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技術 ダンパ制御装置

出願人 KYB株式会社
発明者 窪田友夫奥村昌利
出願日 2014年10月27日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-217943
公開日 2016年5月19日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-084017
状態 特許登録済
技術分野 車体懸架装置 流体減衰装置
主要キーワード 最下限値 補正ゲインα 可変ローパスフィルタ サスペンション変位 ダンパ制御装置 マップ群 周期タイミング 時間的変化量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月19日)のものです。
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図面 (16)

課題

路面の突起乗り越える際にも適切な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上させるダンパ制御装置の提供である。

解決手段

上記目的を達成するために、本発明の課題解決手段におけるダンパ制御装置E1は、ダンパDのダンパ速度Vdの時間的変化量εvを把握可能な情報と、ダンパDの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報I**に基づいてダンパDの減衰力を補正する補正部3を備える。ダンパ制御装置E1は、減衰力特性レベルの大小に関わらず、伝達減衰力の特性における歪みの発生を抑制でき、減衰力特性レベルが小さい場合に、必要以上に減衰力を低減してしまって減衰力不足を招かない。よって、ダンパ制御装置E1は、路面の突起を乗り越える際にも適切な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上させる

概要

背景

車両のばね上部材とばね下部材との間に介装されるダンパ減衰力を制御するダンパ制御装置にあっては、たとえば、ダンパ内に設けたソレノイドバルブへ供給する電流量を調整してダンパの減衰力を調整するものがある。

そして、このようなダンパ制御装置にあっては、ダンパの減衰力特性に応じた電流量をソレノイドへ供給すれば、ダンパの減衰力特性をソフトからハードまで調整でき、たとえば、ダンパの減衰力特性をソフトに設定する場合には、ソフト減衰力特性に対応した一定の電流量をソレノイドへ供給するようにし、ハードな減衰力特性に設定したい場合にハード減衰力特性に対応した一定の電流量をソレノイドへ供給する(たとえば、特許文献1参照)。

概要

路面の突起乗り越える際にも適切な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上させるダンパ制御装置の提供である。上記目的を達成するために、本発明の課題解決手段におけるダンパ制御装置E1は、ダンパDのダンパ速度Vdの時間的変化量εvを把握可能な情報と、ダンパDの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報I**に基づいてダンパDの減衰力を補正する補正部3を備える。ダンパ制御装置E1は、減衰力特性レベルの大小に関わらず、伝達減衰力の特性における歪みの発生を抑制でき、減衰力特性レベルが小さい場合に、必要以上に減衰力を低減してしまって減衰力不足を招かない。よって、ダンパ制御装置E1は、路面の突起を乗り越える際にも適切な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上させる

目的

本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装されるダンパ減衰力を制御するダンパ制御装置であって、前記ダンパのダンパ速度時間的変化量を把握可能な情報を取得し前記時間的変化量を得る変化量取得部と、前記ダンパの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報を取得するレベル情報取得部と、前記ダンパ速度の時間的変化量と前記レベル情報とに基づいて前記ダンパの減衰力を補正する補正部とを備えたことを特徴とするダンパ制御装置。

請求項2

前記補正部は、前記ダンパの減衰力を低減する補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のダンパ制御装置。

請求項3

前記補正部は、前記ダンパが伸長から収縮移行する圧側移行行程における減衰力の低減量を、前記ダンパが収縮から伸長へ移行する伸側移行行程における減衰力の低減量よりも小さくすることを特徴とする請求項2に記載のダンパ制御装置。

請求項4

前記補正部は、前記時間的変化量の絶対値が大きい程、または、前記レベル情報から把握される減衰力特性レベルが大きい程、前記ダンパの減衰力の低減量を大きくする補正を行うことを特徴とする請求項2または3に記載のダンパ制御装置。

請求項5

前記補正部は、圧側移行行程において、前記時間的変化量が第一圧側閾値を超え第二圧側閾値以下の範囲で前記ダンパの減衰力を前記時間的変化量に応じて前記減衰力の低減量を大きくし、伸側移行行程において、前記時間的変化量が第一伸側閾値を超え第二伸側閾値以下の範囲で前記ダンパの減衰力を前記時間的変化量に応じて前記減衰力の低減量を大きくし、前記第一圧側閾値と前記第二圧側閾値の一方または両方と、前記第一伸側閾値と前記第二伸側閾値の一方または両方を前記レベル情報に基づいて変更することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項6

前記ダンパ内に前記ダンパの減衰力を調整する減衰力調整部を設け、前記補正部は、前記減衰力調整部へ与える制御指令或いは前記制御指令を生成する過程で生成される制御指令に前記ダンパ速度の時間的変化量から求めた補正ゲインを乗じて前記ダンパの減衰力を補正することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項7

前記補正部は、前記時間的変化量から前記補正ゲインを得るマップを複数保有し、前記レベル情報に基づいて複数の前記マップから一つ以上のマップを選択し、選択した前記マップを利用して前記時間的変化量から前記補正ゲインを求めることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項8

前記レベル情報が、前記減衰力調整部への制御指令、または、前記制御指令により前記ダンパが発生する減衰力特性レベルであることを特徴とする請求項6または請求項6に従属する請求項7に記載のダンパ制御装置。

請求項9

前記減衰力調整部を電流フィードバックによって制御する電流制御部を備え、前記レベル情報は、前記電流制御部が出力する電流指令或いは前記減衰力調整部に流れる実電流であることを特徴とする請求項6、請求項6に従属する請求項7または請求項8に記載のダンパ制御装置。

請求項10

前記変化量取得部は、前記ばね上部材の加速度、前記ばね下部材の加速度、または、前記ばね上部材と前記ばね下部材の相対変位であるサスペンション変位の微分に基づいて前記ダンパ速度の時間的変化量を得ることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項11

前記補正部は、前記時間的変化量の位相を変化させる位相変更部を備え、前記位相変更部で位相を変化させた前記時間的変化量に基づいて前記ダンパの減衰力を補正することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項12

上記ダンパは、シリンダと、上記シリンダ内摺動自在に挿入されるピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンで区画した伸側室および圧側室と、リザーバと、上記リザーバから上記圧側室へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁を有する吸込通路と、上記圧側室から上記伸側室へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁を有する整流通路と、上記伸側室と上記リザーバとを連通する減衰通路と、上記減衰通路に設けられて上記伸側室から上記リザーバへ向かう流体の流れ抵抗を与える減衰力調整部とを備え、上記減衰力調整部へ与える最終指令値を補正することで上記ダンパの減衰力を補正することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のダンパ制御装置。

請求項13

上記減衰力調整部は、上記ダンパ内に設けられて当該ダンパ内に設けた流路流路面積を変更するソレノイドバルブであることを特徴とする請求項12に記載のダンパ制御装置。

技術分野

0001

本発明は、ダンパ制御装置に関する。

背景技術

0002

車両のばね上部材とばね下部材との間に介装されるダンパ減衰力を制御するダンパ制御装置にあっては、たとえば、ダンパ内に設けたソレノイドバルブへ供給する電流量を調整してダンパの減衰力を調整するものがある。

0003

そして、このようなダンパ制御装置にあっては、ダンパの減衰力特性に応じた電流量をソレノイドへ供給すれば、ダンパの減衰力特性をソフトからハードまで調整でき、たとえば、ダンパの減衰力特性をソフトに設定する場合には、ソフト減衰力特性に対応した一定の電流量をソレノイドへ供給するようにし、ハードな減衰力特性に設定したい場合にハード減衰力特性に対応した一定の電流量をソレノイドへ供給する(たとえば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開平11−287281号公報

発明が解決しようとする課題

0005

このようなダンパ制御装置では、車両におけるばね上部材が大きく振動したりしない限り、減衰力特性に応じた一定の電流をソレノイドへ供給する。

0006

転じて、ダンパは、ゴム製のマウントを介してばね上部材とばね下部材に取り付けられている。そして、マウントのばね特性伸縮量に対して非線形な特性を有しており、ダンパ内のバルブの開応答に或る程度時間がかかる等の影響により、図13破線に示すように、車両が路面の突起乗り越える際、ダンパが発生する減衰力がマウントや上側ブッシュを介して車体に伝わる力(以下、単に「伝達減衰力」という)が図13中の実線で示した理想的な減衰力波形に対して歪みが生じて減衰力が急変するポイント出現し、車両における乗り心地を悪化させてしまう場合がある。

0007

このような波形の歪みは、歪みが見込まれる場合に、ダンパの減衰力を予め小さくすれば低減ができなくはないが、歪み量がダンパの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルに依存して変化する。ダンパは、ダンパの伸縮速度であるダンパ速度が高くなるほど大きな減衰力を発揮するが、その伸縮速度に対してダンパが発揮する減衰力の特性である減衰力特性を大きくすると減衰係数が大きくなり、減衰力特性が小さい場合に比較すると、ダンパ速度が同じでもダンパは大きな減衰力を発揮するようになる。そして、図14、15に示すように、減衰力特性レベルが小さい場合におけるダンパの伝達減衰力の特性(図14中実線および破線)が理想的な減衰力特性(図14中一点鎖線)に対して歪む量に比較して、減衰力特性レベルが大きい場合におけるダンパの伝達減衰力の特性(図15中実線および破線)が理想的な減衰力特性(図15中一点鎖線)に対して歪む量は大きくなる傾向を示す。

0008

よって、波形歪みを低減しようと一律に減衰力を小さくするのでは、波形歪みの発生が極めて少ない場合にも、必要以上に減衰力を小さくしてしまい、減衰力不足を招いて却って乗り心地を悪化させてしまう場合もある。

0009

そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、路面の突起を乗り越える際にも適切な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上させるダンパ制御装置の提供である。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するために、本発明の課題解決手段におけるダンパ制御装置は、ダンパのダンパ速度の時間的変化量を把握可能な情報と、ダンパの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報に基づいてダンパの減衰力を補正する補正部を備える。よって、ダンパ制御装置は、減衰力特性レベルの大小に関わらず、伝達減衰力の特性における歪みの発生を抑制できる。また、ダンパ制御装置は、減衰力特性レベルに応じて減衰力を補正するので、減衰力特性レベルが小さい場合に、必要以上に減衰力を低減してしまって減衰力不足を招かない。

0011

また、補正部がダンパの減衰力を低減する補正を行うと、ダンパ制御装置は、伝達減衰力の特性における歪みの発生を抑制できる。

0012

さらに、補正部がダンパが伸長から圧縮移行する圧側移行行程における減衰力の低減量を、前記ダンパが収縮から伸長へ移行する伸側移行行程における減衰力の低減量よりも大きくするように設定する。すると、ダンパ制御装置は、圧側移行行程と伸側移行行程のそれぞれの歪みが生じるタイミングに合わせて減衰力を補正できる。よって、ダンパ制御装置は、圧側移行行程と伸側移行行程のいずれでも車両における乗り心地を向上できる。

0013

補正部がダンパ速度の時間的変化量の絶対値とレベル情報から把握される減衰力特性レベルが大きい程、ダンパの減衰力の低減量を大きくする補正を行うように設定する。すると、減衰力特性レベルが大きい程、伝達減衰力の特性に歪みが生じやすく、ダンパ速度の時間的変化量の絶対値が大きい程、伝達減衰力の特性に歪みが生じやすいので、前述のように設定することで、ダンパ制御装置は、伝達減衰力の特性の歪みを効果的に抑制でき、車両走行状況によらず減衰力の急変を低減できる。

0014

さらに、補正部が、圧側移行行程において、ダンパ速度の時間的変化量が第一圧側閾値を超え第二圧側閾値以下の範囲で前記ダンパの減衰力を前記時間的変化量に応じて減衰力の低減量を大きくし、圧側移行行程において、前記時間的変化量が第一圧側閾値を超え第二圧側閾値以下の範囲で前記ダンパの減衰力を前記時間的変化量に応じて前記減衰力の低減量を大きくし、前記第一圧側閾値と前記第二圧側閾値の一方または両方と、前記第一伸側閾値と前記第二閾値の一方または両方を前記レベル情報に基づいて変更する場合は、以下のような利点がある。ダンパ制御装置は、レベル情報に応じてリアルタイムに第一伸側閾値、第二伸側閾値、第一圧側閾値、第二圧側閾値、伸側最下限値および圧側最下限値を変化させて、伝達減衰力の特性の歪みの低減と減衰力不足の回避の両立を高度に実現できる。

0015

ダンパ内にダンパの減衰力を調整する減衰力調整部を設けて、減衰力調整部へ与える制御指令或いはこの制御指令を生成する過程で生成される制御指令にダンパ速度の時間的変化量から求めた補正ゲインを乗じてダンパの減衰力を補正するようにすると、ダンパ制御装置は、補正ゲインを乗じるだけで制御指令を補正できるので、補正演算が容易である。

0016

さらに、補正部が前記時間的変化量から補正ゲインを得るマップを複数保有し、レベル情報に基づいて複数の前記マップからマップを選択する選択し、選択したマップを利用して前記時間的変化量から補正ゲインを求める場合には、ダンパ制御装置は、リアルタイムに第一伸側閾値、第二伸側閾値、第一圧側閾値、第二圧側閾値、伸側最下限値および圧側最下限値を変更可能となり、歪みの低減と減衰力不足の回避の両立を高度に実現でき、さらには、減衰力変更アルゴリズムを簡略化できる。

0017

レベル情報が、減衰力調整部への制御指令、または、制御指令によりダンパが発生する減衰力特性値である場合には、ダンパ制御装置は、減衰力の大きさを容易に推定でき、減衰力特性レベルへの変換が不要となって、そのまま加工せずに、ダンパの減衰力の補正処理に使用できるから、減衰力の補正処理が簡単となる。

0018

減衰力調整部を電流フィードバックによって制御する電流制御部を備え、レベル情報を電流制御部への制御指令或いは前記減衰力調整部に流れる実電流とする場合、ダンパ制御装置は、実際の減衰力特性レベルを精度よく把握でき、減衰力を適切に補正でき、精度良く伝達減衰力の特性に生じる歪みを低減できる。

0019

また、変化量取得部は、ばね上部材の加速度、ばね下部材の加速度、または、ばね上部材とばね下部材の相対変位であるサスペンション変位の微分に基づいてダンパ速度の時間的変化量を得てもよい。

0020

さらに、補正部がダンパ速度の時間的変化量の位相を変化させる位相変更部を備え、位相変更部で位相を変化させた時間的変化量に基づいてダンパの減衰力を補正するようにしてもよい。そして、位相変更部は、時間的変化量の位相量をレベル情報に基づいて変更するようにしてもよい。この場合、位相変更部を可変ローパスフィルタとして、レベル情報が大きい程カットオフ周波数を低くすれば、時間的変化量の位相をレベル情報に応じて遅らせうる。よって、そのときの減衰力特性レベルに最適となるタイミングで減衰力が補正され、ダンパ制御装置は、伝達減衰力の特性に歪みが生じるタイミングでタイムリーに減衰力を低減でき、歪みの発生をより効果的に抑制できる。また、位相変更部が時間的変化量の位相を進ませる場合には、伝達減衰力の特性に生じる歪みを取り除きつつ、ヒステリシスを低減して、車両における乗り心地を向上できる。

0021

ダンパは、シリンダと、シリンダ内摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダ内に上記ピストンで区画した伸側室および圧側室と、リザーバと、リザーバから圧側室へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁を備えた吸込通路と、圧側室から伸側室へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁を備えた整流通路と、伸側室とリザーバとを連通する減衰通路と、減衰通路に設けられて上記伸側室からリザーバへ向かう流体の流れ抵抗を与える減衰力調整部とを備え、ダンパ制御装置が減衰力調整部へ与える最終指令値を補正することでダンパの減衰力を補正するように構成されてもよい。この場合、ダンパ制御装置は、ダンパの伝達減衰力の特性の歪みを是正することができ、歪みを効果的に解消することができる。

0022

ダンパ制御装置は、減衰力調整部がダンパ内に設けられてダンパ内に設けた流路流路面積を変更するソレノイドバルブであるダンパへの利用に最適である。

発明の効果

0023

上より、本発明のダンパ制御装置によれば、路面の突起を乗り越える際にも車両における乗り心地を向上できる。

図面の簡単な説明

0024

第一の実施の形態におけるダンパ制御装置の構成図である。
ダンパの概略縦断面図である。
減衰力調整部によって調整されるダンパの減衰力特性を示した図である。
時間的変化量と補正ゲインの関係を示すマップの一例である。
電流指令と、伸側最下限値および圧側最下限値の関係を示す図である。
第一の実施の形態におけるダンパ制御装置における減衰力の補正の処理手順を示すフローチャートである。
第一の実施の形態のダンパ制御装置で減衰力レベルを最大として制御されたダンパのマウントを介して伝達される伝達減衰力の特性の一例を示した図である。
第一の実施の形態のダンパ制御装置で減衰力レベルを最小として制御されたダンパのマウントを介して伝達される伝達減衰力の特性の一例を示した図である。
レベル情報に対応して用意される時間的変化量と補正ゲインの関係を示すマップ群の第一例である。
レベル情報に対応して用意される時間的変化量と補正ゲインの関係を示すマップ群の第二例である。
レベル情報に対応して用意される時間的変化量と補正ゲインの関係を示すマップ群の第三例である。
第二の実施の形態におけるダンパ制御装置の構成図である。
従来のダンパ制御装置で制御されたダンパの伝達減衰力の時間変化を示した図である。
従来のダンパ制御装置で制御され、減衰力特性を小さくした場合のダンパの伝達減衰力の特性を示した図である。
従来のダンパ制御装置で制御され、減衰力特性を大きくした場合のダンパの伝達減衰力の特性を示した図である。

実施例

0025

<第一の実施の形態>
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1に示すように、第一の実施の形態におけるダンパ制御装置E1は、この例では、車両におけるばね上部材Bとばね下部材Wとの間に介装されるダンパDにおける減衰力を制御するようになっており、ダンパDのダンパ速度Vdの時間的変化量εvを把握可能な情報を取得して当該時間的変化量εvを得る変化量取得部1と、ダンパDの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報を取得するレベル情報取得部2と、当該変化量取得部1で求めたダンパ速度Vdの時間的変化量εvとレベル情報とに基づいてダンパDの減衰力を補正する補正部3と、電流制御部4とを備えている。

0026

以下、各部について説明する。ダンパDは、たとえば、図2に示すように、シリンダ12と、シリンダ12内に摺動自在に挿入されるピストン13と、シリンダ12内に移動自在に挿入されてピストン13に連結されるピストンロッド14と、シリンダ12内にピストンで区画した伸側室15および圧側室16と、リザーバ17と、リザーバ17から圧側室16へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁18aを備えた吸込通路18と、圧側室16から伸側室15へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁19aを備えた整流通路19と、伸側室15とリザーバ17とを連通する減衰通路20と、減衰通路20に設けられて伸側室15からリザーバ17へ向かう流体の流れ抵抗を与える減衰力調整部5とを備えて構成されており、所謂、ユニフロー型の流体圧ダンパとされており、マウントMを介して車両におけるばね上部材Bとばね下部材Wとの間に並列に介装されている。そして、このダンパDは、伸縮作動を呈すると、シリンダ12内から流体が減衰通路20を通じてリザーバ17へ押し出され、シリンダ12内に充填された流体が減衰通路20を通過する際に減衰力調整部5にて抵抗を与えて当該伸縮作動を抑制する減衰力を発揮し、ばね上部材Bとばね下部材Wの相対移動を抑制するようになっている。

0027

なお、流体には、作動油のほか、水、水溶液気体を利用できる。流体が液体であって、ダンパDが片ロッド型ダンパである場合、ダンパDは、シリンダ12内にピストンロッド14が出入りする体積補償するためにリザーバ17を備える。なお、ダンパDをユニフロー型としない場合には、図示はしないが、シリンダ12内に気体室を設けて、当該気体室の容積変化によってシリンダ12内に出入りするピストンロッド14の体積を補償するようにしてもよい。この場合、ピストン13に伸側室15と圧側室16を連通する通路を設けて、当該通路の途中に減衰力調整部5を設けるようにすればよい。

0028

減衰力調整部5は、たとえば、上記ダンパDの減衰通路20の流路面積を可変にする弁体Vと、当該弁体Vを駆動して上記減衰通路20の流路面積を調整するソレノイドSolとで構成されたソレノイドバルブ6と、当該ソレノイドバルブ6におけるソレノイドSolへ電圧を供給するドライバ7とを備えて構成されている。ドライバ7は、たとえば、PWM回路を備えており、電圧指令の入力を受けると、ソレノイドSolへ電圧指令に応じたデューティ比で電圧を印加でき、ソレノイドSolに流れる電流を制御できるようになっている。そして、ダンパ制御装置E1がソレノイドSolに流れる電流を増減させると減衰通路20の流路面積を調整でき、図3に示すように、ダンパDの減衰力特性を大小調整できる。詳しくは、ダンパ制御装置E1は、ソレノイドSolへ与えるべき電流値を電圧指令Lとしてドライバ7へ与える。すると、ドライバ7は、ダンパ制御装置E1から指示される電流値に等しい電流をソレノイドSolへ与えるべく、ソレノイドSolの図示しないコイルへ電圧を印加する。そして、この場合、ダンパDのストローク速度が変わらなければ減衰力調整部5におけるソレノイドSolへ与える電流量を大きくすると、減衰通路20を流れる流体に与える抵抗が大きくなり、ダンパDの減衰力特性が大きくなって、発生される減衰力も大きくなるようになっている。なお、圧側減衰力については、減衰力特性を大きくすると、減衰力特性線が図3に示すように上方側へシフトされて、ダンパ速度Vdに対してダンパDが発揮する減衰力が大きくなる。反対に、減衰力特性を小さくすると、減衰力特性線が図3に示すように下方側へシフトされて、ダンパ速度に対してダンパDが発揮する減衰力が小さくなる。また、伸側減衰力については、減衰力特性を大きくすると、減衰力特性線が図3に示すように下方側へシフトされて、ダンパ速度Vdに対してダンパDが発揮する減衰力が大きくなる。反対に、減衰力特性を小さくすると、減衰力特性線が図3に示すように上方側へシフトされて、ダンパ速度に対してダンパDが発揮する減衰力が小さくなる。よって、減衰力特性を調整すると、ダンパDのダンパ速度が同じでもダンパDが発揮する減衰力を大小調整できる。つまり、減衰力調整部5は減衰力特性を調整してダンパDが発生する減衰力を調整する。

0029

なお、減衰力調整部5の上記した構成は、一例であって、たとえば、ダンパDが電気粘性流体磁気粘性流体を伸側室15、圧側室16およびリザーバ17内に充填している場合、上記減衰通路20に減衰弁の代わりに電界或いは磁界を作用できる装置を組み込み、これを減衰力調整部5とし、ダンパ制御装置E1から与えられる電流或いは電圧によって電界或いは磁界の大きさを調整して、減衰通路20を流れる流体に与える抵抗を変化させ、ダンパDの発生減衰力を可変にしてもよい。

0030

電流制御部4は、この実施の形態では、減衰力調整部5がソレノイドバルブ6を備えて電流によって減衰力を調節するようになっているので、ソレノイドSolに流れる実電流を検知し、電流フィードバック制御を行って、減衰力調整部5を制御するようになっている。具体的には、電流制御部4は、補正部3が出力する電流指令I**の入力を受けると、ソレノイドバルブ6のソレノイドSolに流れる実電流と電流指令I**との偏差を求めて、偏差に基づいて、PI制御或いはPID制御によって、ソレノイドSolに流れる電流を制御するようになっている。よって、電流制御部4は、ドライバ7へ最終的な指令電圧指令Lを出力し、ドライバ7が電圧指令Lに指示される電圧をソレノイドSolのコイルへ印加して、ソレノイドSolに供給される電流が制御される。

0031

変化量取得部1は、図1に示すように、所定周期でダンパ速度Vdの時間的変化量εvを検出するようになっており、ダンパDのストロークであるダンパ変位Xを検出するストロークセンサ21と、ストロークセンサ21で検出したダンパDのダンパ変位Xを微分してダンパDのダンパ速度Vdを演算する微分器22と、今周期において微分器22で演算したダンパ速度Vdから1周期前に検出したダンパ速度Vdpreを差し引きしてダンパ速度Vdの時間的変化量εvを求める変化量演算部23とを備えており、検知したダンパ速度Vdの時間的変化量εvを補正部3へ入力する。なお、本書では、ダンパ速度Vdの概念に、ばね上部材Bとばね下部材Wの相対速度であるサスペンション速度が含まれる。マウントMは伸縮するので、一般にサスペンション速度は、ダンパDとマウントMの全体の伸縮速度となるが、このサスペンション速度はダンパ速度Vdと大きく値が異ならないので、実用上、サスペンション速度をダンパ速度Vdと看做してもよい。よって、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvを得るのに、サスペンション変位を微分して得たサスペンション速度の時間的変化量をダンパ速度Vdの時間的変化量εvとして差し支えない。

0032

レベル情報取得部2は、ダンパDの減衰力特性の大きさである減衰力特性レベルを把握可能なレベル情報を取得する。この実施の形態では、減衰力調整部5がソレノイドSolを備えており、印可される電圧によってソレノイドSolに流れる電流が調整されてダンパDの減衰力特性が制御されるようになっている。よって、レベル情報取得部2は、この場合、レベル情報として電流制御部4へ入力される電流指令I**を取得するようになっている。つまり、ソレノイドSolに流れる電流によってダンパDの減衰力特性が制御されるため、ソレノイドSolに流すべき電流を指示する制御指令として電流指令I**を取得すれば、現在のダンパDの減衰力特性レベルがどのレベルにあるのかを把握できる。また、レベル情報としては、図示しない上位の制御装置で決定された減衰力特性を実現するために、ダンパ制御装置E1に入力される制御指令としての電流指令I*であってもよい。また、レベル情報としては、実際にソレノイドSolに流れている実電流の値でもよいので、レベル情報取得部2は、ソレノイドSolの実電流を電流センサで検知してこれをレベル情報としてもよい。電流制御部4が電流をフィードバックして前記実電流を制御するためソレノイドSolの実電流を監視しているので、レベル情報取得部2は、電流制御部4から実電流の値を取得してもよい。さらに、レベル情報は、減衰力特性レベルを把握可能であればよいから、電流制御部4がドライバ7へ出力する制御指令としての電圧指令L、ソレノイドSolへ供給されている実電圧でもよいし、また、減衰力特性を調整するために生成される制御指令が電流指令ではなく電圧指令である場合には電圧指令、ソレノイドSolの弁体Vを駆動する可動鉄心の位置、或いは、弁体Vの弁開度といった減衰力特性の状況が把握可能な情報であればよい。なお、ダンパDが電気粘性流体や磁気粘性流体を作動流体とし、減衰力調整部5が減衰弁の代わりに電界或いは磁界を作用できる装置である場合、前記装置へ与える電流指令或いは電流指令といった制御指令、前記装置に流れる実電流或いは印可されている実電圧をレベル情報としてもよい。

0033

補正部3は、時間的変化量εvとレベル情報である電流指令I**とに基づいてダンパDの減衰力を補正する。具体的には、補正部3は、この実施の形態では、上記時間的変化量εvと補正ゲインαの関係を予めマップとして保有しており、入力される時間的変化量εvから補正ゲインαを求める。さらに、補正部3は、電流制御部4へ入力される電流指令I**に基づいて補正ゲイン下限値αminを求める。今回の周期で補正処理を行う際に、必要な電流指令I**は前回周期タイミングで求められた電流指令I**を用いればよい。そして、補正部3は、補正ゲインαと補正ゲイン下限値αminと比較し、大きな値をとる方を最終的な補正ゲインαlとして採用する。さらに、補正部3は、図示しない上位の制御装置から入力される電流指令I*に補正ゲインαlを乗じて、ダンパDの減衰力を補正するようになっている。なお、上位の制御装置で求められる制御指令である電流指令I*については、ダンパ制御装置E1が生成するようにしてもよい。

0034

具体的には、補正部3は、時間的変化量εvから補正ゲインαを求めるマップ演算部31と、制御指令としての電流指令I**から補正ゲイン下限値αminを求める下限値演算部32と、マップ演算部31で求めた補正ゲインαと下限値演算部32で求めた補正ゲイン下限値αminとを比較して大きな値を採用して補正ゲインαlとするゲイン選択部33と、図示しない上位の制御装置から入力される電流指令I*に補正ゲインαlを乗じて当該電流指令I*を補正し、当該補正後の電流指令I**を求める補正演算部34とを備えている。

0035

ダンパDを圧縮する方向の減衰力を正とすると側を正として、伸長側を負とすると、補正ゲインαは、図4に示すように、時間的変化量εvが負の値をもつ第一伸側閾値a1以上であって正の値をもつ第一圧側閾値b1以下の範囲では、値が1となり、時間的変化量εvが第一伸側閾値a1未満の範囲では、時間的変化量εvが小さくなるにつれて徐々に低下して最終的には第二伸側閾値a2以下となると伸側最下限値βを採るようになっている。また、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超える範囲では、時間的変化量εvが大きくなるにつれて徐々に低下して、最終的には第二圧側閾値b2を以上となると圧側最下限値γを採るようになっている。したがって、時間的変化量εvの絶対値が大きくなると、補正ゲインαの値は、1から低下し、最終的には伸側最下限値β或いは圧側最下限値γになるようになっている。圧側最下限値γおよび伸側最下限値βは、0以上1未満の値に設定される。このマップは、減衰力特性レベルを最大とした際の電流指令I*に乗じて電流指令I*を補正すると伝達減衰力の特性に歪みを生じない補正ゲインαを、時間的変化量εvとの関係でマップ化したものである。図4のマップを見れば理解できるように、時間的変化量εvの絶対値が大きくなると補正ゲインαの値は、1から小さな値に変化するようになっている。よって、時間的変化量εvが第一伸側閾値a1未満の範囲、および、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超える範囲では、補正ゲインαを電流指令I*に乗じると、補正後の電流指令I**は低減されて補正前の電流指令I*より低い値となり、前記の補正なしにダンパDが発揮する減衰力に対して前記補正を行ってダンパDが発揮する減衰力は低減される。なお、補正部3は、マップ演算を行うようになっているが、補正ゲインαが時間的変化量εvに対して複雑に変化するものでなければ、時間的変化量εvから補正ゲインαを求める関数を利用して補正ゲインαの値を決定するようにしてもよい。

0036

このように、補正部3は、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvの絶対値が大きくなると、電流指令I*を低下させるよう補正する。ダンパ速度Vdは、ダンパDが収縮する際に正の値を採るようになっており、伸側最下限値βは、ダンパDの伸長時における補正ゲインαの最下限値であり、他方の圧側最下限値γは、ダンパDの収縮時における補正ゲインαの最下限値であり、これら伸側最下限値βおよび圧側最下限値γは、車両における乗り心地を向上させる限りにおいて任意に決定できる。また、第一伸側閾値a1、第二伸側閾値a2、第一圧側閾値b1および第二圧側閾値b2についても、同様に任意に決定できる。

0037

従来のダンパ制御装置で制御されたダンパにおける伸長時と収縮時の伝達減衰力の特性の歪み量について説明する。図14の一点鎖線で示すように、減衰力特性を小さくしたダンパでは、ダンパ速度が0の時に減衰力も0となり、ダンパ速度に対して減衰力調整部によって設定される減衰力特性通りに減衰力が発生されるのが理想である。これに対して、従来のダンパ制御装置で制御され、減衰力特性を小さくした実際のダンパの伝達減衰力の特性は、図14中実線で示すように、伸縮方向が伸長から収縮へ切換わる圧側移行行程で、グラフ原点を通らずに理想的な減衰力特性に対して減衰力変化に時間的に遅れを伴いながら平行するように推移し、その後、理想的な減衰力特性に沿うように推移する。従来のダンパ制御装置が電流指令を一定として減衰力特性を小さくしたダンパの伝達減衰力の特性は、圧側移行行程において、理想的な減衰力特性に対して歪む量はごく小さい。同じ条件で従来のダンパ制御装置で制御された実際のダンパでは、図14中破線で示すように、伸縮方向が収縮から伸長へ切換わる伸側移行行程では、その伝達減衰力の特性は、やはり、グラフの原点を通らずに理想的な減衰力特性に対して減衰力変化に時間的に遅れを伴いながら平行するように推移し、続いて、理想的な減衰力特性に対して振動的に歪み、その後、理想的な減衰力特性に沿うように推移する。従来のダンパ制御装置が電流指令を一定として減衰力特性を小さくしたダンパの伝達減衰力の特性が、理想的な減衰力特性に対して歪む量は、伸側移行行程の方が圧側移行行程よりも大きくなる傾向を示す。また、圧側移行行程と伸側移行行程の伝達減衰力の特性を見ると、図14中のグラフの原点を通らないので、減衰力特性にヒステリシスが生じているのが分かる。

0038

図15の一点鎖線で示すように、減衰力特性を大きくしたダンパにあっても、ダンパ速度が0の時に減衰力も0となり、ダンパ速度に対して減衰力調整部によって設定される減衰力特性通りに減衰力が発生されるのが理想である。これに対して、従来のダンパ制御装置で制御され、減衰力特性を大きくした実際のダンパにおける伝達減衰力の特性は、図15中実線で示すように、伸縮方向が伸長から収縮へ切換わる圧側移行行程において、グラフの原点を通らずに理想的な減衰力特性に対して減衰力変化に時間的に遅れを伴いながら平行するように推移し、続いて、理想的な減衰力特性に対して大きく歪み、その後に、この理想的な減衰力特性に沿うように推移する。従来のダンパ制御装置が電流指令を一定として減衰力特性を大きくしたダンパの伝達減衰力の特性は、減衰力特性を小さくした場合に比較して、圧側移行行程で理想的な減衰力特性に対する歪み量が大きくなり、その歪みが生じるタイミングも減衰力特性を小さくした場合に比較して時間的に遅れる。同じ条件で従来のダンパ制御装置で制御された実際のダンパの伝達減衰力の特性は、図15中破線で示すように、伸縮方向が収縮から伸長へ切換わる伸側移行行程で、やはり、グラフの原点を通らずに理想的な減衰力特性に対して減衰力変化に時間的に遅れを伴いながら平行するように推移し、続いて、理想的な減衰力特性に対して振動的に歪み、その後、理想的な減衰力特性に沿うように推移する。従来のダンパ制御装置で電流指令を一定のまま減衰力特性を大きくしたダンパでは、伸側移行行程にあっても、減衰力特性を小さくした場合に比較して、伝達減衰力の特性が理想的な減衰力特性に対して歪む量が大きくなり、その歪みが生じるタイミングも減衰力特性を小さくした場合に比較して時間的に遅れる。また、圧側移行行程と伸側移行行程の伝達減衰力の特性を見ると、図15中のグラフの原点を通らないので、減衰力特性にヒステリシスが生じているのが分かる。

0039

このように、以上から、ダンパDの圧側移行行程と伸側移行行程では、歪み量が異なり、両者では伸側移行行程時の方が、歪み量が大きくなる傾向にある。また、減衰力特性を大きくする場合は、減衰力特性を小さくする場合に比較して、ダンパDの伝達減衰力の特性が理想的な減衰力特性に対して歪む量が大きくなり、また、歪みが生じるタイミングが時間的に遅れる傾向にあるのを理解できる。また、伝達減衰力の特性の歪みは、ダンパの伸縮方向が切換わった直後で発生しているのが分かる。

0040

そのため、減衰力特性を最大とした場合に、減衰力特性の歪みを抑制する補正ゲインαのマップでは、圧側移行行程と伸側移行行程とでマップの形状が異なっている。具体的には、圧側移行行程の方が、伸側移行行程よりも歪み量が小さいので、圧側最下限値γを伸側最下限値βよりも大きくしている。また、圧側移行行程では、歪みが生じるタイミングが伸側移行行程時よりも早いので、第一圧側閾値b1の値は、第一伸側閾値a1の絶対値よりも小さな値に設定し、第二圧側閾値b2の値についても、同様に、第二伸側閾値a2の絶対値よりも小さな値に設定してある。これにより、補正ゲインαで電流指令I*を補正すると、圧側移行行程の方が、伸側移行行程よりも早いタイミングで減衰力を低減する補正が行われ、歪み量が小さいので補正量である低減量は伸側移行行程時に比較すると小さくなる。以上から、第一伸側閾値a1は、伸側移行行程において減衰力を補正しない範囲を決める値であり、第二伸側閾値a2は、伸側移行行程において時間的変化量εvの絶対値の増加に対して減衰力の低減量をこれ以上増やさないようにする範囲を画定するものである。同様に、第一圧側閾値b1は、圧側移行行程において減衰力を補正しない範囲を決める値であり、第二圧側閾値b2は、圧側移行行程において時間的変化量εvの増加に対して減衰力の低減量をこれ以上増やさないようにする範囲を画定するものである。

0041

なお、時間的変化量εvは、ダンパ速度Vdを微分した加速度に相当する量であるから、ダンパ速度Vdの位相より90度位相が進んでいる。したがって、時間的変化量εvが正の値をとる場合は、ダンパDは、伸長から収縮へ切換わる圧側移行行程にあるのを示しており、反対に、時間的変化量εvが負の値をとる場合は、ダンパDは、収縮から伸長へ切換わる伸側移行行程にあるのを示している。よって、時間的変化量εvの符号でダンパDが圧側移行行程にあるのか、伸側移行行程にあるのかが判断でき、時間的変化量εvをパラメータとして補正ゲインαのマップを作成すれば、或いは、時間的変化量εvをパラメータとして補正ゲインαを求めるようにすれば、ダンパDの圧側移行行程にあるのか伸側移行行程にあるのかといった判断を行わずに適切な補正ゲインαを得られるのである。

0042

補正ゲインαは、ダンパDの減衰力特性を最大とした際に、補正後の電流指令I**によって発揮される伝達減衰力の特性が理想的な減衰力特性に対して歪まないようになるゲインであるが、前述したように、減衰力特性の大きさによって歪み量が変化する。したがって、補正ゲインαのみで電流指令I*を補正する場合、減衰力低減量が過剰となって、車両における乗り心地を損なう場合がある。そこで、本実施の形態では、補正ゲインαを求めるだけではなく、減衰力特性の大きさによって補正ゲインの調整を行うべく、制御指令としての電流指令I**から補正ゲイン下限値αminを求める下限値演算部32を備えている。

0043

下限値演算部23は、電流指令I**に値に応じて、補正ゲイン下限値αminを求める。電流指令I**の値は、減衰力特性に比例する関係にあり、歪み量が減衰力特性に比例して大きくなるから、電流指令I**の値が大きい程、補正後の電流指令I**の値を大きく低減する必要がある。また、補正ゲイン下限値αminは、電流指令I*に乗じるゲインであるから、電流指令I**の値が大きい程、値が小さくなるようになっている。そして、補正ゲイン下限値αminは、この場合、圧側移行行程と伸側移行行程の両方で、電流指令I**が指定する減衰力特性レベルにおいて、伝達減衰力の特性の歪みを適切に抑制するためにこれ以上値を下げると不必要に減衰力低下を招く下限値を示している。

0044

より詳細には、図5に示すように、電流指令I**が指示する電流値が、たとえば、0.0Aから1.0Aまでの範囲で変化する場合、0.2A刻みで圧側移行行程と伸側移行行程のそれぞれで補正ゲイン下限値αminの値を設定しておく。圧側移行行程の方が、伸側移行行程よりも歪み量が小さいので、圧側移行行程の補正ゲイン下限値αminを伸側移行行程の補正ゲイン下限値αminよりも大きくする。そして、たとえば、電流指令Iが0.7Aを指示し、伸側移行行程である場合、下限値演算部32は、0.7Aの両側で伸側移行行程の補正ゲイン下限値αminの設定がある0.6Aに対応する補正ゲイン下限値αminの値と0.8Aに対応する補正ゲイン下限値αminの値を利用して線形補間によって、補正ゲイン下限値αminの値を算出する。この場合、下限値演算部32は、時間的変化量εvの符号でダンパDの行程が伸側移行行程であると把握できるので、時間的変化量εvが負の値の領域、図5中の縦軸よりも左方の領域に設定されている補正ゲイン下限値αminの値を参照し、この行程で必要となる補正ゲイン下限値αminを電流指令I**に基づいて選択或いは線形補間によって求めるようにすればよい。なお、圧側移行行程における補正ゲイン下限値αminは、電流指令I**が最大である場合には、圧側最下限値γに等しい値をとり、伸側移行行程における補正ゲイン下限値αminは、電流指令I**が最大である場合には、伸側最下限値βに等しい値をとる。

0045

ゲイン選択部33は、マップ演算部31で求めた補正ゲインαと下限値演算部32で求めた補正ゲイン下限値αminとを比較して大きな値を採用して補正ゲインαlとする。補正ゲインαを求めるマップは、電流指令I**が最大であり減衰力特性が最大である時に最適化されているマップであるので、このマップを利用して求めた補正ゲインαは、補正ゲイン下限値αminよりも小さな値をとる。そして、電流指令I*から求められる補正ゲイン下限値αminは、その電流指令I**で採りうる最小値であるから、ゲイン選択部33は、補正ゲインαと補正ゲイン下限値αminとを比較して大きな値のゲインを最終的な補正ゲインαlとして採用する。

0046

補正演算部34は、ゲイン選択部33が出力する補正ゲインαlに電流指令I*を乗じて、電流指令I*を補正して電流指令I**を出力する。したがって、補正部3は、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvの絶対値が大きくなると、電流指令値I*の低減量を大きくして補正し、制御指令である電流指令Iが大きくなる、つまり、減衰力特性レベルが大きくなると、電流指令I*の低減量を大きくして補正する。

0047

このように補正部3によって補正された電流指令I**は、電流制御部4へ入力される。電流制御部4は、電流指令I**の入力を受けると、減衰力調整部5におけるドライバ7へ制御指令として最終的な電圧指令Lを出力する。そして、ドライバ7は、電圧指令Lに従って減衰力調整部5へ電圧を供給し、ダンパDの減衰力が制御される。この例では減衰力調整部5がソレノイドSolに流れる電流量によってダンパDの減衰係数が調整されるので、電圧指令Lは、減衰力調整部5へ与える制御指令としてドライバ7へ入力されるようになっている。なお、ドライバ7は、たとえば、PWM回路などを備えていて、電圧指令Lの入力を受けると、電圧指令Lに対応した電圧をソレノイドSolへ印加するようになっている。ダンパDにおける減衰力調整部5は、ドライバ7から電圧の供給を受けてダンパDにおける減衰係数を調整する。

0048

補正部3における補正とドライバ7への指令出力までの処理は、たとえば、図6のフローチャートで示した手順で行われる。最初に、補正部3は、電流指令I**とダンパ速度Vdの時間的変化量εvを読み込む(ステップF1)。つづいて、補正部3は、図4を用いて説明したように、時間的変化量εvから補正ゲインαをマップ演算により算出する(ステップF2)。さらに、補正部3は、図5を用いて説明したように、電流指令I**から補正ゲイン下限値αminを算出する(ステップF3)。そして、補正部3は、補正ゲインαと補正ゲイン下限値αminのうち大きな値を補正ゲインαlとする(ステップF4)。補正部3は、補正ゲインαlと電流指令I*とを乗じて補正し、電流指令I**を得る(ステップF5)。最後に、補正部3は、電流指令I**を電流制御部4へ出力する(ステップF6)。ダンパ制御装置E1は、以上の一連の処理を連続して行い、電流指令I*を補正して電流指令I**を出力して、ダンパDを制御する。

0049

ここで、車両が路面の突起を乗り越える場合について考えると、このような場面では、突起乗り上げ時にはダンパDが急激に圧縮され、突起を乗り越す時にはダンパDが急激に伸長され、また、突起を乗り越える場合には、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvが大きくなる。従来のダンパ制御装置では、減衰力特性レベルを最大としたダンパDが発生する減衰力がマウントMを介してばね上部材Bに伝達する力(伝達減衰力)の特性が理想的な減衰力特性(図7中一点鎖線)に対して、図7中破線で示すように、歪みが生じて減衰力が急変するポイントが出現する。また、従来のダンパ制御装置では、減衰力特性レベルを最小としたダンパDが発生する減衰力がマウントMを介してばね上部材Bに伝達する力(伝達減衰力)の特性が理想的な減衰力特性(図8中一点鎖線)に対して、図8中破線で示すように、僅かではあるが歪んで減衰力が急変するポイントが出現する。

0050

これに対して、本発明のダンパ制御装置E1は、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvと減衰力特性レベルに基づいてダンパDの減衰力を低下させるように補正する。すると、従来では上記伝達減衰力が理想的な減衰力特性に対して歪みが生じる部分において、図7中実線および図8中実線で示すように、減衰力特性レベルの大小に関わらず、ダンパ制御装置E1は、伝達減衰力の特性の歪みの発生を抑制できる。また、減衰力特性レベルに応じて減衰力の低減量を調節するので、ダンパ制御装置E1は、減衰力特性レベルが小さい場合に、必要以上に減衰力を低減してしまって減衰力不足を招かないから、減衰力特性レベルの大小に関わらず、車両における乗り心地を向上できる。よって、本発明のダンパ制御装置E1によれば、路面の突起を乗り越える際にも車両における乗り心地を向上できるのである。

0051

また、この場合、補正ゲインαは、時間的変化量εvが第一伸側閾値a1未満である場合、時間的変化量εvの絶対値が大きくなると徐々に低下するようになっており、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超える場合、時間的変化量εvの絶対値が大きくなると徐々に低下するようになっている。このように、補正ゲインαlが徐々に小さくなるから、補正時にあっても、電流指令I**の急変も緩和されてダンパDの急峻な減衰力を抑制できる。図7図8に示すように、圧側移行行程の伝達減衰力の特性が理想的な減衰力特性に対して歪みが生じるタイミングは、伸側移行行程の伝達減衰力の特性が理想的な減衰力特性に対して歪みが生じるタイミングより早い。これに対して、第一の実施の形態のダンパ制御装置E1にあっては、第一圧側閾値b1の値を第一伸側閾値a1の絶対値よりも小さな値に設定しているので、圧側移行行程と伸側移行行程のそれぞれの歪みが生じるタイミングに合わせて電流指令I*を補正できる。つまり、圧側移行行程と伸側移行行程のそれぞれの歪みが生じるタイミングに合わせてダンパDの減衰力を補正できる。よって、第一の実施の形態のダンパ制御装置E1は、圧側移行行程と伸側移行行程のいずれでも車両における乗り心地を向上できる。また、ダンパDの構造によって、伸長時と収縮時とでは伝達減衰力が歪んでしまう原因となるバルブが異なる。よって、ダンパDの構造が異なれば、伸長時と収縮時とで、伝達減衰力の特性の歪み時の形状が異なるので、前記した設定に限定されず、第一圧側閾値b1と第一伸側閾値a1をダンパDに適するように設計できる。

0052

このダンパ制御装置E1では、補正部3がダンパ速度Vdの時間的変化量εvの絶対値とレベル情報から把握される減衰力特性レベルが大きい程、ダンパDの減衰力の低減量を大きくする補正を行うようになっている。減衰力特性レベルが大きい程、また、ダンパ速度の時間的変化量の絶対値が大きい程、伝達減衰力の特性に歪みが生じやすいので、前述のように設定することで、ダンパ制御装置E1は、伝達減衰力の特性の歪みを効果的に抑制でき、車両走行状況によらず減衰力の急変を低減できる。

0053

このように、電流制御部4へ与える制御指令としての電流指令I*にダンパ速度Vdの時間的変化量εvから求めた補正ゲインαlを乗じてダンパDの減衰力を補正するようにしているので、補正ゲインαlを乗じるだけで制御指令を補正でき、補正演算が容易である。なお、補正部3は、減衰力調整部5へ与える制御指令、この例では、電圧指令Lを生成する過程で生成される制御指令である電流指令I*に補正ゲインαlを乗じてダンパDの減衰力を補正するようになっているが、電流指令I*にも減衰力調整部5へ与える制御指令或いはこの制御指令を生成する過程で生成される制御指令に補正ゲインを乗じてダンパDの減衰力を補正してもよい。

0054

レベル情報が、電流制御部4への制御指令、または、制御指令によりダンパDが発生する減衰力特性レベルである場合には、減衰力の大きさを容易に推定でき、減衰力特性レベルへの変換が不要となって、そのまま加工せずに、ダンパDの減衰力の補正処理に使用できるから、減衰力の補正処理が簡単となる。

0055

この実施の形態の場合、レベル情報として電流制御部4へ入力される電流指令I**を取得するようになっている。電流制御部4は、減衰力調整部5を電流フィードバック制御するので、減衰力調整部5のソレノイドSolに流れる電流は電流指令I**に精度良く追従する。よって、電流指令I**をレベル情報とすると、実際の減衰力特性レベルを精度よく把握でき、減衰力を適切に補正できるため、精度良く伝達減衰力の特性に生じる歪みを低減できる。このような利点は、レベル情報を減衰力調整部5のソレノイドSolに実際に流れる実電流とすることでも享受できる。

0056

なお、補正部3が時間的変化量εvから求める補正ゲインαと、レベル情報としての電流指令I**から求める補正ゲイン下限値αminとを求めて、補正ゲインαと補正ゲイン下限値αminのうち大きな値を補正ゲインαlとして採用するようにしている。対して、電流指令I**によって補正ゲインαを求めるマップを複数用意しておき、電流指令I**に応じてマップを選択し、選択されたマップと時間的変化量εvに基づいて補正ゲインαlを求めるのも可能である。複数のマップを用意しておき、電流指令I**に基づいてマップを選択して、補正ゲインαlを求める場合に比較して、単一のマップで補正ゲインαを求め、電流指令I**から補正ゲイン下限値αminを求め、両者から一方を選択して補正ゲインαlを求める方がダンパ制御装置E1の補正部3の処理を実行するためのプログラムが簡素となるという利点がある。

0057

前述したように、補正部3は、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvから求めた補正ゲインαと、電流指令I**から求めた補正ゲイン下限値αminとを求め、両者から大きな値を持つ方を最終的な補正ゲインαlと求めるようにしているが、いくつかの減衰力特性レベルに対応して補正ゲインαを求めるマップを複数用意しておき、レベル情報からマップを選択し、選択されたマップと時間的変化量εvに基づいて補正ゲインαlを求めるのも可能である。

0058

したがって、補正部3は、マップ演算部31で補正ゲインαlを求め、補正演算部34で電流指令I*に補正ゲインαlを乗じて当該電流指令I*を補正すればよいので、下限値演算部32とゲイン選択部33を廃止できる。

0059

具体的には、図9に示すように、たとえば、時間的変化量εvから補正ゲインαlを求めるマップをいくつかの電流指令I**に対応して複数用意しておく。この図9に示した第一例におけるマップ群は、第一伸側閾値a1、第二伸側閾値a2、第一圧側閾値b1および第二圧側閾値b2を予め決まった値に設定し、伸側最下限値βと圧側最下限値γの値と、時間的変化量εvが第二伸側閾値a2以上第一伸側閾値a1未満の範囲の補正ゲインの傾き、および、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超え第二圧側閾値b2以下の範囲の補正ゲインの傾きが電流指令I**によって変化する複数のマップで構成されている。たとえば、電流指令I**が指示する電流値が、たとえば、0.0Aから1.0Aまでの範囲で変化する場合、0.2A刻みで圧側移行行程と伸側移行行程のそれぞれで補正ゲインαlを求めるマップを用意しておく。

0060

そして、補正ゲインαlを求めるには、マップ演算部31に入力される電流指令I**に対応するマップがあらかじめ用意されている場合には、対応するマップを選択し、選択されたマップとダンパ速度Vdの時間的変化量εvとからマップ演算して、補正ゲインαlを求めればよい。マップ演算部31に入力される電流指令I**に対応するマップがない場合、たとえば、電流指令I**が0.7Aを指示し、伸側移行行程である場合、マップ演算部31は、0.7Aの両側で伸側移行行程のマップの設定がある0.6Aに対応するマップと0.8Aに対応するマップを利用して、それぞれのマップから二つの補正ゲインαlを求め、これら補正ゲインαlを線形補間して、電流指令I**に対応する補正ゲインαlを求めればよい。

0061

図9に示したマップを使用して補正ゲインαlと求めると、減衰力特性が低く、減衰力の低減量が少なくて済む場合に、時間的変化量εvが第二伸側閾値a2以上第一伸側閾値a1未満の範囲にあるときの補正ゲインの傾き、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超え第二圧側閾値b2以下の範囲にあるときの補正ゲインの傾きは、前述した補正ゲインαと補正ゲイン下限値αminを求めて補正ゲインαlを求める場合に比較して緩やかになる。そのため、補正後の電流指令I**の変化が緩やかになり、ダンパDの減衰力変化が緩やかになって、車両における乗り心地をより一層効果的に向上できる。

0062

また、マップ群は、図10に示す第二例のように、第一伸側閾値a1、第二伸側閾値a2、第一圧側閾値b1および第二圧側閾値b2もレベル情報に応じて変化するように構成されてもよい。この図10に示すマップ群では、レベル情報である電流指令I**が小さい場合には、前述したように、歪みが生じにくいので、電流指令I*が小さいほど、第一伸側閾値a1を負側へシフトし、第一圧側閾値b1を正側へシフトするように変化させる。また、電流指令I**が小さい程、減衰力の低減量は小さくてよいので、伸側最下限値βと圧側最下限値γの値は、電流指令I**が小さい程、1に近い値をとるようになっている。電流指令I**が小さい程、伸側最下限値βと圧側最下限値γの値が1に近づき、第一伸側閾値a1が負側へシフトし、第一圧側閾値b1が正側へシフトするように変化するから、第二伸側閾値a2もそれに伴って第一伸側閾値a1と同方向へシフトし、第一圧側閾値b2もそれに伴って第一圧側閾値b1と同方向へシフトする。

0063

このようなマップ群を用いて補正ゲインαlを求めるには、図9の第一例におけるマップ群から補正ゲインαlを得る場合と同様である。つまり、予め、いくつかの電流指令I**に対応するマップを複数用意してマップ群を構成し、マップ演算部31は、入力される電流指令I**に対応するマップがある場合には、そのマップを選択して補正ゲインαlを求め、そのようなマップがない場合には、電流指令I**に近い値を持つ電流指令に対応するマップを二つ選択して線形補間によって補正ゲインαlを求めればよい。

0064

図10に示したマップでは、電流指令I**が小さいほど、第一伸側閾値a1がリアルタイムに負側へシフトし、第一圧側閾値b1がリアルタイムに正側へシフトするように変化するため、減衰力の低減が不要な場合に、不必要に減衰力を低減しなくて済むようになる。したがって、ダンパ制御装置E1が図10に示すマップを利用して補正ゲインαlを求めると、伝達減衰力の特性の歪みの回避と減衰力不足の回避を高度に両立でき、車両における乗り心地をより一層効果的に向上できる。また、補正ゲインαlの調整幅を広げることができる。

0065

また、マップ群は、図11に示す第三例のように、第一伸側閾値a1および第一圧側閾値b1がレベル情報に応じて時間的変化量軸に平行にシフトするように変化する構成されてもよい。この図11に示すマップ群では、レベル情報である電流指令I**が小さい場合には、前述したように、伝達減衰力の特性の歪みが生じにくいので、電流指令I**が小さいほど、第一伸側閾値a1が負側へシフトし、第一圧側閾値b1が正側へシフトするように変化させる。このマップ群では、伸側最下限値βと圧側最下限値γを設けず、補正ゲインαlは最小値が0となる。時間的変化量εvが第一伸側閾値a1未満となると補正ゲインが0にまで減少する傾きは、電流指令I**によって変化せず一定となっており、伸側移行行程では第一伸側閾値a1がシフトするだけである。圧側移行行程においても同じで、時間的変化量εvが第一圧側閾値b1を超える補正ゲインが0にまで減少する傾きは、電流指令I**によって変化せず一定となっており、第一圧側閾値b1がシフトするだけである。

0066

このようなマップ群を用いて補正ゲインαlを求めるには、図9の第一例におけるマップ群から補正ゲインαlを得る場合と同様である。繰り返しになるが、予め、いくつかの電流指令I**に対応するマップを複数用意してマップ群を構成し、マップ演算部31は、入力される電流指令I**に対応するマップがある場合には、そのマップを選択して補正ゲインαlを求め、そのようなマップがない場合には、電流指令I**に近い値を持つ電流指令に対応するマップを二つ選択して線形補間によって補正ゲインαlを求めればよい。

0067

図11に示したマップでは、電流指令I**が小さいほど、第一伸側閾値a1がリアルタイムに負側へシフトし、第一圧側閾値b1がリアルタイムに正側へシフトするように変化するため、減衰力の低減が不要な場合に、不必要に減衰力を低減しなくて済むようになる。したがって、ダンパ制御装置E1が図11に示すマップを利用して補正ゲインαlを求めると、歪みの発生を回避と減衰力不足の回避を高度に両立でき、車両における乗り心地をより一層効果的に向上できる。

0068

以上、図9から図11に示したマップ群を用いるとレベル情報に応じてリアルタイムに第一伸側閾値a1、第二伸側閾値a2、第一圧側閾値b1、第二圧側閾値b2、伸側最下限値βおよび圧側最下限値γを変化させて、歪みの低減と減衰力不足の回避の両立を高度に実現でき、さらには、減衰力変更アルゴリズムを簡略化できる利点があるが、図9から図11に示したマップ群は一例であって、これに限らず、車両に適切となるようにマップ群を設計変更できる。

0069

また、前述したところでは、補正ゲインαlをマップから求めているが、時間変化量εvから補正ゲインαlを求める関数をレベル情報に応じて複数用意しておき、レベル情報によって関数を選択し、選択された関数を用いて補正ゲインαlを求めてもよい。さらに、補正部3は、補正ゲインαlを求めて、補正ゲインαlに電流指令I*を乗じて補正するようにしているが、補正ゲインαlを求めるのではなく、電流指令I*から差し引く低減量を求めて、電流指令I*から低減量を差し引くことで電流指令I**を求めるようにしてもよい。その場合も、たとえば、時間的変化量εvと低減量とをマップ化しておき、低減量を求めればよく、レベル情報に対応して複数のマップで構成されるマップ群を保有しておけばよい。

0070

さらに、本発明のダンパ制御装置E1にあっては、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvに基づいてダンパDの減衰力を補正するために、路面の突起を乗り越える際の急峻なダンパ速度Vdの変化に対応して車両における乗り心地を向上させるだけでなく、ダンパDの伸縮の切換時におけるダンパDの減衰力の急峻な変化も緩和することができる。

0071

また、上記したところでは、変化量取得部1が、前回周期において得られたダンパ速度Vdpreと今周期において得られたダンパ速度Vdとの差を求めて、当該差をダンパ速度Vdの時間的変化量εvとしていたが、ダンパ速度Vdを微分してダンパ速度Vdの時間的変化量εvを得てもよい。さらには、ダンパDは、車両のばね上部材Bとばね下部材Wとの間に介装されていて、ばね上部材BはダンパDとこれに並列される懸架ばね以外には何ら拘束されておらず、ばね下部材Wが激しく振動する場合、ばね下部材Wの振動の振幅は小さく、懸架ばねがばね上部材Bへばね下部材Wの振動を伝達する力は小さいため、ばね上部材Bへの振動伝達は殆どダンパDの減衰力に起因することになり、ばね上部材Bに作用する力は、ダンパDが発生する減衰力にほぼ等しくなる。ダンパDは、ダンパ速度Vdに応じて減衰力を発生するため、ばね上部材Bの上下方向の加速度を得ればダンパDのダンパ速度Vdを得ることができ、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvを求めることができる。つまり、この場合、車両における各輪のばね上質量にばね上部材Bの上下方向の加速度であるばね上加速度を乗じて得られる力が減衰力にほぼ等しくなり、他方、減衰力はダンパDのダンパ速度Vdにほぼ比例するので、ダンパDの減衰力とダンパ速度Vdとの関係と各輪のばね上質量を予め承知しておくことで、ばね上加速度からダンパ速度Vdを得ることができ、得たダンパ速度Vdからダンパ速度Vdの時間的変化量εvを演算すればよい。また、ばね下部材Wが激しく振動する場合、ばね上部材Bの共振周波数がばね下部材Wの共振周波数よりも低く、ダンパ速度Vdにばね上部材Bの振動が与える影響は少ないため、ばね下部材Wの上下方向の速度は、ダンパ速度Vdにほぼ等しくなる。よって、ばね下部材Wの上下方向の加速度であるばね下加速度を積分してばね下部材Wの上下方向の速度を得て、このばね下部材Wの上下方向の速度を利用してダンパ速度Vdの時間的変化量εvを得ることができる。また、ばね下部材Wの上下方向の加速度は、上記ばね下部材Wの上下方向の速度を微分した値に相当し、ばね下部材Wの上下方向の速度の時間的変化量に相当するので、ばね下部材Wの上下方向の加速度をそのままダンパ速度Vdの時間的変化量εvとして用いることもできる。つまり、ばね下部材Wの上下方向の加速度に基づいてダンパ速度Vdの時間的変化量εvを得ることができる。よって、変化量取得部1にて、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvを把握するために取得する情報は、ダンパ速度Vdそのもの以外にも、ばね上部材Bあるいはばね下部材Wの上下方向加速度であってもよく、ばね上部材Bあるいはばね下部材Wの上下方向加速度を情報として取得する場合には設置の容易な加速度センサを用いて、加速度センサに比して設置にコストがかかるストロークセンサを廃止することができる。

0072

また、本発明のダンパ制御装置E1にあっては、電流制御部4へ入力される電流指令I*を補正するので、電流指令I*を生成する過程において補正する場合に比較して、制御が単純になる。

0073

さらに、ユニフローに設定されてシリンダ12からリザーバ17へ通じる減衰通路20に設けたソレノイドSolで弁体を駆動する減衰力調整部5と、吸込通路18と整流通路19にそれぞれに逆止弁18a,19aを備えるダンパDにあっては、逆止弁18a,19aは、伸長行程と収縮行程において必ずいずれかが開く必要が生じるとともに開応答に遅れが生じるが、本発明のダンパ制御装置E1と用いることで、ダンパDの伝達減衰力の特性の歪みを是正することができ、前記歪みも効果的に解消することができる。よって、特に、このダンパ制御装置E1は、本実施の形態のユニフローに設定されてシリンダ12からリザーバ17へ通じる減衰通路20に設けたソレノイドSolで弁体を駆動する減衰力調整部5と、吸込通路18と整流通路19にそれぞれに逆止弁18a,19aを備えるダンパDに最適となる。

0074

なお、本発明のダンパ制御装置E1は、ソレノイドSolで弁体を駆動する減衰力調整部5を備えたダンパDのみならず、ソレノイド以外のアクチュエータで弁体を駆動するダンパDや、電気粘性流体や磁気粘性流体を利用したダンパDに対しても適用することができる。そしてさらに、上記したところでは、減衰力調整部5にソレノイドSolを用いているので、電流指令I*を補正するようにしているが、電流指令I*を補正する以外にも制御指令値が電流指令I*ではなく目標減衰力指令値として与えられる場合には、目標減衰力指令値を補正するようにしてもよい。

0075

さらに、上記したところでは、電流指令I**が大きくなると、ダンパDの減衰力も大きくなるために、時間的変化量εvの絶対値が大きくなるにつれて補正ゲインαが徐々に低下するようになっているが、減衰力調整部5が電流指令I**が大きくなるとダンパDの減衰力を小さくする設定であれば、時間的変化量εvの絶対値が大きくなるにつれて補正ゲインαが徐々に増大するように設定することも可能である。要するに、伝達減衰力の特性における歪みの発生を抑制するために行う補正を行った結果、補正後の減衰力が補正前の減衰力に比較して低減されるように補正を行えばよい。

0076

<第二の実施の形態>
つづいて、第二の実施の形態のダンパ制御装置E2について説明する。この第二の実施の形態のダンパ制御装置E2は、図12に示すように、第一の実施の形態のダンパ制御装置E2の補正部3のマップ演算部31の前段に、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvの位相を変化させる位相変更部35を設けた構成となっている。そのほかの構成は、第一の実施の形態のダンパ制御装置E2と同様であるので、説明の重複を避けるため、同じ構成については同じ符号を付すのみとして詳しい説明を省略する。

0077

この第二の実施の形態のダンパ制御装置E2では、前述のように、補正部3が位相変更部35を備えている。位相変更部35は、この実施の形態では、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvの位相を遅らせるようになっており、具体的には、レベル情報でカットオフ周波数を変更可能な可変ローパスフィルタで構成されている。

0078

位相変更部35には、レベル情報として電流指令I**が入力され、電流指令I**に応じてカットオフ周波数を変化させる。電流指令I**が大きい場合、減衰力特性レベルも大きくなるが、伸側移行行程および圧側移行行程のいずれでも、ダンパの歪みが生じるタイミングは、減衰力特性レベルが大きい方が減衰力特性レベルが小さい時より遅くなる。よって、位相変更部35は、電流指令I**が大きくなればなるほど、カットオフ周波数を低くするように変更する。

0079

このように位相変更部35を設けると、減衰力特性レベルに応じて時間的変化量εvの位相を遅らせて、補正ゲインαlも第一の実施の形態のダンパ制御装置E1の補正ゲインαlに対して時間遅れが生じる。伸側移行行程および圧側移行行程において、ダンパの歪みが生じるタイミングは、理想的な減衰力特性に対して時間的に遅れるため、減衰力特性レベルに応じて補正ゲインαlを時間的に遅らせることで、そのときの減衰力特性レベルに最適となるタイミングで電流指令I*が補正され、伝達減衰力の特性に歪みが生じるタイミングでタイムリーに減衰力を低減でき、歪みの発生をより効果的に抑制できる。この効果は、補正ゲインαlを図9から図11に示したマップ群を用いて、マップから直接求める場合に、歪み発生抑止効果が高い。というのは、ゲイン選択部33が補正ゲイン下限値αminを選んでしまうと、時間的変化量εvの位相を遅らせる効果が表れにくくなる。これに対して、図9から図11に示したマップ群を用いて補正ゲインαlをマップから直接求める場合には、時間的変化量εvの位相を遅らせれば、補正ゲインαlが確実に時間的に遅延するので、歪み発生抑止効果が高くなる。

0080

また、前記したところでは、位相変更部35は、レベル情報に応じてカットオフ周波数を変更可能なローパスフィルタとされているが、前述したように、伝達減衰力の特性は、理想的な減衰力特性に対してヒステリシスが生じる特性となっている。したがって、位相変更部35をハイパスフィルタとして、ダンパ速度Vdの時間的変化量εvの位相を進ませれば、伝達減衰力の特性の持つヒステリシスを低減できる。このようにすることで、伝達減衰力の特性に生じる歪みを取り除きつつ、ヒステリシスを低減して、車両における乗り心地を向上できる。また、位相変更部35は、バンドフィルタで構成されてもよく、その場合、時間的変化量εvの位相を或る周波数以下では進ませ、ある周波数以上では遅延させる。周波数を適切に設定すれば、ヒステリシスの低減とタイムリーな減衰力補正を行える。

0081

以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。

0082

本発明の車両用ダンパは、車両の制振用途に利用することができる。

0083

1・・・変化量取得部、2・・・レベル情報取得部、3・・・補正部、4・・・電流制御部、5・・・減衰力調整部、12・・・シリンダ、13・・・ピストン、15・・・伸側室、16・・・圧側室、17・・・リザーバ、18・・・吸込通路、18a,19a・・・逆止弁、19・・・整流通路、20・・・減衰通路、35・・・位相変更部、B・・・ばね上部材、D・・・ダンパ、E・・・ダンパ制御装置、W・・・ばね下部材

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