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技術 車両用制動装置

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 植野眞之
出願日 2015年9月8日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2015-176414
公開日 2016年5月12日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-077136
状態 特許登録済
技術分野 車両の電気的な推進・制動 ハイブリッド電気車両 ブレーキシステム(制動力調整)
主要キーワード 通電ケーブル 車載機器間 スリップ情報 配管チューブ 経時特性 成否判定 配分量 付与ルール
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

過渡的な回生制動トルク急変が生じた場合であっても、制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持する。

解決手段

車両用制動装置11は、車両に液圧制動力を発生させる液圧制動部24FL〜24RRと、車両に回生制動力を発生させる回生制動部19,33,92と、運転者による制動操作に係る速度相関値を算出する速度相関値算出部73と、液圧制動部による液圧制動力、及び回生制動部による回生制動力の和が、運転者の制動操作に基づく目標制動力追従するように、液圧制動力及び回生制動力の協調制御を行うと共に、回生制動力に係る時間変動率を制限する制御を行う制御部77,175と、を備える。制御部77,175は、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力に係る時間変動率を制限する度合いを緩和する。

概要

背景

例えば電気自動車ハイブリッド自動車などの車両には、液圧制動トルク回生制動トルクによって生じる制動力を発生させる車両用制動装置が搭載されている。こうした車両用制動装置では、車両に生じさせる制動力を制御するために、液圧制動制御及び回生制動制御が行われる。また、運転者による制動操作に応じた制動力を、省エネルギに配慮しつつ得るために、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御技術が知られている(例えば特許文献1参照)。

特許文献1に係る協調制御技術では、運転者による制動要求に基づく目標制動力を得る際に、回生制動制御による回生制動力優先的に適用する。回生制動制御による回生制動力のみでは目標制動力を達成できない場合に、その不足分を、液圧制動制御による液圧制動力をもって補うように協調制御を行う。
ここで、運転者による制動操作中に、例えば、ブレーキペダルの踏み増しがされることで過渡的な回生制動トルクの急変が生じたとする。この際に、目標制動力に対して回生制動力が不足すると、この不足分を補うように、液圧制動力を増大させる制御がなされる。すると、ブレーキペダル操作に係るフィーリングの悪化が懸念される。

そこで、特許文献1に係る協調制御技術では、ブレーキペダルが踏み増しされることで過渡的な回生制動トルクの急変が生じた際に、急変した回生制動トルクにフィルタ処理を施し、フィルタ処理後応答特性を鈍らせた回生制動トルクに基づいて前記の協調制御を行うようにしている。
特許文献1に係る協調制御技術によれば、過渡的な回生制動トルクの急変時であっても、ブレーキペダル操作に係るフィーリング変化を十分に緩和し得て、制動操作フィーリングが、運転者に違和感を与えることのないようにすることができる。

概要

過渡的な回生制動トルクの急変が生じた場合であっても、制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持する。車両用制動装置11は、車両に液圧制動力を発生させる液圧制動部24FL〜24RRと、車両に回生制動力を発生させる回生制動部19,33,92と、運転者による制動操作に係る速度相関値を算出する速度相関値算出部73と、液圧制動部による液圧制動力、及び回生制動部による回生制動力の和が、運転者の制動操作に基づく目標制動力に追従するように、液圧制動力及び回生制動力の協調制御を行うと共に、回生制動力に係る時間変動率を制限する制御を行う制御部77,175と、を備える。制御部77,175は、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力に係る時間変動率を制限する度合いを緩和する。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持可能な車両用制動装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

車両に液圧制動力を発生させる液圧制動部と、前記車両に回生制動力を発生させる回生制動部と、運転者による制動操作に係る速度相関値を算出する算出部と、前記液圧制動部による液圧制動力、及び前記回生制動部による回生制動力の和が、運転者の制動操作に基づく目標制動力追従するように、前記液圧制動力及び前記回生制動力の協調制御を行うと共に、前記回生制動力を制限する制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記制動操作に係る速度相関値に基づいて、前記回生制動力を制限する度合いを変更することを特徴とする車両用制動装置

請求項2

請求項1に記載の車両用制動装置であって、前記制御部は、前記制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する度合いを緩和することを特徴とする車両用制動装置。

請求項3

請求項1に記載の車両用制動装置であって、前記制御部は、初期段階の制動操作時であり、かつ、当該制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する度合いを緩和することを特徴とする車両用制動装置。

請求項4

請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の車両用制動装置であって、前記回生制動力の制限は、当該回生制動力に係る時間変動率を制限することにより行われることを特徴とする車両用制動装置。

技術分野

0001

本発明は、例えば電気自動車ハイブリッド自動車などの車両に制動力を発生させる車両用制動装置に関する。

背景技術

0002

例えば電気自動車やハイブリッド自動車などの車両には、液圧制動トルク回生制動トルクによって生じる制動力を発生させる車両用制動装置が搭載されている。こうした車両用制動装置では、車両に生じさせる制動力を制御するために、液圧制動制御及び回生制動制御が行われる。また、運転者による制動操作に応じた制動力を、省エネルギに配慮しつつ得るために、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御技術が知られている(例えば特許文献1参照)。

0003

特許文献1に係る協調制御技術では、運転者による制動要求に基づく目標制動力を得る際に、回生制動制御による回生制動力優先的に適用する。回生制動制御による回生制動力のみでは目標制動力を達成できない場合に、その不足分を、液圧制動制御による液圧制動力をもって補うように協調制御を行う。
ここで、運転者による制動操作中に、例えば、ブレーキペダルの踏み増しがされることで過渡的な回生制動トルクの急変が生じたとする。この際に、目標制動力に対して回生制動力が不足すると、この不足分を補うように、液圧制動力を増大させる制御がなされる。すると、ブレーキペダル操作に係るフィーリングの悪化が懸念される。

0004

そこで、特許文献1に係る協調制御技術では、ブレーキペダルが踏み増しされることで過渡的な回生制動トルクの急変が生じた際に、急変した回生制動トルクにフィルタ処理を施し、フィルタ処理後応答特性を鈍らせた回生制動トルクに基づいて前記の協調制御を行うようにしている。
特許文献1に係る協調制御技術によれば、過渡的な回生制動トルクの急変時であっても、ブレーキペダル操作に係るフィーリング変化を十分に緩和し得て、制動操作フィーリングが、運転者に違和感を与えることのないようにすることができる。

先行技術

0005

特開2011−259541号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1に係る協調制御技術では、急変した回生制動トルクにフィルタ処理を施し、フィルタ処理後の応答特性を鈍らせた回生制動トルクに基づいて前記の協調制御を行うようにしているため、急変時に回生制動トルクの応答特性を鈍らせた分だけ液圧制動力への依存度が増大することで回生量が減ってしまい、回生効率を損なう課題があった。

0007

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、車両に液圧制動力を発生させる液圧制動部と、前記車両に回生制動力を発生させる回生制動部と、運転者による制動操作に係る速度相関値を算出する算出部と、前記液圧制動部による液圧制動力、及び前記回生制動部による回生制動力の和が、運転者の制動操作に基づく目標制動力に追従するように、前記液圧制動力及び前記回生制動力の協調制御を行うと共に、前記回生制動力を制限する制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記制動操作に係る速度相関値に基づいて、前記回生制動力を制限する度合いを変更することを最も主要な特徴とする。

0009

(1)に係る発明によれば、制御部は、制動操作に係る速度相関値に基づいて、回生制動力を制限する度合いを変更するため、例えば、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する度合いを緩和すれば、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0010

また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制御部は、前記制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する度合いを緩和することを特徴とする。

0011

(2)に係る発明によれば、制御部は、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する度合いを緩和するため、(1)に係る発明と同様に、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0012

また、(3)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制御部は、初期段階の制動操作時であり、かつ、当該制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する度合いを緩和することを特徴とする。

0013

(3)に係る発明によれば、制御部は、初期段階の制動操作時であり、かつ、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する度合いを緩和するため、制動操作に係る速度相関値が大きくなる蓋然性の高い初期段階の制動操作段階において、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0014

また、(4)に係る発明は、(1)〜(3)に係る発明のうちいずれか一に記載の車両用制動装置であって、前記回生制動力の制限は、当該回生制動力に係る時間変動率を制限することにより行われることを特徴とする。

0015

(4)に係る発明によれば、回生制動力の制限は、当該回生制動力に係る時間変動率を制限することにより行われるため、回生制動力の大きさを単に制限する場合と比べて、回生制動トルクの急変が生じた場合において、制動操作フィーリング及び回生効率を適切かつ良好に維持する効果を期待することができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施形態に係る車両用制動装置を電気自動車に搭載した例を表す図である。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の概要を表す構成図である。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置が有するESB−ECU、VSA−ECU、及び、PDU周辺構成を表すブロック図である。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。
比較例に係る車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。
参考例に係る車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。

実施例

0018

以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。

0019

〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の電気自動車Vへの搭載例〕
はじめに、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の電気自動車Vへの搭載例について、図1を参照して説明する。

0020

本発明の実施形態に係る説明に先立って、説明の便宜のために用いる符号の付与ルールに言及する。本発明の実施形態に係る車両用制動装置11は、例えば四輪の電気自動車Vに搭載される関係から、共通の部材が四輪のそれぞれの車輪に設けられる場合がある。この場合において、共通の部材間には共通の符号を付与すると共に、進行方向に向かって左前側の車輪に設けられる部材の符号の後に添え字FLを、右前側の車輪に設けられる部材の符号の後に添え字FRを、左後側の車輪に設けられる部材の符号の後に添え字RLを、右後側の車輪に設けられる部材の符号の後に添え字RRを、それぞれ付与するものとする。また、共通の部材を総称するときは、添え字を省略する場合があるものとする。

0021

本発明の実施形態に係る車両用制動装置11は、油圧回路を媒介して液圧制動トルク(液圧制動力と同義)を発生させる既存の制動装置に加えて、電気回路を媒介して液圧制動トルクを発生させる、バイワイヤ(By Wire)式の制動装置を備えている。車両用制動装置11は、図1に示すように、電気自動車(本発明の“車両”に相当する)Vに搭載されている。

0022

前記電気自動車Vには、図1に示すように、車輪駆動用の第3の電動機92が設けられている。説明の便宜上、第1の電動機72、第2の電動機82については後記する。第3の電動機92には、不図示の動力伝達機構を介して前輪駆動軸15Aが連結されている。前輪駆動軸15Aの両端には、車輪(前輪)17FL,17FRがそれぞれ設けられている。同様に、後輪従動軸15Bの両端には、従動輪である車輪(後輪)17RL,17RRがそれぞれ設けられている。

0023

後記する駆動制御用のPDU(Power Drive Unit)33は、第3の電動機92を力行状態に制御することで、第3の電動機92を本来の用途である電動機として用い、これをもって力行トルクを出力させる機能を有する。その結果、第3の電動機92は、車輪17FL,17FRを駆動するように作用する。

0024

また、PDU33は、第3の電動機92を回生状態に制御することで、第3の電動機92を本来の用途とは異なる発電機として用い、これをもって回生制動トルク(回生制動力と同義)を出力させる機能を有する。その結果、第3の電動機92は、車輪17FL,17FRを制動するように作用する。
つまり、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11は、電気自動車Vの制動制御を行うために、液圧制動トルク及び回生制動トルクの両者を利用可能に構成されている。

0025

電気自動車Vには、第3の電動機92の電源として機能する不図示の車載バッテリが搭載されている。車載バッテリとしては、例えばリチウムイオン二次電池を好適に用いることができる。

0026

第3の電動機92は、図1に示すように、インバータ19に接続されている。インバータ19は、不図示の通電ケーブルを介して前記車載バッテリに接続されている。インバータ19は、車載バッテリからの直流電力交流電力に変換する一方、第3の電動機92の回生電力(交流電力)を直流電力に変換する機能を有する。

0027

具体的には、第3の電動機92を電動機として用いる際には、車載バッテリからの直流電力がインバータ19で交流電力に変換され、この交流電力が第3の電動機92に対して供給される。一方、第3の電動機92を発電機として用いる際には、第3の電動機92からの回生電力(交流電力)がインバータ19で直流電力に変換され、この直流電力が車載バッテリに対して供給される。また、インバータ19を用いて交流電力の電流値周波数を制御することにより、第3の電動機92のトルクや回転速度を制御することができる。インバータ19、PDU33、及び第3の電動機92は、本発明の“回生制動部”に相当する。

0028

電気自動車Vには、各車輪17FL〜17RRを制動するための液圧制動機構24FL〜24RRが設けられている。液圧制動機構24FL〜24RRは、本発明の“液圧制動部”に相当する。この液圧制動機構24FL〜24RRは、運転者によるブレーキペダル12(図2参照)の踏み込み操作量制動操作量)に応じて制動に係る液圧を発生させる制動液圧発生装置26と、制動液圧発生装置26で発生した液圧によって各車輪17FL〜17RRを制動するキャリパ27FL〜27RRとを含んで構成されている。

0029

なお、図1に示す例では、液圧制動機構24としてディスクブレーキ装置を採用したが、本発明はこの例に限定されない。液圧制動機構24として、ディスクブレーキ装置に代えてドラムブレーキ装置を採用してもよい。

0030

電気自動車Vの駆動制御を行うために、電気自動車Vには、図1に示すように、PDU33が設けられている。PDU33の構成について、詳しくは後記する。

0031

また、電気自動車Vの挙動を安定化させるために、電気自動車Vには、図1に示すように、VSA(Vehicle Stability Assist;ただし、VSAは登録商標)−ECU31が設けられている。VSA−ECU31の構成について、詳しくは後記する。

0032

さらに、液圧制動機構24などの動作状態を制御するために、電気自動車Vには、図1に示すように、ESB(Electrical Servo Brake)−ECU29が設けられている。ESB−ECU29の構成について、詳しくは後記する。

0033

ESB−ECU29、VSA−ECU31、及び、PDU33の各間は、図1に示すように、通信媒体35を介して相互に情報通信可能に接続されている。通信媒体35としては、例えば、電気自動車V内に構築される、CAN(Controller Area Network)を好適に用いることができる。CANとは、車載機器間の情報通信に用いられる多重化されたシリアル通信網である。CANは、優れたデータ転送速度及びエラー検出能力を有する。以下では、電気自動車V内に構築される通信網として、CAN通信媒体35を採用した例をあげて説明する。

0034

なお、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11では、回生により得られる電気エネルギを稼ぐために、第3の電動機92に係る回生制動制御が、制動液圧発生装置26に係る液圧制動制御と比べて優先的に適用される。ここで、“第3の電動機92に係る回生制動制御が、制動液圧発生装置26に係る液圧制動制御と比べて優先的に適用される”とは、第3の電動機92に係る回生制動制御を優先的に適用し、第3の電動機92に係る回生制動制御を用いて得られる制動トルクの不足分を、制動液圧発生装置26に係る液圧制動制御を用いて得られる制動トルクで補うことを意味する。

0035

〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の構成について、図2及び図3を参照して説明する。
車両用制動装置11は、図2に示す液圧発生装置14、並びに、図3に示す、第1制動装置21、第2制動装置23、及び、第3制動装置25を備えて構成されている。液圧発生装置14は、運転者による制動操作を、ブレーキペダル12(図2参照)を通してマスタシリンダ34により受け付ける機能を有する。第1制動装置21、及び、第2制動装置23は、前記制動液圧発生装置26に相当する。

0036

前記第1制動装置21は、モータシリンダ装置16、ESB−ECU29、及び、第1の電動機72を含んで構成されている。モータシリンダ装置16は、図2に示すように、第1及び第2のスレーブピストン88a,88bを備え、少なくとも運転者による制動操作に応じた電気信号に基づく第1の電動機72の作動に伴う液圧によって液圧制動トルクを発生させる機能を有する。

0037

前記第2制動装置23は、ビークルスタビティアシスト装置18(以下、“VSA装置18”と省略する。ただし、VSAは登録商標)、VSA−ECU31、及び第2の電動機82を含んで構成されている。VSA装置18は、少なくとも車両の挙動に応じた電気信号に基づく第2の電動機(図2及び3参照)82の作動に伴うポンプ図2参照)135の駆動によって液圧制動に係る液圧を増加させる機能を有する。かかる機能の発揮により、VSA装置18は、制動操作時の車輪ロックを防ぐABS機能、加速時等の車輪空転を防ぐTCSトラクションコントロール・システム)機能、及び、旋回時の横すべりを抑制する機能を有する。

0038

前記第3制動装置25は、PDU33、インバータ19、及び、第3の電動機92を含んで構成されている。

0039

液圧発生装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18のそれぞれは、図2に示すように、ブレーキ液通流させる配管チューブ22a〜22fを介して相互に連通接続されている。
バイ・ワイヤ式の制動装置を構成する液圧発生装置14及びモータシリンダ装置16は、不図示の電線を介して、ESB−ECU29(図1及び図3参照)と電気的に接続されている。また、VSA装置18は、不図示の電線を介して、VSA−ECU31(図1及び図3参照)と電気的に接続されている。液圧発生装置14及びモータシリンダ装置16の内部構成について、詳しくは後記する。

0040

なお、符号Pm,Pp,Phは、配管チューブ22a〜22fの各部で発生したブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサである。
図2に符号を付して示すその他の要素については、本発明とは直接関係がないので、その説明を省略する。ただし、前記その他の要素については、後記する作用の説明で引用する。

0041

〔車両用制動装置11の基本動作
次に、車両用制動装置11の基本動作について説明する。
車両用制動装置11では、モータシリンダ装置16やバイ・ワイヤの制御を主として行うESB−ECU29(図1及び図3参照)を含む第1制動装置21の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作すると、いわゆるバイ・ワイヤ式の制動装置がアクティブになる。

0042

具体的には、正常作動時の車両用制動装置11では、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作すると、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが、マスタシリンダ34と各車輪を制動する液圧制動機構24FL〜24RRとの連通を遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧を用いて液圧制動機構24FL〜24RRのキャリパ27FL〜27RRを作動させる。

0043

このため、車両用制動装置11は、例えば、電気自動車(燃料電池車を含む)やハイブリッド自動車等のように、内燃機関での負圧発生が少ないか、内燃機関による負圧が存在しない車両、又は、内燃機関自体がない車両に好適に適用することができる。

0044

ちなみに、正常作動時は、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁される。このとき、ブレーキペダル12が踏み込み操作されると、ブレーキ液は、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64に流れ込むようになる。このため、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断されていても、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64へのブレーキ液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じるようになる。

0045

一方、車両用制動装置11では、第1制動装置21が正常に作動しない異常時において、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作すると、既存の油圧式の制動装置がアクティブになる。具体的には、異常時の(電源電圧シャットダウンしている)車両用制動装置11では、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作すると、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bがそれぞれ開弁状態となり、かつ、第3遮断弁62が閉弁状態となって、マスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧を液圧制動機構24FL〜24RRに伝達し、液圧制動機構24FL〜24RRのキャリパ27FL〜27RRを作動させる。

0046

〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の機能ブロック構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の機能ブロック構成について、図3を参照して説明する。

0047

〔ESB−ECU29の構成〕
ESB−ECU29には、図3に示すように、入力系統として、イグニッションキースイッチ(以下“IGキースイッチ”と省略する。)121、車速センサ123、ブレーキペダルセンサ125、ホールセンサ127、及び、ブレーキ液圧センサPm,Ppがそれぞれ接続されている。

0048

ただし、ESB−ECU29に接続される入力系統として列挙した前記のスイッチやセンサ類は、ESB−ECU29に対して直接接続されていなくてもよい。具体的には、例えば車速センサ123に関し、車体速度(以下、“車速”と省略する。)に係る情報を取得可能であれば、ESB−ECU29に対し、入力系統としての車速センサ123が直接接続されていることを要しない。

0049

IGキースイッチ121は、電気自動車Vに搭載された電装部品の各部に、車載バッテリ(不図示)を介して電源電圧を供給する際に操作されるスイッチである。IGキースイッチ121がオン操作されると、ESB−ECU29に電源電圧が供給されて、ESB−ECU29が起動される。車速センサ123は、電気自動車Vの車速を検出する機能を有する。車速センサ123で検出された車速に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。

0050

ブレーキペダルセンサ125は、運転者によるブレーキペダル12の操作量(ストローク量)及び加重踏力)を検出する機能を有する。ブレーキペダルセンサ125で検出されたブレーキペダル12の操作量及び加重に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
ただし、ブレーキペダルセンサ125は、単にON(踏み込まれている)/OFF(踏み込まれていない)を検出する機能を有するブレーキSWであってもよい。

0051

ホールセンサ127は、第1の電動機72の回転角度(スレーブピストン88a,88bの軸線方向における現在位置情報)を検出する機能を有する。ホールセンサ127で検出された第1の電動機72の回転角度に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。

0052

ブレーキ液圧センサPm,Ppは、ブレーキ液圧系統における第1遮断弁60aの上流側液圧、第2遮断弁60bの下流側液圧をそれぞれ検出する機能を有する。ブレーキ液圧センサPm,Ppで検出されたブレーキ液圧系統における各部の液圧情報は、ESB−ECU29へと送られる。

0053

一方、ESB−ECU29には、図3に示すように、出力系統として、前記第1の電動機72、及び、前記第1〜第3遮断弁60a,60b,62がそれぞれ接続されている。

0054

ESB−ECU29は、図3に示すように、第1の情報取得部71、速度相関値算出部(本発明の“算出部”に相当する。)73、目標制動トルク算出部75、及び、第1の制動制御部(本発明の“制御部”の一部に相当する。)77を有して構成されている。

0055

第1の情報取得部71は、IGキースイッチ121のオンオフ操作に係る情報、車速センサ123で検出される車速に係る情報、ブレーキペダルセンサ125で検出される制動操作量及び加重に係る制動操作情報、ホールセンサ127で検出される第1の電動機72に係る回転角度情報、及び、ブレーキ液圧センサPm,Ppで検出される各部の制動液圧に係る情報などを取得する機能を有する。

0056

速度相関値算出部73は、ブレーキペダルセンサ125で時々刻々と検出される制動操作量及び加重に係る制動操作情報に基づいて、制動操作量の時間微分値dVb/dtを算出する機能を有する。制動操作量の時間微分値dVb/dtは、本発明の“制動操作に係る速度相関値”に相当する。また、速度相関値算出部73は、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する際の基準として用いる基準値dVrfに対し、制動操作量の時間微分値dVb/dtを加算することにより、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する際の最終的な指標として用いる指標値dVを算出する機能を有する。

0057

ここで、前記指標値dVは、制動操作量の時間微分値dVb/dtが大きな値になるほど、換言すれば、制動操作に係る速度が急峻になるほど、大きな値になる。前記指標値dVが大きい値になると、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いが、前記基準値dVrfに対して緩和される。速度相関値算出部73で算出された前記指標値dVは、第1の制動制御部77宛に送られる。

0058

目標制動トルク算出部75は、基本的には、ブレーキペダル12の制動操作量に基づく要求制動量に応じた目標制動トルクを算出する機能を有する。また、目標制動トルク算出部75は、算出した目標制動トルクを、目標液圧制動トルク及び目標回生制動トルクに配分する。この配分にあたり、目標制動トルク算出部75は、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを参照して目標回生制動トルクを求め、その後、目標制動トルクから目標回生制動トルクを減算することにより、目標液圧制動トルクを求める。次いで、目標制動トルク算出部75は、目標液圧制動トルクを第1の制動制御部77に送る一方、目標回生制動トルクを、CAN通信媒体35を介して、PDU33が有する第3の制動制御部175宛に送る。

0059

第1の制動制御部77は、基本的には、液圧制動トルク、及び、回生制動トルクの和が、運転者の制動操作に基づく目標制動トルクに追従するように、液圧制動トルク及び回生制動トルクの協調制御を行う機能を有する。また、第1の制動制御部77は、回生制動トルクを制限する、具体的には、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する制御を行う機能を有する。さらに、第1の制動制御部77は、制動操作量の時間微分値dVb/dtが大きいほど、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを緩和する機能を有する。

0060

詳しく述べると、第1の制動制御部77は、速度相関値算出部73で算出された、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する際の最終的な指標として用いる指標値dVが、予め定められる閾値dVthを超えるか否かを判定すると共に、この判定の結果、前記指標値dVが前記閾値dVthを超えた旨の判定が下された場合に、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを、前記基準値dVrfに対して緩和した値に設定する。そして、第1の制動制御部77は、前記設定された時間変動率の回生制動トルクに基づく協調制御を実行する。

0061

前記ESB−ECU29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、ESB−ECU29が有する、各種の情報取得機能、制動操作量の時間微分値dVb/dtを算出する機能、目標制動トルクの算出及び配分機能、液圧制動トルク及び回生制動トルクの協調制御を行う機能、並びに、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する制御を行う機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。

0062

〔VSA−ECU31の構成〕
VSA−ECU31には、図3に示すように、車輪速度センサ150、アクセルペダルセンサ151、ヨーレイトセンサ152、Gセンサ153、操舵角センサ155、及び、ブレーキ液圧センサPhがそれぞれ接続されている。

0063

車輪速度センサ150FL〜150RRは、各車輪17FL〜17RR毎の回転速度(車輪速度)をそれぞれ検出する機能を有する。車輪速度センサ150FL〜150RRでそれぞれ検出される各車輪17FL〜17RR毎の回転速度に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0064

アクセルペダルセンサ151は、運転者によるアクセルペダルの操作量(ストローク量)を検出する機能を有する。アクセルペダルセンサ151で検出されたアクセルペダルの操作量に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0065

ヨーレイトセンサ152は、自車両に発生しているヨーレイトを検出する機能を有する。ヨーレイトセンサ152で検出されたヨーレイトに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0066

Gセンサ153は、電気自動車Vに発生している前後G(前後加速度)及び横G(横加速度)をそれぞれ検出する機能を有する。Gセンサ153で検出された前後G及び横Gに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0067

操舵角センサ155は、ステアリング操舵量操舵方向を含む操舵角に係る情報を検出する機能を有する。操舵角センサ155で検出されたステアリングの操舵角に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0068

ブレーキ液圧センサPhは、ブレーキ液圧系統のうちVSA装置18内の制動液圧を検出する機能を有する。ブレーキ液圧センサPhで検出されたブレーキ液圧系統のうちVSA装置18内の液圧情報は、VSA−ECU31へと送られる。

0069

一方、VSA−ECU31には、図3に示すように、出力系統として、前記第2の電動機82が接続されている。

0070

VSA−ECU31は、ABS制御機能を備えている。ABS制御機能とは、VSA装置18の制動制御を通じて車輪17FL〜17RRのロックを回避する機能を意味する。

0071

VSA−ECU31は、第2の情報取得部161、スリップ情報演算部163、及び、第2の制動制御部167を有して構成されている。

0072

第2の情報取得部161は、車輪速度センサ150FL〜150RRでそれぞれ検出される各車輪17FL〜17RR毎の回転速度(車輪速度)に係る情報、アクセルペダルセンサ151で検出されるアクセルペダルの加減速操作量に係る情報、ヨーレイトセンサ152で検出される車両に発生しているヨーレイトに係る情報、Gセンサ153で検出される車両に発生している前後G及び横Gに係る情報、操舵角センサ155で検出されるステアリング操舵角に係る情報、及び、ブレーキ液圧センサPhで検出されるVSA装置18における液圧系統の液圧情報をそれぞれ取得する機能を有する。
また、第2の情報取得部161は、ESB−ECU29からCAN通信媒体35を介して送られてくる、車速センサ123による車速に係る情報を取得する機能を有する。

0073

スリップ情報演算部163は、電気自動車Vの走行時に、第2の情報取得部161で取得した車速に係る情報及び各車輪17FL〜17RR毎の回転速度(車輪速度)に係る情報に基づいて、各車輪17FL〜17RR毎のスリップ率(スリップ情報)を演算により求める機能を有する。スリップ情報演算部163で求められた各車輪17FL〜17RR毎のスリップ率に係る情報は、第2の制動制御部167において、ABS制御の開始条件の成否を判定する際などに適宜参照される。

0074

第2の制動制御部167は、基本的には、スリップ情報演算部163で求められる各車輪17FL〜17RR毎のスリップ率に係る情報などに基づいて、ABS制御の開始条件成否判定を行う。この判定の結果、ABS制御の開始条件が成立した旨の判定が下された場合、第2の制動制御部167は、各車輪17FL〜17RRのスリップを抑制するように、VSA装置18による制動液圧調整機能の発揮によって、各車輪17FL〜17RR毎の制動制御を行うように動作する。

0075

〔PDU33の構成〕
PDU33は、図3に示すように、第3の情報取得部171、及び、第3の制動制御部(本発明の“制御部”の一部に相当する。)175を有して構成されている。

0076

第3の情報取得部171は、図3に示すように、アクセルペダルセンサ151で検出されるアクセルペダルの加減速操作量に係る情報、及び、ABS制御の開始条件成立に係る情報を、VSA−ECU31及びCAN通信媒体35をそれぞれ介して取得する機能を有する。第3の情報取得部171で取得されるアクセルペダルの加減速操作量に係る情報は、第3の制動制御部175において、第3の電動機92の力行トルクを設定する際などに適宜参照される。

0077

また、第3の情報取得部171は、図3に示すように、目標回生制動トルクに係る情報を、ESB−ECU29及びCAN通信媒体35をそれぞれ介して取得する機能を有する。目標回生制動トルクに係る情報は、第3の制動制御部175において、目標回生制動トルクに追従するように、第3の電動機92の発電機としての駆動によって回生制動トルクを発生させる制御を行う際に適宜参照される。

0078

第3の制動制御部175は、車速センサ123で検出される車速に係る情報、第3の情報取得部171で取得されるアクセルペダルの加減速操作量に係る情報、及び、レンジポジションに係る情報などに基づいて、予め定められる力行トルクマップを参照して、第3の電動機92の力行トルクを設定する機能を有する。

0079

また、第3の制動制御部175は、電気自動車Vに作用する回生制動トルクが、ESB−ECU29の目標制動トルク算出部75から送られてきた目標回生制動トルクに追従するように、第3の電動機92の発電機としての駆動によって回生制動トルクを発生させる制御を行うように動作する。

0080

〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作説明に供するフローチャート図である。

0081

テップS11において、第1の情報取得部71は、ブレーキペダルセンサ125で検出される制動操作量及び加重に係る制動操作情報を含む各種情報を取得する。

0082

ステップS12において、速度相関値算出部73は、ブレーキペダルセンサ125で時々刻々と検出される制動操作情報に基づいて、制動操作量の時間微分値dVb/dtを算出する。

0083

ステップS13において、速度相関値算出部73は、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する際の基準として用いる基準値dVrfに対し、ステップS12で算出された制動操作量の時間微分値dVb/dtを加算することにより、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する際の最終的な指標として用いる指標値dVを算出する。

0084

ステップS14において、第1の制動制御部77は、前記指標値dVが、予め定められる閾値dVthを超えるか否かを判定する。ステップS14の判定の結果、前記指標値dVが前記閾値dVthを超えない旨の判定が下された場合(ステップS14のNo)、第1の制動制御部77は、処理の流れをステップS15へ進ませる。一方、前記指標値dVが前記閾値dVthを超えた旨の判定が下された場合(ステップS14のYes)、第1の制動制御部77は、処理の流れをステップS16へジャンプさせる。

0085

ステップS15において、第1の制動制御部77は、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを、前記基準値dVrfに設定する。前記基準値dVrfとしては、実験シミュレーションによる検証に基づく値を適宜設定すればよい。

0086

一方、ステップS16において、第1の制動制御部77は、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを、前記基準値dVrfに対して緩和した値(指標値dV)に設定する。

0087

ステップS17において、第1の制動制御部77は、ステップS15又はステップS16で設定された時間変動率の回生制動トルクに基づく協調制御を実行する。

0088

次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作について、図5A及び図5Bを参照して説明する。図5Aは、比較例に係る車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。図5Bは、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作説明に供するタイムチャート図である。

0089

はじめに、比較例に係る車両用制動装置の動作について説明する。比較例に係る車両用制動装置とは、前記特許文献1(特開2011−259541号公報)に係る協調制御技術が適用された装置である。
図5A時刻t0〜t1直前に至る期間において、電気自動車Vは、定速走行状態にある(図5A(a)参照)。同期間において、運転者による要求制動トルクの値はゼロである(図5A(b)参照)。同様に、回生制動トルク及び液圧制動トルクの各値もゼロである(図5A(c),(d)参照)。

0090

図5Aの時刻t1において、運転者による急峻な制動操作がなされた(図5A(b)参照)。これを受けて、比較例に係る車両用制動装置は、下記するように、急変した回生制動トルクにフィルタ処理を施し、フィルタ処理後の応答特性を鈍らせた回生制動トルクに基づいて協調制御を行う。

0091

図5Aの時刻t1〜t2の期間において、運転者による要求制動トルクの値はT1を維持している(図5A(b)参照)。同期間において、回生制動トルクの値は、ゼロからT1まで線形立ち上がっている(図5A(c)参照)。一方、液圧制動トルクの値は、前記回生制動トルクの特性とは逆に、T1からゼロまで線形に立ち下がっている(図5A(d)参照)。その結果、同期間において、電気自動車Vは、減速走行状態にある(図5A(a)参照)。

0092

図5Aの時刻t2以降の期間において、運転者による要求制動トルクの値は、引き続きT1を維持している(図5A(b)参照)。同期間において、回生制動トルクの値も、要求制動トルクの値と同様に、T1を維持している(図5A(c)参照)。液圧制動トルクの値は、ゼロである(図5A(d)参照)。その結果、同期間において、電気自動車Vは、引き続き減速走行状態を維持している(図5A(a)参照)。

0093

次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の動作について説明する。
図5Bの時刻t0〜t11直前の期間において、電気自動車Vは、定速走行状態にある(図5B(a)参照)。同期間において、運転者による要求制動トルクの値はゼロである(図5B(b)参照)。同様に、回生制動トルク及び液圧制動トルクの各値もゼロである(図5B(c),(d)参照)。

0094

図5Bの時刻t11において、運転者による急峻な制動操作がなされた(図5B(b)参照)。これを受けて、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の第1の制動制御部77は、下記するように、制動操作量の時間微分値dVb/dtが大きいほど、回生制動トルクに係る時間変動率を制限する度合いを緩和(回生制動トルクに係る時間変動率の制限を解除する態様を含む)し、設定された時間変動率の回生制動トルクに基づいて協調制御を行う。図5Bに示す例では、車両用制動装置11の第1の制動制御部77が、回生制動トルクに係る時間変動率の制限を解除(制限なし)する例を示している。

0095

図5Bの時刻t11以降の期間において、運転者による要求制動トルクの値はT1を維持している(図5B(b)参照)。同期間において、回生制動トルクの値も、要求制動トルクの値と同様に、T1を維持している(図5B(c)参照)。回生制動力に係る時間変動率の制限が解除されているからである。液圧制動トルクの値は、ゼロである(図5B(d)参照)。その結果、同期間において、電気自動車Vは、減速走行状態を維持している(図5B(a)参照)。

0096

〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の作用効果
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置11は、電気自動車(車両)Vに液圧制動力を発生させる液圧制動機構(液圧制動部)24FL〜24RRと、電気自動車Vに回生制動力を発生させるインバータ19、PDU33、及び第3の電動機92(回生制動部)と、運転者による制動操作量の時間微分値(制動操作に係る速度相関値)dVb/dtを算出する速度相関値算出部(算出部)73と、液圧制動部による液圧制動力、及び回生制動部による回生制動力の和が、運転者の制動操作に基づく目標制動力に追従するように、液圧制動力及び回生制動力の協調制御を行うと共に、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)制御を行う第1の制動制御部77及び第3の制動制御部175(制御部)と、を備える。制御部は、制動操作量の時間微分値(制動操作に係る速度相関値)dVb/dtに基づいて、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを変更する。

0097

第1の観点に基づく車両用制動装置11によれば、制御部は、制動操作量の時間微分値(制動操作に係る速度相関値)dVb/dtに基づいて、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを変更するため、例えば、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを緩和すれば、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0098

また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用制動装置11は、第1の観点に基づく車両用制動装置11であって、制御部は、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを緩和するように構成される。

0099

第2の観点に基づく車両用制動装置11によれば、制御部は、制動操作に係る速度相関値が大きいほど、回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを緩和するため、第1の観点に基づく車両用制動装置11と同様に、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0100

また、第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用制動装置11は、第1の観点に基づく車両用制動装置11であって、制御部は、初期段階の制動操作時であり、かつ、当該制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを緩和するように構成される。ここで、初期段階の制動操作時とは、ブレーキペダル12から乗員の足部が離れている状態を経てブレーキペダル12を踏み初める操作が行われている期間を意味する。

0101

第3の観点に基づく車両用制動装置11によれば、制御部は、初期段階の制動操作時であり、かつ、当該制動操作に係る速度相関値が大きいほど、前記回生制動力を制限する(回生制動力に係る時間変動率を制限する)度合いを緩和するため、制動操作に係る速度相関値が大きくなる蓋然性の高い初期段階の制動操作段階において、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持することができる。

0102

また、第4の観点(請求項4に対応)に基づく車両用制動装置11は、第1〜第3のうちいずれか一の観点に基づく車両用制動装置11であって、回生制動力の制限は、当該回生制動力に係る時間変動率を制限することにより行われるように構成される。

0103

第4の観点に基づく車両用制動装置11によれば、回生制動力の制限は、当該回生制動力に係る時間変動率を制限することにより行われるため、回生制動力の大きさを単に制限する場合と比べて、回生制動トルクの急変が生じた場合において、制動操作フィーリング及び回生効率を適切かつ良好に維持する効果を期待することができる。

0104

〔参考例(必要に応じて全部又は一部が実施例に組み込まれる)〕
ところで、例えば、前述した初期段階の制動操作時(ブレーキペダル12の踏み初め操作時)の他にも、要求制動トルクの増加を生じる場面がある。踏み込み操作中にブレーキペダル12をさらに踏み込むブレーキペダル12の踏み増し操作時がそれである。
いま、初期段階の制動操作時では、液圧制動トルクによって要求制動トルクを満たしているところ、ブレーキペダル12の踏み増し操作に伴って要求制動トルクが増加した際において、主として回生制動トルクによって要求制動トルクを賄う(液圧制動トルクを補助的に用いる)ケースを想定する。

0105

前記参考例のケースにおける車両用制動装置の動作を、図6を参照して説明する。図6は、参考例に係る車両用制動装置の動作説明に供するタイムチャート図である。
前記参考例のケースでは、(制動操作時の違和感を運転者に抱かせることがないように)液圧制動トルクを漸減させる前提で、要求制動トルクから、前記漸減分の液圧制動トルクを減算した大きさの制動トルクを、回生制動トルクによって賄うことになる。ただし、第3の電動機92を用いて発生可能な回生制動トルクの大きさは、回生電力を蓄積する蓄電池充電状態ギア位置状態等に依存して時々刻々と変動することがわかっている。

0106

図6の時刻t0〜t21直前に至る期間において、電気自動車Vは、定速走行状態にある(図6(a)参照)。同期間において、運転者による要求制動トルクの値はゼロである(図6(b)参照)。同様に、回生制動トルク及び液圧制動トルクの各値もゼロである(図6(c),(d)参照)。

0107

図6の時刻t21において、運転者による急峻な制動操作(要求制動トルク値:T2)がなされた(図6(b)参照)。これを受けて、参考例に係る車両用制動装置は、液圧制動トルクによって要求制動トルク値T2を満たすように制動制御を行う。その結果、同時刻t21において、液圧制動トルクの値は、ゼロからT2に至るまで急峻に立ち上がっている(図6(d)参照)。

0108

図6の時刻t21〜t22直前に至る期間において、運転者による要求制動トルク値はT2を維持している(図6(b)参照)。同期間において、回生制動トルクの値は、ゼロを維持している(図6(c)参照)。これに対し、液圧制動トルクの値はT2を維持している(図6(d)参照)。その結果、同期間において、電気自動車Vは、減速走行状態にある(図6(a)参照)。

0109

図6の時刻t22〜t23に至る期間において、運転者による踏み増し制動操作(最終的な要求制動トルク値:T3)がなされた(図6(b)参照)。これを受けて、参考例に係る車両用制動装置は、図6の時刻t22〜t24に至る期間において、主として回生制動トルクによって要求制動トルク値T3を賄う(液圧制動トルクを補助的に用いる)ように制動制御を行う。

0110

詳しく述べると、運転者による要求制動トルクの経時特性は、時刻t22〜t23に至る期間において、T2〜T3に至るまで線形に立ち上がった後、時刻t23以降の期間において、T3を維持する特性を示す(図6(b)参照)。

0111

図6の時刻t22〜t24に至る期間において、液圧制動トルクの経時特性は、T2からゼロに至るまで線形に漸減した後、時刻t24以降の期間においてゼロを維持する特性を示す(図6(d)参照)。なお、時刻t22〜t24に至る期間における液圧制動トルクの時間変動率(液圧制動トルクの時間微分値)特性は、液圧制動トルクの減少が生じた際に、例えば、制動操作に係る違和感を運転者に抱かせることのないことを考慮して予め設定された特性を採用すればよい。

0112

図6の時刻t22〜t24に至る期間において、回生制動トルクの経時特性は、同時刻t22〜t24に至る期間における要求制動トルクの経時特性から、同時刻t22〜t24に至る期間における液圧制動トルクの経時特性を減算した特性とされる(図6(c)参照)。ただし、回生制動トルクの経時特性は、第3の電動機92が発生可能な回生制動トルクの上限特性(図6(c)参照)を下回る範囲に制限される。
要するに、回生制動トルクの経時特性は、第3の電動機92が発生可能な回生制動トルクの上限を超えないこと、制動操作に係る違和感を運転者に抱かせることがないこと、及び、回生効率を可能な限り良好に維持することの諸点を考慮した特性に設定される。

0113

換言すれば、参考例に係る車両用制動装置では、制動操作に係る違和感を運転者に抱かせることのないことを考慮して設定された液圧制動トルクの時間変動率(図6(d)参照)と、要求制動トルクの踏み増し分に係る時間変動率(図6(b)の時刻t22〜t23に至る期間においてT2を超える部分の時間変動率)とを統合した統合後の時間変動率、及び、第3の電動機92が発生可能な回生制動トルクの時間変動率(図6(c)参照)のうち小さい方の時間変動率を用いて、回生制動トルクの経時特性を設定する。
これにより、参考例に係る車両用制動装置によれば、液圧制動制御と回生制動制御とを協調させる協調制御時の制動操作フィーリング及び回生効率を良好に維持する効果を期待することができる。

0114

〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。

0115

例えば、本発明に係る実施形態において、ESB−ECU29、VSA−ECU31、及び、PDU33の各間を、CAN通信媒体35を介して相互に情報交換可能に接続する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。ESB−ECU29、VSA−ECU31、及び、PDU33が有する各種の機能部を、ひとつのECUに集約する構成を採用してもよい。この場合において、例えば、情報取得部、制動制御部を含む各種の機能部は、それぞれの機能を集約するように構成すればよい。

0116

また、本発明に係る実施形態において、動力源として第3の電動機92を搭載した電気自動車Vに対して、本発明の実施形態に係る車両用制動装置11を適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。動力源として第3の電動機92及びレシプロエンジンを搭載したハイブリッド車両に対して、本発明を適用してもよい。

0117

また、本発明に係る実施形態において、制動操作量の時間微分値(制動操作に係る速度相関値)dVb/dtに基づいて、回生制動力に係る時間変動率を制限する度合いを変更する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、制動操作量の時間微分値(制動操作に係る速度相関値)dVb/dtに基づいて、液圧制動力と回生制動力の配分量及び/又は配分比を変更する(例えば、制動操作に係る速度相関値が大きい場合に、液圧制動力に対する回生制動力の配分量及び/又は配分比を増大させる(回生制動力の制限を緩和する)構成を採用してもよい。この場合において、液圧制動力の大きさをゼロに設定する構成を採用してもよい。

0118

11車両用制動装置
19インバータ(回生制動部)
24FL〜24RR液圧制動機構(液圧制動部)
33PDU(回生制動部)
73 速度相関値算出部(算出部)
77 第1の制動制御部(制御部)
92 第3の電動機(回生制動部)
175 第3の制動制御部(制御部)
V電気自動車(車両)

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