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技術 電気加熱式触媒コンバータ

出願人 イビデン株式会社トヨタ自動車株式会社
発明者 陸田史幸幸光秀之荻村章司
出願日 2014年10月28日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2014-219389
公開日 2016年5月19日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2016-084775
状態 特許登録済
技術分野 排気の後処理 触媒による排ガス処理
主要キーワード 金属厚板 各円筒体 アルミナ珪酸ガラス 高温酸化処理 多孔質焼成体 残存応力 炭化ケイ素質 セラミック質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月19日)のものです。
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図面 (4)

課題

絶縁層を形成した内管の曲部に、熱応力が発生したとしても、絶縁層にクラック剥れ等の破損が発生しにくい、耐久性に優れた電気加熱式触媒コンバータを提供する。

解決手段

触媒担持され、通電により発熱する触媒担体20と、触媒担体を収容するケース30と、触媒担体とケースとの間に介在する電気絶縁性マット40とを備えた排ガス浄化するための電気加熱式触媒コンバータ10であって、ケースは、最も外側に設けられた外管31と、該外管の内側に設けられた内管34とを備え、内管の内表面には絶縁層36が形成されており、第1曲部34a1に形成される第1曲部絶縁層36a1の厚さは、100〜400μmであり、第1曲部絶縁層の厚さは、第1曲部に連結している延在部のうち第1延在部34b1に形成される第1延在部絶縁層36b1の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満であることを特徴とする電気加熱式触媒コンバータ。

概要

背景

エンジンから排出された排ガス中に含まれる有害物質浄化するため、排気管経路には、排ガス浄化が可能な触媒担持した触媒コンバータが設けられている。
触媒コンバータによる有害物質の浄化効率を高めるためには、触媒コンバータの内部の温度を触媒活性化に適した温度(以下、触媒活性化温度ともいう)に維持する必要がある。

しかし、触媒コンバータを構成する触媒担体直接加熱する手段を備えていない車両では、車両が運転を開始した直後には、排ガスの温度が低いため、触媒コンバータ内部の温度が触媒活性化温度まで達せず、有害物質の排出を、有効に防止することが難しかった。
また、ハイブリット車両で、上記触媒担体を直接加熱する手段を備えていないものでは、モータ稼働し、エンジンが停止している際には、触媒コンバータ内部の温度が低下し、触媒活性化温度より低い温度になってしまうことがあり、やはり有害物質の排出を、有効に防止することが難しかった。

このような問題を解消するために、触媒担体自体を通電により発熱する発熱体とし、必要な場合に、触媒コンバータ内部の温度を触媒活性化温度以上の温度とする発明が、特許文献1等に開示されている。

概要

絶縁層を形成した内管の曲部に、熱応力が発生したとしても、絶縁層にクラック剥れ等の破損が発生しにくい、耐久性に優れた電気加熱式触媒コンバータを提供する。触媒が担持され、通電により発熱する触媒担体20と、触媒担体を収容するケース30と、触媒担体とケースとの間に介在する電気絶縁性マット40とを備えた排ガスを浄化するための電気加熱式触媒コンバータ10であって、ケースは、最も外側に設けられた外管31と、該外管の内側に設けられた内管34とを備え、内管の内表面には絶縁層36が形成されており、第1曲部34a1に形成される第1曲部絶縁層36a1の厚さは、100〜400μmであり、第1曲部絶縁層の厚さは、第1曲部に連結している延在部のうち第1延在部34b1に形成される第1延在部絶縁層36b1の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満であることを特徴とする電気加熱式触媒コンバータ。

目的

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、絶縁層を形成した内管の曲部に、熱応力が発生したとしても、絶縁層にクラックや剥れ等の破損が発生しにくい、耐久性に優れた電気加熱式触媒コンバータを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

触媒担持され、通電により発熱する触媒担体と、前記触媒担体を収容するケースと、前記触媒担体と前記ケースとの間に介在する電気絶縁性マットとを備えた排ガス浄化するための電気加熱式触媒コンバータであって、前記ケースは、最も外側に設けられた外管と、該外管の内側に設けられた内管とを備え、前記触媒担体より上流側を前記ケースの中心軸を含む平面で切断した切断面において、前記内管は、外側に凸となるように曲がった少なくとも一つの曲部と、前記曲部に連結している延在部とを有しており、前記内管の前記曲部及び前記延在部の少なくとも内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層が形成されており、前記曲部のうち最も前記触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さは、100〜400μmであり、前記第1曲部絶縁層の厚さは、前記第1曲部に連結している延在部のうち前記触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満であることを特徴とする電気加熱式触媒コンバータ。

請求項2

前記第1曲部は、直線状に折れ曲がった第1屈曲部である請求項1に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項3

前記第1屈曲部の角度が、120〜150°である請求項2に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項4

前記第1曲部は、曲線状に折れ曲がった第1湾曲部である請求項1に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項5

前記第1湾曲部の曲率半径は5〜15mmである請求項4に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項6

前記絶縁層は、さらに結晶性無機材を含む請求項1〜5のいずれかに記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項7

前記結晶性無機材は、カルシアマグネシアセリアアルミナ、及び、遷移金属酸化物のうち少なくとも1種を含む請求項6に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項8

前記非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスからなる請求項1〜7のいずれかに記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項9

前記低軟化点ガラスは、バリウムガラスボロンガラスストロンチウムガラスアルミナ珪酸ガラスソーダ亜鉛ガラス、及び、ソーダバリウムガラスのうち少なくとも一種を含むガラスである請求項8に記載の電気加熱式触媒コンバータ。

請求項10

前記絶縁層形成の対象となる内管の表面部分には、粗化処理が施されている請求項1〜9のいずれかに記載の電気加熱式触媒コンバータ。

技術分野

0001

本発明は、電気加熱式触媒コンバータに関する。

背景技術

0002

エンジンから排出された排ガス中に含まれる有害物質浄化するため、排気管経路には、排ガス浄化が可能な触媒担持した触媒コンバータが設けられている。
触媒コンバータによる有害物質の浄化効率を高めるためには、触媒コンバータの内部の温度を触媒活性化に適した温度(以下、触媒活性化温度ともいう)に維持する必要がある。

0003

しかし、触媒コンバータを構成する触媒担体直接加熱する手段を備えていない車両では、車両が運転を開始した直後には、排ガスの温度が低いため、触媒コンバータ内部の温度が触媒活性化温度まで達せず、有害物質の排出を、有効に防止することが難しかった。
また、ハイブリット車両で、上記触媒担体を直接加熱する手段を備えていないものでは、モータ稼働し、エンジンが停止している際には、触媒コンバータ内部の温度が低下し、触媒活性化温度より低い温度になってしまうことがあり、やはり有害物質の排出を、有効に防止することが難しかった。

0004

このような問題を解消するために、触媒担体自体を通電により発熱する発熱体とし、必要な場合に、触媒コンバータ内部の温度を触媒活性化温度以上の温度とする発明が、特許文献1等に開示されている。

先行技術

0005

特開2013−185573号公報

発明が解決しようとする課題

0006

図3は、特許文献1に開示された電気加熱式触媒コンバータを模式的に示す断面図である。
図3に示すように、この電気加熱式触媒コンバータ50は、発熱体である触媒担体60と、触媒担体60を収容するケース70と、ケース70と触媒担体60との間に設けられた絶縁性マット80とを備えており、ケース70は、外部の隔壁となる外管71と、外管71の内部に設けられた内管74とを備えており、内管74と触媒担体60との間の短絡を防止するために、内管74には、絶縁層76が設けられている。

0007

また、内管74は、ケース70の中心軸に向かって突出しており、この突出部分74aは、排ガスの高い熱を受けるので、スス等のパティキュレート(以下、PMという)が付着しても、熱によりPMの酸化が促進され、燃焼することにより除去され、短絡は発生しにくかった。

0008

特許文献1に開示された電気加熱式触媒コンバータで50は、突出部分74aが曲がっており、スプレーガン等を用い絶縁層76を設けると、曲部に絶縁層76が溜まりやすくなり、曲部に設けられた絶縁層76の厚さが、他の部分に設けられた絶縁層76の厚さよりも厚くなる傾向があった。
また、該電気加熱式触媒コンバータ50に排ガスが流入し温度が上昇すると、曲部は曲がった形状であるので、加工時に生じた残存応力開放されるため熱応力が生じやすい。これらの原因により、曲部に設けられた絶縁層76には、他の部分に設けられた絶縁層76よりも大きい熱応力がかかることになる。従って、曲部に設けられた絶縁層76にクラックや剥がれ等の破損が発生しやすくなる。
特に、触媒担体60に最も近い曲部に設けられた絶縁層76に破損が発生すると、破損した部分から触媒担体60までの距離が近いので、PMが堆積した際に、絶縁性を充分に保ちにくくなり、ケース70と触媒担体60とが短絡しやすくなるという問題があった。

0009

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、絶縁層を形成した内管の曲部に、熱応力が発生したとしても、絶縁層にクラックや剥れ等の破損が発生しにくい、耐久性に優れた電気加熱式触媒コンバータを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、曲部のうち最も触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さを、100〜400μmとし、さらに第1曲部絶縁層の厚さを、第1曲部に連結している延在部のうち触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満とすることにより、絶縁層にかかる熱応力を緩和できることを見出し本発明を完成させた。

0011

すなわち、本発明の電気加熱式触媒コンバータは、触媒が担持され、通電により発熱する触媒担体と、上記触媒担体を収容するケースと、上記触媒担体と上記ケースとの間に介在する電気絶縁性のマットとを備えた排ガスを浄化するための電気加熱式触媒コンバータであって、上記ケースは、最も外側に設けられた外管と、該外管の内側に設けられた内管とを備え、上記触媒担体より上流側を上記ケースの中心軸を含む平面で切断した切断面において、上記内管は、外側に凸となるように曲がった少なくとも一つの曲部と、上記曲部に連結している延在部とを有しており、上記内管の上記曲部及び上記延在部の少なくとも内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層が形成されており、上記曲部のうち最も上記触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さは、100〜400μmであり、上記第1曲部絶縁層の厚さは、上記第1曲部に連結している延在部のうち上記触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満であることを特徴とする。

0012

上記電気加熱式触媒コンバータにおいては、上記触媒担体より上流側を上記ケースの中心軸を含む平面で切断した切断面において、上記内管は、外側に凸となるように曲がった少なくとも一つの曲部と、上記曲部によって連結される延在部とを有している。つまり、上記内管は、上流側に向かうにつれ窄まる形状である。
ここで、内管は、排ガスの流れの中に突出しているともいえる。そのため、触媒担体より上流側の内管は、排ガスの熱を受け温度が上昇しやすい。また、内管と外管との間には空間が存在するので、内管から外管へ熱が移動することを抑制できる。これらにより内管の温度を効率的に高くすることができる。従って、内管にPMが付着しても、PMの酸化が促進され、内管からPMを除去することができる。その結果、上記ケースと上記触媒担体との間で短絡が発生することを防ぐことができる。

0013

また、上記電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記内管の上記曲部及び上記延在部の少なくとも内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層が形成されている。そのため、上記ケースと上記触媒担体との間で短絡が発生することを防ぐことができる。
なお、上記絶縁層は、非晶性無機材からなるので、原料となる非晶性無機材の粉末等を含有する原料組成物を塗布した後、加熱溶融させることにより比較的簡単に絶縁層を形成することができる。

0014

また、上記電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記曲部のうち最も上記触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さは、100〜400μmである。
曲部は温度変化が生じやすく、また、曲がった形状であるので、温度が上昇すると、加工時に生じた残存応力が開放されるため熱応力が生じやすい。そのため、曲部に設けられた絶縁層には、延在部に設けられた絶縁層よりも大きい熱応力がかかることになる。つまり、曲部に設けられた絶縁層は、クラックや剥離等の破損が発生しやすい部分である。特に、触媒担体に最も近い曲部に設けられた絶縁層に破損が発生すると、絶縁層が破損した部分から触媒担体までの距離が近いので、PMが堆積した際に、絶縁性を充分に保ちにくくなる。
しかしながら、第1曲部絶縁層の厚さが、100〜400μmであると、第1曲部絶縁層にかかる熱応力を充分に緩和することができる。
第1曲部絶縁層の厚さが100μm未満であると、絶縁性が不充分となり、上記ケースと、上記触媒担体との間で短絡が発生することがある。また、絶縁層の強度が不充分となり易く、外部からの衝撃により絶縁層が損傷しやすくなる。
第1曲部絶縁層の厚さが400μmを超えると、絶縁層の内部で温度差が発生し易くなり、クラック等が発生し易くなる。

0015

また、上記電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記第1曲部絶縁層の厚さは、上記第1曲部に連結している延在部のうち上記触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満である。
第1曲部絶縁層の厚さが第1延在部絶縁層の厚さの1倍以下であると、第1曲部絶縁層の厚さが薄いことに起因し、第1曲部絶縁層の絶縁性が不充分となり、上記ケースと、上記触媒担体との間で短絡が発生することがある。また、絶縁層の強度が不充分となり易く、外部からの衝撃により絶縁層が損傷しやすくなる。第1曲部絶縁層の厚さが第1延在部絶縁層の厚さの1.4倍以上であると、熱応力を緩和しにくくなり、内部からの熱応力により絶縁層にクラックや剥れが発生しやすくなる。

0016

本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、上記第1曲部は、直線状に折れ曲がった第1屈曲部であってもよい。また、上記第1曲部は、曲線状に折れ曲がった第1湾曲部であってもよい。
つまり、本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、上記第1曲部は、どのように折れ曲がっていても本発明の効果を奏する。

0017

本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、上記第1屈曲部の角度が、120〜150°であることが望ましい。
第1屈曲部の角度が、120〜150°であると、触媒担体より上流側の内管を好適に突出させることができ、排ガスの流入時に触媒担体より上流側の内管を速やかに高温にすることと、触媒担体へ均一にガスを当てることとの両立を図ることができる。そのため、好適にPMを除去することができる。
また、角度が、120〜150°である第1屈曲部は、熱応力を受けやすい形状である。しかし、上記のように第1曲部絶縁層の厚さを制御することにより、熱応力が発生する影響を緩和することができる。

0018

本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、上記第1湾曲部の曲率半径は5〜15mmであることが望ましい。
第1湾曲部の曲率半径が、5〜15mmであると、触媒担体より上流側の内管を好適に突出させることができ、排ガスの流入時に触媒担体より上流側の内管を速やかに高温にすることと、触媒担体へ均一にガスを当てることとの両立を図ることができる。そのため、好適にPMを除去することができる。
また、曲率半径が、5〜15mmである第1湾曲部は、熱応力を受けやすい形状である。しかし、上記のように第1曲部絶縁層の厚さを制御することにより、熱応力が発生する影響を緩和することができる。

0019

本発明の電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記絶縁層は、さらに結晶性無機材を含むことが望ましい。
上記電気加熱式触媒コンバータでは、絶縁層中耐熱性を有する結晶性無機材を含むので、絶縁層の耐熱性を向上させることができ、上記絶縁層が機械的にも強化される。

0020

本発明の電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記結晶性無機材は、カルシアマグネシアセリアアルミナ、及び、遷移金属酸化物のうち少なくとも1種を含むことが望ましい。
上記電気加熱式触媒コンバータでは、耐熱性を有するカルシア、マグネシア、セリア、アルミナ、及び、遷移金属の酸化物のうち少なくとも1種を含むので、絶縁層の耐熱性や機械的特性を改善することができる。

0021

本発明の電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスからなることが望ましい。
上記電気加熱式触媒コンバータでは、非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスからなるので、上記低軟化点ガラスを含む原料組成物を内管に塗布した後、加熱溶融させることにより比較的簡単に絶縁層を形成することができる。
上記低軟化点ガラスの軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、絶縁層となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなる。一方、低軟化点ガラスの軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により内管の機械的特性が劣化するおそれが生じる。

0022

本発明の電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記低軟化点ガラスは、バリウムガラスボロンガラスストロンチウムガラスアルミナ珪酸ガラスソーダ亜鉛ガラス、及び、ソーダバリウムガラスのうち少なくとも一種を含むガラスであることが望ましい。

0023

本発明の電気加熱式触媒コンバータにおいて、上記絶縁層形成の対象となる内管の表面部分には、粗化処理が施されていることが望ましい。
上記電気加熱式触媒コンバータでは、内管の表面部分に粗化処理が施されているため、内管の表面積が増加し、絶縁層と内管との密着性が改善され、温度の変化等が発生しても、剥離の発生しにくい絶縁層を形成することができる。

図面の簡単な説明

0024

図1は、本発明に係る電気加熱式触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
図2(a)及び(b)は、図1破線部の拡大図である。
図3は、特許文献1に開示された電気加熱式触媒コンバータを模式的に示す断面図である。

0025

(発明の詳細な説明)
以下、本発明の電気加熱式触媒コンバータについて具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。

0026

本発明の電気加熱式触媒コンバータは、触媒が担持され、通電により発熱する触媒担体と、上記触媒担体を収容するケースと、上記触媒担体と上記ケースとの間に介在する電気絶縁性のマットとを備えた排ガスを浄化するための電気加熱式触媒コンバータであって、上記ケースは、最も外側に設けられた外管と、該外管の内側に設けられた内管とを備え、上記触媒担体より上流側を上記ケースの中心軸を含む平面で切断した切断面において、上記内管は、外側に凸となるように曲がった少なくとも一つの曲部と、上記曲部に連結している延在部とを有しており、上記内管の上記曲部及び上記延在部の少なくとも内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層が形成されており、上記曲部のうち最も上記触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さは、100〜400μmであり、上記第1曲部絶縁層の厚さは、上記第1曲部に連結している延在部のうち上記触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満であることを特徴とする。

0027

図1は、本発明に係る電気加熱式触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す電気加熱式触媒コンバータ10は、車両に搭載される内燃機関の排気管に設けられている。内燃機関は、ディーゼル機関であっても、ガソリン機関であってもよい。また、電気モータを備えたハイブリッドシステムを採用した車両においても用いることができる。
図1に示す電気加熱式触媒コンバータ10は、電気加熱式触媒コンバータ10の中心軸Xに沿って電気加熱式触媒コンバータ10を縦方向に切断した断面図である。図1では、触媒担体20よりエンジンに近い上流側のみを示している。

0028

図1に示すように、本発明に係る電気加熱式触媒コンバータ10は、触媒が担持され、通電により発熱する触媒担体20と、触媒担体20を収容するケース30と、触媒担体20とケース30との間に介在する電気絶縁性のマット40とを備えている。
ケース30は、中心軸Xを中心とした円筒形状であり、最も外側に設けられた外管31と、外管31の内側に設けられた内管34とを備えている。
また、図1に示すように、内管34は、外側に凸となるように曲がった曲部34aと、曲部に連結している延在部34bとを有している。
つまり、上記内管は、上流側に向かうにつれ窄まる形状である。
そして、内管34の曲部34a及び延在部34bの内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層36が形成されている。

0029

ここで、内管34は、排ガスの流れ(図1中、矢印Yで示す)の中に突出しているともいえる。そのため、触媒担体20より上流側の内管34は、排ガスの熱を受け温度が上昇しやすい。また、内管34と外管31との間には空間が存在するので、内管34から外管31へ熱が移動することを抑制できる。これらにより内管34の温度を効率的に高くすることができる。従って、内管34にPMが付着しても、PMの酸化が促進され、内管34からPMを除去することができる。その結果、ケース30と触媒担体20との間で短絡が発生することを防ぐことができる。

0030

また、内管34の曲部34a及び延在部34bの内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層36が形成されていので、ケース30と触媒担体20との間で短絡が発生することを防ぐことができる。
なお、絶縁層36は、非晶性無機材からなるので、原料となる非晶性無機材の粉末等を含有する原料組成物を塗布した後、加熱溶融させることにより比較的簡単に絶縁層を形成することができる。
なお、絶縁性をより確実に確保するためには、内管34の内側及び外側の両方に絶縁層36が形成されていることが望ましい。さらに外管31の内側に絶縁層36が形成されていることが望ましい。

0031

電気加熱式触媒コンバータ10を構成するケース30(外管31及び内管34)の材質としては、例えば、ステンレス、鋼、鉄、銅等の金属、又は、インコネルハステロイインバー等のニッケル合金等が挙げられる。ケース30を構成する内管34の絶縁層36が形成される部分には、絶縁層36との密着性を向上させるためにサンドブラスト処理化学薬品等の粗化処理が施されていてもよい。

0032

上記粗化処理により形成される内管34の表面の表面粗さRzJISは、1.5〜20μmが望ましい。上記した粗化面の表面粗さRzJISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さであり、測長距離は、10mmである。
内管34の粗化面の表面粗さRzJISが1.5μm未満であると、内管34の表面積が小さくなるため、内管34と絶縁層36との密着性が充分に得られにくくなる。一方、内管34の粗化面の表面粗さRzJISが20μmを超えると、内管34の表面に絶縁層36が形成されにくくなる。これは、内管34の粗化面の表面粗さRzJISが大きすぎると、内管34の表面に形成された凹凸の谷の部分にスラリー絶縁層用の原料組成物)が入り込まず、この部分に空隙が形成されるためであると考えられる。
なお、内管の粗化面の表面粗さRzJISは、東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601(2001)に準拠し、測長距離を10mmにて測定することができる。

0033

本発明の電気加熱式触媒コンバータ10において、内管34の厚さの望ましい下限は0.8mm、より望ましい下限は1.2mmであり、望ましい上限は3mm、より望ましい上限は2mmである。
内管34の厚さが0.8mm未満であると、内管34の強度が不足する。また、内管34の厚さが3mmを超えると、内管34を所定の形状に加工しにくくなる。

0034

次に、曲部34aについて詳しく説明する。
図2(a)及び(b)は、図1の破線部の拡大図である。
図1に示すように、曲部34aは、全ての曲部34aのうち、最も触媒担体20側に配置される第1曲部34a1及びその次に配置される第2曲部34a2とからなっている。
電気加熱式触媒コンバータ10では第1曲部34a1は、図2(a)に示すよう直線状に折れ曲がった第1屈曲部34a1−1であってもよく、図2(b)に示すように、曲線状に折れ曲がった第1湾曲部34a1−2であってもよい。つまり、電気加熱式触媒コンバータ10では、第1曲部34a1は、どのように折れ曲がっていても本発明の効果を奏する。
なお、本明細書において第1屈曲部の範囲は、ケース30の中心軸を含む平面で切断した切断面において、屈曲点を始点として、屈曲点から内管の全長の3%の長さの領域のことを指す。
また、本明細書において、第1湾曲部の範囲は、ケース30の中心軸を含む平面で切断した切断面において曲率が15mm以下の部分の領域のことを指す。

0035

電気加熱式触媒コンバータ10では第1曲部34a1が第1屈曲部34a1−1である場合、第1屈曲部34a1−1の角度θは、120〜150°であることが望ましく、125〜135°であることがより望ましい。
第1屈曲部34a1−1の角度が、120〜150°であると、触媒担体20より上流側の内管34を好適に突出させることができ、排ガスの流入時に触媒担体20より上流側の内管34を速やかに高温にすることと、触媒担体20へ均一にガスを当てることとの両立を図ることができる。そのため、好適にPMを除去することができる。
また、角度が、120〜150°である第1屈曲部34a1−1は、熱応力を受けやすい形状である。しかし、後述するように、第1曲部絶縁層36a1の厚さを制御することにより、熱応力が発生する影響を緩和することができる。

0036

電気加熱式触媒コンバータ10では第1曲部34a1が第1湾曲部34a1−2である場合、第1湾曲部34a1−2の曲率半径rは、5〜15mmであることが望ましく、5〜8mmであることがより望ましい。
第1湾曲部34a1−2の曲率半径rが、5〜15mmであると、触媒担体20より上流側の内管34を好適に突出させることができ、排ガスの流入時に触媒担体20より上流側の内管34を速やかに高温にすることと、触媒担体20へ均一にガスを当てることとの両立を図ることができる。そのため、好適にPMを除去することができる。
また、曲率半径rが5〜15mmである第1湾曲部34a1−2は、熱応力を受けやすい形状である。しかし、後述するように、第1曲部絶縁層36a1の厚さを制御することにより、熱応力が発生する影響を緩和することができる。

0037

電気加熱式触媒コンバータ10では、第2曲部34a2の形状は特に限定されないが、第1曲部34a1の形状と同じであることが望ましい。
これまで説明してきた図1に示す電気加熱式触媒コンバータ10では、曲部34aが2つであったが、本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、曲部の数は1つでもよく、3つ以上であってもよい。
また、曲部34aに連結している延在部34bは、ケース30の中心軸を含む平面で切断した切断面において直線状であってもよく、曲線状であってもよく、直線と曲線とが組み合わさった形状であってもよい。

0038

次に絶縁層36について詳しく説明する。
電気加熱式触媒コンバータ10では、内管34の曲部34a及び延在部34bに形成された絶縁層36の厚さは、100〜400μmであることが望ましく、120〜200μmであることがより望ましい。
絶縁層36の膜厚を100〜400μmとすることにより、充分に絶縁性を確保することができ、内管34と触媒担体20との間の短絡を防止することができる。
絶縁層36の厚さが100μm未満であると、絶縁膜36が薄すぎるため、絶縁性能が不充分となり、一方、絶縁層36の厚さが400μmを超えると、絶縁層36の厚さが厚すぎるため、絶縁層36の内部で温度差が発生し易くなり、クラック等が発生し易くなる。

0039

図2(a)及び(b)に示すように、電気加熱式触媒コンバータ10において、第1曲部34a1には第1曲部絶縁層36a1が形成されており、延在部34bには延在部絶縁層36bが形成されている。

0040

電気加熱式触媒コンバータ10では、第1曲部34a1に形成される第1曲部絶縁層36a1の厚さは、100〜400μmである。また、第1曲部絶縁層36a1の厚さは、120〜200μmであることが望ましい。
曲部34aは温度変化が生じやすく、また、曲がった形状であるので、温度が上昇すると、加工時に生じた残存応力が開放されるため熱応力が生じやすい。そのため、曲部34aに設けられた絶縁層36には、延在部34bに設けられた絶縁層36よりも大きい熱応力がかかることになる。つまり、曲部34aに設けられた絶縁層36は、クラックや剥離等の破損が発生しやすい部分である。特に、触媒担体20に最も近い曲部34a(第1曲部34a1)に設けられた絶縁層36に破損が発生すると、絶縁層36が破損した部分から触媒担体20までの距離が近いので、PMが堆積した際に、絶縁性を充分に保ちにくくなる。
しかしながら、第1曲部絶縁層36a1の厚さが、100〜400μmであると、第1曲部絶縁層36a1にかかる熱応力を充分に緩和することができる。
第1曲部絶縁層36a1の厚さが100μm未満であると、絶縁性が不充分となり、ケース30と、触媒担体20との間で短絡が発生することがある。また、絶縁層36の強度が不充分となり易く、外部からの衝撃により絶縁層36が損傷しやすくなる。
第1曲部絶縁層36a1の厚さが400μmを超えると、絶縁層36の内部で温度差が発生し易くなり、クラック等が発生し易くなる。
なお、本明細書において「第1曲部絶縁層の厚さ」とは、第1曲部絶縁層の最大厚さのことを指し、図2(a)及び(b)中、T1で示す厚さのことを意味する。

0041

電気加熱式触媒コンバータ10では、第1曲部絶縁層36a1の厚さは、第1曲部34a1に連結している延在部34bのうち触媒担体20側に配置される第1延在部34b1に形成される第1延在部絶縁層36b1の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満である。また、第1曲部絶縁層36a1の厚さは、第1延在部絶縁層36b1の厚さの1倍を超えて、1.35倍以下であることが望ましく、1.1〜1.3倍であることがより望ましい。
第1曲部絶縁層36a1の厚さが第1延在部絶縁層36b1の厚さの1倍以下であると、第1曲部絶縁層36a1の厚さが薄いことに起因し、第1曲部絶縁層36a1の絶縁性が不充分となり、ケース30と、触媒担体20との間で短絡が発生することがある。また、絶縁層36の強度が不充分となり易く、外部からの衝撃により絶縁層36が損傷しやすくなる。第1曲部絶縁層36a1の厚さが第1延在部絶縁層36b1の厚さの1.4倍以上であると、熱応力を緩和しにくくなり、内部からの熱応力により絶縁層36にクラックや剥れが発生しやすくなる。
なお、本明細書において「第1延在部絶縁層の厚さ」とは、第1延在部絶縁層の最小厚さのことを指し、図2(a)及び(b)中、T2で示す厚さのことを意味する。
また、本明細書において、第1延在部34b1には、マット40に当接する部分も含まれる。

0042

電気加熱式触媒コンバータ10では、第2曲部34a2に形成される絶縁層の厚さは特に限定されないが、第1曲部34a1に形成される第1曲部絶縁層36a1の厚さ等と同じであることが望ましい。

0043

電気加熱式触媒コンバータ10では、絶縁層36は、非晶性無機材からなるか、又は、非晶性無機材と該非晶性無機材からなる層の内部に分散する結晶性無機材の粒子とからなることが望ましい。

0044

絶縁層36を構成する非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスからなることが望ましい。
本発明の電気加熱式触媒コンバータ10において、非晶性無機材が、軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスからなる場合、上記低軟化点ガラスを含む原料組成物を内管に塗布した後、加熱溶融させることにより比較的簡単に絶縁層36を形成することができる。
上記低軟化点ガラスの軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、絶縁層36となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなる。一方、低軟化点ガラスの軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により内管34の機械的特性が劣化するおそれが生じる。

0045

上記低軟化点ガラスは、バリウムガラス、ボロンガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、及び、ソーダバリウムガラスのうち少なくとも一種を含むガラスであることが望ましい。これらのガラスは、単独で用いられていてもよいし、2種類以上のガラスが混合されていてもよい。

0046

絶縁層36中に含まれていてもよい結晶性無機材としては、カルシア、マグネシア、セリア、アルミナ、及び、遷移金属の酸化物のうち少なくとも1種が挙げられる。また、上記遷移金属の酸化物としては、ジルコニアイットリア酸化ニオブチタニア酸化クロム酸化マンガン酸化鉄酸化銅酸化コバルト、酸化クロム等が挙げられる。
また、結晶性無機材として、イットリア安定化ジルコニア、CaO安定化ジルコニア、MgO安定化ジルコニア、ジルコン、CeO安定化ジルコニア等のジルコニアを含む酸化物が含まれてもよい。
絶縁層36中に結晶性無機材が含まれていると、絶縁層36の耐熱性や機械的特性を改善することができる。

0047

絶縁層36中に、上記結晶性無機材の粒子が含まれている場合、結晶性無機材の粒子の平均粒子径は、0.1〜50μmであることが望ましく、結晶性無機材の粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、10μm未満であることがより望ましい。
結晶性無機材の粒子の平均粒子径が0.1〜50μmの範囲にあると、内管34の表面に原料組成物を塗布し、加熱による溶融層を形成した際、溶融層中の結晶性無機材の表面積が適切な範囲にあるため、溶融した塗布層の粘度が低くなりすぎず、適切な範囲に保たれ、均一な厚さの絶縁層36を形成することができる。

0048

絶縁層36に含まれる結晶性無機材の粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、結晶性無機材の粒子の粒子径が小さすぎて、溶融層中の結晶性無機材の粒子の表面積が大きくなり、結晶性無機材の粒子を含む溶融層の粘度が高くなりすぎ、均一な厚さの絶縁層36が形成されない。
一方、結晶性無機材の粒子の平均粒子径が50μmを超えると、結晶性無機材の粒子の粒子径が大きすぎて、溶融層中の無機材の粒子の表面積が小さすぎ、結晶性無機材の粒子を含む溶融層の粘度が低くなり、形成した溶融層が流動しやすくなり、形成する絶縁層36の厚さが薄くなってしまう。

0049

絶縁層36に結晶性無機材が含まれている場合、絶縁層36の全体に対する結晶性無機材の割合は、5〜70重量%が望ましく、20〜70重量%であることがより望ましい。
絶縁層36の全体に対する結晶性無機材の粒子の割合が5〜70重量%の範囲にあると、内管34の表面に原料組成物を塗布し、加熱による溶融層を形成した際、溶融層中の結晶性無機材の重量割合が適切な範囲にあるため、溶融した塗布層の粘度が低くなりすぎず、適切な範囲に保たれ、均一な厚さの絶縁層36を形成することができる。

0050

本発明の電気加熱式触媒コンバータ10は、触媒担体20を備えているが、この触媒担体20は、多孔質セラミック等のセラミック質ハニカム構造体からなり、排ガス流入側の端面及び排ガス流出側の端面がともに開口した貫通孔に排ガスが流入し、貫通孔を隔てる隔壁に担持させた触媒の作用により排ガスが浄化される。
本発明の電気加熱式触媒コンバータ10を構成する触媒担体20は、通電により発熱するように構成されており、炭化ケイ素質等の所定の抵抗値を有するセラミックが使用されている。
これら多孔質焼成体は、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊されやすい。しかし、本発明の電気加熱式触媒コンバータ10では、触媒担体20の側面の周囲には電気絶縁性のマット40が介在し、衝撃を吸収するので、機械的な衝撃や熱衝撃により触媒担体20にクラック等が発生するのを防止することができる。

0051

本発明の電気加熱式触媒コンバータ10を構成する電気絶縁性のマット40は、無機繊維を含むマットからなるものであることが望ましい。マットを構成する無機繊維としては、特に限定されず、アルミナ−シリカ繊維であってもよく、アルミナ繊維、シリカ繊維等であってもよい。また、ガラス繊維生体溶解性繊維であってもよい。無機繊維の種類は、耐熱性や耐風蝕性等、マットに要求される特性等に応じて変更すればよく、各国の環境規制適合できるような直径や長さを有する繊維を使用するのが好ましい。

0052

次に、本発明の電気加熱式触媒コンバータを構成する内管に絶縁層を形成する方法について説明する。
絶縁層形成用の原料組成物は、非晶性無機材のみか、又は、非晶性無機材と結晶性無機材の粒子を含むが、そのほかに分散媒有機結合材等が配合されていてもよい。
絶縁層形成用の原料組成物に結晶性無機材が含まれている場合には、上述したように、上記非晶性無機材と上記結晶性無機材の合計量に対する結晶性無機材の重量割合は、5〜70重量%が望ましく、20〜70重量%であることがより望ましい。この場合、結晶性無機材の粒子の平均粒子径は、0.1〜50μmであることが望ましい。

0053

原料組成物中の非晶性無機材は、内管の表面に塗布、加熱すると、溶融して非晶性無機材の層となるので、厳密に非晶性無機材の粒径コントロールする必要はないが、絶縁層形成用の原料組成物中に非晶性無機材の粒子が均一に分散している必要がある。
この点から、原料組成物中の非晶性無機材粒子平均粒径は、0.1〜100μmが望ましく、1〜20μmがより望ましい。1〜20μmの範囲では、粒子表面に帯電している電気による影響が少ないためと推測しているが、粒子が均一に分散しやすい。

0054

上記分散媒としては、例えば、水や、メタノールエタノールアセトン等の有機溶媒等が挙げられる。原料組成物に含まれる非晶性無機材の粉末と分散媒との配合比は、特に限定されるものでないが、例えば、非晶性無機材の粉末100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが望ましい。内管に塗布するのに適した粘度となるからである。
上記絶縁層形成用の原料組成物に配合することのできる有機結合材としては、例えば、ポリビニルアルコールメチルセルロースエチルセルロースカルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、分散媒と有機結合材とを併用してもよい。

0055

次に、内管に絶縁層を形成するための具体的な工程について説明する。
(1)内管の前処理工程
まず、内管の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行うことが望ましい。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。

0056

また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、内管の表面の比表面積を大きくしたり、内管の表面の粗さを調整したりするために、内管の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理高温酸化処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。

0057

(2)内管に絶縁層を形成する工程
まず、結晶性無機材、有機結合材、分散媒等を混合し、絶縁層形成用の原料組成物を調製する。必要により結晶性無機材の粒子を添加してもよい。
具体的には、例えば、非晶性無機材の粉末と、必要により加える結晶性無機材の粉末とをそれぞれ所定の粒度、形状等になるように調製し、各粉末を所定の配合比率乾式混合して混合粉末を調製し、さらに水、有機結合材等を加えて、ボールミル湿式混合することにより絶縁層形成用の原料組成物を調製する。
ここで、非晶性無機材等の粉末と水との配合比は、特に限定されるものでないが、非晶性無機材等の粉末100重量部に対して、水100重量部程度が望ましい。内管に塗布するのに適した粘度となるからである。また、必要に応じて、上記絶縁層形成用の原料組成物には、上記したように、有機溶剤等の分散媒等を配合してもよい。

0058

(3)次に、内管の表面に絶縁層形成用の原料組成物を塗布する。
上記原料組成物を塗布する方法としては、例えば、スプレーコート静電塗装インクジェットスタンプローラ等を用いた転写ハケ塗り、又は、電着塗装等の方法を用いることができる。
この際、第1曲部へ塗布する原料組成物の量を、延在部へ塗布する原料組成物の量の1倍を超えて、1.4倍未満であるように調節することにより、第1曲部絶縁層の厚さを、第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超えて、1.4倍未満とすることができる。
原料組成物の塗布量を調節する方法としては、例えば、スプレーコート法により塗布する場合には、各部位へのスプレー時間を制御することにより原料組成物の塗布量を調節することができる。

0059

(4)続いて、絶縁層用の塗膜を形成した内管に加熱処理を施す。
具体的には、上記原料組成物を塗布した金属内管を乾燥後、加熱することにより絶縁層を形成する。
加熱の温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが望ましく、配合した非晶性無機材の種類にもよるが700℃〜1100℃が望ましい。加熱温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより内管と非晶性無機材とを強固に密着させることができ、内管と強固に密着した絶縁層を形成することができるからである。

0060

以下に、本発明の電気加熱式触媒コンバータの作用効果について列挙する。
(1)本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、内管の曲部及び延在部の少なくとも内表面には、非晶性無機材からなる絶縁層が形成されている。そのため、ケースと触媒担体との間で短絡が発生することを防ぐことができる。

0061

(2)本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、曲部のうち最も触媒担体側に配置される第1曲部に形成される第1曲部絶縁層の厚さは、100〜400μmである。曲部は温度変化が生じやすく、また、曲がった形状であるので、温度が上昇すると、加工時に生じた残存応力が開放されるため熱応力が生じやすい。そのため、曲部に設けられた絶縁層には、延在部に設けられた絶縁層よりも大きい熱応力がかかることになる。つまり、曲部に設けられた絶縁層は、クラックや剥離等の破損が発生しやすい部分である。
しかしながら、第1曲部絶縁層の厚さが、100〜400μmであると、第1曲部絶縁層にかかる熱応力を充分に緩和することができる。

0062

(3)本発明の電気加熱式触媒コンバータでは、第1曲部絶縁層の厚さは、第1曲部に連結している延在部のうち触媒担体側に配置される第1延在部に形成される第1延在部絶縁層の厚さの1.0倍を超えて、1.4倍未満である。そのため、第1曲部絶縁層の厚さが充分に厚く、第1曲部絶縁層の絶縁性が充分となり、ケースと、触媒担体との間で短絡が発生することを防ぐことができる。また、絶縁層の強度が充分であり、外部からの衝撃により絶縁層が損傷しにくくなる。また、第1曲部絶縁層の厚さが厚すぎないので、熱応力を緩和しやすくなり、内部からの熱応力により絶縁層にクラックや剥れが発生することを防ぐことができる。

0063

(実施例)
以下、本発明の電気加熱式触媒コンバータをより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。

0064

(実施例1)
(1)円筒体の準備
図1に示した内管34の形状とほぼ同様の形状であって、中心軸を含む平面で切断した切断面において、外側に凸となるように曲がった第1曲部と第2曲部とを有し、上流側に向かうにつれ窄まる形状のステンレス製の円筒体(SUS430製)を準備した。上記第1曲部及び第2曲部は、曲線状に折れ曲がっておりその曲率半径は8mmであった。上記円筒体として、最も径が大きい部分の直径は、105mm、最も径が小さい部分の直径は、60mm、厚さ1.5mmのものであった。この円筒体をアルコール溶媒中で超音波洗浄を行った。
次に、サンドブラスト処理を行って円筒体の内側を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl2O3砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製ハンディサーフE−35B)を用いて、測長距離10mmにて円筒体の内側の表面粗さを測定したところ、円筒体の内側の表面粗さは、RzJIS=5μmであった。

0065

(2)絶縁層形成用の原料組成物の調製
非晶性無機材の粉末として、バリウムシリケートガラス(軟化点770℃)を準備した。非晶性無機材の原料組成物全体に対する濃度は、51重量%である。上記濃度とは、水等を含む絶縁層形成用の原料組成物の全体の重量に対する非晶性無機材の割合を百分率で示したものである。

0066

さらに、有機結合材として、メチルセルロースを準備し、絶縁層形成用の原料組成物全体に対する濃度が5重量%となるように配合した。
絶縁層形成に用いる絶縁層形成用の塗料の調製にあたっては、さらに非晶性無機材の粉末100重量部に対して水の割合が100重量部になるように水を加え、さらにαアルミナの粒子(平均粒子径:10μm)を15重量部加えて、ボールミルで湿式混合することにより原料組成物を調製した。

0067

ここで、αアルミナの粒子の平均粒子径は、島津製作所社製レーザ回折粒子径分布測定装置(SALD−300V)を用いて測定した値である。

0068

(3)絶縁層の形成
調製した原料組成物を用い、上記円筒体の内側にスプレーコート法により塗布を行い、乾燥機内において100℃で60分乾燥した。スプレーコート法により塗布を行う際、第1曲部絶縁層36a1及び第1延在部絶縁層36b1の厚さを調節するため、第1延在部34b1へのスプレー時間を、第1曲部34a1へのスプレー時間の1.3倍となるようにスプレー時間を調節した。
この後、空気中、820℃で180分間、加熱処理することにより、上記円筒体の内側に絶縁層を形成し、実施例1に係る絶縁層塗布円筒体を作製した。

0069

(実施例2)並びに(比較例1)及び(比較例2)
第1曲部絶縁層36a1及び第1延在部絶縁層36b1の厚さを表1に示す値となるように変化させたほかは、実施例1と同様にして、実施例2並びに比較例1及び比較例2に係る絶縁層塗布円筒体を作製した。

0070

(膜厚の測定)
各実施例及び各比較例で得られた円筒体の内側に形成された絶縁層の膜厚を株式会社フィッシャーインストルメンツ製のデュアルスコープMP40にて測定した。
上記の測定で得られた内管34の第1曲部絶縁層36a1及び第1延在部絶縁層36b1の厚さを表1に示す。

0071

(絶縁層の初期の絶縁性の評価)
各実施例及び各比較例で得られた円筒体に対し、Cu粒子スパッタにより絶縁層36の表面に塗布し、一組の電極を絶縁層36の表面と円筒体の外表面に設置した。次に、一組の電極間にDC500Vの電圧印加し、抵抗測定器で絶縁層36の表面と円筒体の外表面の抵抗値を測定した。抵抗測定器にはデジタル超高抵抗微小電流計(R8340、アドバンテスト社製)を使用した。絶縁層36の表面と円筒体の外表面の間の抵抗値が絶縁層36の厚みが100μm以上において、4.0×104Ω以上であれば、絶縁性ありと評価し○を記載し、抵抗値が4.0×104Ωより小さいものを絶縁性なしとし、×を記載することとした。結果を表1に示す。

0072

冷熱試験による耐久性評価
各実施例及び各比較例でで得られた円筒体を800℃に加熱した。この状態で、各円筒体常温金属厚板に載置し、自然冷却で150℃まで5分で降温させた。その後、円筒体を回収し、絶縁層の状況を目視で観察し、クラックが発生していないか、剥離が発生していないかを調べた。結果を表1に示す。表1では、剥離、クラック等の不都合が発生していないものに対し、○を記載し、剥離、クラック等の不都合が発生したものに対し、×を記載した。

0073

0074

上記表1に示すように、実施例1及び実施例2、並びに、比較例1に係る円筒体の初期の絶縁性の評価は優れていた。これは、これらの円筒体では絶縁層が厚いため、絶縁性が充分であったと考えられる。一方、比較例2に係る円筒体では、初期の絶縁性が劣っていた。これは、比較例2に係る円筒体の絶縁層が薄いためと考えられる。

0075

また、上記表1に示すように、実施例1及び実施例2に係る円筒体の冷熱試験による耐久性評価は優れていた。実施例1及び実施例2に係る円筒体で冷熱試験による耐久性評価が優れていた理由は、第1曲部絶縁層の厚さが、第1延在部絶縁層の厚さの1倍を超え、1.4倍未満であるため、応力が生じにくかったためと考えられる。
比較例1及び比較例2に係る円筒体の冷熱試験による耐久性評価は劣っていた。この理由は、第1曲部絶縁層の厚さが、第1延在部絶縁層の厚さの1.4倍を超えていたため、剥離等が生じる程度まで応力が生じたためと考えられる。

0076

10、50電気加熱式触媒コンバータ
20、60触媒担体
30、70ケース
31、71外管
34、74内管
34a 曲部
34a1 第1曲部
34a1−1 第1屈曲部
34a1−2 第1湾曲部
34a2 第2曲部
34b 延在部
34b1 第1延在部
36、76絶縁層
36a1 第1曲部絶縁層
36b 延在部絶縁層
36b1 第1延在部絶縁層
40、80 マット

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