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技術 工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法

出願人 日藤ポリゴン株式会社国立大学法人長岡技術科学大学
発明者 西原豪男田辺郁男
出願日 2014年10月23日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2014-216637
公開日 2016年5月19日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-083712
状態 未査定
技術分野 工作機械の補助装置 工作機械の機体
主要キーワード 剥離防止用 比較写真 プリストレス 振動減衰材 予備負荷 振動減衰能 マーク判定 充填形態
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月19日)のものです。
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図面 (12)

課題

機械的強度剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上させた工作機械振動減衰材構造体およびその製造方法を提供する。

解決手段

密実充填された骨材20・21・22の空隙に結合材23を充填して成形される工作機械の振動減衰材2において、骨材20・21・22は、粗骨材20を50〜70vol%と、粒径R2が粗骨材20の粒径R1の1/7以下である中骨材21を20〜28vol%と、粒径R3が粗骨材20の粒径R1の1/49以下である細骨材22を5〜15vol%と、を含有してなり、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22のうち少なくとも一種マグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる。

概要

背景

工作物を回転させて切削する旋盤や、工具を回転させて切削するフライス盤等の工作機械では、切削加工時に、びびり振動と呼ばれる不要な振動が発生する。びびり振動は、仕上げ面性状劣化による品質の低下たけでなく、工具の異常摩耗機械構造の破損等を引き起こす要因となることから、工作機械を用いた切削加工では、かかるびびり振動を制御・回避するための対処が要求されている。

一般的に「びびり振動」は、強制振動に起因する強制びびり、及び自励振動に起因する自励びびりに大別される。強制びびりは、工作機械・工具・工作物が振動しながら加工が行われることで発生する振動のことであり、加工方法切りくず生成の仕方といった加工自体が振動源となる力外乱型強制びびりと、工作機械の主軸振れ近接する機械の振動などの外部からの振動が振動源となる変位外乱型びびりとに分類される。一方、自励びびりは、切削過程における切削抵抗の変動で発生した振動が収束されない場合に発生する振動のことであり、切削抵抗の要因や機械構造系の振動特性の特徴の違いによって再生びびりと摩擦型びびりとに分類される。

従来、上述した工作機械で発生するびびり振動を抑制するための振動減衰材として、例えば、特許文献1に開示されるように、強度のあるセラミックス、鉄より低密度エンジニアリングプラスチック、及び軽量骨材等の骨材とともに熱硬化性樹脂からなる結合材充填して成形してなるレジンコンクリート製の構造体が提案されている。かかる振動減衰材によれば、振動減衰特性が高められるため、従来の鋼材に代えて工作機械の刃物台ベッド等として用いることで、上述したびびり振動の抑制が期待できる。

しかしながら、上述した特許文献1に開示される工作機械の振動減衰材では、レジンコンクリートの欠点として知られているように、鋼材等に比べて機械的強度剛性が劣るという問題があった。また、特許文献1において、機械的強度・剛性を担保するために公知の強度・剛性のある物質を骨材として用いることが好ましいことが開示されているが、通常、この種の材料では、複合材料コンポジット)としての振動減衰特性や機械的特性が骨材の選択や充填状態により左右されるところ、機械的特性とともに振動減衰特性を維持・向上するための他の骨材との組み合わせや、充填状態に影響する配合割合体積比率)等が考慮されておらず、改善の余地を充分に残したものとなっていた。

概要

機械的強度・剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上させた工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法を提供する。密実に充填された骨材20・21・22の空隙に結合材23を充填して成形される工作機械の振動減衰材2において、骨材20・21・22は、粗骨材20を50〜70vol%と、粒径R2が粗骨材20の粒径R1の1/7以下である中骨材21を20〜28vol%と、粒径R3が粗骨材20の粒径R1の1/49以下である細骨材22を5〜15vol%と、を含有してなり、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22のうち少なくとも一種マグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる。

目的

本発明では、工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法に関し、前記従来の課題を解決するもので、機械的強度・剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上させた工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

密実充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械振動減衰材において、前記骨材は、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種マグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなることを特徴とする工作機械の振動減衰材。

請求項2

前記粗骨材が焼成アルミナよりなる請求項1に記載の工作機械の振動減衰材。

請求項3

前記粗骨材及び細骨材が焼成アルミナよりなる請求項1に記載の工作機械の振動減衰材。

請求項4

請求項1乃至請求項3に記載の振動減衰材を用いた工作機械の構造体

請求項5

所定の工作機械に連結可能な形状に形成されるとともに、剥離防止用アンカーボルト突設された金属部材が設けられ、前記振動減衰材がアンカーボルトを介して前記金属部材と一体に成形される請求項4に記載の工作機械の構造体。

請求項6

密実に充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材の製造方法において、所定の成形型内に、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる骨材と、結合材と、を攪拌充填する攪拌充填工程と、前記成形型を加振する加振工程と、前記成形型を加圧した状態で前記結合材を硬化させる加圧硬化工程と、を有してなる工作機械の振動減衰材の製造方法。

請求項7

密実に充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材を用いた構造体の製造方法において、所定の工作機械に連結可能な形状に形成されるとともに、剥離防止用のアンカーボルトが突設された金属部材が設置された成形型内に、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる骨材と、結合材と、を攪拌充填する攪拌充填工程と、前記成形型を加振する加振工程と、前記成形型を加圧した状態で前記結合材を硬化させる加圧硬化工程と、を有してなる工作機械の構造体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、工作機械振動減衰材構造体およびその製造方法に関し、より詳細には、密実充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

工作物を回転させて切削する旋盤や、工具を回転させて切削するフライス盤等の工作機械では、切削加工時に、びびり振動と呼ばれる不要な振動が発生する。びびり振動は、仕上げ面性状劣化による品質の低下たけでなく、工具の異常摩耗機械構造の破損等を引き起こす要因となることから、工作機械を用いた切削加工では、かかるびびり振動を制御・回避するための対処が要求されている。

0003

一般的に「びびり振動」は、強制振動に起因する強制びびり、及び自励振動に起因する自励びびりに大別される。強制びびりは、工作機械・工具・工作物が振動しながら加工が行われることで発生する振動のことであり、加工方法切りくず生成の仕方といった加工自体が振動源となる力外乱型強制びびりと、工作機械の主軸振れ近接する機械の振動などの外部からの振動が振動源となる変位外乱型びびりとに分類される。一方、自励びびりは、切削過程における切削抵抗の変動で発生した振動が収束されない場合に発生する振動のことであり、切削抵抗の要因や機械構造系の振動特性の特徴の違いによって再生びびりと摩擦型びびりとに分類される。

0004

従来、上述した工作機械で発生するびびり振動を抑制するための振動減衰材として、例えば、特許文献1に開示されるように、強度のあるセラミックス、鉄より低密度エンジニアリングプラスチック、及び軽量骨材等の骨材とともに熱硬化性樹脂からなる結合材を充填して成形してなるレジンコンクリート製の構造体が提案されている。かかる振動減衰材によれば、振動減衰特性が高められるため、従来の鋼材に代えて工作機械の刃物台ベッド等として用いることで、上述したびびり振動の抑制が期待できる。

0005

しかしながら、上述した特許文献1に開示される工作機械の振動減衰材では、レジンコンクリートの欠点として知られているように、鋼材等に比べて機械的強度剛性が劣るという問題があった。また、特許文献1において、機械的強度・剛性を担保するために公知の強度・剛性のある物質を骨材として用いることが好ましいことが開示されているが、通常、この種の材料では、複合材料コンポジット)としての振動減衰特性や機械的特性が骨材の選択や充填状態により左右されるところ、機械的特性とともに振動減衰特性を維持・向上するための他の骨材との組み合わせや、充填状態に影響する配合割合体積比率)等が考慮されておらず、改善の余地を充分に残したものとなっていた。

先行技術

0006

特開平7−68403号公報

発明が解決しようとする課題

0007

そこで、本発明では、工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法に関し、前記従来の課題を解決するもので、機械的強度・剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上させた工作機械の振動減衰材、構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。

0009

すなわち、請求項1においては、密実に充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材において、前記骨材は、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種マグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなるものである。

0010

請求項2においては、前記粗骨材が焼成アルミナよりなるものである。

0011

請求項3においては、前記粗骨材及び細骨材が焼成アルミナよりなるものである。

0012

請求項4においては、請求項1乃至請求項3に記載の振動減衰材を用いた工作機械の構造体である。

0013

請求項5においては、所定の工作機械に連結可能な形状に形成されるとともに、剥離防止用アンカーボルト突設された金属部材が設けられ、前記振動減衰材がアンカーボルトを介して前記金属部材と一体に成形されるものである。

0014

請求項6においては、密実に充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材の製造方法において、所定の成形型内に、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる骨材と、結合材と、を攪拌充填する攪拌充填工程と、前記成形型を加振する加振工程と、前記成形型を加圧した状態で前記結合材を硬化させる加圧硬化工程と、を有してなるものである。

0015

請求項7においては、密実に充填された骨材の空隙に結合材を充填して成形される工作機械の振動減衰材を用いた構造体の製造方法において、所定の工作機械に連結可能な形状に形成されるとともに、剥離防止用のアンカーボルトが突設された金属部材が設置された成形型内に、粗骨材を50〜70vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/7以下である中骨材を20〜28vol%と、粒径が前記粗骨材の粒径の1/49以下である細骨材を5〜15vol%と、を含有してなり、前記粗骨材、中骨材、及び細骨材のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる骨材と、結合材と、を攪拌充填する攪拌充填工程と、前記成形型を加振する加振工程と、前記成形型を加圧した状態で前記結合材を硬化させる加圧硬化工程と、を有してなるものである。

発明の効果

0016

本発明の効果として、機械的強度・剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上できる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の一実施例に係る振動減衰材を用いた刃物台の斜視図である。
振動減衰材の充填状態を模式的に示した図である。
振動減衰材を用いた刃物台の製造方法を示すフローチャートである。
振動減衰材の密度を測定した結果を示した図である。
振動減衰材のヤング率を測定した結果を示した図である。
振動減衰材の減衰比を測定した結果を示した図である。
丸形チップによる切削加工後の表面粗さを測定した結果を示した図である。
丸形チップによる切削加工後のびびり振動発生率を測定した結果を示した図である。
シェービングチップによる切削加工後の表面粗さを測定した結果を示した図である。
シェービングチップによる切削加工後の加工面の写真である。
シェービングチップによる切削加工時の振動振幅を測定した結果を示した図である。

実施例

0018

次に、発明を実施するための形態を説明する。

0019

以下の実施例では、工作物を回転させて切削する旋盤や、工具を回転させて切削するフライス盤等の工作機械の構造体の一例として、本実施例の振動減衰材2を用いて刃物台1を構成した場合について説明している。ただし、後述するように、振動減衰材2を用いた工作機械の構造体としては刃物台1に限定されるものではない。

0020

<刃物台>
図1に示すように、刃物台1は、所定の工作機械に取り付けられ図示せぬ工具ホルダを固定可能に構成されており、具体的には、剥離防止用のアンカーボルト31・41が突設された金属部材3・4が設けられ、振動減衰材2がアンカーボルト31・41を介して金属部材3・4と一体に成形されて構成されている。振動減衰材2は、略直方体形状に形成され、振動減衰材2の上方(図1における上方向)の縁部に略コ字型に形成された鋼製の金属部材3が配設され、振動減衰材2の下方(図1における下方向)の対向する縁部に一対の鋼製の金属部材4・4が配設されている。

0021

金属部材3は、図示せぬ工具ホルダの固定部材として構成されており、金属本体30の長手方向に沿って凹設された取付溝30aに工具ホルダが横向きに取り付けられ、金属本体30の上辺穿設されたボルト孔30b・30b・・・を介して図示せぬボルト等の止金具により固定される。また、金属部材3は、金属本体30の一側面であって振動減衰材2との接合面にアンカーボルト31・31・・・が突設され、アンカーボルト31・31・・・が振動減衰材2に埋設されることで、振動減衰材2及び金属部材3の剥離を防止するように構成されている。

0022

金属部材4は、図示せぬ工作機械の往復台への取付部材として構成されており、刃物台1が設置された状態で、金属本体40の上辺に穿設されたボルト孔40a・40a・・を介して図示せぬボルト等の止金具により工作機械に取り付けられる。また、金属部材4も同様に、金属本体40の一側面であって振動減衰材2との接合面にアンカーボルト41・41・・・が突設され、アンカーボルト41・41・・・が振動減衰材2に埋設されることで、振動減衰材2及び金属部材4の剥離を防止するように構成されている。

0023

<振動減衰材>
振動減衰材2は、密実に充填された骨材20・21・22の空隙に結合材23を充填して成形された複合材料(コンポジット)として構成され、骨材20・21・22は、粗骨材20を50〜70vol%と、粒径R2が粗骨材20の粒径R1の1/7以下(R1>R2)である中骨材21を20〜28vol%と、粒径R3が粗骨材20の粒径R1の1/49以下(R1>R2>R3)である細骨材22を5〜15vol%と、を含有してなるものである。

0024

振動減衰材2は、骨材20・21・22及び結合材23が最充填状態となるように充填されており、各構成成分の体積比率は、次のように説明される。図2に示すように、まず、所定の容器10内に粒径R1の粗骨材20のみが充填された状態では、容器10内のほぼ60vol%が粗骨材20にて充填される(図2(a)参照)。このときの充填形態は、斜方晶充填となる。この段階で、容器10内の粗骨材20の空間部は40(=100−60)vol%である。

0025

次いで、粗骨材20間に中骨材21が充填された状態では、粒径R2が粗骨材20の粒径R1の1/7以下の中骨材21が粗骨材20間の隙間をすり抜けて、空間部のほぼ24(=40×0.6)vol%に充填される(図2(b)参照)。このとき、中骨材21の充填形態も斜方晶充填となる。この段階で、容器10内の粗骨材20及び中骨材21の空間部は16(=100−60−24)vol%である。

0026

次いで、粗骨材20及び中骨材21間に細骨材22が充填された状態では、粒径R3が粗骨材20の粒径R1の1/49以下の細骨材22が粗骨材20及び中骨材21間の隙間をすり抜けて、空間部のほぼ10(=16×0.6)vol%に充填される(図2(c)参照)。細骨材22の充填形態も斜方晶充填となる。そして、最後に、粗骨材20、中骨材21及び細骨材22の間の空間部6(=100−60−24−10)vol%に結合材23が充填される(図2(d)参照)。

0027

このように、骨材20・21・22及び結合材23が密実に充填された状態での各構成成分の体積比率の理論値は、粗骨材20が60vol%、中骨材21が24vol%、細骨材22が10vol%、及び結合材23が6vol%となる。ただし、実際の成形では、骨材20・21・22の形状や表面状態、及び結合材23の粘性等の影響を受けて最充填状態が変化するため、振動減衰材2としては、粗骨材20が50〜70vol%、中骨材21が20〜28vol%、及び細骨材22が5〜15vol%となるように配合されるのが好ましい。結合材23の配合量は、骨材20・21・22の配合量に併せて余剰の空間部に充填されるように適宜調整される。

0028

骨材の種類としては、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなるものであり、好ましくは粗骨材20が焼成アルミナよりなり、より好ましくは粗骨材20及び細骨材22が焼成アルミナよりなるものである。振動減衰材2では、骨材の構成成分として焼成アルミナとともにマグネシウムを用いることで、マグネシウムにて所望の振動減衰特性を達成し、焼成アルミナで所望の機械的強度・剛性を達成するものである。

0029

焼成アルミナ及びマグネシウムは、実用金属の中でも比較的軽量で強度・剛性に優れた材料であり、特に、マグネシウムは、焼成アルミナに比べてヤ減衰比が大きく優れた振動減衰特性を有している。表1には、本実施例で用いる焼成アルミナ及びマグネシウムとともに、工作機械の構造体等として一般的に用いられる材料の機械的特性(物性データ)を示す。

0030

0031

結合材23の種類としては、エポキシ樹脂フェノール樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が用いられる。

0032

振動減衰材2の構成成分の一例として、例えば、焼成アルミナよりなる粗骨材20、マグネシウムよりなる中骨材21、及び焼成アルミナよりなる細骨材22をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材と結合材23(エポキシ樹脂等)で構成した場合には、焼成アルミナ(粗骨材20・細骨材22)が機械的強度・剛性のある構造体としての機能とともに、マグネシウム(中骨材21)が振動減衰特性の機能をバランスさせた振動減衰材2とすることができる。

0033

また、例えば、焼成アルミナよりなる粗骨材20、マグネシウムよりなる中骨材21、及びマグネシウムよりなる細骨材22をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材と結合材23(エポキシ樹脂等)で構成した場合には、マグネシウム(中骨材21・細骨材22)にて所定の機械的強度・剛性を保持しつつ、上記と比べてより優れた振動減衰特性を発揮する振動減衰材2とすることができる。

0034

また、例えば、マグネシウムよりなる粗骨材20、焼成アルミナよりなる中骨材21、及び焼成アルミナよりなる細骨材22をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材と結合材23(エポキシ樹脂等)で構成した場合には、機械的強度・剛性が抑制されるものの、さらに優れた振動減衰特性を発揮する振動減衰材2とすることができる。なお、かかる場合には、機械的強度・剛性が制限されるために、機械的強度・剛性が要求される構造体(例えば間座敷板等)として用いるには不向きである。

0035

<刃物台の製造方法>
図3に示すように、振動減衰材2を用いた刃物台1の製造方法としては、所定の工作機械に連結可能な形状に形成されるとともに、剥離防止用のアンカーボルト31・41が突設された金属部材3・4が設置された図示せぬ成形型内に、粗骨材20を50〜70vol%と、中骨材21を20〜28vol%と、細骨材22を5〜15vol%と、を含有してなり、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなる骨材と、結合材23と、を攪拌充填する攪拌充填工程S100と、成形型を加振する加振工程S101と、成形型を加圧した状態で結合材23を硬化させる加圧硬化工程S102等とを有してなるものである。

0036

攪拌充填工程S100では、まず、成形型内に刃物台1を構成する金属部材3・4を所定位置に配置する。金属部材3・4の配置は、振動減衰材2に対する相対位置となるように予め位置決めされる。成形型は、木型石膏型等の材質より形成され、金属部材3・4が配置された状態で、残りの空間部に骨材20・21・22及び結合材23が充填されることで、金属部材3・4が一体に成形された所定形状の振動減衰材2が得られるように構成される。次いで、所定の体積比率となるように骨材20・21・22及び結合材23を調製し、予め別所にて攪拌した後に、上述した成形型に供給して充填する。

0037

加振工程S101では、加振器を用いて骨材20・21・22及び結合材23が攪拌充填された成形型を加振する。このように結合材23が硬化する前に成形型を加振することで、骨材20・21・22及び結合材23に含まれる空気を除外するとともに、瞬間的に骨材20・21・22間に間隙を生じさせ、そこに結合材23を充填させることができ、結合材23を満遍なく充填させて成形型内での骨材20・21・22及び結合材23の充填密度を高めることができる。

0038

加圧硬化工程S102では、成形型内に充填された骨材20・21・22及び結合材23にプリストレス予備負荷)を付与して加圧した状態で、結合材23を硬化させる。加圧状態で結合材23を硬化させることで、粗骨材20間に介在する結合材23(の膜)を薄くして、振動減衰材2の機械的強度を向上できる。このようにして、振動減衰材2がアンカーボルト31・41を介して金属部材3・4と一体に成形された刃物台1が得られる。

0039

なお、振動減衰材2又は振動減衰材2を用いた他の構造体(間座や敷板等)の製造方法としては、上述した刃物台1の製造方法に即して、例えば、成形型内に他の金属部材を設置するか、又は他の金属部材を設置しないで振動減衰材2の構成成分を充填して成形すればよい。

0040

<振動減衰材の機械的特性の測定>
焼成アルミナ及びマグネシウムよりなる骨材(粗骨材・中骨材・細骨材)及び結合材を用いて振動減衰材を成形して、密度、ヤング率、及び減衰比の機械的特性(物性データ)を測定した。

0041

測定に用いた振動減衰材は、表2に示した焼成アルミナ及びマグネシウムよりなる骨材(粗骨材・中骨材・細骨材)を、粗骨材が60vol%、中骨材が24vol%、細骨材が10vol%、及び結合材(エポキシ樹脂)が6vol%となるように配合したものを、所定の成形型に攪拌充填し、加振後に加圧硬化させて各試料を成形した(実施例:試料No.1〜3)。同様に、表2に示した各材料を用いて比較用の各試料を成形した(比較例:試料No.4〜15)。

0042

得られた各試料について密度、ヤング率、及び減衰比の物性データを測定し、その結果を表2に示している。また、図4乃至図6は、密度、ヤング率、及び減衰比のそれぞれの測定値が上位(10つ)の試料を順に示したものである。

0043

0044

このように、焼成アルミナよりなる粗骨材、マグネシウムよりなる中骨材、及び焼成アルミナよりなる細骨材をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材を用いた場合(試料No.3)には、機械的特性と振動減衰特性に優れたバランスのよい振動減衰材とすることができる。

0045

また、焼成アルミナよりなる粗骨材、マグネシウムよりなる中骨材、及びマグネシウムよりなる細骨材をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材を用いた場合(試料No.2)には、上記の場合(試料No.3)と比べて振動減衰特性に優れ、マグネシウムよりなる粗骨材、焼成アルミナよりなる中骨材、及び焼成アルミナよりなる細骨材をそれぞれ所定体積比率で含有させた骨材を用いた場合(試料No.1)には、上記の場合(試料No.3等)と比べて、機械的強度・剛性が抑制されるものの、さらに優れた振動減衰特性を発揮させることができる。

0046

<実切削による有効性評価1>
振動減衰材を用いた刃物台を成形し、工作機械(NC旋盤)での丸形チップによる中仕上げ切削を行ってびびり振動抑制効果を評価した。丸形チップは、ノーズ半径が大きいため良い表面粗さが得られ、また刃先強度が大きいことから中重切削に適用されているが、切込み量の増加に伴って工具の切削幅が大きくなるため、びびり振動を発生し易いという特徴がある。

0047

測定に用いた刃物台は、振動減衰材の構成成分として焼成アルミナよりなる粗骨材を60vol%、マグネシウムよりなる中骨材を24vol%、及び焼成アルミナよりなる細骨材を10vol%、及び結合材(エポキシ樹脂)が6vol%となるように配合し(表2の試料No.3を参照)、かかる材料を所定形状の金属部材が予め設置された所定の成形型に攪拌充填し、加振後に加圧硬化させて、振動減衰材と金属部材とが一体に成形された試料を得た(実施例)。また、比較用として、従来の鋼製の刃物台を使用した(比較例)。

0048

評価方法は、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)及び従来の鋼製の刃物台(比較例)を用いて、表3に示す切削条件で切込み量を変化させて切削を行い(5回)、その際の表面粗さ、及びびびり振動発生率を測定した。この「びびり振動発生率」とは、切削を行った際に発生するびびり振動の割合(%)を表したものである。びびり振動の発生の判定は、加工中の聴覚判定及び加工終了後の加工面のマーク判定の両方で評価した。

0049

0050

図7は、所定の切込み量における表面粗さの測定結果であり、図8は、びびり振動発生率の測定結果である。振動減衰材を用いた刃物台(実施例)では、従来の刃物台(比較例)と比べて表面粗さが改善され、切込み量が0.8mm及び1.0mmの場合にびびり振動の発生が抑制された。なお、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)において、切込み量が1.5mmの場合にびびり振動の抑制が見られないのは、工具と工作物との接触長さが長くなったためと考えられる。このように、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)を使用することで、工具の切削幅が大きい丸形チップでの中仕上げ切削において、びびり振動の発生を遅らせることができ、広範囲の切削条件で正常な加工が可能であることが確認された。

0051

<実切削による有効性評価2>
次に、振動減衰材を用いた刃物台を成形し、工作機械(NC旋盤)でのシェービングチップによる円筒外周の仕上げ切削を行って加工面の表面粗さを比較してその効果を評価した。シェービングチップは、ノーズ半径が非常に大きく(本実験では300mm)、極めて高品位な加工面を得ることができる一方で、工具の切削幅が大きくなるため、びびり振動が発生し易いとう特徴がある。

0052

また、シェービングチップは、工具の切れ刃送り方向に平行ではなくある角度(45度)に傾いた状態で取り付けて加工するため、次の式(1)に示すように、ノーズ半径の代わりに工作物の半径が表面粗さの決定因子の一つとなるのが特徴である。なお、式(1)において、Ryは最大高さ(μm)、Raは算術平均粗さ(μm)、Fは送り速度(mm/rev)、rは工作物半径(mm)、θは切れ刃と送り方向のなす角度(rad)である。

0053

0054

測定に用いた刃物台は、振動減衰材の構成成分として焼成アルミナよりなる粗骨材を60vol%、マグネシウムよりなる中骨材を24vol%、及び焼成アルミナよりなる細骨材を10vol%、及び結合材(エポキシ樹脂)が6vol%となるように配合し(表2の試料No.3を参照)、かかる材料を所定形状の金属部材が予め設置された所定の成形型に攪拌充填し、加振後に加圧硬化させて、振動減衰材と金属部材とが一体に成形された試料を得た(実施例)。また、比較用として、従来の鋼製の刃物台を使用した(比較例)。

0055

評価方法は、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)及び従来の鋼製の刃物台(比較例)を用いて、表4に示す切削条件で送り速度を変化させて切削(5回づつ)を行い、その際の表面粗さを測定した。

0056

0057

図9は、所定の送り速度における表面粗さの測定結果であり、図10は、加工面の比較写真である。従来の鋼製の刃物台(比較例)では表面粗さRaが2.4μm程度であったのに対し、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)では、表面粗さRaが1.6μm(上仕上げ)よりも小さくすることができ、高品位な表面粗さを得ることができることを確認した。

0058

また、図11は、切削時(送り速度0.05mm/rev)の振動振幅を測定した結果である。これは、加速度ピックアップシャンク末端のX方向に取り付けて、表面粗さに最も影響があると考えられる切込み方向の振動を測定したものである。なお、ピーク強度は、シェービング加工時の振動から切削を行わずに送りをかけただけの振動を引いた相対変位として示されている。この結果は、振動減衰材を用いた刃物台(実施例)の方が20〜30Hz付近のピーク強度が小さくなっており、この差が加工面の表面粗さの測定結果に影響していることを示している。

0059

以上のように、本実施例の振動減衰材2は、密実に充填された骨材20・21・22の空隙に結合材23を充填して成形される工作機械の振動減衰材2において、骨材20・21・22は、粗骨材20を50〜70vol%と、粒径R2が粗骨材20の粒径R1の1/7以下である中骨材21を20〜28vol%と、粒径R3が粗骨材20の粒径R1の1/49以下である細骨材22を5〜15vol%と、を含有してなり、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22のうち少なくとも一種がマグネシウムよりなり、その他が焼成アルミナよりなるため、機械的強度・剛性に優れ、びびり振動を抑制して加工精度を向上できるのである。

0060

すなわち、本実施例の振動減衰材2によれば、粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22として焼成アルミナ及びマグネシウムを含有し、所定の粒径の粗骨材20、中骨材21、及び細骨材22とすることで骨材が最充填された複合材料(コンポジット)とすることができる。そのため、骨材の構成成分として焼成アルミナとともにマグネシウムが勧誘されることで、マグネシウムにて所望の振動減衰特性を達成し、焼成アルミナで所望の機械的強度・剛性を達成して、機械的特性及び振動減衰特性を高めることができ、振動減衰材2を用いた構造材(刃物台1)において振動減衰能を発揮することでびびり振動の発生が抑制され、加工精度の向上による高品位・高付加価値の加工が可能となる。

0061

なお、振動減衰材2、振動減衰材2を用いた構造体およびその製造方法としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。

0062

すなわち、上述した実施例では、振動減衰材2を用いた構造体として刃物台1を構成する場合について説明したが、かかる構造体としてはこれに限定されず、振動減衰材2の機械的特性を考慮しながら、例えば、振動減衰材2を用いて間座や敷板として構成するようにしてもよい。

0063

また、上述した実施例の振動減衰材2及び刃物台1の製造方法では、攪拌充填工程(図3参照)において成形型に振動減衰材2の構成材料を充填する際に、予め別所にて攪拌した後に充填するものであるが、成形型への充填方法はこれに限定されず、例えば、成形型を加振させた状態で粗骨材20→中骨材21→粗骨材22→結合材23を順に充填するようにしてもよい。また、結合材23の充填後に真空ポンプ等で成形型を減圧するようにしてもよい。

0064

1刃物台
2振動減衰材
3金属部材
4 金属部材
20粗骨材
21中骨材
22細骨材
23結合材
30 金属本体
31アンカーボルト
40 金属本体
41 アンカーボルト

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