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技術 クリープ特性値取得方法

出願人 学校法人早稲田大学国立研究開発法人産業技術総合研究所株式会社木村鋳造所
発明者 吉田誠明石卓大岡根利光本山雄一福田葉椰
出願日 2014年11月14日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2014-231947
公開日 2016年5月26日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2016-095241
状態 特許登録済
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード アルミニウムダイカスト合金 粘塑性 取得目的 応力緩和曲線 定常クリープ クリープ歪 摩擦応力 変形機構
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

従来の引張試験などのクリープ特性取得方法に相当する正確性と、現行応力緩和法が有する、時間や、コスト、試験片本数の削減効果を併せ持つクリープ特性値取得方法を提供する。

解決手段

クリープ特性値のうち、n値歪速度応力依存性)は、応力緩和曲線によって得られるクリープ歪速度と応力との傾きから取得し、該クリープ特性値のうちA値は、上記n値と、引張時に取得した定常応力(σsteady)と、応力緩和開始前に取得したクリープ歪速度(εbefore)とを用いて以下の式で取得する。A=εbefore/σsteadyn

概要

背景

鋳造品など、高温で加工された金属が常温に至る過程で発生する残留応力や変形を予測するため、従来から、解析プログラムにおいて金属の力学挙動を数式上で表現する構成式が用いられてきた。
その際、精度よく残留応力および変形を予測するためには、高温時に生じる歪速度依存性を考慮可能な構成式を用いるべきだと明らかにされている。また、歪速度依存性はクリープ特性の取得によって考慮可能となるものの、従来、その取得には任意の温度で複数回の引張試験、もしくはクリープ試験の実施が必要となるため、試験時間や、試験コスト、試験片本数等がかかる問題があった。

これに対し、近年、様々な合金種で、クリープ特性を迅速に取得する手段として応力緩和法が提案されている。
例えば、横国立大学の谷ら(非特許文献1)の報告や、非特許文献2、さらには特許文献1の例が挙げられる。これらの提案では、応力緩和法でのクリープ特性取得に対する有効性を示していたが、本来、引張試験やクリープ試験で取得されるクリープ特性とは全く異なる値を取得しているおそれがある。
以下に、当該発明に関係する従来の知見の問題点を述べる。

概要

従来の引張試験などのクリープ特性取得方法に相当する正確性と、現行の応力緩和法が有する、時間や、コスト、試験片本数の削減効果を併せ持つクリープ特性値取得方法を提供する。クリープ特性値のうち、n値歪速度応力依存性)は、応力緩和曲線によって得られるクリープ歪速度と応力との傾きから取得し、該クリープ特性値のうちA値は、上記n値と、引張時に取得した定常応力(σsteady)と、応力緩和開始前に取得したクリープ歪速度(εbefore)とを用いて以下の式で取得する。A=εbefore/σsteadyn

目的

歪速度は1.0×10-2から1.0×10-5/sの範囲におけるクリープ特性の取得を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

技術分野

0001

本発明は、歪速度依存性を考慮したクリープ構成式に用いるクリープ特性取得方法に関するものである。

背景技術

0002

鋳造品など、高温で加工された金属が常温に至る過程で発生する残留応力や変形を予測するため、従来から、解析プログラムにおいて金属の力学挙動を数式上で表現する構成式が用いられてきた。
その際、精度よく残留応力および変形を予測するためには、高温時に生じる歪速度依存性を考慮可能な構成式を用いるべきだと明らかにされている。また、歪速度依存性はクリープ特性の取得によって考慮可能となるものの、従来、その取得には任意の温度で複数回の引張試験、もしくはクリープ試験の実施が必要となるため、試験時間や、試験コスト、試験片本数等がかかる問題があった。

0003

これに対し、近年、様々な合金種で、クリープ特性を迅速に取得する手段として応力緩和法が提案されている。
例えば、横国立大学の谷ら(非特許文献1)の報告や、非特許文献2、さらには特許文献1の例が挙げられる。これらの提案では、応力緩和法でのクリープ特性取得に対する有効性を示していたが、本来、引張試験やクリープ試験で取得されるクリープ特性とは全く異なる値を取得しているおそれがある。
以下に、当該発明に関係する従来の知見の問題点を述べる。

0004

特開2008−209262号公報

先行技術

0005

谷村利伸、于 強、澁谷 忠弘、白鳥正樹:エレクトロニクス実装学会誌、Vol.10、No.1、2007、Pages 52-61「応力緩和法を用いたはんだ弾塑性・クリープ・粘塑性物性値取得の効率化」
大口 健一、瀧田 敦子、木村 光彦:J.JF、Vol.84、No.10、2012、Pages 569-576「ステンレス鋼鋳鋼の弾・塑性・クリープ特性の効率的評価と熱変形FEM解析
阿部勝憲、吉永日出、諸星正太郎:日本金属学会誌、Vol.4、Issue4、1976、393-399「応力緩和試験による内部応力摩擦応力識別

発明が解決しようとする課題

0006

0007

0008

0009

0010

0011

ここで、変形応力に対し、摩擦応力が無視できない場合は、

0012

また、変形応力に対し、摩擦応力が無視できる場合は、

となる。

0013

上掲した非特許文献1では、はんだ合金においては、応力緩和法を用いることで、従来の引張試験と比べてクリープ特性取得に要する試験回数を低減させることができると報告している。しかし、応力緩和前後のクリープ歪速度の比較は行っておらず、応力緩和法の成立条件を満たしていないおそれがある。

0014

また、非特許文献2や特許文献1は、ステンレス鋼鋳鋼において、谷村ら(非特許文献1)と同様に応力緩和法を用いることで、クリープ特性取得に要する試験回数を低減させることができると報告しているが、応力緩和前後のクリープ歪速度の比較は行っていないため、応力緩和法の成立条件を満たしていないおそれがある。

0015

以上述べたように、クリープ特性取得に要する時間やコスト、試験片本数の削減のために様々な合金種で応力緩和法を用いることが提案されているが、金属の変形機構解明を主眼とした研究から、応力緩和法が成立しない場合があることが示されている。
従って、現状、引張試験などのクリープ特性取得方法の代替としての応力緩和法の適応範囲は限定的なものとなっている。

0016

また、現行の応力緩和法を用いたクリープ特性の取得おいては、応力緩和法成立の可不可は考慮されておらずに、応力緩和前後のクリープ歪速度が一致しているとの前提のもとに実施されている。ゆえに、本来、引張試験で得られるクリープ特性とは異なった値を取得している可能性がある。

0017

さらに、引張試験で得られるクリープ特性とは異なった値を取得している場合における従来試験の代替としてのクリープ特性取得方法についての知見も、同様に存在しないため、その場合に対する新たなクリープ特性の取得方法が必要となる。

0018

本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、歪速度依存性を考慮したクリープ構成式に用いるクリープ特性値:n値およびA値の取得方法であって、現行の応力緩和法が成立しない場合に対しても、現在用いられている応力緩和法と比べ、引張試験やクリープ試験により近い正確性をもってクリープ特性を取得することができるので、上述した種々の問題の解決を図ることができる。

0019

加えて、本発明では、引張試験やクリープ試験と比べ、現在用いられている応力緩和法の利点である、時間や、コスト、試験片本数の削減などを損なうことなくクリープ特性の取得が行うことができる。

課題を解決するための手段

0020

発明の効果

0021

本発明を用いれば、従来の引張試験などのクリープ特性取得方法に相当する正確性と、現行の応力緩和法が有する、時間や、コスト、試験片本数の削減効果を併せ持ち、高温で加工された金属が常温に至る過程で発生する残留応力や変形を、より正確にシミュレーションする構成式構築のためのクリープ特性値を得ることが可能になる。

図面の簡単な説明

0022

応力緩和試験の概要図である。なお、(a)は、歪-時間の関係を示し、(b)は、応力-時間の関係を示す。
応力緩和法が成立しない場合における応力緩和試験で得られるクリープ歪速度と応力の関係の概念図である。
引張試験と応力緩和試験の結果における、クリープ歪速度と応力の関係を示したグラフである。

0023

以下、本発明を具体的に説明する。
応力緩和試験は、図1に示したように、引張、歪保持の各ステージから成り、引張時から応力緩和直前歪速度を測定する。さらに、歪保持部分から応力緩和速度ヤング率によって応力緩和直後を含む応力緩和中のクリープ歪速度を求める。

0024

ここで、サンディア国立研究所のR.W.Rohdeらの非特許文献4は、応力緩和試験での応力緩和中とクリープ試験中の変形機構は同一であるとしている。
非特許文献4では、クリープ特性値のうちn値は金属の変形機構の判断基準として広く用いられている。したがって、応力緩和中とクリープ試験中の変形機構が同一である以上、応力緩和法とクリープ試験や引張試験といった従来試験で取得されるn値は、いずれも同一であることを示している。

0025

R.W.Rohde、J.C.Swearengen:ASTM、1979、Pages 21-35「Metal Deformation Modeling-Stress Relaxation of Aluminum」

0026

また、図2は、現行の応力緩和試験から得られるクリープ歪速度と応力の関係を示す図である。
被測定物の引張時に、歪速度と定常応力の関係を1点取得することができるが、応力緩和直前と直後のクリープ歪速度の不一致に起因する、応力緩和曲線から得られる傾きnの直線とギャップが生じる。

0027

0028

以下、本発明のクリープ特性取得方法の手順を説明する。
まず、被対象物たる金属(合金)を、試験片として鋳造し、引張試験片形状に加工する。この形状は、特に限定されないが、JIS Z 2201の4号試験片が好ましい。

0029

試験温度は、応力緩和法は定常クリープ則であるNorton則で表現できる定常クリープ状態での実施を想定しているため、一般的に定常クリープが支配的になる温度を考慮して、融点をTmとすると0.4Tm〜Tmの間で選定すれば良い。例えば、アルミニウムダイカスト合金であるJISADC12であれば、300℃から450℃程度の範囲である。
応力緩和試験を実施する歪速度は、取得目的のクリープ特性における歪速度の範囲に依り、その範囲以上の歪速度を選定すれば良い。

0030

応力緩和の開始歪量は、定常応力状態に達する歪量の範囲で選定すれば良い。例えば、上記JISADC12であれば、4.0%がその範囲内である。

0031

次に、上記の試験からクリープ特性値:n値とA値を取得する手順を記載する。
まず、n値は、前掲非特許文献4から、現行の応力緩和法のn値の求め方に依ることができる。本発明においても、n値は、金属の変形機構に依存するものだからである。

0032

0033

そして、本発明では、上記クリープ特性値:n値とA値を利用して以下の式(2)から被対象物の任意の温度におけるクリープ特性を求めることができる。

0034

本発明が、応力緩和法を用いたクリープ特性よりも、従来試験により近いクリープ特性を従来試験より少ない試験回数で取得することが可能なことを以下に実施例として示す。

0035

まず、代表的なアルミニウムダイカスト合金であるJISADC12を対象として、従来試験である引張試験と応力緩和試験でクリープ特性の取得を行った。
試験片は、JIS ADC12を銅舟型で鋳造し、引張試験片形状に加工した。
引張試験では、試験温度をJIS ADC12において定常クリープが支配的になる温度である300℃と450℃に設定した。
歪速度は1.0×10-2から1.0×10-5/sの範囲におけるクリープ特性の取得を目的としたため、1.0×10-2/s、1.0×10-4/sおよび1.0×10-5/sに設定した。
応力緩和試験では、同じ試験温度で、試験実施の容易さから歪速度を1.0×10-3/sとし、与える歪量が定常応力状態にある4.0%に達した後、歪を保持し、試験片の応力を緩和させた。

0036

本応力緩和試験における、応力緩和直前と直後の歪速度を表1に示す。

0037

0038

表1からJISADC12において、上述した試験条件では、応力緩和前後の歪速度が一致しないため、従来の応力緩和法が成立しないと判断することができる。
実際に、それぞれの試験のクリープ歪速度と応力の関係を取得した結果である図3を見ると、引張試験と応力緩和試験で得られたクリープ歪速度と応力の関係を表す直線にはギャップが生じている。
そのため、A値とn値を比較した表2から分かるように、n値は誤差10%程度の範囲内で一致しているが、A値は誤差60〜90%程度の誤差となっている。

0039

0040

次に、上記の試験で取得した応力緩和直前のクリープ歪速度とn値を利用して前掲式(1)から取得したクリープ特性を表3に示す。

0041

0042

同表より、従来の応力緩和法を用いるよりも、本発明に従うことで、引張試験で得られるクリープ特性に近い値の取得ができていることが分かる。

0043

実際に、従来の応力緩和法と本発明で取得したクリープ特性を用いて構築した次の式(2)に示すNorton則によって、[0035]で実施した高温引張試験で得られた定常応力とその計算値の比較を表4および5に示す。

0044

0045

表4および5から、現行の応力緩和法による計算値よりも、本発明によって構築された構成式を用いた計算値の方が、より精度よく引張試験で得られる定常応力を予測できていることが分かる。

実施例

0046

また、本実施例で、従来行われてきた試験方法では、任意の温度におけるクリープ特性取得に、試験片本数が4本、試験時間が約2000秒必要であったのに対し、本発明では、クリープ特性取得に対して試験片本数が1本、試験時間が約1000秒で済み、クリープ特性取得に要する時間や、コスト、試験片本数などを削減することが可能となったことを併せて確認している。

0047

本発明を用いることで、鋳造および熱間塑性加工を行う際に発生する熱応力や、残留応力、変形の予測などを、より簡便かつ正確に行うことができるので、試験時間や、試験コスト、試験片本数などに係る問題が解消することが可能となる。

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