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技術 倒立二輪型移動体システム

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 佐々木優高橋正浩
出願日 2014年10月3日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-204944
公開日 2016年5月12日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-074271
状態 特許登録済
技術分野 自動自転車、自転車一般 自転車スタンド・錠 自動自転車、自転車のフレーム
主要キーワード 許容移動範囲 物体検出センサ 転倒防止用 後退操作 訓練モード 距離検出センサ 各回転センサ 車輪駆動ユニット
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

周囲に物体がある場合でも、搭乗者周辺の安全を確保しつつできる限り動作可能な倒立二輪型移動体ステムを提供すること。

解決手段

倒立二輪型移動体システム1は、倒立制御により倒立状態を維持しつつ、車輪モータによって駆動する倒立二輪型移動体2と、その周辺の物体を検出するカメラ3と、倒立二輪型移動体2もしくはその搭乗者を張力調整可能に懸垂する懸垂手段4を備える。倒立二輪型移動体2の制御部は、回転センサが検出したモータの駆動状態に基づいて、倒立二輪型移動体2の搭乗者の乗車状態推定し、推定した乗車状態に基づいて、倒立二輪型移動体2の周辺に所定の範囲を設定する。制御部は、カメラ3が検出した所定の範囲内にある物体について、倒立二輪型移動体2との距離が所定の距離未満であるか否かを判定し、距離が所定の距離未満である場合に懸垂手段4の張力を上昇させる。

概要

背景

ユーザが搭乗して操作することが可能な倒立二輪型移動体(以下、単に移動体と記載)が提案されている。

例えば、特許文献1には、移動体の姿勢センサが検出した自己姿勢情報に基づいて走行を制御する移動体が開示されている。具体的に、この移動体は、訓練モードにおいて搭乗者が重心を移動させた際、その姿勢センサが自己のピッチ角度及びロール角度を検出する。移動体の制御部は、検出されたピッチ角度及びロール角度に基づいて、車輪の駆動を制御する。このようにして、特許文献1にかかる移動体は、訓練モードにおいて、搭乗者の身体機能バランス機能の改善を図ることができる。

概要

周囲に物体がある場合でも、搭乗者や周辺の安全を確保しつつできる限り動作可能な倒立二輪型移動体システムを提供すること。倒立二輪型移動体システム1は、倒立制御により倒立状態を維持しつつ、車輪をモータによって駆動する倒立二輪型移動体2と、その周辺の物体を検出するカメラ3と、倒立二輪型移動体2もしくはその搭乗者を張力調整可能に懸垂する懸垂手段4を備える。倒立二輪型移動体2の制御部は、回転センサが検出したモータの駆動状態に基づいて、倒立二輪型移動体2の搭乗者の乗車状態推定し、推定した乗車状態に基づいて、倒立二輪型移動体2の周辺に所定の範囲を設定する。制御部は、カメラ3が検出した所定の範囲内にある物体について、倒立二輪型移動体2との距離が所定の距離未満であるか否かを判定し、距離が所定の距離未満である場合に懸垂手段4の張力を上昇させる。

目的

本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、周囲に物体がある場合でも、搭乗者や周辺の安全を確保しつつできる限り動作可能な倒立二輪型移動体システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

倒立制御により倒立状態を維持しつつ、車輪モータによって駆動する倒立二輪型移動体と、前記倒立二輪型移動体の周辺物体を検出する物体検出センサと、前記倒立二輪型移動体もしくはその搭乗者張力調整可能に懸垂する懸垂手段と、を備え、前記倒立二輪型移動体は、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記モータの駆動状態を検出する駆動状態検出センサと、を有し、前記制御部は、検出された前記駆動状態に基づいて、前記倒立二輪型移動体の搭乗者の乗車状態推定し、推定した前記乗車状態に基づいて、前記倒立二輪型移動体の周辺に所定の範囲を設定し、前記物体検出センサが検出した前記所定の範囲内にある前記物体について、前記倒立二輪型移動体との距離が所定の距離未満であるか否かを判定し、前記距離が前記所定の距離未満である場合に前記懸垂手段の前記張力を増加させる、倒立二輪型移動体システム

技術分野

0001

本発明は倒立二輪型移動体ステムに関する。

背景技術

0002

ユーザが搭乗して操作することが可能な倒立二輪型移動体(以下、単に移動体と記載)が提案されている。

0003

例えば、特許文献1には、移動体の姿勢センサが検出した自己姿勢情報に基づいて走行を制御する移動体が開示されている。具体的に、この移動体は、訓練モードにおいて搭乗者が重心を移動させた際、その姿勢センサが自己のピッチ角度及びロール角度を検出する。移動体の制御部は、検出されたピッチ角度及びロール角度に基づいて、車輪の駆動を制御する。このようにして、特許文献1にかかる移動体は、訓練モードにおいて、搭乗者の身体機能バランス機能の改善を図ることができる。

先行技術

0004

特開2011−031669号公報

発明が解決しようとする課題

0005

身体が不自由な人が移動体に搭乗して身体のリハビリを行うような場合、移動体が物体に接触しそうな場合に、搭乗者は移動体を即時に操作できない可能性がある。従って、移動体の周辺に物体があるような場合に、搭乗者や周辺の安全を確保するための何らかの措置が必要となる。しかしながら、安全性を考慮して移動体をすぐに動作できないような状態にしてしまうと、搭乗者をできるだけ動かすというリハビリの目的と相反してしまうという問題があった。特許文献1に記載の移動体は、物体が移動体近傍にある場合の安全性を考慮した技術ではないため、この問題を解決することができなかった。

0006

本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、周囲に物体がある場合でも、搭乗者や周辺の安全を確保しつつできる限り動作可能な倒立二輪型移動体システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様にかかる倒立二輪型移動体システムは、倒立制御により倒立状態を維持しつつ、車輪をモータによって駆動する倒立二輪型移動体と、前記倒立二輪型移動体の周辺の物体を検出する物体検出センサと、前記倒立二輪型移動体もしくはその搭乗者を張力調整可能に懸垂する懸垂手段と、を備える。前記倒立二輪型移動体は、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記モータの駆動状態を検出する駆動状態検出センサと、を有する。前記制御部は、検出された前記駆動状態に基づいて、前記倒立二輪型移動体の搭乗者の乗車状態推定し、推定した前記乗車状態に基づいて、前記倒立二輪型移動体の周辺に所定の範囲を設定し、前記物体検出センサが検出した前記所定の範囲内にある前記物体について、前記倒立二輪型移動体との距離が所定の距離未満であるか否かを判定し、前記距離が前記所定の距離未満である場合に前記懸垂手段の前記張力を増加させる。

0008

この倒立二輪型移動体システムにおいて、制御部は、倒立二輪型移動体と物体との距離が所定の距離未満である場合に懸垂手段の張力を増加している。そのため、倒立二輪型移動体のすぐ近くに物体があるような場合に、懸垂手段の張力を増加させて、搭乗者及び倒立二輪型移動体の移動を制限することができる。その結果、搭乗者や周辺の安全を確保することができる。また、倒立二輪型移動体と物体との距離が所定の距離以上離れている場合には、搭乗者及び倒立二輪型移動体はそのような制限なく移動することができる。

発明の効果

0009

本発明により、周囲に物体がある場合でも、搭乗者や周辺の安全を確保しつつできる限り動作可能な倒立二輪型移動体システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

実施の形態に係る倒立二輪型移動体システムを示す図である。
実施の形態に係る倒立二輪型移動体の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
実施の形態に係る制御部の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
実施の形態に係る記憶部に格納されるモータ出力マップ情報の一例を示すグラフである。
実施の形態に係る制御部の制御を示すフローチャートである。
実施の形態において、倒立二輪型移動体と物体との距離が所定の距離未満である場合の、移動体の動作を示した図である。
実施の形態において、倒立二輪型移動体と物体との距離が所定の距離以上である場合の、移動体の動作を示した図である。

実施例

0011

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、倒立二輪型移動体システム1は、倒立二輪型移動体2(以下、移動体2と記載)とカメラ3と懸垂手段4を備える。移動体2は、倒立制御により倒立状態を維持しつつ、車輪をモータによって駆動することができる二輪車である。

0012

移動体2は、車両本体10と操作ハンドル11とステップ部12R及び12Lと車輪13R及び13Lを備える。操作ハンドル11は、車両本体10に連結されたハンドルであり、搭乗者Pが操作ハンドル11を操作することにより、移動体2を移動させることができる。例えば、搭乗者Pが操作ハンドル11を前後方向に傾けることによって、移動体2の前進又は後退操作が実行され、ロール方向(左右方向)へ傾けることによって、移動体2の旋回操作を実行することができる。車両本体10は、操作ハンドル11をロール方向へ回転自在に支持する。

0013

車両本体10の上面かつ操作ハンドル11の左右両側には、一対のステップ部12R、12Lが設けられている。各ステップ部12R、12Lは、搭乗者Pが片足ずつ乗せて搭乗するステップである。

0014

車輪13Rは、移動体2の右下方に回転自在に支持されており、車輪13Lは、移動体2の左下方に回転自在に支持されている。一対の車輪13R、13Lは、車両本体10の走行方向と直交する方向の両側において同軸上に配置されている。

0015

カメラ3は、移動体2の周囲(図1に示す領域AP)を撮影することにより、移動体2とその周囲の物体を検出することができる検出センサとして機能する。

0016

懸垂手段4は、転倒防止用補助具であって、移動体2もしくは搭乗者Pを張力調整可能に懸垂することができる。図1の例では、懸垂手段4は、搭乗者Pの取付けられたハーネスHから引き出されて天井に固定される。すなわち、懸垂手段4は、搭乗者Pを懸垂している。そして、移動体2において自動もしくは手動により懸垂手段4の張力を調整可能な構成となっている。懸垂手段4は、例えば天井に設けられた釣り具(リール)により、張力が調整されてもよい。

0017

懸垂手段4の張力が大きくなると、搭乗者Pが強い力で拘束され、搭乗者Pの重心が移動し難くなるため、移動体2が動き難くなる。仮に移動体2が動いたとしても、懸垂手段4の張力によって搭乗者Pを元の位置に戻す力が強く働くため、移動体2が動く距離(又は動く時間)は短くなる。一方、懸垂手段4の張力が小さくなると、搭乗者Pの重心が移動し易くなるため、移動体2が動き易くなる。移動体2が動いたときには、懸垂手段4の張力によって搭乗者Pを元の位置に戻す力が弱いため、移動体2が動く距離(又は動く時間)は長くなる。なお、懸垂手段4が移動体2を懸垂する場合にも同様に、懸垂手段4の張力が大きくなると移動体2が動き難くなり、懸垂手段4の張力が小さくなると移動体2が動き易くなる。

0018

図2は、倒立二輪型移動体システム1の概略的なシステム構成を示すブロック図である。倒立二輪型移動体システム1は、カメラ3と懸垂手段4と姿勢センサ14と角度検出センサ15と回転センサ16R及び16Lと制御部17と駆動回路18R及び18Lと車輪駆動ユニット19R及び19Lとバッテリ20を備える。カメラ3と懸垂手段4を除く各部は、移動体2の車両本体10に備えられている。以下、カメラ3と懸垂手段4を除く各部について説明する。

0019

姿勢センサ14は、移動体2や操作ハンドル11等の姿勢を検出し、検出結果を制御部17に出力する。例えば、姿勢センサ14は、ジャイロセンサ加速度センサ等から構成され、移動体2の傾斜角度傾斜角速度傾斜角加速度等の姿勢情報を検出することができる。姿勢センサ14が測定可能な傾斜方向は、例えばピッチ方向やロール方向である。

0020

角度検出センサ15は、操作ハンドル11の操作量(例えば回動量)を検出するセンサであり、例えば、ポテンショメータバリコン構造のセンサ等を適用することができる。

0021

回転センサ16R、16Lは、それぞれ駆動モータ19a、19cの回転情報(駆動状態)を検出し、検出した回転情報を制御部17に出力する。回転情報は、例えば各駆動モータ19a、19cの回転数回転角速度、回転角加速度等の情報である。

0022

制御部17は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算回路17aと、各種制御プログラムやデータなどが格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部17bを備えている。制御部17は、姿勢センサ14の検出結果と、角度検出センサ15の検出結果と、各回転センサ16R及び16Lからの回転情報に基づいて所定の演算処理を実行し、駆動回路18R及び18Lに必要なトルク情報を生成する。制御部17は、生成したトルク情報をトルク指令信号として駆動回路18R及び18Lに出力する。このトルク指令信号により制御部17が駆動モータ19a及び19cの駆動を制御することで、移動体2は倒立状態を維持しつつ所望の走行を行う。

0023

例えば、搭乗者Pが操作ハンドル11を前方または後方に傾けた際に、各ステップ部12R、12Lは同方向に傾くことになり、姿勢センサ14は、かかる傾斜に対応した傾斜情報を検出する。制御部17は、検出された傾斜情報に応じて、操作ハンドル11の傾斜方向に移動体2が移動するように、車輪駆動ユニット19R、19Lを駆動制御する。このように搭乗者Pは、その重心移動により各ステップ部12R、12Lを傾斜させることで、移動体2を前進又は後進させることができる。

0024

図3は、制御部17の概略的なシステム構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部17は、図2に示した記憶部17bに加え、倒立制御部31と乗車状態推定部32と許容移動範囲設定部33と物体判定部34と張力調整部35を有している。なお、図3では、演算回路17aは省略されている。

0025

倒立制御部31は、移動体2が倒立状態を維持しつつ所望の走行を行うため、車輪駆動ユニット19R、19Lに対するトルク情報を生成する。

0026

乗車状態推定部32は、倒立制御部31が生成したトルク情報と、回転センサ16R及び16Lが検出した回転情報と、記憶部17bに格納されたマップ情報を読み込む。乗車状態推定部32は、以上の情報に基づいて、搭乗者Pの乗車状態を推定する。

0027

許容移動範囲設定部33は、乗車状態推定部32が推定した乗車状態に基づいて、搭乗者Pの許容移動範囲(所定の範囲)を設定する。この許容移動範囲は、搭乗者Pが移動可能と考えられる範囲であり、例えば、移動体2を中心とした円として設定される。なお、図1において、許容移動範囲は領域ADで示されている。

0028

ここで、乗車状態推定部32及び許容移動範囲設定部33の動作についてより具体的に説明する。図4は、記憶部17bに格納されるモータ出力のマップ情報の一例を示すグラフである。図4横軸はモータの回転数、縦軸はモータのトルクを示している。すなわち、モータ出力は回転数とトルクとにより規定される。図4のマップ情報では、領域Aと、領域Aの外側にある領域Bと、領域Bの外側にある領域Cが設定されている。即ち、領域Bは領域Aに比較してトルク又は回転数の少なくともいずれかが大きく、領域Cは領域Bに比較してトルク又は回転数の少なくともいずれかが大きい。

0029

図4に示すように、領域Aと領域Bの境界aと、領域Bと領域Cの境界bと、領域Cの外側における境界cでは、回転数とトルクとは反比例の関係にある。すなわち、回転数が高い場合には、トルクを低くする必要があり、トルクが高い場合には、回転数を低くする必要がある。他方、領域A、B、Cは、それぞれ回転数が所定の上限値N1、N2、N3を超えないように、またトルクが所定の上限値T1、T2、T3を超えないように設定されている。なお、この境界a、b、cは適宜変更が可能である。

0030

図3に示す乗車状態推定部32は、回転センサ16Rから出力される回転数と、車輪駆動ユニット19Rに対するトルク指令信号に基づいて、図4に示したマップ情報における座標(回転数、トルク)の時間経過に伴う軌跡を推定する。この軌跡は、駆動モータ19aにおけるモータ出力に相当する。そして、乗車状態推定部32は、推定した軌跡が領域A、B、Cのいずれの領域内にあるか否かを判定する。駆動モータ19cにおけるモータ出力についても同様に判定する。

0031

乗車状態推定部32は、駆動モータ19a、19cのモータ出力が両方とも領域Aにある場合には、搭乗者Pの乗車状態が良好であると判定し、その判定結果を許容移動範囲設定部33に出力する。許容移動範囲設定部33は、その判定結果に基づき、許容移動範囲を、移動体2を中心とした半径r1の許容移動範囲Aに設定する。

0032

乗車状態推定部32は、駆動モータ19a、19cのモータ出力のうち、一方が領域Bにあり、他方が領域A又はBにある場合には、搭乗者Pの乗車状態が普通であると判定し、その判定結果を許容移動範囲設定部33に出力する。許容移動範囲設定部33は、その判定結果に基づき、許容移動範囲を、移動体2を中心とした半径r2(<r1)の許容移動範囲Bに設定する。

0033

乗車状態推定部32は、駆動モータ19a、19cのモータ出力のうち、一方が領域Cにあり、他方が領域A〜Cのいずれかにある場合には、搭乗者Pの乗車状態が不良であると判定し、その判定結果を許容移動範囲設定部33に出力する。許容移動範囲設定部33は、その判定結果に基づき、許容移動範囲を、移動体2を中心とした半径r3(<r2)の許容移動範囲Cに設定する。

0034

搭乗者Pの乗車状態が良い場合、搭乗者Pは移動体2を比較的安定して動かすことが可能であるため、移動体2を遠くまで動かすことができると考えられる。そのため、許容移動範囲設定部33は、許容移動範囲を広く設定する。なお、身体機能又はバランス機能のリハビリを搭乗者Pが実行している場合、搭乗者Pの乗車状態が良い状態とは、搭乗者Pがバランスを維持して移動体2に搭乗できており、訓練改善度が高まっている状態とも定義できる。

0035

これに対し、搭乗者Pの乗車状態が良くない場合、搭乗者Pは移動体2を長く安定に動かすことができないため、移動体2を近くまでしか動かすことができないと考えられる。そのため、許容移動範囲設定部33は、搭乗者Pの乗車状態が良くない場合、搭乗者Pの乗車状態が良い場合と比較して、許容移動範囲を狭く設定する。なお、身体機能又はバランス機能のリハビリを搭乗者Pが実行している場合、搭乗者Pの乗車状態が良くない状態とは、搭乗者Pがバランスを崩しており、訓練改善度が低い状態とも定義できる。

0036

すなわち、乗車状態推定部32及び許容移動範囲設定部33の処理においては、訓練改善度が低い搭乗者Pに対しては自動的に許容移動範囲を狭く設定し、改善度が高まるにつれて自動的に許容移動範囲を広くしていくことが期待できる。

0037

許容移動範囲設定部33は、設定した許容移動範囲の情報をカメラ3に出力する。カメラ3は取得した許容移動範囲の情報に基づき、許容移動範囲を含む領域を撮影する。図1において、カメラ3は、許容移動範囲の領域ADを含むような領域APを撮影している。

0038

物体判定部34は、カメラ3から、撮影したデータを取得する。また、許容移動範囲設定部33から、許容移動範囲のデータを取得する。物体判定部34は、カメラ3からの撮影データと許容移動範囲のデータを比較し、許容移動範囲内に移動体2以外の物体が含まれているか否かを判定する。そして、許容移動範囲内に移動体2以外の物体が含まれている場合に、物体判定部34は、その物体と移動体2との距離を推定し、その距離が所定の距離以上であるか否かを判定する。この所定の距離は、例えば記憶部17bに格納されている。所定の距離は、許容移動範囲の広さに応じて変更されてもよい。この判定結果に応じて、物体判定部34は、張力調整部35に対して張力を変更させる張力変更信号を出力する。

0039

張力調整部35は、物体判定部34から出力された張力変更信号に応じて、懸垂手段4の張力を変更する。なお、当然のことながら、搭乗者Pや訓練監督者の操作に応じて懸垂手段4の張力を変更することもできる。また、懸垂手段4の張力を変更する際、懸垂手段4の長さを変更することにより、張力を変更してもよい。具体的には、懸垂手段4の張力を大きくするために、懸垂手段4の長さを短くしてもよい。同様に、懸垂手段4の張力を小さくするために、懸垂手段4の長さを長くしてもよい。

0040

図2戻り、倒立二輪型移動体システム1のシステム構成について改めて説明する。各駆動回路18R、18Lは、制御部17からのトルク指令信号に基づいて、各車輪駆動ユニット19R、19Lを駆動する駆動電流を出力する。各駆動回路18R、18Lは、各車輪13R、13Lの回転速度や回転方向等を独立して制御するものであり、これらに各車輪駆動ユニット19R、19Lが個別に接続されている。

0041

各車輪駆動ユニット19R、19Lは、各車輪13R、13Lを独立して回転駆動することができる。各車輪駆動ユニット19R、19Lは、例えば、各駆動モータ19a、19cと、その各駆動モータ19a、19cの回転軸動力伝達可能に連結された各減速ギア19b、19dによって構成することができる。

0042

バッテリ20は、制御部17、各車輪駆動ユニット19R、19L、その他の電子機器電気装置等に対して電力を供給する。バッテリ20としては、例えばリチウムイオンバッテリが用いられる。

0043

次に、移動体2の走行時における制御部17の具体的な制御について、図5を参照して説明する。図5には、移動体2が走行する際に、制御部17がループして実行する移動体2の制御方法が示されている。なお、既に説明した箇所については、以下の記載で詳細な説明を省略する。

0044

まず、制御部17において、張力調整部35に対して懸垂手段4の張力の初期値が設定される(ステップS1)。この例では、張力は最も低く設定されている。換言すれば、懸垂手段4の長さは最大に設定されている。この状態では、搭乗者Pは容易に重心移動が可能であるため、移動体2を容易に動かすことができる。懸垂手段4の張力の初期値は、例えば制御部17内の記憶部17bに格納される。なお、この初期値は、制御部17が自動的に設定してもよいし、搭乗者P等が手動で設定してもよい。

0045

次に、制御部17は、駆動モータ19a、19cの回転数及びトルクを監視する(ステップS2)。具体的に、制御部17は、回転センサ16R及び16Lにより取得した回転情報を監視するとともに、倒立制御部31が生成した車輪駆動ユニット19R及び19Lに対するトルク情報を監視する。

0046

乗車状態推定部32は、回転センサ16R及び16Lにより取得した回転情報と、倒立制御部31が生成した車輪駆動ユニット19R及び19Lに対するトルク情報に基づいて、搭乗者Pの乗車状態を推定する(ステップS3)。具体的に、乗車状態推定部32は、回転センサ16Rから出力される回転数と、車輪駆動ユニット19Rに対するトルク指令信号に基づいて、上述のマップ情報における座標(回転数、トルク)の時間経過に伴う軌跡を推定する。そして、乗車状態推定部32は、推定した軌跡がマップ領域のどこにあるかを判定することによって、搭乗者Pの乗車状態を推定する。この詳細は上述の通りである。

0047

なお、身体機能又はバランス機能のリハビリのために搭乗者Pが移動体2に搭乗しているような場合には、制御部17は、搭乗者Pの乗車状態として、身体機能の改善度をステップS3で推定してもよい。

0048

許容移動範囲設定部33は、乗車状態推定部32が推定した乗車状態に基づいて、搭乗者Pの許容移動範囲を設定する(ステップS4)。許容移動範囲設定部33は、乗車状態推定部32が推定した乗車状態が良好であるほど、許容移動範囲を広く設定する。

0049

カメラ3は、許容移動範囲設定部33が設定した許容移動範囲を含む領域を撮影する。これにより、カメラ3は、移動体2周辺の物体を検出する(ステップS5)。

0050

物体判定部34は、カメラ3から、撮影したデータを取得する。また、許容移動範囲設定部33から、許容移動範囲のデータを取得する。物体判定部34は、カメラ3からの撮影データと許容移動範囲のデータを比較し、許容移動範囲内に移動体2以外の物体が含まれているか否かを判定する(ステップS6)。

0051

許容移動範囲内に移動体2以外の物体がない場合(ステップS6のNo)、制御部17は懸垂手段4の張力を変更する処理を実行しない。

0052

許容移動範囲内に移動体2以外の物体がある場合(ステップS6のYes)、物体判定部34は、その物体と移動体2との距離を推定し、その距離が所定の距離以上であるか否かを判定する(ステップS7)。

0053

物体と移動体2との距離が所定の距離以上である場合(ステップS7のYes)、物体判定部34は、張力調整部35に対して張力をやや上昇させる張力変更信号を出力する。張力調整部35は、この張力変更信号に応じて、懸垂手段4の張力をやや上昇させる。つまり、懸垂手段4の長さを中程度に設定する(ステップS8)。

0054

物体と移動体2との距離が所定の距離未満である場合(ステップS7のNo)、物体判定部34は、張力調整部35に対して張力を大きく上昇させる張力変更信号を出力する。張力調整部35は、この張力変更信号に応じて、懸垂手段4の張力を大きく上昇させる。つまり、懸垂手段4の長さを短く設定する(ステップS9)。この設定では、ステップS8の設定と比較して、懸垂手段4の長さはより短くなっている。

0055

このように、本発明にかかる倒立二輪型移動体システム1では、移動体2における搭乗者Pの乗車状態が良い場合(改善度が良い場合)、許容移動範囲を広く設定する。これに対し、搭乗者Pの乗車状態が良くない場合(改善度が良くない場合)、許容移動範囲は狭く設定される。このように、倒立二輪型移動体システム1は、搭乗者Pの状態に応じた広さの許容移動範囲が設定されるように制御することができる。また、搭乗者Pの乗車状態が良くない場合、不必要な領域までカメラ3が監視する必要がなくなり、効率的なカメラ3の運用が可能となる。

0056

また、張力調整部35は、移動体2と物体との距離が所定の距離未満である場合、懸垂手段4の張力を大きく増加させる。そのため、搭乗者Pは重心移動が制限されるため、移動体2を動かすことが制限される。この状況を図6にて示すと、移動体2は、(a)に示す位置から(b)に示す位置まで動くことができない。(b)に示す位置まで移動体2が動く場合には、懸垂手段4は、実線で示す長さから点線で示す長さまで伸びる必要がある。しかしながら、この状況では懸垂手段4に大きな張力がかかっている(懸垂手段4の長さが短くなっている)ため、懸垂手段4はその長さまで伸びない。このように、移動体2の近傍に物体が存在する場合には、移動体2を動かしにくくなるため、搭乗者Pや周辺の安全を確保することができる。

0057

これに対し、張力調整部35は、移動体2と物体との距離が所定の距離以上である場合、懸垂手段4の張力を大きくは増加させない。そのため、搭乗者Pは移動体2を容易に動かすことができる。この状況を図7にて示すと、移動体2は、(a)に示す位置から(b)に示す位置まで動くことができる。この状況では懸垂手段4に大きな張力がかかっていない(懸垂手段4の長さが短くなりすぎない)ため、懸垂手段4は、点線で示す長さから実線で示す長さまで伸びることができるためである。このように、移動体2の近傍に物体が存在しない場合には、移動体2を動かしやすくなるため、移動体2を可能な範囲で動作させることができる。

0058

また、張力調整部35は、物体が許容移動範囲内にない場合には懸垂手段4の張力を変更しないため、搭乗者Pは移動体2を容易に動かすことができる。つまり、倒立二輪型移動体の移動(動作)は制限されない。

0059

以上の効果を奏するため、移動体2は、例えば、安全性を確保しつつ、搭乗者をできるだけ動かすことができるというリハビリの用途に適用可能である。

0060

なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、記憶部17bに格納されるモータ出力のマップ情報は、3つの領域ではなく、2つの領域に区分されていてもよいし、4つ以上の領域に区分されていてもよい。乗車状態推定部32は、駆動モータ19a、19cのモータ出力がいずれの領域にあるかを判定して、搭乗者Pの乗車状態を判定し、その判定結果を許容移動範囲設定部33に出力する。許容移動範囲設定部33は、その判定結果に基づき、許容移動範囲を設定する。この許容移動範囲の設定可能な数も、マップ情報の区分領域の数に対応して、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。

0061

上記実施の形態では、移動体2とその周囲の物体との距離を検出することができる距離検出センサとしてカメラ3を用いたが、赤外線センサ超音波センサ等を代わりに用いてもよい。また、懸垂手段4は、天井ではなく、壁や地面等に固定されてもよい。

0062

上記実施の形態では、モータ出力のマップ情報において、駆動モータ19a及び19cの回転数を回転情報として用いているが、回転情報はこれに限定されない。例えば、駆動モータ19a及び19cの回転角速度が、マップ情報における回転情報として用いられてもよい。また、マップ情報におけるトルク情報は、倒立制御部31から各駆動回路18R、18Lに出力されるトルク指令信号に限定されない。例えば、トルク指令信号に応じて各駆動回路18R、18Lから各車輪駆動ユニット19R、19Lに出力される駆動電流が、トルク情報として用いられてもよい。さらに、駆動モータ19a及び19cに駆動トルクを検出するトルクセンサを設け、このトルクセンサにより検出されたトルク値がトルク情報として用いられてもよい。

0063

図5のステップS7において、物体と移動体2との距離が所定の距離以上である場合(ステップS7のYes)、制御部17は、懸垂手段4の張力を変更する処理を必ずしも実行しなくてもよい。

0064

制御部17が実行する処理は、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現させることも可能である。

0065

1倒立二輪型移動体システム
2 倒立二輪型移動体
3カメラ
10 車両本体
11操作ハンドル
12R、12L ステップ部
13R、13L車輪
14姿勢センサ
15角度検出センサ
16R、16L回転センサ
17 制御部
17a演算回路
17b 記憶部
18R、18L駆動回路
19R、19L車輪駆動ユニット
19a、19c駆動モータ
19b、19d減速ギア
20バッテリ
31倒立制御部
32乗車状態推定部
33許容移動範囲設定部
34物体判定部
35張力調整部

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