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技術 血管の成熟化、正常化又は安定化剤及びしわ防止・改善剤

出願人 株式会社資生堂
発明者 大田正弘小林孝次草苅健常長誠高倉伸幸
出願日 2016年2月12日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-025358
公開日 2016年5月26日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-094477
状態 拒絶査定
技術分野 化粧料 植物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 生成度合い 面積指標 関連法令 総照射量 色素除去 ヒトさい帯静脈血管内皮細胞 長期維持 ほくろの
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

新規な血管の成熟化、正常化もしくは安定化剤、又はTie2活性化剤の提供。

解決手段

本発明はニッケイCinnamomum)属植物由来抽出物からなる、血管の成熟化、正常化もしくは安定化剤、又はTie2活性化剤を提供する。

概要

背景

血管は血管内皮細胞に対して、血管内皮細胞の外腔面から、血管壁細胞と総称される血管平滑筋細胞ペリサイトが、細胞外マトリックスを介して、あるいは直接的に接着している。血管径の大きさによっては内皮細胞壁細胞の接着する比率が異なり、大血管系では、1層の内皮細胞に、複数層の壁細胞が裏打ちしており、中、小血管では、内皮細胞1細胞に壁細胞が1細胞裏打ちするものが多く、また、さらに径の細い血管では、1個の壁細胞が複数の内皮細胞に接着している。このように、壁細胞が血管内皮細胞に対し裏打ちすることは血管の構造的な「成熟化」過程にとって重要である。また、血管内皮細胞同士の接着により、血管内環境因子(細胞および液性因子)が容易には血管外漏出しないような内皮細胞間の接着斑を形成することが、機能的な血管の「成熟化」過程にとって重要である。さらに、組織酸素や栄養分の需要に応じて、とくにそれらが不足する際には、血管は管腔を拡大化させることで血流を増加させ、酸素、養分を組織に十分に行き渡らせるように調節する。つまり、血管内皮細胞同士が接着斑を形成することで透過性を制御し、血管内皮細胞が壁細胞の裏打ちを伴うことにより構造的安定化させ、血管腔を大中小に制御していく過程を、「血管成熟化」と定義する。

また、種々の病態では、血管構造乱れた血管が構築され、内皮細胞同士の接着が抑制されたり、壁細胞の内皮細胞への接着が欠損した未熟な血管が形成されている。これらが無秩序血管透過性亢進を招くことで、組織内と血管内の液性因子や細胞の交通が異常となる。透過性が亢進すれば組織浮腫が生じ、組織の機能不全の原因となり、また炎症細胞浸潤が無秩序に生じることで炎症を招く。さらに壁細胞は既存の血管からの血管の発を抑制していることから、壁細胞の伴わない血管からは血管の発芽が過剰となり、無秩序な血管の発芽が誘導され病態の悪化をもたらす。このような現象は、糖尿病性網膜症腫瘍、炎症に代表される病態で観察される。つまり、血管透過性の破たんした血管や血管の無秩序な増生まねくような異常な血管を、内皮細胞同士の接着をたかめ、壁細胞の内皮細胞への裏打ちを促進することにより、血管を正常な状態にすることを「血管正常化」と定義する。また、上記のような異常な血管は、糖尿病高脂血症高血圧などにより、血流内外環境因子の変化が内皮細胞や壁細胞に障害細胞死など)を与えたり、がんや炎症により血管新生促進因子過度の産生上昇が引き金になって生じる。このような病態が発生した際に、既存の血管に対する障害を抑制し、内皮細胞同士の解離を抑制したり、内皮細胞と壁細胞の解離を抑制することを「血管安定化」と定義する。また、この安定化には内皮細胞の細胞死を抑制する機構も含まれる。

血管新生とは既存の血管から新たな血管のネットワークが形成される現象であり、腫瘍、慢性関節リウマチ糖尿病網膜症、高脂血症、高血圧などの血管病変主体とした疾患と深く関わっている。VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)が分子クローニングされたのを皮切り血管形成に特異的に作用する因子としてVEGFファミリーアンジオポエチン(angiopoietin;Ang)ファミリーの分子次々に同定されてきた。VEGFとその受容体脈管形成とよばれる血管の初期発生からその後の血管新生に至るまで非常に広い範囲の血管形成に関与する。一方、Angは脈管形成後、血管内皮細胞による発芽、分枝嵌入退縮などの細胞現象を伴った管腔形成において機能する。Angは血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼTie(tyrosine kinase withIgand EGF homology domain)-2を介し、血管内皮細胞と、周皮細胞(ペリサイト)や血管平滑筋細胞のような血管壁細胞との接着を制御し、血管の構造的安定化に機能している(非特許文献1)。

これまでにAng-1〜4までの4つのアイソフォームが知られ、Ang-1, Ang-2はヒト、マウスいずれにも存在するが、Ang-3はマウス、Ang-4はヒトに存在する。壁細胞から分泌されたAng-1,-4はTie-2を刺激し細胞内チロシンキナーゼドメイン自己リン酸化惹起し、インテグリン活性化、焦点接着キナーゼ(focal adhesion kinase;FAK)の活性化、PI3K/Akt(phosphatidylinositol-3-kinase;PI3K, serine-threonine kinase: Akt)の活性化を伴い、内皮細胞と壁細胞の接着を誘導する。正酸素状態では内皮細胞は壁細胞が恒常的に分泌するAng-1,-4により内皮細胞-壁細胞間の接着が維持されているが、局所的に低酸素状態が生じると、Ang-1,-4のアンタゴニストであるAng-2,-3の産生が高まり、Tie2の活性化を一時的に抑制し、内皮細胞とそれを裏打ちした壁細胞の接着が抑制される。そして壁細胞の解離により内皮細胞は増殖し発芽的血管新生を開始し、新しい血管網の形成に至る。Tie2の活性化は内皮細胞と壁細胞の接着を誘導することで、血管構造の安定化に寄与し、また、内皮細胞同士の接着を促進して血管透過性を制御する。また、Tie2の活性化は、内皮細胞の細胞死を抑制することも知られていることから(非特許文献2)、種々の細胞内外の血管構造を破たんさせる環境因子に対しては、Tie2の活性化を誘導して、血管の不安定化を抑制して、血管を安定化および正常化させることが可能である。また、血管再生医療において、血管内皮細胞によって構築された血管においては、Tie2の活性化を誘導することにより、内皮細胞と壁細胞の接着を誘導して血管の成熟化が可能である。また、腫瘍や糖尿病性網膜症などで観察される、壁細胞が内皮細胞に接着しないことによる無秩序な血管が増生するような疾患では、Tie2の活性化により、壁細胞を内皮細胞に接着させ、血管を正常化させることが可能である。また文献によれば(非特許文献3)、Tie2の活性化は、血管腔を拡大化することが報告されており、血管狭小化あるいは血管拡大化の抑制が原因となって生じる虚血性疾患においてはTie2の活性化により、血管腔を拡大化して病態の改善を図ることが可能である。

また最近ではAngの構造上の特徴であるcoiled-coiledドメインとfibrinogen-likeドメインを有する複数の分子が発見されている。これらはいずれもTie-1受容体、Tie-2受容体に結合能を示さないため、既存のAngファミリーとは異なる分子群とみなされ、アンジオポエチン様因子(Angiopoietin-like protein; Angptl)と命名され、Angptl-1,-2,-3,-4,-5,-6,-7が報告されている。いずれのAngptlも受容体は現時点では同定されていないオーファンリガンドであるが、これらにも多様な作用を示すことが期待される。

血管内皮細胞以外ではTie2の活性化は細胞の休眠状態を誘導することが知られている。これまでの報告によると、造血幹細胞上のTie2の活性化が造血幹細胞の休眠を誘導することが報告されている(非特許文献4)。つまり、Tie2の活性化を誘導することで、造血幹細胞の試験管内での生存長期維持できることが可能となる。また、これまでの報告によれば、Tie2の活性化がインテグリンなどの接着因子の活性化により、細胞外マトリックスなどへの細胞の接着を誘導することが知られている(非特許文献5)。このような細胞接着の誘導により、Tie2の活性化によって造血幹細胞は足場依存的な生存維持生体内外で誘導可能となると考えられる。さらに、近年の報告によると、がんの組織中に存在する最も悪性度の高いとされ、がんの再発に関与するとされているがん幹細胞において、Tie2の発現が示唆されてきている(非特許文献6)。Tie2の活性化が、造血幹細胞の細胞周期を休眠状態に陥らせることが可能なように、がん幹細胞に発現するTie2の活性化によっても、がん幹細胞の増殖を抑制することが可能である。

概要

新規な血管の成熟化、正常化もしくは安定化剤、又はTie2活性化剤の提供。本発明はニッケイCinnamomum)属植物由来抽出物からなる、血管の成熟化、正常化もしくは安定化剤、又はTie2活性化剤を提供する。

目的

本発明はニッケイ(Cinnamomum)属植物、特にケイ(Cinnamomum cassia Blume)種植物由来の抽出物からなる、血管の成熟化、正常化又は安定化剤及びTie2(Tyrosine Kinase withIgand EGF Homology Domain 2)活性化剤(Tie2リン酸化剤)並びにしわ防止・改善剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

ニッケイCinnamomum)属植物由来抽出物からなる、血管新生抑制剤としての使用を除く、血管の成熟化、正常化又は安定化剤

請求項2

前記抽出物がケイ(Cinnamomum cassia Blume)種植物由来である、請求項1記載の血管の成熟化、正常化又は安定化剤。

請求項3

前記抽出物がケイシ枝)又はケイヒ桂皮)由来である、請求項2記載の血管の成熟化、正常化又は安定化剤。

請求項4

前記抽出物が水抽出物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の血管の成熟化、正常化又は安定化剤。

技術分野

0001

本発明はニッケイCinnamomum)属植物、特にケイ(Cinnamomum cassia Blume)種植物由来抽出物からなる、血管の成熟化、正常化又は安定化剤及びTie2(Tyrosine Kinase withIgand EGF Homology Domain 2)活性化剤(Tie2リン酸化剤)並びにしわ防止・改善剤を提供する。

背景技術

0002

血管は血管内皮細胞に対して、血管内皮細胞の外腔面から、血管壁細胞と総称される血管平滑筋細胞ペリサイトが、細胞外マトリックスを介して、あるいは直接的に接着している。血管径の大きさによっては内皮細胞壁細胞の接着する比率が異なり、大血管系では、1層の内皮細胞に、複数層の壁細胞が裏打ちしており、中、小血管では、内皮細胞1細胞に壁細胞が1細胞裏打ちするものが多く、また、さらに径の細い血管では、1個の壁細胞が複数の内皮細胞に接着している。このように、壁細胞が血管内皮細胞に対し裏打ちすることは血管の構造的な「成熟化」過程にとって重要である。また、血管内皮細胞同士の接着により、血管内環境因子(細胞および液性因子)が容易には血管外漏出しないような内皮細胞間の接着斑を形成することが、機能的な血管の「成熟化」過程にとって重要である。さらに、組織酸素や栄養分の需要に応じて、とくにそれらが不足する際には、血管は管腔を拡大化させることで血流を増加させ、酸素、養分を組織に十分に行き渡らせるように調節する。つまり、血管内皮細胞同士が接着斑を形成することで透過性を制御し、血管内皮細胞が壁細胞の裏打ちを伴うことにより構造的安定化させ、血管腔を大中小に制御していく過程を、「血管成熟化」と定義する。

0003

また、種々の病態では、血管構造乱れた血管が構築され、内皮細胞同士の接着が抑制されたり、壁細胞の内皮細胞への接着が欠損した未熟な血管が形成されている。これらが無秩序血管透過性亢進を招くことで、組織内と血管内の液性因子や細胞の交通が異常となる。透過性が亢進すれば組織浮腫が生じ、組織の機能不全の原因となり、また炎症細胞浸潤が無秩序に生じることで炎症を招く。さらに壁細胞は既存の血管からの血管の発を抑制していることから、壁細胞の伴わない血管からは血管の発芽が過剰となり、無秩序な血管の発芽が誘導され病態の悪化をもたらす。このような現象は、糖尿病性網膜症腫瘍、炎症に代表される病態で観察される。つまり、血管透過性の破たんした血管や血管の無秩序な増生まねくような異常な血管を、内皮細胞同士の接着をたかめ、壁細胞の内皮細胞への裏打ちを促進することにより、血管を正常な状態にすることを「血管正常化」と定義する。また、上記のような異常な血管は、糖尿病高脂血症高血圧などにより、血流内外環境因子の変化が内皮細胞や壁細胞に障害細胞死など)を与えたり、がんや炎症により血管新生促進因子過度の産生上昇が引き金になって生じる。このような病態が発生した際に、既存の血管に対する障害を抑制し、内皮細胞同士の解離を抑制したり、内皮細胞と壁細胞の解離を抑制することを「血管安定化」と定義する。また、この安定化には内皮細胞の細胞死を抑制する機構も含まれる。

0004

血管新生とは既存の血管から新たな血管のネットワークが形成される現象であり、腫瘍、慢性関節リウマチ糖尿病網膜症、高脂血症、高血圧などの血管病変主体とした疾患と深く関わっている。VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)が分子クローニングされたのを皮切り血管形成に特異的に作用する因子としてVEGFファミリーアンジオポエチン(angiopoietin;Ang)ファミリーの分子次々に同定されてきた。VEGFとその受容体脈管形成とよばれる血管の初期発生からその後の血管新生に至るまで非常に広い範囲の血管形成に関与する。一方、Angは脈管形成後、血管内皮細胞による発芽、分枝嵌入退縮などの細胞現象を伴った管腔形成において機能する。Angは血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼTie(tyrosine kinase withIgand EGF homology domain)-2を介し、血管内皮細胞と、周皮細胞(ペリサイト)や血管平滑筋細胞のような血管壁細胞との接着を制御し、血管の構造的安定化に機能している(非特許文献1)。

0005

これまでにAng-1〜4までの4つのアイソフォームが知られ、Ang-1, Ang-2はヒト、マウスいずれにも存在するが、Ang-3はマウス、Ang-4はヒトに存在する。壁細胞から分泌されたAng-1,-4はTie-2を刺激し細胞内チロシンキナーゼドメイン自己リン酸化惹起し、インテグリン活性化、焦点接着キナーゼ(focal adhesion kinase;FAK)の活性化、PI3K/Akt(phosphatidylinositol-3-kinase;PI3K, serine-threonine kinase: Akt)の活性化を伴い、内皮細胞と壁細胞の接着を誘導する。正酸素状態では内皮細胞は壁細胞が恒常的に分泌するAng-1,-4により内皮細胞-壁細胞間の接着が維持されているが、局所的に低酸素状態が生じると、Ang-1,-4のアンタゴニストであるAng-2,-3の産生が高まり、Tie2の活性化を一時的に抑制し、内皮細胞とそれを裏打ちした壁細胞の接着が抑制される。そして壁細胞の解離により内皮細胞は増殖し発芽的血管新生を開始し、新しい血管網の形成に至る。Tie2の活性化は内皮細胞と壁細胞の接着を誘導することで、血管構造の安定化に寄与し、また、内皮細胞同士の接着を促進して血管透過性を制御する。また、Tie2の活性化は、内皮細胞の細胞死を抑制することも知られていることから(非特許文献2)、種々の細胞内外の血管構造を破たんさせる環境因子に対しては、Tie2の活性化を誘導して、血管の不安定化を抑制して、血管を安定化および正常化させることが可能である。また、血管再生医療において、血管内皮細胞によって構築された血管においては、Tie2の活性化を誘導することにより、内皮細胞と壁細胞の接着を誘導して血管の成熟化が可能である。また、腫瘍や糖尿病性網膜症などで観察される、壁細胞が内皮細胞に接着しないことによる無秩序な血管が増生するような疾患では、Tie2の活性化により、壁細胞を内皮細胞に接着させ、血管を正常化させることが可能である。また文献によれば(非特許文献3)、Tie2の活性化は、血管腔を拡大化することが報告されており、血管狭小化あるいは血管拡大化の抑制が原因となって生じる虚血性疾患においてはTie2の活性化により、血管腔を拡大化して病態の改善を図ることが可能である。

0006

また最近ではAngの構造上の特徴であるcoiled-coiledドメインとfibrinogen-likeドメインを有する複数の分子が発見されている。これらはいずれもTie-1受容体、Tie-2受容体に結合能を示さないため、既存のAngファミリーとは異なる分子群とみなされ、アンジオポエチン様因子(Angiopoietin-like protein; Angptl)と命名され、Angptl-1,-2,-3,-4,-5,-6,-7が報告されている。いずれのAngptlも受容体は現時点では同定されていないオーファンリガンドであるが、これらにも多様な作用を示すことが期待される。

0007

血管内皮細胞以外ではTie2の活性化は細胞の休眠状態を誘導することが知られている。これまでの報告によると、造血幹細胞上のTie2の活性化が造血幹細胞の休眠を誘導することが報告されている(非特許文献4)。つまり、Tie2の活性化を誘導することで、造血幹細胞の試験管内での生存長期維持できることが可能となる。また、これまでの報告によれば、Tie2の活性化がインテグリンなどの接着因子の活性化により、細胞外マトリックスなどへの細胞の接着を誘導することが知られている(非特許文献5)。このような細胞接着の誘導により、Tie2の活性化によって造血幹細胞は足場依存的な生存維持生体内外で誘導可能となると考えられる。さらに、近年の報告によると、がんの組織中に存在する最も悪性度の高いとされ、がんの再発に関与するとされているがん幹細胞において、Tie2の発現が示唆されてきている(非特許文献6)。Tie2の活性化が、造血幹細胞の細胞周期を休眠状態に陥らせることが可能なように、がん幹細胞に発現するTie2の活性化によっても、がん幹細胞の増殖を抑制することが可能である。

0008

特開平10-265350号公報

先行技術

0009

実験医学Vol.20, No.8 (2002) pp.52-57
Cho CH, Kammerer RA, Lee HJ, Yasunaga K, Kim KT, Choi HH, Kim W, Kim SH, ParkSK, LeeGM, Koh GY. Designed angiopoietin-1 variant, COMP-Ang1, protects against radiation-induced endothelial cell apoptosis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Apr 13;101(15):5553-8.
Thurston G, Suri C, Smith K, McClain J, Sato TN, YancopoulosGD, McDonaldDM. Leakage-resistant blood vessels in mice transgenically overexpressing angiopoietin-1. Science. 1999 Dec 24;286(5449):2511-4.
Arai F, Hirao A, Ohmura M, Sato H, Matsuoka S, Takubo K, Ito K, Koh GY, Suda T. Tie2/angiopoietin-1 signaling regulates hematopoietic stem cell quiescence in the bone marrow niche. Cell. 2004 Jul 23;118(2):149-61.
Takakura N, Huang XL, Naruse T, Hamaguchi I, Dumont DJ, Yancopoulos GD, Suda T. Critical role of the TIE2 endothelial cell receptor in the development of definitive hematopoiesis. Immunity. 1998 Nov;9(5):677-86.
Lee OH, Xu J, Fueyo J, Fuller GN, Aldape KD, Alonso MM, Piao Y, Liu TJ, LangFF, Bekele BN, Gomez-Manzano C. Expression of the receptor tyrosine kinase Tie2 in neoplastic glial cells is associated with integrin beta1-dependent adhesion to the extracellular matrix. Mol Cancer Res. 2006 Dec;4(12):915-26.

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、新規な、血管の成熟化、正常化、安定化剤、及びTie2活性化(リン酸化)剤の提供にある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者により、紫外線B照射を受けた皮膚組織中での挙動が詳細に検討された。紫外線Bの照射により表皮肥厚、および皮膚血管形成が著しく惹起され、しわ形成が引き起こされた。このような光老化を受けた皮膚組織中ではAng-1の発現を有意に低下させ、Ang-2の発現はAng-1に対して増加したことが見出された。さらに皮膚組織切片からは紫外線照射によって壁細胞が血管内皮細胞から剥離している状態が観察された。これらの知見から、紫外線照射により内皮細胞と壁細胞の接着は抑制され、Tie2のリン酸化が抑制、即ちTie2の活性化が抑制された状態に誘導されることが示唆された。そして、Tie2を強制発現した血球系Baf3細胞及びヒト臍帯静脈内皮細胞株HUVECを用い、様々な生薬エキスを作用させて検討した実験から、ニッケイ(Cinnamomum)属植物由来の抽出物にはTie2を活性化する作用があることが見出された。また、紫外線Bの照射により光老化を惹起させたマウス皮膚ケイシ抽出物を塗布した結果、同抽出物を塗布することにより改善作用が具体的に示された。よって、同抽出物はTie2リン酸化により内皮細胞—壁細胞間の接着を改善、促進し、安定な血管構造を形成し、延いてはUVB誘導性皮膚損傷およびしわ形成を回復することが見出され、本発明を完成するに至った。

0012

従って、本願は下記の発明を包含する:
(1)ニッケイ属植物由来の抽出物からなる、血管の成熟化、正常化又は安定化剤。
(2)前記抽出物がケイ種植物由来である、(1)の血管の成熟化、正常化又は安定化剤。
(3)前記抽出物がケイシ又はケイヒ由来である、(2)の血管の成熟化、正常化又は安定化剤。
(4)前記抽出物が水抽出物である、(1)〜(3)のいずれかの血管の成熟化、正常化又は安定化剤。
(5)ニッケイ属植物由来の抽出物からなる、Tie2活性化(リン酸化)剤。
(6)前記抽出物がケイ種植物由来である、(5)のTie2活性化(リン酸化)剤。
(7)前記抽出物がケイシ又はケイヒ由来である、(6)のTie2活性化(リン酸化)剤。
(8)前記抽出物が水抽出物である、(5)〜(7)のいずれかのTie2活性化(リン酸化)剤。
(9)(1)〜(4)のいずれかの血管の成熟化、正常化又は安定化剤を配合するしわ防止・改善剤。
(10)(5)〜(8)のいずれかのTie2活性化(リン酸化)剤を配合するしわ防止・改善剤。

図面の簡単な説明

0013

Baf3細胞におけるケイシ抽出物及びAng1によるTie2リン酸化の結果を示す。
ケイシ抽出物及びケイヒ抽出物によるTie2リン酸化の結果を示す。
HUVEC細胞におけるケイシ抽出物及びAng1によるTie2リン酸化の結果を示す。
管腔形成の染色画像を示す。
管腔形成の長さを指標としたケイヒ抽出物の血管新生抑制作用を示す。
管腔形成の面積を指標としたケイヒ抽出物の血管新生抑制作用を示す。

0014

ニッケイ属はクスノキ目(Lauraceae)、クスノキ科(Lauraceae)の植物であり、300以上の種が存在し、例えばケイ(Cinnamomum cassia Blume)、クスノキ(C. camphora)、マルバニッケイ(C. daphnoides)シバニッケイ(C. doederleinii)、ヤブニッケイ(C. japonicum)、オガサワラヤブニッケイ(C. pseudo-pedunculatum)、ニッケイ(C. sieboldii)、シバヤブニッケイセイロンニッケイ(C. verum)、シナモン(C. zeylanicum)が知られる。本発明における血管の成熟化、正常化または安定化剤、Tie2活性化剤(リン酸化剤)や血管新生抑止剤として好ましくはケイ(Cinnamomum cassia Blume)、特にケイの若枝であるケイシ(枝)又はケイヒ(桂皮)由来の抽出物が使用される。ケイの樹皮であるケイヒに由来する抽出物は例えば育毛剤の有効成分として有用であることは知られるが(特開平10-265350号公報)、それが血管の成熟化、正常化、安定化やTie2活性化(リン酸化)活性、血管新生阻害活性などを有することは全く知られていない。

0015

上記抽出物は常法により得ることができ、例えばその起源となる植物を抽出溶媒とともに常温又は加熱して浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得ることができる。抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、水性溶媒、例えば水、生理食塩水リン酸緩衝液ホウ酸緩衝液、あるいは有機溶媒、例えばエタノールプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールグリセリン等のアルコール類含水アルコール類クロロホルムジクロルエタン四塩化炭素アセトン酢酸エチルヘキサン等を、それぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。好ましくは、溶媒として水が使用される。上記溶媒で抽出して得られた抽出物をそのまま、あるいは例えば凍結乾燥などにより濃縮したエキスを使用でき、また必要であれば吸着法、例えばイオン交換樹脂を用いて不純物を除去したものや、ポーラスポリマー(例えばアンバーライトXAD−2)のカラムにて吸着させた後、所望の溶媒で溶出し、さらに濃縮したものも使用することができる。

0016

Tie2の活性化とは、Tie2をリン酸化することで、その活性体(リン酸化Tie2)に変換できる能力を言う。Tie2の活性化剤としては、アンジオポエチン1などがTie2を活性化するものとして知られている。
本発明の血管の成熟化、正常化又は安定化剤やTie2活性化(リン酸化)剤は血管の構造変化を原因とする、種々の疾患および老化の予防、改善に有効な医薬品または化粧品として利用できる。本発明のTie2リン酸化剤は、血管の正常化、安定化を誘導することにより、種々の炎症性疾患免疫疾患成人病など、例えば、種々の感染症、がん、関節リウマチ痛風、高血圧、糖尿病、動脈硬化症アトピー性皮膚炎などにおいて、血管新生や血管の破たんを伴う全身病変部位の改善を図る医薬品として利用できる。また、血管透過性の抑制により、皮膚を含め臓器器官、各種組織内の浮腫、たとえば炎症性疾患や免疫疾患、成人病による血管浮腫や、紫外線暴露や虫さされ、アレルギーなどによる血管透過性亢進による浮腫やかゆみなどの症状を改善する医薬品または化粧品として利用できる。さらに、Tie2リン酸化剤は、種々の要因によって誘導される内皮細胞の細胞死、たとえば炎症性疾患や免疫疾患、成人病など、例えば、種々の感染症、がん、関節リウマチ、痛風、高血圧、糖尿病、動脈硬化症、または放射線障害、種々の薬剤紫外線による内皮細胞の細胞死を抑制して、血管の不安定化を抑制できる医薬品または化粧品として利用できる。Tie2リン酸化剤は血管成熟化や血管腔を拡大化することにより、外傷や縟そうなど創傷治癒の促進、血管再生医療における血管の成熟化、虚血性疾患、たとえば脳梗塞心筋梗塞の改善剤として医薬品に利用でき、また、血流改善効果を利用して、腰痛症凍傷脱毛症などに対する内服および外用医薬品としても利用できる。脳血流の増大においては、痴呆症への応用も可能である。脱毛症に対しては、化粧品としての利用も可能である。また、がんにおいては、がん細胞の休眠を誘導する治療薬として、幹細胞においてはその生体内外での維持薬として利用が可能である。

0017

光老化とは、一般に日光に対する被曝が繰り返された結果として認められる皮膚の外見及び機能の変化を意味する。日光の構成要素である紫外線(UV)、特に中間UV(UVBと呼ばれる、波長290−320nm)が主として光老化を引き起こす。光老化を引き起こすのに必要なUVBの被曝量は現在のところ知られていない。しかしながら、紅斑日焼けを引き起こすレベルでのUVBに対する繰り返しの被曝が、通常光老化に結びつく臨床的には、光老化は肌荒れ、しわの形成、の着色、土色化、たるみの形成、毛細管拡張症発症ほくろの発生、紫斑病の発症、傷つき易くなる、萎縮繊維症色素除去領域の発生、前悪性腫瘍及び悪性腫瘍の発症等として特定され得る。光老化は普通、顔、、頭、首、と手のような、日光に習慣的に曝される皮膚に起こる。皮膚における老化においては、皮膚障害や紫外線に対する暴露による光老化が主因となるが、本Tie2リン酸化剤は、光老化の原因となる血管障害を抑制することにより、光老化の改善に利用できる。

0018

本発明の血管の成熟化、正常化又は安定化剤又はTie2リン酸化剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明の血管新生抑制剤又はTie2リン酸化剤の投与形態は、経口、非経口外用等であってよい。剤型としては、例えば錠剤粉剤カプセル剤顆粒剤エキス剤シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤点滴剤、若しくは坐剤等の非経口投与剤軟膏クリーム乳液ローションパック浴用剤等の外用剤を挙げることができる。

0019

本発明の血管の成熟化、正常化又は安定化剤又はTie2活性化(リン酸化)剤の血管新生を阻害するニッケイ植物由来抽出物の配合量は、用途に応じて適宜決定できるが、一般には阻害剤全量中、乾燥物として0.0001〜20.0質量%、好ましくは0.0001〜10.0質量%である。

0020

また、本発明の血管の成熟化、正常化又は安定化剤又はTie2活性化(リン酸化)剤には、上記ニッケイ植物由来抽出物以外に、例えば、通常の食品や医薬品に使用される賦形剤防湿剤防腐剤強化剤増粘剤乳化剤酸化防止剤甘味料酸味料調味料着色料香料等、化粧品等通常用いられる美白剤保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分色剤水性成分、水、各種皮栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。

0022

次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は質量%である。

0023

ケイシ熱水抽出乾燥残分の調製
ケイシ(ケイ:Cinnamomum cassia Blumeの枝部分)400.7gに水2Lを加え、3時間加熱抽出を行い、ろ過した。得られた残渣に水2Lを加え、同様の操作を繰り返し、加熱抽出をさらに2回行った。得られたろ液を凍結乾燥し、39.7gの熱水抽出乾燥残分を得た。この試料をケイシ熱水抽出物とした。

0024

ケイシエキスHP−20カラム処理
上記で得られた熱水抽出物10gをダイヤイオンHP-20(三菱化学製)カラムにチャージ含水エタノール系で溶出させ、50%エタノール溶出画分を目的溶出画分として得た。

0025

ケイヒ熱水抽出乾燥残分の調製
ケイヒ(ケイ:Cinnamomum cassia Blumeの樹皮部分)20.12gに水200mlを加え、3時間加熱抽出を行い、ろ過して得られた残渣に水200mlを加え、同様の操作を繰り返し、加熱抽出をさらに2回行なった。得られたろ液を凍結乾燥し、1.35gの熱水抽出物乾燥残分を得た。この試料をケイヒ熱水抽出物とした。

0026

Tie2リン酸化評価方法
Wild type Tie2を強制発現した血球系Baf3細胞をRPMI1640培地中、IL-3(BIOSOURCE, PMC0034)、10%FCS存在下にてインキュベーションした。細胞刺激の前日よりFCSを除いた状態で、6ウエルプレートを用いて2X10 6 細胞 /1.5mL/ウエル播種し一晩インキュベーションした。上記熱水抽出乾燥残分のDMSO溶液陽性コントロールとしてAngiopoietin-1(R&D system, 923-AN )又は陰性コントロールとしてDMSOをそれぞれ最終濃度が100ppm、0.5ppm、1000ppmとなるようにウエルに添加し、10分間のインキュベーション後、細胞を上で冷却し、冷PBS洗浄した。タンパク質分解酵素阻害剤(Leupeptin, Aprotinin, Pepstatin,PMSF, Na3VO4)を含んだRIPA buffer中、細胞を超音波破砕した。sample buffer ( 0.2 M Tris-HCl (pH 6. 8), 4% SDS, 20 % glycerol, 5 mMEDTA, 0.01% BPB) を加え、SDS-PAGE(7.5%ポリアクリルアミドゲル, 12ウエル, NPU-7.5L,アトー(株))を以下の条件で行った:
ゲル:7.5%アクリルアミドゲル(NPU-7.5L アトー株式会社製)
泳動条件:40mA(75分、ゲル2枚)
Tie2抗体:sc-324(Santa Cruz Biotechnology製)
Phospho−Tie2抗体:#4221(Cell Signaling製)

0027

次いでWestern blotting(20V, 4℃,終夜)によりPVDF膜転写した。5 %スキムミルク/TBSTによりブロッキング(1時間)を行い、その後Tie-2(Santa Cruz, sc-324)あるいはリン酸化Tie2(Cell Signaling, #4221)を加え、4℃で一晩放置した。次いでヤギ-抗ウサギIg’s HRP(BIOSOURCE ALI3404)を加え、室温で1時間放置した。化学発光検出(ECL)により、タンパク質バンドを検出した。

0028

図1はケイシ熱水抽出物のTie2リン酸化の評価結果を示す。ケイシ抽出物はAng-1と同様、Tie2のリン酸化をもたらすことが認められた。従って、ケイシ熱水抽出物がTie2リン酸化効果を示し、血管成熟化、正常化、安定化に寄与し、その結果血管新生を抑制できることが示唆された。図2はケイシ熱水抽出物及びケイヒ熱水抽出物の両者のTie2リン酸化の評価結果を示す。ケイシ熱水抽出物と同様、ケイヒ熱水抽出物もTie2のリン酸化をもたらすことが認められた。

0029

2)正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いて、同様にTie2リン酸化を評価した。細胞刺激の3時間前に培地をHumediaからRPMI1640に換え、以下はBaf3細胞と同様に評価した。その結果を図3に示す。Baf3の結果と同様に、ケイシ熱水抽出物はAng-1と同様、Tie2のリン酸化をもたらした。なお、陰性コントロールであるDMSOを添加した系ではTie2の顕著なリン酸化は認められなかった(図示せず)。

0030

しわ防止・改善効果試験
光老化しわ改善試験
Hr−1(Skh−1)ヘアレスマウス(星野実験動物;6週齢〜10週齢)を用い、シュワルツらの方法(Haratake A. et al., J. Invest. Dermatol., 108, 769-775, 1997)を一部変えて、UVBを繰り返し照射する方法(Naganuma M. et al., J. Dermatol. Sci., 25, 29-35, 2001、Schwartz E., J. Invest., Dermatol., 91, 158-161, 1988)に準じてしわを形成させた。すなわち個体背部にUVB(光源;東エレクトリック製 東芝FL−20SE蛍光ランプ)を週3回、10週間照射した。開始後の照射量は36mJ/cm2/回とし、2週目以降は徐々に増加させ、10週目は216mJ/cm2/回とした。総照射量は4.6J/cm2であった。紫外線量はUVRADIOMETER(UVR−305/365D(II)、株式会社トプコン製)にて測定した値を用いた。紫外線照射を終了し、背部の写真撮影し、ビセットらの方法(Bissett DL. et al., Photochemistry and Photobiology 46, 367-378, 1987)を一部変えた方法でしわの生成度合いを下記に示す判定基準に従ってスコア化し、評点7以上のしわを形成した個体のみを用いて、実施例1(ケイシエキス、前記熱水抽出物乾燥残分配合)又は実施例2(ケイシエキスHP-20カラム50%エタノール溶出画分配合)を塗布した。しわのスコア化作業は、3名の測定者が個別に行い、合議によって評点を決定した。
なお、評価にあたっては、動物愛護管理法関連法令遵守し、社内動物実験審議会の承認を得た計画に基づき実施した。

0031

実施例1の組成物
(成分) 配合量(質量%)
ケイシエキス1.0
化粧品用エタノール30.0
精製水残 余

0032

実施例2の組成物;
(成分) 配合量(質量%)
ケイシエキスHP-20カラム50%エタノール溶出画分1.0
化粧品用エタノール 30.0
精製水残 余

0033

評点:判定基準
0:しわを認めない。
1:評点2より浅い、短い、または数が少ない。
2:浅いしわを認める。
3:評点2より深い、または長い。評点4より浅い、短い、または数が少ない。
4:浅いしわを全体に認める。
5:評点4より深い、または長い。評点6より浅い、または短い。
6:深く長いしわを認める。
7:評点6よりも深く長いしわが増す。評点8より浅い、または短い。
8:深く、長いしわを全面に認める。

0034

評点7以上のヘアレスマウスを5匹ずつ2群に、かつ両群の評点が同じになるようにわけ、各群の個体の背部皮膚全体に前述した組成を示す実施例1及び実施例2処方をそれぞれ100μl、を1日1回、週5回、6週間連続塗布した。
塗布終了後、背部の写真を撮影し、上記に示した判定基準に従って、動物の群名を伏せた状態でしわの度合いを3名の測定者が個別にスコア化し、合議によって評点を決定した。
また、実施例1の組成物中、ケイシエキスを抜去した比較例1にて同様の試験を行った。

0035

比較例1の組成物;
(成分) 配合量(質量%)
化粧品用エタノール30.0
精製水残 余

0036

しわの改善度は、次のようにして求めた。すなわち、
「しわの改善度」=「試料溶液塗布前の評点」−「6週間試料溶液塗布後の評点」
の式によって算出した。
下記表に、上記式に従って得たしわ改善度(しわ改善変化量)を各群の平均値として示した。

0037

表より明らかなように、対照処方(薬剤無配合)塗布群に対し、本発明の実施例1(ケイシエキス配合)塗布群では、しわの減少は優位に促進された。同様に実施例2においてもしわの減少は優位に促進された。以上より、ケイシエキス溶液、およびケイシエキスHP-20カラム50%エタノール溶出画分にはしわ改善に効果があることが確認された。

0038

血管新生抑制作用の評価
ケイヒ熱水抽出物の血管新生抑制効果を確認するための試験を行った。
血管新生キット紡績製)を用い、ヒト正常さい帯静脈血管内皮細胞とヒト正常真皮繊維芽細胞を一定の比率で共培養させ、管腔形成初期段階増殖状態に調製した。血管内皮細胞増殖因子−A(VEGF-A:倉敷紡績製)10ng/mlの共存下、ケイヒ熱水抽出物を所定濃度含有した培地を添加後、インキュベーション(37℃・5%CO2条件)した。培養開始から4日後、7日後、9日後各々の時点でVEGF-A共存下、ケイヒ抽出物を所定濃度含有した培地と交換した。その後各ウエルの細胞層を70%エタノールで固定化し、CD31(PECAM-1)で染色した。各ウエルから得られた染色像を撮影し(図4)、管腔形成を長さ、面積指標をもとに画像解析を行い、血管新生抑制作用を評価した(図5,6)。管腔形成の長さの画像解析、面積の画像解析にはそれぞれ血管新生定量ソフトウエア(倉敷紡績株式会社製)を使用した。管腔形成の長さが長いほど、また管腔形成の面積が大きいほど、血管新生が認められたことを意味する。培地のみの添加群をコントロール、VEGF-A(10ng/ml)のみの添加群をネガティブコントロール、また血管新生阻害剤として知られるスラミン(50μM)をポジティブコントロールとした。さらに、血管の安定化を担う作用を有することで知られるAng-1についても、VGF-Aの存在下、血管新生抑制作用を評価した。

実施例

0039

結果の考察
図4は細胞をDABで染色し、管腔形成を撮影した染色画像である。VEGF-Aの存在下で培養した場合には管腔形成が認められるのに対し、VEGF-Aと血管新生阻害剤として既知のスラミンやケイヒ抽出物(特に300ppm)との共存下での培養では管腔形成が抑制されていることがわかる。図5及び6は図4観察結果数値化したものであり、ケイヒ抽出物は10ppmから300ppmの間において濃度依存的にVEGF-Aにより誘導された血管新生を有意に抑制することが示唆された。興味深いことに、Ang-1は血管新生阻害作用を有しなかった。したがって、ケイヒ熱水抽出物はAng-1様のメカニズムでTie2リン酸化により血管の安定化作用などを発揮する一方で、Ang-1とは異なるメカニズムで血管新生抑制作用を発現することが示唆された。

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