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課題
解決手段
概要
背景
一般に広く使用されているワクチンは、微生物もしくはウイルス等の病原体またはその一部の毒性を弱めるか無効化したもので、生体に投与されることにより感染症予防のための免疫を誘導するものである。ワクチン製剤の剤形としては、現在製品化されているそのほとんどが注射剤である。
ワクチン投与による免疫の誘導には、皮下又は皮内注射、筋肉注射等の注射が一般的に利用される。特に、微生物やウイルスは、そのサイズの為に皮膚からの侵入が阻止されているため、ワクチンは、侵襲的に体内に投与される必要がある。
しかし、注射には、痛み、恐怖心、注射痕およびそれに続く瘢痕化等が患者の心身的負担になることや、繰り返し投与が必要な場合は通院が患者生活の負担になることが問題となっている。さらに、注射行為が医療従事者にしか許されていないこと、免疫効果の高い皮内注射は投与手技が難しいこと、医療従事者の針刺し感染事故のリスクがあること、注射針等の特殊廃棄が必要な医療廃棄物が生じること等も問題となっており、注射は必ずしも最適な投与経路とはいえない。
そこで、粘膜からのワクチン接種が注目を浴び、インフルエンザウイルスを抗原として用いた粘膜投与(経鼻投与及び経口投与)型ワクチンの開発が行われた。例えば、特許文献1では、免疫賦活化剤として、パントエア菌由来リポポリサッカライドを使用し、抗原とともに経鼻投与することで免疫誘導が可能であるという例が示されている。また、特許文献2では、パントエア菌由来リポポリサッカライドを配合したワクチンを口腔内投与することで、充分な免疫応答が誘導されている。
しかしながら、鼻腔粘膜への抗原の投与は、効果は高いが急性脳症等の重篤な副作用の可能性も高く、また老人や乳児等では経鼻投与自体が煩雑で難しく、更に鼻水等の身体的要因により安定した効果が得られない問題があった。
また、パントエア菌由来リポポリサッカライドを配合したワクチンを経皮投与により免疫誘導できるかどうかは開示されておらず、経皮免疫に適した剤形も開示されていなかった。
概要
安全で、癌又は感染症の予防又は治療剤として有用で、安全かつ効果的に全身性免疫応答を誘導させることのできる経皮投与用ワクチン医薬組成物を提供する。ヒト又は動物の皮膚に投与される経皮投与用ワクチン医薬組成物であって、免疫賦活化剤として、少なくとも1種の特定のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩と、少なくとも一種類の抗原とを含み、上記免疫賦活化剤と前記抗原との質量比(免疫賦活化剤の総質量/抗原の総質量)が、0.002〜500である経皮投与用ワクチン医薬組成物。なし
目的
本発明は、上記現状に鑑み、安全で、癌又は感染症の予防又は治療剤として有用で、安全かつ効果的に全身性免疫応答を誘導させることのできる経皮投与用ワクチン医薬組成物を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
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この技術が所属する分野
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請求項1
ヒト又は動物の皮膚に投与される経皮投与用ワクチン医薬組成物であって、免疫賦活化剤として、Serratia、Leclercia、Rahnella、Acidicaldus、Acidiphilium、Acidisphaera、Acidocella、Acidomonas、Asaia、Belnapia、Craurococcus、Gluconacetobacter、Gluconobacter、Kozakia、Leahibacter、Muricoccus、Neoasaia、Oleomonas、Paracraurococcus、Rhodopila、Roseococcus、Rubritepida、Saccharibacter、Stella、Swaminathania、Teichococcus、Zavarzinia、Pseudomonas、Achromobacter、Bacillus、Methanoculleus、Methanosarcina、Clostridium、Micrococcus、Flavobacterium、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterからなる群より選択される少なくとも1種のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩と、少なくとも一種類の抗原とを含み、前記免疫賦活化剤と前記抗原との質量比(免疫賦活化剤の総質量/抗原の総質量)が、0.002〜500であることを特徴とする経皮投与用ワクチン医薬組成物。
請求項2
請求項3
請求項4
請求項5
感染症疾患の予防のために用いられる請求項1、2又は3記載の経皮投与用ワクチン医薬組成物。
請求項6
癌の予防又は治療のために用いられる請求項1、2又は3記載の経皮投与用ワクチン医薬組成物。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、癌若しくは感染症の予防又は治療剤として有用な経皮投与用ワクチン医薬組成物に関する。特に本発明は、特定のリポポリサッカライドを免疫賦活化剤として、抗原とともに経皮投与することで安全で、効果的に全身性免疫応答を誘導せしめることが可能なワクチン医薬組成物に関する。
背景技術
0002
一般に広く使用されているワクチンは、微生物もしくはウイルス等の病原体またはその一部の毒性を弱めるか無効化したもので、生体に投与されることにより感染症予防のための免疫を誘導するものである。ワクチン製剤の剤形としては、現在製品化されているそのほとんどが注射剤である。
0003
ワクチン投与による免疫の誘導には、皮下又は皮内注射、筋肉注射等の注射が一般的に利用される。特に、微生物やウイルスは、そのサイズの為に皮膚からの侵入が阻止されているため、ワクチンは、侵襲的に体内に投与される必要がある。
0004
しかし、注射には、痛み、恐怖心、注射痕およびそれに続く瘢痕化等が患者の心身的負担になることや、繰り返し投与が必要な場合は通院が患者生活の負担になることが問題となっている。さらに、注射行為が医療従事者にしか許されていないこと、免疫効果の高い皮内注射は投与手技が難しいこと、医療従事者の針刺し感染事故のリスクがあること、注射針等の特殊廃棄が必要な医療廃棄物が生じること等も問題となっており、注射は必ずしも最適な投与経路とはいえない。
0005
そこで、粘膜からのワクチン接種が注目を浴び、インフルエンザウイルスを抗原として用いた粘膜投与(経鼻投与及び経口投与)型ワクチンの開発が行われた。例えば、特許文献1では、免疫賦活化剤として、パントエア菌由来リポポリサッカライドを使用し、抗原とともに経鼻投与することで免疫誘導が可能であるという例が示されている。また、特許文献2では、パントエア菌由来リポポリサッカライドを配合したワクチンを口腔内投与することで、充分な免疫応答が誘導されている。
しかしながら、鼻腔粘膜への抗原の投与は、効果は高いが急性脳症等の重篤な副作用の可能性も高く、また老人や乳児等では経鼻投与自体が煩雑で難しく、更に鼻水等の身体的要因により安定した効果が得られない問題があった。
また、パントエア菌由来リポポリサッカライドを配合したワクチンを経皮投与により免疫誘導できるかどうかは開示されておらず、経皮免疫に適した剤形も開示されていなかった。
先行技術
0006
特開2009−242367号公報
特開2013−231026号公報
発明が解決しようとする課題
0007
本発明は、上記現状に鑑み、安全で、癌又は感染症の予防又は治療剤として有用で、安全かつ効果的に全身性免疫応答を誘導させることのできる経皮投与用ワクチン医薬組成物を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0008
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、Serratia、Leclercia、Rahnella、Acidicaldus、Acidiphilium、Acidisphaera、Acidocella、Acidomonas、Asaia、Belnapia、Craurococcus、Gluconacetobacter、Gluconobacter、Kozakia、Leahibacter、Muricoccus、Neoasaia、Oleomonas、Paracraurococcus、Rhodopila、Roseococcus、Rubritepida、Saccharibacter、Stella、Swaminathania、Teichococcus、Zavarzinia、Pseudomonas、Achromobacter、Bacillus、Methanoculleus、Methanosarcina、Clostridium、Micrococcus、Flavobacterium、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterからなる群より選択される少なくとも1種のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩を免疫賦活化剤として、抗原と共に経皮投与することで、安全で、効果的に全身性免疫応答を誘導させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
0009
即ち、本発明は、ヒト又は動物の皮膚に投与される経皮投与用ワクチン医薬組成物であって、免疫賦活化剤として、Serratia、Leclercia、Rahnella、Acidicaldus、Acidiphilium、Acidisphaera、Acidocella、Acidomonas、Asaia、Belnapia、Craurococcus、Gluconacetobacter、Gluconobacter、Kozakia、Leahibacter、Muricoccus、Neoasaia、Oleomonas、Paracraurococcus、Rhodopila、Roseococcus、Rubritepida、Saccharibacter、Stella、Swaminathania、Teichococcus、Zavarzinia、Pseudomonas、Achromobacter、Bacillus、Methanoculleus、Methanosarcina、Clostridium、Micrococcus、Flavobacterium、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterからなる群より選択される少なくとも1種のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩と、少なくとも一種類の抗原とを含み、前記免疫賦活化剤と前記抗原との質量比(免疫賦活化剤の総質量/抗原の総質量)が、0.002〜500であることを特徴とする経皮投与用ワクチン医薬組成物である。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物の剤形は、貼付剤であることが好ましい。
上記貼付剤は、支持体と、粘着剤を含む粘着剤層とを備え、上記粘着剤層は、親水性基材を含むことが好ましい。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、液性免疫を誘導するために用いられるものであることが好ましい。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、感染症疾患の予防のために用いられるものであることが好ましい。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、癌の予防又は治療のために用いられるものであることが好ましい。
また、上記抗原は、感染症由来抗原及び/又は癌抗原であることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
0010
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、少なくとも一種類の抗原を含有する。
上記抗原とは、被験生物体によって生じる免疫応答の標的であることができるあらゆる物質を指し、なかでも、感染症由来抗原及び/又は癌抗原であることが好ましい。
また、上記感染症由来抗原は、免疫担当細胞に接触した際に、免疫応答(例えば、免疫担当細胞の成熟、サイトカイン産生量の増加、抗体産生の促進等)の標的であってもよい。
上記感染症由来抗原を含有する経皮投与用ワクチン医薬組成物は、対象となる生物体内であらかじめ抗体を形成させて、感染症疾患を予防する目的で利用されることが望ましい。本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、液性免疫を活性化させることに適している。
0011
本発明で使用する感染症由来抗原としては、感染性病原体及び感染性病原体由来の抗原であれば特に限定されない。
上記感染性病原体から罹る疾患としては特に限定されず、例えば、アデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV−I、HSV−II)、水痘・帯状疱疹ウイルス(CMV)、サイトメガロウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス又はカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡若しくはワクシニア、又は、伝染性軟属腫等のオルトポックスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス、風邪ウイルス、A型肝炎ウイルス、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、はしかウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)又はニューカッスル病ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSコロナウイルス)、パポバウイルス(例えば、生殖器疣、尋常性胱贅、又は、足底疣費を引き起こすもの等のヒト乳頭腫(ヒトパピローマ)ウイルス)、パルボウイルス(例えばアデノ随伴ウイルス)、トガウイルス(例えば風疹ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス又はG型肝炎ウイルス)、へぺウイルス(例えば、E型肝炎ウイルス)、カリシウイルス(例えばノロウイルス)、ラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルスまたは水疱性口内炎ウイルス)、フィロウイルス(例えばエボラ出血熱ウイルス)、アレナウイルス(例えばラッサウイルスまたはD型肝炎ウイルス)、ブニヤウイルス(例えばカリフォルニア脳炎ウイルスまたはリフトバレー熱ウイルス)、レオウイルス(例えばロタウイルス)またはレトロウィルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)等のレンチウイルスまたは成人T細胞白血病ウイルス)による感染から罹る疾患等のウイルス疾患、エシェリキア属、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、又は、ボルデテラ等の細菌感染から罹る疾患等の細菌疾患、クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎をはじめとするがこれに限定されるものではない真菌疾患、マラリア、ニューモシステイスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、及び、トリパノソーマ感染等が挙げられる。
0012
本発明において、上記感染症由来抗原は、インフルエンザウイルス由来抗原、ヒトパピローマウイルス由来抗原、及び、肺炎球菌由来抗原からなる群より選択される少なくとも1種類であることが好ましく、なかでも、インフルエンザウイルス由来抗原であることがより好ましい。
ここで、上記インフルエンザウイルスとは、オルソミクソウイルス科に属する直径約100nmの粒子サイズを有するRNAエンベロープウイルスであり、内部タンパクの抗原性に基づいて、A、B及びC型に分けられる。上記インフルエンザウイルスは、脂質二重層構造を有するウイルスエンベロープに取り囲まれた内部ヌクレオキャプシド又は核タンパク質と会合したリボ核酸(RNA)のコアと、外部糖タンパク質とからなる。上記ウイルスエンベロープの内層は、主としてマトリックスタンパク質で構成され、外層は大部分が宿主由来脂質物質で構成される。また、上記インフルエンザウイルスのRNAは、分節構造をとる。なお、世界中で大流行するインフルエンザは、A型インフルエンザウイルスによるものであり、このA型インフルエンザウイルスは、ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)の2種類のエンベロープ糖タンパク質を有し、抗原性の違いによってHAでは16種、NAでは9種の亜型に区別されている。
本発明においては、上記感染症由来抗原としては、A型及びB型インフルエンザウイルス由来抗原が好適に用いられる。なお、上述したA型及びB型インフルエンザウイルスの亜型としては特に限定されず、これまで単離された亜型であっても将来単離される亜型であってもよい。
0013
本発明において、インフルエンザウイルス由来抗原としては、上記インフルエンザウイルスを構成する種々の成分の少なくとも一部であれば特に限定されるものではなく、例えば、精製ウイルス粒子を脂質エンベロープが可溶化されるように有機溶媒/界面活性剤若しくは他の試薬で分解されたサブビリオン、又は、HA及びNAを始めとするウイルスサブユニットでもよく、ウイルス全粒子でもよい。免疫原性の観点から、HAサブユニット又はウイルス全粒子が好ましい。上記ウイルス全粒子は、ホルマリン等により不活化されたものがより好ましい。
上記インフルエンザウイルス抗原の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が限定なく使用できる。例えば、インフルエンザ感染動物又はインフルエンザの患者から単離されたウイルス株をニワトリ卵等に感染させて常法により培養し、精製したウイルス原液から抗原を調製する方法が挙げられる。また、遺伝子工学的に培養細胞中で調製したウイルス由来の抗原を用いてもよい。
0014
本明細書において使用するとき、用語「薬理学的に許容される塩」は、投与対象に有害な作用を及ぼさず、かつ、ワクチン医薬組成物中の配合成分の薬理活性を消失させない塩を意味し、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、リン酸塩)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、フタル酸塩、TFA塩)、金属塩(例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、アルミニウム塩)、アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩、ジエタノールアミン塩、t−ブチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アルギニン塩、ジメチルアンモニウム塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。
0015
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物において、上記抗原は有効量含有されていればよいが、例えば、本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物中、1個体に1回投与量あたり0.01〜10000μgの範囲で含有されていることが好ましい。0.01μg未満であると、感染症や癌の予防又は治療剤としての機能が不充分となることがあり、10000μgを超えると、安全性に関して問題となることがある。上記抗原含有量のより好ましい下限は0.1μgであり、より好ましい上限は5000μgである。
本明細書にいう「抗原の質量」は、特記する場合を除き、ワクチン組成物中の抗原に含まれる抗原タンパク質の質量のことである。したがって、抗原が、ウイルス等生体由来物質である場合は、その抗原に含まれる全タンパク質の質量を意味する。
また、本明細書にいう「1個体」とは、任意の哺乳動物であってよく、好ましくはヒトである。
0016
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、免疫賦活化剤を含有する。
本明細書において使用するとき、用語「免疫賦活化剤」は、共に投与される抗原の作用を補助、増強、改良するあらゆる物質を意味し、「アジュバント」と言い換えることもできる。
上記免疫賦活化剤としては、トール様受容体4(TLR4)アゴニストが挙げられ、本発明では、該トール様受容体4(TLR4)アゴニストとして、特定のリポポリサッカライド又はその誘導体若しくは塩が用いられる。
なお、本明細書にいう「リポポリサッカライド(lipopolysaccharide、以下、LPSと記載することがある)」は、リポポリサッカライドそれ自体のほか、その性質を有する限りその誘導体であってもよい。本明細書にいう塩とは、任意の有機酸または無機酸であってよいが、好ましくは薬学的に許容される塩である。
0017
上記LPSは、大腸菌、サルモネラ菌、百日咳菌等のグラム陰性細菌細胞壁のペプチドグリカンを囲む外膜に存在している脂質および糖からなる複合化合物であり、O抗原及びエンドトキシンの活性成分として知られている[ジェー・エム・ギューセン及びアール・ハッケンベック(J.M.Ghuysen and R.Hakenbeck)編、「ニュー・コンプリヘンシブ・バイオケミストリー(New Comprehensive Biochemistry)」、第27巻、バクテリアル・セル・ウオール(Bacterial Cell Wall)、第18ページ、エルセヴィア(Elsevea)、1994年]。
上記LPSの基本構造は、特異な脂質を有するリピドA、それに共有結合したRコアと呼ばれるオリゴ糖、さらにO特異多糖の3成分よりなっている(「日経バイオテクノロジー最新用語辞典」、第431ページ、日経マグロウヒル社、1985年)。
0018
上記O特異多糖の構造は、構成成分の中で最も多様であり、菌種に特異的であって、いわゆるO抗原としての活性を示す。一般に数種の単糖からなるオリゴ糖の繰返し構造を特徴とするが、同一単糖からなるもの、または繰返し構造でないものも知られている。
0019
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、上記免疫賦活化剤として、特定のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩を含む。これらは、多くの食品、漢方薬に含まれ、生体への安全性が担保されており、これらの菌由来の抽出物又はその改変体をそのまま用いることも可能である。
0020
上記免疫賦活化剤に用いられるリポポリサッカライドの由来細菌としては、Serratia(Pantoea菌近種/パン、肉類、牛乳、常在細菌の一種)、Leclercia(Pantoea菌近種/食品全般(土壌菌))、Rahnella(Pantoea菌近種/常在細菌の一種)、Acidicaldus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Acidiphilium(酢酸菌類/発酵食品製造)、Acidisphaera(酢酸菌類/発酵食品製造)、Acidocella(酢酸菌類/発酵食品製造)、Acidomonas(酢酸菌類/発酵食品製造)、Asaia(酢酸菌類/発酵食品製造)、Belnapia(酢酸菌類/発酵食品製造)、Craurococcus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Gluconacetobacter(酢酸菌類/発酵食品製造)、Gluconobacter(酢酸菌類/発酵食品製造)、Kozakia(酢酸菌類/発酵食品製造)、Leahibacter(酢酸菌類/発酵食品製造)、Muricoccus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Neoasaia(酢酸菌類/発酵食品製造)、Oleomonas(酢酸菌類/発酵食品製造)、Paracraurococcus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Rhodopila(酢酸菌類/発酵食品製造)、Roseococcus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Rubritepida(酢酸菌類/発酵食品製造)、Saccharibacter(酢酸菌類/発酵食品製造)、Stella(酢酸菌類/発酵食品製造)、Swaminathania(酢酸菌類/発酵食品製造)、Teichococcus(酢酸菌類/発酵食品製造)、Zavarzinia(酢酸菌類/発酵食品製造)、Pseudomonas(シュードモナス菌類/牛肉、卵、肉類、魚介類、野菜)、Achromobacter(アクロモバクター菌類/魚介類、肉類)、Bacillus(バシラス菌類/米、野菜)、Methanoculleus(メタン産生菌類/動物の腸に寄生するメタン産生菌)、Methanosarcina(メタン産生菌類/動物の腸に寄生するメタン産生菌)、Clostridium(クロストリジウム菌類/肉類、牛乳、野菜、缶詰)、Micrococcus(放射菌類/肉類、魚介類)、Flavobacterium(バクロイデス菌類/食品の腐敗菌)、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterが挙げられる。これらは、多くの食品に含まれるものであるか、食品の製造工程で用いられるものであるため、生体への安全性が担保されている。
なかでも、Serratia、Leclercia、Rahnella、Acidicaldus、Acidiphilium、Acidisphaera、Acidocella、Acidomonas、Asaia、Belnapia、Craurococcus、Gluconacetobacter、Gluconobacter、Kozakia、Leahibacter、Muricoccus、Neoasaia、Oleomonas、Paracraurococcus、Rhodopila、Roseococcus、Rubritepida、Saccharibacter、Stella、Swaminathania、Teichococcus、Zavarzinia、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
より好ましくは、上記グラム陰性菌としては、Pantoea、Acetobacter、Zymomonas、Xanthomonas、及び、Enterobacterからなる群より選択される少なくとも1種である。特にPantoea由来リポポリサッカライドは、現在健康食品として用いられており、特に経口的に投与する際により有効であるといえる。これらの菌由来の抽出物又はその改変体をそのまま用いることも可能である。
0021
また、上記グラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩を用いる場合には、一般的には生体への安全性を加味する必要があり、これらを解毒化するための改変体として用いることもできる。
0022
また、上記トール様受容体4(TLR4)アゴニストとしては、上記特定のリポポリサッカライドの誘導体、例えば、多糖部分を除去したリピドA又はモノホスホリルリピッドA、3−脱−アシル化MPL等が挙げられ、若しくは塩であってもよい。
上記リポポリサッカライドの多糖部分を除去したリピドAとしては、上記特定のグラム陰性菌由来の単離物であればよく、あるいはこれらのグラム陰性菌由来の単離物と同じ構造になるように合成した物を用いてもよい。
また、上記リピドAの改変体としては、脱リン酸化を行ったモノホスホリルリピッド(MPL)又は塩も好適に用いられる。なお、本明細書にいうモノホスホリルリピッドは、モノホスホリルリピッドそれ自体のほか、その性質を有する限りその誘導体であることができる。特に既に医療用途で免疫賦活化剤として実績がある3−脱−アシル化物モノホスホリルリピッド(3D−MPL)、又は、米国特許出願公開第2010/0310602号明細書で提案されている脱アシル化されていない合成Glucopyranosyl lipidが生体への安全性の観点から好ましい。
また、上記モノホスホリルリピッドとしては、安全性及び使用前例のあるサルモネラ菌由来のものも好適に用いられる。
0023
本発明で使用する免疫賦活化剤としては、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)由来LPSがさらに好ましい。なかでも、タンパク質マーカーを用いてSDS−PAGE法で測定した分子量が、5000±3000(2000〜8000)、好ましくは、5000±2000(3000〜7000)であるパントエア・アグロメランス由来LPSが好ましい。ここにいう分子量は、タンパク質マーカーを用いたSDS−PAGE法による染色帯の位置により測定され、詳細は後述する。
本明細書でいうパントエア・アグロメランス由来LPSは、O−抗原部分がラムノースとグルコースとの繰返し構造であることを特徴とするリポポリサッカライドである。
0024
上記パントエア・アグロメランス由来LPSは、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)を、常法により培養し、培地から菌体を集め、集めた菌体から公知の方法により精製して製造できる。
0025
上記パントエア・アグロメランス由来LPSの分子量は、以下の方法で測定することができる。
すなわち、配合物として用意したパントエア・アグロメランス由来LPS、あるいはワクチン組成物から適当な方法で抽出精製したパントエア・アグロメランス由来LPSについて、以下の方法で分子量を測定できる。
パントエア・アグロメランス由来LPSを蒸留水に溶解して1mg/mLの濃度の溶液を調製し、その溶液と、Sample buffer solution 2ME+(和光純薬工業社製)を等量混合し、5分間沸騰水浴中に浸し、その後直ちに氷水中に浸して急冷する。
ランニングバッファー(アトー社製)をスラブゲル電気泳動槽(マリソル社製)に満たし、20%ポリアクリルアミドゲルを泳動槽に固定し、サンプル溝に10μLずつ検体を入れ、電圧100Vにて1時間以上電気泳動を行ない、色素がゲルより溶出するまで継続する。色素がゲルより溶出するまで泳動を継続する。泳動終了後に、銀染色キット161−0443(バイオラッド社製)により室温で銀染色を行い、挙動を確認する。
0026
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物において、上述した免疫賦活化剤の含有量の質量は、本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物のワクチン抗原の質量に対する比率(免疫賦活化剤の総質量/抗原の総質量)が、0.002〜500の範囲となるように含有されていることが好ましい。0.002未満であると、感染症や癌の予防又は治療剤としての充分な機能が得られないことがあり、500を超えると、安全性に関して問題となることがある。上記比率のより好ましい下限は0.01、より好ましい上限は100である。
0027
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物において、上記免疫賦活化剤は、特定のグラム陰性細菌由来のリポポリサッカライド又はその塩を含有するものであれば、これらと他の従来公知の免疫賦活化剤とを組み合わせたものであってもよい。
0028
本発明の経皮投与用ワクチン組成物は、上述した抗原及び免疫賦活化剤に、必要に応じて他の成分(例えば、リン酸緩衝溶液等)を加え、公知の方法で攪拌混合することで、及び必要に応じて公知の方法で、さらに加熱、冷却、又は非加熱乾燥することで調製することができる。
0029
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、液性免疫誘導のために用いられるものである。
液性免疫誘導効果を定量的に測定する方法は特に限定されず、様々な方法が開発されているが、例えば、免疫評価用モデル動物を用いた免疫誘導実験およびELISA法(抗原特異的IgG抗体)により測定することができる。液性免疫を測定するためのサンプルとしては、例えば、免疫評価用モデル動物の血液が挙げられる。
0030
本明細書において使用するとき、用語「対象」は、実用段階においてワクチン医薬組成物を投与して免疫応答を誘導し得るいずれかの動物、典型的にはヒトを含む哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、サル、チンパンジー等を意味する。特に好ましい対象は、ヒトである。
0031
<経皮投与用ワクチン医薬組成物>
上記経皮投与用ワクチン医薬組成物の剤形は、例えば、リニメント剤、ローション剤等の外用液剤、エアゾール剤等の外用スプレー剤、ゲル剤、テープ剤及びパップ剤等の貼付剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。また、これらの材料としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
上記経皮投与用ワクチン医薬組成物中の上記抗原及び上記免疫賦活化剤の含有量は特に限定されないが、上記抗原の含有量は0.01〜40重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましい。上記免疫賦活化剤の含有量は0.001〜40重量%が好ましく、0.005〜20重量%がより好ましい。
0032
上記テープ剤は配合成分(即ち、上記抗原、上記免疫賦活化剤等)を含有する粘着剤層と上記粘着剤層を支持する支持体とを有することが好ましい。使用前に上記粘着剤層を露出させず、使用時に上記粘着剤層から容易に剥離できる剥離ライナーを更に有していてもよい。
0033
上記粘着剤層を形成する粘着剤は特に限定されないが、抗原の拡散・放出性が良好であることより、ポリアクリル酸ナトリウムのような親水性基材が好ましい。
上記粘着剤層中の上記粘着剤の含有量は特に限定されないが、固形分として、上記粘着剤層の総重量の10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。
また、上記粘着剤層中の上記抗原及び上記免疫賦活化剤の含有量は特に限定されないが、上記抗原の含有量は0.01〜40重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましい。上記免疫賦活化剤の含有量は0.001〜30重量%が好ましく、0.01〜20重量%がより好ましい。
0034
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、10〜1000μmが好ましい。上記範囲の厚みとすることにより、上記粘着剤層に有効量の上記配合成分を含有させること、充分な粘着力を発揮させること、上記粘着剤層を形成すること等が容易となる。
0035
上記支持体は特に限定されないが、実質的に上記配合成分に対して不透過性を有するもの、即ち、上記粘着剤層に含まれる上記抗原、上記免疫賦活化剤、必要に応じて上記賦活化剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。
発明の効果
0036
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、非侵襲的な体表面上の投与が可能であるため、優れたコンプライアンス、例えば、非侵襲的投与(例えば、経皮投与又は経粘膜投与)、或いは、低侵襲的な皮膚表面上の投与(例えば、テープストリッピング等の角質剥離処理、マイクロニードルやエレクトロポレーション等の角質穿孔処理を行った皮膚表面への投与)、無痛、注射の恐怖からの解放、投与が簡便なため患者が自ら投与可能であり、医療従事者の針刺し感染事故のリスクも回避でき、繰返し投与を行う場合の通院頻度の低減が可能となり、患者の生活の質の向上に貢献でき、注射針のような特殊廃棄の必要な医療廃棄物が生じないという利点を有する。
本発明のワクチン医薬組成物は、テープ剤、パップ剤等の貼付剤の形態であれば、所定の投与量を確実に投与でき、薬物放出速度を任意に制御でき、また、投与に際して他の部位に付着することがないという利点がある。更に、貼付剤は容易に着脱可能であるため、副作用が生じた場合等に適用部位から貼付剤を除去することによって患者自らが即座に投与を中止することができるという利点も有する。
本発明の経皮投与用ワクチン医薬組成物は、少なくとも一種類の抗原とともに、上述した特定の免疫賦活化剤を併用するため、皮膚への投与により、安全に且つ効果的に全身性免疫応答を誘導することが可能となり、抗原単独の投与と比較して、液性免疫誘導効果が顕著に向上する。
実施例
0037
以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
0038
経皮投与用液剤の調製
下記表1及び2の組成を有する液剤を調製した。具体的には、表1及び2中に示した配合量で、抗原及び免疫賦活化剤であるリポポリサッカライドを配合し、そこにリン酸緩衝液(ナカライテスク製)を80μL加え、ワクチン組成物を調製した。
固定用粘着テープの中央部にベンコット(面積0.7cm2)を4枚重ねて張り合わせた複合基材を用意した。この複合基材のベンコット部分に液剤を全量含浸させたものを免疫実験の投与サンプルとした。
0039
経皮投与用クリーム剤の調製
下記表1及び2に記載の組成を有するクリーム剤を調製した。具体的には、表1及び2中に示した配合量で、抗原および免疫賦活化剤であるリポポリサッカライドを配合し、そこに基材(ベースクリーム)を加えて4mgとし、混和して、クリーム剤を得た。用いたベースクリームは、表4に記載の組成にて材料を配合し、混和して調製したものとした。白色ワセリン、モノステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸、ベンジルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60、濃グリセリンは和光純薬工業から購入した。セタノールは東京化成工業から購入した。
PETフィルム/PET不織布積層品(面積0.7cm2)を固定用粘着テープの中央部にPETフィルム側をテープ側にして貼り合わせた複合基材を用意した。この複合基材の不織布部分にクリーム剤4mgを塗布したものを免疫実験の投与サンプルとした。
0040
経皮投与用テープ剤の調製
下記表1、2及び3に記載の組成を有するテープ剤を調製した。具体的には、1cm2あたりの含有量が表1、2及び3中に示した配合量となるように、抗原および免疫賦活化剤であるリポポリサッカライド、基材としてのポリアクリル酸ナトリウム、溶媒としての水を配合、混和し、乾燥後の粘着剤層厚みが100μmとなるようにポリエステル製剥離フィルム上に塗布し、乾燥により水分を除去し、支持体としてのポリエステルフィルムを貼り合わせた。そして、1cm2サイズに打抜き、剥離フィルムを剥したものを経皮投与用テープ剤として、免疫試験にて評価した。
0041
(抗原)
OVA(Sigma−Aldrich)、インフルエンザワクチン抗原含有溶液H1N1(A/California/07/2009、阪大微生物病研究会製)を用いた。
あるいは、H3N2(A/Victoria361/2011、阪大微生物病研究会)、B型(B/Wisconsin/1/2010、阪大微生物病研究会)、B型(B/Brisbane/60/2008、阪大微生物病研究会)、肺炎球菌莢膜ポリサッカライド含有溶液(Pneumovax NP、MSD株式会社製)、HPV16組換えタンパク質含有溶液(HPV16、PROSPEC社製)、弱毒生ロタウイルス含有溶液(ロタテック内用液、MSD社製)、不活化ポリオウイルス含有溶液(イモバックスポリオ皮下注、サノフィ社製)、不活化A型肝炎ウイルス含有溶液(エイムゲン、化学及血清療法研究所社製)、不活化日本脳炎ウイルス含有溶液(エンセバック皮下注用、化学及血清療法研究所社製)、弱毒生ムンプスウイルス含有溶液(おたふくかぜ生ワクチン、北里第一三共ワクチン社製)、弱毒生麻疹ウイルス含有溶液(はしか生ワクチン、北里第一三共ワクチン社製)、弱毒生風疹ウイルス含有溶液(乾燥弱毒生風しんワクチン、北里第一三共ワクチン社製)、破傷風トキソイド結合インフルエンザ菌b型多糖含有溶液(アクトヒブ、サノフィ社製)、組換えHBs抗原タンパク質含有溶液(ビームゲン、化学及血清療法研究所社製)、弱毒生黄熱ウイルス含有溶液(黄熱ワクチン、サノフィ社製)、破傷風トキソイド含有溶液(破傷風トキソイド、デンカ生研社製)、弱毒生水痘ウイルス含有溶液(乾燥弱毒生水痘ワクチン、阪大微生物病研究会社製)、生BCG含有溶液(乾燥BCGワクチン、日本ビーシージー製造社製)、不活化狂犬病ウイルス含有溶液(組織培養不活化狂犬病ワクチン、化学及血清療法研究所社製)を用いる。
0042
(免疫賦活化剤)
Pantoea agglomerans由来リポポリサッカライド(ナカライテスク社製)を用いた。
あるいは、Acetobacter属細菌由来リポポリサッカライド、Zymomonas属細菌由来リポポリサッカライド、及び、Xanthomonas属細菌由来リポポリサッカライドを用いる。
0043
<評価>
実施例、比較例で得られた経皮投与用液剤、クリーム剤、テープ剤について、以下の評価を行った。
0044
(液性免疫誘導効果の評価)
以下の手順に従って、経皮投与用液剤、クリーム剤、テープ剤を用いて、免疫評価用モデル動物を用いたマウス免疫試験を行った。その後、上記経皮投与用製剤投与後の皮膚状態について評価を行った。更に比較例1〜5及び実施例1〜5に関しては、ELISA法により抗原特異的な液性免疫誘導レベルを評価した。
0045
(免疫評価用モデル動物)
ここにいう「免疫評価用モデル動物」は、ワクチン医薬組成物(ここでは経皮投与用液剤、クリーム剤及びテープ剤)の免疫誘導特性を評価するためのモデル動物を意味し、具体的には、経皮投与用ワクチン医薬組成物の液性免疫誘導レベルを評価するためのモデル動物を意味する。
免疫評価用モデル動物としては、経皮投与用液剤、クリーム剤及びテープ剤の抗原と、動物のMHCクラス1分子との適合性を考慮し、経皮投与用液剤、クリーム剤及びテープ剤中の抗原による液性免疫誘導が評価可能な動物を用いた。
0046
経皮投与用製剤のマウス免疫試験
上記の通りに製造した経皮投与用製剤を用いて、免疫評価用モデル動物を用いてマウス免疫試験を行った。予めマウス(C57BL6NCrマウス、メス7週齢)右背部を毛刈りし、毛刈りによる皮膚ダメージを回復させるための飼育期間を設けた後、マウスの右背部皮膚に各製剤を投与した。同時に左背部を毛刈りした。24時間後、製剤を除去した。投与1週間後、マウスの左背部皮膚に同様に製剤を投与し、24時間後に除去した。
2度目の投与から更に1週間後に、マウス血清を採取し、血清中の抗原特異的IgG抗体価をELISA法により測定した。
0047
0048
上記の液性免疫誘導効果の評価により、免疫賦活化剤を含む経皮投与用製剤(実施例1〜5)を経皮投与した場合には、免疫賦活化剤を含まない経皮投与用液剤(比較例1〜5)と比較して高い抗原特異的IgG抗体価が得られることが判る。
即ち、下記表2、3に示すような抗原を使用した場合にも、本発明に係る免疫賦活化剤を使用することで高い抗原特異的IgG抗体価を得ることができる。
0049
表1の経皮投与用テープ剤と同じ要領にて、表5の組成を有する経皮投与用テープ剤を調製する。マウス(C57BL6NCrマウスメス7週齢)の右背部を毛刈りし、日東電工製OPPテープ(EZダンプロンNo.3301EZ)にて5回角質処理を実施した皮膚にテープ剤を投与する(低侵襲投与)。同時に左背部を毛刈りする。24時間後、右背部の経皮投与用テープ剤を除去する。当該投与から1週間後、マウスの左背部皮膚に同様に角質剥離処理を行い、経皮投与用テープ剤を投与し、24時間後に除去する。2度目の投与から更に1週間後に、マウス血清を採取し、マウス血清中の抗原特異的IgG抗体をELISA法により測定する。
このような低侵襲投与による免疫方法でも、投与抗原に対して特異的な液性免疫を誘導することができる。
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本発明のワクチン医薬組成物は、様々な抗原に対する液性免疫誘導のために普遍的に使用可能であり、高い液性免疫誘導効果を発揮し、経皮投与に好適に用いられるものである。