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技術 走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置

出願人 横浜ゴム株式会社
発明者 児玉勇司
出願日 2014年10月30日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-221348
公開日 2016年5月23日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-090267
状態 特許登録済
技術分野 駆動装置の関連制御、車両の運動制御 車両の試験
主要キーワード ニュートンラフソン法 回帰精度 走行方向後方 時間シフト量 走行速度範囲 修正回数 追い風 各時系列データ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

幅広い車両の走行速度範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出する。

解決手段

走行抵抗算出装置は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する。この後、走行抵抗算出装置は、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する。このとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解フィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する。

概要

背景

車両の走行抵抗は、車両を惰行走行させ、そのときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測して算出される。
例えば、車両を定めた進入速度から惰行走行させ、定めた惰行下限速度までの経過時間に対する車両速度の時系列データをtan の関数回帰させ、このときの関数に含まれる係数を用いて、走行抵抗の車両速度依存性を求める(非特許文献1)。

概要

幅広い車両の走行速度範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出する。走行抵抗算出装置は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する。この後、走行抵抗算出装置は、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する。このとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解フィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する。

目的

本発明は、幅広い車両の走行速度範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出することができる走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

コンピュータを用いて、車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出方法であって、コンピュータが、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得するステップと、前記コンピュータが、走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有し、前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定した全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解フィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、ことを特徴とする走行抵抗算出方法。

請求項2

前記走行抵抗を算出するとき、前記パラメータの値から、車両の抗力係数及び転がり抵抗の少なくとも1つを算出する、請求項1に記載の走行抵抗算出方法。

請求項3

前記関数式は、車両速度の2次の多項式である、請求項1または2に記載の走行抵抗算出方法。

請求項4

前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行抵抗算出方法。

請求項5

前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングをする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行抵抗算出方法。

請求項6

車両の走行抵抗計測方法であって、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測装置が出力するステップと、コンピュータが、前記時系列データを取得するステップと、前記コンピュータが、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有し、前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定された全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて少なくとも前記走行抵抗を算出する、ことを特徴とする走行抵抗計測方法。

請求項7

前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められる、請求項6に記載の走行抵抗計測方法。

請求項8

前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、請求項6または7に記載の走行抵抗計測方法。

請求項9

前記計測装置は、車両の走行中のタイヤ温度、車両の走行中の路面温度、あるいは、車両の走行中の気温の少なくとも1つを温度データとして出力し、前記コンピュータは、前記温度データを取得し、前記走行抵抗を算出するとき、前記走行抵抗のうち転がり抵抗を表す係数を算出し、算出した係数を前記温度データで補正することにより、所定の温度における転がり抵抗を算出する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の走行抵抗計測方法。

請求項10

前記車両に装着されるタイヤが異なる複数の車両に関する条件で、前記走行抵抗を算出する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の走行抵抗計測方法。

請求項11

車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出装置であって、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する取得部と、走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する部分であって各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、を有することを特徴とする走行抵抗算出装置。

技術分野

0001

本発明は、車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置に関する。

背景技術

0002

車両の走行抵抗は、車両を惰行走行させ、そのときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測して算出される。
例えば、車両を定めた進入速度から惰行走行させ、定めた惰行下限速度までの経過時間に対する車両速度の時系列データをtan の関数回帰させ、このときの関数に含まれる係数を用いて、走行抵抗の車両速度依存性を求める(非特許文献1)。

先行技術

0003

JIS D 1012:2005,“自動車-燃料消費率試験方法

発明が解決しようとする課題

0004

このような車両の走行抵抗の算出方法において、進入速度を100km/時以上とし、惰行下限速度を40km/時とする場合、惰行走行距離が数kmとなるので、きわめて長い直線路が必要となる。このような直線路をテストコースで用意することは難しいため、例えば120km/時〜100km/時、100km/時〜80km/時、80km/時〜60km/時といったような複数の走行速度範囲を定めて、走行速度範囲が互いに異なる各速度条件で車両を惰行走行させる場合が多い。

0005

しかし、このような複数の速度条件で計測された惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データのそれぞれに対して多点回帰法を用いて走行抵抗を算出することはできるが、速度条件が多くなければ、回帰精度落ちるため走行抵抗の関数式中の係数の値がばらつく、といった問題がある。例えば、速度条件を、120km/時〜100km/時、100km/時〜100km/時、100km/時〜80km/時、80km/時〜60km/時の4つの速度条件とした場合、多点回帰法では、これら4つのデータそれぞれのみを用いて回帰しなければならない。このため、各速度条件でのデータのばらつきが、回帰によって得られた車両の抗力係数や車両の転がり抵抗のばらつきを大きくしてしまう。

0006

そこで、本発明は、幅広い車両の走行速度範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出することができる走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様は、コンピュータを用いて、車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出方法である。当該走行抵抗算出方法は、
コンピュータが、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有する。
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定した全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解フィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する。

0008

前記走行抵抗を算出するとき、前記パラメータの値から、車両の抗力係数及び転がり抵抗の少なくとも1つを算出する、ことが好ましい。

0009

前記関数式は、車両速度の2次の多項式である、ことが好ましい。

0010

前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められている、ことが好ましい。

0011

前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングをする、ことが好ましい。

0012

本発明の他の一態様は、車両の走行抵抗計測方法である。当該走行抵抗計測方法は、
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測装置が出力するステップと、
コンピュータが、前記時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有する。
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定された全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて少なくとも前記走行抵抗を算出する。

0013

前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められる、ことが好ましい。

0014

前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、ことが好ましい。

0015

前記計測装置は、車両の走行中のタイヤ温度、車両の走行中の路面温度、あるいは、車両の走行中の気温の少なくとも1つを温度データとして出力し、
前記コンピュータは、前記温度データを取得し、
前記走行抵抗を算出するとき、前記走行抵抗のうち転がり抵抗を表す係数を算出し、算出した係数を前記温度データで補正することにより、所定の温度における転がり抵抗を算出する、ことが好ましい。

0016

前記車両に装着されるタイヤが異なる複数の車両に関する条件で、前記走行抵抗を算出する、ことが好ましい。

0017

本発明の更に他の一態様は、車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出装置である。当該走行抵抗算出装置は、
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する取得部と、
走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する部分であって各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、を有する。

発明の効果

0018

上述の走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置によれば、幅広い車両の走行速度範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出することができる。

図面の簡単な説明

0019

本実施形態の走行抵抗算出装置を含む走行抵抗算出システムブロック構成図である。
惰行走行するために車両の走る直線状の路面を説明する図である。
本実施形態のデータ取得部が取得した、4つの異なる速度条件における車両速度の時系列データの一例を示す図である。
図3に示す4つの時系列データを一般解へフィッティングすることにより、1つに纏めた時系列データを示す図である。
本実施形態における車両速度の時系列データの時間シフト量の初期値設定方法を説明する図である。

実施例

0020

以下、本発明の走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。

0021

(走行抵抗算数装置)
図1は、本実施形態の走行抵抗算出装置を含む走行抵抗算出システム10のブロック構成図である。
走行抵抗算出システム10は、計測装置12、走行抵抗算出装置14と、出力装置20と、を有する。

0022

計測装置12の一部は、走行抵抗を計測するための車両に搭載される。他の一部は、車両外、例えば路面等に設置される。計測装置12のうち車両に搭載される部分は、例えば路面に対する相対速度を計測するための計測ユニットを含む。計測装置12は、車両の走行速度の時系列データを出力し、走行抵抗算出装置14に送信する。具体的には、計測装置12は、路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを走行抵抗算出装置14に出力する。
上記計測装置12は、GPS(Global Positioning System)速度計や、車両の前面に設けられ、車両の走行による風圧、風が吹いている場合は、風を含んだ車両の走行による風圧を計測する差圧計等の公知のものを含む。
計測装置12は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを出力する。

0023

走行抵抗算出装置14は、コンピュータにより構成される。コンピュータの図示されないメモリに記憶されるプログラム起動することによってデータ取得部16及び走行抵抗算出部18が形成される。すなわち、データ取得部16及び走行抵抗算出部18は、プログラムが起動することにより形成されるソフトウェアモジュールである。したがって、データ取得部16及び走行抵抗算出部18の動作は、実質的にコンピュータの図示されないCPUによって司られる。

0024

データ取得部16は、計測装置12から送信される複数の速度条件毎の車両速度の時系列データを取得する。データ取得部16は、時系列データが差圧計が出力する風圧のデータの場合、風圧のデータを図示されない参照テーブルを用いて車両速度に変換する。
このように、複数の速度条件で車両速度の時系列データを取得するのは、図2に示すように、車両が惰行走行するテストコースにおける直線状の路面Xは、数100m〜1km程度であり、惰行走行に必要な距離に比べて距離が短いからである。図2は、惰行走行する車両の走る直線状の路面を説明する図である。路面Xを、車両の進入速度と下限速度を定めた複数の速度条件にしたがって、計測装置12は、車両速度の時間変化を計測する。図3は、データ取得部16が取得した、4つの異なる速度条件における車両速度の時系列データの一例を示す図である。図3では、凡例において、路面Xに入るときの進入速度120km/h、100km/h、80km/h、及び60km/hで各時系列データを特定している。そして、下限速度はそれぞれ100km/h未満、80km/h未満、及び60km/h未満となっている。
すなわち、データ取得部16は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面X上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する。

0025

走行抵抗算出部18は、走行中の車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する。具体的には、走行抵抗算出部18は、走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために、車両速度の時系列データにおける惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、上記関数式中の係数と、を値が未知のパラメータとして、設定した全ての速度条件における車両速度の時系列データを、運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングする。これにより、上記パラメータの値を求めて決定して、走行抵抗算出部18は、上記パラメータの値を用いて走行抵抗を算出する。
走行抵抗は車両速度vの関数式、例えば下記のような2次式で表される。ここで、mは、車両全体の質量であり、a,b,cは、値が未知の係数(パラメータ)である。また、この一般解は、下記式のように表される。

0026

0027

上記式中の一般解におけるkは、運動方程式を積分したときの積分定数であり、上記時間シフト量に関するものである。したがって、図3の場合、4つの速度条件の時系列データを1つの纏めるために、a,b,cと、進入速度100km/hの時系列データにおける時間シフト量、進入速度80km/hの時系列データにおける時間シフト量、進入速度60km/hの時系列データにおける時間シフト量を未知の値として、設定した全ての速度条件における車両速度の時系列データを、上記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングする。これにより、上記シフト量の他に、係数a,b,cの値が求まるので、車両速度に依存した走行抵抗を算出することができる。例えば、車両の抗力係数Cdは、Cd=2×a/(ρ・S)(ρは空気の密度であり、Sは車両前面投影面積である)として算出される。また、車両の転がり抵抗は、v×b+cとして算出される。転がり抵抗は、車両速度vの1次関数として表される。
例えば、図3に示す例では、車両速度120km/hから40km/hまでの抗力係数Cdは、0.306と算出され、転がり抵抗は、2.8×v+95.7[N]と算出される。

0028

上記一般解へのフィッティングは、値が未知のパラメータに初期値を与えて最小二乗法を用いて時系列データと一般解との誤差が小さくなるように、パラメータの値を繰り返し修正し、上記誤差が許容範囲内になったときのパラメータの値を、最終的な値として決定することができる。例えば、上記パラメータの値は、ニュートンラフソン法等の公知の方法を用いて決定することができる。初期値は、a=0.78〜1.56kg/m、b=1〜10N/(m/秒)、c=50〜100N、k=2000〜5000×m(mは車両全体の質量)の範囲内の値を用いることが、パラメータの値の修正回数を少なくする点から好ましい。また、時系列データの時間シフト量の初期値は、図5に示すように、車両速度が重なる2つの時系列データにおいて、一方の時系列データにおける速度が他方の時系列データの進入速度となる時点を抽出し、この時点の時間を上記時間シフト量とすることが好ましい。図5は、時系列データの時間シフト量の初期値の設定方法を説明する図である。例えば、図3に示す例の場合、進入速度100km/hの時系列データの時間シフト量は、進入速度120km/hの時系列データにおいて速度100km/hになるときの時間t1を進入速度100km/hの時系列データの時間シフト量とする。同様に、進入速度80km/h(60km/h)の時系列データの時間シフト量は、進入速度100km/h(80km/h)の時系列データにおいて速度80km/h(速度60km/h)になるときの時間t2(t3)と時間t1(時間t1+時間t2)の和を進入速度80km/h(60km/h)の時系列データの時間シフト量とする。
このような算出結果は、ディスプレイプリンタ等の公知の出力装置20に送られ、画面表示やプリント出力される。

0029

図4は、図3に示す4つの時系列データを一般解へフィッティングすることにより、1つの時系列データに纏めた結果を示す図である。図4に示されるように、4つの時系列データが極めて滑らかに接続されている。

0030

このように、本実施形態では、コンピュータである走行抵抗算出装置14を用いて、車両の走行抵抗を算出するとき、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測装置12が出力する。そして、走行抵抗算出装置14が、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する。この後、走行抵抗算出装置14が、走行中の車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方式を用いて、各速度条件の時系列データから、車両の走行抵抗を算出する。このとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、関数式中の係数と、を未知のパラメータとして、設定した全ての速度条件における車両速度の時系列データを、運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、パラメータの値を求めて走行抵抗を算出する。このため、車両速度40km/h〜120km/hの幅広い車両速度の範囲で、車両の走行抵抗を精度良く算出することができる。
図3に示す例において、4つの時系列データのそれぞれ別々に、上記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、パラメータの値を求めて抗力係数Cdを求めると、進入速度120km/hの時系列データでは0.332となり、進入速度100km/hの時系列データでは0.302となり、進入速度80km/hの時系列データでは0.383となり、進入速度60km/hの時系列データでは0.309となり、抗力係数Cdはばらつく。これに対して、本実施形態では、抗力係数等は1つ算出することができる。

0031

なお、走行抵抗を算出するとき、パラメータの値から、車両の抗力係数Cd及び転がり抵抗の少なくとも1つを算出することが、車両の空力特性及び車両に装着しているタイヤの転がり抵抗の優劣を評価する上で好ましい。例えば、タイヤの転がり抵抗は、車両の走行抵抗における車両速度の1次関数で略定められる。
なお、走行抵抗が車両速度vに依存する関数式は、車両速度vの2次の多項式であることが、より簡単な関数式を用いて、抗力係数Cd及び転がり抵抗を求めることができることから、好ましい。
さらに、複数の速度条件における車両速度範囲のうち、少なくとも1つの車両速度範囲がそれ以外の1つの速度範囲と部分的に重なるように、速度条件は定められることが、精度のよい一般解へのフィッティングができる点から好ましい。例えば、進入速度120km/hの速度条件における時系列データは、120km/hから例えば95km/hを下限速度とし、進入速度100km/hの速度条件における時系列データは、100km/hからとし、100km/h〜95km/hの範囲内で車両速度が重なっていることが、車両の走行抵抗をより精度良く算出することができる点から好ましい。このような車両速度の重なりは、すべての速度条件において定められていることがより好ましい。

0032

さらに、車両速度vは、例えば、車両の路面に対する相対速度であり、例えばGPS速度計で計測された速度である。この車両速度vを計測するとき、走行抵抗算出装置14は、車両の走行時の風速のデータを取得し、さらに、時系列データを風速のデータで補正した結果を用いて、上述した一般解へのフィッティングをして、パラメータの値を決定して走行抵抗を算出することが、より精度の高い走行抵抗を求める点から好ましい。
車両速度vの時系列データを風速のデータで補正するとは、風が車両の走行方向前方から後方に向かって流れる向かい風の場合、車両速度vに風速の速度を加算し、風が車両の走行方向後方から前方に向かって流れる追い風の場合、車両速度vから風速の速度を減算する。また、風が、車両走行方向に対して斜め方向に流れる風の場合、風速のデータのうち、車両走行方向に沿った風の速度成分が上述した加算あるいは減算に用いられる。
風速の計測を行なう場合、路面に沿って複数の風速計を配置し、車両が各風速計を通過するときの風速データを取得することが、精度の高い走行抵抗を算出する点から好ましい。勿論、路面の一箇所で風速を計測し、この計測結果を用いて、車両速度vの時系列データを補正してもよい。
なお、車両前方に固定した差圧計や風速計で車両速度vを計測する場合、差圧計や風速計から出力される車両速度vの時系列データには、風速のデータも含まれているので、風の速度を考慮するための上記補正をする必要がない。この点で、差圧計や風速計で車両速度vを計測することが、上記補正をしない点から好ましい。

0033

また、計測装置12は、車両の走行中のタイヤ温度、車両の走行中の路面温度、あるいは、車両の走行中の気温の少なくとも1つを温度データとして出力し、走行抵抗算出装置14は、計測した上記温度データを取得してもよい。走行抵抗算出部18が、走行抵抗を算出するとき、走行抵抗のうち転がり抵抗を表す係数、例えばb、cを算出し、算出した係数b、cを温度データで補正することにより、所定の温度における転がり抵抗を算出することが好ましい。温度データは、例えば、タイヤとリムに囲まれたタイヤ空洞領域に設けられたタイヤ内圧警報システム送信機にタイヤ内の空気の温度を計測するセンサを設けておき、このセンサで計測された温度が送信されて、データ取得部16が温度データを取得することができる。また、タイヤ表面の温度を公知の温度センサを用いて計測した結果をデータ取得部16が取得してもよい。また、路面の温度を公知の温度センサを用いて計測した結果を、データ取得部16が取得してもよい。このように、温度データを、転がり抵抗を算出するときに考慮するのは、転がり抵抗の温度依存性が大きいからである。

0034

このように、精度の高い転がり抵抗を算出する場合、係数b、cを温度データに基づいて補正をすることが好ましい。このような補正は、以下のように行うことができる。すなわち、事前室内ドラム試験機等を用いて室温やドラム面温度を種々変えてタイヤの走行速度に対する転がり抵抗の変化を取得し、この走行速度に対する転がり抵抗の変化を走行速度の1次式b×v+cで回帰して係数b、cを求める。さらに求めた係数b、cの温度依存性を表すために、係数b、cを温度の1次式で表す。例えば、b=α・T+β、c=γ・T+δと表す(α、β、γ、δは定数)。このような温度の1次式を用いて、本実施形態の車両の惰行走行時の車両速度の時系列データから求めた係数b、cの値を、係数b’、c’に補正する。例えば、所定の温度をT’とし、計測時の温度をTとしたとき、b’=b+α・(T’−T)、c’=c+γ・(T’−T)にしたがって係数b、cを補正する。

0035

以上、本発明の走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。

0036

10走行抵抗算出システム
12計測装置
14走行抵抗算出装置
16データ取得部
18 走行抵抗算出部
20 出力装置

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