは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量としてノルム、分散、及び尖度をそれぞれ算出し、より多くの統計値が小さくなった減算信号列を選択するようにしてもよい。またノルムとして式12ではL2ノルムを用いる例を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、選択部170dは、L1ノルム、最大値ノルム、その他ベクトルの大きさを表す尺度を、複数の減算信号列のそれぞれについて算出し、尺度がより小さくなった減算信号列を選択するようにしてもよい。

0116

図18は、第2の実施形態の変形例に係る選択部170dによる減算信号列選択処理の手順を示すフローチャートである。図18に示すように、選択部170dは、複数の減算信号列を受付ける(ステップS401)。例えば、選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列と、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列とを受付ける。

0117

続いて、選択部170dは、各減算信号列のそれぞれについてノルム、分散、及び尖度を算出する(ステップS402)。例えば、選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列のノルム、分散、及び尖度を算出し、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列のノルム、分散、及び尖度を算出する。

0118

そして、選択部170dは、各減算信号列のノルムを比較する(ステップS403)。また、選択部170dは、各減算信号列の分散を比較する(ステップS404)。また、選択部170dは、各減算信号列の尖度を比較する(ステップS405)。なお、ステップS403からステップS405までの処理は、実行順序を入れ替え可能であり、また、並列して同時に実行されてもよい。

0119

続いて、選択部170dは、比較結果に基づいて、減算信号列のいずれか一つを選択する(ステップS406)。例えば、選択部170dは、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列と、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列とについて、より多くの統計値が小さくなった減算信号列を選択する。ここでは、具体例として、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列のノルム及び分散が、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列のノルム及び分散より小さく、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列の尖度が、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列の尖度より大きい場合を示す。かかる場合、選択部170dは、減算信号列のノルム及び分散の2つの統計量が小さいクラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を選択する。このようなことから、第2の実施形態の変形例1に係るドプラ処理部16は、クラッタの近似をより良好にできた減算信号列を用いてドプラデータを生成することが可能となる。

0120

(第2の実施形態の変形例2)
また、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、実数近似部170aと虚数近似部170bにおいて、実数成分であるI信号と、虚数成分であるQ信号とを合わせた複素信号列に対して、複素多項式等の複素関数の最小二乗フィッティングを行うように構成されてもよい。

0121

(第2の実施形態の変形例3)
また、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、選択部170dを有さずに構成されてもよい。かかる場合、クラッタ成分減算部17e及びIQ信号減算部170cは、生成した減算信号列をドプラ処理部16に出力する。そして、ドプラ処理部16は、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列と、IQ信号減算部170cにより生成された減算信号列とをそれぞれ用いて、ドプラデータを生成する。また、画像生成部19は、ドプラ処理部16が生成したドプラデータそれぞれからドプラ画像データをそれぞれ生成する。そして、制御部21は、ドプラ画像データそれぞれをモニタ2に表示させる。例えば、制御部21は、モニタ2の表示領域を2分割して、一方の領域にクラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列を用いて生成されたドプラ画像データを表示する。そして、制御部21は、他方の領域にIQ信号減算部170cにより生成された減算信号列を用いて生成されたドプラ画像データを表示する。

0122

(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、振幅近似部17bと位相近似部17cとがそれぞれ1種類の関数を用いて収集信号列を近似する場合について説明した。ところで、振幅近似部17b及び位相近似部17cは、それぞれ複数種類の関数を用いて収集信号列を近似してもよいものである。そこで、第3の実施形態では、振幅近似部17bと位相近似部17cとがそれぞれ複数種類の関数を用いて収集信号列を近似する場合について説明する。

0123

第3の実施形態に係る超音波診断装置は、クラッタ抑圧部17とは一部の機能が異なるクラッタ抑圧部270を有する点を除いて、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成となる。このため、クラッタ抑圧部270についてのみ詳細に説明する。

0124

図19は、第3の実施形態に係るクラッタ抑圧部270の構成例を示すブロック図である。図19に示すように、第3の実施形態に係るクラッタ抑圧部270は、振幅・位相変換部17aと、振幅近似部17bと、位相近似部17cと、複素信号変換部17dと、クラッタ成分減算部17eと、選択部270aとを有する。なお、図7に示した第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17と同様の機能を有する各部については同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。

0125

振幅・位相変換部17aは、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。そして、振幅近似部17bは、複数種類の関数により、複数の近似振幅成分のデータ列を算出する。例えば、振幅近似部17bは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、複数の近似振幅成分のデータ列を算出する。また、位相近似部17cは、複数種類の関数により、複数の近似位相成分のデータ列を算出する。例えば、位相近似部17cは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、複数の近似位相成分のデータ列を算出する。ここで、振幅近似部17b及び位相近似部17cが用いる複数種類の関数には、多項式、指数関数、対数関数、三角関数、双曲線関数などの関数が含まれる。

0126

続いて、複素信号変換部17dは、複数の近似振幅成分のデータ列と複数の振幅成分のデータ列とを任意に組み合わせた再変換により、複数の変換信号列を生成する。一例として、振幅近似部17bが、多項式、指数関数、対数関数を用いて収集信号列の振幅成分のデータ列を近似し、位相近似部17cが、多項式、三角関数を用いて収集信号列の位相成分のデータ列を近似する場合を説明する。かかる場合、複素信号変換部17dは、多項式を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、多項式を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Aを生成し、多項式を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、三角関数を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Bを生成する。また、例えば、複素信号変換部17dは、指数関数を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、多項式を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Cを生成し、指数関数を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、三角関数を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Dを生成する。更に、例えば、複素信号変換部17dは、対数関数を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、多項式を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Eを生成し、対数関数を用いて近似された近似振幅成分のデータ列と、三角関数を用いて近似された近似位相成分のデータ列とを組み合わせた再変換により変換信号列Fを生成する。

0127

そして、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から、複数の変換信号列それぞれを減算して、複数の減算信号列を生成する。例えば、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列Aを減算して、減算信号列Aを生成し、収集信号列から変換信号列Bを減算して、減算信号列Bを生成する。また、例えば、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列Cを減算して、減算信号列Cを生成し、収集信号列から変換信号列Dを減算して、減算信号列Dを生成する。更に、例えば、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から変換信号列Eを減算して、減算信号列Eを生成し、収集信号列から変換信号列Fを減算して、減算信号列Fを生成する。

0128

選択部270aは、複数の減算信号列から減算信号列を選択する。例えば、選択部270aは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量を算出し、算出した統計量が最小である減算信号列を選択する。例えば、選択部270aは、統計量としてノルム、分散、及び尖度のうちいずれか一つを算出する。ここでは、選択部270aは、統計量としてノルムを算出した場合を説明する。選択部270aは、減算信号列Aから減算信号列Fについてノルムをそれぞれ算出し、算出したノルムが最小である減算信号列を選択する。

0129

そして、ドプラ処理部16は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて、移動体情報を演算する。例えば、ドプラ処理部16は、選択部270aによって選択された1つの減算信号列であってクラッタの近似をより良好にできた減算信号列を用いて、移動体情報を演算する。

0130

上述したように、第3の実施形態では、振幅近似部17bと位相近似部17cとがそれぞれ複数種類の関数を用いて収集信号列を近似することで、より最適な減算信号列を選択することが可能となる。この結果、第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、ドプラ画像を表示する時に視認性をより向上することが可能となる。

0131

なお、第3の実施形態に係る選択部270aは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量としてノルム、分散、及び尖度をそれぞれ算出し、より多くの統計値が小さくなった減算信号列を選択するようにしてもよい。

0132

また、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、選択部270aを有さずに構成されてもよい。かかる場合、クラッタ成分減算部17eは、生成した減算信号列それぞれをドプラ処理部16に出力する。そして、ドプラ処理部16は、クラッタ成分減算部17eにより生成された減算信号列それぞれを用いて、ドプラデータを生成する。

0133

また、上述した第3の実施形態では、関数の最小二乗フィッティングにより、振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを近似したが、予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。すなわち、振幅成分や位相成分のデータ列と、予め用意した基底関数との内積を計算し、内積の値を重みとした基底関数の線形結合により振幅成分や位相成分をそれぞれ近似してもよい。基底関数として、例えば離散フーリエ変換の基底や離散コサイン変換の基底、離散ウェーブレット変換の基底を用いることができる。

0134

更に、関数の最小二乗フィッティングと関数への射影とを併用してもよい。かかる場合、例えば、関数の最小二乗フィッティングにより近似振幅成分のデータ列Aと近似位相成分のデータ列Aとが算出される。そして、この近似振幅成分のデータ列Aと近似位相成分のデータ列Aとから減算信号列Aが生成される。また、関数への射影により近似振幅成分のデータ列Bと近似位相成分のデータ列Bとが算出される。そして、この近似振幅成分のデータ列Bと近似位相成分のデータ列Bとから減算信号列Bが生成される。そして、選択部270aは、例えば、関数の最小二乗フィッティングにより算出された減算信号列Aと、関数への射影により算出された減算信号列Bとから減算信号列を選択する。

0135

(第4の実施形態)
上述した第3の実施形態では収集信号列の振幅成分に対する複数種類の関数の最小二乗フィッティングと、収集信号列の位相成分に対する複数種類の関数の最小二乗フィッティングとにより、クラッタ成分を抑圧する場合について説明した。ところで、上述した第2の実施形態においても、振幅近似部17b、位相近似部17c、実数近似部170a、及び虚数近似部170bの4つの近似部は、複数種類の関数を最小二乗フィッティングに用いてもよい。

0136

そこで、第4の実施形態では、収集信号列の振幅成分に対する複数種類の関数の最小二乗フィッティングと、収集信号列の位相成分に対する複数種類の関数の最小二乗フィッティングとに加えて、収集信号列の実数成分であるI信号と、収集信号列の虚数成分であるQ信号とに対して複数種類の関数の最小二乗フィッティングを更に行う場合について説明する。

0137

なお、第4の実施形態に係る超音波診断装置は、クラッタ抑圧部170において一部の機能が異なる点を除いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成と同様である。このため、第4の実施形態に係るクラッタ抑圧部170について、図14を用いて説明した第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170との相違点についてのみ詳細に説明する。

0138

振幅・位相変換部17aは、複数回の超音波送受信により収集された同一位置の複数のIQ信号である収集信号列を、振幅成分のデータ列と、位相成分のデータ列とに変換する。そして、振幅近似部17bは、複数種類の関数により、複数の近似振幅成分のデータ列を算出する。例えば、振幅近似部17bは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、複数の近似振幅成分のデータ列を算出する。また、位相近似部17cは、複数種類の関数により、複数の近似位相成分のデータ列を算出する。例えば、位相近似部17cは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、複数の近似位相成分のデータ列を算出する。

0139

続いて、複素信号変換部17dは、複数の近似振幅成分のデータ列と複数の振幅成分のデータ列とを任意に組み合わせた再変換により、複数の変換信号列を生成する。そして、クラッタ成分減算部17eは、収集信号列から、複数の変換信号列それぞれを減算して、複数の減算信号列を生成する。

0140

また、実数近似部170aは、複数種類の関数により、収集信号列の実数信号のデータ列を近似した近似実数信号のデータ列を算出する。例えば、実数近似部170aは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、収集信号列の実数信号のデータ列を近似した近似実数信号のデータ列を算出する。虚数近似部170bは、複数種類の関数により、収集信号列の虚数信号のデータ列を近似した近似虚数信号のデータ列を算出する。例えば、虚数近似部170bは、複数種類の関数の最小二乗フィッティングにより、収集信号列の虚数信号のデータ列を近似した近似虚数信号のデータ列を算出する。続いて、IQ信号減算部170cは、収集信号列から、複数の近似実数信号のデータ列と複数の近似虚数信号のデータ列とを任意に組み合わせて減算した複数の減算信号列を生成する。

0141

そして、第4の実施形態に係る選択部170dは、複数の減算信号列から減算信号列を選択する。例えば、選択部170dは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量を算出し、算出した統計量が最小である減算信号列を選択する。例えば、第4の実施形態に係る選択部170dは、統計量としてノルム、分散、及び尖度のうちいずれか一つを算出する。或いは、第4の実施形態に係る選択部170dは、複数の減算信号列のそれぞれについて統計量としてノルム、分散、及び尖度をそれぞれ算出し、より多くの統計値が小さくなった減算信号列を選択するようにしてもよい。

0142

また、ドプラ処理部16は、生成された減算信号列のうち少なくともいずれか一つを用いて、移動体情報を演算する。例えば、ドプラ処理部16は、選択部170dによって選択された1つの減算信号列であってクラッタの近似をより良好にできた減算信号列を用いて、移動体情報を演算する。

0143

上述したように、第4の実施形態では、振幅近似部17b、位相近似部17c、実数近似部170a、及び虚数近似部170bの4つの近似部それぞれが複数種類の関数を用いて収集信号列を近似することで、より最適な減算信号列を選択することが可能となる。この結果、第4の実施形態に係る超音波診断装置によれば、ドプラ画像を表示する時に視認性をより向上することが可能となる。

0144

なお、第4の実施形態に係る超音波診断装置は、選択部170dを有さずに構成されてもよい。かかる場合、クラッタ成分減算部17eは、生成した減算信号列それぞれをドプラ処理部16に出力し、IQ信号減算部170cは、生成した減算信号列それぞれをドプラ処理部16に出力する。そして、ドプラ処理部16は、クラッタ成分減算部17e及びIQ信号減算部170cにより生成された減算信号列それぞれを用いて、ドプラデータを生成する。

0145

また、第4の実施形態に係る超音波診断装置は、実数近似部170aと虚数近似部170bにおいて、実数成分であるI信号と、虚数成分であるQ信号とを合わせた複素信号列に対して、複素多項式等の複素関数の最小二乗フィッティングを行うように構成されてもよい。

0146

また、上述した第4の実施形態では、関数の最小二乗フィッティングにより、収集信号列の実数成分であるI信号と虚数成分であるQ信号とを近似したが、予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。すなわち、I信号やQ信号と、予め用意した基底関数との内積を計算し、内積の値を重みとした基底関数の線形結合によりI信号やQ信号をそれぞれ近似してもよい。なお、かかる場合も同様に、振幅成分のデータ列と位相成分のデータ列とを予め用意した基底関数への射影により近似を行ってもよい。基底関数として、例えば離散フーリエ変換の基底や離散コサイン変換の基底、離散ウェーブレット変換の基底を用いることができる。

0147

更に、関数の最小二乗フィッティングと関数への射影とを併用してもよい。かかる場合、例えば、関数の最小二乗フィッティングにより近似振幅成分のデータ列Aと近似位相成分のデータ列Aとが算出される。そして、この近似振幅成分のデータ列Aと近似位相成分のデータ列Aとから減算信号列A1が生成される。また、関数への射影により近似振幅成分のデータ列Bと近似位相成分のデータ列Bとが算出される。そして、この近似振幅成分のデータ列Bと近似位相成分のデータ列Bとから減算信号列B1が生成される。同様に、関数の最小二乗フィッティングにより近似実数信号のデータ列Aと近似虚数信号のデータ列Aとが算出される。そして、この近似実数信号のデータ列Aと近似虚数信号のデータ列Aとから減算信号列A2が生成される。また、関数への射影により近似実数信号のデータ列Bと近似虚数信号のデータ列Bとが算出される。そして、この近似実数信号のデータ列Bと近似虚数信号のデータ列Bとから減算信号列B2が生成される。そして、選択部170dは、例えば、関数の最小二乗フィッティングにより算出された減算信号列A1及びA2と、関数への射影により算出された減算信号列B1及びB2とから減算信号列を選択する。

0148

(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。

0149

上述した実施形態では、受信部12は、アナログデータである反射波データを生成するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、受信部12は、デジタルデータである反射波データを生成するようにしてもよい。かかる場合、受信部12は、プリアンプ12aと受信遅延加算回路12bとの間にA/D変換器14を有するように構成される。

0150

そして、A/D変換器14は、プリアンプ12aによってゲイン調整された反射波信号をデジタルデータに変換し、受信遅延加算回路12bは、デジタルデータである反射波信号からデジタルデータである反射波データを生成する。なお、受信部12がA/D変換器14を有するように構成される場合、直交検波部13は、IQ信号をBモード処理部15又はドプラ処理部16に出力する。

0151

また、例えば、クラッタ成分の振幅成分及び位相成分の少なくともいずれか一つを事前予測可能な組織を走査する場合には、予測可能な成分の近似には、関数に代えて定数を用いてもよい。

0152

なお、上記では、上述の実施形態で説明した画像処理方法が、超音波診断装置で実行される場合について説明した。しかし、上述の実施形態で説明した画像処理方法は、受信部12が出力した反射波データ(IQ信号)を取得可能な画像処理装置において実行される場合であっても良い。図20は、その他の実施形態に係る画像処理装置400の構成例を示すブロック図である。図20に示すように、その他の実施形態に係る画像処理装置400は、ネットワーク500を介して、超音波診断装置100と互いに通信可能に接続される。なお、超音波診断装置100は、第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成を有するものとする。ここで、超音波診断装置100は、A/D変換器14が、直交検波部13によって検波された複数のIQ信号である収集信号列をデジタル信号へ変換した後、この収集信号列を画像処理装置400に送信する。

0153

その他の実施形態に係る画像処理装置400は、モニタ401と、操作部402と、記憶部403と、制御部404と、クラッタ抑圧部405とを備える。モニタ401は、各種設定要求を入力するためのGUIを表示したり、閲覧を要求された超音波画像などを表示したりする。操作部402は、マウス、キーボード、トラックボールなどを有し、画像処理装置400の操作者からの各種設定要求を受け付ける。制御部404は、画像処理装置400の処理全体を制御する。記憶部403は、超音波診断装置100から受信した収集信号列を記憶する。記憶部403は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。

0154

クラッタ抑圧部405は、収集信号列からクラッタ成分を抑圧した減算信号列を生成する。なお、クラッタ抑圧部405の構成は、第1の実施形態に係るクラッタ抑圧部17、第2の実施形態に係るクラッタ抑圧部170、第3の実施形態に係るクラッタ抑圧部270、及び第4の実施形態に係るクラッタ抑圧部170のうちいずれかと同様に構成される。クラッタ抑圧部405は、生成した減算信号列を制御部404に出力する。

0155

これにより、制御部404は、クラッタ抑圧部405によって生成された減算信号列を用いて、同一位置における移動体情報を演算する。続いて、制御部404は、生成したドプラデータからドプラ画像データを生成する。そして、制御部404は、ドプラ画像データをモニタ401に表示させる。制御部404及びクラッタ抑圧部405は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific IntegratedCircuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。

0156

なお、超音波診断装置100は、受信部12が生成した反射波データを画像処理装置400に送信するようにしてもよい。かかる場合、画像処理装置400は、直交検波部及びA/D変換器を更に備えるように構成される。また、画像処理装置400の記憶部403は、受信部12によって生成された反射波データを記憶する。そして、画像処理装置400の直交検波部は、超音波診断装置100から受信した反射波データをIQ信号に変換する。続いて、画像処理装置400のA/D変換器は、直交検波部によって変換された複数のIQ信号である収集信号列をデジタル信号へ変換する。そして、クラッタ抑圧部405は、デジタル信号へ変換された収集信号列からクラッタ成分を抑圧する。

0157

また、上記の実施形態において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、クラッタ成分減算部17eとIQ信号減算部170cとを統合して減算部としてもよい。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。

0158

また、上述の実施形態で説明した、超音波診断装置による処理は、内部記憶部18に予め記憶された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスクFD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。

0159

以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、観測時間中に強度や速度が変化する場合でもクラッタ成分を効果的に抑圧することができる。

0160

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0161

10 装置本体
16ドプラ処理部
17クラッタ抑圧部
17a振幅・位相変換部
17b 振幅近似部
17c位相近似部
17d複素信号変換部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社日立製作所の「 超音波撮像装置、画像処理装置、及び方法」が 公開されました。( 2019/07/18)

    【課題】超音波探触子の走査が位置合わせに適切かどうかを判定し、超音波探触子走査を正確にガイドする。【解決手段】被検体に超音波を送信し、被検体からの超音波を受信する超音波探触子と、超音波探触子の受信信号... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 超音波診断装置」が 公開されました。( 2019/07/18)

    【課題】超音波プローブに設けられた冷媒循環システムの異常を検知して必要な対処を促せるようにする。【解決手段】冷媒循環用のポンプがPWM方式によりフィードバック制御され、その回転数が一定に維持されている... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 超音波プローブ」が 公開されました。( 2019/07/18)

    【課題】冷媒循環システムを備えた超音波プローブにおいて、プローブコネクタ内の部品数を低減する。【解決手段】外ケース36の中に内ケース38が設けられている。内ケース38の内部が基板室42であり、外ケース... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ