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技術 火花点火式内燃機関の点火装置、点火装置の生産方法

出願人 ダイハツ工業株式会社
発明者 浅野守人
出願日 2014年10月29日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-220720
公開日 2016年5月23日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-089631
状態 未査定
技術分野 内燃機関の点火装置 変成器又はリアクトル一般
主要キーワード 巻掛伝動装置 機械負荷 火花放電電圧 基準運転 自己誘導作用 電源バッテリ 耐熱限界 最良値
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

火花点火式内燃機関付随する点火装置の特性の最適化を図り、全体の効率のさらなる向上に寄与する。

解決手段

気筒に設置した点火プラグ電極間火花放電惹起して気筒内の混合気点火する火花点火式内燃機関の点火装置であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において燃料消費率最良値または最良値近傍となるように一次側コイルと二次側コイルとの巻数比が選択された点火コイル、または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように選択された大きさの一次電圧を点火コイルの一次側コイルに印加させる一次電圧設定部と、基準運転領域以外の運転領域において、基準運転領域において点火コイルに入力する電気エネルギよりも大きな電気エネルギを点火コイルに入力する制御部とを具備する点火装置を構成した。

概要

背景

火花点火式内燃機関において、気筒充填された混合気点火するための点火プラグは、点火コイルにて発生する誘導電圧印加を受けて、中心電極接地電極との間で火花放電惹起する。

点火コイルに通電する電気回路上には、半導体スイッチング素子を有するイグナイタが設けられている。イグナイタの半導体スイッチを点弧すると、点火コイルの一次側に電流が流れる。一次側コイルを流れる一次電流は、半導体スイッチを点弧している間逓増する。その後、然るべき火花点火のタイミングにて半導体スイッチを消弧すると、一次電流が遮断された瞬間の自己誘導作用により点火コイルの一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と磁気回路及び磁束を共有する二次側コイルにさらに高い誘導電圧が発生する。この高い誘導電圧が点火プラグの中心電極に印加されることで、中心電極と接地電極との間に火花放電が生じる。

火花点火のために点火プラグに入力する電気エネルギの大きさは、半導体スイッチを消弧する時点で点火コイルの一次側コイルを流れている一次電流の大きさに依存する。つまり、一次側コイルへの通電時間を長くとるほど、二次側コイルひいては点火プラグに入力する電気エネルギを大きくすることができる。

そして、点火プラグに入力する電気エネルギ、即ち火花放電のエネルギが増大するほど、気筒における混合気への着火性が向上して燃焼が良好となり、当該気筒において熱−機械エネルギ変換により取り出される機械的エネルギが増加することが期待できる(以上、下記特許文献を参照)。

概要

火花点火式内燃機関に付随する点火装置の特性の最適化をり、全体の効率のさらなる向上に寄与する。気筒に設置した点火プラグの電極間に火花放電を惹起して気筒内の混合気に点火する火花点火式内燃機関の点火装置であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において燃料消費率最良値または最良値近傍となるように一次側コイルと二次側コイルとの巻数比が選択された点火コイル、または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように選択された大きさの一次電圧を点火コイルの一次側コイルに印加させる一次電圧設定部と、基準運転領域以外の運転領域において、基準運転領域において点火コイルに入力する電気エネルギよりも大きな電気エネルギを点火コイルに入力する制御部とを具備する点火装置を構成した。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

気筒に設置した点火プラグ電極間火花放電惹起して気筒内の混合気点火する火花点火式内燃機関点火装置であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において燃料消費率最良値または最良値近傍となるように一次側コイルと二次側コイルとの巻数比が選択された点火コイル、または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように選択された大きさの一次電圧を点火コイルの一次側コイルに印加させる一次電圧設定部と、前記基準運転領域以外の運転領域において、前記基準運転領域において前記点火コイルに入力する電気エネルギよりも大きな電気エネルギを前記点火コイルに入力する制御部とを具備する点火装置。

請求項2

気筒に設置した点火プラグの電極間に火花放電を惹起して気筒内の混合気に点火する火花点火式内燃機関の点火装置を生産する方法であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように点火コイルの一次側コイルと二次側コイルとの巻数比を選択する、または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように点火コイルの一次側コイルに印加される一次電圧の大きさを選択することを特徴とする点火装置の生産方法

技術分野

0001

本発明は、車両等に搭載される火花点火式内燃機関に適用される点火装置に関する。

背景技術

0002

火花点火式内燃機関において、気筒充填された混合気点火するための点火プラグは、点火コイルにて発生する誘導電圧印加を受けて、中心電極接地電極との間で火花放電惹起する。

0003

点火コイルに通電する電気回路上には、半導体スイッチング素子を有するイグナイタが設けられている。イグナイタの半導体スイッチを点弧すると、点火コイルの一次側に電流が流れる。一次側コイルを流れる一次電流は、半導体スイッチを点弧している間逓増する。その後、然るべき火花点火のタイミングにて半導体スイッチを消弧すると、一次電流が遮断された瞬間の自己誘導作用により点火コイルの一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と磁気回路及び磁束を共有する二次側コイルにさらに高い誘導電圧が発生する。この高い誘導電圧が点火プラグの中心電極に印加されることで、中心電極と接地電極との間に火花放電が生じる。

0004

火花点火のために点火プラグに入力する電気エネルギの大きさは、半導体スイッチを消弧する時点で点火コイルの一次側コイルを流れている一次電流の大きさに依存する。つまり、一次側コイルへの通電時間を長くとるほど、二次側コイルひいては点火プラグに入力する電気エネルギを大きくすることができる。

0005

そして、点火プラグに入力する電気エネルギ、即ち火花放電のエネルギが増大するほど、気筒における混合気への着火性が向上して燃焼が良好となり、当該気筒において熱−機械エネルギ変換により取り出される機械的エネルギが増加することが期待できる(以上、下記特許文献を参照)。

先行技術

0006

特開2014−163348号公報

発明が解決しようとする課題

0007

点火コイルの一次側コイルと二次側コイルとの巻数比は、点火の際に一次側コイルに印加される一次電圧の大きさとともに、二次側コイルで誘起され点火プラグの電極に印加される二次電圧初期値(または、火花放電開始電圧)、並びに点火プラグの電極間に生じる火花放電の持続時間に影響を及ぼす。二次電圧の初期値は、火花放電に起因して点火プラグの電極を流れる二次電流の初期値と言い換えてもよい。

0008

基本的に、二次電圧の初期値が高いほど火花放電の持続時間は短くなり、逆に二次電圧の初期値が低いほど火花放電の持続時間は長くなる傾向にある。だが、最適な二次電圧の初期値及び火花放電の持続時間は常に一定ではなく、現在の内燃機関運転状況に応じて変化するものと考えられる。

0009

具体例を挙げると、混合気に着火しにくく気筒内の気流流速も遅い低負荷運転領域や混合気の空燃比リーンである状況、総じて燃料噴射量の少ない領域では、火花放電がより長く持続することで混合気への点火がより確実となるという側面が確かにある。

0010

しかしながら、燃料噴射量の多い比較的高負荷の運転領域では、混合気に着火しやすい上に火炎伝播も良好であり、火花放電を長く持続させる必要がない。つまり、当該運転領域では、長く続く火花放電に費やされる電気エネルギが無駄になっていると言える。さらに、気筒内の気流の流速が速いときには、火花放電の持続時間が長いことの意義は小さくなる。それよりは寧ろ、点火プラグに印加される二次電圧の初期値が高い方が、着火燃焼の安定化及び熱−機械エネルギ変換効率の向上にとって有効であると思われる。また、二次電圧の初期値を高くすれば、点火プラグの電極に付着し堆積するカーボン等のくすぶりを火花放電とともに酸化処理して除去する(いわば、焼き切る)ことが可能となり、内燃機関の長期に亘る性能維持のために有利となる。

0011

本発明は、火花点火式内燃機関に付随する点火装置の特性の最適化を図り、全体の効率のさらなる向上に寄与することを所期の目的としている。

課題を解決するための手段

0012

本発明では、気筒に設置した点火プラグの電極間に火花放電を惹起して気筒内の混合気に点火する火花点火式内燃機関の点火装置であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において燃料消費率最良値または最良値近傍となるように一次側コイルと二次側コイルとの巻数比が選択された点火コイル、及び/または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように選択された大きさの一次電圧を点火コイルの一次側コイルに印加させる一次電圧設定部と、前記基準運転領域以外の運転領域において、前記基準運転領域において前記点火コイルに入力する電気エネルギよりも大きな電気エネルギを前記点火コイルに入力する制御部とを具備する点火装置を構成した。

0013

基準運転領域は、好ましくは、混合気への着火が比較的容易で良好な燃焼を得られやすい運転領域、例えば中負荷ないし高負荷の運転領域とする。この基準運転領域において、燃料消費率が最良に近づくよう点火コイルの巻数比及び/または一次電圧を最適化することにより、当該運転領域における火花放電の持続時間を混合気の着火燃焼に必要十分な長さに調整することが可能となる。

0014

その上で、基準運転領域以外の運転領域、特に基準運転領域と比較して混合気への着火の難度の高い運転領域にあっては、点火コイルに入力する電気エネルギを基準運転領域におけるそれよりも大きくすることで、点火プラグに印加される二次電圧(または、二次電流)の初期値及び火花放電の持続時間を増大させるようにして、混合気の着火燃焼を良化する。

0015

本発明に係る、火花点火式内燃機関の点火装置の生産方法は、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において、燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように点火コイルの一次側コイルと二次側コイルとの巻数比を選択する、及び/または、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように点火コイルの一次側コイルに印加される一次電圧の大きさを選択することを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、火花点火式内燃機関に付随する点火装置の特性の最適化を図ることができ、全体の効率のさらなる向上に寄与し得る。

図面の簡単な説明

0017

本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成を示す図。
同実施形態の点火装置の回路図。
イグナイタの点弧から火花点火へと至る期間における、点火コイルの一次側コイルを流れる一次電流の推移を示す図。
内燃機関の気筒における燃焼圧及びイオン電流のそれぞれの推移を示す図。
点火エネルギと内燃機関の燃料消費率との関係を模式的に示す図。
基準運転領域における、点火コイルの二次側コイルで誘起される二次電圧と火花放電の持続時間との関係を模式的に示す図。
点火装置の特性パラメータ(典型的には、点火コイルの巻数比)と基準運転領域における内燃機関の燃料消費率との関係を模式的に示す図。
基準運転領域以外の運転領域における、点火コイルの二次側コイルで誘起される二次電圧と火花放電の持続時間との関係を模式的に示す図。

実施例

0018

本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。

0019

吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。

0020

排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用三元触媒41を配置している。

0021

排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、排気通路4を流れる排気の一部を吸気通路3に還流させて吸気に混交する、いわゆる高圧ループEGRを実現するものである。EGR装置2は、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33に接続している。

0022

図2に、本実施形態の内燃機関用点火装置の電気回路を示している。点火プラグ12は、点火コイル14にて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイル14は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子131を有するイグナイタ13とともに、コイルケースに一体的に内蔵される。

0023

本実施形態における制御部たるECU(Electronic Control Unit)0からの点火信号iをイグナイタ13が受けると、まずイグナイタ13の半導体スイッチ131が点弧して点火コイル14の一次側に電流が流れ、その直後の火花点火のタイミングで半導体スイッチ131が消弧してこの電流が遮断される。すると、自己誘導作用が起こり、一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と二次側とは磁気回路及び磁束を共有するので、二次側にさらに高い誘導電圧が発生する。二次側の誘導電圧は、10kVないし30kVに達する。この高い誘導電圧が点火プラグ12の中心電極に印加され、中心電極と接地電極との間で火花放電する。

0024

点火コイル14の一次側コイルは、半導体スイッチ131を介して車載電源バッテリ17に接続する。半導体スイッチ131を点弧し、バッテリ17から供給される直流電圧を一次側コイルに印加して通電を開始すると、一次側コイルを含む一次側(低圧系)の回路を流れる一次電流は逓増する。

0025

図3に、一次側コイルへの通電開始後の一次電流の推移を例示する。図3中、電流制限機能が働かない場合を破線で描画し、電流制限機能が働く場合を一点鎖線で描画している(実線については、後述する)。バッテリ17及び一次側コイルを含む一次側の電気回路をRL直列回路仮定すると、t=0時点にて直流電圧Eを印加した場合の一次電流I(t)は、
I(t)≒{1−e-(R/L)t}E/R
となる。即ち、過渡現象として一次電流は逓増するが、その増加の速さは徐々に衰える。十分に長い時間が経過すると、図3中の破線のように一次電流はE/Rに飽和する。

0026

イグナイタ13は、一次電流の過大化を抑制する電流制限機能を有している。この電流制限機能は、今日普及している既製のイグナイタのそれと同様である。具体的には、制御回路132が、検出抵抗133を介して、一次電流を当該抵抗133の両端間電圧の形で恒常的に計測する。そして、その一次電流(抵抗133の両端間電圧)の大きさが規定値以下である間は半導体スイッチ131を点弧する一方、規定値を超えたときには半導体スイッチ131を消弧する。これにより、一次電流を図3中の一点鎖線のように規定値にクリップする。

0027

本実施形態における点火コイル14は、気筒1に充填された混合気への火花点火のために最低限必要となるエネルギよりもずっと大きな放電エネルギを発生させることのできる、従来のコイルと比べて大きなインダクタンスを有するものである。

0028

気筒1の燃焼室内に充填された混合気に着火するために必要となる火花放電のエネルギは、通常30mJないし50mJ程度である。従来の点火コイルは、専らその程度の電気エネルギの印加を受けて火花放電電圧を発生させることを想定したものである。故に、点火コイルの耐熱限界も、30mJないし50mJ程度のエネルギなら十分に耐えられるという程度に過ぎない。

0029

これに対し、本実施形態では、必要に応じて火花放電のエネルギを増強することを考えており、最大で100mJないし130mJの電気エネルギを点火コイル14に印加する。従来の点火コイルに100mJもの大きな電気エネルギを印加すると、これが過加熱して損傷する懸念がある。本実施形態における点火コイル14は、混合気への火花点火のために必要となる電気エネルギよりもずっと大きな電気エネルギを蓄積することができ、また、そのような大きな電気エネルギが印加されたとしても発熱による損傷を生じないような高い耐熱性を有するものである。勿論、火花点火に最低限必要な程度の電気エネルギのみを点火コイル14に印加するようにして、エネルギの浪費を避けることも可能である。

0030

図3中、時点t1が、気筒1の点火タイミングである。この時点t1において、当該気筒1に付随するイグナイタ13の半導体スイッチ131を消弧し、当該気筒1に付随する点火コイル14の一次側コイルへの通電を遮断し、同点火コイル14にて発生する誘導電圧を当該気筒1の点火プラグ12の中心電極に印加する。

0031

時点t0が、平常時における点火コイル14の一次側コイルへの通電開始時点である。即ち、時点t0から時点t1までの期間が、点火コイル14の一次側コイルへの通電時間となる。図3中、平常時において一次側コイルを流れる一次電流を実線で描画している。

0032

翻って、時点t0’は、点火プラグ12に入力する火花放電のための電気エネルギを平常時よりも増大させる場合の、点火コイル14の一次側コイルへの通電開始時点である。即ち、時点t0’から時点t1までの期間が、点火コイル14の一次側コイルへの通電時間となる。通電開始時点t0’が平常時の通電開始時点t0よりも早いことから、この場合の通電時間は平常時の通電時間よりも長くなる。図3中、この場合の一次電流を一点鎖線で描画している。

0033

既に述べた通り、点火コイル14の一次側コイルを流れる一次電流は、半導体スイッチ131の点弧(時点t0または時点t0’)の後逓増する。従って、点火タイミングt1にて一次側コイルを流れている一次電流は、通電開始時点t0’を早めるほど大きくなる。一次電流が大きくなることは、点火コイル14に印加する電気エネルギが大きくなることを意味し、ひいては、半導体スイッチ131の消弧(時点t1)により誘起され点火プラグ12の中心電極に印加される誘導電圧が大きくなることを意味する。

0034

要するに、通電開始時点t0’を早める(点火タイミングt1において一次側コイルを流れている一次電流を大きくする)ほど、点火プラグ12に入力される電気エネルギが大きくなる。その結果として、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間で生ずる火花放電の電圧が高くなり、火花放電が継続する時間も長くなる。

0035

なお、イグナイタ13には、半導体スイッチ131を高電圧から保護する目的で、点火コイル14の一次側コイルに誘導される一次電圧の大きさを所定値に抑制する、例えばツェナーダイオード134を使用した一次電圧設定部を設けてある。半導体スイッチ131がIGBTである場合、電圧クランプ用のツェナーダイオード134はIGBT131のコレクタゲート間に介在し、そのアノードがIGBT131のゲートに接続し、カソードがIGBT131のコレクタに接続している。このツェナーダイオード134は、IGBT131を消弧することで点火コイル14の一次側コイルに誘起される一次電圧の大きさを、例えば350Vないし500Vの範囲内のある値にクリップし、一次電圧がそれ以上大きく高まることを阻止する働きをする。

0036

また、イグナイタ13は、点火コイル14またはイグナイタ13自身の温度が上限値を超えるような異常発熱を感知した場合に、一次側コイルへの通電を強制的に遮断する機能をも有している。

0037

本実施形態のECU0は、燃料の燃焼の際に気筒1の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、そのイオン電流を参照して燃焼状態の判定を行うことができる。

0038

図2に示しているように、本実施形態では、火花点火用の電気回路に、イオン電流を検出するための回路を付加している。この検出回路は、イオン電流を効果的に検出するためのバイアス電源部15と、イオン電流の多寡に応じた検出電圧増幅して出力する増幅部16とを備える。バイアス電源部15は、バイアス電圧を蓄えるキャパシタ151と、キャパシタ151の電圧を所定電圧まで高めるためのツェナーダイオード152と、電流阻止用ダイオード153、154と、イオン電流に応じた電圧を出力する負荷抵抗155とを含む。増幅部16は、オペアンプに代表される電圧増幅器161を含む。

0039

点火プラグ12の中心電極と接地電極との間のアーク放電時にはキャパシタ151が充電され、その後キャパシタ151に充電されたバイアス電圧により負荷抵抗155にイオン電流が流れる。イオン電流が流れることで生じる抵抗155の両端間の電圧は、増幅部16により増幅されてイオン電流信号hとしてECU0に受信される。

0040

図4に、正常燃焼における、イオン電流及び気筒1内の燃焼圧力筒内圧)のそれぞれの推移を例示する。図4中、イオン電流を破線で描画し、燃焼圧力を実線で描画している。イオン電流は、点火のための放電中は検出することができない。正常燃焼の場合のイオン電流は、火花点火の終了後、化学反応により、圧縮上死点の手前で減少した後、熱解離によって再び増加する。また、燃焼圧がピークを迎えるのとほぼ同時にイオン電流も極大となる。

0041

点火コイル14への通電やバルブ23、32類の開閉駆動、車両に実装されている電装系等への電力供給源となる発電機18は、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトからエンジントルクの供給を受けて発電し、その発電した電力を車載の蓄電装置17に蓄電する。

0042

発電機18は、自動車用発電機として旧来より用いられているオルタネータであることもあれば、内燃機関のクランクシャフトまたは車両の車軸(そして、駆動輪)を駆動する電動機としての機能を兼ね備えたモータジェネレータまたはISG(Integrated Starter Generator)であることもある。内燃機関と発電機18とは、例えばベルト及びプーリを要素とする巻掛伝動装置等を介して接続される。

0043

発電機18に付帯するICレギュレータまたはコントローラ181は、ECU0から発される、発電機18の出力電圧目標値を指令する制御信号mを受け付ける。そして、その指令された目標電圧に蓄電装置17の端子電圧(または、電装系に供給する電源電圧)を追従せしめるべく、半導体スイッチング素子をスイッチ動作させて励磁界磁巻線に印加する励磁電流の大きさを調節するPWM(Pulse Width Modulation)制御を実施する。発電機18の出力電圧は、励磁巻線を流れる励磁電流が大きいほど大きくなる。

0044

発電を行っている発電機18は、内燃機関から見れば機械的な負荷となる。発電機18の出力電圧が蓄電装置17の端子電圧を超越するとき、蓄電装置17が充電され、かつ発電機18から電装系の各種電気負荷に電力が供給される。つまり、発電機18が内燃機関のクランクシャフトの回転のエネルギを費やして電気エネルギを生成する仕事をする。蓄電装置17への充電量及び電気負荷への給電量は、発電機18の出力電圧と蓄電装置17の端子電圧との電位差に依存する。

0045

逆に、発電機18の出力電圧が蓄電装置17の端子電圧に満たないかこれに近いときには、蓄電装置17が充電されず、また発電機18から電装系の電気負荷に電力が供給されない(蓄電装置17から電気負荷に電力供給されることはある)。つまり、発電機18が内燃機関のクランクシャフトの回転のエネルギを費やす仕事をしないか、またはその仕事が小さくなる。

0046

要するに、ECU0から発電機18に高い発電電圧を指令すると、エンジン回転に対する発電機18の機械負荷増し、低い発電電圧を指令すると、エンジン回転に対する発電機18の機械負荷が減る。

0047

また、ICレギュレータまたはコントローラ181は、ECU0から発される、励磁電流の上限値を指令する制御信号mを受け付けるとともに、発電機18の励磁巻線を流れる励磁電流の大きさを介して検出し、励磁電流を指令された上限値以下に規制する。より具体的には、ICレギュレータまたはコントローラ181は、励磁巻線を流れる励磁電流のDUTY比であるfDUTYを制御する。励磁電流に上限を設けるのは、内燃機関100に対する機械的な負荷が過大となってエンジン回転が不安定化することを予防する意図である。故に、例えば、車両に実装されているエアコンディショナ冷媒圧縮用コンプレッサ(図示せず)の作動時と非作動時とでは、前者の方が励磁電流の上限値が低くなる。

0048

励磁電流の上限値へのクリップは、発電機18の発電電圧の目標電圧値への追従に優先する。つまり、ICレギュレータまたはコントローラ181は、蓄電装置17の端子電圧が未だECU0から指令された目標電圧未満であるとしても、発電機18の励磁巻線を流れる励磁電流が既にECU0から指令された上限に達している場合、それ以上励磁電流を増大させない。

0049

発電機18は、車両の減速時に回生制動を行い、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収することができる。ECU0は、運転者によるアクセルペダル踏込量が0または0に近い所定値以下となったとき、即ち内燃機関及び車両の減速が要求されているときに、発電機18の励磁巻線を流れる励磁電流の上限値及び発電機18の出力電圧を引き上げる制御信号mをICレギュレータまたはコントローラ181に与える。

0050

蓄電装置17は、バッテリ(鉛バッテリリチウムイオンバッテリニッケル水素バッテリ、その他)やキャパシタ等である。複数の種類の蓄電装置17を組み合わせて車両に搭載することもあり得る。

0052

入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度アクセル開度(いわば、要求されるエンジン負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、車載の蓄電装置17の端子電圧及び/または端子電流(特に、バッテリ電圧及び/またはバッテリ電流)を検出するセンサから出力される電圧/電流信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、ブレーキペダルが踏まれていることまたはブレーキペダルの踏込量を検出するセンサ(ブレーキスイッチマスタシリンダ圧センサ等)から出力されるブレーキ信号g、気筒1の燃焼室内での混合気の燃焼に伴って生じるイオン電流を検出する回路から出力される電流信号h等が入力される。

0053

出力インタフェースからは、イグナイタ13に対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、発電機18に付帯するICレギュレータまたはコントローラ181に対して発電機18を制御するための制御信号m等を出力する。

0054

ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラム解釈、実行し、運転パラメータ演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGR量)といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、mを出力インタフェースを介して印加する。

0055

要求EGR率、即ち気筒1に充填される混合気に占めるEGRガスの割合であるEGR率に対する要求値は、内燃機関の負荷が中程度の中負荷領域において最も高く、そこから負荷が減少するほど低下し、また負荷が増大するほど低下する。アイドル運転またはこれに近い低負荷運転領域や、アクセル開度が全開全負荷)または全開に近い高負荷運転領域では、要求EGR率は0となり、EGRバルブ23の開度も0となる。

0056

本実施形態のECU0は、気筒1に充填された混合気に点火するために点火コイル14そして点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、現在の内燃機関の運転領域[エンジン回転数,エンジン負荷(または、サージタンク33内吸気圧、気筒1に充填される吸気(新気)量若しくは燃料噴射量)]、現在の内燃機関の温度(特に、冷却水温)及び混合気の空燃比等に応じて決定する。

0057

ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域を表すパラメータ冷却温度及び空燃比等と、点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさ、換言すれば点火コイル14の一次側コイルへの通電時間との関係を規定したマップデータが格納されている。一次側コイルへの通電時間は、エンジン回転数の単位時間あたりの変化量の絶対値が所定以下である状態、即ち内燃機関が特に加速も減速もしない定常運転状態において、混合気の着火燃焼が安定し、かつエンジントルクが最大となるか最大に近くなるように、予め実験的に(試験または適合により)求められる。ECU0は、現在の内燃機関の運転領域、冷却水温及び空燃比等をキーとして当該マップ検索することで、点火コイル14の一次側コイルへの通電時間を知得する。さらに、この通電時間を、点火コイル14の一次側コイルに電圧を印加する蓄電装置17の現在の端子電圧(特に、バッテリ電圧)等により補正してもよい。その場合、蓄電装置17の端子電圧が低いほど通電時間を延長する。

0058

図5は、ある運転領域[エンジン回転数,エンジン負荷]における、火花放電を惹起するために点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさと、定常運転状態にある内燃機関の燃料消費率との関係を模式的に示したものである。燃料消費率とは、車両を単位距離走行させるために内燃機関が消費する燃料の量、または単位馬力を出力するために内燃機関が消費する燃料の量である。

0059

W0は、従来点火プラグ12に入力していた30mJ程度の電気エネルギを表す。点火プラグ12に入力する電気エネルギ、即ち火花放電のエネルギを従来の値W0よりも増大させると、気筒1における混合気の燃焼性が向上して、当該気筒1において熱−機械エネルギ変換により取り出される機械的エネルギが増加する。換言すれば、内燃機関が出力するエンジントルクが増大する。点火エネルギの増大による熱−機械エネルギ変換効率の向上効果は、低負荷運転領域やEGR率の大きい運転領域、あるいは空燃比リーンの状況下においてより大きく現れる。

0060

だが、点火プラグ12に入力する電気エネルギは元来、内燃機関から回転トルクの伝達を受けて駆動される発電機18によって発電されている。点火プラグ12に入力する電気エネルギを増大させることは、発電機18が発電のために消費する機械的エネルギが増加することを意味する。このため、点火プラグ12に入力する電気エネルギを増大させることによって内燃機関が出力する機械的エネルギが増加する量と、発電機18が同点火プラグ12に入力する電気エネルギの増大分を発電するために余分に費やす機械的エネルギの量とが均衡する点WBが存在する。点火プラグ12に入力する電気エネルギをWBよりも増大させることは却って効率を悪化させ、車両の燃費性能を低下させてしまう。

0061

そこで、ECU0は、各運転領域に対応したWBまたはその近傍点を、当該運転領域における点火エネルギに設定する。但し、運転領域によっては、WBがW0に略等しい、即ち点火エネルギを実質的にまたは全く増大させないこともあり得る。例えば、燃料噴射量の多い比較的高負荷の運転領域では、そもそも混合気に着火しやすく、火炎伝播も良好であり、点火プラグ12に入力する電気エネルギを増大させることによる熱−機械エネルギ変換効率の向上効果は微少であると予想され、WBとW0との間に明確な差が生じない可能性がある。

0062

基準となる運転領域を、混合気への着火が容易で良好な燃焼を得られやすい運転領域、例えば中負荷ないし高負荷の範囲内にある特定の運転領域に定めると、当該基準運転領域において点火コイル14ひいては点火プラグ12に入力する電気エネルギWBは、従来点火プラグ12に入力していた30mJ程度の値か、それよりもやや大きい30mJないし50mJの間の所定値となる。

0063

これに対し、当該基準運転領域以外の運転領域において点火プラグ12に入力する電気エネルギWBの大きさは、基準運転領域におけるそれ以上の値をとる。特に、基準運転領域と比較して混合気に着火しにくい運転領域にあっては、点火プラグ12に入力する電気エネルギWBを基準運転領域における電気エネルギWBよりも増大させる。その際の電気エネルギWBは、既に述べた通り最大で100mJないし130mJに達する。

0064

しかして、本実施形態の内燃機関用点火装置では、点火コイル14の特性を規定する一次側コイルと二次側コイルとの巻数比を、基準運転領域において燃料消費率が最良値または最良値近傍となるように選定している。

0065

図6は、点火コイル14の一次側コイルにある大きさの電気エネルギを入力したときの、二次側コイルで誘起され点火プラグ12の電極に印加される二次電圧(換言すれば、火花放電に起因して点火プラグ12の電極を流れる二次電流)と、火花放電の持続時間との関係を示したものである。図6中、一点鎖線は従来の点火コイルを採用した点火装置における二次電圧と火花放電の持続時間との関係を表している。また、ハッチングを施している面積の大きさは、点火コイル14に入力した電気エネルギの大きさに対応している。従来の点火装置では、点火プラグ12の電極間に生じる火花放電が、基準運転領域において混合気に適切に点火して混合気を燃焼させるために最小限必要となる持続時間Tよりも長く続いていた。混合気の燃焼のために必要十分な持続時間Tを超えて火花放電が持続することは、電気エネルギの浪費である。

0066

図6中、実線は本発明に則って点火コイル14を選定した場合の二次電圧と火花放電の持続時間との関係を表している。網掛け網点)を施した面積の大きさは、点火コイル14に入力した電気エネルギの大きさに対応する。言うまでもなく、これはハッチングを施した面積の大きさと同等である。本実施形態の点火装置では、火花放電の持続時間が、基準運転領域において混合気に適切に点火するために必要十分な持続時間Tに略等しいか、これよりも若干長くなる。その代わりに、二次電圧の初期値が、従来の点火装置のそれよりも高くなっている。二次電圧の初期値の上昇は、混合気への点火をより確実ならしめる効用をもたらす。

0067

図7に、点火装置の特性パラメータ、ここでは点火コイル14の巻数比と、基準運転領域における内燃機関の燃料消費率との関係を示す。点火タイミングにおいて点火コイル14の一次側コイルに印加される一次電圧をV1、一次電圧が一次側コイルに印加された結果二次側コイルに誘導される二次電圧をV2、一次側コイルの巻数をN1、二次側コイルの巻数をN2とおくと、
V2≒V1×(N2/N1)
なる関係が成立する。点火コイル14の巻数比(N2/N1)を変更すれば、二次電圧V2の初期値が変化し、その副作用で点火プラグ12の電極間に生じる火花放電の持続時間も変化する。本実施形態では、様々な巻数比の点火コイルを取捨選択し、その中から、基準運転領域における内燃機関の燃料消費率が最良値FBまたはその近傍値をとるような巻数比の点火コイル14を選び出して、点火装置に採用している。このようにして選択した点火コイル14を実装した点火装置は、従来の点火装置と比較して、基準運転領域における火花放電の持続時間が短くなり、二次電圧の初期値が高くなる。

0068

基準運転領域よりも混合気に着火しにくい運転領域、具体的には、基準運転領域よりもエンジン負荷が低い領域、基準運転領域よりもEGR率が高い(気筒1に充填される新気量が少ない)領域では、点火コイル14に入力する電気エネルギWBを、基準運転領域におけるそれよりも増大させる。これにより、図8に破線で表しているように、基準運転領域(実線で表す)と比較して火花放電の持続時間がより長くなり、二次電圧の初期値もより高くなる。この結果、混合気への着火性が向上して、燃焼が確実かつ良好となる。なお、図6と同様、網掛けを施した面積の大きさは点火コイル14に入力する電気エネルギの大きさに対応している。

0069

本実施形態では、気筒1に設置した点火プラグ12の電極間に火花放電を惹起して気筒1内の混合気に点火する火花点火式内燃機関の点火装置であって、基準となる所定の運転領域である基準運転領域において、点火コイル14に所定の大きさの点火エネルギを入力するとの条件の下、燃料消費率が最良値FBまたは最良値FB近傍となるように一次側コイルと二次側コイルとの巻数比が選択された点火コイル14と、前記基準運転領域以外の運転領域において、前記基準運転領域において前記点火コイル14に入力する電気エネルギWBよりも大きな電気エネルギWBを前記点火コイル14に入力する制御部0とを具備する点火装置を構成した。

0070

本実施形態によれば、混合気の着火性の改善及び熱−機械エネルギ変換効率の向上効果を見込める状況下において、点火コイル14ひいては点火プラグ12に入力する電気エネルギ、換言すれば火花放電のエネルギを増加させ、気筒1に充填された混合気を安定して着火燃焼させることができるようになる。

0071

そもそも混合気に着火しやすく火炎伝播も良好な基準運転領域や基準運転領域に近い運転領域では、点火プラグ12に入力する電気エネルギを徒に増大させずに済む。その上、点火プラグ12の電極間の火花放電が混合気への着火のために必要な持続時間Tを超えて長く持続することが回避され、代わりに二次電圧の初期値が増圧されることによって当該運転領域における混合気の着火性の良化及び熱−機械エネルギ変換効率のさらなる向上がもたらされ得る。加えて、点火プラグ12の電極に印加される二次電圧が高くなれば、点火プラグ12の電極に付着し堆積するカーボン等が火花放電時に酸化処理されて除去されるようになり、内燃機関の長期に亘る性能の維持に奏効する。

0072

従って、混合気の着火燃焼の安定化、ドライバビリティの向上とともに、火花点火のために費やされる電気エネルギの削減、内燃機関の総合的な燃費性能の良化を実現できる。

0073

なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、基準運転領域において燃料消費率が最良値FBまたは最良値FB近傍となるよう、点火コイル14の一次側コイルと二次側コイルとの巻数比を調整していた。だが、これに代えて、またはこれとともに、基準運転領域において燃料消費率が最良値FBまたは最良値FB近傍となるよう、一次側コイルに印加される一次電圧の大きさを調整することとしてもよい。

0074

繰り返しになるが、点火タイミングにおいて点火コイル14の一次側コイルに印加される一次電圧をV1、一次電圧が一次側コイルに印加された結果二次側コイルに誘導される二次電圧をV2、一次側コイルの巻数をN1、二次側コイルの巻数をN2とおくと、
V2≒V1×(N2/N1)
なる関係が成立する。一次側コイルに印加される一次電圧V1を変更すれば、二次電圧V2の初期値が変化し、その副作用で点火プラグ12の電極間に生じる火花放電の持続時間も変化する。一次側コイルに印加される一次電圧V1の大きさは、一次電圧設定部314の設計または選定を通じて調節することが可能である。具体的には、様々な大きさの降伏電圧即ちクランプ電圧V1を持つツェナーダイオード314を取捨選択し、その中から、(点火コイル14に所定の大きさの点火エネルギを入力するとの条件の下で)基準運転領域における内燃機関の燃料消費率が最良値FBまたはその近傍値をとるような降伏電圧V1のツェナーダイオード314を選び出して、点火装置に採用する。このようにして選択したツェナーダイオード314を実装した点火装置は、従来の点火装置と比較して、基準運転領域における火花放電の持続時間が短くなり、二次電圧の初期値が高くなる。

0075

本発明を、CDI(Capacitor DischargeIgnition)方式の点火装置に適用することも可能である。その場合には、点火コイルの一次側コイルに一次電圧を印加するキャパシタが、本発明にいう一次電圧設定部に相当する。

0076

内燃機関が備える複数の気筒1の各々に設置された点火プラグ12に対して入力する電気エネルギの大きさは、各気筒1で均等としてもよいし、各気筒1毎に異なっていてもよい。

0077

その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。

0078

本発明は、車両等に搭載される火花点火式内燃機関の点火装置に利用することができる。

0079

0…制御部(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
13…イグナイタ
131…半導体スイッチ(IGBT)
134…一次電圧設定部(ツェナーダイオード)
14…点火コイル
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
i…点火信号

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