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図面 (8)

課題

本発明は、産生信号誘発ポリマーであるPMPSを、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、容易に合成可能な産生信号誘発ポリマーの合成方法を提供することを課題とする。

解決手段

3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体合成工程と、ポリアルキルメタクリレート主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体合成工程と、ポリアルキルメタクリレート主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー合成工程と、を有する産生信号誘発ポリマーの合成方法を用いることにより、前記課題を解決できる。

概要

背景

サイトカイン(Cytokine)は、細胞から放出され、細胞間情報伝達分子となる低分子量の微量生理活性タンパク質である。体液を通って細胞表面の高親和性受容体などに結合して、細胞の増殖、分化細胞死又は創傷治癒などの多面的な生物活性発現させる。特に、免疫、炎症に関係したものが多く知られる。様々な細胞内シグナル伝達経路をへて、細胞のDNAやRNA変異やタンパク質合成パターンを変化させ、細胞の働きを変える。

図1は、マクロファージ刺激を受けた場合に、炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。図1に示すように、マクロファージ61は刺激62を受けると、インターロイキン6(IL6)やトゥーモアネクロシスファクター(TNF、腫瘍壊死因子)等の炎症性サイトカイン63を産生する。炎症性サイトカイン63が広がると、隣接する細胞を壊死させる。細胞の壊死は線維化(コラーゲン化)を生じさせる(非特許文献1、2)。この現象により心筋梗塞が悪化する様子が報告されている(非特許文献3)。

図2は、マクロファージにアポトーシス細胞近接させて、マクロファージにアポトーシス細胞を認識させた場合に、抗炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
図2に示すように、マクロファージ61にアポトーシス細胞65を近接させて、認識させた場合には、マクロファージ61は刺激を受けても、炎症性サイトカインではなく、インターロイキン10(IL10)やインターフェロンINF)等の抗炎症性サイトカイン66を産生する。抗炎症性サイトカインが産生されると、隣接する細胞の炎症を抑制できる。

しかし、アポトーシス(apoptosis)とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされるものであり、アポトーシス細胞は、白血球の一種である好中球であり、炎症を伴わずに細胞死する細胞であるので、自由に操作できず、取り扱いが難しかった。

そこで、本発明者は、ホスファチジルセリンを有するバイオミメテック材料を合成した。マクロファージはホスファチジルセリンのホスホリルセリン基を認識して抗炎症性サイトカインを産生する。そのため、この材料は、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することが可能であった。この材料を、細胞間情報伝達分子産生信号発機高分子(産生信号誘発ポリマー略記する。)と名付けた。

その後、Biomembrane mimic polymersの一つであるポリ−(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルセリン)(poly(2−methacryloyloxyethyl phosphorylserine):略称PMPS)が合成された(非特許文献4)。PMPSは、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーである。この材料もホスホリルセリン基を有するので、マクロファージが認識して抗炎症性サイトカインを産生可能であり、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することが可能と考えられ、前記産生信号誘発ポリマーの一つであると考えられる。

非特許文献1に開示のPMPSの合成方法では、ROHから出発して、環状のリン酸ハロゲン化物を反応させている(非特許文献1、519ページ参照)。この環状のリン酸ハロゲン化物は、空気中・高湿雰囲気において容易に分解するため、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことを要し、合成操作が容易ではなかった。

概要

本発明は、産生信号誘発ポリマーであるPMPSを、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、容易に合成可能な産生信号誘発ポリマーの合成方法を提供することを課題とする。3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体合成工程と、ポリアルキルメタクリレート主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体合成工程と、ポリアルキルメタクリレート主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー合成工程と、を有する産生信号誘発ポリマーの合成方法を用いることにより、前記課題を解決できる。

目的

本発明は、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー、例えば、PMPSを、環状のリン酸ハロゲン化物を用いることなく、かつ、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、容易に合成可能な産生信号誘発ポリマーの合成方法、産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体を提供する

効果

実績

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請求項1

活性化剤により、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物と、メタクリレート誘導体を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と、開始剤により、前記産生信号誘発モノマー前駆体を重合して、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程と、酸化剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基のリン三価から五価に酸化するとともに、脱保護剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基の3つの保護基を取り除いて、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とする産生信号誘発ポリマーの合成方法

請求項2

産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程の前工程として、活性化剤により、1つの保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、2つの保護基及びヒドロキシ基を有するセリン化合物を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物を合成することを特徴とする請求項1に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項3

保護基がベンジル(benzyl:Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:t−Bu)基、ベンジルオキシカルボニル基(benzyloxycarbonyl:Cbz)基、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:Boc)基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項4

前記活性化剤がイミダゾールハイドロクロライドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項5

前記酸化剤がtert−butylhydroperoxideであることを特徴とする請求項1に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項6

前記脱保護剤がPd/Cであることを特徴とする請求項1に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項7

産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程との間に、高極性溶媒低極性溶媒からなり、高極性溶媒が低極性溶媒の40vol%以下の混合溶媒展開溶媒として用いて、産生信号誘発モノマー前駆体を精製する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

請求項8

3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなるモノマーであって、前記3つの保護基がベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基であることを特徴とする産生信号誘発モノマー前駆体。

請求項9

ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーであって、前記3つの保護基がそれぞれ、ベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれかの官能基であることを特徴とする産生信号誘発ポリマー前駆体。

技術分野

0001

本発明は、産生信号誘発ポリマー合成方法、産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体に関する。

背景技術

0002

サイトカイン(Cytokine)は、細胞から放出され、細胞間情報伝達分子となる低分子量の微量生理活性タンパク質である。体液を通って細胞表面の高親和性受容体などに結合して、細胞の増殖、分化細胞死又は創傷治癒などの多面的な生物活性発現させる。特に、免疫、炎症に関係したものが多く知られる。様々な細胞内シグナル伝達経路をへて、細胞のDNAやRNA変異やタンパク質合成パターンを変化させ、細胞の働きを変える。

0003

図1は、マクロファージ刺激を受けた場合に、炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。図1に示すように、マクロファージ61は刺激62を受けると、インターロイキン6(IL6)やトゥーモアネクロシスファクター(TNF、腫瘍壊死因子)等の炎症性サイトカイン63を産生する。炎症性サイトカイン63が広がると、隣接する細胞を壊死させる。細胞の壊死は線維化(コラーゲン化)を生じさせる(非特許文献1、2)。この現象により心筋梗塞が悪化する様子が報告されている(非特許文献3)。

0004

図2は、マクロファージにアポトーシス細胞近接させて、マクロファージにアポトーシス細胞を認識させた場合に、抗炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
図2に示すように、マクロファージ61にアポトーシス細胞65を近接させて、認識させた場合には、マクロファージ61は刺激を受けても、炎症性サイトカインではなく、インターロイキン10(IL10)やインターフェロンINF)等の抗炎症性サイトカイン66を産生する。抗炎症性サイトカインが産生されると、隣接する細胞の炎症を抑制できる。

0005

しかし、アポトーシス(apoptosis)とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされるものであり、アポトーシス細胞は、白血球の一種である好中球であり、炎症を伴わずに細胞死する細胞であるので、自由に操作できず、取り扱いが難しかった。

0006

そこで、本発明者は、ホスファチジルセリンを有するバイオミメテック材料を合成した。マクロファージはホスファチジルセリンのホスホリルセリン基を認識して抗炎症性サイトカインを産生する。そのため、この材料は、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することが可能であった。この材料を、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機高分子(産生信号誘発ポリマーと略記する。)と名付けた。

0007

その後、Biomembrane mimic polymersの一つであるポリ−(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルセリン)(poly(2−methacryloyloxyethyl phosphorylserine):略称PMPS)が合成された(非特許文献4)。PMPSは、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーである。この材料もホスホリルセリン基を有するので、マクロファージが認識して抗炎症性サイトカインを産生可能であり、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することが可能と考えられ、前記産生信号誘発ポリマーの一つであると考えられる。

0008

非特許文献1に開示のPMPSの合成方法では、ROHから出発して、環状のリン酸ハロゲン化物を反応させている(非特許文献1、519ページ参照)。この環状のリン酸ハロゲン化物は、空気中・高湿雰囲気において容易に分解するため、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことを要し、合成操作が容易ではなかった。

先行技術

0009

J.Savill、et.al.、”Phagocyte recognition of cells undergoing apoptosis”、Immunol.Today 14、31−136(1993)
R.E.Voll、et al.、”Immunosuppressive effects of apoptotic cells”、Nature 390、350−351(1997)
M.Nian、P.Lee、N.Khaper、P.Liu、”Inflammatory Cytokines and Postmyocardial Infarction Remodeling”、Circ.Res.94、1543−1553(2004)
H.Kim、et.al.、Polymer 55(2014)517−524
King RB、Sundaram PM,”Bis(dialkylamino)phosphines”、J.Org.Chem.、49:1784-1789(1984)

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー、例えば、PMPSを、環状のリン酸ハロゲン化物を用いることなく、かつ、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、容易に合成可能な産生信号誘発ポリマーの合成方法、産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体を提供することを課題とする。

0011

本発明者は、上記事情を鑑みて、試行錯誤した結果、非特許文献1に記載の合成方法とは別の合成方法であって、環状のリン酸ハロゲン化物を用いることなく、かつ、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、容易に合成可能な産生信号誘発ポリマーの合成方法を見出した。この方法は、新規な産生信号誘発モノマー前駆体及び新規な産生信号誘発ポリマー前駆体を経由する方法である。
具体的には、まず、反応中間体を経由して、産生信号誘発モノマー前駆体を合成する。これは、リン酸アミノ基、カルボキシル基を保護した三価のホスホリルセリン基を有するモノマーであって、新規な材料である。
次に、この産生信号誘発モノマー前駆体を重合することにより、産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する。これは、リン酸、アミノ基、カルボキシル基を保護した三価のホスホリルセリン基を側鎖に有するポリマーであって、新規な材料である。
次に、この産生信号誘発ポリマー前駆体を酸化及び脱保護することにより、産生信号誘発ポリマーを合成する。これは、リン酸、アミノ基、カルボキシル基を脱保護した五価のホスホリルセリン基を有するポリマーであり、マクロファージが認識して抗炎症性サイトカインを産生可能であり、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することが可能である。
なお、所定の展開溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、産生信号誘発ポリマー前駆体を精製して、純度を高めることにより、産生信号誘発ポリマーの収率を高めることができる。
本合成方法は収率高く、かつ、容易に産生信号誘発ポリマーを合成できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。

0012

(1)活性化剤により、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物と、メタクリレート誘導体を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と、開始剤により、前記産生信号誘発モノマー前駆体を重合して、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程と、酸化剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化するとともに、脱保護剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基の3つの保護基を取り除いて、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とする産生信号誘発ポリマーの合成方法。

0013

(2)産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程の前工程として、活性化剤により、1つの保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、2つの保護基及びヒドロキシ基を有するセリン化合物を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物を合成することを特徴とする(1)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

0014

(3)保護基がベンジル(benzyl:略称Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:略称t−Bu)基、ベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl:略称Cbz)基、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:略称Boc)基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

0015

(4)前記活性化剤がイミダゾールハイドロクロライドであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。
(5)前記酸化剤がtert−butyl hydroperoxideであることを特徴とする(1)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。
(6)前記脱保護剤がPd/Cであることを特徴とする(1)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

0016

(7)産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程との間に、高極性溶媒低極性溶媒からなり、高極性溶媒が低極性溶媒の40vol%以下の混合溶媒を展開溶媒として用いて、産生信号誘発モノマー前駆体を精製する工程と、を有することを特徴とする(1)に記載の産生信号誘発ポリマーの合成方法。

0017

(8)3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなるモノマーであって、前記3つの保護基がベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基であることを特徴とする産生信号誘発モノマー前駆体。

0018

(9)ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーであって、前記3つの保護基がそれぞれ、ベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれかの官能基であることを特徴とする産生信号誘発ポリマー前駆体。

発明の効果

0019

本発明の産生信号誘発ポリマーの合成方法は、活性化剤により、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物と、メタクリレート誘導体を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と、開始剤により、前記産生信号誘発モノマー前駆体を重合して、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程と、酸化剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化するとともに、脱保護剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基の3つの保護基を取り除いて、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とする構成なので、環状のリン酸ハロゲン化物を用いることなく、かつ、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、産生信号誘発ポリマーを容易に合成できる。産生信号誘発ポリマーは、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能であり、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することができる。産生信号誘発ポリマーを利用することにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。

0020

本発明の産生信号誘発モノマー前駆体は、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなるモノマーであって、前記3つの保護基がベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基である構成なので、ホスホリルセリン基のリン酸、アミノ基、カルボキシル基を反応させることなく、重合により、産生信号誘発ポリマー前駆体を容易に合成できる。

0021

本発明の産生信号誘発ポリマー前駆体は、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーであって、前記3つの保護基がそれぞれ、ベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれかの官能基である構成なので、酸化・脱保護により、ホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化し、3つの保護基を脱保護して、産生信号誘発ポリマーを容易に合成できる。

図面の簡単な説明

0022

マクロファージは刺激を受けた場合に、炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
マクロファージにアポトーシス細胞を近接させて、マクロファージにアポトーシス細胞を認識させた場合に、抗炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
得られたクルード生成物(実施例1)のNMRチャート図である。
得られた白色固体(実施例1)のNMRチャート図である。
得られたクルード生成物(実施例2)のNMRチャート図である。
得られたクルード生成物(実施例2)のマススペクトルである。
得られた白色固体(実施例2)のNMRチャート図である。

0023

(本発明の実施形態)
<産生信号誘発ポリマーの合成方法>
まず、本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法について説明する。
本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、産生信号誘発モノマー前駆体合成工程S1と、産生信号誘発ポリマー前駆体合成工程S2と、産生信号誘発ポリマー合成工程S3と、を有する。

0024

(産生信号誘発モノマー前駆体合成工程S1)
反応式(1)に示すように、活性化剤により、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物(反応中間体)と、メタクリレート誘導体を反応させる。これにより、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体を合成する。

0025

0026

X1、X2、X3はそれぞれ同一又は異なる官能基である。リン酸、アミノ基、カルボニル基の保護し、それらの反応を抑制することから、保護基と呼ばれる。

0027

保護基X1、X2、X3としては、ベンジル(benzyl:略称Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:略称t−Bu)基、ベンジルオキシカルボニル(benzyl oxycarbonyl:略称Cbz)基、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:略称Boc)基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基を挙げることができる。
これらにより、リン酸、アミノ基、カルボニル基の保護し、重合反応の際、反応されることを抑制できる。また、重合反応後、容易に取り外すことができる。

0028

メタクリレート誘導体としては、ヒドロキシアルキルメタクリレートを挙げることができる。アルキル基はC1以上C5以下が好ましい。

0029

[産生信号誘発モノマー前駆体]
産生信号誘発モノマー前駆体は、3つの保護基X1、X2、X3が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなるモノマーである。
3つの保護基X1、X2、X3がベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基である。

0030

(前工程)
なお、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物は、反応式(2)に示すように、前工程で、活性化剤より、1つの保護基X1を有するホスホロアミダイト化合物と、2つの保護基X2、X3及びヒドロキシ基(OH基)を有するセリン化合物を反応させて、容易に合成できる。

0031

0032

活性化剤としては、イミダゾール・ハイドロクロライドを挙げることができる。これにより、反応を促進できる。

0033

非プロトン性有機溶媒であるジクロロメタンを用いることが好ましい。これにより、セリン化合物の水酸基にホスホロアミダイト化合物を結合ことができる。

0034

ホスホロアミダイト化合物としては、O−Benzyl N,N,N,N−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを挙げることができる。
このホスホロアミダイト化合物は、PO結合を有し、酸素(O)に保護基X1が結合され、Pに2つのアミノ基が結合されてなる。各アミノ基には2つのアルキル基が接合されている。各アルキル基は、水素又はC1〜C5のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。(2)では、一例として、ジイソプロピル−アミノ基を用いている。また、保護基X1としてはベンジル(benzyl:略称Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:略称t−Bu)基を挙げることができる。

0035

セリン化合物としては、カルボキシル基の酸素に保護基X2が結合され、アミノ基のNに保護基X3が結合されてなる化合物を挙げることができる。

0036

第2の保護基X2としては、ベンジル(benzyl:略称Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:略称t−Bu)基を挙げることができ、第3の保護基X3としては、ベンジルオキシカルボニル(benzyl oxycarbonyl:略称Cbz)基、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:略称Boc)基を挙げることができる。
具体的には、セリン化合物としては、ベンジルエステル(N−Z−L−serine benzyl ester)、tert-ブチルエステル(N−Boc−L−serine tert−butyl ester)等を挙げることができる。ベンジルエステルは市販品を用いることができる。

0037

Bocは、(CH3)3C−O−C(=O)−構造からなる官能基である。アミノ基の保護基として重要である。脱保護によって生ずる副生成物気体イソブテン二酸化炭素だけなので後処理が簡便である。

0038

前記活性化剤としては、イミダゾール・ハイドロクロライドを挙げることができる。これにより、反応を促進できる。

0039

なお、産生信号誘発モノマー前駆体は精製することが好ましい。精製方法は、カラムクロマトグラフィー法を挙げることができる。精製に用いる展開溶媒は、高極性溶媒と低極性溶媒の混合溶媒が好ましく、低極性溶媒のvol比を高くしたものが好ましい。高極性溶媒が低極性溶媒の40vol%以下とすることが好ましい。特に、高極性溶媒:低極性溶媒=1:3としたものが好ましい。
低極性溶媒としては、Hexaneを挙げることができ、高極性溶媒としては、MeOH、EtOH、Chloroform、Ethyl acetateを挙げることができる。
低極性溶媒とは、溶解パラメーターが8以下のものであり、高極性溶媒とは溶解パラメーターが8以上のものである。

0040

(産生信号誘発ポリマー前駆体合成工程S2)
反応式(3)に示すように、開始剤により、前記産生信号誘発モノマー前駆体を重合する。これにより、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する。

0041

0042

開始剤として2、2’−azobis(4−methoxy−2,4−dimethylvaleronitrile)を挙げることができる。

0043

ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖のアルキル基はC1〜C5が好ましい。

0044

[産生信号誘発ポリマー前駆体]
産生信号誘発ポリマー前駆体は、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基X1、X2、X3が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する。
3つの保護基X1、X2、X3がそれぞれ、ベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれかの官能基である。

0045

(産生信号誘発ポリマー合成工程S3)
反応式(4)に示すように、酸化剤により、前記ホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化するとともに、脱保護剤により、前記ホスホリルセリン基の3つの保護基を取り除く。これにより、産生信号誘発ポリマーを合成する。産生信号誘発ポリマーとして、ここでは、PMPSを一例として挙げている。

0046

0047

産生信号誘発ポリマーは、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン(PhoSer:略称PS)基を含む側鎖と、を有する。

0048

ホスホリルセリン基は、アミノ基とカルボキシル基を備えたキラル炭素を有し、正電荷を有するアミノ基と、負電荷を有するカルボキシル基により発生する微視的電場の影響を受けたキラル炭素が、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する。よって、前記ホスホリルセリン基をマクロファージに近接させることのより、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発して、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。つまり、ホスホリルセリン基が産生信号誘発部位である。

0049

ホスホリルセリン基はL型が好ましい。L型は、D型に比べ、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発能が高く、前記ホスホリルセリン基をマクロファージに近接させることのより、抗炎症性サイトカインをより産生させることができる。

0050

ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖のアルキル基はC1〜C5が好ましい。これにより、産生信号誘発ポリマーを生体適合性ポリマーとして取り扱うことができる。C1の場合、主鎖はポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate:略称PMMA)となり、産生信号誘発ポリマーはPMPSとなる。

0051

ポリアルキルメタクリレートは、生体が持つ異物反応(例えば、炎症の惹起血栓形成などの反応)を起こさず、生体に対して不活性なポリマー及び/又は生体内で徐々に分解され、代謝排泄されてしまう生体適合性ポリマーの一つであり、医用材料に応用できる。
ポリアルキルメタクリレートの側鎖には、ホスホリルセリン基のような産生信号誘発部位を安定に存在させることができる。

0052

産生信号誘発ポリマーの側鎖はすべて産生信号誘発部位を包含している。これにより、マクロファージの認識能も高め、マクロファージへの誘発能も高めて、細胞間情報伝達分子をより多く、短時間で産生させることができる。

0053

産生信号誘発ポリマーは、分子量1万以上であることが好ましい。これにより、産生信号誘発部位を安定に存在させることができる。更に、膜状、液状又は粒子状のバイオミメテック材料としたときの安定性も高めることができる。

0054

酸化剤としては、tert−butyl hydroperoxideを挙げることができる。これにより、ホスホリルセリン基のリンのみを三価から五価に効率よく酸化できる。

0055

脱保護剤としては、Pd/Cを挙げることができる。これにより、保護基のみを効率よく脱保護できる。
水素雰囲気酢酸中で、脱離(脱保護)する。
脱離(脱保護)反応時間は、1時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましい。

0056

産生信号誘発ポリマーは、例えば、産生信号誘発ポリマー膜としてから、マクロファージに近接させることにより、マクロファージに産生信号誘発部位を認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させる。

0057

なお、最終生成物「産生信号誘発ポリマー」は精製することが好ましい。精製方法としては再沈殿法を挙げることができる。

0058

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、活性化剤により、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物と、メタクリレート誘導体を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなる産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と、開始剤により、前記産生信号誘発モノマー前駆体を重合して、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程と、酸化剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化するとともに、脱保護剤により、前記産生信号誘発ポリマー前駆体のホスホリルセリン基の3つの保護基を取り除いて、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、ホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有する産生信号誘発ポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とする構成なので、環状のリン酸ハロゲン化物を用いることなく、かつ、嫌気性・嫌水性雰囲気で取り扱うことなく、水酸基をバランスよく反応させて、産生信号誘発ポリマーを容易にかつ確実に合成することができる。産生信号誘発ポリマーは、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能であり、アポトーシス細胞と同様な効果を奏することができる。産生信号誘発ポリマーを利用することにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。

0059

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程の前工程として、活性化剤により、1つの保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、2つの保護基及びヒドロキシ基を有するセリン化合物を反応させて、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物を合成する構成なので、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物を容易に合成できる。

0060

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、保護基がベンジル(benzyl:Bn)基、tert−ブチル(tert−butyl:t−Bu)基、ベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl:Cbz)基、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:Boc)基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基である構成なので、水酸基をバランスよく反応させることができ、産生信号誘発ポリマーを容易にかつ確実に合成できる。

0061

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、前記活性化剤がイミダゾール・ハイドロクロライドである構成なので、水酸基をバランスよく反応させて、産生信号誘発モノマー前駆体を容易に合成できる。また、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン化合物を容易に合成できる。

0062

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、前記酸化剤がtert−butyl hydroperoxideである構成なので、結合反応生成物のリンを三価から五価に効率よく酸化でき、産生信号誘発ポリマー前駆体を容易に酸化できる。

0063

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、前記脱保護剤がPd/Cである構成なので、第1〜第3の保護基を効率よく脱離することができ、産生信号誘発ポリマー前駆体を容易に脱保護できる。

0064

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法は、産生信号誘発モノマー前駆体を合成する工程と産生信号誘発ポリマー前駆体を合成する工程との間に、高極性溶媒と低極性溶媒からなり、高極性溶媒が低極性溶媒の40vol%以下の混合溶媒を展開溶媒として用いて、産生信号誘発モノマー前駆体を精製する工程と、を有する構成なので、産生信号誘発モノマー前駆体の純度を高めることができ、産生信号誘発ポリマー前駆体を収率高く合成できる。

0065

本発明の実施形態である産生信号誘発モノマー前駆体は、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基がメタクリレート誘導体に結合されてなるモノマーであって、前記3つの保護基がベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれか一又は二以上の官能基である構成なので、ホスホリルセリン基のリン酸、アミノ基、カルボキシル基を反応させることなく、重合により、産生信号誘発ポリマー前駆体を容易に合成できる。

0066

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマー前駆体は、ポリアルキルメタクリレートからなる主鎖と、3つの保護基が取り付けられたホスホリルセリン基を含む側鎖と、を有するポリマーであって、前記3つの保護基がそれぞれ、ベンジル基、tert−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基の群から選択されるいずれかの官能基である構成なので、酸化・脱保護により、ホスホリルセリン基のリンを三価から五価に酸化し、3つの保護基を脱保護して、産生信号誘発ポリマーを容易に合成できる。

0067

本発明の実施形態である産生信号誘発ポリマーの合成方法、産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0068

(実施例1)
<O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeの合成>
以下に示すように、Kingらの合成方法(非特許文献5)を用いて、O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを合成した。

0069

まず、窒素フロー下の二口フラスコ(300mL)に回転子、diisopropylamine 49mL、hexane 140mLを入れてから、マグネティックスターラーを用いて撹拌した。
次に、氷冷下、この溶液に、phospholus trichloride/hexane溶液(5mL/10mL)を、等圧滴下ロートにて、1mL/minの滴下速度滴下した。
次に、次の化学反応式(5)に示すように、この溶液を3時間室温で撹拌してから、80℃で22時間還流して、bis(diisopropylamino)chlorophosphineを合成した。

0070

0071

還流後、再び、反応容器を氷冷した。
次に、triethylamine(略称TEA)を24mL加えてから、等圧滴下漏斗でTEA/benzyl alcohol溶液(8mL/6mL)を滴下速度1mL/minで滴下して、氷冷下で25分撹拌し、更に、室温で35分撹拌した。
次に、反応後の溶液中に存在する析出物をろ過により除去した。
更に、ロータリーエバポレーター液体成分をある溶媒を完全に除去した。これにより、得られた残留物に20mLのhexaneを加えて残留物を溶解させた。
次に、この溶液を分液ロートに移してから、80mLのacetonitrileにて分液抽出操作を行い、acetonitrile層を廃棄した。
次に、同様の操作を60mLのacetonitrileで2回行い、hexane層から不純物を除去した。
次に、分液抽出操作により精製した溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶媒であるhexaneを完全に除去した。
以上により、次の化学反応式(6)に示すように反応させて、bis(diisopropylamino)chlorophosphineからO−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを得た。

0072

0073

<反応中間体の合成>
まず、窒素フロー、氷冷下の200mLナスフラスコに回転子を入れ、N−Z−L−serine benzyl ester(市販品)30mmol、dichloromethane 120mLを入れ、O−benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamidite/dichloromethane溶液(33mmol/80mL)を加えた。
次に、氷冷下でimidazole hydrochlorideを8.7mmol加え、室温で21時間撹拌した。
以上により、次の化学反応式(7)に示すように反応させて、反応中間体を得た。

0074

0075

<産生信号誘発モノマー前駆体の合成>
次に、N2フローした雰囲気下、室温で、hydroxy ethyl methacrylate(略称HEMA)(33mmol)を加えた。
次に、imidazole hydrochloride(84mmol)を45分毎に3回に分けて、加えた。
次に、150分後に、5wt%NaCl水溶液洗浄した。
次に、dichloromethaneにて抽出して、クルード生成物を得た。

0076

以上のように、次の化学反応式(8)に示すように反応させて、前記反応中間体をHEMAに反応させて、クルード生成物を得た。これは、Bn/Cbz protected phosphatidyl serine monomerであり、PS derivative monomerである。また、産生信号誘発モノマー前駆体である。

0077

0078

<産生信号誘発モノマー前駆体の精製>
次に、得られたクルード生成物を展開溶媒Hexane:ethyl acetate=3:1を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。

0079

<産生信号誘発モノマー前駆体の評価>
次に、得られたクルード生成物のNMR測定を行った。
図3は、得られたクルード生成物(実施例1)のNMRチャート図である。ピーク及びピーク強度により、目的とする化学構造合成物が得られたことを確認した。

0080

<産生信号誘発モノマー前駆体の重合>
まず、産生信号誘発モノマー前駆体「Bn/Cbz protected phosphatidyl serine monomer:略称Cbz−PS monomer」を1Mの濃度となるようにEthanol/Dimethylformamideに溶解し、氷冷下で撹拌した。
次に、開始剤「2,2’−azobis(4−methoxy−2,4−dimethylvaleronitrile):略称V−70」をCbz−PS monomer:V−70=100:1(molar ratio)となるように系に加え、凍結脱気操作を3回おこなった。
次に、系内部を窒素置換し、EtOH:DMF=1:1の混合溶媒中、N2フローした雰囲気下、30℃で24時間撹拌することで重合を進行させた。
その後、DMF中にて透析真空乾燥を行うことによって白色固体を得た。
以上のように、次の化学反応式(9)に示す化学反応に従い、白色固体を得た。白色固体は、産生信号誘発ポリマー前駆体「Bn/Cbz protected phosphatidyl serine polymer:略称Cbz−PS polymer」)である。

0081

0082

<産生信号誘発ポリマー前駆体の評価>
次に、得られた白色固体のNMR測定を行った。
図4は、得られた白色固体(実施例1)のNMRチャート図である。ピーク及びピーク強度により、目的とする化学構造が得られたことを確認した。
産生信号誘発ポリマー前駆体は、保護されたホスホリルセリン基を有する側鎖のみからなるものであった。
次に、GPCによって分子量を測定した。分子量Mw=15500であった。これにより、約25量体であることを算出できた。

0083

<酸化>
白色固体をdichloromethane溶媒に分散し、調製した溶液を氷冷し、酸化剤であるtert−butyl hydroperoxideを加え、攪拌した後、10wt%NaHSO3水溶液と5wt%NaHCO3水溶液でリンの酸化反応クエンチングした。これにより、三価のリンを五価になるまで酸化した。

0084

<脱保護>
酸化した白色固体を氷酢酸に溶解させてから、パラジウム炭素(Pd/C)触媒を分散させ、回転子とともに耐圧反応容器に入れてから、水素雰囲気下で数十時間激しく撹拌した。これにより、脱保護できた。

0085

以上のように、次の化学反応式(10)に示すように反応させて、産生信号誘発ポリマー前駆体を合成した。ホスホリルコリン基を有する側鎖のみを有するポリマーであった。

0086

0087

<産生信号誘発ポリマーの精製>
次に、パラジウム炭素触媒と溶液を遠心分離操作にて分け、液相をジエチルエーテルに滴下して再沈殿法にて精製した。

0088

(実施例2)
<O−tert−butoxy−N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeの合成>
まず、保護基をBenzylの代わりにtert−butylとした他は実施例1と同様にして、O−tert−butoxy−N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを合成した。

0089

<反応中間体の合成>
まず、N2フローした雰囲気下、氷冷下の200mLナスフラスコに回転子、N−Boc−L−serine tert−butyl ester(30mmol)と、CH2Cl2(120mL)を入れ、O−tert−butoxy−N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamidite/CH2Cl2(33mmol/80mL)を加えた。
次に、imidazole hydrochloride(8.7mmol)を加え、CH2Cl2中、N2フローした雰囲気下、室温で、21時間攪拌した。
以上のように、化学反応式(11)に示す化学反応に従い、反応中間体を合成した。

0090

0091

<産生信号誘発モノマー前駆体の合成>
次に、N2フローした雰囲気下、室温で、hydroxy ethyl methacrylate(略称HEMA)(33mmol)を加えた。
次に、imidazole hydrochlorideを45分毎に3回に分けて、加えた。
次に、150分後に、5wt%NaCl水溶液で洗浄した。
次に、dichloromethaneにて抽出して、クルード生成物を得た。

0092

以上のようにして、次の化学反応式(12)に示すように反応させて、前記反応中間体をHEMAに反応させて、クルード生成物を得た。これは、t−Bu/Boc protected phosphatidyl serine monomerであり、PS derivative monomerである。また、産生信号誘発モノマー前駆体である。

0093

0094

<産生信号誘発モノマー前駆体の精製>
次に、得られたクルード生成物を展開溶媒Hexane:ethyl acetate=3:1を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。

0095

<産生信号誘発モノマー前駆体の評価>
次に、得られたクルード生成物のNMR測定を行った。
図5は、得られたクルード生成物(実施例2)のNMRチャート図である。ピーク及びピーク強度により、目的とする化学構造の合成物が得られたことを確認した。
図6は、得られたクルード生成物(実施例2)のマススペクトルである。これによっても、目的とする化学構造の合成物が得られたことを確認した。

0096

<産生信号誘発モノマー前駆体の重合>
まず、産生信号誘発モノマー前駆体「t−Bu/Boc protected phosphatidyl serine monomer:略称Boc−PS monomer」を1Mの濃度となるようにDimethylformamide(略称DMF)に溶解し、氷冷下で撹拌した。
次に、開始剤「2,2’−azobis(4−methoxy−2,4−dimethylvaleronitrile):略称V−70」をBoc−PS monomer:V−70=100:1(molar ratio)となるように系に加え、凍結脱気操作を3回おこなった。
次に、系内を窒素置換し、DMF溶媒中、N2フローした雰囲気下、30℃で、24時間撹拌して、重合を進行させた。
その後、DMF中にて透析、真空乾燥を行うことによって白色固体を得た。
以上のように、次の化学反応式(13)に示す化学反応に従い、白色固体を得た。白色固体は、産生信号誘発ポリマー前駆体「t−Bu/Boc protected phosphatidyl serine polymer:略称Boc−PS polymer」)である。

0097

0098

<産生信号誘発ポリマー前駆体の評価>
次に、得られた白色固体のNMR測定を行った。
図7は、得られた白色固体(実施例2)のNMRチャート図である。ピーク及びピーク強度により、目的とする化学構造が得られたことを確認した。
産生信号誘発ポリマー前駆体の側鎖は、保護されたホスホリルセリン基を有する側鎖のみであった。

0099

<酸化>
白色固体をdichloromethane溶媒に分散し、調製した溶液を氷冷し、酸化剤であるtert−butyl hydroperoxideを加え、攪拌した後、10wt%NaHSO3水溶液と5wt%NaHCO3水溶液でリンの酸化反応をクエンチングした。これにより、三価のリンを五価になるまで酸化した。

0100

<脱保護>
酸化した白色固体を氷酢酸に溶解させてから、パラジウム炭素(Pd/C)触媒を分散させ、回転子とともに耐圧反応容器に入れてから、水素雰囲気下で数十時間激しく撹拌した。これにより、脱保護できた。

0101

<産生信号誘発ポリマーの精製>
次に、パラジウム炭素触媒と溶液を遠心分離操作にて分け、液相をジエチルエーテルに滴下して再沈殿法にて精製した。

0102

以上のようにして、次の化学反応式(14)に示すように反応させて、産生信号誘発ポリマーを合成した。ホスホリルコリン基を有する側鎖のみを有するポリマーであった。

0103

0104

(実施例3)
<展開溶媒の検討(Bn/Cbz protected phosphatidyl serine monomerの精製)>
まず、MeOH、EtOH、Chloroform、Ethyl acetate、Hexaneを用いて、TLC(Thin−Layer Chromatography)によってシリカゲルカラムクロマトグラフィーに用いる展開溶媒を検討した。

0105

その結果、MeOH、EtOH、Chloroform、Ethyl acetateのような極性が高い溶媒を用いた場合には、有意に精製を行うことができなかった。
逆に、極性が低いHexaneを用いた場合でも、有意な精製を行うことが出来なかった。
表1は、単一の溶媒を展開溶媒とした場合の実験結果を示す。

0106

0107

そこで、低極性溶媒であるHexaneと高極性溶媒であるMeOH、EtOH、Chloroform、Ethyl acetateを混合して用いることを検討した。

0108

まず、HexaneとMeOH、EtOH、Chloroform、Ethyl acetateを体積比1:1の割合で混合した溶媒について、TLCで検討した。
EtOH、Chloroform混合の場合では、溶媒の極性が高く、精製を有意に行うことができなかった。
また、HexaneとMeOHは混合しなかったため検討を行うことができなかった。
一方、Ethyl acetate/Hexaneの系では、精製を行うことが可能であることを確認した。しかし、溶媒の極性が若干高かったため精製に最適では無いことが示唆された。

0109

そのため、Ethyl acetateの比を10〜40%に調整したEthyl acetate/Hexaneにて精製の評価を行ったところ、産生信号誘発モノマー前駆体の精製において、「Ethyl acetate:Hexane=1:3」の展開溶媒を用いると、産生信号誘発モノマー前駆体の純度が高められ、産生信号誘発ポリマー前駆体の収率が向上した。これにより、Ethyl acetate:Hexane=1:3の濃度が精製に最適であるということが明らかとなった。
表2は、混合溶媒を展開溶媒とした場合の実験結果を示す。

実施例

0110

0111

本発明の産生信号誘発ポリマーの合成方法、産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体は、マクロファージに近接させることにより、産生信号誘発部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることができる産生信号誘発ポリマーの合成方法、及びその合成で使用される産生信号誘発モノマー前駆体及び産生信号誘発ポリマー前駆体に関するものであり、アポトーシス細胞のバイオミメテック材料となる産生信号誘発ポリマーを容易に製造でき、医薬品製造産業、医薬関連製品産業等において利用可能性がある。

0112

61…マクロファージ、62…刺激、63…炎症性サイトカイン、65…アポトーシス細胞、66…抗炎症性サイトカイン。

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