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技術 建物層間変位推定方法

出願人 株式会社熊谷組
発明者 仲宗根淳
出願日 2014年11月14日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2014-231948
公開日 2016年5月26日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2016-095242
状態 特許登録済
技術分野 弾性の調査及び振動試験 異常な外部の影響に耐えるための建築物
主要キーワード 周波数成分分離 変形値 振動方程式 モード形 補強対策 質点系モデル 波形毎 時刻歴
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月26日)のものです。
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図面 (8)

課題

外乱時において測定される建物上層相対変位に基づいて外乱後の建物の層間変位推定値を算出する場合において、建物最上層の相対変位を正確に得ることができ、算出される層間変位の推定値の精度を向上させる。

解決手段

評価対象の建物が外乱を受けた際の建物最上層の絶対変位時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測して建物最上層の相対変位の時刻歴を求める建物最上層相対変位算出ステップと、固有値解析ステップと、建物の固有振動モードに基づいて建物の最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する各層変位推定ステップと、各層変位推定ステップで求めた各層の相対変位の時刻歴に基づいて建物の層間変位の時刻歴を算出する層間変位推定ステップと、を備え、建物最上層相対変位算出ステップでは、航法衛星ステムを用いて、建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測した。

概要

背景

従来、地震により建物が受けた損傷を算出して地震発生後の建物の残余耐震性能を判定する技術が知られている(例えば特許文献1等参照)。
当該技術は、建物の基礎部と最上階とに加速度センサーを設置しておいて、地震時に計測された加速度を2回積分することで計測点絶対変位を算出し、最上階の絶対変位から基礎部の絶対変位を引いて、基礎部に対する最上階の相対変位を算出する。そして、当該相対変位と建物の振動モード形とに基づいて、各階の相対変位(層間変位)を算出する。また、計測した加速度と振動モード形とに基づいて、各階の絶対加速度を算出する。
そして、各階の相対変位と各階の質量比とにより建物全体代表変位算定するとともに、各階の絶対加速度と各階の質量比とにより建物全体の代表加速度を算定し、当該代表変位及び代表加速度を用いて建物の損傷を判定するようにしている。

概要

外乱時において測定される建物最上層の相対変位に基づいて外乱後の建物の層間変位の推定値を算出する場合において、建物最上層の相対変位を正確に得ることができ、算出される層間変位の推定値の精度を向上させる。評価対象の建物が外乱を受けた際の建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測して建物最上層の相対変位の時刻歴を求める建物最上層相対変位算出ステップと、固有値解析ステップと、建物の固有振動モードに基づいて建物の最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する各層変位推定ステップと、各層変位推定ステップで求めた各層の相対変位の時刻歴に基づいて建物の層間変位の時刻歴を算出する層間変位推定ステップと、を備え、建物最上層相対変位算出ステップでは、航法衛星ステムを用いて、建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測した。

目的

本発明は、外乱時において測定される建物最上層の相対変位に基づいて外乱後の建物の層間変位の推定値を算出する場合において、建物最上層の相対変位を正確に得ることができ、算出される層間変位の推定値の精度を向上させることが可能な建物層間変位推定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

評価対象建物外乱を受けた際の建物の層間変位推定する方法であって、評価対象の建物が外乱を受けた際の建物最上層絶対変位時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測して、建物最上層の絶対変位の時刻歴から建物最下層の絶対変位の時刻歴を引くことによって建物最上層の相対変位の時刻歴を求める建物最上層相対変位算出ステップと、評価対象の建物の固有周波数固有振動モードとを求める固有値解析を行う固有値解析ステップと、建物の固有振動モードに基づいて建物の最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する各層変位推定ステップと、各層変位推定ステップで求めた各層の相対変位の時刻歴に基づいて建物の層間変位の時刻歴を算出する層間変位推定ステップと、を備え、建物最上層相対変位算出ステップでは、航法衛星ステムを用いて、建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測したことを特徴とする建物層間変位推定方法

請求項2

建物最上層相対変位算出ステップで得られた建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴と建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴とに分離する周波数成分分離ステップを備え、各層変位推定ステップでは、建物の変形を1次固有振動モードでの相対変位と2次固有振動モードでの相対変位との和とみなし、建物の1次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴とみなして、1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を1次固有振動モードに基づいて算出するとともに、建物の2次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた高周波成分の時刻歴とみなして、2次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を2次固有振動モードに基づいて算出することによって、建物の各層の相対変位の時刻歴を算出したことを特徴とする請求項1に記載の建物層間変位推定方法。

請求項3

建物最上層相対変位算出ステップで得られた建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴と建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴とに分離する周波数成分分離ステップを備え、各層変位推定ステップでは、建物の変形を1次固有振動モードでの相対変位と2次固有振動モードでの相対変位との和とみなし、建物の1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する第1ステップと、建物の2次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた高周波成分の時刻歴とみなして、2次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を2次固有振動モードに基づいて算出する第2ステップとを実施することによって、建物の各層の相対変位の時刻歴を算出し、第1ステップにおいては、建物の静的弾塑性解析を実施し、周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴の最大値に最も近い変形値が得られた変形性状に基づいて建物の1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出したことを特徴とする請求項1に記載の建物層間変位推定方法。

請求項4

周波数成分分離ステップでは、ローパスフィルターを用いて、建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分から低周波成分の時刻歴を抽出するとともに、建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分から低周波成分の時刻歴を引いて、当該低周波成分以外のその他の成分である高周波成分の時刻歴を抽出することとし、ローパスフィルターのカットオフ周波数fcを、(1次固有周波数f1+2次固有周波数f2)/2としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の建物層間変位推定方法。

技術分野

0001

本発明は、地震等の外乱建物に入力された場合の建物の損傷判断を行うために、外乱が作用している建物の層間変位推定する建物層間変位推定方法に関する。

背景技術

0002

従来、地震により建物が受けた損傷を算出して地震発生後の建物の残余耐震性能を判定する技術が知られている(例えば特許文献1等参照)。
当該技術は、建物の基礎部と最上階とに加速度センサーを設置しておいて、地震時に計測された加速度を2回積分することで計測点絶対変位を算出し、最上階の絶対変位から基礎部の絶対変位を引いて、基礎部に対する最上階の相対変位を算出する。そして、当該相対変位と建物の振動モード形とに基づいて、各階の相対変位(層間変位)を算出する。また、計測した加速度と振動モード形とに基づいて、各階の絶対加速度を算出する。
そして、各階の相対変位と各階の質量比とにより建物全体代表変位算定するとともに、各階の絶対加速度と各階の質量比とにより建物全体の代表加速度を算定し、当該代表変位及び代表加速度を用いて建物の損傷を判定するようにしている。

先行技術

0003

特開2003−344213号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1では、加速度センサーにより加速度を計測し、地震時に計測された加速度を2回積分することで計測点の絶対変位を算出し、最上階の絶対変位から基礎部の絶対変位を引いて、基礎部に対する最上階の相対変位を算出するようにしている。
特許文献1では、建物の基礎部に設置された加速度センサーによる計測点と建物の最上階に設置された加速度センサーによる計測点とに共通の基準点を設定しなければならない。しかしながら、地震時においては、計測点と基準点とが共に変位するため、絶対変位を正確に算出することが困難となり、基礎部に対する最上階の相対変位を正確に得ることができず、推定した各階の相対変位(層間変位)の精度が得られない。
また、加速度を積分して変位を計算する数値積分誤差蓄積しやすい。よって、積分の数値計算においては、誤差の蓄積を少なくするように、波形毎注意深い検討が必要になる。
本発明は、外乱時において測定される建物最上層の相対変位に基づいて外乱後の建物の層間変位の推定値を算出する場合において、建物最上層の相対変位を正確に得ることができ、算出される層間変位の推定値の精度を向上させることが可能な建物層間変位推定方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0005

本発明に係る建物層間変位推定方法によれば、評価対象の建物が外乱を受けた際の建物の層間変位を推定する方法であって、評価対象の建物が外乱を受けた際の建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測して、建物最上層の絶対変位の時刻歴から建物最下層の絶対変位の時刻歴を引くことによって建物最上層の相対変位の時刻歴を求める建物最上層相対変位算出ステップと、評価対象の建物の固有周波数固有振動モードとを求める固有値解析を行う固有値解析ステップと、建物の固有振動モードに基づいて建物の最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する各層変位推定ステップと、各層変位推定ステップで求めた各層の相対変位の時刻歴に基づいて建物の層間変位の時刻歴を算出する層間変位推定ステップと、を備え、建物最上層相対変位算出ステップでは、航法衛星ステムを用いて、建物最上層の絶対変位の時刻歴と建物最下層の絶対変位の時刻歴とを計測したので、外乱時において測定される建物最上層の相対変位に基づいて外乱後の建物の層間変位の推定値を算出する場合において、建物最上層の相対変位を正確に得ることができ、算出される層間変位の推定値の精度を向上させることができる。
また、建物最上層相対変位算出ステップで得られた建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴と建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴とに分離する周波数成分分離ステップを備え、各層変位推定ステップでは、建物の変形を1次固有振動モードでの相対変位と2次固有振動モードでの相対変位との和とみなし、建物の1次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴とみなして、1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を1次固有振動モードに基づいて算出するとともに、建物の2次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた高周波成分の時刻歴とみなして、2次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を2次固有振動モードに基づいて算出することによって、建物の各層の相対変位の時刻歴を算出したので、外乱時において測定に基づいて求められた建物最上層の相対変位の時刻歴を用いて建物の層間変位の推定値を算出する場合において、演算負荷を軽減できるとともに、算出される層間変位の推定値の精度を向上させることができる。
また、建物最上層相対変位算出ステップで得られた建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴と建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴とに分離する周波数成分分離ステップを備え、各層変位推定ステップでは、建物の変形を1次固有振動モードでの相対変位と2次固有振動モードでの相対変位との和とみなし、建物の1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出する第1ステップと、建物の2次固有振動モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を周波数成分分離ステップで求めた高周波成分の時刻歴とみなして、2次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を2次固有振動モードに基づいて算出する第2ステップとを実施することによって、建物の各層の相対変位の時刻歴を算出し、第1ステップにおいては、建物の静的弾塑性解析を実施し、周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴の最大値に最も近い変形値が得られた変形性状に基づいて建物の1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴を算出したので、1次固有振動モードでの層間変位の最大値の推定精度を向上させることができる。
周波数成分分離ステップでは、ローパスフィルターを用いて、建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分から低周波成分の時刻歴を抽出するとともに、建物最上層の相対変位の時刻歴の周波数成分から低周波成分の時刻歴を引いて、当該低周波成分以外のその他の成分である高周波成分の時刻歴を抽出することとし、ローパスフィルターのカットオフ周波数fcを、(1次固有周波数f1+2次固有周波数f2)/2としたので、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴LXR(t)と、建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴HXR(t)とに、簡単かつ精度良く分離できるとともに、建物の最上層以外の層の1次固有振動モードでの相対変位の時刻歴及び2次固有振動モードでの相対変位の時刻歴の推定精度も良く、かつ、演算負荷も軽減できるようになる。

図面の簡単な説明

0006

建物最上層相対変位取得装置を示す図(実施形態1)。
建物最上層相対変位取得方法の説明図(実施形態1)。
固有値解析で得られる固有振動モードを示す図(実施形態1)。
周波数成分分離方法を示す説明図(実施形態1)。
建物最上層以外の各層変位推定方法の説明図(実施形態1)。
層間変位を示す説明図(実施形態1)。
静的弾塑性解析で得られる変形性状の説明図(実施形態2)。

実施例

0007

実施形態1
実施形態1による建物の層間変位推定方法は、評価対象の建物が地震等の外乱を受けた際の建物の層間変位を推定する方法であって、建物最上層相対変位取得ステップと、固有値解析ステップと、周波数成分分離ステップと、各層変位推定ステップと、層間変位推定ステップと、を備える。

0008

建物最上層相対変位取得ステップは、地震時において建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を取得するステップである。
建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を取得する方法は、図1に示すように、評価対象の建物B(以下、単に「建物」という)の建物最下層U(以下、単に「建物最下層」という)又は建物近辺の地上E(以下、単に「地上」という)と、建物最上層(屋上)R(以下、単に「建物最上層」という)とに、それぞれGNSS(航法衛星システム(global navigation satellite system))の1つであるGPS(グローバルポジショニング・システム)の受信機GPS受信機)Gを1つずつ設置した建物最上層相対変位取得装置を用いる。
当該建物最上層相対変位取得装置を用いて、建物最下層又は建物近辺の地上の絶対変位の時刻歴と、建物最上層の絶対変位の時刻歴とが計測される。
そして、図2に示すように、GPSにより計測した建物最上層の絶対変位の時刻歴(X0(t)+XR(t))からGPSにより計測した建物最下層又は建物近辺の地上の絶対変位の時刻歴X0(t)を引くことにより、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を求める。

0009

固有値解析ステップは、固有値解析を行って建物の固有周波数と固有振動モードとを求めるステップである。
例えば、建物が3階建て建物である場合、図3に示すような、3質点系モデルの固有振動モードである1次固有振動モード(以下、「1次モード」という)、2次固有振動モード(以下、「2次モード」という)、3次固有振動モード(以下、「3次モード」という)、及び、建物の1次固有周波数f1(Hz)、2次固有周波数f2(Hz)、3次固有周波数f3(Hz)を得る。

0010

周波数成分分離ステップは、ローパスフィルターを用いて建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を2つに分離するステップである。
即ち、図4(a)に示すように、ローパスフィルターLPを用いて、時刻歴XR(t)から低周波成分の時刻歴LXR(t)を抽出するとともに、図4(b)に示すように、時刻歴XR(t)から低周波成分の時刻歴LXR(t)を引いて、当該低周波成分以外のその他の成分である高周波成分の時刻歴HXR(t)を抽出する。即ち、XR(t)とLXR(t)との同時刻での値を引き算した値HXRの時刻歴HXR(t)を抽出する。
つまり、図4(c)に示すように、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を低周波成分の時刻歴LXR(t)と高周波成分の時刻歴HXR(t)とに分ける。
周波数成分分離ステップでは、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴LXR(t)と建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴HXR(t)とに分離する。
例えば、ローパスフィルターLPのカットオフ周波数fcを、建物の1次固有周波数f1よりも高く、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数とすることで、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を、建物の1次固有周波数f1を含むカットオフ周波数fcよりも低い周波数成分の時刻歴LXR(t)と、建物の2次以上の固有周波数を含むカットオフ周波数fc以上の高周波成分の時刻歴HXR(t)と、に分離する。これにより、後述する建物の最上層以外の層の1次モードでの相対変位の時刻歴及び2次モードでの相対変位の時刻歴の推定精度も良く、かつ、演算負荷も軽減できるようになる。
具体的には、ローパスフィルターLPのカットオフ周波数fcを、(f1+f2)/2とすることにより、建物最上層の変位の時刻歴XR(t)を、(f1+f2)/2よりも低い低周波成分の時刻歴LXR(t)と、(f1+f2)/2よりも高い高周波成分の時刻歴HXR(t)と、に分離する。これにより、建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を、建物の2次固有周波数f2よりも低い周波数成分である低周波成分の時刻歴LXR(t)と、建物の2次固有周波数f2以上の高周波成分の時刻歴HXR(t)とに、簡単かつ精度良く分離できるとともに、後述する建物の最上層以外の層の1次モードでの相対変位の時刻歴及び2次モードでの相対変位の時刻歴の推定精度も良く、かつ、演算負荷も軽減できるようになる。

0011

各層変位推定ステップは、建物最上層以外の各層(各階床)の相対変位の時刻歴であるXR−1(t)、…X1(t)を、固有振動モードに基づいて求めるステップである。
例えば、建物が3階建て建物である場合、図5(a)に示すように、建物の2層目(2階)部分の相対変位の低周波成分の時刻歴LX2(t)、及び、建物の1層目(1階)部分の相対変位の低周波成分の時刻歴LX1(t)を、固有値解析で得られた3質点系モデルの1次モードに基づいて算出するとともに、図5(b)に示すように、建物の2層目部分の相対変位の高周波成分の時刻歴HX2(t)、及び、建物の1層目部分の相対変位の高周波成分の時刻歴HX1(t)を3質点系モデルの2次モードに基づいて推定する。

0012

実施形態1では、例えば、建物が3階建て建物である場合、当該建物の変形を固有値解析で得られた1次モードと2次モードとの和と考える。
即ち、図5(a)に示すように、1次モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を、測定した時刻歴XR(t)から抽出した低周波成分の時刻歴LXR(t)とみなして、1次モードでの建物最上層以外の層である2層目の相対変位の時刻歴LX2(t)、及び、1層目の相対変位の時刻歴LX1(t)を、1次モードに基づいて算出するとともに、図5(b)に示すように、2次モードでの建物最上層の相対変位の時刻歴を、測定した時刻歴XR(t)から抽出した高周波成分の時刻歴HXR(t)とみなして、2次モードでの建物最上層以外の層である2層目の相対変位の時刻歴HX2(t)、及び、1層目の相対変位の時刻歴HX1(t)を、質点系モデルの2次モードに基づいて算出することで、建物の最上層以外の層の1次モードでの相対変位の時刻歴及び2次モードでの相対変位の時刻歴を推定する。

0013

次に、建物が3階建て建物である場合において、建物最上層以外の層の1次モードでの相対変位の時刻歴、及び、2次モードでの相対変位の時刻歴を、3質点系モデルに基づいて算出する方法について説明する。
多質点系振動方程式次式(1)で示される。



式(1)の弾性の解は、以下の式(2)、式(3)に示すように、1質点にモード分解した解を合成して得ることができる。






実施形態1では、式(3)において右辺2項のみを考慮した次式(4)を用い、弾性域を超えて損傷の可能性がある建物に適用可能なものとしている。



実施形態1では、建物最上層の相対変位X3(=XR)が測定によって求められており、X3は上述した周波数成分分離ステップで、次式(5)に示すように、低周波成分LX3と高周波成分HX3とに分割されている。



式(4)の右辺と式(5)の右辺とがそれぞれ対応するので、次式(6)が得られる。



式(6)の左辺LX3、HX3は測定に基づいて求められており、式(6)の右辺のβ、μは固有値解析にて得られているので、式(6)から1q、2qを求めることができる。
1q、2qが求まれば、式(4)のX2、X1、即ち、建物の最上層以外の層の1次モードの変位LX2、LX1、及び、建物の最上層以外の層の2次モードの変位HX2、HX1を計算でき、建物の最上層以外の層である2層目の相対変位X2=LX2+HX2、及び、1層目の相対変位X1=LX1+HX1の時刻歴を求めることができる。

0014

即ち、3質点以上の質点系モデルでは、3つ以上の固有モードが存在するが、実施形態1では、各層の変位を推定する際に、1次モード及び2次モードのみを考慮し、表面上は3次モード以上の高次モードを考慮しない。しかし、測定された2次モード以上の成分は、変形推定において、2次モードとして考慮される。

0015

層間変位推定ステップは、各層変位推定ステップで求めた建物最上層以外の各層の相対変位の時刻歴XR−1(t)、…X1(t)に基づいて、建物の各層間変位の各時刻歴を推定するステップである。
即ち、LX3、HX3の時刻歴は測定に基づいて求められており、建物の最上層以外の層の1次モードの相対変位LX2、LX1、及び、建物の最上層以外の層の2次モードの相対変位HX2、HX1の時刻歴は上述した計算で求まっているので、これら値を次式(7)に代入して層間変位δ3、δ2、δ1(図6参照)を算出し、建物の層間変位の各時刻歴を求めることができる。

0016

そして、各層間変位の各時刻歴において各層間における層間変位の最大値を抽出し、当該最大値が所定の指標値よりも大きければ該当する層間の損傷の可能性が高いと判断し、最大値が所定の指標値より小さければ該当する層間の損傷の可能性が低いと判断する。
そして、層間の損傷の可能性が高いと判断された場合には、該当する層間の補強対策を検討する。

0017

実施形態1の建物層間変位推定方法によれば、地震時において測定に基づいて求められた建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を用いて地震後の建物の層間変位を容易に推定できるようになって、推定した層間変位と指標値とを比べて地震後の建物の損傷の可能性が高い個所を推定でき、地震後の建物の耐震補強対策を的確に行えるようになる。

0018

実施形態1によれば、測定に基づいて求められた建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)の周波数成分を2つに分離し、質点系モデルにおいて3つ以上の固有モードが存在する場合でも、1次モード及び2次モードのみを考慮して、建物最上層以外の各層の変位の時刻歴を推定することで、建物の層間変位を推定するようにしているので、地震時において測定に基づいて求められた建物最上層の相対変位の時刻歴XR(t)を用いて建物の層間変位の推定値を算出する場合において、演算負荷を軽減できるとともに、算出される層間変位の推定値の精度を向上させることができる。

0019

また、GPSを用いた測定に基づいて地震時における建物最上層の相対変位を求めているので、地震時における建物最上層の相対変位を簡単かつ正確に測定でき、層間変位の推定精度を向上させることができる。

0020

実施形態2
実施形態1では、固有値解析で得られる質点系の固有振動モードに基づいて層間変位を推定したが、静的弾塑性解析(増分解析法)で得られる変形性状を用いて層間変位を推定(算出)してもよい。
建物の各階の床に作用する外力PR、P2、P1を外力PR、P2、P1の比を一定に保ったまま増加していく各ステップ(i,i+1,…)毎に、図7(a)に示すように、各階の変形値XR、X2、X1が得られ、図7(b)に示すように、各ステップ(i,i+1,…)毎の建物モデルの変形性状が得られる。
そして、GPSによる測定に基づいて求められた建物最上層の変位の時刻歴XR(t)から周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴LXR(t)の最大値に最も近い変形値XRが得られたステップ時の建物モデルの変形性状を実施形態1の1次モードの代わりに用いて、上述したように、1次モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の最大値を算出して推定値とする。
即ち、実施形態2では、建物の静的弾塑性解析を実施し、周波数成分分離ステップで求めた低周波成分の時刻歴LXR(t)の最大値に最も近い変形値が得られた変形性状に基づいて建物の1次固有振動モードでの建物最上層以外の各層の相対変位の最大値を算出する。
尚、2次モードでの層間変位の推定値は、実施形態1で説明した方法で算出する。

0021

実施形態2によれば、建物の各階の床に作用させる外力分布として、例えば「Ai分布もとづく外力分布」を用いることによって、1次モードでの層間変位の最大値の推定精度を向上させることができる。

0022

尚、実施形態では、各層の変位を推定する際に、1次モード及び2次モードのみに基づいて層間変位の推定値を算出したが、3次モード以上の高次モードも用いるようにして層間変位の推定値を算出するようにしてもよい。

0023

本発明は、建物が地震以外の外乱を受けた場合の建物の損傷判断を行う場合において、外乱後の建物の層間変位を推定する際にも適用可能である。

0024

B建物、GGPS受信機、LPローパスフィルター。

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