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技術 木質材料の機能性付与処理剤、及び、木質材料の機能性付与方法

出願人 株式会社プラセラム
発明者 桑宗彦
出願日 2014年10月28日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-218920
公開日 2016年5月19日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-083876
状態 特許登録済
技術分野 木材等の化学的、物理的処理
主要キーワード ホウ酸成分 防燃効果 無機酸成分 保水成分 含浸固定 ヒノキ材 不燃断熱材 アルカリ性ポリマー
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課題

木質材料抗菌性防腐性防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法を提供する。

解決手段

木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性モノマーにより構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤を木質材料の内部へ含浸させ、次いで前記機能性付与剤を重合させて、前記無機酸成分を前記木質材料内部に固定させる木質材料の機能性付与方法。

概要

背景

木材やその加工品等、例えば集成材天然木無垢材)、合板パーティクルボードファイバーボードなどの木質材料は軽く、肌触りがよく、夫で、加工が容易、調湿作用を持ち、年輪由来する独特木目模様を持っていて、やすらぎ感を与えるなどの多くの長所を有するが、腐りやすい、虫に食われる、燃えるなどの欠点もあり、様々な処理により改良する提案がなされてきた。

例えば、木質材料に、防虫防腐目的でホウ酸または可溶性ホウ酸塩浸透させ、含浸させる技術が知られている。ホウ酸イオン昆虫類消化補酵素の作用をブロックするので、ホウ酸またはホウ酸塩を昆虫類が食べると食物の消化ができず、餓死する。一方、人間は、腎臓でホウ酸イオンを除去して排出するので、その影響を受けない。また、ホウ素は人体にとって必須元素の一つであり、ホウ酸は目薬に使用されており、人体に対するホウ酸の毒性は、塩化ナトリウムと同程度といわれている。ホウ酸またはホウ酸塩はこのように人間にとってほぼ毒性がなく、かつ、永続性のある防虫剤であり、さらに木質材料に対して抗菌性防腐性、防燃性を同時に付与し、さらに耐性菌を造らないことが認められつつあり、ほかのどの有機性防腐剤、防虫剤より優れている。

また、防燃を目的として、ホウ酸、燐酸硫酸スルファミン酸等の水溶性無機塩または、アンモニウムグアニジングアニル尿素メラミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の含窒素水溶性塩を含浸する技術も知られている。

しかしながら、これら薬品を用いた技術の最大の欠点は、これらが水溶性であるため、木質材料に浸透ないし含浸させることはできても、固定できないため、雨で洗い流されたり、水に接触する場所では溶解して、その効果が失われてしまう。

用いる薬品が硫酸や燐酸であれば、セルロースエステル反応させて固定することが可能であるが、ホウ酸は簡単にはセルロースとエステル反応しない。

ここで、防腐目的で銅イオンを含浸、定着させる方法として、有機物四級アンモニウム塩有機溶媒に溶解させ、この溶液を木質材料に含浸させた後、有機溶媒を蒸発させ回収して銅の四級アンモニウム塩を固定する方法が実用化されており、ACQ材として市場に出回っている。

しかしながら、有機溶媒の利用は、処理環境を悪化させ、また、四級アンモニウム自体が抗菌性であるが、人体に対して無害ではなく使用上制限があるなどの欠点がある。非水溶性の銅、亜鉛有機酸塩有機化合物有機溶剤に溶解させた防虫、防腐剤も実用されているが、欠点は同様である。

一方、金属イオン類を水に不溶性塩基性塩類として、可溶性金属塩尿素と同時含浸して、その後加水分解させることで、木質材料中に固定する方法については、特許出願中であるが、この場合も無機酸成分水可溶性アンモニウム塩になっているので、無機酸の固定は成されていない。

このように、有機溶媒を用いずに木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法が求められている。

概要

木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法を提供する。木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性モノマーにより構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤を木質材料の内部へ含浸させ、次いで前記機能性付与剤を重合させて、前記無機酸成分を前記木質材料内部に固定させる木質材料の機能性付与方法。なし

目的

本発明は、上記従来技術を改良する、すなわち、有機溶媒を用いることなしに、木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性モノマーにより構成され、かつ、水溶性を有することを特徴とする木質材料の機能性付与剤

請求項2

木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーにより構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤を木質材料の内部へ含浸させ、次いで前記機能性付与剤を重合させて、前記無機酸成分を前記木質材料内部に固定させることを特徴とする木質材料の機能性付与方法。

請求項3

前記重合時に、還元剤重合促進剤として用いることを特徴とする木質材料の機能性付与方法。

請求項4

前記含浸を減圧−浸漬−加圧含浸処理法で行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の木質材料の機能性付与方法。

請求項5

前記機能性付与剤とともにグリコール類を前記木質材料の内部へ含浸させることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の木質材料の機能性付与方法。

技術分野

0001

本発明は、木質材料に、例えば防腐性抗菌性防虫性、防燃性等の機能性を付与する機能性付与処理剤、及び、このような機能性付与処理剤による木質材料の処理方法に関する。

背景技術

0002

木材やその加工品等、例えば集成材天然木無垢材)、合板パーティクルボードファイバーボードなどの木質材料は軽く、肌触りがよく、夫で、加工が容易、調湿作用を持ち、年輪由来する独特木目模様を持っていて、やすらぎ感を与えるなどの多くの長所を有するが、腐りやすい、虫に食われる、燃えるなどの欠点もあり、様々な処理により改良する提案がなされてきた。

0003

例えば、木質材料に、防虫防腐目的でホウ酸または可溶性ホウ酸塩浸透させ、含浸させる技術が知られている。ホウ酸イオン昆虫類消化補酵素の作用をブロックするので、ホウ酸またはホウ酸塩を昆虫類が食べると食物の消化ができず、餓死する。一方、人間は、腎臓でホウ酸イオンを除去して排出するので、その影響を受けない。また、ホウ素は人体にとって必須元素の一つであり、ホウ酸は目薬に使用されており、人体に対するホウ酸の毒性は、塩化ナトリウムと同程度といわれている。ホウ酸またはホウ酸塩はこのように人間にとってほぼ毒性がなく、かつ、永続性のある防虫剤であり、さらに木質材料に対して抗菌性、防腐性、防燃性を同時に付与し、さらに耐性菌を造らないことが認められつつあり、ほかのどの有機性防腐剤、防虫剤より優れている。

0004

また、防燃を目的として、ホウ酸、燐酸硫酸スルファミン酸等の水溶性無機塩または、アンモニウムグアニジングアニル尿素メラミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の含窒素水溶性塩を含浸する技術も知られている。

0005

しかしながら、これら薬品を用いた技術の最大の欠点は、これらが水溶性であるため、木質材料に浸透ないし含浸させることはできても、固定できないため、雨で洗い流されたり、水に接触する場所では溶解して、その効果が失われてしまう。

0006

用いる薬品が硫酸や燐酸であれば、セルロースエステル反応させて固定することが可能であるが、ホウ酸は簡単にはセルロースとエステル反応しない。

0007

ここで、防腐目的で銅イオンを含浸、定着させる方法として、有機物四級アンモニウム塩有機溶媒に溶解させ、この溶液を木質材料に含浸させた後、有機溶媒を蒸発させ回収して銅の四級アンモニウム塩を固定する方法が実用化されており、ACQ材として市場に出回っている。

0008

しかしながら、有機溶媒の利用は、処理環境を悪化させ、また、四級アンモニウム自体が抗菌性であるが、人体に対して無害ではなく使用上制限があるなどの欠点がある。非水溶性の銅、亜鉛有機酸塩有機化合物有機溶剤に溶解させた防虫、防腐剤も実用されているが、欠点は同様である。

0009

一方、金属イオン類を水に不溶性塩基性塩類として、可溶性金属塩尿素と同時含浸して、その後加水分解させることで、木質材料中に固定する方法については、特許出願中であるが、この場合も無機酸成分水可溶性アンモニウム塩になっているので、無機酸の固定は成されていない。

0010

このように、有機溶媒を用いずに木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法が求められている。

先行技術

0011

特開2012−118037号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、上記従来技術を改良する、すなわち、有機溶媒を用いることなしに、木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性等の機能性を付与しながら、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる機能付与処理剤、及び、機能性付与方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明の木質材料の機能性付与剤は上記課題を解決するため、木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性モノマーにより構成されたことを特徴とする。

0014

また、本発明の木質材料の機能性付与方法は、木質材料に機能性を付与し得る無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーにより構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤を木質材料の内部へ含浸させ、次いで前記機能性付与剤を重合させて、前記無機酸成分を前記木質材料内部に固定させることを特徴とする。

0015

本発明の木質材料の機能性付与方法において、前記重合時に、還元剤重合促進剤として用いることができる。

0016

本発明の木質材料の機能性付与方法において、前記含浸を減圧−浸漬−加圧含浸処理法で行うことができる。

0017

本発明の木質材料の機能性付与方法において、前記機能性付与剤とともにグリコール類を前記木質材料の内部へ含浸させることができる。

発明の効果

0018

本発明の木質材料の機能性付与剤は、水溶性の無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーにより構成されており、このような機能性付与剤を木質材料の内部へ含浸させ、次いで前記機能性付与剤を重合させて、前記無機酸成分を前記木質材料内部に固定させることができ、前記無機酸成分による機能性付与効果を得ながらもその無機酸成分の溶出を防止できるので、その後、水との接触による機能性の低下を抑制できる。

0019

また、本発明の木質材料の機能性付与方法において、前記重合時に、還元剤を重合促進剤として用いると、短時間で重合を終了させることが可能となるとともに、重合促進のための加熱を不要とすることが可能となり、そのときにエネルギーコストや手間を省くことができる。

0020

本発明の木質材料の機能性付与方法において、前記含浸を減圧−浸漬−加圧含浸処理法で行うと、水分の含有率の高い、生木などの木質材料からも、乾燥割れの生じにくい、機能性が付与された木質材料を得ることができる。

0021

本発明の木質材料の機能性付与方法において、上記構成に加えて、前記機能性付与剤とともにグリコール類を前記木質材料の内部へ含浸させることができ、このとき、厳しい乾燥雰囲気であっても乾燥割れの生じにくい、機能性が付与された木質材料を得ることができる。

0022

本発明の木質材料の機能性付与剤(以下、単に「機能性付与剤」とも云う。)は、水溶性の無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーにより構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤である。

0023

本発明において、水溶性の無機酸としては、酸素酸であるホウ酸、燐酸、硫酸、モリブデン酸タングステン酸クロム酸マンガン酸、亜鉛酸、ヒ酸、ヴァナジン酸、亜セレン酸などが挙げられ、このうち、ホウ酸、燐酸、硫酸が安価であるだけでなく、人体に無害であるため、好ましい。なお、これら水溶性の無機酸のうち、遷移金属を含む無機酸は、木質材料に対して機能性付与成分として、および/または、後述するようにその他の酸成分の木質材料内に固定されたホウ酸などのその他の無機酸成分の量を知るためのトレーサー成分としても用いることができる。

0024

アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。なお、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等は、アミド基とビニル基を有するが、その水溶液中性であるので、用いた場合には、無機酸を安定して固定することが困難であり、また、N,N−ジメチルアクリルアミドのようなアルキルアミド基を有する化合物の場合もその水溶液は中性となって無機酸を安定して固定することができず、このため、これらは本発明では用いることができない。

0025

上記のアミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマー(以下、単に「モノマー」とも云う。)1モルは、ホウ酸5モルを固定できる。ホウ酸そのものが弱酸であるので、モノマー1モルの水溶液に5モルを超えたホウ酸を溶解させても、中性領域に留まる場合があるが、このような状態で含浸処理を行ってもホウ酸全てが化学的に固定されない。一方、燐酸の場合はモノマー比モル対1モルでpH4.6程度の水溶液となり固定できるが、モノマー2モルで燐酸1モルを中性域で固定できる。硫酸1モルを中性域で固定するためにはモノマー2モルが必要である。モリブデン酸、タングステン酸あるいはクロム酸各1モルもモノマーを2モル配合することで固定することができる。

0026

このような水溶性の無機酸、及び、アミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーを組み合わせて、本発明の機能性付与剤を得ることができる。

0027

本発明の機能性付与剤は、上述のような水溶性の無機酸、及び、上述のようなアミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーの両者から構成されていればよく、このとき、両者が混合された状態であっても、両者からなる塩の状態であっても、あるいは、これらの混合物であってもよい。また、本発明の機能性付与剤は、固体粉末錠剤)の状態であっても、水やその他の溶媒、あるいは、これらの混合溶媒に溶解した状態であってもよい。

0028

機能性付与剤を水に溶解して調製する含浸液の濃度は、樹種によって選ぶ必要がある。杉材のような密度の低い樹種では、含浸量が多くなるので、必ずしも高い濃度を必要としない。ただし、防腐、抗菌防虫用途では木質材料中に1質量%のホウ酸が成分として固定されていれば十分である。このようなホウ酸成分含有量の木質材料は、防燃機能の殆ど必要のない屋外用の用途、たとえば、屋外テーブル、ベンチウッドデッキ、屋外遊具等、あるいは浴槽に最適である。一方、防燃機能はホウ酸が多く固定されていないと効果が低い。このように、用途に応じて無機酸成分の固定量を調整する。

0029

本発明における含浸は、通常、被含浸処理木質材料、必要に応じて後述の重合開始剤を加えて、を前記の塩を水に溶解して調製した含浸液中に浸漬した状態で、木質材料内部に含浸液を浸透(含浸)させる方法によって実施することができる。このような含浸処理法として、木質材料を含浸液中に浸漬した状態で減圧処理を行う減圧含浸処理法、木質材料を含浸液中に浸漬した状態で加圧処理を行う加圧含浸処理法、減圧含浸処理後に加圧含浸処理を行う減圧−加圧含浸処理法、後述する減圧−浸漬−加圧含浸処理法、水分の高い木質材料中の水を水溶性の塩の濃厚溶液相互拡散させ交換させる濃度差含浸処理法などが挙げられる。

0030

ここで、水分量の少ないあるいは水分を含まない機能性木質材料が求められる場合がある。電気絶縁性を要求される分野と木質材料の乾燥割れを嫌う分野である。これらの用途の場合、機能性付与剤を水ではなく、次のような水溶性のビニル基を有するモノマーを溶媒として用いた含浸液の利用が有効である。すなわち、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートヒドロキシプロピルアクリレートヒドロキシプロピルメタクリレートヒドロキシブチルアクリレートアクリロイルモルホリンポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート等である。

0031

上記、減圧含浸処理法での減圧条件としては、溶媒として水を用い、常温で行う場合には通常、10kPa以下、好ましくは、1kPa以下とする。上記のモノマーや有機溶媒、有機溶媒と水との混合溶媒を用いる場合、あるいは、常温より高い温度で行う場合には、用いる有機溶媒の蒸気圧案し、必要に応じて予備実験を行って決定する。

0032

また、減圧含浸処理法での減圧処理を行う時間としては、被含浸処理木質材料の形状、大きさにより予め検討を行ってその条件を決定するが、例えば5分間以上、好ましくは30分間以上、さらに好ましくは60分間以上とする。

0033

加圧含浸処理法では、加圧容器を用いて、被含浸処理木質材料を加圧容器内の含浸液中に浸漬した状態で容器内を1気圧(約1013hPa)超とする含浸処理方法であり、被含浸処理木質材料の形状、大きさにより、予め検討を行ってその条件を決定するが、通常はその圧力を2気圧以上、好ましくは5気圧以上、より好ましくは10気圧以上として行う。

0034

加圧含浸処理の処理時間としては、10分間以上、好ましくは30分間以上、さらに好ましくは60分間以上とする。

0035

ここで、減圧−浸漬−加圧含浸処理法について説明する。一般に生木からなる木質材料は、乾燥が進むにつれて体積収縮するので、クラック割れが生じてしまう。これらを防ぐために、水を用いず機能性付与剤単独で、あるいは、機能性付与剤の濃度の高い含浸液(水溶液)を被処理木質材料に接触させて、生木中の水分へ水溶性の成分を浸透させるとともに、滲出してきた水分を減圧処理により、蒸発除去して次第に木材中の水分を含浸の成分と置き換えて木材に割れが入らないようにする含浸処理法である、含浸液中の水分量が大きくなった時点では、減圧操作を行なって、液中の水分を蒸発除去させる。

0036

なお、含浸処理の際に、機能性付与剤と同時に、特許文献2で提案されているようにモリブデン酸やタングステン酸とアミノ基とビニル基とを有するアルカリ性のモノマーと反応させた水溶性の塩を被処理木質材料へ含浸させておくと、蛍光X線分析装置により木質材料に含浸されたホウ酸などのその他の無機酸成分の量を非破壊で知ることができる。

0037

また、水を溶媒とする含浸処理の際に、含浸液の水分の一部ないし大部分をポリエチレングリコールのような比較的安価な保水成分と置き換えれば、機能性が付与された木質材料の製品の乾燥割れを防止することができる。

0038

上記のような含浸処理後に、木質材料の表面及びその付近の機能性付与剤を重合させる。

0039

このためには、例えば、含浸処理後の木質材料を90〜100℃の水に10〜30分程度、浸漬する。この浸漬により、急速に昇温されて木質材料の表面及びその付近での重合が完了するので、生産性が高くなる。なお、木質材料内の無機酸成分が浸漬水に溶出しないようにその無機酸を、ある程度の濃度となるよう、例えば飽和量、あらかじめ浸漬水に溶解しておくこともできる。

0040

また、重合促進剤を用いることもできる。重合促進剤としてはヒドラジンロンガリット次亜燐酸ナトリウム第一鉄イオンFe2+ 含有可溶物のような強力な還元剤が挙げられる。この中でヒドラジンは作用後分解して窒素ガス以外の残存物質を生じないので好ましい。このような還元剤の溶液(例えば0.01質量%以上5質量%以下程度の水溶液)を含浸処理後の木質材料にスプレーするか、含浸処理後の木質材料を還元剤の溶液に短時間浸漬する。このように重合促進剤を用いた場合、10分ほどでゲル化が進行する。

0041

このようにして木質材料の表面及び表面付近重合反応を進行させることにより、木質材料内に含浸された無機酸成分は木質材料の外部に溶出しなくなる。そして、機能性付与剤(未重合)は木質材料内部にとどまって、徐々にその重合が進行する。

0042

比較的短時間に重合を完了させる必要がある場合には、表面及び表面付近の重合を終えた木質材料を、温水に長時間浸漬する、あるいは、誘電加熱水蒸気加熱熱風加熱等の加熱処理を行う。ただし、このときのエネルギーコストや手間等を勘案すると、少量の重合開始剤を機能性付与剤とともに含有させた含浸液を用いて含浸処理を行うことが好ましい。

0043

これらの処理が終了した、機能性が付与された木質材料は、必要に応じて、洗浄や乾燥を行う。

0044

上記のようにして、機能性付与剤を有する含浸液を木質材料に、浸透、含浸させ、ビニル基を利用して重合させることにより、ホウ酸等の無機酸が木質材料へ化学的に固定されるので、その後、水と接触してもその機能が損なわれることがない。また、水溶液を含浸液として用いた場合には木質材料の表面全部が重合物により緻密に覆われてしまうことが避けられるので、木質材料の利点である調湿作用を維持することができる。

0045

以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の木質材料の機能性付与処理剤、及び、木質材料の機能性付与方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。

0046

業者は、従来公知の知見に従い、本発明の木質材料の機能性付与処理剤、及び、木質材料の機能性付与方法を適宜改変することができる。このような改変によってもなお、本発明の木質材料の機能性付与処理剤、及び、木質材料の機能性付与方法の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。

0047

以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。

0048

[実施例1]
表1に示した組成で機能性付与処理剤を有する含浸液を調製した。

0049

[表1]
ホウ酸:5モル
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート:1モル
モリブデン酸ナトリウム:0.01モル
水:2kg
重合開始剤(水溶性アゾ系重合開始剤):0.5g

0050

上記含浸液を用いて、常温で減圧−浸漬−加圧含浸処理を行い、スギ材及びヒノキ材(ともに10cm角、厚さ12mmの大きさ)に表1中の溶質を含浸させた。その後、90℃の10質量%ホウ酸水溶液に15分間浸漬して、これら木材の表面近くの機能性付与処理剤を重合させて、機能性が付与された木材を得た。

0051

これら木材の断面について、ホウ酸と同時に含浸処理を行ったモニター物質としてのモリブデンを蛍光X線分析装置で調べたところ、木材の内部にまで含浸していることが確認されたので、ホウ素もこのモリブデンと同様に内部に含浸されたと考えられる。

0052

これら機能性が付与された木材について、無機酸成分の溶出試験を行った。具体的には、1000mL(ミリリットル)の水に72時間浸漬し、浸漬後の水について、少量を採取し、ホウ酸試験紙(ターメリック試験紙)を用い、硝酸酸性(pH1.5)として調べたが、ホウ酸イオンは検出されなかった。

0053

一方、上記と同様に含浸処理を行ったものの、ホウ酸水溶液中による加熱重合を行わなかったヒノキ材についても溶出試験を行った。このとき、ヒノキ材の表面から約1mmの深さまでのホウ素が溶出したものと判断できた(測定はモニター成分である断面のモリブデン呈色反応で行った。)。

0054

[実施例2]
表2に示した組成で機能性付与処理剤を有する含浸液を調製した。

0055

[表2]
四ホウ酸ナトリウム:1モル
ホウ酸:9モル
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート:1モル
モリブデン酸ナトリウム:0.01モル
水:2kg
重合開始剤(水溶性アゾ系重合開始剤):0.5g

0056

この含浸液は、アミノエチルメタクリレートのホウ酸固定能力(1モルあたり5モル)を超えるホウ酸を溶解させ、さらに、四ホウ酸ナトリウムも溶解させて調製したものである。このような含浸液を用いて含浸処理し、表面のモノマーを重合させた場合、木質材料の表面が水と接触する環境では、四ホウ酸ナトリウムのある程度の逸失は避けられないものの、単独で含浸させた場合よりは逸失が少なくなることが予想される。なお、木質材料内部に化学的に固定されるホウ酸で十分な防腐機能抗菌機能、及び、防虫機能が得られる。そして、木質材料表層の四ホウ酸ナトリウムが溶出により失われて表層の防燃機能が多少低くなっても、木質材料内部に残存する四ホウ酸ナトリウムによる防燃効果が期待できる。

0057

この推測を確認するため、実際に10cm角、厚さ12mmのスギ材に対して、表2に示した組成含浸液を用い、常温で減圧−浸漬−加圧含浸処理し、その後、90℃の10質量%ホウ酸水溶液に15分間浸漬して、これら木材の表面近くの機能性付与処理剤を重合させた。

0058

1000mLの水に72時間浸漬して溶出する量を調べた。浸漬水はホウ酸検出試験紙をかすかに変色させた。このことから溶出量は検出下限(20mg/L(リットル)のB(ホウ素))付近であることが判った。

0059

このようにホウ酸塩の全量が化学的に固定されていなくとも、アルカリ性ポリマーにより、木質材料内部からの溶出が抑制されることが確認された。

0060

また、上記サンプル以外に、同様に、ただし、10cm角、厚さ12mmおよび16mmのスギ辺材に対して減圧−浸漬−加圧含浸処理、及び、その後にホウ酸水溶液を用いて上記同様に表面近くの機能性付与処理剤の重合処理を行ったサンプルを作製し、これらをともに15日間自然乾燥させた後、防燃性能をISO−5660−1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱テストを行って評価した。

0061

その結果、厚さが12mmのサンプル2枚の5分間の総発熱量が4.68MJ、2.67MJ、16mm厚さのサンプルでは4.40MJであり、ともに内装材の難燃規格満足した。このときの加熱による炭化層の厚さは約5mmで、反対面に異常はなかった。このように、無機酸成分がある程度の濃度以上(例えば、20〜30質量%)の処理液含浸固定した木質材料は、防虫、防腐、抗菌の各効果の他に、防燃効果も併せ持つ。

0062

[実施例3]
表3に示した組成で機能性付与処理剤を有する含浸液を調製した。

0063

[表3]
ホウ酸:1モル
燐酸:1モル
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート:1.0モル
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:2.0モル
ポリエチレングリコールジメタクリレート:0.1モル
#400ポリエチレングリコール:400g
重合開始剤(アゾ系重合開始剤):0.3質量%

0064

本例は生木に対して直接含浸処理する含浸液の例である。

0065

イチョウの生木(直径:60cm)を輪切りにし、内部をくりぬいて有底円筒形としたものを、表3に示した組成の含浸液を用いて減圧−浸漬−加圧含浸処理を行い、その後、ホウ酸水溶液を用いて上記同様に表面近くの機能性付与処理剤の重合処理を行った。得られたものは、乾燥割れを発生することなく、プランターとして使用できた。ヒノキ根元の輪切材に含浸処理したものは、乾燥割れを生じず、防腐、防虫、防燃性の屋外用床材とすることが出来た。

0066

また、1.5cm角、15cm長さのスギ生木辺材に対して同様に処理を行ったサンプルについて、15日間自然乾燥させた後、難燃性UL−94規格に準拠した難燃性テスト(以下、「難燃性テスト」とも云う。)を行ったところ、残炎が数秒以内で消失し、優れた自己消火性を示し、その評価結果は最高評価であるV−0を満足した。

0067

[実施例4]
表3に示した組成の液に、水分が25質量%となるよう追加して調製した含浸液を調製し、これを用いて40mmおよび20mm厚の通常のヒノキ材に減圧−浸漬−加圧含浸処理を行い、その後、ヒドラジンを含むホウ酸水溶液を用いて上記同様に表面近くの機能性付与処理剤の重合処理を行った。

0068

得られたサンプルは防腐機能をもった浴槽として使用できた。また床暖房用床材とし、冬季床暖房使用時にも乾燥割れは生じなかった。含浸剤に水分を含ませておくことは、重合硬化時に木質材料の変形を生じさせないための有効な手段である。同時に木質材料の水分調湿機能を維持させるための有効手段である。

実施例

0069

実施例3および4で得られたサンプルを空気の流入を断って400℃で加熱したところ、可燃性ガスを放出しながら炭化した。この可燃性ガス加熱熱源として使用すると、スタート時を除けば、熱源なしで炭化させることできる。生成した炭は、ガスバーナーの加熱によって、酸化消失することのない不燃炭であった。これは土壌改良剤として用いることが可能である上、不燃断熱材としてあるいは不燃建築材料原料としても使用できる。

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