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技術 検出装置、電力供給システム及び検出方法

出願人 公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者 赤木雅陽今村英樹
出願日 2014年10月16日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2014-211812
公開日 2016年5月16日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-080503
状態 特許登録済
技術分野 短絡、断線、漏洩,誤接続の試験 電流・電圧の測定 電気的特性試験と電気的故障の検出 ガス絶縁開閉装置 避雷器
主要キーワード ロゴウスキーコイル 故障頻度 静電容量分 奇数次高調波成分 全漏れ電流 閾電圧値 抵抗分電流 設備運転
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図面 (9)

課題

避雷器劣化を精度よく検出可能な検出装置を提供する。

解決手段

検出装置30は、非線形抵抗素子200に流れる電流の大きさと、当該電流に含まれる各周波数成分との両方に比例した強度の検出信号出力可能電流検出センサ300と、当該検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する周波数分取得部311と、取得された高調波成分ごとの強度に基づいて、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れているか否かを判定する漏れ電流判定部312と、を備えている。

概要

背景

変電所では、変圧器避雷器等を用いて電力を供給している。このうち避雷器の故障頻度は少ないが、故障した場合の阻害度合いが非常に大きいため、避雷器の新たな劣化管理手法が求められている。
一般に、避雷器の特性は、(1)絶縁抵抗、(2)動作開始電圧(例えば、漏れ電流1mA発生時の印加電圧値)、(3)抵抗分漏れ電流測定、のうちいずれか1つ以上の測定手法で管理する。ここで、直流1500Vの鉄道用及び高圧配電線用の避雷器は(1)と(2)が、特別高圧用の避雷器は(3)の手法が主に適用されている。
ところで、設備運転中の避雷器における全漏れ電流は、そもそも0.5〜1.0mA以下の微弱電流であることが多く、かつ、その中に含まれる抵抗分電流、即ち、避雷器の劣化に起因して生じる電流成分は、直接測定することが容易ではない。このような課題を受けて、設備運転中の全漏れ電流測定値から抵抗分漏れ電流を演算する種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

避雷器の劣化を精度よく検出可能な検出装置を提供する。検出装置30は、非線形抵抗素子200に流れる電流の大きさと、当該電流に含まれる各周波数成分との両方に比例した強度の検出信号出力可能電流検出センサ300と、当該検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する周波数分取得部311と、取得された高調波成分ごとの強度に基づいて、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れているか否かを判定する漏れ電流判定部312と、を備えている。

目的

この発明の目的は、避雷器の劣化を精度よく検出することができる検出装置、電力供給システム及び検出方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を検出する検出装置であって、前記非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を含む全漏れ電流の大きさと、当該全漏れ電流に含まれる各周波数成分との両方に比例した強度の検出信号出力可能電流検出センサと、前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する周波数分取得部と、取得された前記高調波成分ごとの強度に基づいて、前記非線形抵抗素子に漏れ電流が流れているか否かを判定する漏れ電流判定部と、を備える検出装置。

請求項2

前記漏れ電流判定部は、前記高調波成分ごとの強度のうち少なくとも一つの高調波成分が、予め規定された判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する請求項1に記載の検出装置。

請求項3

前記漏れ電流判定部は、所定数以上の複数の前記高調波成分の強度が前記判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する請求項2に記載の検出装置。

請求項4

前記漏れ電流判定部は、奇数次の高調波成分のうち所定数以上連続する複数の前記高調波成分の強度が、前記判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する請求項3に記載の検出装置。

請求項5

前記漏れ電流判定部は、前記判定閾値を、前記検出信号の基本波成分の強度とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の検出装置。

請求項6

前記電流検出センサは、前記全漏れ電流が流れる接地線囲うように取り付けられたコイルであって、前記周波数成分取得部は、当該コイルに励起される電圧である前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する請求項1から請求項5の何れか一項に記載の検出装置。

請求項7

請求項1から請求項6の何れか一項に記載の検出装置と、前記非線形抵抗素子を有する避雷器と、交流電圧印加された架線と、を備える電力供給システム

請求項8

非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を検出するための検出方法であって、前記非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を含む全漏れ電流の大きさと、当該全漏れ電流に含まれる各周波数成分との両方に比例した強度の検出信号を出力するステップと、前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得するステップと、取得された前記高調波成分ごとの強度に基づいて、前記非線形抵抗素子に漏れ電流が流れているか否かを判定するステップと、を有する検出方法。

技術分野

0001

本発明は、検出装置電力供給システム及び検出方法に関する。

背景技術

0002

変電所では、変圧器避雷器等を用いて電力を供給している。このうち避雷器の故障頻度は少ないが、故障した場合の阻害度合いが非常に大きいため、避雷器の新たな劣化管理手法が求められている。
一般に、避雷器の特性は、(1)絶縁抵抗、(2)動作開始電圧(例えば、漏れ電流1mA発生時の印加電圧値)、(3)抵抗分漏れ電流測定、のうちいずれか1つ以上の測定手法で管理する。ここで、直流1500Vの鉄道用及び高圧配電線用の避雷器は(1)と(2)が、特別高圧用の避雷器は(3)の手法が主に適用されている。
ところで、設備運転中の避雷器における全漏れ電流は、そもそも0.5〜1.0mA以下の微弱電流であることが多く、かつ、その中に含まれる抵抗分電流、即ち、避雷器の劣化に起因して生じる電流成分は、直接測定することが容易ではない。このような課題を受けて、設備運転中の全漏れ電流測定値から抵抗分漏れ電流を演算する種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2000−321318号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、故障の兆候となる漏れ電流は微弱であるため、電力供給システムの電力系統自体に重畳する高調波成分ノイズ)、及び、避雷器に付加される寄生容量によって流れる電流成分(静電容量分電流)が大きい場合、精度よく検出することが困難であった。

0005

以上のような課題に鑑みて、この発明の目的は、避雷器の劣化を精度よく検出することができる検出装置、電力供給システム及び検出方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一態様は、非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を検出する検出装置であって、前記非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を含む全漏れ電流の大きさと、当該全漏れ電流に含まれる各周波数成分との両方に比例した強度の検出信号出力可能電流検出センサと、前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する周波数分取得部と、取得された前記高調波成分ごとの強度に基づいて、前記非線形抵抗素子に漏れ電流が流れているか否かを判定する漏れ電流判定部と、を備える検出装置である。

0007

また、本発明の一態様は、上述の検出装置において、前記漏れ電流判定部が、前記高調波成分ごとの強度のうち少なくとも一つの高調波成分が、予め規定された判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する。

0008

また、本発明の一態様は、上述の検出装置において、前記漏れ電流判定部が、所定数以上の複数の前記高調波成分の強度が前記判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する。

0009

また、本発明の一態様は、上述の検出装置において、前記漏れ電流判定部が、奇数次の高調波成分のうち所定数以上連続する複数の前記高調波成分の強度が、前記判定閾値を上回った場合に、前記漏れ電流が流れていると判定する。

0010

また、本発明の一態様は、上述の検出装置において、前記漏れ電流判定部が、前記判定閾値を、前記検出信号の基本波成分の強度とする。

0011

また、本発明の一態様は、上述の検出装置において、前記電流検出センサが、前記全漏れ電流が流れる接地線囲うように取り付けられたコイルであって、前記周波数成分取得部が、当該コイルに励起される電圧である前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得する。

0012

また、本発明の一態様は、上述の検出装置と、前記非線形抵抗素子を有する避雷器と、交流電圧印加された架線と、を備える電力供給システムである。

0013

また、本発明の一態様は、非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を検出するための検出方法であって、前記非線形抵抗素子に流れる漏れ電流を含む全漏れ電流の大きさと、当該全漏れ電流の周波数と、の両方に比例した強度の検出信号を出力するステップと、前記検出信号の高調波成分ごとの強度を取得するステップと、取得された前記高調波成分ごとの強度に基づいて、前記非線形抵抗素子に漏れ電流が流れているか否かを判定するステップと、を有する検出方法である。

発明の効果

0014

上述の検出装置、電力供給システム及び検出方法によれば、避雷器の劣化を精度よく検出することができる。

図面の簡単な説明

0015

第1の実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示す図である。
第1の実施形態に係る避雷器に生じる漏れ電流を説明する図である。
第1の実施形態に係る避雷器に生じる漏れ電流の周波成分ごとの強度を示す図である。
第1の実施形態に係る避雷器における寄生容量の影響を説明する図である。
第1の実施形態に係る電流検出センサの機能を説明する図である。
第1の実施形態に係る漏れ電流判定部の機能を説明する図である。
第1の実施形態の変形例に係る漏れ電流判定部の機能を説明する図である。
第1の実施形態に係る検出装置の設置例を示す図である。

実施例

0016

<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る電力伝送システム及び検出装置について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示す図である。
図1に示す電力伝送システム1は、路線に沿って走行する鉄道車両に電力を供給する設備である。図1に示すように、電力伝送システム1は、架線10と、避雷器20と、検出装置30と、を備えている。
架線10は、別途設置された変電所(図示せず)により交流電圧(以下、架線電圧とも記載する)が印加される。架線10は、鉄道車両に当該交流電圧を印加することで電力を供給する。なお、本実施形態において、架線10は、実効値が例えば3万ボルト程度と、比較的高い交流電圧が印加される。また、交流電圧の周波数は、例えば60Hz(又は50Hz)とされる。
避雷器20は、架線10と接地点Gとの間に電気的に接続される。避雷器20は、非線形な特性を有する非線形抵抗素子200(後述)を内部に有する。これにより、避雷器20は、変電所より架線10に印加される交流電圧に対しては絶縁状態を維持し、他方、落雷等によって生じる高いサージ電圧に対しては低抵抗短絡)状態となって電荷を接地点G(グラウンド)に放電する。これにより、避雷器20は、落雷等による設備の破損、故障を防止する。
検出装置30は、避雷器20の健全性を評価するために用いられる装置である。避雷器20(非線形抵抗素子200)の絶縁特性が劣化すると、通常の架線電圧により非線形抵抗素子200に電流が流れ始め、最終的に架線10と接地点Gとを短絡する。そうすると、漏電による装置の破損等、電力系統全体に不具合が生じ得る。検出装置30は、避雷器20を通じて架線10から接地点Gに流れる漏れ電流(全漏れ電流Io)を検出し、これを分析することで避雷器20の健全性(絶縁特性が劣化していないか否か)を事前に判断する。

0017

図1に示すように、避雷器20は、内部に非線形抵抗素子200を備えている。本実施形態において、非線形抵抗素子200は、酸化亜鉛からなる抵抗素子であり、所定の電圧閾値以上の電圧が印加された場合にのみ電流が流れる非線形特性を有する。非線形抵抗素子200は、通常、がいし等に収納され保護されている。このような構造上、避雷器20は、寄生容量201(浮遊容量ともいう)が電気的に付加されている。電気回路上、寄生容量201は、非線形抵抗素子200に並列に接続されているものとみなすことができる(図1参照)。

0018

非線形抵抗素子200に流れる電流成分を抵抗分電流Ir、寄生容量201を流れる電流成分を静電容量分電流Icとすると、接地線gを流れる電流(全漏れ電流Io)は、抵抗分電流Irと静電容量分電流Icのベクトルを合成した電流(Io=Ir+Ic)となる。即ち、全漏れ電流Ioは、常に、抵抗分電流Irに静電容量分電流Icが重畳したものとして観測される。ここで、非線形抵抗素子200の劣化の有無の判断には、抵抗分電流Irを分析する必要があるが、寄生容量201が存在するためにこれを直接計測することは困難である。そこで、抵抗分電流Irに基づいて非線形抵抗素子200の健全性を評価するためには、観測した全漏れ電流Ioから抵抗分電流Irの成分のみを切り出して判断する必要がある。

0019

検出装置30は、電流検出センサ300と、本体部310と、を有している。
本実施形態において、電流検出センサ300は、避雷器20と接地点Gとを接続する接地線gを囲うように取り付けられた電流検出用のコイルである。コイルである電流検出センサ300は、接地線gを流れる電流(全漏れ電流Io)に応じて励起される誘導電圧を検出信号として出力する。本実施形態において、電流検出センサ300は、例えば、外乱の影響を受けにくく、接地線gを流れる電流を精度よく検出可能なロゴウスキーコイルで構成される。

0020

本実施形態に係る本体部310は、内部にCPU(Central Processing Unit)を有する汎用計算機である。本体部310が有するCPUは、専用のプログラムを読み込むことで、周波数成分取得部311及び漏れ電流判定部312としての機能を発揮する。
周波数成分取得部311は、電流検出センサ300を通じて入力された検出信号に対し、フーリエ変換処理を実施して、当該検出信号の基本波成分及び高調波成分ごとの強度を取得する。
漏れ電流判定部312は、周波数成分取得部311によって取得された高調波成分ごとの強度と、予め規定された判定閾値と、に基づいて、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れているか否かを判定する。

0021

図2は、第1の実施形態に係る避雷器に生じる漏れ電流を説明する図である。
図2に示すグラフは、避雷器20に印加する給与電圧(架線10に印加される交流電圧)の一周期に相当する期間を横軸に、当該給与電圧[V]及び非線形抵抗素子200に流れる抵抗分電流Ir[A]を縦軸に表している。なお、図2に示すグラフでは、本提案手法の検討例として、低圧回路用避雷器を用いている。

0022

ここで、非線形抵抗素子200の絶縁特性が劣化していない場合、±100V程度の給与電圧が印加されたとしても非線形抵抗素子200に電流は流れないはずである(抵抗分電流Irは常にゼロ)。しかしながら、非線形抵抗素子200は、絶縁特性の劣化が進行すると、絶縁状態が維持される電圧閾値が低下する。そうすると、図2に示すように、給与電圧がピークとなるタイミングで、パルス状の漏れ電流が流れる。このような漏れ電流は、給与電圧のピーク時において、当該給与電圧が非線形抵抗素子200の閾電圧値を瞬間的に上回ることで生じる。図2に示す例では、抵抗分電流Irは、給与電圧の半周期ごとに、その1/5〜1/7周期に相当する時間幅パルス波が発生している。

0023

図3は、第1の実施形態に係る避雷器に生じる漏れ電流の周波成分ごとの強度を示す図である。
図3に示すグラフは、図2に示す抵抗分電流Irの、周波数成分(基本波及び高調波次数)ごとの強度(フーリエ係数)を示している。ここで、図2に示す抵抗分電流Irを、給与電圧の半周期ごとに、1/6周期に相当する期間で正負方向にサイン波形が交互に突出する波形とみなす。そうすると、当該抵抗分電流Irは、図3に示すように、3次〜15次における高調波成分が比較的大きい強度で分布していることがわかる。具体的には、抵抗分電流Ir(図2)は、3次から5次程度までの高調波は基本波とほぼ同等の強度を有し、更に、高次になるにつれなだらかに低下する傾向を示している。
なお、図3は、対比例として、矩形波の周波数成分ごとの強度を合わせて示している。このように、図2に示す抵抗分電流Irの波形は、矩形波と比較して、複数の高調波成分が占める割合が大きいことが分かる。

0024

図4は、第1の実施形態に係る避雷器における寄生容量の影響を説明する図である。
以下、図1及び図4(a)〜(d)を参照しながら、避雷器20に重畳する寄生容量201の影響について説明する。
図4(a)〜(d)に示すグラフは、それぞれ、架線10に印加される給与電圧、静電容量分電流Ic、抵抗分電流Ir及び全漏れ電流Ioの時間変化の例を示している。なお、この例において、架線10に印加される給与電圧は、図4(a)に示すような基本波に加え、当該架線10を含む電力系統固有の高調波成分(ノイズ成分)が重畳している(高調波成分が微小のため、図4(a)に示すグラフには現れない)。この高調波成分は、高い周波数を有する信号であるため、寄生容量201を通過しやすい。したがって、静電容量分電流Icは、図4(b)に示すように、基本波よりも高い周波数で振動する高調波成分が重畳された波形となる。

0025

一方、非線形抵抗素子200の絶縁特性が劣化している場合、図2及び図4(c)に示すように、抵抗分電流Irは、給与電圧の半周期ごとに、正負方向に交互にサイン波が突出する波形となる。
上より、実際に観測可能な全漏れ電流Ioは、図4(d)に示すように、電力系統固有のノイズ(静電容量分電流Ic)と非線形抵抗素子200の劣化に起因して生じる電流(抵抗分電流Ir)との合成電流となる。

0026

このように、避雷器20は、寄生容量201が電気的に付加されているため、全漏れ電流Ioに電力系統固有のノイズ成分(静電容量分電流Ic)が乗ってしまい、本来観測したい抵抗分電流Irが埋もれてしまう。したがって、通常の分析では、抵抗分電流Irに基づいて非線形抵抗素子200の劣化を検出することが困難となる。

0027

図5は、第1の実施形態に係る電流検出センサの機能を説明する図である。
第1の実施形態に係る電流検出センサ300は、非線形抵抗素子200に流れる漏れ電流(抵抗分電流Ir)を含む全漏れ電流Ioの大きさと、当該全漏れ電流Ioの周波数と、の両方に比例した強度の検出信号を出力可能とする。
一般に、観測対象とする電流が流れる配線の周囲を囲うように配されたコイル(本実施形態の場合、ロゴウスキーコイルである電流検出センサ300)に励起される電圧(励起電圧V)は、式(1)に示すように、観測対象とする電流の微分値を示している。

0028

0029

なお、式(1)において、ωは交流電流角周波数であり周波数fに比例する値(ω=2πf)、Iは交流電流の振幅、Lはコイルの自己インダクタンスである。
したがって、通常は、上記コイルにより直接観測された励起電圧Vを積分回路に入力して積分することで、観測対象とする電流値を得ることができる。しかしながら、本実施形態においては、あえて積分回路を用いず、ロゴウスキーコイル(電流検出センサ300)に励起された励起電圧Vを直接本体部310に取り込んで処理する。このようにすることで、本体部310は、電流検出センサ300を通じて、電流の大きさと、当該電流の周波数と、の両方に比例した強度で出力される検出信号を取得する(式(1)参照)。

0030

周波数成分取得部311は、電流検出センサ300から出力された検出信号(全漏れ電流Ioの大きさと、当該全漏れ電流Ioの周波数と、の両方に比例した励起電圧信号)に対し、フーリエ変換処理(あるいはバンドパスフィルタ処理)を実施して、周波数成分ごとの強度を取得する。

0031

図5に示すグラフは、周波数成分取得部311のフーリエ変換処理によって得られた、電流検出センサ300から出力された検出信号の周波数成分ごとの強度である。図5に示すように、電流及びその周波数の両方に比例する検出信号は、1次(基本波)から高次になるに連れ一旦上昇してから下降するように推移する。
ここで、図3に示したように、非線形抵抗素子200が劣化している場合における抵抗分電流Irは、3次から15次程度までの高調波成分を比較的多く含んでいる。また、電流検出センサ300は、電流及びその周波数の両方に比例して大きくなる検出信号を出力している。よって、当該電流検出センサ300によって得られた検出信号は、図5に示すように、次数が高い高調波成分ほど強度が強調されて、山なりの軌跡を描くように推移する強度分布となる。

0032

図6は、第1の実施形態に係る漏れ電流判定部の機能を説明する図である。
図6(a)、(b)は、電流検出センサ300より出力された検出信号の周波数成分の算出結果(含有量mV])を示している。図6(a)に示すグラフは、非線形抵抗素子200が劣化していない場合における算出結果の例を示している。また、図6(b)に示すグラフは、非線形抵抗素子200が劣化している場合における算出結果の例を示している。

0033

非線形抵抗素子200が劣化していない場合、抵抗分電流Irはゼロとなるが、寄生容量201を通じて伝搬する電力系統のノイズ成分(静電領分電流Ic)が観測されるため、図6(a)に示すように、いくつかの高調波成分(21次〜25次高調波成分等)が判定閾値(=1mV)を上回る検出結果となる。
ここで、本実施形態に係る漏れ電流判定部312は、例えば、10個以上連続する奇数次の高調波成分が判定閾値(=1mV)を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定する。したがって、図6(a)に示すような検出結果が得られたとしても、漏れ電流判定部312は、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れているとは判定しない。

0034

一方、非線形抵抗素子200が劣化している場合、抵抗分電流Irは、図2に示すようなパルス状の波形となって流れる。そうすると、図6(b)に示すように、3次から43次までの高調波成分に渡って判定閾値(=1mV)を上回る検出結果となる。これは、非線形抵抗素子200が劣化している場合に流れる抵抗分電流Irが、連続する複数の高調波成分を含んでいること(図3参照)と、電流検出センサ300が、高次の高調波成分ほど強調して検出していること(図5参照)に起因する。
図6(b)に示すような検出結果によれば、10個以上連続する奇数次の高調波成分が判定閾値(=1mV)を上回っている。したがって、本実施形態に係る漏れ電流判定部312は、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定する。

0035

以上のように、本実施形態に係る漏れ電流判定部312は、奇数次の高調波成分のうち所定数以上連続する複数の高調波成分の強度が、所定の判定閾値を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定する。
即ち、静電容量分電流Icのみによって検出される周波数成分は、図6(a)に示すように、電力系統固有のノイズの特性に応じて不規則な分布となり、特定の周波数範囲に渡って連続して判定閾値を上回る傾向はみられない。しかし、非線形抵抗素子200が劣化してパルス状の抵抗分電流Irが現れた場合には、図6(b)に示すように、特定の周波数範囲の高次高調波が連続して判定閾値を上回る傾向を示す。本実施形態に係る漏れ電流判定部312は、抵抗分電流Irの上記特性を利用して、当該抵抗分電流Irが流れているか否かを判定する。したがって、漏れ電流判定部312は、電力系統固有のノイズ成分が含まれていたとしても、漏れ電流が流れているか否かを精度よく切り分けて判定することができる。

0036

また、本実施形態に係る電流検出センサ300は、全漏れ電流Ioが流れる接地線g(図1)を囲うように取り付けられたコイルである。また、本実施形態に係る周波数成分取得部311は、当該コイルである電流検出センサ300に励起される電圧(検出信号)を、積分回路を介することなく入力し、当該励起される電圧の高調波成分ごとの強度を取得する。このようにすることで、検出装置30の構成全体を簡素化することができる。

0037

以上、第1の実施形態に係る電力供給システム1について詳細に説明したが、本実施形態に係る電力供給システム1の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。

0038

図7は、第1の実施形態の変形例に係る漏れ電流判定部の機能を説明する図である。
図7は、図6(a)、(b)と同様に、電流検出センサ300より出力された検出信号の周波数成分の算出結果(含有量[mV])を示している。図7に示すグラフは、非線形抵抗素子200の劣化の度合いが図6(b)に示す場合よりも小さい場合における算出結果の例を示している。

0039

ここで、第1の実施形態の変形例に係る漏れ電流判定部312は、高調波の次数が連続しているか否かに関わらず、単に、所定数以上の複数の高調波成分の強度が判定閾値を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定してもよい。
例えば、当該変形例に係る漏れ電流判定部312は、抵抗分電流Irが生じた場合において高い強度が見込まれる5次から39次までの奇数次高調波成分のうち、10個以上の高調波成分が判定閾値(=1mV)を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定する。このようにすることで、本変形例に係る漏れ電流判定部312は、例えば図7に示すように劣化の進行の度合いが小さい場合であっても、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定する。したがって、比較的早期に非線形抵抗素子200の劣化を検出することができる。

0040

また、事前の計測・実験により、ノイズ成分(架線10の給与電圧に重畳する固有の高調波成分)の周波数分布を把握できている場合は、以下のようにしてもよい。即ち、漏れ電流判定部312は、高調波成分のうち、ノイズの影響が小さい少なくとも一つの特定の高調波成分が判定閾値を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定するものとしてもよい。

0041

更に、上記ノイズ成分の周波数分布を把握できている場合は、漏れ電流判定部312は、当該ノイズ成分の周波数分布に応じて、検出信号の高調波成分ごとに異なる複数の判定閾値を設定してもよい。この場合、漏れ電流判定部312は、所定数以上の高調波成分が各々に対応する判定閾値を上回った場合に、非線形抵抗素子200に漏れ電流が流れていると判定するものとしてもよい。

0042

更に、上述の各実施形態における漏れ電流判定部312は、電力供給システム1の管理者の操作によって、判定閾値、又は、高調波の数(連続する高調波成分の個数)等を所望に変更できる態様であってもよい。このようにすることで、管理者は、使用する避雷器20、或いは、電力供給システム1固有の特性に合わせて、判定基準を最適化させることができる。

0043

また、上述の各実施形態に係る漏れ電流判定部312は、判定閾値が予め規定された固定値(例えば1mV)とするものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の変形例に係る漏れ電流判定部312は、判定閾値を、電流検出センサ300からの検出信号の基本波成分(1次)の強度としてもよい。ここで、図5に示した通り、非線形抵抗素子200が劣化している場合に生じる漏れ電流(抵抗分電流Ir、図2参照)の高調波成分は、所定の範囲に渡って基本波成分よりも大きい強度を有することが分かる。したがって、検出された基本波成分の強度を上回る高調波成分の数に基づいて、非線形抵抗素子200における漏れ電流の有無を判定することで、一層精度よく非線形抵抗素子200の劣化を検出することができる。

0044

また、上述の各実施形態に係る電流検出センサ300は、内部を貫通して流れる電流を精度よく検出可能なロゴウスキーコイルとして説明したが、他の変形例に係る電流検出センサ300は、他の異なる態様であってもよい。即ち、電流検出センサ300は、検出対象とする全漏れ電流Ioの大きさ、及び、当該全漏れ電流Ioの周波数の両方に比例する強度の検出信号を出力可能であれば、如何なる態様であっても構わない。

0045

以上、上述の各実施形態に係る検出装置30によれば、避雷器20の劣化を精度よく検出することができる。
また、上述の各実施形態に係る検出装置30によれば、電力供給システム1の稼働中において、避雷器20の健全性をリアルタイム監視することができるので、当該避雷器20の健全性の評価に要する労力やコストを削減することができる。
また、上述の各実施形態に係る検出装置30は、接地線g(図1)に取り付けるコイル(電流検出センサ300)、及び、当該電流検出センサ300からの検出信号を入力して処理する計算機(本体部310)のみの構成で実現可能である。したがって、検出装置の構成全体を簡素化することができる。

0046

図8は、第1の実施形態に係る検出装置の設置例を示す図である。
図8に示すように、避雷器20は、地表に設けられた支持柱21に支持される。
電流検出センサ300は、避雷器20に接続された接地線g及び支持柱21全体を囲うように取り付けられる。ここで、架線10から地表(接地点G)に流れる全漏れ電流は、接地線gのみならず、支持柱21を伝搬することも想定される。したがって、図8に示すように、接地線g及び支持柱21全体を囲うようにコイル(電流検出センサ300)を取り付けることで、当該支持柱21を通じて流れる電流を含めて全漏れ電流を観測することができる。

0047

上述の各実施形態においては、検出装置30の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各手順を行うものとしている。ここで、上述した検出装置30の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク光磁気ディスクCD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラム通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、検出装置30の各機能構成が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。

0048

以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。

0049

1電力伝送システム
10架線
20避雷器
21支持柱
200非線形抵抗素子
201寄生容量
30検出装置
300電流検出センサ
310 本体部
311周波数成分取得部
312漏れ電流判定部

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