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図面 (3)

課題

生体内弱酸性環境のpHにおける加水分解速度を的確に制御可能なリンカーを有する抗体—薬物複合体を提供する。

解決手段

式(1)または式(2)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体。ここで、Yは抗体である。Dは薬物である。R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性置換基、または水素原子である。s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2である。wは1〜20の整数である。Z1およびZ2はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。

概要

背景

抗体—薬物複合体(ADC)は、抗体と薬物を結合させ,抗体の抗原特異性を利用して薬剤疾患部位に効率的に行き届かせることを目指した抗体薬であり、近年、ガン治療の分野で最も急速に成長している技術の一つである。ADCは抗体、薬物、そして抗体と薬物を結合させるリンカーの各部位から構成される。

リンカーには、ADCがターゲット部位に到達するまで、抗体と薬物を安定に繋いでおく役割がある一方で、ターゲット部位で選択的にリンカーが分解し、抗体から薬物を脱離させる機能も求められる場合が多い。このような分解性リンカーとしては、細胞内の低pH環境下で分解する酸加水分解性リンカー、細胞内の還元的環境下で分解するジスルフィドリンカー、ガン細胞内発現上昇している酵素で分解するジペプチドリンカー等が開発されている。

従来、ADC分野における酸加水分解性リンカーには、主にヒドラゾンリンカーが用いられている。ADCとして最初にFDAの認可を受けたマイロターグ(商標登録)を始めとして、現在臨床試験段階にあるADCにも、ヒドラゾンリンカーが導入されている。

ところが、ヒドラゾンリンカーは血中循環中に加水分解し、ターゲット部位以外で薬物が放出され、その結果として全身毒性または器官特異毒性等の副作用が生じる可能性があることが報告されている。これは、血中のpHにおけるヒドラゾンの不安定性が原因と考えられている(非特許文献1)。

特許文献1では、ヒドラゾン近傍のベンゼン環置換基を変えることで、ヒドラゾンの加水分解速度を調節できると記載されており、ベンゼン環の置換基が異なる数種類のヒドラゾンリンカーを有する抗体—薬物複合体が開示されている。しかし、加水分解速度の評価データについては示されていない。

また、非特許文献2では、ヒドラゾンの加水分解に関する速度的研究が行われており、ヒドラゾンの加水分解において、近傍のベンゼン環の置換基の違いが加水分解速度に与える影響は小さいことが示されている。したがって、加水分解速度を調節するという目的においては、ヒドラゾンは最良選択肢ではない可能性がある。

その他のADCに用いられている酸加水分解性リンカーとして、エステルリンカー(非特許文献3)やシリルエーテルリンカー(非特許文献4)が報告されているが、様々なpHに合わせて加水分解速度を調節可能なリンカーではない。

このように、生体内のターゲット部位のpHに合わせて加水分解速度を的確に制御可能な酸加水分解性リンカーに関しては、今までその例は無い。

概要

生体内の弱酸性環境のpHにおける加水分解速度を的確に制御可能なリンカーを有する抗体—薬物複合体を提供する。式(1)または式(2)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体。ここで、Yは抗体である。Dは薬物である。R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子である。s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2である。wは1〜20の整数である。Z1およびZ2はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。 1

目的

本発明の課題は、生体内の弱酸性環境のpHにおける加水分解速度を的確に制御可能なリンカーを有する抗体—薬物複合体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

式(1)または式(2)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体。(式(1)および式(2)中、Yは抗体であり;Dは薬物であり;R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性置換基、または水素原子であり;s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;wは1〜20の整数であり;およびZ1およびZ2はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

請求項2

s=1かつt=0であり、R2およびR5は水素原子であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−0.30≦Σσ≦1.05である、請求項1に記載の抗体—薬物複合体。

請求項3

s=1かつt=0であり、R2とR5との少なくとも一方が前記置換基であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−1.71≦Σσ≦0.88である、請求項1に記載の抗体—薬物複合体。

請求項4

s=1かつt=1、またはs=2かつt=0であり、R2およびR5は水素原子であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−0.19≦Σσ≦0.57である、請求項1に記載の抗体—薬物複合体。

請求項5

s=1かつt=1、またはs=2かつt=0であり、R2とR5との少なくとも一方が前記置換基であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−0.98≦Σσ≦0.48である、請求項1に記載の抗体—薬物複合体。

請求項6

前記抗体がモノクローナル抗体単鎖モノクローナル抗体、二重特異性抗体、または標的細胞に結合するモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の抗体—薬物複合体。

請求項7

前記抗体が表面再構成(resurfaced)モノクローナル抗体、表面再構成単鎖モノクローナル抗体、または標的細胞に結合する表面再構成モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の抗体—薬物複合体。

請求項8

前記抗体がヒトモノクローナル抗体ヒト化モノクローナル抗体ヒト化単鎖モノクローナル抗体、または標的細胞に結合するヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の抗体—薬物複合体。

請求項9

前記抗体がキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項6に記載の抗体—薬物複合体。

請求項10

前記薬物が化学療法薬である、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の抗体—薬物複合体。

請求項11

Z1およびZ2がそれぞれ独立してエーテル結合エステル結合カーボネート結合ウレタン結合アミド結合チオエーテル結合ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基単結合または脂肪族炭化水素基であり、Z1とZ2との少なくとも一方がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である、請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載の抗体—薬物複合体。

請求項12

式(3)または式(4)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する化合物。(式(3)および式(4)中、Yは抗体であり;R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子であり;X1は共有結合による薬物の連結が可能な反応性官能基であり;s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;wは1〜20の整数であり;およびZ1、Z2、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

請求項13

請求項14

X1が、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)、式(m)、式(n)、式(o)、式(p)および式(q)からなる群から選択される、請求項12または13に記載の化合物。(式中、R7は水素原子またはスルホ基であり;R8およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり;R9は、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり;およびR10は塩素原子臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。)

請求項15

式(5)または式(6)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する化合物。(式(5)および式(6)中、Dは薬物であり;R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子であり;X2は共有結合による抗体の連結が可能な反応性官能基であり;s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;およびZ1、Z2、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

請求項16

X2が活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基およびヒドロキシ基よりなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。

請求項17

X2が、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)、式(m)、式(n)、式(o)、式(p)および式(q)からなる群から選択される、請求項15または16に記載の化合物。(式中、R7は水素原子またはスルホ基であり;R8およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり;R9は、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり;およびR10は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。)

請求項18

Z3およびZ4がそれぞれ独立してエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、Z3とZ4との少なくとも一方がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である、請求項12〜17のいずれか一つの請求項に記載の化合物。

技術分野

0001

本発明は、生体内酸性環境下で分解可能な酸加水分解リンカーを有する抗体—薬物複合体に関する。

背景技術

0002

抗体—薬物複合体(ADC)は、抗体と薬物を結合させ,抗体の抗原特異性を利用して薬剤疾患部位に効率的に行き届かせることを目指した抗体薬であり、近年、ガン治療の分野で最も急速に成長している技術の一つである。ADCは抗体、薬物、そして抗体と薬物を結合させるリンカーの各部位から構成される。

0003

リンカーには、ADCがターゲット部位に到達するまで、抗体と薬物を安定に繋いでおく役割がある一方で、ターゲット部位で選択的にリンカーが分解し、抗体から薬物を脱離させる機能も求められる場合が多い。このような分解性リンカーとしては、細胞内の低pH環境下で分解する酸加水分解性リンカー、細胞内の還元的環境下で分解するジスルフィドリンカー、ガン細胞内発現上昇している酵素で分解するジペプチドリンカー等が開発されている。

0004

従来、ADC分野における酸加水分解性リンカーには、主にヒドラゾンリンカーが用いられている。ADCとして最初にFDAの認可を受けたマイロターグ(商標登録)を始めとして、現在臨床試験段階にあるADCにも、ヒドラゾンリンカーが導入されている。

0005

ところが、ヒドラゾンリンカーは血中循環中に加水分解し、ターゲット部位以外で薬物が放出され、その結果として全身毒性または器官特異毒性等の副作用が生じる可能性があることが報告されている。これは、血中のpHにおけるヒドラゾンの不安定性が原因と考えられている(非特許文献1)。

0006

特許文献1では、ヒドラゾン近傍のベンゼン環置換基を変えることで、ヒドラゾンの加水分解速度を調節できると記載されており、ベンゼン環の置換基が異なる数種類のヒドラゾンリンカーを有する抗体—薬物複合体が開示されている。しかし、加水分解速度の評価データについては示されていない。

0007

また、非特許文献2では、ヒドラゾンの加水分解に関する速度的研究が行われており、ヒドラゾンの加水分解において、近傍のベンゼン環の置換基の違いが加水分解速度に与える影響は小さいことが示されている。したがって、加水分解速度を調節するという目的においては、ヒドラゾンは最良選択肢ではない可能性がある。

0008

その他のADCに用いられている酸加水分解性リンカーとして、エステルリンカー(非特許文献3)やシリルエーテルリンカー(非特許文献4)が報告されているが、様々なpHに合わせて加水分解速度を調節可能なリンカーではない。

0009

このように、生体内のターゲット部位のpHに合わせて加水分解速度を的確に制御可能な酸加水分解性リンカーに関しては、今までその例は無い。

0010

米国特許第5773001号明細書

先行技術

0011

Drug Discovery Today 2014, 19(7), 869-881
An-Najah J. Res. 1989, Vol. 1, No. 6, 23-33
Clin. Cancer Res. 2011, 17, 3157-3169
Med. Chem. Commun. 2014, 5, 1355-1358

発明が解決しようとする課題

0012

生体内の各部分におけるpHの偏りは非常に小さく、抗体—薬物複合体の酸加水分解性リンカーにはターゲット部位と血中とのpHの僅かな差に応答して、適切に加水分解することが求められる。例えば、腫瘍組織周辺は正常組織のpHと比較して酸性環境であるものの、pHはおよそ6.0の弱酸性である。また、エンドソーム内部もpH 5.5〜6.0の弱酸性であり、これが次第に酸性化してリソソームのpH 4.5〜5.0に近づくが、最終的にリソソームと融合するため、エンドソーム内に取り込まれた薬物がリソソーム酵素による分解または変性を回避するためには、pH 5.5付近で抗体—薬物複合体から薬物を脱離させ、エンドソームから脱出させる必要がある。このように、ターゲット部位で選択的に薬物を脱離させるためには、生体内の弱酸性環境のpHにおけるリンカーの加水分解速度を的確に制御しなければならない。

0013

本発明の課題は、生体内の弱酸性環境のpHにおける加水分解速度を的確に制御可能なリンカーを有する抗体—薬物複合体を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、生体内の弱酸性環境のpHにおける加水分解速度を的確に制御可能な環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体を開発した。

0015

本発明の特徴は、置換基を有する環状ベンジリデンアセタールリンカーを介して、抗体に薬物が結合していることにある。環状ベンジリデンアセタールリンカーのベンゼン環上における置換基の種類および位置を適切に選択することで、アセタールリンカーの加水分解速度に影響を与えるアセタール基周辺の電子密度および立体障害度合いを調節できる。この特長により、アセタールリンカーに所望の加水分解速度を付与することができ、当該環状ベンジリデンアセタールリンカーを介して薬物を結合させた抗体から、任意の速度で薬物を脱離させることが可能となる。

0016

本発明の抗体—薬物複合体は、置換基を有する環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物が結合した抗体と薬物を連結、または前記リンカー化合物が結合した薬物と抗体を連結させることにより合成できる。

0017

即ち、本発明は以下のものである。
[1] 式(1)または式(2)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体。






(式(1)および式(2)中、Yは抗体であり;
Dは薬物であり;
R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子であり;
s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;
wは1〜20の整数であり;および
Z1およびZ2はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

0018

[2] s=1かつt=0であり、R2およびR5は水素原子であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が
−0.30≦Σσ≦1.05である、[1]の抗体—薬物複合体。

0019

[3] s=1かつt=0であり、R2とR5との少なくとも一方が前記置換基であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が
−1.71≦Σσ≦0.88である、[1]の抗体—薬物複合体。

0020

[4] s=1かつt=1、またはs=2かつt=0であり、R2およびR5は水素原子であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−0.19≦Σσ≦0.57である、[1]の抗体—薬物複合体。

0021

[5] s=1かつt=1、またはs=2かつt=0であり、R2とR5との少なくとも一方が前記置換基であり、式(1)のR3、R4およびY-Z1、または式(2)のR3、R4およびD-Z1における置換基定数(σ)の合計(Σσ)が−0.98≦Σσ≦0.48である、[1]の抗体—薬物複合体。

0022

[6] 前記抗体がモノクローナル抗体単鎖モノクローナル抗体、二重特異性抗体、または標的細胞に結合するモノクローナル抗体フラグメントである、[1]〜[5]のいずれかの抗体—薬物複合体。

0023

[7] 前記抗体が表面再構成(resurfaced)モノクローナル抗体、表面再構成単鎖モノクローナル抗体、または標的細胞に結合する表面再構成モノクローナル抗体フラグメントである、[1]〜[5]のいずれかの抗体—薬物複合体。

0024

[8] 前記抗体がヒトモノクローナル抗体ヒト化モノクローナル抗体ヒト化単鎖モノクローナル抗体、または標的細胞に結合するヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、[1]〜[5]のいずれかの抗体—薬物複合体。

0025

[9] 前記抗体がキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、[6]の抗体—薬物複合体。

0026

[10] 前記薬物が化学療法薬である、[1]〜[5]のいずれかの抗体—薬物複合体。

0027

[11] Z1およびZ2がそれぞれ独立してエーテル結合エステル結合カーボネート結合ウレタン結合アミド結合チオエーテル結合ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基単結合または脂肪族炭化水素基であり、Z1とZ2との少なくとも一方がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である、[1]〜[10]のいずれかの抗体—薬物複合体。

0028

[12] 式(3)または式(4)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する化合物






(式(3)および式(4)中、Yは抗体であり;
R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子であり;
X1は共有結合による薬物の連結が可能な反応性官能基であり;
s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;
wは1〜20の整数であり;および
Z1、Z2、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

0030

[14] X1が、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)、式(m)、式(n)、式(o)、式(p)および式(q)からなる群から選択される、[12]または[13]の化合物。



(式中、R7は水素原子またはスルホ基であり;
R8およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり;
R9は、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり;および
R10は塩素原子臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。)

0031

[15] 式(5)または式(6)で示される、環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する化合物。






(式(5)および式(6)中、Dは薬物であり;
R1およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子であり;
X2は共有結合による抗体の連結が可能な反応性官能基であり;
s=1または2、t=0または1、かつs+t=1または2であり;および
Z1、Z2、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。)

0032

[16] X2が活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基およびヒドロキシ基よりなる群から選択される、[15]の化合物。

0033

[17] X2が、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、式(h)、式(i)、式(j)、式(k)、式(l)、式(m)、式(n)、式(o)、式(p)および式(q)からなる群から選択される、[15]または[16]の化合物。





(式中、R7は水素原子またはスルホ基であり;
R8およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり;
R9は、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり;および
R10は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。)

0034

[18] Z3およびZ4がそれぞれ独立してエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、Z3とZ4との少なくとも一方がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である、[12]〜[17]のいずれかの化合物。

発明の効果

0035

本発明による環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体は、生体内の弱酸性環境のpHに合わせて環状ベンジリデンアセタールリンカーの加水分解速度を的確に制御可能である。したがって、当該抗体—薬物複合体がターゲットとする生体部位のpHにおいて、当該抗体—薬物複合体から所望の速度で薬物を脱離させることができる。

図面の簡単な説明

0036

実施例に記載の式(45)、式(46)、式(47)、式(48)および式(49)の化合物を用いた、pD 5.5のMES重水緩衝液中、37℃における加水分解試験の結果である。
実施例に記載の式(45)、式(46)、式(47)、式(48)および式(49)の化合物を用いた、pD 7.4のHEPES重水緩衝液中、37℃における加水分解試験の結果である。

0037

以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書で使用する用語「アセタール」とは、アルデヒド類から誘導されるアセタール構造およびケトン類から誘導されるアセタール構造、即ちケタール構造の両方を意味する。

0038

本発明の「環状アセタール」とは、式(1)、式(2)でs=1かつt=0である5員環の1,3-ジオキソラン構造および式(1)、式(2)でs=1かつt=1、またはs=2かつt=0である6員環の1,3-ジオキサン構造の両方を意味する。

0039

本発明の式(1)、式(2)におけるR1およびR6は水素原子または炭化水素基であり、炭化水素基の炭素数は10以下が好ましく、具体的な炭化水素基としてはメチル基エチル基プロピル基イソプロピル基、t-ブチル基、フェニル基およびベンジル基などが挙げられる。R1の好ましい実施形態としては水素原子またはメチル基であり、更に好ましくは水素原子である。

0040

本発明の式(1)、式(2)におけるベンゼン環は複数の置換基を有していてよい。ベンゼン環上における置換基の種類、位置および電子供与性と電子吸引性の度合いを適切に選択することで、環状アセタールリンカーの加水分解速度に影響を与えるアセタール基周辺の電子密度および立体障害の度合いを調節できる。これにより、環状アセタールリンカーに所望の加水分解速度を付与することができる。

0041

本明細書において、式(1)、式(2)におけるベンゼン環上の置換基は「置換基定数(σ)」を用いて説明しているが、これはベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したHammett則における置換基定数を意味する。しかし、公知のようにHammett則はパラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体のみに適用され、立体障害の影響を受けるオルト置換ベンゼン誘導体には適用できない。そこで、オルト置換ベンゼン誘導体の場合には、上記Hammett則を拡張したTaftの式における置換基定数を意味する。

0042

上記パラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体において、Hammett則は下記式(7)で表わされる。

log(k/k0)=ρσ (7)

(式中、kはパラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体の任意の反応における速度定数または平衡定数であり、k0は上記ベンゼン誘導体が上記置換基を有さない場合、即ち置換基が水素原子である場合の速度定数または平衡定数であり、ρは反応定数であり、σは置換基定数である。)

0043

上記式(7)における反応定数(ρ)は、反応の種類、温度、および溶媒等の反応条件によって定まる定数であり、これはHammettプロットの傾きから算出できる。本明細書では、環状ベンジリデンアセタールの加水分解性評価を1H-NMR測定で行うために、抗体の代わりに代表的な親水性ポリマーであるポリエチレングリコールを結合させて、加水分解試験を実施した。環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキソラン構造の場合には、実施例に記載の式(45)、式(46)および式(47)の化合物について実施した加水分解試験の結果から、「ρ=−2.7」と算出される。また、1,3-ジオキサン構造の場合には、実施例に記載の式(48)および式(49)の化合物について実施した加水分解試験の結果から、「ρ=−4.8」と算出される。

0044

上記式(7)における置換基定数(σ)は、反応の種類に関係なく、置換基の種類と位置によってのみ定まる定数であり、置換基を有さない場合、即ち置換基が水素原子である場合は「0」である。本明細書で使用する用語「電子吸引性」とはσが正の値である場合を意味し、用語「電子供与性」とはσが負の値である場合を意味する。

0045

前述のように、Hammett則はパラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体のみに適用され、立体障害の影響を受けるオルト置換ベンゼン誘導体の場合には適用できない。そこで、そのような立体障害の影響を位置の因子、即ち置換基の位置定数(Es)として導入し、オルト置換ベンゼン誘導体の場合にも適用できるように、Hammett則を拡張したのがTaftの式である。Taftの式は下記式(8)で表わされる。

log(k/k0)=ρ*σ*+Es (8)

(式中、kはパラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体の任意の反応における速度定数または平衡定数であり、k0は上記ベンゼン誘導体が上記置換基を有さない場合、即ち置換基が水素原子である場合の速度定数または平衡定数であり、ρ*は反応定数であり、σ*は置換基定数であり、Esは置換基の位置定数である。)

0046

公知のように、パラ置換およびメタ置換ベンゼン誘導体の反応定数(ρ)とオルト置換ベンゼン誘導体の反応定数(ρ*)はほぼ等しいことから、本明細書ではρとρ*は同じものと定義する。また、オルト位の置換基定数(σ*)は、例えば「Charton, M. Can. J. Chem. 1960, 38 2493-2499」で述べられているように、パラ位の置換基定数に類似していることから、本明細書におけるオルト位の置換基定数は、相当するパラ位の置換基定数を適用する。

0047

パラ位およびメタ位における置換基定数(σ)は「Hansch, C.; Leo, A.; Taft, R. W. Chem. Rev.
1991, 91, 165-195」に記載されており、置換基定数(σ)が未知の置換基については「Hammett, L. P. Chem. Rev. 1935, 17(1),
125-136」に記載の方法で測定し求めることができる。また、位置定数(Es)は「Unger, S. H.; Hansch, C. Prog. Phys. Org. Chem. 1976,
12, 91-118」に記載されている。ただし、本明細書で使用するEsは、水素原子を「0」と定義したものである。

0048

式(1)、式(2)において、ベンゼン環上に複数の置換基を有する場合、それらの置換基定数(σ)および位置定数(Es)には加成性が成り立つと定義し、σの合計を「Σσ」、Esの合計を「ΣEs」とそれぞれ表わす。

0049

Z1は環状ベンジリデンアセタールのベンゼン環に結合しており、Y-Z1、D-Z1および加水分解試験で使用しているポリエチレングリコール誘導体のポリエチレングリコール結合部(P-Z1)もベンゼン環の置換基である。Y-Z1、D-Z1、P-Z1の置換基定数は、YとZ1、DとZ1、PとZ1の組み合わせについて、それぞれ個別に測定し求めることができるが、実質的にY-Z1、D-Z1、P-Z1の置換基定数はベンゼン環との結合部近傍の構造に大きく影響を受けるため、それ以外の部分の影響は無視できるほど非常に小さい。したがって、Y-Z1、D-Z1、P-Z1について個別に置換基定数を測定する代わりに、ベンゼン環との結合部近傍の構造に類似した構造の既知の置換基定数で代用することが可能である。

0050

本明細書におけるY-Z1、D-Z1、P-Z1の置換基定数は、Y-Z1、D-Z1、P-Z1それぞれの主鎖の骨格原子をベンゼン環に結合した原子から数えて、3番目の原子に結合した2番目の原子以外の原子を水素原子で置き換えた構造の置換基定数で代用できると定義する。ただし、水素原子で置き換えるとカルボキシ基になる場合は、水素原子の代わりにメチル基で置き換えた構造の置換基定数で代用できると定義する。

0051

Y-Z1、D-Z1、P-Z1におけるベンゼン環との結合部分の構造と代用する構造の具体例を以下に示す。Y-Z1、D-Z1、P-Z1のベンゼン環との結合部分がエーテル結合である下記(r1)の場合は、下記(r2)の置換基定数を適用する。Y-Z1、D-Z1、P-Z1のベンゼン環との結合部分がアミド結合である下記(r3)、(r5)の場合は、それぞれ下記(r4)、(r6)の置換基定数を適用する。Y-Z1、D-Z1、P-Z1のベンゼン環との結合部分がウレタン結合である下記(r7)の場合は、下記(r8)の置換基定数を適用する。

0052

0053

本発明の環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体の好適な加水分解速度は、pH 5.5、37℃の緩衝液中における加水分解半減期(t1/2)が1時間〜6ヶ月の範囲であり、より好ましくは1時間〜1ヶ月の範囲であり、更に好ましくは1時間〜24時間の範囲である。本明細書では、上記加水分解条件でt1/2が12時間である、実施例に記載の式(46)の化合物から導出される数値を用いて、1,3-ジオキソラン構造である場合の好適な置換基定数の合計(Σσ)の範囲を規定する。式(7)を用いて、式(46)の化合物についてのlog(k/k0)を算出すると、下記式(9)が得られる。ただし、前記に定義したとおり、式(46)の化合物におけるP-Z1はエトキシ基(CH3CH2O-)で代用する。

log(k/k0)=−2.7×(0.34−0.24)=−0.27 (9)

0054

上記式(9)および式(7)を用いて、式(1)、式(2)のR2およびR5が水素原子である場合にt1/2が24時間であるときの速度定数をk’としてlog(k’/k0)を算出すると、下記式(10)が得られる。

log(k’/k)=log{(12/24)k/k}=−0.30

式を変形して

log(k’/k)=log[(k’/k0)/(k/k0)]=−0.30
log(k’/k0)−log(k/k0)=−0.30

上記式(9)を代入すると

log(k’/k0)−(−0.27)=−0.30
log(k’/k0)=−0.57 (10)

ここで、上記式(10)および式(7)を用いて置換基定数の合計(Σσ)を算出すると、下記式(11)が得られる。
log(k’/k0)=−2.7×Σσ=−0.57
Σσ=0.21 (11)

0055

同様に、式(1)、式(2)のR2およびR5が水素原子である場合にt1/2が1時間であるときの速度定数をk”としてlog(k”/k0)を算出すると、下記式(12)が得られる。

log(k”/k)=log(12k/k)=1.08

式を変形して

log(k”/k)=log[(k”/k0)/(k/k0)]=1.08
log(k”/k0)−log(k/k0)=1.08

上記式(9)を代入すると

log(k”/k0)−(−0.27)=1.08
log(k”/k0)=0.81 (12)

ここで、上記式(12)および式(7)を用いて置換基定数の合計(Σσ)を算出すると、下記式(13)が得られる。

log(k”/k0)=−2.7×Σσ=0.81
Σσ=−0.30 (13)

0056

式(11)および式(13)より、式(1)または式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキソラン構造で、R2およびR5が水素原子である場合、−0.30≦Σσ≦0.21であれば当該抗体—薬物複合体のt1/2は1時間≦t1/2≦24時間である。同様に1時間≦t1/2≦1ヶ月および1時間≦t1/2≦6ヶ月におけるΣσの範囲をそれぞれ算出すると、1時間≦t1/2≦1ヶ月のときは−0.30≦Σσ≦0.76であり、1時間≦t1/2≦6ヶ月のときは−0.30≦Σσ≦1.05である。

0057

本発明の抗体—薬物複合体は環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物を用いて、抗体と薬物を結合させることにより合成できる。したがって、本発明で使用可能な環状ベンジリデンアセタールのベンゼン環上の置換基は、環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物の合成過程で使用する反応、および環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物を用いた抗体と薬物の結合反応阻害しない置換基である。

0058

上記条件を満たすものであれば、電子吸引性の置換基または電子供与性の置換基のいずれでもよく、それぞれ単独もしくは組み合わせて使用してもよい。電子吸引性の置換基としては、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜5のカルバモイル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニルアミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10のアリールスルホニル基ニトロ基トリフルオロメチル基およびシアノ基であり、好ましい例としてはアセチル基、メトキシカルボニル基メチルカルバモイル基、アセトキシ基アセトアミド基メトキシカルボニルアミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチルスルファニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基およびシアノ基が挙げられる。電子供与性の置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましい例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基およびt-ブチル基が挙げられる。メタ位では電子吸引性、パラ位およびオルト位では電子供与性である置換基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、好ましい例としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、フェニル基およびフェノキシ基が挙げられる。

0059

式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキソラン構造で、R2とR5との少なくとも一方が水素原子以外の置換基である場合については、上記置換基で立体障害の影響が最も大きいフェニル基および最も小さいフッ素原子の位置定数(Es)を用いて、pH 5.5、37℃の緩衝液中におけるt1/2が1時間≦t1/2≦24時間、1時間≦t1/2≦1ヶ月、および1時間≦t1/2≦6ヶ月であるΣσの範囲をTaftの式(8)を用いてそれぞれ算出すると、1時間≦t1/2≦24時間のときは−1.71≦Σσ≦0.04であり、1時間≦t1/2≦1ヶ月のときは−1.71≦Σσ≦0.59であり、1時間≦t1/2≦6ヶ月のときは−1.71≦Σσ≦0.88である。

0060

式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキソラン構造で、R2およびR5が水素原子である場合、例えば1時間≦t1/2≦24時間のときに−0.30≦Σσ≦0.21を満たす好ましい実施形態を以下に示す。ただし、ここに示す置換基はR3およびR4、並びに前述の定義にしたがってY-Z1、D-Z1、P-Z1の代わりに用いる構造を意味する。式(1)、式(2)のメタ位のうち1つがメトキシ基、エトキシ基またはアセトアミド基であり、より好ましくはエトキシ基またはアセトアミド基である。別の好ましい実施形態においては、式(1)、式(2)のパラ位がメトキシ基またはエトキシ基であり、かつメタ位の1つがフッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子よりなる群から独立して選択される置換基であり、より好ましくはパラ位がエトキシ基であり、かつメタ位の1つがフッ素原子または塩素原子である。もう一つの好ましい実施形態においては、式(1)、式(2)のパラ位およびメタ位の1つがメトキシ基、エトキシ基またはアセトアミド基であり、より好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。

0061

また、式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキソラン構造で、R2とR5との少なくとも一方が水素原子以外の置換基である場合、例えば1時間≦t1/2≦24時間のときに−1.71≦Σσ≦0.04を満たす好ましい実施形態を以下に示す。ただし、ここに示す置換基はR3およびR4、並びに前述の定義にしたがってY-Z1、D-Z1、P-Z1の代わりに用いる構造を意味する。式(1)、式(2)のR2およびR5のうち一方がフッ素原子、メチル基またはエチル基であり、もう一方が水素原子であるときは、パラ位がエトキシ基またはアセトアミド基であり、より好ましくはエトキシ基である。式(1)、式(2)のR2およびR5のうち一方がメトキシ基であり、もう一方が水素原子であるときは、パラ位がメトキシメチル基またはアセトアミド基よりなる群から選択される置換基を有し、より好ましくはアセトアミド基である。

0062

更に、pH 5.5、37℃の緩衝液中における加水分解半減期(t1/2)が24時間である、実施例に記載の式(48)の化合物から導出される数値を用いて、式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキサン構造である場合についても好適な置換基定数の合計(Σσ)の範囲を規定できる。

0063

式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキサン構造で、R2およびR5が水素原子である場合、−0.19≦Σσ≦0.10であれば当該親水性ポリマー誘導体のt1/2は1時間≦t1/2≦24時間である。同様に1時間≦t1/2≦1ヶ月および1時間≦t1/2≦6ヶ月におけるΣσの範囲をそれぞれ算出すると、1時間≦t1/2≦1ヶ月のときは−0.19≦Σσ≦0.41であり、1時間≦t1/2≦6ヶ月のときは−0.19≦Σσ≦0.57である。

0064

また、式(1)、式(2)の環状ベンジリデンアセタールが1,3-ジオキサン構造で、R2とR5との少なくとも一方が水素原子以外の置換基である場合については、前記置換基で立体障害の影響が最も大きいフェニル基および最も小さいフッ素原子の位置定数(Es)を用いて、pH 5.5、37℃の緩衝液中におけるt1/2が1時間≦t1/2≦24時間、1時間≦t1/2≦1ヶ月、および1時間≦t1/2≦6ヶ月であるΣσの範囲をTaftの式(8)を用いてそれぞれ算出すると、1時間≦t1/2≦24時間のときは−0.98≦Σσ≦0.00であり、1時間≦t1/2≦1ヶ月のときは−0.98≦Σσ≦0.31であり、1時間≦t1/2≦6ヶ月のときは−0.98≦Σσ≦0.48である。

0065

このように、本発明の環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体に所望の加水分解性を付与するための適切な置換基の種類および位置は、式(7)および式(8)を用いて上述の計算を行なうことで合理的に設定可能である。

0066

(A) 環状ベンジリデンアセタールリンカーを有する抗体—薬物複合体
本発明の抗体—薬物複合体は、式(1)または式(2)で示すことができる。

0067

式(1)および式(2)において、Yは抗体であり、Dは薬物であり、wは環状ベンジリデンアセタールリンカーを介して抗体に結合した薬物の数であり、Z1およびZ2はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。

0068

本明細書で使用する用語「抗体」とは、その最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体ダイマーマルチマー多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを、それらが望ましい生物学的活性を示
す限り、網羅する(Miller, K. et al. J. Immunol. 2003, 170, 4854-4861)。抗体は、マウス抗体ヒト抗体ヒト化抗体、キメラ抗体、または他の種由来であり得る。抗体は、特定の抗原を認識および結合することが可能な、免疫系によって生成されるタンパク質である(Janeway, C.; Travers, P.; Walport, M.; Shlomchik,
M. Immunobiology, 5th ed.; Garland Publishing: New York, 2001)。標的抗原は、一般的には、複数の抗体上にあるCDRによって認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープ特異的に結合する抗体は、異なる構造を有する。従って、ある1つの抗原は、1つよりも多くの対応する抗体を有し得る。抗体は、全長免疫グロブリン分子、または全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性な部分(すなわち、対象とする抗原もしくはその部分に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)を包含する。そのような標的としては、ガン細胞、または自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を生成する細胞が挙げられるが、これらに限定はされない。本明細書において開示される免疫グロブリンは、任意の型(例えば、IgGIgEIgMIgD、およびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。上記免疫グロブリンは、任意の種に由来し得る。しかし、一態様において、上記免疫グロブリンは、ヒト起源マウス起源、またはウサギ起源である。

0069

ポリクローナル抗体は、免疫化動物血清由来のものなどの、抗体分子の不均一集団である。当分野において既知のさまざまな手順を用いて対象抗原に対するポリクローナル抗体を作り出してよい。例えば、ポリクローナル抗体を作り出すために、対象抗原またはその誘導体を注射して、ウサギ、マウス、ラットおよびモルモットを含むがそれらに限定されないさまざまな宿主動物を免疫化してよい。宿主種に依存して、フロインドの(完全および不完全)アジュバント水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲルリソレシチンなどの表面活性物質プルロニック(pluronic)ポリオールポリアニオンペプチド、油乳化物キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、およびBCG(bacille Calmett-Guerin)およびCorynebacteriumu parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むがそれらに限定されない、さまざまなアジュバントを用いて免疫応答を増加させてよい。そのようなアジュバントも、当分野では公知である。

0070

モノクローナル抗体は、特定の抗原決定基(例えば、細胞抗原(ガンまたは自己免疫細胞抗原)、ウイルス抗原微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物化学物質核酸またはそれらの抗原結合フラグメント)に対する抗体の均一な集団である。当分野において既知の任意の技法を用いて対象抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)を調製してよい。これらは、Kohler, G; Milstein, C. Nature 1975, 256, 495-497)が最初に記載したハイブリドーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor, D. et al. Immunol. Today 1983, 4, 72-79)およびEBV-ハイブリドーマ技法(Cole, S. P. C. et al. Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy;
Alan R. Liss: New York, 1985, pp. 77-96)を含むがそれらに限定されない。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA及びIgDを含む任意の免疫グロブリンの種類およびそれらの任意の亜種であってよい。本発明においてモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養してよい。

0071

モノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体および抗体フラグメントを含むがそれらに限定されない。ヒトモノクローナル抗体は、当分野で既知の多数の技法のうちの任意のもの(例えば、Teng, N. N. et al. Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1983, 80, 7308-7312、Kozbor, D. et al. Immunology Today 1983, 4,
72-79、Olsson, L. et al. Meth. Enzymol. 1982, 92,
3-16、および米国特許第5939598号明細書および第5770429号明細書を参照)によって作成してよい。キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体などの組み換え抗体は、当分野で既知の標準的な組み換えDNA技法を用いて作ることができる(例えば、米国特許第4816567号明細書、第4816397号明細書を参照)。

0072

抗体の表面再構成(resurfacing)処理によっても、抗体の免疫原性を減少させることができる(米国特許第5225539号明細書、欧州特許第0239400号明細書、第0519596号明細書、第0592106号明細書を参照)。

0073

本発明の一実施態様において、抗体は二重特異性抗体であってもよい。二重特異性抗体を作るための方法は、当分野で既知である。従来の完全長二重特異性抗体の作製方法は、2つの鎖が異なる特異性を有する場合の2つの免疫グロブリン重鎖軽鎖対の同時発現を利用している(Milstein, C et al. Nature 1983, 305, 537-539を参照)。また、別の方法として、所望の結合特異性(抗体—抗原結合部位)を有する抗体可変分域を免疫グロブリン不変分域配列と融合させることでも、二重特異性抗体を作製することができる。

0074

その他の有用な抗体は、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvs、単鎖抗体(SCA)(例えば、米国特許第4946778号明細書、Bird, R. E. et al. Science 1988, 242, 423-442、Huston, J. S. et at. Proc. Natl. Acad. Sot USA
1988, 85, 5879-5883及びWard,
E. S. et al. Nature 1989, 334, 544-554に記載されている)、scFv、sc-Fv-Fc、FvdsFv、ミニボディーダイアボディートライボディーテトラボディー、およびCDRを含み、抗体と同じ特異性を有する任意の他の分子、例えばドメイン抗体などが挙げられるが、それらに限定されない抗体のフラグメントを含む。

0075

本発明の好ましい態様では、ガンの治療または予防のための既知の抗体を用いてよい。発現がガン、細胞増殖障害または腫瘍の細胞上での発現と相関関係にある任意の標的タンパク質を含む、すべての標的タンパク質を、抗体の標的とすることができる。

0076

本発明の好ましい実施形態において、抗体はガンの治療に有用である。ガンの治療に利用可能な抗体の例は、非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療のためのキメラ抗CD20モノクローナル抗体であるリツキサン(登録商標)(ジェネンテック社)、卵巣ガンの治療のためのマウス抗体であるオバレックス(アルタレクス社)、結直腸ガンの治療のためのマウスIgG2a抗体であるパノレックス(グラクソウェルカム社)、頭部ガンおよび頚部ガンなどの上皮細胞成長因子陽性ガンの治療のための抗EGFRIgGキメラ抗体であるセツキシマブエルビツクス(イムクローンシステムズ社)、肉腫の治療のためのヒト化抗体であるビタキシン(メドイミューン社)、慢性リンパ球白血病(CLL)の治療のためのヒト化IgG1抗体であるキャンパスI/H(ロイコイト社)、急性骨髄性白血病(AML)の治療のためのヒト化抗CD33IgG抗体であるスマートM195(プロテインデザインラブズ社)、非ホジキンリンパ腫の治療のためのヒト化抗CD22 IgG抗体であるリンフォサイド(イムノディックス社)、非ホジキンリンパ腫の治療のためのヒト化抗HLA-DR抗体であるスマートID10(プロテインデザインラブズ社)、非ホジキンリンパ腫の治療のための放射性元素標識化マウス抗HLA-Dr10抗体であるオンコリム(テクニクローン社)、ホジキン氏病または非ホジキンリンパ腫の治療のためのヒト化抗CD2 mAbであるアロミューン(バイオトランスプラント社)、ガンおよび結直腸ガンの治療のための抗VEGFヒト化抗体であるアバスチン(ジェネンテック社)、非ホジキンリンパ腫の治療のための抗CD22抗体であるエプラツザマブ(イムノメディックス社およびアムジェン社)、および結直腸ガンの治療のためのヒト化抗CEA抗体であるシーサイド(イムノメディックス社)を含むがそれらに限定されない。

0077

本発明の好ましい実施形態において、抗体は以下の抗原に対する抗体である。CA125、CA15-3、CA19-9、L6、ルイスY、ルイスX、アルファフェトタンパク質、CA242、胎盤アルカリホスファターゼ前立腺特異性膜抗原、EphB2、TMEFF2、前立腺酸性ホスファターゼ上皮増殖因子、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1-KLHCEA、gp100、MART1、前立腺特異性抗原IL-2受容体、CD20、CD52、CD33、CD22、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン、CD38、CD40、ムチン、P21、MPGおよびNeuガン遺伝子産物。いくつかの特異的な有用な抗体は、BR96 mAb(Trail, P. A. et al. Science 1993, 261,
212-215)、BR64(Trail, P. A. et al. Cancer Research
1997, 57, 100-105)、S2C6 mAb(Francisco, J. A. et al. Cancer Res. 2000, 60, 3225-3231)などのCD40抗原に対するmAb、または米国特許出願公開第2003/0211100号明細書および第2002/0142358号明細書に開示されているようなその他の抗CD40抗体、1F6 mAbおよび2F2 mAbなどのCD70抗原に対するmAb、およびAC10(Bowen, M. A. et al. J. Immunol. 1993, 151, 5896-5906、Wahl, A. F. et al. Cancer Res. 2002, 62(13),
3736-42)またはMDX-0060(米国特許出願公開第2004/0006215号明細書)などのCD30抗原に対するmAbを含むがそれらに限定されない。

0078

本発明において用いることができる薬物には、化学療法薬が含まれる。化学療法薬は、ガンの処置において有用な化合物である。化学療法薬の例には次のものが含まれる:アルキル化剤、例えばチオテパ(thiotepa)およびシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート類、例えばブスルファン(busulfan)、インプロスルファン(improsulfan)およびピポスルファン(piposulfan);アジリジン類(aziridines)、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン(carboquone)、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa);エチレンイミン類およびメチルメラミン類(methylamelamines)、アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含む;アセトゲニン類(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(camptothecin)(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン(bryostatin);カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン類(cryptophycins)(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)(その合成類似体であるKW-2189およびCBI-TMIを含む));エレテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード類、例えばクロラムブシル(chlorambucil)、クロルファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イホスファミド(ifosfamide)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩メルファラン(melphalan)、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードニトロソ尿素類(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine);抗生物質、例えばエネジイン(enediyne)抗生物質(例えばカリケアマイシン(calicheamicin)、特に、カリケアマイシンガンマ1およびカリケアマイシンシータI、例えばAngew Chem Intl. Ed. Engl. 33:183-186 (1994)を参照;ダイネマイシン(dynemicin)、ダイネマイシンAを含む;エスペラマイシン(esperamicin);ならびに、ネオカルジノスタチンクロモフォア(neocarzinostatin chromophore)および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質クロモモフォア類)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin);クロモマイシン類(chromomycins)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシンドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン(epirubicin)、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マルセロマイシン(marcellomycin)、ナイトマイシン類(nitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン類(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリントリメトレキセートプリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリンチアプリン(thiamiprine)、チオグアニンピリミジン類似体、例えばアンシタビンアザシチジン6-アザウリジンカルモフールシタラビンジデオキシウリジンドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビンフロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン類、例えばカルステロンドロモスタノロンプロピオネートエピチオスタノールメピチオスタンテストラクトン;抗副腎薬(anti-adrenals)、例えばアミノグルテチミドミトタントリロスタン;葉酸補充薬、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウムヒドロキシウレアレンチナン(lentinan);ロニダミン(lonidamine);マイタンシノイド類、例えばマイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン類(ansamitocins);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン(mitoxantrone);モピダモール(mopidamol);ニトクリン(nitracrine);ペントスタチン(pentostatin);フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジドプロカルバジンPSK(登録商標);ラゾキサンリゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミントリコテセン類(trichothecenes)、(特にT-2トキシンベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタンビンデシンダカルバジンマンノムスチンミトブロニトール(mitobronitol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(arabinoside)(“Ara-C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類(taxoids)、例えばパクリタキセル(paclitaxel)(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology)およびドキセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナ類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチンビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチンビノレルビン(vinorelbine);ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド(teniposide);ダウノマイシン(daunomycin);アミノプテリン;ゼローダ(xeloda);イバンドロネート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)(DMFO);レチノイン酸カペシタビン(capecitabine);ならびに上記のいずれかの医薬的に許容できる塩類酸類、または誘導体。腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば次のものもこの定義に含まれる:例えばタモキシフェンラロキシフェン(raloxifene)、アロマターゼを阻害する4(5)-イミダゾール類、4-ヒドロキシタモキシフェントリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、およびトレミフェン(toremifene)(ファレストン(Fareston))を含む抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド(leuprolide)、およびゴセレリン(goserelin);siRNAならびに上記のいずれかの医薬的に許容できる塩類、酸類、または誘導体。本発明と共に用いることができる他の化学療法薬が、米国特許出願公開第2008/0171040号明細書または米国特許出願公開第2008/0305044号明細書において開示されており、それらをそのまま援用する。

0079

本発明の好ましい態様において、化学療法薬は低分子薬物である。低分子薬物は、好ましくは100〜1500、より好ましくは120〜1200まで、さらに好ましくは200〜1000までの分子量を有する。典型的には約1000未満の分子量を有する有機無機、または有機金属化合物を指して広く用いられる。また、本発明の低分子薬物は、約1000未満の分子量を有するオリゴペプチドおよび他の生体分子を含む。低分子薬物は当分野において、例えばとりわけ国際公開第05/058367号パンフレット、欧州特許出願公開第85901495号明細書および第8590319号明細書において、ならびに米国特許第4,956,303号明細書においてよく特性付けされており、それらをそのまま援用する。

0080

本発明の好ましい低分子薬物は、抗体への連結が可能な低分子薬物である。本発明には、既知の薬物および既知になる可能性がある薬物が含まれる。特に好ましい低分子薬物には細胞毒性薬物が含まれる。

0081

好ましい細胞毒性薬物はマイタンシノイド類、CC-1065類似体、モルホリノ類(morpholinos)、ドキソルビシン類、タキサン類(taxanes)、クリプトフィシン類(cryptophycins)、エポチロン類(epothilones)、カリケアマイシン類(calicheamicins)、アウリスタチン類(auristatins)、およびピロロベンゾジアゼピン(pyrrolobenzodiazepine)二量体類である。

0082

環状ベンジリデンアセタールリンカーを介して抗体(Y)に結合した薬物(D)の数は、式(1)、式(2)におけるwで示され、1抗体あたりの薬物の平均数によって定義される。wは1〜20である。wは、2以上が好ましく、3以上が更に好ましい。また、wは、15以下が好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。

0083

ADCにおける1抗体あたりの平均薬物数wは、例えば紫外/可視分光法質量分析法ELISA法電気泳動HPLC、およびこれらを組み合わせた方法など、当業者に公知の方法によって決定され得る。

0084

式(1)または式(2)におけるZ1またはZ2は、環状ベンジリデンアセタールのベンゼン環と抗体との間の2価のスペーサー、またはアセタール基と薬物との間の2価のスペーサーである。これらは共有結合で構成され、環状ベンジリデンアセタール基よりも酸加水分解に対して安定であれば特に制限は無いが、好ましくはエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜24である。説明のためであって、制限するものではないが、脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z1)のような構造が挙げられる。エーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z2)または(z3)のような構造が挙げられる。エステル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z4)のような構造が挙げられる。カーボネート結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z5)のような構造が挙げられる。ウレタン結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z6)のような構造が挙げられる。アミド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z7)のような構造が挙げられる。2級アミノ基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z8)のような構造が挙げられる。チオエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z9)のような構造が挙げられる。ジスルフィド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z10)のような構造が挙げられる。1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z11)のような構造が挙げられる。好ましい実施形態において、pおよびqは独立して1〜12の整数である。ただし、Z1とZ2との少なくとも一方が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である。

0085

0086

式(1)の抗体—薬物複合体は、環状ベンジリデンアセタールリンカーが加水分解すると、下記スキームで示されるように、w個の薬物フラグメントと1個の抗体フラグメントに分かれる。

0087

式(2)の抗体—薬物複合体は、環状ベンジリデンアセタールリンカーが加水分解すると、下記スキームで示されるように、w個の薬物フラグメントと1個の抗体フラグメントに分かれる。

0088

(B) 環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した抗体
本発明の一態様では、式(1)または式(2)で示される抗体—薬物複合体は、環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した抗体と薬物を連結させることで合成できる。当該環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した抗体は、式(3)または式(4)で示される化合物である。

0089

式(3)、式(4)において、Yは抗体であり、X1は共有結合による薬物の連結が可能な反応性官能基であり、wは抗体に結合した環状ベンジリデンアセタールリンカーの数であり、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。

0090

本発明の式(3)、式(4)におけるX1は、連結の対象となる薬物に存在する官能基と反応して共有結合を形成する反応性官能基であれば特に制限されない。例えば、「Hermanson, G. T. Bioconjugate Techniques,
2nd ed.; Academic Press: San Diego, CA, 2008」、「Harris, J. M. Poly(Ethylene Glycol)
Chemistry; Plenum Press: New York, 1992」および「PEGylated Protein Drugs: Basic Science and Clinical
Applications; Veronese, F. M., Ed.; Birkhauser: Basel, Switzerland, 2009」などに記載されている反応性官能基が挙げられる。

0091

X1の好ましい例を挙げれば、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基、ヒドロキシ基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基である。更に具体的な実施形態においては、反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基またはカルボキシ基であり、反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基またはビニル基であり、反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基、アミノ基、オキシアミノ基またはヒドラジド基であり、反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基またはアジド基であり、反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、アルキニル基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基であり、反応相手のハロゲン化アルキル基アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、ヒドロキシ基、チオール基またはアミノ基である。

0092

ここで「活性エステル」とは、式:−C(=O)−Lで表わされる活性化されたカルボキシ基を示し、Lは脱離基を示す。Lで表わされる脱離基としては、スクシンイミジルオキシ基フタルイミジルオキシ基、4-ニトロフェノキシ基、1-イミダゾリル基ペンタフルオロフェノキシ基、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ基および7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ基などが挙げられる。「活性カーボネート」とは、式:−O−C(=O)−Lで表わされる活性化されたカーボネート基を示し、Lは上記と同様の脱離基を示す。

0093

本態様の好適な実施形態において、X1は群(I)、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)または群(VI)で示される基である。
群(I):反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)
群(II):反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および(j)
群(III):反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)および(m)
群(IV):反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)、(m)および(n)
群(V):反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(j)、(p)および(q)
群(VI):反応相手のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(o)、(g)および(k)

0094

0095

式中、R7は水素原子またはスルホ基であり、スルホ基として具体的にはスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸カリウムが挙げられるが、好ましくは水素原子である。R8、R11は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基およびペンチル基などが挙げられる。R9はハロゲン原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、4-メチルフェニル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル基、ビニル基、クロロエチル基、ブロモエチル基およびヨードエチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、ビニル基、4-メチルフェニル基または2,2,2-トリフルオロエチル基である。R10は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。

0096

式(3)におけるZ3は、環状ベンジリデンアセタールのアセタール基とX1との間の2価のスペーサーであり、式(4)におけるZ4は、ベンゼン環とX1との間の2価のスペーサーである。これらは共有結合で構成され、環状ベンジリデンアセタール基よりも酸加水分解に対して安定であれば特に制限は無いが、好ましくはエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜24である。説明のためであって、制限するものではないが、脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z1)のような構造が挙げられる。エーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z2)または(z3)のような構造が挙げられる。エステル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z4)のような構造が挙げられる。カーボネート結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z5)のような構造が挙げられる。ウレタン結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z6)のような構造が挙げられる。アミド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z7)のような構造が挙げられる。2級アミノ基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z8)のような構造が挙げられる。チオエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z9)のような構造が挙げられる。ジスルフィド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z10)のような構造が挙げられる。1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z11)のような構造が挙げられる。好ましい実施形態において、pおよびqは独立して1〜12の整数である。ただし、Z3またはZ4がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である。

0097

0098

本発明の好適な実施形態において、式(3)または式(4)の化合物と薬物を連結させる前に、薬物に存在する官能基を別の官能基に化学変換し、その化学変換された官能基と式(3)または式(4)のX1を反応させることで、式(1)または式(2)の抗体—薬物複合体を合成することができる。薬物の前記化学変換後の官能基の好ましい例としては、当該官能基とX1との反応によって生じる結合が、式(1)または式(2)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0099

本発明の別の好適な実施形態においては、薬物に存在する官能基に2官能クロスリンカーの一方の反応性官能基を反応させ、そのクロスリンカーのもう一方の反応性官能基と式(3)または式(4)のX1を反応させることで、式(1)または式(2)の抗体—薬物複合体を合成することができる。前記クロスリンカーの具体的な例は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば「Hermanson, G. T. Bioconjugate Techniques,
2nd ed.; Academic Press: San Diego, CA, 2008」に記載されている。クロスリンカーの反応性官能基の好ましい例としては、当該反応性官能基と薬物、および当該反応性官能基とX1との反応によって生じる結合が、式(1)または式(2)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、マレイミド基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0100

(C) 環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した薬物
本発明の別の一態様では、式(1)または式(2)で示される抗体—薬物複合体は、環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した薬物と抗体を連結させることで合成できる。当該環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合した薬物は、式(5)または式(6)で示される化合物である。

0101

式(5)または式(6)において、Dは薬物であり、X2は共有結合による抗体の連結が可能な反応性官能基であり、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。

0102

本発明の式(5)または式(6)におけるX2は、連結の対象となる抗体に存在する官能基と反応して共有結合を形成する反応性官能基であれば特に制限されない。例えば、「Hermanson, G. T. Bioconjugate Techniques,
2nd ed.; Academic Press: San Diego, CA, 2008」、「Harris, J. M. Poly(Ethylene Glycol) Chemistry;
Plenum Press: New York, 1992」および「PEGylated Protein Drugs: Basic Science and Clinical
Applications; Veronese, F. M., Ed.; Birkhauser: Basel, Switzerland, 2009」などに記載されている反応性官能基が挙げられる。

0103

X2の好ましい例を挙げれば、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基、ヒドロキシ基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基である。更に具体的な実施形態においては、反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基またはカルボキシ基であり、反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基またはビニル基であり、反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基、アミノ基、オキシアミノ基またはヒドラジド基であり、反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基またはアジド基であり、反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、アルキニル基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基であり、反応相手のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、ヒドロキシ基、チオール基またはアミノ基である。

0104

本態様の好適な実施形態において、X2は群(I)、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)または群(VI)で示される基である。
群(I):反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)
群(II):反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および(j)
群(III):反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)および(m)
群(IV):反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)、(m)および(n)
群(V):反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(j)、(p)および(q)
群(VI):反応相手のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(o)、(g)および(k)

0105

0106

式中、R7は水素原子またはスルホ基であり、スルホ基として具体的にはスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸カリウムが挙げられるが、好ましくは水素原子である。R8、R11は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基およびペンチル基などが挙げられる。R9はハロゲン原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、4-メチルフェニル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル基、ビニル基、クロロエチル基、ブロモエチル基およびヨードエチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、ビニル基、4-メチルフェニル基または2,2,2-トリフルオロエチル基である。R10は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。

0107

式(5)におけるZ4は、環状ベンジリデンアセタールのベンゼン環とX2との間の2価のスペーサーであり、式(6)におけるZ3は、アセタール基とX2との間の2価のスペーサーである。これらは共有結合で構成され、環状ベンジリデンアセタール基よりも酸加水分解に対して安定であれば特に制限は無いが、好ましくはエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜24である。説明のためであって、制限するものではないが、脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z1)のような構造が挙げられる。エーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z2)または(z3)のような構造が挙げられる。エステル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z4)のような構造が挙げられる。カーボネート結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z5)のような構造が挙げられる。ウレタン結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z6)のような構造が挙げられる。アミド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z7)のような構造が挙げられる。2級アミノ基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z8)のような構造が挙げられる。チオエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z9)のような構造が挙げられる。ジスルフィド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z10)のような構造が挙げられる。1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z11)のような構造が挙げられる。好ましい実施形態において、pおよびqは独立して1〜12の整数である。ただし、Z3とまたはZ4がエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である。

0108

0109

本発明の好適な実施形態において、式(5)または式(6)の化合物と抗体を連結させる前に、抗体に存在する官能基を化学反応酵素反応等により別の官能基に変換し、その変換された官能基と式(5)または式(6)のX2を反応させることで、式(1)または式(2)の抗体—薬物複合体を合成することができる。抗体の前記変換後の官能基の好ましい例としては、当該官能基とX2との反応によって生じる結合が、式(1)または式(2)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0110

本発明の別の好適な実施形態においては、抗体に存在する官能基に2官能クロスリンカーの一方の反応性官能基を反応させ、そのクロスリンカーのもう一方の反応性官能基と式(5)または式(6)のX2を反応させることで、式(1)または式(2)の抗体—薬物複合体を合成することができる。前記クロスリンカーの具体的な例は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば「Hermanson, G. T. Bioconjugate Techniques,
2nd ed.; Academic Press: San Diego, CA, 2008」に記載されている。クロスリンカーの反応性官能基の好ましい例としては、当該反応性官能基と抗体、および当該反応性官能基とX2との反応によって生じる結合が、式(1)または式(2)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、マレイミド基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0111

本発明の好適な実施形態において、式(3)または式(4)の化合物は、式(14)で示される環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物と抗体を結合させることで合成できる。また、式(5)または式(6)の化合物は、式(14)のリンカー化合物と薬物を結合させることで合成できる。

0112

0113

式(14)において、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、共有結合による抗体または薬物の連結が可能な反応性官能基であり、Z3およびZ4はそれぞれ独立して選択された2価のスペーサーである。

0114

式(14)におけるX1およびX2は、連結の対象となる抗体または薬物に存在する官能基と反応して共有結合を形成する反応性官能基であれば特に制限されない。反応性官能基の具体的な例は、前述の文献に記載されている。

0115

X1およびX2の好ましい例を挙げれば、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基、ヒドロキシ基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基である。更に具体的な実施形態においては、反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基またはカルボキシ基であり、反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基またはビニル基であり、反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基、アミノ基、オキシアミノ基またはヒドラジド基であり、反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、チオール基またはアジド基であり、反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、アルキニル基、ジベンゾシクロオクチン基およびビシクロ[6.1.0]ノニン基であり、反応相手のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基は、ヒドロキシ基、チオール基またはアミノ基である。

0116

本態様の好適な実施形態において、X1およびX2は群(I)、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)または群(VI)で示される基である。
群(I):反応相手のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)
群(II):反応相手のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および(j)
群(III):反応相手のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)および(m)
群(IV):反応相手のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)、(m)および(n)
群(V):反応相手のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(j)、(p)および(q)
群(VI):反応相手のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(o)、(g)および(k)

0117

0118

式中、R7は水素原子またはスルホ基であり、スルホ基として具体的にはスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸カリウムが挙げられるが、好ましくは水素原子である。R8、R11は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基およびペンチル基などが挙げられる。R9はハロゲン原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、4-メチルフェニル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル基、ビニル基、クロロエチル基、ブロモエチル基およびヨードエチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、ビニル基、4-メチルフェニル基または2,2,2-トリフルオロエチル基である。R10は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子である。

0119

式(14)のX1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、X1と X2が互いに異なる場合の好ましい組み合わせとして、X1が活性エステル基または活性カーボネート基のときは、X2はマレイミド基、ビニルスルホン基、α-ハロアセチル基、アルキニル基およびアジド基から選択される基であり、X1がアルデヒド基のときは、X2はマレイミド基、ビニルスルホン基、アルキニル基およびアジド基から選択される基であり、X1がマレイミド基、ビニルスルホン基またはα-ハロアセチル基のときは、X2は活性エステル基、活性カーボネート基、アルキニル基、アジド基から選択される基であり、X1がアルキニル基またはアジド基のときは、X2はマレイミド基、ビニルスルホン基、α-ハロアセチル基、活性エステル基、活性カーボネート基、アミノ基、オキシアミノ基およびヒドロキシ基から選択される基であり、X1がアミノ基またはオキシアミノ基のときは、X2はアルキニル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であり、X1がチオール基またはヒドロキシ基のときは、X2はアミノ基、オキシアミノ基、アジド基およびカルボキシ基から選択される基である。より好ましくは、X1が活性エステル基または活性カーボネート基のときは、X2はマレイミド基、α-ハロアセチル基、アルキニル基およびアジド基から選択される基であり、X1がアルデヒド基のときは、X2はマレイミド基、α-ハロアセチル基、アルキニル基およびアジド基から選択される基であり、X1がマレイミド基またはα-ハロアセチル基のときは、X2は活性エステル基、活性カーボネート基、アルキニル基、アジド基から選択される基であり、X1がアルキニル基またはアジド基のときは、X2はマレイミド基、α-ハロアセチル基、活性エステル基、活性カーボネート基、アミノ基、オキシアミノ基およびヒドロキシ基から選択される基であり、X1がアミノ基またはオキシアミノ基のときは、X2はアルキニル基、アジド基、ヒドロキシ基またはチオール基であり、X1がチオール基またはヒドロキシ基のときは、X2はアミノ基、オキシアミノ基およびアジド基から選択される基である。

0120

式(14)におけるZ3は、環状ベンジリデンアセタールのアセタール基とX1との間の2価のスペーサーであり、Z4はベンゼン環とX2との間の2価のスペーサーである。これらは共有結合で構成され、環状ベンジリデンアセタール基よりも酸加水分解に対して安定であれば特に制限は無いが、好ましくはエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜24である。説明のためであって、制限するものではないが、脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z1)のような構造が挙げられる。エーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z2)または(z3)のような構造が挙げられる。エステル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z4)のような構造が挙げられる。カーボネート結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z5)のような構造が挙げられる。ウレタン結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z6)のような構造が挙げられる。アミド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z7)のような構造が挙げられる。2級アミノ基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z8)のような構造が挙げられる。チオエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z9)のような構造が挙げられる。ジスルフィド結合を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z10)のような構造が挙げられる。1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基を有する脂肪族炭化水素基の好ましい例としては、(z11)のような構造が挙げられる。好ましい実施形態において、pおよびqは独立して1〜12の整数である。ただし、Z3とZ4との少なくとも一方が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基であって、複数の同一構造単位が結合している場合における前記構造単位の数は2以下である。

0121

0122

式(14)のリンカー化合物と抗体または薬物とのカップリング反応によって生じる結合は、反応に使用される官能基の組み合わせによって決定されるものであり、式(3)または式(4)、および式(5)または式(6)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、マレイミド基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。合成した式(3)または式(4)の化合物、および式(5)または式(6)の化合物は、必要に応じて末端官能基を化学変換する。この官能基変換に用いられる反応は、従来公知の方法を用いることができるが、前記環状ベンジリデンアセタール基および前記2価のスペーサーZ1、Z2、Z3およびZ4に含まれる結合を分解しない条件を適切に選択しなければならない。

0123

本発明の好適な実施形態において、式(14)のリンカー化合物に抗体または薬物を連結させる前に、抗体または薬物に存在する官能基を化学反応や酵素反応等により別の官能基に変換し、その変換された官能基と式(14)のX1またはX2を反応させることで、式(3)または式(4)の化合物、および式(5)または式(6)の化合物を合成することができる。抗体または薬物の前記変換後の官能基の好ましい例としては、当該官能基とX1またはX2との反応によって生じる結合が、式(3)または式(4)、および式(5)または式(6)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0124

本発明の別の好適な実施形態においては、抗体または薬物に存在する官能基に2官能クロスリンカーの一方の反応性官能基を反応させ、そのクロスリンカーのもう一方の反応性官能基と式(14)のX1またはX2を反応させることで、式(3)または式(4)の化合物、および式(5)または式(6)の化合物を合成することができる。前記クロスリンカーの具体的な例は、前述の文献に記載されている。クロスリンカーの反応性官能基の好ましい例としては、当該反応性官能基と抗体または薬物、および当該反応性官能基とX1またはX2との反応によって生じる結合が、式(3)または式(4)、および式(4)または式(5)のZ1またはZ2に含まれるエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、1H-1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイル基、2級アミノ基もしくはこれらを含む脂肪族炭化水素基、単結合または脂肪族炭化水素基であり、具体的にはハロゲン原子、活性エステル、活性カーボネート、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、マレイミド基、アルキニル基およびアジド基などが挙げられる。

0125

環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物を合成する典型的な例を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0126

(式中、R1は水素原子または炭化水素基であり;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して電子吸引性もしくは電子供与性の置換基、または水素原子である。)

0127

0128

化学反応可能な官能基であるヒドロキシ基を有する式(15)のカルボニル化合物、およびアミノ基がフタロイル基で保護されたフタルイミド基を有する式(16)の1,2-ジオール誘導体トルエンベンゼンキシレンアセトニトリル酢酸エチルジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテルテトラヒドロフランクロロホルムジクロロメタンジメチルスルホキシドジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、酸触媒存在下、反応させることで環状ベンジリデンアセタール基を有する下記式(17)の化合物を得る。得られた化合物は、抽出、再結晶吸着剤処理またはカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよい。カルボニル化合物の代わりに、対応する低級アルコールアセタール誘導体を使用することもできる。低級アルコールは好ましくは炭素数1〜5のアルコールであり、更に好ましくはメタノールまたはエタノールである。酸触媒は有機酸または無機酸のいずれでもよく、特に制限は無いが、具体的な例を挙げればp-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウムメタンスルホン酸、10-カンファースルホン酸塩化水素ヨウ素、塩化アンモニウムシュウ酸および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体などである。

0129

0130

ここで「保護基」とは、ある反応条件下で分子中の特定の化学反応可能な官能基の反応を防止または阻止する成分である。保護基は、保護される化学反応可能な官能基の種類、使用される条件および分子中の他の官能基もしくは保護基の存在により変化する。保護基の具体的な例は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば「Wuts, P. G. M.; Greene, T. W. Protective
Groups in Organic Synthesis, 4th ed.; Wiley-Interscience: New York, 2007」に記載されている。また、保護基で保護された官能基は、それぞれの保護基に適した反応条件を用いて脱保護、すなわち化学反応させることで、元の官能基を再生させることができる。したがって、本明細書では、保護基で保護されており、各種反応によって脱保護が可能な官能基は「化学反応可能な官能基」に含む。保護基の代表的な脱保護条件は前述の文献に記載されている。

0131

式(15)の化合物の化学反応可能な官能基は、ヒドロキシ基以外の官能基も用いることができる。具体的な例としては、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、カルボキシ基およびカルボキシアルキル基などが挙げられる。また、上記官能基は、アセタール化反応酸性条件で安定、かつ環状ベンジリデンアセタール基が分解する接触還元以外の反応条件で脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。保護される官能基と保護基の好ましい組み合わせとして、保護される官能基がヒドロキシ基またはヒドロキシアルキル基のときは、例えばシリル系保護基およびアシル系保護基が挙げられ、具体的にはt-ブチルジフェニルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、アセチル基およびピバロイル基などが挙げられる。保護される官能基がアミノ基またはアミノアルキル基のときは、例えばアシル系保護基およびカーバメート系保護基が挙げられ、具体的にはトリフルオロアセチル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基および2-(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基などが挙げられる。保護される官能基がカルボキシ基またはカルボキシアルキル基のときは、例えばアルキルエステル系保護基およびシリルエステル系保護基が挙げられ、具体的にはメチル基、9-フルオレニルメチル基およびt-ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。具体的な保護基の種類および代表的な脱保護条件は前述の文献に記載されており、それぞれの保護基に適した反応条件を選択し、環状ベンジリデンアセタールリンカー化合物の一連の合成工程の適切なタイミングで脱保護を行うことができる。

0132

また、式(16)の化合物の1,2-ジオール部分を除く化学反応可能な官能基には、フタルイミド基以外の官能基も用いることができる。化学反応可能な官能基が保護基で保護された官能基である場合は、保護基はアセタール化反応の酸性条件で安定、かつベンジリデンアセタール基が分解する接触還元以外の反応条件で脱保護可能である必要がある。保護される官能基と保護基の好ましい組み合わせとして、保護される官能基がアミノ基のときは、例えばアシル系保護基およびカーバメート系保護基が挙げられ、具体的にはトリフルオロアセチル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基および2-(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基などが挙げられる。また、保護される官能基がヒドロキシ基のときは、例えばシリル系保護基およびアシル系保護基が挙げられ、具体的にはt-ブチルジフェニルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、アセチル基およびピバロイル基などが挙げられる。保護される官能基がカルボキシ基のときは、例えばアルキルエステル系保護基およびシリルエステル系保護基が挙げられ、具体的にはメチル基、9-フルオレニルメチル基およびt-ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。保護される官能基がスルファニル基のときは、例えばチオエーテル系保護基、チオカーボネート系保護基およびジスルフィド系保護基が挙げられ、具体的にはS-2,4-ジニトロフェニル基、S-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基およびS-t-ブチルジスルフィド基などが挙げられる。保護基の代表的な脱保護条件は前述の文献に記載されており、それぞれの保護基に適した反応条件を選択することができる。ただし、化学反応可能な官能基が、保護基で保護されていなくてもアセタール化反応を阻害しない官能基の場合は、保護基を使用する必要は無い。

0133

ジエチレングリコールをトルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンピリジンまたは4-ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基、もしくは炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム酢酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下、塩化メタンスルホニルと反応させることで、式(18)の化合物を得る。上記有機塩基、無機塩基は用いなくとも良い。有機塩基、無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、ジエチレングリコールの水酸基に対して0.5モル当量以下が好ましい。また、有機塩基を溶媒として用いてもよい。得られた化合物は、抽出、再結晶、吸着剤処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィーまたは超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。

0134

0135

式(17)の化合物と式(18)の化合物をトルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、t-ブトキシカリウムまたはヘキサメチルジシラザンナトリウムなどの有機塩基、もしくは炭酸カリウム、水酸化カリウムまたは水素化ナトリウムなどの無機塩基の存在下、カップリング反応させることで、式(19)の化合物を得る。有機塩基、無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、式(18)の化合物の化学反応可能な官能基に対して等モル以上が好ましい。また、有機塩基を溶媒として用いてもよい。得られた化合物は、前述の精製手段にて精製してもよい。

0136

0137

式(19)の化合物を水、メタノールまたはエタノールなどのプロトン性溶媒、もしくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、エチレンジアミンメチルヒドラジンまたはメチルアミンなどの塩基性有機化合物、もしくはヒドラジンヒドロキシアミンまたは水酸化ナトリウムなどの塩基性無機化合物を用いて処理することで、フタルイミド基が脱保護されてアミノ基に変換された式(20)の化合物を得る。塩基性化合物の使用割合は、特に制限はないが、式(19)の化合物の化学反応可能な官能基に対して等モル以上が好ましい。また、塩基性化合物を溶媒として用いてもよい。得られた化合物は、前述の精製手段にて精製してもよい。

0138

0139

式(20)の化合物をトルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジンまたは4-ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基、もしくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下、3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジルと反応させることで、末端にマレイミド基が導入された式(21)の化合物を得る。上記有機塩基、無機塩基は用いなくとも良い。有機塩基、無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、式(20)の化合物の化学反応可能な官能基に対して等モル以上が好ましい。また、有機塩基を溶媒として用いてもよい。得られた化合物は、前述の精製手段にて精製してもよい。

0140

0141

式(21)の化合物をトルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジンまたは4-ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基、もしくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネートと反応させることで、末端にN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート基が導入された式(22)の化合物を得る。上記有機塩基、無機塩基は用いなくとも良い。有機塩基、無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、式(21)の化合物の化学反応可能な官能基に対して等モル以上が好ましい。また、有機塩基を溶媒として用いてもよい。得られた化合物は、前述の精製手段にて精製してもよい。

0142

0143

以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0144

1H-NMR分析では日本電子データム(株)製JNM-ECP400またはJNM-ECA600を使用した。測定にはφ5mmチューブを用い、重水素化溶媒がCDCl3、CD3CNまたはCD3ODの場合は、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用し、D2Oの場合はHDOを基準とした。

0145

(実施例1)
温度計窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管装備した200 mLの三つ口フラスコに1,2,6-ヘキサントリオール(30.0 g, 0.224 mol)、アセトンジメチルアセタール(25.6 g, 0.246 mol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.426 g, 2.24 mmol)を仕込み、80℃にてメタノールの留去を行いながら、3時間反応を行った。トリエチルアミン(0.453 g, 4.48 mmol)を加えてしばらく攪拌し、酢酸エチルで希釈後、20wt%食塩水洗浄した。有機層無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(23)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.35(3H, s, -CH3),
1.41(3H, s, -CH3), 1.49-1.67(6H, m, >CHCH2CH2CH2-),
2.07(1H, brs, -OH), 3.51(1H, t, -OCH2CH<), 3.64(2H,
t, -CH2OH), 4.04(1H, dd, -OCH2CH<),
4.07-4.10(1H, m, -OCH2CH<)

0146

0147

(実施例2)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した500 mLの四つ口フラスコに式(23)の化合物(20.0 g, 0.115 mol)、トリエチルアミン(23.3 g, 0.230 mol)およびトルエン(200 g)を仕込み、10℃以下に冷却した。冷却を続けながら、滴下漏斗に準備した塩化メタンスルホニル(19.8 g, 0.173 mol)を徐々に滴下した。滴下終了後、20℃で2時間反応を行った。エタノール(7.97 g, 0.173 mol)を加えてしばらく攪拌し、濾過後、有機層をイオン交換水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去して式(24)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.35(3H, s, -CH3),
1.40(3H, s, -CH3), 1.44-1.83(6H, m, >CHCH2CH2CH2-),
3.01(3H, s, -OSO2CH3), 3.51(1H, t, -OCH2CH<),
4.03-4.11(2H, m, -OCH2CH<, -OCH2CH<),
4.24(2H, t, -CH2OSO2CH3)

0148

0149

(実施例3)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した500 mLの四つ口フラスコに式(24)の化合物(20.0 g, 79.3 mmol)、フタルイミドカリウム(17.6 g, 95.2 mmol)および脱水ジメチルホルムアミド(200 g)を仕込み、60℃で2時間反応を行った。10℃以下に冷却し、イオン交換水(400 g)を加えてしばらく攪拌した後、酢酸エチル/ヘキサン(60/40, v/v)混合溶液で抽出した。有機層を0.2wt%炭酸カリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去して式(25)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.34(3H, s, -CH3),
1.39(3H, s, -CH3), 1.44-1.75(6H, m, >CHCH2CH2CH2-),
3.50(1H, t, -OCH2CH<), 3.69(2H, t, -CH2-phthalimide),
4.01-4.09(2H, m, -OCH2CH<, -OCH2CH<),
7.71-7.85(4H, m, -phthalimide)

0150

0151

(実施例4)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した1 Lの四つ口フラスコに式(25)の化合物(15.2 g, 50.0 mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(951 mg, 5.00 mmol)およびメタノール(500 mL)を仕込み、室温で4時間反応を行った。トリエチルアミン(1.01 g, 10.0 mmol)を加えてしばらく攪拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、イオン交換水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去して式(26)の化合物を得た。

1H-NMR(CD3CN,内部標準TMS); δ(ppm):
1.24-1.61(6H, m,
>CHCH2CH2CH2-), 2.69(1H,
t, -OH), 2.75(1H, d, -OH), 3.17-3.21(1H, m, -OCH2CH<),
3.31-3.37(1H, m, -OCH2CH<), 3.39-3.43(1H, m, -OCH2CH<),
3.54(2H, t, -CH2-phthalimide), 7.67-7.75(4H, m, -phthalimide)

0152

0153

(実施例5)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した300 mLの三つ口フラスコに式(26)の化合物(3.87 g, 14.7 mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(1.20 g, 9.83 mmol)、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム(247 mg, 0.983 mmol)およびトルエン(180 g)を仕込み、副生する水をトルエンで共沸除去しながら4時間反応を行った。トリエチルアミン(199 mg, 1.97 mmol)を加えてしばらく攪拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、20wt%食塩水、イオン交換水の順で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去して式(27)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.41-1.80(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.57-4.26(5H, m, -OCH2CH<, -CH2-phthalimide),
5.71(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H, s, >CH-), 6.79-6.82(2H, m, arom.
H), 7.31-7.35(2H, m, arom. H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0154

0155

(実施例6)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500 mLの三つ口フラスコにジエチレングリコール(2.12 g, 20.0 mmol)とトルエン(250g)を仕込み、水をトルエンで共沸除去した。40℃へ冷却後、トリエチルアミン(1.21 g, 12.0 mmol)を仕込み、滴下漏斗に準備した塩化メタンスルホニル(1.15 g, 10.0 mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後、40℃で3時間反応を行った。エタノール(0.46 g, 10.0 mmol)を加えてしばらく攪拌し、濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(29)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS);
δ(ppm):
3.08(3H, s,
-OSO2CH3), 3.52-3.85(6H, m, -OCH2CH2-OCH2-),
4.37-4.39(2H, m, -CH2OSO2CH3)

0156

0157

(実施例7)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した100 mLの三つ口フラスコに式(29)の化合物(184 mg, 1.00 mmol)、式(27)の化合物(551 mg, 1.50 mmol)、炭酸カリウム(691 mg, 5.00 mmol)およびアセトニトリル(25 g)を仕込み、80℃で4時間反応を行った。濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(30)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.40-1.81(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.52-4.25(13H, m, -OCH2CH2-, -OCH2CH<,
-CH2-phthalimide), 5.72(0.6H, s, >CH-), 5.84(0.4H,
s, >CH-), 6.89-6.91(2H, m, arom. H), 7.35-7.39(2H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0158

0159

(実施例8)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した50 mLの三つ口フラスコに式(30)の化合物(364 mg, 0.800 mmol)、メタノール(7 g)およびエチレンジアミン一水和物(1.56 g, 20.0 mmol)を仕込み、40℃にて4時間反応を行った。20wt%食塩水で希釈し、ジクロロメタンで抽出後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル(50 g)に溶解して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(31)の化合物を得た。

1H-NMR(CD3OD,内部標準TMS);
δ(ppm):
1.43-1.79(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
2.77(2H, t, -CH2-NH2), 3.50-4.29(11H, m, -OCH2CH2-,
-OCH2CH<), 5.70(0.6H, s, >CH-), 5.81(0.4H,
s, >CH-), 6.93-6.98(2H, m, arom. H), 7.33-7.41(2H, m, arom.
H)

0160

0161

(実施例9)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した50 mLの三つ口フラスコへ式(31)の化合物(163 mg, 0.500 mmol)とアセトニトリル(10 g)を仕込み、3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジル(160 mg, 0.600 mmol)を加えて25℃にて3時間反応を行った。濾過後、溶媒を減圧留去した。濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(32)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS);
δ(ppm):
1.40-1.81(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-), 2.44(2H,
t, -CH2CH2-maleimide), 3.27-3.37(2H, m, -CH2NHCO-),
3.47-4.25(13H, m, -OCH2CH2-, -OCH2CH<,
-CH2CH2-maleimide), 5.72(0.6H, s, >CH-),
5.84(0.4H, s, >CH-), 6.15(1H, brs, -NHCO-), 6.70(2H, s, -maleimide),
6.89-6.91(2H, m, arom. H), 7.35-7.39(2H, m, arom. H)

0162

0163

(実施例10)
式(32)の化合物をトリエチルアミン存在下、ジクロロメタン中、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネートと反応させることで、式(33)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS);
δ(ppm):
1.40-1.81(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
2.44(2H, t, -CH2CH2-maleimide), 2.84(4H, s, -succinimide),
3.27-3.37(2H, m, -CH2NHCO-), 3.40-4.23(11H, m, -OCH2CH2-OCH2-,
-OCH2CH<, -CH2CH2-maleimide),
4.44-4.48(2H, m, -CH2O-COO-succinimide), 5.70(0.6H, s, >CH-),
5.82(0.4H, s, >CH-), 6.15(1H, brs, -NHCO-), 6.70(2H, s, -maleimide),
6.95-7.21(3H, m, arom. H)

0164

0165

(実施例11)
3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例1〜10と同様の方法にて式(34)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.52-4.23(11H, m, -OCH2CH2-, -OCH2CH<,
-CH2-phthalimide), 5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H,
s, >CH-), 6.95-7.21(3H, m, arom. H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0166

0167

(実施例12)
2-ブロモ-5-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例1〜10と同様の方法にて式(35)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-), 3.52-4.23(11H,
m, -OCH2CH2-, -OCH2CH<,
-CH2-phthalimide), 5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H,
s, >CH-), 6.95-7.21(3H, m, arom. H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0168

0169

(実施例13)

0170

実施例1〜4と類似の方法にて式(36)の化合物を合成した後、3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例5〜7と同様の方法にて式(37)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.89 (2H, m, -CH2CH2-phthalimide),
3.19(1H, m, -OCH2CH<), 3.52-4.41(16H, m, -OCH2CH2-,
-OCH2CH<, -CH2CH2CH2-phthalimide),
5.34(0.8H, s, >CH-), 5.42(0.2H, s, >CH-), 6.95-7.25(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0171

0172

(実施例14)
式(36)の化合物と2-ブロモ-5-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例5〜8と同様の方法にて式(38)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.89 (2H, m, -CH2CH2-phthalimide),
3.19(1H, m, -OCH2CH<), 3.52-4.41(16H, m, -OCH2CH2-,
-OCH2CH<, -CH2CH2CH2-phthalimide),
5.61(0.8H, s, >CH-), 5.68(0.2H, s, >CH-), 6.78-7.40(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0173

0174

(実施例15)

0175

式(39)の化合物を5-アジドペンタン酸無水物と反応させることで、式(40)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS);
δ(ppm):
1.60-1.74(4H,
m, -CH2CH2CH2CH2N3),
2.18(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
3.29(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
3.40-3.85(8H, m, -OCH2CH2-, -CONHCH2CH2-),
6.30(1H, brs, -CONH-)

0176

0177

(実施例16)
実施例6と類似の方法にて、式(40)の化合物をトリエチルアミン存在下、トルエン中、塩化メタンスルホニルと反応させることで、式(41)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS);
δ(ppm):
1.60-1.74(4H,
m, -CH2CH2CH2CH2N3),
2.18(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
3.08(3H, s, -OSO2CH3), 3.29(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
3.40-3.85(6H, m, -CONHCH2CH2-OCH2-),
4.37-4.39(2H, m, -CH2OSO2CH3), 6.30(1H,
brs, -CH2CONH-)

0178

0179

(実施例17)
3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドと式(41)の化合物を用いて、実施例1〜5および7と同様の方法にて式(42)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(10H,
m, >CHCH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2N3),
2.18(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
3.28-4.23(15H, m, -OCH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2N3,
-CH2CONHCH2CH2-, -OCH2CH<,
-CH2-phthalimide), 5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H,
s, >CH-), 6.30(1H, brs, -CH2CONH-), 6.95-7.21(3H,
m, arom. H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)

0180

0181

(実施例18)
式(42)の化合物に対して、実施例8と同様の方法にてフタルイミド基を脱保護して、式(43)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(10H,
m, >CHCH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2N3),
2.18(2H, t, -CH2CH2CH2CH2N3),
2.77(2H, t, -CH2-NH2), 3.28-4.23(13H, m, -OCH2CH2-,
-CH2CH2CH2CH2N3,
-CH2CONHCH2CH2-, -OCH2CH<),
5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H, s, >CH-), 6.30(1H, brs, -CH2CONH-),
6.96(1H, brs, ICH2CONHCH2-), 6.95-7.21(3H, m, arom.
H)

0182

0183

環状ベンジリデンアセタールリンカーの加水分解試験、および加水分解試験に用いた環状ベンジリデンアセタールリンカーを有するポリエチレングリコール誘導体の合成について以下に記載する。

0184

ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析では、GPCシステムとしてSHODEX GPC SYSTEM-11、検出器である示唆屈折計としてSHODEXRIX8、GPCカラムとしてSHODEX KF801L、KF803L、KF804L(φ8mm×300mm)を3本直列繋ぎカラムオーブンの温度を40℃とした。溶離液としてはテトラヒドロフランを用い、流速は1ml/分とし、試料の濃度は0.1wt%とし、注入容量は0.1mLとして測定を行った。検量線は関東化学(株)製のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、並びにPolymer Laboratory製の分子量600〜70000のポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドのGPC用Polymer Standardsを用いて作成したものを用いた。データの解析はBORWIN GPC計算プログラムを使用した。Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量を表わし、分子量分布はMw/Mnとしてその計算値を示した。

0185

加水分解試験で使用するpD 5.5のMES(2-morpholinoethanesulfonic acid)重水緩衝液とpD 7.4のHEPES(2-[4-(Hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic
acid])重水緩衝液は、それぞれ0.1MのMES重水溶液と0.1MのHEPES重水溶液に0.1Mの水酸化ナトリウム重水溶液を加え、「Glasoe, P. K.; Long, F. A. J. Phys. Chem.
1960, 64, 188-190」に記載されている以下の関係式に基づいて調製した。

pD=pHメーター測定値+0.40

0186

加水分解率は1H-NMRで評価し、アセタール基の水素積分値をI1、加水分解で生成するアルデヒド基の水素の積分値をI2として、次の計算式により算出した。

加水分解率(%)=[I2/(I1+I2)]×100

0187

(実施例19)

0188

温度計、窒素吹き込み管、攪拌機および冷却管を装備した100 mLの三つ口フラスコに式(44)の化合物(5.00 g, 1.00 mmol)、式(27)の化合物(551 mg, 1.50 mmol)、炭酸カリウム(691 mg, 5.00 mmol)およびアセトニトリル(25 g)を仕込み、80℃で4時間反応を行った。溶媒を減圧留去した後、残渣を酢酸エチル(100 g)に溶解し、濾過を行った。ヘキサン(100 g)を添加して晶析を行い、濾過後、減圧下で乾燥して式(45)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.40-1.81(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.38(3H, s, CH3O-), 3.52-4.25(455H, m, -(OCH2CH2)n-,
-OCH2CH<, -CH2-phthalimide),
5.72(0.6H, s, >CH-), 5.84(0.4H, s, >CH-), 6.89-6.91(2H, m, arom.
H), 7.35-7.39(2H, m, arom. H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)
GPC分析; 数平均分子量(Mn): 5462,重量平均分子量(Mw): 5582,多分散度(Mw/Mn): 1.022

0189

0190

(実施例20)
3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例1〜5および19と同様の方法にて式(46)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.38(3H, s, CH3O-), 3.52-4.23(455H, m, -(OCH2CH2)n-,
-OCH2CH<, -CH2-phthalimide),
5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H, s, >CH-), 6.95-7.21(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)
GPC分析; 数平均分子量(Mn): 5485,重量平均分子量(Mw): 5606,多分散度(Mw/Mn): 1.022

0191

0192

(実施例21)
2-ブロモ-5-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例1〜5および19と同様の方法にて式(47)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.38-1.80(6H,
m, >CHCH2CH2CH2-),
3.38(3H, s, CH3O-), 3.52-4.23(455H, m, -(OCH2CH2)n-,
-OCH2CH<, -CH2-phthalimide),
5.70(0.6H, s, >CH-), 5.82(0.4H, s, >CH-), 6.95-7.21(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)
GPC分析; 数平均分子量(Mn): 5548,重量平均分子量(Mw): 5670,多分散度(Mw/Mn): 1.022

0193

0194

(実施例22)
式(36)の化合物と3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例13および19と同様の方法にて式(48)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.89 (3H, m, -CH2CH2-phthalimide),
3.19(1H, m, -OCH2CH<), 3.38(3H, s, CH3O-),
3.52-4.41(456H, m, -(OCH2CH2)n-,
-OCH2CH<, -CH2CH2CH2-phthalimide),
5.34(0.8H, s, >CH-), 5.42(0.2H, s, >CH-), 6.95-7.25(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)
GPC分析; 数平均分子量(Mn): 5498,重量平均分子量(Mw): 5619,多分散度(Mw/Mn): 1.022

0195

0196

(実施例23)
式(36)の化合物と2-ブロモ-5-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、実施例13および19と同様の方法にて式(49)の化合物を得た。

1H-NMR(CDCl3,内部標準TMS); δ(ppm):
1.89 (3H, m, -CH2CH2-phthalimide),
3.19(1H, m, -OCH2CH<), 3.38(3H, s, CH3O-),
3.52-4.41(456H, m, -(OCH2CH2)n-,
-OCH2CH<, -CH2CH2CH2-phthalimide),
5.61(0.8H, s, >CH-), 5.68(0.2H, s, >CH-), 6.78-7.40(3H, m, arom.
H), 7.70-7.86(4H, m, -phthalimide)
GPC分析; 数平均分子量(Mn): 5564,重量平均分子量(Mw): 5686,多分散度(Mw/Mn): 1.022

0197

0198

(実施例24)
式(45)、式(46)、式(47)、式(48)および式(49)の化合物(20 mg)をそれぞれpD 5.5のMES重水緩衝液(1 mL)とpD 7.4のHEPES重水緩衝液(1 mL)に溶解し、37℃の恒温槽静置した。図1はpD 5.5、図2はpD 7.4における加水分解率の測定結果である。

0199

図1に示すように、式(45)、式(46)、式(47)、式(48)および式(49)の化合物のpD 5.5、37℃における加水分解率半減期(t1/2)は、それぞれ2時間、12時間、30日、24時間および6ヶ月であった。また、pD 7.4、37℃においては、式(45)および式(46)の化合物の加水分解率半減期(t1/2)は、それぞれ65時間および18日であり、式(48)の化合物は18日で17%程度の加水分解が見られたが、式(47)および式(49)の化合物は18日後でも加水分解は見られなかった。

0200

(実施例25)
文献(Doronina, S. O. et al. Nat. Biotechnot.
2003, 21, 778-784)に従って、CD30抗原に対するIgG1(Wahl, A. F. et al. Cancer Res. 2002, 62,
3736-3742)であるキメラモノクローナル抗体AC10を調製した。

0201

(実施例26)
式(34)の化合物のN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート基に対して、ジイソプロピルエチルアミン存在下、ドキソルビシン塩酸塩(Sigma-Aldrich)を反応させ、環状ベンジリデンアセタールリンカーが結合したドキソルビシン誘導体を得た。

0202

(実施例27)
50 mMホウ酸ナトリウムを含むpH 8.0のPBS緩衝液中のAC10(5mg/ml)を、37℃でジチオスレイトール(DTT)(10mM)で30分間処理した。ゲルろ過(Sephadex G-25、1 mMのDTPAを含むPBS)後、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)を用いるチオール測定により、抗体あたり約8つのチオールの存在を確認した。還元されたAC10に、氷冷DMSO(20 mM)に溶解した上記からのドキソルビシン誘導体(1.2モル当量/チオール)を4℃で加えた。1時間後、過剰のシステインで反応を停止させ、遠心限外ろ過、ゲルろ過(Sephadex G-25、PBS)および無菌ろ過によって抗体—薬物複合体を濃縮した。280nmおよび490nmの吸光度(ドキソルビシン吸光度)を測定して、抗体—薬物複合体の薬物保持率を測定したところ、6.8薬物/抗体を有していた。

実施例

0203

(実施例28)
pH6.5のPBS緩衝液(50 mMリン酸カリウム/50 mM塩化ナトリウム/2mMEDTA)中のAC10(20mg/mL)に対して、氷冷DMSO(20
mM)に溶解した7.5モル当量のジベンゾシクロオクチンN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート(Sigma-Aldrich)を加えて1時間攪拌後、式(43)の化合物を加えて、さらに2時間攪拌した。続いて、文献(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2003, 42, 327-332)に記載の方法で合成した(S)-(+)-カンプトテシンのp-ニトロフェニルカーボネート誘導体を氷冷DMSOに溶解(20 mM)して加え、さらに2時間攪拌した。その反応混合物を、遠心限外ろ過、ゲルろ過(Sephadex G-25、PBS)および無菌ろ過によって抗体—薬物複合体を濃縮した。280 nmおよび351 nmの吸光度(カンプトテシン吸光度)を測定して、抗体—薬物複合体の薬物保持率を測定したところ、5.2薬物/抗体を有していた。

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