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技術 繊維集束剤

出願人 DIC株式会社
発明者 梶川正浩
出願日 2014年10月9日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2014-208051
公開日 2016年5月16日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-079507
状態 特許登録済
技術分野 繊維製品への有機化合物の付着処理
主要キーワード 機械工 重合体開始剤 原料全量 化学修飾処理 結晶水含有化合物 炭素繊維材料 イソヘプタノール 多分岐状
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

繊維集束性に優れ、かつ、曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供する。

解決手段

ポリエステル系樹脂中セルロース微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有することを特徴とする繊維集束剤を用いる。さらに、カルボキシ基及び水酸基の少なくとも一方の官能基(X)を有するアクリル樹脂(C)を含有するものを用いる。

概要

背景

高強度で優れた耐久性の求められる自動車部材航空機部材等としては、例えばポリアミド等のマトリックス樹脂と、炭素繊維ガラス繊維等とを含む繊維強化プラスチックが使用されている。前記繊維強化プラスチックに使用する炭素繊維としては、通常、高強度を付与する観点から、繊維集束剤によって概ね数千〜数万程度に集束された炭素繊維材料を使用することが多い。

前記繊維集束剤としては、例えば、(メタアクリル酸エステルと(無水マレイン酸とを特定の質量割合で含有する組成物ラジカル重合して得られる、特定の重量平均分子量を有するビニル重合体を含有する炭素繊維集束剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この炭素繊維集束剤を使用して得られる成形品では、より高強度を必要とする用途へは適用できないという問題があった。

概要

繊維集束性に優れ、かつ、曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供する。ポリエステル系樹脂中セルロース微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有することを特徴とする繊維集束剤を用いる。さらに、カルボキシ基及び水酸基の少なくとも一方の官能基(X)を有するアクリル樹脂(C)を含有するものを用いる。なし

目的

本発明が解決しようとする課題は、繊維集束性に優れ、かつ、曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリエステル系樹脂中セルロース微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有することを特徴とする繊維集束剤

請求項2

さらに、カルボキシ基及び水酸基の少なくとも一方の官能基(X)を有するアクリル樹脂(C)を含有するものである請求項1記載の繊維集束剤。

請求項3

前記アクリル樹脂(C)が前記官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するものである請求項1又は2項記載の繊維集束剤。

請求項4

前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の酸価が100〜800の範囲である請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維集束剤。

請求項5

前記ポリエステル系樹脂エステル基濃度が6mmol/g以上であり、かつ酸価が10以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維集束剤。

技術分野

0001

本発明は、繊維の集束使用可能な繊維集束剤に関するものである。

背景技術

0002

高強度で優れた耐久性の求められる自動車部材航空機部材等としては、例えばポリアミド等のマトリックス樹脂と、炭素繊維ガラス繊維等とを含む繊維強化プラスチックが使用されている。前記繊維強化プラスチックに使用する炭素繊維としては、通常、高強度を付与する観点から、繊維集束剤によって概ね数千〜数万程度に集束された炭素繊維材料を使用することが多い。

0003

前記繊維集束剤としては、例えば、(メタアクリル酸エステルと(無水マレイン酸とを特定の質量割合で含有する組成物ラジカル重合して得られる、特定の重量平均分子量を有するビニル重合体を含有する炭素繊維集束剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この炭素繊維集束剤を使用して得られる成形品では、より高強度を必要とする用途へは適用できないという問題があった。

先行技術

0004

特開2013−36127号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする課題は、繊維集束性に優れ、かつ、曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリエステル系樹脂中セルロース微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ無水マレイン酸共重合樹脂、及び水を含有する繊維集束剤が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。

0007

すなわち、本発明は、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有することを特徴とする繊維集束剤に関する。

発明の効果

0008

本発明の繊維集束剤を用いて集束した繊維束とマトリックス樹脂とを用いて得られる成形品は、屈曲した場合や引張した場合、強い衝撃を受けた場合であっても、割れ等を引きこさないレベル機械的強度を備えることから、例えば自動車航空機の部材、家電製品部品風力発電部材をはじめとする様々な用途で使用することができる。

0009

本発明の繊維集束剤は、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有するものである。

0010

前記マスターバッチ(A)は、セルロースナノファイバーを高濃度に含有するものである。前記セルロースナノファイバーの原料となるセルロースとしては、例えば、パルプ、綿、紙、レーヨンキュプラポリノジックアセテート等の再生セルロース繊維バクテリア産生セルロース、ホヤ等の動物由来セルロースなどが挙げられる。また、これらのセルロースは、必要に応じて表面を化学修飾処理したものであってもよい。

0011

パルプとしては、木材パルプであっても、非木材パルプであってもよい。木材パルプとしては、機械パルプ化学パルプとがあり、これらの中でもリグニン含有量の少ない化学パルプが好ましい。また、化学パルプとしては、例えば、サルファイドパルプ、クラフトパルプアルカリパルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、例えば、藁、バガスケナフ、葦、亜麻等を原料としたものが挙げられる。

0012

綿は、主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花綿繊維綿布のいずれも用いることができる。

0013

紙はパルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙、廃牛乳パックコピー済み用紙等の古紙を用いることができる。

0014

また、前記セルロースとして、セルロースを破砕し一定の粒径分布を有したセルロース粉末を用いてもよい。このセルロース粉末としては、例えば、日本製紙株式会社製「KCフロック」、旭化成ケミカルズ株式会社製「セオラス」、FMCバイオポリマー社製「アビセル」等の市販品が挙げられる。

0015

前記ポリエステル系樹脂としては、下記一般式(1)で表される1種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られたポリエステルが挙げられる。
A−(OH)m・・・(1)
[式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。また、mは2〜4の整数を表す。]
B−(COOH)n・・・(2)
[式中、Bは炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。また、nは2〜4の整数を表す。]

0016

前記一般式(1)で表されるポリオールの具体例としては、エチレングリコールプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンチグリコールネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールジエチレングリコールトリエチレングリコールテトラエチレングリコールポリエチレングリコールジプロピレングリコールポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘプタンジオール、水素ビスフェノ−ルA、ビスフェノールAとプロピレンオキシド又はエチレンオキシド付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタングリセリントリチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールパラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、エチレングリコールカーボネ−ト、グリセリン、トリメチロールプロパンペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのポリオールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0017

一般式(2)で表されるポリカルボン酸の具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸イタコン酸シトラコン酸ハロゲン化マレイン酸、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸等の不飽和二塩基酸及びその無水物;フタル酸無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸テレフタル酸ニトロフタル酸テトラヒドロフタル酸テトラヒドロ無水フタル酸エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸シュウ酸コハク酸コハク酸無水物マロン酸グルタル酸アジピン酸アゼライン酸ピメリン酸スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の飽和二塩基酸及びその無水物などが挙げられる。また、これらの二塩基酸エステル化物も挙げられる。これらのポリカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0018

また、上記のポリオールとポリカルボン酸に加えて、モノアルコールモノカルボン酸ヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。

0020

前記モノカルボン酸としては、安息香酸ヘプタン酸ノナン酸カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸等が挙げられる。これらのモノカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0021

前記ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p—ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。これらのヒドロキシカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0022

また、前記ポリエステル系樹脂としては、ポリエステルを変性して得られる変性ポリエステル樹脂を用いてもよい。変性ポリエステル樹脂としては、ウレタン変性ポリエステルアクリル変性ポリエステルエポキシ変性ポリエステル、シリコーン変性ポリエステル等が挙げられる。

0023

また、前記ポリエステル系樹脂としては、直鎖状でもよく、多分岐状ポリエステルでもよい。

0024

前記ポリエステル系樹脂のエステル基濃度は、6mmol/g以上が好ましく、6〜14mmol/gの範囲がより好ましく、6〜20mmol/gの範囲がさらに好ましく、6〜30mmol/gの範囲が特に好ましい。

0025

前記ポリエステル系樹脂の酸価は、10以上が好ましく、10〜300の範囲がより好ましく、10〜200の範囲がさらに好ましく、10〜100の範囲が特に好ましい。
6mmol/g以上のエステル基濃度であり、かつ酸価が10以上であると好ましい。

0026

前記ポリエステル系樹脂の水酸基価は、10以上が好ましく、10〜1000の範囲がより好ましく、10〜800の範囲がさらに好ましく、10〜500の範囲が特に好ましい。

0027

また、前記ポリエステル系樹脂のエステル基濃度、酸価及び水酸基価は、上記の範囲が好ましいが、エステル基濃度が6mmol/g以上であり、かつ酸価が10以上であるものがより好ましく、エステル基濃度が6mmol/g以上であり、酸価が10以上であり、かつ水酸基価が10以上であるものがさらに好ましい。

0028

前記ポリエステル系樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0029

前記マスターバッチ(A)を得るために行うポリエステル系樹脂中でのセルロースの微細化は、ポリエステル系樹脂中にセルロースを添加し、機械的に箭断力を与えることにより行うことができる。箭断力を与える方法としては、例えば、ビーズミル超音波ホモジナイザー一軸押出機二軸押出機等の押出機バンバリーミキサーグラインダー加圧ニーダー、2本ロール等の混練機などを用いる方法が挙げられる。これらの中でも高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られることから、加圧ニーダーが好ましい。

0030

上記の微細化方法により、セルロースはセルロースナノファイバー化する。得られるセルロースナノファイバーのサイズとしては、例えば、長軸方向に100〜1,000,000nm、短軸方向に5〜1,000nmである。

0031

前記マスターバッチ(A)中の前記セルロース含有比率は、任意に設定することができるが、10〜90質量%の範囲が好ましく、20〜70質量%の範囲がより好ましく、30〜60質量%の範囲がより好ましい。

0032

前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)は、無水マレイン酸(b1)と、無水マレイン酸と共重合可能重合性単量体(b2)とを共重合して得られたものである。なお、本発明において、無水マレイン酸の代わりにマレイン酸を用いてもよい。

0033

前記重合性単量体(b2)としては、例えば、スチレンα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレンビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;N−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、N−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物などが挙げられる。これらの重合性単量体(b2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」及び「アクリレート」の一方又は両方をいう。

0034

前記重合性単量体(b2)の中でも、無水マレイン酸との共重合が容易であり、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れた繊維集束剤が得られることから、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、スチレンが好ましい。

0035

前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の製造方法としては、無水マレイン酸(b1)と、無水マレイン酸と共重合可能な重合性単量体(b2)とを、有機溶剤中、重合開始剤存在下で重合させる方法が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤芳香族系溶剤ケトン系溶剤アルコール系溶剤が挙げられるが、重合温度重合反応後の脱溶剤等を考慮すると、エステル系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。具体的には、酢酸エチル酢酸n−ブチル、シクロへキサノン、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトン等が好ましい。

0037

また、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の重量平均分子量は、セルロースナノファイバーの分散性を向上できることから、5,000〜150,000の範囲が好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である。

0038

前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の原料となる無水マレイン酸(b1)及び前記重合性単量体(b2)の合計中の無水マレイン酸(b1)の使用比率は、繊維集束剤中のセルロースナノファイバーの水分散性及び貯蔵安定性が向上することから、9〜70質量%の範囲が好ましい。

0039

また、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の酸価は、繊維集束剤中のセルロースナノファイバーの水分散性及び貯蔵安定性が向上することから、100〜800の範囲が好ましく、200〜600の範囲がより好ましい。なお、ここでの酸価は、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の固形分(樹脂分)のみでの酸価である。

0040

本発明の繊維集束剤は、前記マスターバッチ(A)、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)及び水以外のその他の成分を含有することができるが、得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、カルボキシ基及び水酸基の少なくとも一方の官能基(X)を有するアクリル樹脂(C)を含有するものであることが好ましい。

0041

前記アクリル樹脂(C)は、酸無水物基を有する単量体(c1)、カルボキシ基を有する単量体(c2)、及び水酸基を有する単量体(c3)からなる群より選ばれる1種以上の単量体を含有する単量体混合物(c)を重合した後、水中に溶解又は分散することにより得られる。

0042

前記酸無水物基を有する単量体(c1)としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられるが、これらの中でも、繊維集束性及び得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、無水マレイン酸が好ましい。なお、これらの単量体(c1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0043

前記カルボキシ基を有する単量体(c2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。なお、これらの単量体(a2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0044

前記水酸基を有する単量体(c3)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの単量体(c3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0045

前記単量体(c1)、前記単量体(c2)及び前記単量体(c3)は、繊維集束性及び得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、前記単量体混合物(c)の全量に対して、合計20〜80質量%の範囲であることが好ましく、合計30〜70質量%の範囲であることがより好ましい。

0046

前記アクリル樹脂(C)の製造に使用可能な単量体混合物(c)は、前記単量体(c1)、前記単量体(c2)及び前記単量体(c3)の他に、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する単量体を含有することができる。

0047

前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。

0048

前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、繊維集束性及び得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。

0049

また、前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレンクロロメチルスチレン酢酸ビニル等のビニル単量体が挙げられる。

0050

また、前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸グリセリン等が挙げられる。

0051

前記その他の重合性不飽和基を有する単量体は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0052

前記アクリル樹脂(C)の具体的な製造方法としては、前記単量体混合物(c)を、例えば有機溶剤中で、重合開始剤存在下、60〜140℃の温度でラジカル重合することによって得られた重合体(C’)を水に溶解又は分散する方法が挙げられる。

0053

前記有機溶剤としては、例えばトルエンキシレンのような芳香族溶剤;シクロへキサノンのような脂環族溶剤ノルマル酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤;イソブタノール、ノルマルブタノールイソプロピルアルコールソルビトールプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン等を使用することができる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0054

前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシア吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドクメンハイドロパーオキサイドベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などが挙げられる。これらの重合体開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記重合開始剤は、前記アクリル樹脂(C)の原料となる単量体の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。

0055

前記重合体(C’)を水に溶解または分散する方法としては、前記重合体(C’)と水とを混合する方法、前記重合体(C’)を中和したものと水とを混合する方法等が挙げられる。

0056

前記重合体の水への溶解性及び分散性が良好となることから、前記重合体(C’)が酸無水物基又はカルボキシ基を有する場合は、塩基性化合物により中和することが好ましい。

0057

前記塩基性化合物としては、例えば、メチルアミンジメチルアミントリメチルアミンエチルアミンジエチルアミントリエチルアミン2−アミノエタノール2−ジメチルアミノエタノール等の有機アミンアンモニア水酸化ナトリウム水酸化カリウム等の無機塩基性化合物テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドテトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイドトリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも有機アミンおよびアンモニア(アンモニア水でもよい。)を使用することが好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。

0058

前記アクリル樹脂(C)は、繊維集束性、及び得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、前記官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有することが好ましく、3〜7mmol/gの範囲で有することがより好ましい。

0059

また、前記アクリル樹脂(C)は、得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、5,000〜150,000の範囲の重量平均分子量を有するものであることが好ましく、10,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものであることがより好ましい。

0060

本発明の繊維集束剤は、前記マスターバッチ(A)、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)、及び水を含有するものであるが、前記マスターバッチ(A)を、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)を用いて水に分散したセルロースナノファイバー含有樹脂水分散体を含有するものであることが好ましい。

0061

前記セルロースナノファイバー含有樹脂水分散体の製造方法としては、前記マスターバッチ(A)と前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)とを混合後、50〜150℃の範囲で攪拌溶解する。溶解時間は30分以上行うことが好ましい。均一になった時点で50℃以下の温度でアンモニア水を投入し、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)を中和した後、イオン交換水を添加して水溶化を行う。水溶化の後は脱溶剤を行って、所望とする不揮発分、pHに調整を行うことによって、高濃度にセルロースナノファイバーを含有する水分散体が得られる。

0062

また、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)に加えて、塩基性モノマーを用いて重合した無水マレイン酸共重合樹脂(B’)を併用してもよい。前記塩基性モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミドアリルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。

0063

本発明の繊維集束剤にアクリル樹脂(C)を含有させる方法としては、前記セルロースナノファイバー含有樹脂水分散体と、前記アクリル樹脂(C)の製造の際に得られる水性アクリル樹脂組成物とを混合する方法が好ましい。

0064

本発明の繊維集束剤の固形分中の前記マスターバッチ(A)の含有量は、得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、1〜80質量%の範囲が好ましく、2〜40質量%の範囲がより好ましい。

0065

また、本発明の繊維集束剤の固形分中の前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)の含有量は、得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、1〜40質量%の範囲が好ましく、2〜20質量%の範囲がより好ましい。

0066

本発明の繊維集束剤に前記アクリル樹脂(C)を使用する場合は、得られる成形品の曲げ強度がより向上することから、前記マスターバッチ(A)と前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)との合計100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲で使用することが好ましく、50〜800質量部の範囲で使用することがより好ましい。

0067

本発明の繊維集束剤は、前記マスターバッチ(A)、前記無水マレイン酸共重合樹脂(B)、水、及び前記アクリル樹脂(C)以外の成分として、必要に応じて、硬化剤硬化触媒潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤粘着付与剤ワックス熱安定剤、耐光安定剤蛍光増白剤発泡剤等の添加剤pH調整剤レベリング剤ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤ラジカル捕捉剤耐熱性付与剤無機充填剤有機充填剤可塑剤補強剤触媒抗菌剤防カビ剤防錆剤熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂顔料染料導電性付与剤帯電防止剤透湿性向上剤撥水剤撥油剤中空発泡体結晶水含有化合物難燃剤吸水剤吸湿剤消臭剤整泡剤消泡剤防黴剤防腐剤防藻剤顔料分散剤ブロッキング防止剤加水分解防止剤、顔料を併用することができる。

0068

また、本発明の繊維集束剤は、必要に応じて、酢酸ビニル樹脂エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂ウレタン樹脂ポリエステル樹脂ポリアミド樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル−ブタジエン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース等の各種樹脂を含有していてもよい。

0069

本発明の繊維集束剤を用いて処理可能な炭素繊維としては、一般にポリアクリロニトリル系、ピッチ系等の炭素繊維を使用することができる。なかでも、前記炭素繊維としては、優れた強度を付与する観点から、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維を使用することが好ましい。

0070

また、前記炭素繊維としては、より一層優れた強度等を付与する観点から、0.5〜20μmの単糸径を有するものを使用することが好ましく、2〜10μmのものを使用することがより好ましい。

0071

前記炭素繊維としては、例えば撚糸紡糸紡績加工、不織加工したものを使用することができる。また、前記炭素繊維としてはフィラメントヤーンロービングストランドチョップドストランドフェルトニードルパンチクロスロービングクロスミルドファイバー等のものを使用することができる。

0072

前記炭素繊維を本発明の繊維集束剤を用いて集束化し、前記繊維束の表面に、本発明の繊維集束剤に含まれる成分からなる皮膜を形成する方法としては、例えば、本発明の繊維集束剤をキスコーター法、ローラー法、浸漬法スプレー法刷毛などその他公知の方法で、前記繊維表面に均一に塗布し、次いで常温または加熱下で乾燥等することによって形成する方法が挙げられる。本発明の繊維集束剤に含まれる水又は有機溶剤は、前記塗布後に加熱ローラー熱風熱板等を用いて、加熱乾燥することが好ましい。

0073

前記繊維材料の表面に形成された皮膜の付着量は、集束化され表面処理の施された繊維束の全質量に対して0.1〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。

0074

前記方法で得られた集束化され表面処理の施された炭素繊維は、後述するマトリックス樹脂(D)等と組み合わせ使用することによって、高強度な成形品を製造するための成形材料に使用することができる。

0075

特に、本発明の繊維集束剤によって表面処理の施された炭素繊維は、マトリックス樹脂(D)と組み合わせ使用し成形品等を形成した際に、前記炭素繊維とマトリックス樹脂(D)との界面の密着性を著しく向上できるため、成形品の強度を向上することが可能である。

0076

前記マトリックス樹脂(D)としては、例えば熱硬化性樹脂(D1)または熱可塑性樹脂(D2)を使用することができる。

0077

前記熱硬化性樹脂(D1)としてはフェノール樹脂ポリイミド樹脂ビスマレイミド樹脂不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。

0079

前記マトリックス樹脂(D)としては、前記したなかでも、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、及び、ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。前記ポリアミド樹脂としては、具体的には、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂に使用することが好ましい。

0080

前記表面処理の施された繊維束と前記マトリックス樹脂(D)と、必要に応じて重合性単量体等とを含む成形材料としては、例えば、前記表面処理された繊維束を裁断して得られるチョップドストランドと前記マトリックス樹脂(D)とを溶融混練して得られる成形材料、前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(D2)とを含有する成形材料をはじめ、一般にプリプレグシートモールディングコンパウンドSMC)として知られる成形材料が挙げられる。

0081

前記表面処理された繊維束を裁断して得られるチョップドストランドと前記マトリックス樹脂(D)とを溶融混練して得られる成形材料を製造する際には、前記マトリックス樹脂(D)としてオレフィン樹脂、アミド樹脂を使用することが好ましい。

0082

また、前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(D2)とを含有する成形材料は、例えば金型等を用いて前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(D2)とをプレス賦形したものが挙げられる。これは、さらに射出成型法等に供することによって二次加工し、所望の形状を備えた成形品の製造に使用することができる。

0083

また、前記プリプレグは、例えば前記マトリックス樹脂(D)を離型紙上に塗布し、その塗布面に表面処理の施された繊維束を載置し、必要に応じてローラー等を用いて押圧含浸する方法が挙げられる。

0084

前記プリプレグを製造する際には、前記マトリックス樹脂(D)として、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。

0085

また、前記シートモールディングコンパウンドは、例えば前記マトリックス樹脂(D)と、スチレン等の重合性不飽和単量体との混合物を、前記表面処理の施された繊維に十分含浸し、シート状に加工等することによって製造することができる。前記シートモールディングコンパウンドを製造する際には、前記マトリックス樹脂(D)として、不飽和ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。

0086

前記成形材料の硬化は、例えば加圧または常圧下、加熱または光照射しラジカル重合させることによって進行する。かかる場合には、公知の熱硬化剤光硬化剤等を組み合わせ使用することができる。

0087

前記成形材料を用いて得られた成形品は、高強度であることから、炭素繊維強化プラスチック等として、例えば自動車部材や航空機部材、産業用部材等に使用することができる。

0088

以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。

0089

(製造例1:ポリエステル系樹脂(1)の製造)
窒素ガス導入管還流コンデンサ及び攪拌機を備えた2Lのガラスフラスコに、ジエチレングリコール758.2質量部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6質量部(4.47mol、仕込みモル比0.33)及び無水マレイン酸183.9質量部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み窒素気流下で加熱を開始した。内温200℃にて、常法により脱水縮合反応を行った。反応物の酸価が13になったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール原料全量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却することによって、ポリエステル系樹脂(1)を得た。このポリエステル系樹脂(1)は、エステル基濃度が9.1mmol/gであり、酸価が12であり、水酸基価が89であった。

0090

ポリエステル系樹脂のエステル基濃度、酸価及び水酸基価は下記の方法により求めた。

0091

〔エステル基濃度の計算方法
エステル基濃度は下記計算式(1)により求めた。

0092

エステル基濃度(mmol/g)=生成エステル基量(mol)/[仕込みモノマー量(wt)−生成水量(wt)]×1000・・・(1)

0093

製造例1で得られたポリエステル系樹脂(1)を例にエステル基濃度の計算方法をさらに詳しく説明する。生成エステル基量は、仕込みモノマーの全量がエステル化反応するものとして計算した。
生成エステル基量=アジピン酸4.47mol×2+無水マレイン酸1.88mol×2=12.70mol
次に、生成水量もエステル基と同様に仕込みモノマーの全量がエステル化反応するものとして計算した。
生成水量=(アジピン酸4.47mol×2+無水マレイン酸1.88mol)×18.02=194.98
上記で求めた値から、ポリエステル系樹脂(1)のエステル基濃度は下記計算式(2)により求められる。
エステル基濃度(mmol/g)=12.70mol/[1594.70−194.98]×1000=9.1・・・(2)

0094

〔酸価及び水酸基価の測定〕
酸価及び水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造およびエステル結合由来する各ピーク面積比から求めた。測定装置は、日本電子株式会社製「JNM−LA300」を用い、試料の10質量%重クロロホルム溶液緩和試薬としてCr(acac)310mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMR定量測定を行なった。積算は4,000回行なった。

0095

(製造例2:セルロースナノファイバー含有マスターバッチ(1)の製造)
製造例1で得られたポリエステル系樹脂(1)600質量部及びセルロースパウダー(日本製紙株式会社製「KCフロックW−100」)400質量部を、加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製「DS1−5GHH−H」)を用いて60rpmで300分間加圧混練を行い、セルロースの微細化処理を行うことで、ポリエステル系樹脂(1)とセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と略記する。)との混錬物であるマスターバッチ(1)を得た。得られたマスターバッチ(1)を、セルロースが0.1質量%の濃度となるようにアセトンに懸濁し、特殊機械工業株式会社製「TKホモミキサーA型」を用いて、15000rpmで20分間分散処理を行い、ガラス上に広げてアセトンを乾燥し、走査型電子顕微鏡にてセルロースの微細化状態を確認した。確認の結果、100nmより細かく解れていることが確認でき、良好なCNFが得られていることが確認できた。

0096

(製造例3:無水マレイン酸共重合樹脂(1)の製造)
攪拌機、還流冷却管温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、シクロヘキサノン200質量部及び無水マレイン酸61質量部を仕込んだ後、120℃に昇温した。その後、スチレン124質量部、N−フェニルマレイミド(日本触媒株式会社製「イミレックス−P」)61質量部、シクロヘキサノン50質量部、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド(日油株式会社製「パーブチルD」)2質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)3.5質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120〜125℃で反応を行った。

0097

次いで、反応容器内を120℃で120分間ホールドした後、30℃以下に冷却することによって、無水マレイン酸共重合樹脂(1)を得た。得られた無水マレイン酸共重合樹脂(1)は、不揮発分が49.5質量%であり、酸価(固形分)が310であり、重量平均分子量が6.0万であった。

0098

上記の製造例3で得られた無水マレイン酸共重合樹脂(1)の酸価及び重量平均分子量は下記の方法により求めた。

0099

〔酸価の測定〕
無水マレイン酸共重合樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定した。

0100

〔重量平均分子量の測定〕
無水マレイン酸共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。

0101

測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器RI示差屈折計
カラム温度:40℃
溶離液テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。

0102

(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」

0103

(製造例4:CNF含有樹脂水分散体(1)の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに製造例3で得られた無水マレイン酸共重合樹脂(1)202質量部及びシクロヘキサノン202質量部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。均一であることを確認後、製造例2で得られたマスターバッチ(1)250質量部を添加した。その後攪拌をしながら100℃で2時間加温を行った。次いで、50℃以下に冷却し、25質量%アンモニア水35質量部を添加した。その後30分以上攪拌し、フラスコ内が均一になったことを確認後、イオン交換水1400質量部を添加して、さらに30分攪拌した。

0104

次いで、70℃に昇温して、減圧(0.080〜0.095MPa)下で、約60分かけて脱溶剤した後、冷却し、イオン交換水及び25質量%アンモニア水を用いて、不揮発分を30質量%に、pHを8.0に調整することによって、CNF含有樹脂水分散体(1)を得た。このCNF含有樹脂水分散体(1)の粘度は、1,000mPa・sであった。

0105

(製造例5:水性アクリル樹脂組成物(1)の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル95質量部を仕込み120℃に昇温、これに無水マレイン酸98質量部、メタクリル酸n−ブチル147質量部、n−酢酸ブチル75質量部、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド(日油株式会社製「パーブチルD」)1.6質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)3.0質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドしたのち、温度を90℃に下げ、25%安水137質量部、イオン交換水600質量部を添加し、中和、水溶解を行った。これを90℃減圧(0.080〜0.095MPa)下、脱溶剤(約60分)、冷却を行い、カルボキシ基を有するアクリル樹脂(C−1)を含有する水性アクリル樹脂組成物(1)を得た。この水性アクリル樹脂組成物(1)は、不揮発分23質量%、pH7.6、粘度580mPa・s、であり、アクリル樹脂(C−1)の重量平均分子量は7.0万であった。

0106

(製造例6:水性アクリル樹脂組成物(2)の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにイソプロピルアルコール60質量部を仕込み75℃に昇温、これにメタアクリル酸60質量部、アクリル酸メチル40質量部、V−59(アゾ系開始剤和光純薬株式会社製)1.6質量部、メチルエチルケトン15質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、73〜77℃にて反応を行った。その後75℃に120分間ホールドしたのち、温度を50℃に下げ、25%安水47.4質量部、イオン交換水250質量部を添加し、水溶解を行った。これを80℃減圧(0.080〜0.095MPa)下、脱溶剤(約60分)、冷却を行い、不揮発分、粘度調整を行い、カルボキシ基を有するアクリル樹脂(C−2)を含有する水性アクリル樹脂組成物(2)を得た。この水性アクリル樹脂組成物(2)は、不揮発分23質量%、pH7.0、粘度280mPa・sであり、アクリル樹脂(C−2)の重量平均分子量は3.5万であった。

0107

(製造例7:水性アクリル樹脂組成物(3)の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにイソプロピルアルコール60質量部を仕込み75℃に昇温、これに2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、アクリル酸メチル30質量部、V−59(アゾ系開始剤:和光純薬株式会社)1.6質量部、メチルエチルケトン15質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、73〜77℃にて反応を行った。その後75℃に120分間ホールドしたのち、温度を50℃に下げ、イオン交換水300質量部を添加し、水溶解を行った。これを80℃減圧(0.080〜0.095MPa)下、脱溶剤(約60分)、冷却を行い、不揮発分、粘度調整を行い、水酸基を有するアクリル樹脂(C−2)を含有する水性アクリル樹脂組成物(3)を得た。この水性アクリル樹脂組成物(3)は、不揮発分23質量%、pH7.0、粘度3500mPa・sであり、アクリル樹脂(C−3)の重量平均分子量は3.0万であった。

0108

(実施例1:繊維集束剤(1)の調製)
製造例5で得られた水性アクリル樹脂組成物(1)90質量部と、製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)10質量部を常温にて混合、約30分攪拌し、繊維集束剤(1)を得た。

0109

(実施例2:繊維集束剤(2)の調製)
製造例5で得られた水性アクリル樹脂組成物(1)70質量部と、製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)30質量部を常温にて混合、約30分攪拌し、繊維集束剤(2)を得た。

0110

(実施例3:繊維集束剤(3)の調製)
製造例5で得られた水性アクリル樹脂組成物(1)50質量部と、製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)50質量部を常温にて混合、約30分攪拌し、繊維集束剤(3)を得た。

0111

(実施例4:繊維集束剤(4)の調製)
製造例6で得られた水性アクリル樹脂組成物(2)50質量部と、製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)50質量部を常温にて混合、約30分攪拌し、繊維集束剤(4)を得た。

0112

(実施例5:繊維集束剤(5)の調製)
製造例7で得られた水性アクリル樹脂組成物(3)50質量部と、製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)50質量部を常温にて混合、約30分攪拌し、繊維集束剤(5)を得た。

0113

(実施例6:繊維集束剤(6)の調製)
製造例4で得られたCNF含有樹脂水分散体(1)を、繊維集束剤(6)とした。

0114

(比較例1:繊維集束剤(R−1)の調製)
製造例5で得られた水性アクリル樹脂組成物(1)を、繊維集束剤(R−1)とした。

0115

上記の実施例1〜6及び比較例1で得られた繊維集束剤(1)〜(6)及び(R−1)について、下記の評価を行った。

0116

炭素繊維束の作成]
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(直径7μm/7000本)のノーサイズ糸を束ね、各繊維集束剤を浸漬法で含浸し、ローラーで絞ることで有効成分の付着量を1質量%に調整し、ついで、150℃で30分間熱処理することによって、繊維集束剤(1)〜(6)及び(R−1)によって表面処理の施された炭素繊維束(炭素繊維ストランド)を得た。

0117

[炭素繊維強化プラスチックの機械的強度(曲げ強度)の評価方法
前記で得た各炭素繊維ストランドと、ペレットナイロン6)を、炭素繊維含有率(標準30質量%)となるように二軸押し出し混錬機にてコンパウンドし、3mmΦ×3mm長のペレットに加工した。コンパウンドペレット射出成型し、150mm各×3.1mm厚の平板からなる炭素繊維強化プラスチックを作成した。平板から10mm幅×90mm長×3.1mm厚の曲げ試験板を5つ切り出し、JIS K7171に準拠して3点曲げ試験(スパン厚さ比=20、試験速度5mm/分)を実施し、曲げ強度を測定した。

0118

実施例1〜6及び比較例1で得られた水性樹脂組成物(1)〜(6)及び(R−1)の配合及び評価結果を表1に示す。

0119

0120

本発明の繊維集束剤である実施例1〜6のものを用いて得られる成形品の曲げ強度は非常に優れることが確認された。

実施例

0121

一方、比較例1は、水性アクリル樹脂組成物を単独で繊維集束剤として利用したものであるが、これを用いて得られる成形品の曲げ強度は不十分であった。

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