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技術 固体酸化物形燃料電池セルスタック

出願人 TOTO株式会社
発明者 柿沼保夫岡本修安藤茂村上弘展古屋正紀籾山大端山潔渡邉直樹田中修平井坂暢夫星子琢也佐藤真樹
出願日 2015年3月31日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2015-074371
公開日 2016年5月9日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-072214
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 接合距離 中空板状 被積層体 反応抑制層 エネルギー変換器 拡散元素 導電性支持部材 Laサイト
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

解決手段

支持体と、当該支持体の表面に、燃料極固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタとを少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、前記一方の発電素子の空気極の下に設けられた前記インターコネクタの下に、当該インターコネクタと接合するように一方の発電素子の固体電解質を設け、かつ、前記他方の発電素子の燃料極の上に設けられた前記インターコネクタの上に、当該インターコネクタと接合するように他方の発電素子の固体電解質を設けてなる、固体酸化物形燃料電池セルスタック。

概要

背景

燃料電池は、熱エネルギー運動エネルギー過程を経由する熱機関と異なり、天然ガス水素などの燃料を、固体電解質を介して空気中の酸素と反応させ、燃料の持っている化学エネルギーから連続的に直接電気エネルギーを得るエネルギー変換器である。その中で、固体酸化物形燃料電池は、固体電解質として固体酸化物セラミック)を用い、燃料極を負極、空気極を正極とした電池として作動する燃料電池である。また、固体酸化物形燃料電池は高いエネルギー変換効率が得られるという利点を有するものとして知られている。

固体酸化物形燃料電池は、単電池あたりの出力が小さいため、複数の単電池を直列に接続することによって出力を高めて発電を行っている。隣接する単電池を電気的に接続する部材はインターコネクタと呼ばれている。その材料として、セラミックを用いたインターコネクタ(以下、セラミックインターコネクタとも言う)が知られている。セラミックインターコネクタの特性として、ガスを透過させないガスシール性導電性酸化物イオン絶縁性、および固体電解質との密着性が求められている。

一般に、セラミックインターコネクタは厚みが薄くないと(例えば、おおよそ100μm以下)十分な導電性が得られない。しかしながら、十分な導電性を得るためにセラミックインターコネクタの厚みを薄くし、このような厚みの薄いセラミックインターコネクタを多孔質電極(燃料極や空気極)の表面に形成しようとすると、多孔質な電極にセラミックインターコネクタが取り込まれてしまうおそれがある。これにより、セラミックインターコネクタを形成できないおそれや、形成できたとしても薄いためガスシール性が十分に得られないおそれがある。

セラミックインターコネクタのガスシール性が低いと、燃料ガスがセラミックインターコネクタの燃料極側から空気極側漏れてしまい、空気と混ざってしまうため好ましくない。セラミックインターコネクタのガスシール性を高めるためには、セラミックインターコネクタの緻密性を高める必要があり、セラミックインターコネクタを緻密に焼結することが求められる。また、セラミックインターコネクタの導電性が低いと、セラミックインターコネクタの抵抗が大きくなり、燃料電池の出力が低下してしまう。さらに、セラミックインターコネクタの酸化物イオン絶縁性が低いと、セラミックインターコネクタの空気極側から燃料極側に酸化物イオンがリークしてしまい、燃料電池の効率が低下してしまう。加えて、固体電解質とセラミックインターコネクタとの密着性が低いと、固体電解質とセラミックインターコネクタとの間にクラック等の隙間が生じてしまい、この隙間から燃料ガスが漏れてしまう。

セラミックインターコネクタの材料として、ランタンクロマイト(LaCrO3)系インターコネクタが広く用いられている。このLaCrO3系インターコネクタは、一般に導電性は高いが、焼結が困難であることが知られている。また、クロム(Cr)を含むため、いわゆるCr被毒が発生するおそれがある。

また、セラミックインターコネクタの材料として、SrLaTiO3−δで表されるSLT系インターコネクタが広く用いられている。このSLT系インターコネクタは、LaCrO3系インターコネクタに比べ、導電性が低いが、焼結性が良好であることが知られている。SLT系インターコネクタは、例えば、絶縁体であるSrTiO3の結晶格子中のSrサイトランタン(La)で置換し、SrLaTiO3−δ(SLT)とすることで、SrLaTiO3−δ(SLT)の結晶格子中のTiサイトのTi4+を一部Ti3+に変化させることによって導電性を発現させている。なお、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。

特開2008-270203号公報(特許文献1)は、気密性を良好に保ちながら、導電性の向上及び固体電解質との密着性の向上を同時に実現するSLT系インターコネクタの提供を目的としている。この目的を実現するために、このセラミックインターコネクタを、燃料極側に形成される気密性重視部分と、空気極側に形成され、気密性重視部分よりも導電率が高い導電性重視部分との2層構造とすることが記載されている。また、この文献の図2によれば、隣接する一方の発電素子の燃料極および他方の発電素子の空気極が接するセラミックインターコネクタの下に一部潜り込むように一方の発電素子の固体電解質が形成された態様が記載されている。

また、特許第5244264号公報(特許文献2)には、クロマイト系インターコネクタと導電性支持部材(燃料極)との積層体電気抵抗率下げることを目的として、クロマイト系インターコネクタおよび導電性支持部材各々に含まれる鉄量コントロールすることが記載されている。これにより、両者間の抵抗が低減され、接続性が良好になり、共焼結時の緻密化が相乗的に促進されるとある。また、この文献の図2によれば、燃料極と接して配置されたクロマイト系インターコネクタの上に一部被さるように固体電解質が形成された態様が記載されている。

しかしながら、上記いずれの文献も、インターコネクタと固体電解質とを接触させることによりインターコネクタのガスシール性を向上させることについては考慮されていない。よって、上記いずれの文献も、優れた導電性およびガスシール性を有するセラミックインターコネクタを有してなる固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造を実現するには至っていない。

概要

優れた導電性およびガスシール性を有するセラミックインターコネクタを有してなる固体酸化物形燃料電池セルスタックの提供。支持体と、当該支持体の表面に、燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタとを少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、前記一方の発電素子の空気極の下に設けられた前記インターコネクタの下に、当該インターコネクタと接合するように一方の発電素子の固体電解質を設け、かつ、前記他方の発電素子の燃料極の上に設けられた前記インターコネクタの上に、当該インターコネクタと接合するように他方の発電素子の固体電解質を設けてなる、固体酸化物形燃料電池セルスタック。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

支持体と、当該支持体の表面に、燃料極固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタとを少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、前記一方の発電素子の空気極の下に設けられた前記インターコネクタの下に、当該インターコネクタと接合するように一方の発電素子の固体電解質を設け、かつ、前記他方の発電素子の燃料極の上に設けられた前記インターコネクタの上に、当該インターコネクタと接合するように他方の発電素子の固体電解質を設けてなる、固体酸化物形燃料電池セルスタック。

請求項2

前記一方の発電素子の固体電解質および前記他方の発電素子の固体電解質各々と前記インターコネクタとの接合距離が、前記固体電解質の厚みの2倍以上である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。

請求項3

前記一方の発電素子の空気極の下かつ前記インターコネクタの下に設けられた前記一方の発電素子の固体電解質の下に、当該一方の発電素子の固体電解質と接合するように前記インターコネクタをさらに設けてなる、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。

請求項4

前記他方の発電素子の燃料極の上かつ前記インターコネクタの上に設けられた前記他方の発電素子の固体電解質の上に、当該他方の発電素子の固体電解質と接合するように前記インターコネクタをさらに設けてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。

請求項5

前記一方の発電素子の固体電解質および前記他方の発電素子の固体電解質と前記インターコネクタとがストロンチウムを含み、当該各固体電解質に含まれるストロンチウムの量よりも当該インターコネクタに含まれるストロンチウムの量の方が多い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。

請求項6

前記インターコネクタが、SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。

技術分野

0001

本発明は、固体酸化物形燃料電池セルスタックに関する。具体的には、導電性およびガスシール性に優れたインターコネクタを有してなる固体酸化物形燃料電池セルスタックに関する。

背景技術

0002

燃料電池は、熱エネルギー運動エネルギー過程を経由する熱機関と異なり、天然ガス水素などの燃料を、固体電解質を介して空気中の酸素と反応させ、燃料の持っている化学エネルギーから連続的に直接電気エネルギーを得るエネルギー変換器である。その中で、固体酸化物形燃料電池は、固体電解質として固体酸化物セラミック)を用い、燃料極を負極、空気極を正極とした電池として作動する燃料電池である。また、固体酸化物形燃料電池は高いエネルギー変換効率が得られるという利点を有するものとして知られている。

0003

固体酸化物形燃料電池は、単電池あたりの出力が小さいため、複数の単電池を直列に接続することによって出力を高めて発電を行っている。隣接する単電池を電気的に接続する部材はインターコネクタと呼ばれている。その材料として、セラミックを用いたインターコネクタ(以下、セラミックインターコネクタとも言う)が知られている。セラミックインターコネクタの特性として、ガスを透過させないガスシール性、導電性、酸化物イオン絶縁性、および固体電解質との密着性が求められている。

0004

一般に、セラミックインターコネクタは厚みが薄くないと(例えば、おおよそ100μm以下)十分な導電性が得られない。しかしながら、十分な導電性を得るためにセラミックインターコネクタの厚みを薄くし、このような厚みの薄いセラミックインターコネクタを多孔質電極(燃料極や空気極)の表面に形成しようとすると、多孔質な電極にセラミックインターコネクタが取り込まれてしまうおそれがある。これにより、セラミックインターコネクタを形成できないおそれや、形成できたとしても薄いためガスシール性が十分に得られないおそれがある。

0005

セラミックインターコネクタのガスシール性が低いと、燃料ガスがセラミックインターコネクタの燃料極側から空気極側漏れてしまい、空気と混ざってしまうため好ましくない。セラミックインターコネクタのガスシール性を高めるためには、セラミックインターコネクタの緻密性を高める必要があり、セラミックインターコネクタを緻密に焼結することが求められる。また、セラミックインターコネクタの導電性が低いと、セラミックインターコネクタの抵抗が大きくなり、燃料電池の出力が低下してしまう。さらに、セラミックインターコネクタの酸化物イオン絶縁性が低いと、セラミックインターコネクタの空気極側から燃料極側に酸化物イオンがリークしてしまい、燃料電池の効率が低下してしまう。加えて、固体電解質とセラミックインターコネクタとの密着性が低いと、固体電解質とセラミックインターコネクタとの間にクラック等の隙間が生じてしまい、この隙間から燃料ガスが漏れてしまう。

0006

セラミックインターコネクタの材料として、ランタンクロマイト(LaCrO3)系インターコネクタが広く用いられている。このLaCrO3系インターコネクタは、一般に導電性は高いが、焼結が困難であることが知られている。また、クロム(Cr)を含むため、いわゆるCr被毒が発生するおそれがある。

0007

また、セラミックインターコネクタの材料として、SrLaTiO3−δで表されるSLT系インターコネクタが広く用いられている。このSLT系インターコネクタは、LaCrO3系インターコネクタに比べ、導電性が低いが、焼結性が良好であることが知られている。SLT系インターコネクタは、例えば、絶縁体であるSrTiO3の結晶格子中のSrサイトランタン(La)で置換し、SrLaTiO3−δ(SLT)とすることで、SrLaTiO3−δ(SLT)の結晶格子中のTiサイトのTi4+を一部Ti3+に変化させることによって導電性を発現させている。なお、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。

0008

特開2008-270203号公報(特許文献1)は、気密性を良好に保ちながら、導電性の向上及び固体電解質との密着性の向上を同時に実現するSLT系インターコネクタの提供を目的としている。この目的を実現するために、このセラミックインターコネクタを、燃料極側に形成される気密性重視部分と、空気極側に形成され、気密性重視部分よりも導電率が高い導電性重視部分との2層構造とすることが記載されている。また、この文献の図2によれば、隣接する一方の発電素子の燃料極および他方の発電素子の空気極が接するセラミックインターコネクタの下に一部潜り込むように一方の発電素子の固体電解質が形成された態様が記載されている。

0009

また、特許第5244264号公報(特許文献2)には、クロマイト系インターコネクタと導電性支持部材(燃料極)との積層体電気抵抗率下げることを目的として、クロマイト系インターコネクタおよび導電性支持部材各々に含まれる鉄量コントロールすることが記載されている。これにより、両者間の抵抗が低減され、接続性が良好になり、共焼結時の緻密化が相乗的に促進されるとある。また、この文献の図2によれば、燃料極と接して配置されたクロマイト系インターコネクタの上に一部被さるように固体電解質が形成された態様が記載されている。

0010

しかしながら、上記いずれの文献も、インターコネクタと固体電解質とを接触させることによりインターコネクタのガスシール性を向上させることについては考慮されていない。よって、上記いずれの文献も、優れた導電性およびガスシール性を有するセラミックインターコネクタを有してなる固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造を実現するには至っていない。

先行技術

0011

特開2010−212036号公報
特許第5244264号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明者らは、今般、インターコネクタと固体電解質とを接合させることによりインターコネクタのガスシール性を向上できるとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。

0013

従って、本発明は、優れた導電性およびガスシール性を有するセラミックインターコネクタを有してなる固体酸化物形燃料電池セルスタックの提供をその目的としている。

課題を解決するための手段

0014

そして、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、
支持体と、
当該支持体の表面に、燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
一方の発電素子の空気極の下に設けられた前記インターコネクタの下に、当該インターコネクタと接合するように一方の発電素子の固体電解質を設け、かつ、他方の発電素子の燃料極の上に設けられた前記インターコネクタの上に、当該インターコネクタと接合するように他方の発電素子の固体電解質を設けてなることを特徴とするものである。

図面の簡単な説明

0015

本発明による横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックの正面図である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックを構成する発電素子近傍の断面模式図である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックを構成する隣接する2つの発電素子を含む好ましい態様を示す断面模式図である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックを構成する隣接する2つの発電素子を含む別の好ましい態様を示す断面模式図である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法において、燃料極側のインターコネクタを、固体電解質との接合距離をLとして形成する工程を示す。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法において、空気極側のインターコネクタを、固体電解質との接合距離をL’として形成する工程を示す。
比較例で作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックの断面模式図である。

0016

定義
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックとは、インターコネクタおよび固体電解質の構造が後記する要件を満たすものであること以外は、燃料極、前記固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、これらのうちの隣接する一方の発電素子の空気極と他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続する前記インターコネクタとを少なくとも有してなる、当業界において通常固体酸化物形燃料電池セルスタック分類または理解されるものと同一のものを意味する。また、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、その形状も限定されず、例えば円筒状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。

0017

本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、いわゆる横縞型固体酸化物形燃料電池を意味する。本発明において、横縞型固体酸化物形燃料電池とは、1つの支持体の表面に複数の発電素子が形成されている固体酸化物形燃料電池を意味する。

0018

本発明において、固体酸化物形燃料電池セルスタックとは、発電素子が複数集合したものを意味する。

0019

本発明の固体酸化物形燃料電池セルスタックを用いた固体酸化物形燃料電池システムは、特定のものに限定されず、その製造方法やこれを構成する他の材料等はいずれも公知のものを使用することができる。

0020

発電素子
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは複数の発電素子を有し、この発電素子が直列に接続されてなるものである。発電素子は、燃料極、固体電解質、および空気極が順次積層された積層体である。

0021

支持体
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは支持体を有する。支持体の表面に複数の発電素子が直列に形成される。本発明では、このような支持体として、多孔質であり、ガス透過性を有し、発電素子を支持するための機械的強度を有し、そして電気絶縁性を有するものであれば、特に限定されず用いることができる。支持体の材料としては、MgO、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、フォルステライトからなる群から選ばれる一種以上を用いることができる。支持体の好ましい厚さは0.5〜2mmである。

0022

内側電極および外側電極
本発明において、燃料極は内側電極であってもよく、外側電極であってもよい。つまり、発電素子は内側電極としての燃料極、固体電解質、および外側電極としての空気極が少なくとも積層された積層体であってもよい。あるいは、発電素子は内側電極としての空気極、固体電解質、および外側電極としての燃料極が少なくとも積層された積層体であってもよい。

0023

本発明の好ましい態様によれば、内側電極は燃料極である。その理由は次の通りである。すなわち、支持体ならびに集電層はガス透過性が良好な多孔質構造を採用する。支持体は発電素子の構造を保持する必要がある。そのため、支持体は導電性だけが要求される集電層より厚くなる。つまり、支持体は集電層よりガスの透過性は悪くなる傾向がある。また、酸素ガス水素ガス拡散速度を比較すると、一般に水素ガスの方が酸素ガスより数倍速い。これらのことから、内側電極が空気極である場合は、支持体を水素に比べて透過し難い酸素が透過することとなるので、内側電極が燃料極である場合と比較すると、ガス拡散過電圧が大きくなる。その結果、発電性能が低下する傾向にある。従って、内側電極が燃料極である場合の方が発電性能に優れる。なお、内側電極が燃料極である場合、外側電極は空気極となる。

0024

燃料極
本発明において、燃料極は、燃料ガスを透過させるための多孔性、水素を吸着させる触媒活性電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。燃料極の多孔性は支持体のそれより小さくてもよい。

0025

このような燃料極を構成する材料として、例えばNiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物などが挙げられ、少なくともこれらのいずれかを含んでなる。ここで、NiO/ジルコニウム含有酸化物とは、NiOとジルコニウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。また、NiO/セリウム含有酸化物とは、NiOとセリウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。NiO/ジルコニウム含有酸化物のジルコニウム含有酸化物としては、例えばCaO、Y2O3、Sc2O3のうちの1種以上をドープしたジルコニウム含有酸化物などが挙げられる。NiO/セリウム含有酸化物のセリウム含有酸化物としては、一般式Ce1−yLnyO2(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、およびYから選択されるいずれか1種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)などが挙げられる。なお、NiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなるため、前記酸化物はそれぞれNi/ジルコニウム含有酸化物又はNi/セリウム含有酸化物となる。

0026

本発明において、燃料極は単層であっても、又は複層であっても良い。内側電極が複層の燃料極である場合の例としては、支持体側にNi/YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を用い、固体電解質側にNi/GDC(Gd2O3−CeO2)(すなわち、燃料極触媒層)を用いる。燃料極の好ましい厚さは10〜200μmである。燃料極触媒層の好ましい厚さは0〜30μmである。

0027

空気極
本発明において、空気極は、酸素を透過させるための多孔性、酸素を吸着させる又はイオン化する触媒活性(電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。空気極の多孔性、導電性はそれぞれ集電層のそれより小さくてもよい。

0028

このような空気極を構成する材料として、例えばLa1−xSrxCoO3(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1−xNixO3(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、LaSrFeO3系とLaSrCoO3系の固溶体であるランタンフェライト系酸化物(La1−mSrmCo1−nFenO3(但し、0.05<m<0.50、0<n<1))などが挙げられる。空気極は、単層であっても、又は複層であっても良い。外側電極が複層の空気極である場合の例としては、固体電解質側にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(すなわち、空気極触媒層)を用い、最表層にLa0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3(すなわち、空気極)を用いることができる。空気極の好ましい厚さは0.2〜30μmである。

0029

固体電解質
本発明において、固体電解質は、酸化物イオン伝導性、ガスシール性、および電気絶縁性を有する。このような固体電解質を構成する材料として、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、およびScから選択される1種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。本発明において好適な固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La1−aSraGa1−b−cMgbCocO3−δ(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。LSGMはLaGaO3をベースLaサイトをSrで置換することで酸化物イオン伝導性を発現する。固体電解質は、単層であってもよく、又は複層であってもよい。固体電解質が複層である場合、例えば、燃料極とLSGMからなる固体電解質の間に、反応抑制層を設けることができる。反応抑制層の具体例としては、Laを固溶させたセリア(Ce1−xLaxO2(但し、0.3<x<0.5))が挙げられる。好適には、Ce0.6La0.4O2である。固体電解質の好ましい厚さは5〜60μmである。また、反応抑制層の好ましい厚さは0〜20μmである。

0030

集電層
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、外側電極とインターコネクタとを電気的に接続する集電層を有してなる。この集電層は、ガス(酸素)透過性、および空気極より発生した電子をスムーズに流通するための導電性を有する。本発明において、外側電極が空気極である場合、集電層はAgやPtなどの貴金属を含有する導電性ペーストや、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3−δなどの導電性酸化物を含有するペースト焼き付けることにより形成できる。また、外側電極が燃料極である場合、集電層は還元されて導電性が得られる、NiOもしくはNiなどの金属酸化物、または金属を含有するペーストを焼き付けることにより形成できる。また、集電層は、ガス透過性を得るために多孔質またはメッシュなどの構造であることが好ましい。集電層の好ましい厚さは10〜200μmである。

0031

インターコネクタ
組成
本発明において、インターコネクタはセラミックからなる。つまり、本発明においてインターコネクタはセラミックインターコネクタを意味する。セラミック材料としては、一般式SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものであることが好ましい。ここで、「からなる」とは、インターコネクタの主成分が前記一般式SrxLayTiO3−δで表されるペロブスカイト型酸化物であることを意味する。すなわち、インターコネクタがその他の成分、例えば後述する拡散元素を含むものである態様を除外するものではない。換言すると、インターコネクタは前記一般式SrxLayTiO3−δで表されるペロブスカイト型酸化物を主成分として含んでなるものであることが好ましい。主成分とは、インターコネクタにおいて、前記一般式SrxLayTiO3−δで表されるペロブスカイト型酸化物が80mol%以上含まれていることを意味する。好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上含まれている。さらにより好ましくは、インターコネクタは前記ペロブスカイト型酸化物のみからなる。インターコネクタの主成分がこのような組成比を有する酸化物であることにより、十分な緻密性と導電性を両立することができる。インターコネクタはSrTiO3をベースにLaを置換することで導電性が発現される。本発明のより好ましい態様によれば、SrとLaの組成比は、0.8≦x+y≦0.9、0.01<y≦0.1の関係を満たすものである。これにより、緻密性をさらに高めることができる。また、TiをNbで置換してもよい。これにより、導電性をさらに高めることができる。このような酸化物の好ましい具体例として、SrxLayTi1−zNbzO3−δ(0.8≦x+y≦1.0、0.01<y≦0.1、0.05≦z≦0.2)が挙げられる。

0032

本発明において、インターコネクタは、例えば焼成時に他の部材、すなわち燃料極、空気極および固体電解質等からインターコネクタに拡散される元素不可避成分として含んでいても良い。このような元素としては、Ni、Y、Gd、Ce、Zr、La、Sr、Ga、Mg、Co、Feなどが挙げられる。拡散する元素の量は、各部材の構成材料結晶構造焼成温度、焼成の態様(例えば、逐次焼成や共焼成)などに応じて変化する。

0033

(厚み)
本発明において、インターコネクタの厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。

0034

(導電率)
本発明において、インターコネクタの導電率は、700℃大気雰囲気下において0.01S/cm以上であることが好ましく、0.02S/cm以上であることがさらに好ましい。また、導電率は高ければ高いほど良いため上限は無いが、好ましくは0.16S/cm以下である。これによりインターコネクタの導電性を向上させ、固体酸化物形燃料電池スタック発電出力を向上させることが可能となる。

0035

導電率は以下の方法により測定することができる。すなわち、導電率を測定するための試験片を、インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスして、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより作製する。この試験片の導電率をJIS R 1650−2の規定に基づき、直流端子法によって、大気雰囲気下700℃で測定する。

0036

気孔率
本発明において、インターコネクタの気孔率は、1%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以下である。また、0%以上であることが好ましい。これによりインターコネクタのガスシール性を確保し、固体酸化物形燃料電池セルスタックの発電効率を向上することが可能となる。気孔率の測定は、以下の方法を用いて行うことができる。

0037

SEM画像から得る方法>
作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックからインターコネクタを含むように切り出し、このインターコネクタを走査型電子顕微鏡(例えば日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率100〜10000倍で観察し、SEM画像を得る。このSEM画像を画像処理ソフト(例えばWinroofver6.5.1、MITANI CORPORATION社製)によって評価する。これにより、横軸輝度縦軸出現頻度であるヒストグラムを得る。このヒストグラムにおいて、輝度の最小値最大値平均値より輝度が低い領域を低輝度領域、平均値より輝度が高い領域を高輝度領域とする。この低輝度領域を気孔と判定し、気孔以外の高輝度領域をインターコネクタと判定することで2値化処理する。その後、下記式から気孔率を得ることができる。
気孔率(%)=低輝度領域の積分値÷全体の出現頻度の積分値×100

0038

本発明において、インターコネクタが上記方法によって得られる所望の気孔率を有するものであることを確認するために、以下の方法により求められる気孔率を一つの指標とすることができる。

0039

アルキメデス法にて測定して得る方法>
インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスし、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより試験片を得る。この試験片をJIS R 1634の規定に基づき、アルキメデス法により測定し、気孔率を得る。

0040

本発明において、固体電解質およびインターコネクタの双方がストロンチウムを含むのが好ましい。本発明において、インターコネクタに含まれるストロンチウム量の方が固体電解質に含まれるストロンチウム量よりも多いことがさらに好ましい。すなわち、固体電解質に含まれるストロンチウム量はインターコネクタに含まれるストロンチウム量よりも少ないことがさらに好ましい。

0041

インターコネクタは、酸素を除いた元素換算で、組成中にストロンチウムを30mol%以上50mol%以下含むことが好ましい。すなわち、SrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)において、さらに0.3≦x/(x+y+1)≦0.5を満たすことが好ましい。固体電解質は、酸素を除いた元素換算で、組成中にストロンチウムを15mol%以下含むことが好ましく、2.5mol%以上15mol%以下含むことがより好ましい。すなわち、固体電解質は、一般式La1−aSraGa1−b−cMgbCocO3−δ(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)を含んでなることが好ましい。

0042

固体酸化物形燃料電池セルスタックの構造
図1は、本発明の一つの態様として、横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを示す正面図である。横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック210は、支持体201に13個の発電素子10が直列に接続されている。

0043

図2は、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタック210の一つの態様を示す模式図であり、固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて発電素子10近傍を示す。図2では、内側電極を燃料極としたタイプについて示す。固体酸化物形燃料電池セルスタック210は、支持体201と、(第一/第二)燃料極202(すなわち、燃料極層202aと燃料極触媒層202b)と、(第一/第二)固体電解質203(すなわち、反応抑制層203aと固体電解質層203b)と、空気極204と、集電層205と、インターコネクタ206とから構成されている。ここで、(第一/第二)とは、単層又は二層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有することを意味する。

0044

図3は、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックを構成する隣接する2つの発電素子を含む好ましい態様を示す断面模式図である。図3では、支持体301と、この支持体301の表面に、燃料極302、固体電解質304および空気極305が順次積層されてなる2つの発電素子と、これら隣接する2つの発電素子のうちの一方の発電素子の空気極305と、他方の発電素子の燃料極302とを電気的に接続するインターコネクタ303とを少なくとも有し、隣接する2つの発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックを示す。

0045

一方の発電素子の空気極305の下に設けられたインターコネクタ303の下に、このインターコネクタ303と接合して一方の発電素子の固体電解質304が設けられている。さらに、他方の発電素子の燃料極302の上に設けられたインターコネクタ303の上に、このインターコネクタ303と接合して他方の発電素子の固体電解質304が設けられている。図3を一方の発電素子の空気極305側から見ると、インターコネクタ303の下に緻密な固体電解質304が形成されている。他方の発電素子の燃料極302側から見ると、インターコネクタ303の上に緻密な固体電解質304が形成されている。したがって、インターコネクタ303のガスシール性が良好に確保される。

0046

図4は、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックを構成する隣接する2つの発電素子を含む別の好ましい態様を示す断面模式図である。図4では、一方の発電素子の空気極305の下かつインターコネクタ303の下に設けられた一方の発電素子の固体電解質304の下に、この一方の発電素子の固体電解質304と接合してインターコネクタ303がさらに設けられている。さらに、他方の発電素子の燃料極302の上かつインターコネクタ303の上に設けられた他方の発電素子の固体電解質304の上に、この他方の発電素子の固体電解質304と接合してインターコネクタ303がさらに設けられている。図4を一方の発電素子の空気極305側から見ると、インターコネクタ303の間に緻密な固体電解質304が形成されている。また他方の発電素子の燃料極302側から見ると、インターコネクタ303の間に緻密な固体電解質304が形成されている。したがって、インターコネクタ303のガスシール性が良好に確保される。図4では、インターコネクタ303と固体電解質304との接合距離が図3のそれに比べてさらに長くなっているため、さらに良好なガスシール性が得られる。

0047

本発明において、一方の発電素子の固体電解質304および他方の発電素子の固体電解質304各々とインターコネクタ303との接合距離は長い程良く、接合距離は固体電解質304の厚みの2倍以上であることが好ましい。これにより、固体電解質304とインターコネクタ303との間の密着性、およびインターコネクタ303のガスシール性を得ることができる。ここで、固体電解質とインターコネクタとの接合距離とは、固体電解質304とインターコネクタ303とが接合している部分の長さを意味する。すなわち、隣接する一方の発電素子の固体電解質304とインターコネクタ303とが接合している部分の長さと、隣接する他方の発電素子の固体電解質304とインターコネクタ303とが接合している部分の長さとを足し合わせたものである。接合とは、隙間がなく接触し、密着していることを意味する。接合距離と厚みは、以下の方法で求めることができる。まず、作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックを隣接する一方の発電素子と他方の発電素子とが含まれるように切断する。そして、この切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で1〜100倍の任意の倍率にて3回観察し、得られた接合距離の最大値と最小値を足して2で割ることで求めることができる。厚みも同様の方法で求めることができる。

0048

本発明の好ましい態様によれば、固体酸化物形燃料電池セルスタックは、一方の発電素子の固体電解質304および他方の発電素子の固体電解質304各々とインターコネクタ303とが双方ストロンチウムを含み、各固体電解質304に含まれるストロンチウムの量よりも当該インターコネクタ303に含まれるストロンチウムの量の方が多い。固体電解質304およびインターコネクタ303双方がストロンチウムを含むことにより、焼成時にストロンチウムの拡散が起こり、緻密性および密着性が高くなる。具体的には、固体電解質304と、これよりSrを多く含み、固体電解質304との反応性が高いSrxLayTiO3−δ(ただし、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)からなるインターコネクタ303が接合することにより、焼成時に両者が反応して、固体電解質304とインターコネクタ303との間の密着性を向上することができる。好ましくは、固体電解質304はSrがドープしたランタンガレート系酸化物である。その結果、固体電解質304とインターコネクタ303との間のガスシール性を向上することができる。

0049

固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法は、特定のものに限定されるものではない。本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、例えば、以下のようにして製造される。なお、以下の説明においては、内側電極が燃料極であり、外側電極が空気極である場合を例として説明する。

0050

支持体は例えば以下のように作製することができる。先ず、原料粉体に、溶媒(水、アルコールなど)を添加して坏土を作製する。このとき、任意成分として、分散剤バインダー消泡剤もしくは造孔剤またはこれらの組合せ等を添加してもよい。坏土の成形には、シート成形法プレス成形法押出成形法などが用いられるが、内部にガス流路が形成される支持体を成形する場合は、押出成形法を用いるのが好ましい。複層の支持体を成形する場合は、複層を一体的に押出成形する多層押出成形の他、上層コーティング印刷により成形する方法を用いることもできる。コーティング方法の具体例としては、原料スラリーをコーティングするスラリーコート法テープキャスティング法ドクターブレード法転写法などが挙げられる。印刷方法の具体例としては、スクリーン印刷法インクジェット印刷方法などが挙げられる。次いで、作製した坏土を成形し、乾燥して支持体前駆体を得る。この支持体前駆体は、好ましくは、次いで仮焼(800℃以上1100℃未満)して多孔質な支持体の仮焼体を得て、その後支持体の仮焼体を、単独で焼成して支持体を得てもよく、又は、少なくとも燃料極等と共に焼成して支持体を得てもよい。焼成温度は、1100℃以上1400℃未満が好ましい。

0051

インターコネクタは例えば以下のように作製することができる。まず、原料粉末を作製する。原料粉末の作製は、例えば固相法により行うことができる。すなわち、原料となる金属酸化物の粉末を所望の組成比となるように量し、溶液中で混合した後に溶媒を除去して得られた粉末を、例えば1150℃で焼成、そして粉砕して原料粉末を作製する。この原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、必要に応じて分散剤、バインダー等の成形助剤を添加して、スラリー又はペーストを作製する。このスラリー又はペーストをコーティングし、乾燥(80℃以上1100℃以下、好ましくは300℃以上1100℃以下)することで得られる乾燥被膜を形成した後、焼成(1100℃以上1400℃未満、好ましくは1250℃以上1400℃未満)することによってインターコネクタを得ることができる。コーティングは、既に説明したのと同様の方法を用いることができる。あるいは、各乾燥被膜は、予め転写シートとして形成し、転写フィルム被積層体に貼り付けることにより設けても良い。

0052

燃料極、固体電解質および空気極は例えば以下のように作製することができる。各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、必要に応じて分散剤、バインダー等の成形助剤を添加して、スラリー又はペーストを作製する。このスラリー又はペーストをコーティングし、乾燥(80℃以上1100℃以下、好ましくは300℃以上1100℃以下)することで得られる乾燥被膜を形成した後、焼成(1100℃以上1400℃未満、好ましくは1250℃以上1400℃未満)することによって燃料極、固体電解質および空気極を得ることができる。コーティングは、既に説明したのと同様の方法を用いることができる。あるいは、各乾燥被膜は、予め転写シートとして形成し、転写フィルムを被積層体に貼り付けることにより設けても良い。

0053

本発明の製造方法の好ましい態様によれば、焼成は、各層を形成する都度行うことが好ましい。つまり、本態様によれば、支持体又はその仮焼体の表面に、燃料極の乾燥被膜を形成後、焼成して燃料極を形成する工程と、固体電解質の乾燥被膜を形成後、焼成して固体電解質を形成する工程と、インターコネクタの乾燥被膜を形成後、焼成してインターコネクタを形成する工程と、空気極の乾燥被膜を形成後、焼成して空気極を形成する工程とを少なくとも含んでなる。また、集電層の形成は、空気極の形成後に行う。

0054

本発明の製造方法の別の好ましい態様によれば、支持体又はその仮焼体を作製し、支持体又はその仮焼体の表面に燃料極の乾燥被膜を形成し、インターコネクタの乾燥被膜を形成し、固体電解質の乾燥被膜を形成し、次いで支持体、燃料極、インターコネクタおよび固体電解質の乾燥被膜からなる積層成形体を共焼成(1250℃以上1400℃未満)し、その後空気極の乾燥被膜を形成し、そしてこれら全体を焼成することを含んでなる。

0055

本発明による製造方法の上記態様にあっては、支持体又はその仮焼体に燃料極、インターコネクタおよび固体電解質の各乾燥被膜を形成後、これらからなる積層成形体を一度に焼成する共焼成を行っている。この態様にあっては、固体電解質やインターコネクタがドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気と酸素の混合ガスを用い、酸素濃度は20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。

0056

本発明による製造方法の上記態様にあっては、少なくともインターコネクタおよび固体電解質が共焼成(1250℃以上1400℃未満)により得られることが好ましい。焼成時において、インターコネクタに含まれている元素と固体電解質に含まれている元素が相互に拡散し合う。すなわち、インターコネクタに含まれている元素と固体電解質に含まれている元素が同じ場合、相互に拡散し合う。このような元素としては、ストロンチウムやランタンが挙げられる。これにより、インターコネクタと固体電解質との密着性を向上することができる。

0057

本発明による製造方法にあっては、インターコネクタの構造に応じて適宜インターコネクタを複数回に分けて形成することができる。この場合、各インターコネクタの乾燥被膜を得る度に焼成してインターコネクタを得てもよく、各乾燥被膜を一体に共焼成してインターコネクタを得てもよい。例えば、図5および6に示すように、インターコネクタを、燃料極側のインターコネクタと空気極側に分けて形成する場合は、以下の方法を用いることができる。なお、燃料極側のインターコネクタとは、隣接する他方の発電素子の燃料極の上に形成され、隣接する他方の発電素子の固体電解質と接合するように設けられるインターコネクタを指す。また、空気極側のインターコネクタとは、隣接する一方の発電素子の空気極の下に設けられ、隣接する一方の発電素子の固体電解質と接合するように設けられるインターコネクタを指す。具体的な方法としては、燃料極の表面に燃料極側のインターコネクタの乾燥被膜を形成する工程と、固体電解質の乾燥被膜を形成する工程と、空気極側のインターコネクタの乾燥被膜を形成する工程と、燃料極側および空気極側双方のインターコネクタの乾燥被膜および固体電解質の乾燥被膜を一体に共焼成してインターコネクタおよび固体電解質を形成する。

0058

本発明を以下の実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。

0059

実施例1
支持体用坏土Aの作製)
高純度フォルステライト(0.05質量%のCaOを含むMg2SiO4)原料粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部とを高速ミキサーで混合後、混練機ニーダー)で混練し、真空土練装置脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R1629の規定に基づき測定し、50%径にて示した値である(以下同様)。

0060

(燃料極層用スラリーの作製)
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末とを重量比65:35で湿式混合し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末の平均粒子径は0.7μmとなるよう調節した。この粉末150重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)6重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0061

(燃料極触媒層用スラリーの作製)
NiO粉末とGDC10(10mol%GdO1.5−90mol%CeO2)粉末との混合物共沈法で作製後、熱処理を行い、燃料極触媒層用粉末を得た。NiO粉末とGDC10粉末の混合比は重量比で50/50とした。得られた燃料極触媒層用粉末の平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)5重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0062

(反応抑制層用スラリーの作製)
反応抑制層の材料として、セリウム系複合酸化物LDC40(40mol%LaO1.5−60mol%CeO2)の粉末50重量部を用いた。この材料粉末に、焼結助剤としてGa2O3粉末0.04重量部を混合し、さらに溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0063

固体電解質用スラリーの作製)
固体電解質の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末を用いた。このLSGM粉末50重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0064

空気極用スラリーの作製)
空気極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の組成の粉末を用いた。この粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0065

(インターコネクタ用原料粉末の作製)
インターコネクタ用原料粉末の作製は、固相法により行った。ストロンチウムとランタンとチタンとが、Sr0.90La0.04TiO3−δに示されるペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した。その後、溶媒を除去して得られた粉末を、1150℃で焼成、そして粉砕してインターコネクタ原料粉末を作製した。

0066

(インターコネクタ用スラリーの作製)
インターコネクタの材料として、Sr0.90La0.04TiO3−δの組成の粉末を用いた。この粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。

0067

(固体酸化物形燃料電池セルスタックの作製)
上記のようにして得られた坏土および各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。また、インターコネクタは、隣接する他方の発電素子の燃料極の上に形成され、隣接する他方の発電素子の固体電解質と接合するように設けられる燃料極側のインターコネクタと、隣接する一方の発電素子の空気極の下に設けられ、隣接する一方の発電素子の固体電解質と接合するように設けられる空気極側のインターコネクタとの2回に分けて形成した。

0068

多孔質である支持体用坏土Aから押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1100℃で2時間熱処理して支持体の仮焼体を作製した。この支持体表面に、スラリーコート法により燃料極、燃料極触媒層、燃料極側のインターコネクタ、反応抑制層、固体電解質の順番成膜し、乾燥させて乾燥被膜が積層された積層成形体を得た。この積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。なお、図5に示すように、燃料極側のインターコネクタと固体電解質との接合距離(L)は200μm〜220μmになるよう形成した。

0069

次に、空気極側のインターコネクタをスラリーコート法により成膜し、1250℃で2時間焼成した。なお、図6に示すように、空気極側のインターコネクタと固体電解質との接合距離(L’)は200μm〜220μmとなるよう形成した。

0070

次に、固体電解質の表面に空気極を成形し、1100℃で2時間焼成し、固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。なお、支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックは、燃料極の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質の厚みが30μmであり、インターコネクタの厚みが15μmであり、空気極の厚みが20μmであった。また、支持体の外径は成膜していない個所マイクロメータで測定した。各部材の厚みは作製したセルスタックのセルを切断して、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で30〜2000倍の任意の倍率にて3回観察し、得られた厚みの最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極を成膜した部分の中央部とした。また、得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。

0071

実施例2
実施例1に対して、燃料極側および空気極側のインターコネクタ双方を、固体電解質との接合距離が40μm〜60μmになるよう形成した以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。

0072

比較例1
例えば図7に示すように、実施例1に対して、燃料極側のインターコネクタを成膜せず、積層成形体を共焼成した後に、空気極側のインターコネクタを成膜、焼成した以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。インターコネクタと固体電解質との接合距離は5〜10μmとなるように形成した。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。

0073

比較例2
例えば図7に示すように、実施例1に対して、燃料極側のインターコネクタを成膜せず、積層成形体を共焼成した後に、空気極側のインターコネクタを成膜、焼成した以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。インターコネクタと固体電解質との接合距離は20〜30μmとなるように形成した。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。

0074

評価
OCVの測定)
得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックを用いて、発電試験を行った。燃料極側の集電は、燃料極の露出部に集電金属を銀ペースト張り合わせて焼き付けた。空気極側の集電は、隣接する燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。

0075

以下の発電条件で発電試験を行い、運転0時間後の起電力;OCV(V)を測定した。結果を表1に示す。
燃料ガス:(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
酸化ガス:空気
運転温度:700℃

0076

限界燃料利用率の測定)
上述の発電試験の条件において、電流密度0.4A/cm2にて通電し発電試験を行った。その後、燃料ガスの供給量を徐々に減らし、電位急降下する直前水素供給量を測定し、次式から限界燃料利用率を算出した。結果を表1に示す。
限界燃料利用率=(発電に使用される水素量)/(電位が急降下する直前の水素供給量)×100
なお、発電に使用される水素量は、電流量(C/s)×60(s)×22.4(L/mol)÷ファラデー定数(C/mol)×1/2(価数)×発電素子数で求められる。

実施例

0077

0078

10:発電素子、210:固体酸化物形燃料電池セルスタック、301:支持体、302:燃料極、303:インターコネクタ、304:固体電解質、305:空気極

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