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技術 水質監視システム及び水質監視方法

出願人 鹿島建設株式会社
発明者 リンブーンケン中村華子越川義功大野貴子高砂裕之高山晴夫
出願日 2015年10月23日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2015-208943
公開日 2016年5月23日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-090574
状態 特許登録済
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード pH計 傾斜底板 分布域 生活地域 排水流れ 重量密度 試験容器内 沿岸地域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月23日)のものです。
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図面 (2)

課題

土木建設工事現場で発生した工事濁水について、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易低コストかつ低労力に監視できる手段の提供。

解決手段

土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視システムAであって、貝類飼育水槽Bが、略平面状勾配を有する傾斜底板1上に形成された貝類飼育領域2と、勾配の上側11から貝類飼育領域2へ流れるように排水を水槽内へ流入させる流入口3と、貝類飼育領域2を通過した排水を水槽B外へ流出させる流出口4と、勾配の上側11の位置に貝類Sのを供給する給餌手段5と、を備え、該貝類飼育水槽2内で貝類Sを飼育しながら、給餌後における貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視システムAなどを提供する。

概要

背景

ダム工事トンネル工事浚渫埋立工事切土掘削工事など、土木建設工事現場などでは多量の工事濁水が発生する。工事現場で発生する濁水は、ほとんどの場合、工事の支障とならないように、工事敷地内から適宜放流する必要がある。

一方、工事排水は、放流先の水質汚濁の原因となる。特に、土木建設工事山岳地帯上水道水源地域、生活地域やそれらの周辺地域などで施工されることも多いため、河川湖沼港湾沿岸地域などの公共用水域などにそのまま放流されると、放流域及びその下流の水域などの水質、さらにはそれらの地域の自然環境生活環境などに大きな影響を与える恐れがある。そこで、工事排水は、環境保護環境負荷低減などの観点より、一定の水質基準を満たすように濁水処理を行ってから公共用水域などに放流するのが一般的である。

土木建設工事における水質汚濁では、多くの場合、濁度とpH(水素イオン濃度)が特に重要な水質項目となる。そこで、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理では、主に、沈降分離脱水ろ過、中和などの処理が行われる。例えば、濁水の粗粒子分スクリーンなどで除去し、凝集剤などを用いて沈降の遅い微粒子を沈降分離させ、沈降汚泥天日乾燥脱水機などにより脱水ろ過し、凝集沈降上澄水について必要があれば中和によりpH調整などを行った後、放流する。

土木建設工事における水質汚濁を防止するために、放流前の処理水(濁水処理後の排水)が一定の水質基準を満たしているかどうかを監視する必要がある。土木建設工事現場では、主にSS浮遊物質量)とpHの項目について定期的な監視が行われる。SS値濁度計による濁度の計測値からの推定で、pH値pH計による測定で、それぞれ取得するのが一般的である。

その他、特許文献1には、工場などからの排水の排水監視装置が、特許文献2には、浄水場などにおいて源水の水質を監視する水棲生物による水質監視装置が、特許文献3には、浄水場などの原水について、水棲生物の行動から水質の異常を判定する水質監視装置が、特許文献4には、浄水場の原水中や下水処理場流入下水中に混入した毒物の有無を判定する水棲動物による毒物検出装置が、それぞれ記載されている。また、特許文献5には、カワニナ魚類を用いて、半導体工場液晶工場などから排出される高濃度毒性排水の水質をモニタする装置及び方法が、特許文献6にはカワニナ類飼育方法及び飼育水槽が、それぞれ記載されている。
特開平8-284244号公報
特開平9-229924号公報
特開2001-242155号公報
特開昭63-179252号公報
特開平7-12802号公報
特開2012-120480号公報

概要

土木建設工事現場で発生した工事濁水について、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易低コストかつ低労力に監視できる手段の提供。土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視システムAであって、貝類飼育水槽Bが、略平面状勾配を有する傾斜底板1上に形成された貝類飼育領域2と、勾配の上側11から貝類飼育領域2へ流れるように排水を水槽内へ流入させる流入口3と、貝類飼育領域2を通過した排水を水槽B外へ流出させる流出口4と、勾配の上側11の位置に貝類Sのを供給する給餌手段5と、を備え、該貝類飼育水槽2内で貝類Sを飼育しながら、給餌後における貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視システムAなどを提供する。

目的

そこで、本発明は、土木建設工事現場で発生した工事濁水について、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易、低コストかつ低労力に監視できる手段を提供することなどを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質監視する水質監視システムであって、貝類飼育水槽が、略平面状勾配を有する傾斜底板上に形成された貝類飼育領域と、前記勾配の上側から前記貝類飼育領域へ流れるように前記排水を前記水槽内へ流入させる流入口と、前記貝類飼育領域を通過した前記排水を前記水槽外へ流出させる流出口と、前記勾配の上側の位置に前記貝類のを供給する給餌手段と、を備え、該貝類飼育水槽内で前記貝類を飼育しながら、前記給餌後における前記貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視システム。

請求項2

前記給餌後における給餌場所への貝類の密集行動、及び/又は、前記勾配の上側への前記貝類の移動行動を評価することで、前記排水の水質の異常を検知する請求項1記載の水質監視システム。

請求項3

前記貝類がカワニナである請求項1又は請求項2記載の水質監視システム。

請求項4

前記貝類飼育領域を撮影する撮影手段と、該撮影データを送信するデータ送信部を備え、該水槽の設置場所以外の場所で前記貝類の摂餌行動を観察できる構成である請求項1〜3のいずれか一項記載の水質監視システム。

請求項5

土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視方法であって、貝類飼育水槽が、略平面状で勾配を有する傾斜底板上に形成された貝類飼育領域と、前記勾配の上側から前記貝類飼育領域へ流れるように前記排水を前記水槽内へ流入させる流入口と、前記貝類飼育領域を通過した前記排水を前記水槽外へ流出させる流出口と、前記勾配の上側の位置に前記貝類の餌を供給する給餌手段と、を備え、該貝類飼育水槽内で前記貝類を飼育しながら、前記給餌後における前記貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視方法。

技術分野

0001

本発明は、貝類飼育水槽内で貝類を飼育しながら、給餌後における貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質監視する水質監視システム及び水質監視方法などに関連する。

背景技術

0002

ダム工事トンネル工事浚渫埋立工事切土掘削工事など、土木建設工事現場などでは多量の工事濁水が発生する。工事現場で発生する濁水は、ほとんどの場合、工事の支障とならないように、工事敷地内から適宜放流する必要がある。

0003

一方、工事排水は、放流先の水質汚濁の原因となる。特に、土木建設工事山岳地帯上水道水源地域、生活地域やそれらの周辺地域などで施工されることも多いため、河川湖沼港湾沿岸地域などの公共用水域などにそのまま放流されると、放流域及びその下流の水域などの水質、さらにはそれらの地域の自然環境生活環境などに大きな影響を与える恐れがある。そこで、工事排水は、環境保護環境負荷低減などの観点より、一定の水質基準を満たすように濁水処理を行ってから公共用水域などに放流するのが一般的である。

0004

土木建設工事における水質汚濁では、多くの場合、濁度とpH(水素イオン濃度)が特に重要な水質項目となる。そこで、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理では、主に、沈降分離脱水ろ過、中和などの処理が行われる。例えば、濁水の粗粒子分スクリーンなどで除去し、凝集剤などを用いて沈降の遅い微粒子を沈降分離させ、沈降汚泥天日乾燥脱水機などにより脱水ろ過し、凝集沈降上澄水について必要があれば中和によりpH調整などを行った後、放流する。

0005

土木建設工事における水質汚濁を防止するために、放流前の処理水(濁水処理後の排水)が一定の水質基準を満たしているかどうかを監視する必要がある。土木建設工事現場では、主にSS浮遊物質量)とpHの項目について定期的な監視が行われる。SS値濁度計による濁度の計測値からの推定で、pH値pH計による測定で、それぞれ取得するのが一般的である。

0006

その他、特許文献1には、工場などからの排水の排水監視装置が、特許文献2には、浄水場などにおいて源水の水質を監視する水棲生物による水質監視装置が、特許文献3には、浄水場などの原水について、水棲生物の行動から水質の異常を判定する水質監視装置が、特許文献4には、浄水場の原水中や下水処理場流入下水中に混入した毒物の有無を判定する水棲動物による毒物検出装置が、それぞれ記載されている。また、特許文献5には、カワニナ魚類を用いて、半導体工場液晶工場などから排出される高濃度毒性排水の水質をモニタする装置及び方法が、特許文献6にはカワニナ類飼育方法及び飼育水槽が、それぞれ記載されている。
特開平8-284244号公報
特開平9-229924号公報
特開2001-242155号公報
特開昭63-179252号公報
特開平7-12802号公報
特開2012-120480号公報

発明が解決しようとする課題

0007

排水の水質監視は頻繁又は定期的に行う必要があるため、労力・作業負担が大きい。特に、土木建設工事は、山岳地帯など、交通利便の地から離れた場所で施工されている場合が多く、水質監視を定期的に行うことの労力・作業負担は多大である。一方、水質監視装置は、水質監視をある程度自動的に行うことができる反面、導入・維持コストが高価であり、また、特に生物を用いて水質監視を行う場合は装置の維持管理水質評価の作業も煩雑となるため、実際上、土木建設工事現場で導入することは難しい。

0008

そこで、本発明は、土木建設工事現場で発生した工事濁水について、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易低コストかつ低労力に監視できる手段を提供することなどを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、土木建設工事における水質汚濁では濁度とpHが特に重要な水質項目であり、濁水処理を行った後の排水ではpHが主要な水質監視項目であることに着目するとともに、カワニナなどの貝類では、一定の範囲を超えて濁度・pH・温度・塩素濃度などが変動するとその異常を忌避して摂餌行動を抑制することを新規に見出した。

0010

そこで、本発明では、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視システムであって、貝類飼育水槽が、略平面状勾配を有する傾斜底板上に形成された貝類飼育領域と、前記勾配の上側から前記貝類飼育領域へ流れるように前記排水を前記水槽内へ流入させる流入口と、前記貝類飼育領域を通過した前記排水を前記水槽外へ流出させる流出口と、前記勾配の上側の位置に前記貝類のを供給する給餌手段と、を備え、該貝類飼育水槽内で前記貝類を飼育しながら、前記給餌後における前記貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視システムなどを提供する。

0011

本発明では、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質監視のために、この貝類飼育水槽内の貝類飼育領域で貝類を飼育する。

0012

貝類飼育領域では、濁水処理を行った後の排水が流入口から供給されるとともに流出口より排出されることで、勾配の上側から下側への方向と同じ方向の流れが形成される。貝類は、貝類飼育領域内の傾斜底板上を自由に移動することができるが、貝類飼育領域における勾配とその流れのため、通常状態では、ほとんどの個体は、貝類飼育領域内の勾配の下側の位置で生育する。

0013

それに対し、給餌手段により勾配の上側の位置に貝類の餌を供給すると、多くの個体は、摂餌行動として、貝類飼育領域内で勾配の下側から上側に向けて移動行動を開始し、傾斜底板上を上向し、さらに給餌場所又はその近辺密集する。

0014

一方、貝類飼育領域へ供給されている濁水処理後の排水の濁度・pH・温度・塩素濃度などが正常範囲外に変動すると、貝類が、その水質の異常を忌避し、貝類飼育領域内での勾配の下側から上側に向けての移動行動が抑制され、多くの個体が勾配の下側の位置から移動しなくなる。

0015

そこで、給餌後の傾斜底板上(貝類飼育領域内)を観察し、給餌後における貝類の摂餌行動、即ち、給餌場所への貝類の密集行動、及び/又は、勾配の上側への貝類の移動行動を評価することで、前記排水の水質の異常を検知し、濁水処理後の排水の水質を監視することができる。

0016

本発明では、給餌後の傾斜底板上(貝類飼育領域内)における貝類の摂餌行動の有無又は頻度を評価することで、濁度・pH・温度・塩素濃度など、水質の異常を検知する。また、貝類の密集行動・移動行動の有無などにより水質を評価するため、水質評価基準が明確であり、水質評価の作業も容易である。そのため、濁水処理後の排水の水質安全性を簡易に監視することができる。

0017

さらに、この貝類飼育装置は比較的簡易な構成であり、高度で精密な計測器などを必要としないため、本発明による水質監視を開始するにあたっての組み立て・導入コストを大幅に低減できる。本発明による水質監視を稼働した後も、貝類の飼育は比較的容易に行うことができるため、維持管理コストを低く抑えることができる。従って、本発明により、濁水処理後の排水の水質安全性を低コストで監視できる。

0018

加えて、給餌後の傾斜底板上(貝類飼育領域内)における貝類の摂餌行動、即ち給餌場所への密集行動や移動行動は、目視、若しくはカメラなどでの観察などにより容易に検知することが可能であるため、監視に費やす時間を極力短くでき、煩雑な手順・作業・解析なども必要としない。従って、水質監視を定期的に行うことの労力・作業負担を軽減できる。また、例えば、貝類飼育水槽が、貝類飼育領域を撮影する撮影手段と、該撮影データを送信するデータ送信部を備え、該水槽の設置場所以外の場所で貝類の摂餌行動(密集行動・移動行動)を観察できる構成にすることにより、工事が交通利便の地から離れた場所で施工されている場合であっても遠隔からの観察が可能となるため、水質監視を定期的に行うことの労力・作業負担を大幅に軽減できる。

0019

このように、本発明では、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易、低コストかつ低労力に監視することができるため、土木建設工事現場においても、その導入が容易である。

0020

また、本発明では、貝類の死亡又は異常行動によって水質を監視するのではなく、貝類の積極行動である摂餌行動を誘起し、その有無又は頻度により水質を評価するため、監視対象の排水の水質が一定の水質基準に適合していなかった場合であっても、貝類は単にそれに対する忌避行動を示すのみであって、ダメージをほとんど受けない。そのため、水質異常を検知した場合も、引き続き同一の個体を用いて水質監視を続けることができる。

0021

そして、本発明には、貝類の補充や交換などもほとんど必要なく、同一の個体を用いて、長期間の連続的・持続的な監視が可能であり、保守整備もほとんど必要ないという利点がある。

0022

その他、例えば、排水を放流する地域に元々生息する貝類を本発明の生物指標として用いることにより、万が一、この貝類飼育水槽から外界逃避した場合であっても、その地域に元々生息していた貝類と水質監視に用いた貝類とが交雑したことによってその地域に特有の貝類の特徴や遺伝子相違かく乱されること、即ち遺伝子汚染の発生を防止でき、環境保全に対する懸念を極力排除できる。

発明の効果

0023

本発明により、土木建設工事現場で発生した工事濁水について、濁水処理後の排水の水質安全性を、簡易、低コストかつ低労力に監視することができる。

発明を実施するための最良の形態

0024

<本発明に係る水質監視システムについて>
本発明は、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視システムであって、貝類飼育水槽が、略平面状で勾配を有する傾斜底板上に形成された貝類飼育領域と、前記勾配の上側から前記貝類飼育領域へ流れるように前記排水を前記水槽内へ流入させる流入口と、前記貝類飼育領域を通過した前記排水を前記水槽外へ流出させる流出口と、前記勾配の上側の位置に前記貝類の餌を供給する給餌手段と、を備え、該貝類飼育水槽内で前記貝類を飼育しながら、前記給餌後における前記貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視システムをすべて包含する。以下、図1を用いて、その例を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに狭く限定されない。

0025

図1は、本発明に係る水質監視システムの例を示す排水流れ方向断面の模式図である。

0026

図1の水質監視システムAでは、貝類飼育水槽Bが、傾斜底板1と、その傾斜底板1上に形成された貝類飼育領域2と、排水の流入口3と、排水の流出口4と、給餌手段5とを備え、水槽A内で貝類S(S1〜S3)が飼育されている。傾斜底板1の勾配の上側11及び下側12は、それぞれ仕切り板21、22で仕切られている。また、貝類飼育領域2を撮影する撮影手段6と、該撮影データを送信するデータ送信部7を備え、該水槽Bの設置場所以外の場所で前記貝類Sの摂餌行動を観察できる構成である。

0027

水質監視システムAは、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視するシステムであり、給餌後における摂餌行動、即ち、給餌後における給餌場所への貝類Sの密集行動(貝類S3参照)、及び/又は、前記勾配の上側11への前記貝類Sの移動行動(貝類S2参照)を評価することで、前記排水の水質の異常を検知する。

0028

水質監視システムAの設置場所は特に限定されないが、本システムAは濁水処理を行った後、公共用水域などへ放流する直前の排水の水質の異常の有無を検知するシステムであるため、濁水処理後放水直前の排水を貯留する設備の近傍に設置することが好ましい。これにより、水質監視の対象となる排水(の一部)を、簡易かつ持続的にこの水質監視システムAに引き込むことができる。

0029

水質監視の対象となる排水は、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水である。上述の通り、ダム工事、トンネル工事、浚渫・埋立工事、切土・掘削工事など、土木建設工事現場で発生する工事濁水では、濁度とpHが重要な水質項目となる。そこで、沈降分離、脱水ろ過、中和などで、排水が濁度とpHの項目で一定の水質基準を満たすように濁水処理する。そして、濁水処理を行った後、公共用水域などへ放流する直前の排水の水質の異常の有無を水質監視システムAで検知する。この水質監視システムAは、濁度・pH・温度・塩素濃度などの水質項目の異常の検知、特に、pH異常の検知に有効である。

0030

水質監視の対象となる排水は、流入口3より水槽A内へ流入し(符号X1)、仕切り板21を通過し(符号X2)、貝類飼育領域2内で、水位Wの高さまで排水が貯留するとともに、勾配の上側11から下側12に向けた方向と同じ方向の流れが形成され(符号X3)、仕切り板22を通過し(符号X4)、流出口4より水槽A外へ流出する(符号X5)。水位Wの高さは流出口4の設置高さによって規定されている。

0031

貝類飼育水槽Bは、本発明の生物指標として用いる貝類Sを飼育する水槽である。貝類飼育水槽Bでは、濁水処理後の排水を一定方向に持続的に流通させ、給餌手段5で定期的に給餌しながら貝類飼育領域2で貝類Sを生息させ、飼育する。

0032

貝類Sは、一定の範囲を超えて水質が変動するとその水質の異常を忌避して摂餌行動を抑制する貝類であればよく、特に限定されない。また、環境保全などの観点より、万が一、貝類Sが貝類飼育水槽Bから外界へ逃避した場合であっても遺伝子汚染などの発生を惹起しないように、排水を放流する地域に元々生息する貝類を採用することが好ましい。

0033

そのような観点より、例えば、山岳地帯や上水道水源地域での土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する場合は、貝類がカワニナであることが最も好適である。

0034

本発明の生物指標としての貝類にカワニワを採用することには、以下の利点がある。(1)大きさ・色が目視などでの観察に適している。(2)摂餌行動(密集行動・移動行動)を把握しやすい。(2)水質の異常に対する感受性が高く、その水質異常に対する忌避行動が明瞭であるため、水質異常の有無を評価しやすい。(3)自然界での個体数が多いため、採取が容易である。(4)市販の餌で長期間飼育することができ、飼育も比較的簡易である。(5)有害物質に対して敏感であるため、濁度・pH・温度・塩素濃度などの水質項目の異常の検知の他、排水に有害物質が含まれていた場合にもそれを検知可能である。(6)自然界での分布域が広いため、排水を放流する地域に元々生息していることが多い。そのため、外界へ逃避した場合であっても遺伝子汚染などの発生を惹起せず、生態系に影響を与えない。(7)カワニナはホタルの餌となるため、その地域にカワニナが生息することがホタルの生息することの条件となる。従って、放流排水内でカワニナが生存していることは、その水質がホタルの生息可能な水準を満たしていることの目安となる。

0035

一つの貝類飼育水槽B内に生息させる貝類Sの数は、水槽Bの大きさにもよるため、適宜定めることができ、特に限定されない。例えば、目的・用途などに応じて、2〜20匹程度を一つの貝類飼育水槽Bに入れて、飼育してもよい。

0036

本発明の生物指標としての貝類Sは、通常状態では、ほとんどの個体が、貝類飼育領域2内の勾配の下側12の位置で生育する(S1参照)。そして、例えば、排水のpHについて、排水のpHが略5.0〜略10.5の範囲である場合は、半数程度の個体で、給餌後、摂餌行動として、給餌場所への密集行動(S3参照)又は給餌場所への移動行動(S2参照)を示し、排水のpHが略5.5〜略10.0の範囲である場合は、多くの個体で、給餌後、摂餌行動として、給餌場所への密集行動(S3参照)又は給餌場所への移動行動(S2参照)を示す。一方、排水のpHが略4.99以下又は略10.51以上である場合、pH異常を忌避し、貝類飼育領域2内の勾配の下側12から上側11に向けての移動行動が抑制され、多くの個体が、給餌後も勾配の下側から移動しなくなる(S1参照)。また、例えば、排水の温度について、略30.5℃以上又は略5.5℃以下で多くの個体が摂餌行動を示さなくなる(S1参照)。また、例えば、排水の濁度が300NTU以上である場合は、多くの個体が摂餌行動を示さなくなる(S1参照)。また、例えば、排水の遊離塩素濃度が0.30ppmを超えると多くの個体で移動行動が減少し、0.50ppmを超えると多くの個体が閉殻する。

0037

傾斜底板1は、貝類飼育水槽B内に形成された略平板状の底板で、勾配を有する。傾斜底板1上に貝類飼育領域2が形成され、貝類飼育領域2内の傾斜底板1上を貝類が移動する。

0038

本発明では、貝類飼育領域2内の傾斜底板1上における貝類Sの移動行動を目視、カメラなどでの観察などで検知する。そのため、傾斜底板1は、白色など、背景色として貝類Sの位置が際立つ色を採用することが好ましい。

0039

貝類飼育領域2は、傾斜底板1上に形成され、周囲を囲繞された貝類Sを飼育する領域である。図1の水質監視システムAでは、勾配の上側11及び下側12では仕切り板21、22により、両側では水槽Bの側壁により、周囲が囲繞されており、それによって貝類の貝類飼育領域2の外への逃避が防止されている。そして、傾斜底板1上の囲繞された範囲が、貝類飼育領域2であり、貝類Sの自由に移動できる範囲である。

0040

貝類飼育領域2は、傾斜底板1上に形成されており、勾配を有している。水槽内に流入した排水は、貝類飼育領域2内を、勾配方向(勾配の上側11から下側12に向けての方向と同一方向)に沿って一定方向に流れる(符号X3参照)。ほとんどの貝類Sは、その勾配と勾配方向への排水の流れのため、給餌後以外の通常状態では、その勾配の下側12の位置で生息し(S1参照)、給餌後の摂餌行動時にその勾配を上向する(S2、S3参照)。

0041

勾配は、多くの貝類Sが通常状態ではその勾配の下側12で生育し、かつ給餌後には貝類Sが勾配の下側12の位置から上側11に向けて上向しうる範囲で調整すればよく、特に限定されない。勾配の傾斜角は、例えば、水平方向に対し5〜45度が好適であり、8〜30度がより好適であり、10〜25度が最も好適である。

0042

仕切り板21、22は、貝類飼育領域2からの貝類Sの逃避・脱出を防止するために、それぞれ傾斜底板1の勾配の上側11及び下側12の位置に形成された板状部材で、原則的には略鉛直方向に設置される。仕切り板21、22は、貝類Sの逃避・脱出を防ぎつつ排水が流通できるように形成する。そのために、例えば、仕切り板21、22の表面には、直径1〜2mm程度の貫通孔211、221が複数形成されていてもよい。その他、勾配の上側11の位置に設置された仕切り板21は、排水の流れを整え、貝類飼育領域2内に比較的均一な流れを供給する機能も果たす。この仕切り板21の整流機能により、給餌手段5より供給された餌の大部分をその給餌場所に保持させた状態のまま、貝類飼育領域2内の比較的広範囲に亘って餌の匂いなどを拡散させることができる。これにより、より広範の個体に対してより確実に貝類Sの摂餌行動を惹起させることができるため、より高感度に水質異常の有無を検知することが可能となる。

0043

流入口3は、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水を貝類飼育水槽B内に流入させる部位である。例えば、濁水処理後放水直前の排水を貯留する設備から排水(の一部)を引き込み、勾配の上側11より貝類飼育水槽B内にその排水を持続的に流入させることで、貝類飼育領域2に排水を供給する。これにより、貝類飼育領域2における勾配方向に沿った流れ(勾配の上側11から下側12への方向と同一方向の流れ)が持続的に形成される。

0044

流出口4は、貝類飼育領域2を通過した排水を水槽B外へ流出させる部位である。排水を水槽B外へ流出させることで、貝類飼育水槽B内に排水が過剰に貯留することを防止できるため、水槽B内の水の交換及び貝類Sの飼育を円滑に行うことができる。また、流出口4は、その設置高さにより、水槽B内の水位Wを規定する。

0045

給餌手段5は、貝類Sに餌を供給する部位で、公知のものを広く採用できる。給餌手段5は、貝類飼育領域2内の勾配の上側11に、餌が勾配の上側11の位置に供給されるように(符号X6参照)、設置する。一定時間ごとに給餌するように設定することができる給餌手段5を採用することにより、餌やりなどの人為的な作業を大幅に軽減できる。貝類Sの餌は、公知のものを適宜用いることができる。その他、給餌手段5より供給された餌が、貝類Sが摂食可能な状態で、給餌場所に長時間保持されるように構成してもよい。例えば、給餌手段5より排出された餌を収容する袋状網材を給餌手段5の下側に、下端が傾斜底板1に近接又は接触するように取付けたり、水槽B内で形成された水流に対しても給餌場所付近に一定時間静置された状態を保持できる重量密度を有した固形餌(例えば、ペレット状の固形餌など)が給餌手段5より排出されるようにしたりすることで、その構成を実現できる。

0046

水質が正常範囲内である場合は、給餌から約30分後以降、多くの個体で摂餌行動、即ち、傾斜底板1上の上向行動(符号S2参照)、給餌場所又はその近辺への密集行動(符号S3参照)などが観察される。給餌後の傾斜底板1上における貝類の給餌場所などへの密集行動や移動行動は、目視、カメラなどで、傾斜底板1上(貝類飼育領域2)を観察することにより一目で検知できる。

0047

撮影手段6は、貝類飼育領域2を撮影する部位であり、データ送信部7は、その撮影データを送信する部位である。

0048

例えば、給餌してからの一定時間又は給餌後の設定された一又は複数の時間帯に、ライブカメラなどにより貝類飼育領域2を撮影しながら、その撮影データを送信することにより、水槽Bの設置場所以外の場所から貝類Sの摂餌行動を観察できる。これにより、工事が交通利便の地から離れた場所で施工されている場合であっても遠隔からの貝類の摂餌行動の観察が可能となるため、水質監視を定期的に行うことの労力・作業負担を大幅に軽減できる。

0049

また、例えば、給餌してからの一定時間又は給餌後の設定された一又は複数の時間帯に、映像カメラなどで録画し、その撮影データを送信することにより、水槽Bの設置場所以外の場所から、かつ任意の時間に、貝類Sの移動行動を観察できる。その他、例えば、給餌後の設定された一又は複数の時間帯に、画像カメラなどで撮影し、その撮影データを送信することによっても、水槽Bの設置場所以外の場所で貝類Sの摂餌行動を観察できる。

0050

そして、撮影データに基づく観察に基づき、貝類Sの摂餌行動の有無又は頻度を評価することで、濁水処理後の排水の水質の異常を検知し、排水の水質を監視する。

0051

なお、本発明では、撮影手段6などを用いて摂餌行動を観察する場合の他、例えば、傾斜板1の勾配の下側12に赤外線センサを設置し、貝類Sによる赤外線遮断の有無・度合などを検知することによって、貝類Sの摂餌行動の有無・異常を検出する構成にしてもよいし、若しくは傾斜板1の勾配の下側12などに重量センサを設置し、貝類Sの重量を検知することによって、貝類Sの摂餌行動の有無・異常を検出する構成にしてもよい。また、例えば、赤外線センサや重量センサなどによって貝類Sの摂餌行動の有無・異常を検出する場合、異常検出時に、警告音などによって監視者異常発生を知らせる構成になっていてもよい。

0052

以上のように、この水質監視システムAを用いて、貝類飼育水槽B内で貝類Sを飼育するとともに、給餌後における貝類Sの摂餌行動、即ち、給餌後における給餌場所への貝類Sの密集行動、及び/又は、勾配の上側11への貝類Sの移動行動を評価することで、放流直前の排水の水質が正常の範囲内(例えば、pHでは、略pH5.0〜略10.5、より厳密に評価する場合は略pH5.5〜略10.0。水温では、略6℃〜30℃。濁度では300NTU未満。遊離塩素濃度では0.30ppm未満。)で維持されているかどうかを、簡易、低コストかつ低労力に監視することができる。

0053

その他、例えば、本発明者らの知見では、カワニナは略30.5℃以上又は略5.5℃以下の環境で多くの個体が摂餌行動を示さなくなるため、排水自体の水温異常以外の要因による貝類飼育水槽B内の水温の変動を極力減らす目的で、例えば、天面側遮光板を設置したり、水温を経時的に計測したりしてもよい。

0054

<本発明に係る水質監視方法について>
本発明は、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水の水質を監視する水質監視方法であって、貝類飼育水槽が、略平面状で勾配を有する傾斜底板上に形成された貝類飼育領域と、前記勾配の上側から前記貝類飼育領域へ流れるように前記排水を前記水槽内へ流入させる流入口と、前記貝類飼育領域を通過した前記排水を前記水槽外へ流出させる流出口と、前記勾配の上側の位置に前記貝類の餌を供給する給餌手段と、を備え、該貝類飼育水槽内で前記貝類を飼育しながら、前記給餌後における前記貝類の摂餌行動を評価することで、濁水処理後の排水の水質を監視する水質監視方法をすべて包含する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに狭く限定されない。

0055

上述の貝類飼育水槽内で貝類を飼育しながら、給餌後における貝類の摂餌行動、即ち、給餌後における給餌場所への貝類の密集行動、及び/又は、前記勾配の上側への前記貝類の移動行動を評価することで、排水の水質の異常を検知することができ、濁水処理後の排水の水質を監視することができる。

0056

例えば、給餌から約30分後以降、一定の個体で摂餌行動、即ち、傾斜底板上の上向行動、給餌場所又はその近辺への密集行動などが観察された場合は、水質項目は正常の範囲内(例えば、pHでは、略pH5.0〜略10.5、より厳密に評価する場合は略pH5.5〜略10.0。水温では、略6℃〜30℃。濁度では300NTU未満。遊離塩素濃度では0.30ppm未満。)であると推定できる。一方、給餌後に、多くの個体が勾配の下側から移動しなくなった場合、水質の異常である可能性が高い。給餌後の傾斜底板上における貝類の給餌場所などへの密集行動や移動行動は、目視、カメラなどで、傾斜底板上(貝類飼育領域)を観察することにより一目で検知できる。

0057

従って、例えば、土木建設工事現場で発生した工事濁水に対する濁水処理を行った後の排水を連続的に貝類飼育水槽に供給することで、排水の水質の異常の有無を、長期間にわたって、簡易、低コストかつ低労力に監視することができる。

0058

実施例1では、pH変動によるカワニナの摂餌行動への影響を検証した。

0059

図1と同様の構造の貝類飼育水槽を試作し、それぞれのpHに調整した水を水槽内に流入させ、貝類飼育領域を通過した後水槽外へ流出させるようにすることで一定方向の水の流れを形成するとともに、貝類飼育領域内に10個体ずつの親カワニナ(平均殻長25mm、平均湿重量1.5g)を入れ、飼育した。勾配の傾斜底板の傾斜角は13度とした。水温は22℃に調整した。

0060

次に、それぞれ、貝類飼育領域の勾配の上側の位置に給餌し、給餌の30分後〜330分後まで、30分ごとに、カワニナの行動評価を行った。餌には市販のものを用いた。

0061

結果を表1に示す。表1中の行動評価は、A:給餌場所への密集行動を示したもの、B:給餌場所への移動行動(上向行動)を示したもの、C:給餌場所への移動行動を示さなかったもの、を表し、表1では、各pHの条件において各行動を示した個体数を示した。

0062

表1に示す通り、pH7.95及びpH8.10に調整した水でカワニナを飼育した場合には給餌の30分後においてもほとんどの個体で摂餌行動、即ち、給餌場所への密集行動(行動評価A)又は給餌場所への移動行動(行動評価B)が観察され、pH5.30及びpH10.3に調整した水でカワニナを飼育した場合にも半数程度の個体で摂餌行動が観察されたのに対し、pH4.95及びpH10.6に調整した水でカワニナを飼育した場合にはほとんどの個体が給餌場所への移動行動を示さなかった(行動評価C)。

0063

この結果は、排水のpHが約5.5〜10.0の範囲である場合、多くの個体で、給餌後、摂餌行動として、給餌場所への密集行動又は給餌場所への移動行動を示し、排水のpHが約5.0〜10.5の範囲である場合、半数程度の個体で、給餌後、摂餌行動として、給餌場所への密集行動又は給餌場所への移動行動を示す一方、排水のpHが4.99以下又は10.51以上である場合、摂餌行動が抑制されることを示唆する。

0064

実施例2では、温度の変動によるカワニナの摂餌行動への影響を検証した。

0065

実施例1と同様の貝類飼育水槽で、水温をそれぞれ5.5℃、8℃、18℃、24℃、30℃、34℃に調節して、貝類を飼育した。

0066

そして、実施例1と同様、貝類飼育領域の勾配の上側の位置に給餌し、給餌の30分後〜330分後まで、30分ごとに、カワニナの行動評価を行った。

0067

結果を表2に示す。表1と同様、表2中の行動評価は、A:給餌場所への密集行動を示したもの、B:給餌場所への移動行動(上向行動)を示したもの、C:給餌場所への移動行動を示さなかったもの、を表し、表2では、各温度の条件において各行動を示した個体数を示した。

0068

表2に示す通り、水温を5.5℃及び34℃に調整してカワニナを飼育した場合、ほとんどの個体が給餌場所への移動行動を示さなかった(行動評価C)。

0069

この結果は、排水の温度が6℃〜30℃の範囲である場合、給餌場所への密集行動又は給餌場所への移動行動を示す一方、排水の温度が30.5℃以上又は5.5℃以下の場合、摂餌行動が抑制されることを示唆する。

0070

実施例3では、濁度の変動によるカワニナの摂餌行動への影響を検証した。

0071

実施例1などと同様の貝類飼育水槽を用いて、循環水中に所定量のカオリンを添加して濁水の流れを形成し、その中で貝類を飼育した。カオリンの添加量を変えて計6回の実験を行った。水温は21〜24.2℃であった。

0072

そして、実施例1などと同様、貝類飼育領域の勾配の上側の位置に給餌し、給餌の30分後〜330分後まで、30分ごとに、カワニナの行動評価を行った。

0073

なお、濁度計(「TB-31」、東亜ディーケーケー株式会社)を用いて、各実験における経過時間ごとの水槽内の濁度を測定した。その結果を表3に示す。表3における各数値は、給餌から各経過時間後の濁度(単位:NTU)を表す。ここで、時間経過による濁度の減少は、主に、カオリンの沈殿によるものである。

0074

濁度の変動によるカワニナの行動評価の結果を表4に示す。表1などと同様、表4中の行動評価は、A:給餌場所への密集行動を示したもの、B:給餌場所への移動行動(上向行動)を示したもの、C:給餌場所への移動行動を示さなかったもの、を表し、表4では、各濁度条件において各行動を示した個体数を示した。

0075

表4に示す通り、第5番目及び又は第6番目の実験、即ち、水槽内の濁度が300NTU以上であった場合には、ほとんどの個体が給餌場所への移動行動を示さなかった(行動評価C)。

0076

この結果は、排水の濁度が300NTU以上になった場合に、摂餌行動が顕著に抑制されることを示唆する。

0077

実施例4では、塩素濃度の変動によるカワニナの摂餌行動への影響を検証した。

0078

実施例1などと同様の貝類飼育水槽を用いて、通常の水を循環させ、カワニナを飼育し、実施例1などと同様、貝類飼育領域の勾配の上側の位置に給餌した。また、ポケット残留塩素計HACH社製)を用いて、給餌から30分ごとに水槽内の遊離塩素濃度を測定した。

0079

給餌から150分経過する前に、次亜塩素酸ナトリウム試薬(関東化学株式会社製)を5mL添加し、210分経過後に塩素を中和して元の条件に戻した。そして、塩素添加条件下及びその前後のカワニナの行動評価を30分ごとに行った。

0080

結果を表5に示す。表1などと同様、表5中の行動評価は、A:給餌場所への密集行動を示したもの、B:給餌場所への移動行動(上向行動)を示したもの、C:給餌場所への移動行動を示さなかったもの、を表し、表5では、各行動を示した個体数を示した。表5中の「塩素濃度」の項目は、塩素を添加した実験群での水槽中の遊離塩素濃度(単位:ppm)を表す。

0081

表5に示す通り、塩素添加条件下(給餌後の経過時間120〜180分)においては、カワニナは、ほとんどの個体が給餌場所への移動行動を示さなかった(行動評価C)。

0082

実施例5では、塩素濃度とカワニナの摂餌行動との関係を検証した。

0083

試験容器内に、所定量の次亜塩素酸ナトリウム試薬(関東化学株式会社製)を添加した水を200mL入れ、ポケット残留塩素計(HACH社製)を用いて遊離塩素濃度を測定するとともに、その中にカワニナを3匹収容して1時間観察した。

0084

結果を表6に示す。表6では、A:閉殻していたもの、B:移動行動は示さなかったが開殻していたもの、C:移動行動を示したもの、以上の基準で評価した。

0085

表6に示す通り、水中の遊離塩素濃度が0.30ppmを超えると、カワニナの移動行動が減少し、0.50ppmを超えると全ての個体で閉殻した。

図面の簡単な説明

0086

本発明に係る水質監視システムの例を示す排水流れ方向断面の模式図。

0087

1傾斜底板
11 傾斜底板1の上側
12 傾斜底板1の下側
2貝類飼育領域
21、22仕切り板
3 流入口
4 流出口
5給餌手段
6撮影手段
7データ送信部
A水質監視システム
B 貝類飼育水槽
S 貝類

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