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技術 液晶配向剤、液晶組成物及び液晶表示装置

出願人 エルジーディスプレイカンパニーリミテッド国立大学法人東京工業大学
発明者 佐藤治戸木田雅利渡辺順次
出願日 2014年9月30日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-200356
公開日 2016年5月9日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-071146
状態 特許登録済
技術分野 付加系(共)重合体、後処理、化学変成 液晶3-2(配向部材) 高分子組成物
主要キーワード 平面型電極 相転位温度 コーティングなし 製造プロセスフロー 電圧ロス イオンビーム処理 接着力低下 剛直構造
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課題

本発明は、基板に対して垂直方向液晶分子配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。

解決手段

本発明の液晶配向剤は、液晶性モノマー由来する構成単位を含むランダム共重合体からなることを特徴とする。また、本発明の液晶組成物は、液晶成分と、前記液晶配向剤とを含むことを特徴とする。さらに、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示装置であって、前記液晶層が前記液晶組成物であることを特徴とする。

概要

背景

液晶表示装置は、低駆動電圧低消費電力及び軽量などの特性を有していることから、時計表示板及び携帯電話ディスプレイのほか、コンピュータ又はテレビのディスプレイなどでの用途が拡がっている。

現在主流の液晶表示装置では、TN(twisted nematic)モード、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モードなどが採用されているが、これらの種類又は仕様によって液晶材料に要求される物性(例えば、屈折率方性誘電率異方性、粘度、相転位温度など)が異なる。

ところで、上記駆動方式の液晶表示装置ではいずれも、液晶分子配向を制御する手段が必要であり、配向膜を形成する手段が一般的に使用されている。例えば、TN又はIPSモードの液晶表示装置では、ラビング処理を施した配向膜によって、基板に対して水平方向に液晶分子を配向制御している。他方、ラビング処理が不要なVAモードの液晶表示装置では、配向膜によって基板に対して垂直方向に液晶分子を配向制御している。なお、「配向膜」とは、液晶配列状態を制御する膜であり、一般的にポリイミドなどの樹脂からなる膜を意味する。また、「ラビング処理」とは、レーヨンや綿などの布を巻いたローラーを、回転数及びローラーと基板との距離を一定に保った状態で回転させ、配向膜の表面を一方向に擦る処理を意味する。

ここで、従来の一般的なVAモード液晶表示装置の断面図を図3及び図4に示す。図3は平面型電極6を用いたもの、図4は櫛型電極7を用いたものである。これらの図からわかるように、従来の一般的なVAモード液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に挟持された、液晶分子3を含む液晶層2とを備えており、基板1a,1bの液晶層2と直に接する面には、液晶分子を配向制御する配向膜8が形成されている。また、基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4及びカラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5が形成されており、シール材9によって液晶層2が封止されている。

平面型電極6を用いたVAモード液晶表示装置では、(A)電界FFの場合、配向膜8によって液晶層2中の液晶分子(n型液分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(n型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に垂直に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。
櫛型電極7を用いたVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、配向膜8によって液晶層2中の液晶分子(p型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(p型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に平行に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。

しかしながら、図3及び4のようなVAモード液晶表示装置に代表される従来の一般的な液晶表示装置では、配向膜8によって液晶分子3の配向制御を行っているため、配向膜8の形成に起因する様々な問題がある。例えば、配向膜8を形成する際にゴミピンホールによって印刷上の製造歩留まりが低下したり、製造工程のガラス基板の大型化に伴って配向膜8の形成工程の投資コストが増大するなどの問題がある。そのため、他の液晶配向制御手段の開発が強く望まれている。

他の液晶配向制御手段としては、非特許文献1において、ナノ粒子を分散させた液晶材料を液晶層に用いる方法が提案されている。また、非特許文献2において、光重合性モノマーを配合した液晶材料をガラス基板間注入した後に光照射する方法が提案されている。さらに、非特許文献3において、ITO電極イオンビームを直接照射することで配向膜を形成することなく垂直配向誘起させる方法が提案されている。
しかしながら、非特許文献1の方法は、液晶材料に分散させたナノ粒子が凝集し易く、凝集した部分から光漏れが生じるため、液晶表示装置のコントラストが低下するという問題がある。また、非特許文献2の方法は、光照射工程が必要であるため、新たな設備投資が要求されると共に作業時間が長くなり、コストアップに繋がるという問題がある。さらに、非特許文献3の方法は、イオンビーム照射工程が必要であるため、真空容器を備えた新たな設備投資が必要となる上、ITO櫛型電極を使用する場合(図2参照)、ITOが形成されていない部分において垂直配向を誘起させることができないという根本的な問題が発生する。

そこで、配向膜に頼ることなく液晶分子の配向制御を行う手段として、デンドリマー液晶配向剤として液晶成分に配合することが提案されている(特許文献1)。この文献中で提案された液晶配向剤は、基板に対して垂直配向に液晶分子を配向させることができるため、VAモードの液晶表示装置において使用することができる。なお、「液晶配向剤」とは、配向膜又はラビング処理を施した配向膜に頼ることなく、添加するだけで基板に対して特定の方向に液晶分子の配向制御を行うことが可能な添加剤を意味する。

概要

本発明は、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。本発明の液晶配向剤は、液晶性モノマー由来する構成単位を含むランダム共重合体からなることを特徴とする。また、本発明の液晶組成物は、液晶成分と、前記液晶配向剤とを含むことを特徴とする。さらに、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示装置であって、前記液晶層が前記液晶組成物であることを特徴とする。なし

目的

本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液晶性モノマー由来する構成単位を含むランダム共重合体からなることを特徴とする液晶配向剤

請求項2

前記ランダム共重合体は、スチレンモノマーに由来する構成単位を更に含むランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤。

請求項3

前記液晶性モノマーに由来する構成単位の数は、前記スチレンモノマーに由来する構成単位の数以下であることを特徴とする請求項2に記載の液晶配向剤。

請求項4

前記液晶性モノマーに由来する構成単位が、下記の一般式(1):(式中、R1及びR2は炭素数1〜5のアルキル基であり、mは1〜10の整数である)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。

請求項5

液晶成分と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤とを含むことを特徴とする液晶組成物

請求項6

前記液晶配向剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載の液晶組成物。

請求項7

一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示装置であって、前記液晶層が、請求項5又は6に記載の液晶組成物であることを特徴とする液晶表示装置。

請求項8

前記一対の基板は、配向膜が形成されていないことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。

請求項9

電圧非印加時に前記液晶組成物中の液晶分子垂直配向していることを特徴とする請求項7又は8に記載の液晶表示装置。

技術分野

0001

本発明は、液晶配向剤液晶組成物及び液晶表示装置に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置は、低駆動電圧低消費電力及び軽量などの特性を有していることから、時計表示板及び携帯電話ディスプレイのほか、コンピュータ又はテレビのディスプレイなどでの用途が拡がっている。

0003

現在主流の液晶表示装置では、TN(twisted nematic)モード、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モードなどが採用されているが、これらの種類又は仕様によって液晶材料に要求される物性(例えば、屈折率方性誘電率異方性、粘度、相転位温度など)が異なる。

0004

ところで、上記駆動方式の液晶表示装置ではいずれも、液晶分子配向を制御する手段が必要であり、配向膜を形成する手段が一般的に使用されている。例えば、TN又はIPSモードの液晶表示装置では、ラビング処理を施した配向膜によって、基板に対して水平方向に液晶分子を配向制御している。他方、ラビング処理が不要なVAモードの液晶表示装置では、配向膜によって基板に対して垂直方向に液晶分子を配向制御している。なお、「配向膜」とは、液晶配列状態を制御する膜であり、一般的にポリイミドなどの樹脂からなる膜を意味する。また、「ラビング処理」とは、レーヨンや綿などの布を巻いたローラーを、回転数及びローラーと基板との距離を一定に保った状態で回転させ、配向膜の表面を一方向に擦る処理を意味する。

0005

ここで、従来の一般的なVAモード液晶表示装置の断面図を図3及び図4に示す。図3平面型電極6を用いたもの、図4櫛型電極7を用いたものである。これらの図からわかるように、従来の一般的なVAモード液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に挟持された、液晶分子3を含む液晶層2とを備えており、基板1a,1bの液晶層2と直に接する面には、液晶分子を配向制御する配向膜8が形成されている。また、基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4及びカラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5が形成されており、シール材9によって液晶層2が封止されている。

0006

平面型電極6を用いたVAモード液晶表示装置では、(A)電界FFの場合、配向膜8によって液晶層2中の液晶分子(n型液分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(n型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に垂直に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。
櫛型電極7を用いたVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、配向膜8によって液晶層2中の液晶分子(p型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(p型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に平行に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。

0007

しかしながら、図3及び4のようなVAモード液晶表示装置に代表される従来の一般的な液晶表示装置では、配向膜8によって液晶分子3の配向制御を行っているため、配向膜8の形成に起因する様々な問題がある。例えば、配向膜8を形成する際にゴミピンホールによって印刷上の製造歩留まりが低下したり、製造工程のガラス基板の大型化に伴って配向膜8の形成工程の投資コストが増大するなどの問題がある。そのため、他の液晶配向制御手段の開発が強く望まれている。

0008

他の液晶配向制御手段としては、非特許文献1において、ナノ粒子を分散させた液晶材料を液晶層に用いる方法が提案されている。また、非特許文献2において、光重合性モノマーを配合した液晶材料をガラス基板間注入した後に光照射する方法が提案されている。さらに、非特許文献3において、ITO電極イオンビームを直接照射することで配向膜を形成することなく垂直配向誘起させる方法が提案されている。
しかしながら、非特許文献1の方法は、液晶材料に分散させたナノ粒子が凝集し易く、凝集した部分から光漏れが生じるため、液晶表示装置のコントラストが低下するという問題がある。また、非特許文献2の方法は、光照射工程が必要であるため、新たな設備投資が要求されると共に作業時間が長くなり、コストアップに繋がるという問題がある。さらに、非特許文献3の方法は、イオンビーム照射工程が必要であるため、真空容器を備えた新たな設備投資が必要となる上、ITO櫛型電極を使用する場合(図2参照)、ITOが形成されていない部分において垂直配向を誘起させることができないという根本的な問題が発生する。

0009

そこで、配向膜に頼ることなく液晶分子の配向制御を行う手段として、デンドリマーを液晶配向剤として液晶成分に配合することが提案されている(特許文献1)。この文献中で提案された液晶配向剤は、基板に対して垂直配向に液晶分子を配向させることができるため、VAモードの液晶表示装置において使用することができる。なお、「液晶配向剤」とは、配向膜又はラビング処理を施した配向膜に頼ることなく、添加するだけで基板に対して特定の方向に液晶分子の配向制御を行うことが可能な添加剤を意味する。

0010

特開2010−170090号公報

先行技術

0011

シュジュン・ウォン(Shug-June Hwang)、外4名、「ナノ粒子ドープ垂直液晶装置の特性(Characteristics of nanoparticle-doped homeotropic liquid crystal devices)」、ジャーナルオブフィジックスD:アプライド・フィジックス(Journal of Physics D: Applied Physics)、2009年、第42巻、第2号、025102
チュンヤン・リ(Tzung-Yang Li)、外5名、「垂直配向TFT液晶ディスプレイのためのPlレス技術開発(Pl-Less Technology Development for Vertical Alignment TFT-LCD)」、第16回ディスプレイ国際ワークショップ(IDW'09)予稿集、2009年、第23−24頁
S.ウォン(S. Hwang)、外4名、「PIコーティングなしに直接イオンビーム処理したITO表面における液晶の配向(Alignment of liquid crystal on ion beam treated ITO surface directly without PI coating)」、第17回ディスプレイ国際ワークショップ(IDW'10)、予稿集、2010年、第105頁

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、特許文献1に記載されたデンドリマーは、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができるものの、その合成が難しく、多大な時間及びコストが要求される。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、液晶性モノマー由来する構成単位を含むランダム共重合体が、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させる特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、液晶性モノマーに由来する構成単位を含むランダム共重合体からなることを特徴とする液晶配向剤である。

0014

また、本発明は、液晶成分と、前記液晶配向剤とを含むことを特徴とする液晶組成物である。
さらに、本発明は、一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示装置であって、前記液晶層が、前記液晶組成物であることを特徴とする液晶表示装置である。

発明の効果

0015

本発明によれば、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

(A)電界OFF、(B)電界ONの場合における平面型電極を用いた実施の形態3のVAモード液晶表示装置の断面図である。
(A)電界OFF、(B)電界ONの場合における櫛型電極を用いた実施の形態3のVAモード液晶表示装置の断面図である。
(A)電界OFF、(B)電界ONの場合における平面型電極を用いた従来のVAモード液晶表示装置の断面図である。
(A)電界OFF、(B)電界ONの場合における櫛型電極を用いた従来のVAモード液晶表示装置の断面図である。
実施の形態3の液晶表示装置の製造プロセスフロー及び従来の液晶表示装置の製造プロセスフローを表す図である。

0017

実施の形態1.
本実施の形態の液晶配向剤は、液晶性モノマーに由来する構成単位を含むランダム共重合体からなる。
ここで、「液晶性モノマー」とは、メソゲン基を有するモノマーのことを意味する。また、「メソゲン基」とは、液晶性発現するために必要な剛直構造を有する有機基を意味し、メソゲン基としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸フェニルビフェニルシアノビフェニルターフェニルシアノターフェニル、フェニルベンゾエートアゾベンゼンジアゾベンゼンアニリンベンジリデンアゾメチンアゾキシベンゼンスチルベンフェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエートフェニルピリミジン、フェニルジオキサンベンゾイルアニリン、トラン及びこれらの誘導体などが挙げられる。また、「ランダム共重合体」とは、構成単位の配列に秩序がない共重合体のことを意味する。

0018

本実施の形態の液晶配向剤として用いられるランダム共重合体による液晶分子の配向制御のメカニズムは十分に分かっていないが、液晶分子とランダム共重合体との相互作用によって液晶分子が基板に対して垂直方向に配向すると考えられる。
液晶性モノマーに由来する構成単位を含むブロック共重合体や液晶性モノマーに由来する構成単位のみからなる単独重合体である場合、液晶性モノマーに由来する構成単位を含むランダム共重合体で見られるような液晶分子の配向制御機能は発現しない。

0019

液晶性モノマーに由来する構成単位としては、特に限定されないが、下記の一般式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。

0020

0021

上記一般式(1)中、R1及びR2は炭素数1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3のアルキル基であり;mは1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜7の整数である。

0022

ランダム共重合体は、液晶性モノマーに由来する構成単位に加えて、スチレンモノマーに由来する構成単位を更に含むことが好ましい。
スチレンモノマーに由来する構成単位は、下記の式(2)によって表される。

0023

0024

ランダム共重合体において、液晶性モノマーに由来する構成単位の数と、スチレンモノマーに由来する構成単位の数との割合は、特に限定されないが、液晶性モノマーに由来する構成単位の数がスチレンモノマーに由来する構成単位の数以下であることが好ましい。具体的には、液晶性モノマーに由来する構成単位の数とスチレンモノマーに由来する構成単位の数との割合が、好ましくは50:50〜3:97、より好ましくは40:60〜5:95、さらに好ましくは30:70〜7:93、最も好ましくは20:80〜9:91である。上記のような割合とすることにより、液晶分子を配向制御する効果を安定して得ることができる。なお、当該割合は、ランダム共重合体の1H−NMRの結果を分析することによって算出することができる。

0025

ランダム共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは8,000〜80,000、最も好ましくは10,000〜60,000である。
ランダム共重合体の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは8,000〜80,000、最も好ましくは10,000〜60,000である。
また、ランダム共重合体のMw/Mnは、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
なお、本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)の測定から求められた値を意味する。

0026

上記のような構成単位を有するランダム共重合体は、各種文献に記載の公知の方法に準じて合成することができる。具体的には、液晶性モノマーとスチレンモノマーとを重合させることによってランダム共重合体を合成することができる。
例えば、一般式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位とを有するランダム共重合体は、下記の一般式(3)で表される液晶性モノマー及び下記の式(4)で表されるスチレンモノマーを原料モノマーとし、原子移動型ラジカル重合ATRP)法を用いて合成することができる。ここで、「ATRP法」とは、反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する重合開始剤と、重合触媒となる遷移金属錯体とを用いてビニル系モノマー(原料モノマー)を重合させる方法である。

0027

0028

0029

上記一般式(3)中、R1、R2及びmは、上記で定義した通りである。

0030

一般式(3)で表される液晶性モノマーと、式(4)で表されるスチレンモノマーとの反応割合は、特に限定されないが、一般式(3)で表される液晶性モノマー1モルに対して、式(4)で表されるスチレンモノマーを1〜20モル、好ましくは2〜18モル、より好ましくは3〜15モルである。

0031

重合開始剤としては、塩素原子臭素原子又はヨウ素原子を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されないが、一般に、塩素原子又は臭素原子を1つ又は2つ有する化合物を用いることができる。重合開始剤の例としては、1−フェニルエチルクロライド、1−ブロモエチルベンゼンなどのベンジルハライドクロロホルム四塩化炭素などのハロゲン化アルカンエチル−2−ブロモイソブチレート、エチル−2−ブロモプロピオネートなどのα−ハロエステル;α−ブロモアセトン、α−ブロモアセトフェノンなどのα−ハロケトン;2−ブロモプロピオニトリルなどのα−ハロニトリルp−トルエンスルホニルクロリドなどのスルホニルハライドが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0032

重合開始剤の使用量としては、特に限定されず、使用する原料モノマーや重合開始剤などの種類に応じて適宜調整すればよい。

0033

遷移金属錯体としては、特に限定されないが、一般に、周期表7族〜11族から選ばれる遷移金属(M)を中心金属とする金属錯体を用いることができる。遷移金属(M)の具体例としては、例えば、Cu0、Cu+、Ni0、Ni+、Ni2+、Pd0、Pd+、Pt0、Pt+、Pt2+、Rh+、Rh2+、Rh3+、Co+、Co2+、Ir0、Ir+、Ir2+、Ir3+、Fe2+、Ru2+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Os2+、Os3+、Re2+、Re3+、Re4+、Re6+、Mn2+、Mn3+が挙げられる。

0034

遷移金属錯体は、遷移金属(M)を与える金属化合物と、配位子を与える化合物とを組み合わせることによって形成することができる。

0035

遷移金属錯体を形成するために用いられる金属化合物としては、1価の銅金属を有する銅化合物(例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅など)、2価のニッケルを有するニッケル化合物(例えば、二塩化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル)、二価の鉄を有する鉄化合物(例えば、二塩化鉄、二臭化鉄、二ヨウ化鉄など)、2価のルテニウムを有するルテニウム化合物(例えば、二塩化ルテニウム、二臭化ルテニウム、二ヨウ化ルテニウムなどが挙げられる。

0036

遷移金属錯体の配位子を与える化合物としては、特に限定されないが、2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミンペンタメチルジエチレントリアミントリス(ジメチルアミノエチルアミントリフェニルホスフィントリブチルホスフィンなどが挙げられる。

0037

金属化合物及び遷移金属錯体の配位子を与える化合物の使用量としては、特に限定されず、使用する化合物の種類などに応じて適宜調整すればよい。

0039

溶媒の使用量としては、特に限定されず、使用する溶媒の種類などに応じて適宜調整すればよい。

0040

原子移動ラジカル重合は、一般に−50〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の温度で行われる。各原料仕込み手順などは、特に限定されず、どのように仕込んでもよいが、重合開始剤以外の原料を先に溶解させて均一な溶液を作製し、重合温度昇温する直前に重合開始剤を投入して重合することが好ましい。

0041

上記のようにして製造されるランダム共重合体は、原子移動ラジカル重合などの重合法によって簡単に合成することができるため、デンドリマーやデンドロンなどのように複雑な合成を行う必要がないため、短時間及び低コストで合成することができる。

0042

実施の形態2.
本実施の形態の液晶組成物は、液晶成分と、上記の液晶配向剤とを含む。液晶組成物中の液晶配向剤(ランダム共重合体)の存在状態は、解明されたわけではないが、液晶組成物中で液晶配向剤が相分離し、液滴状となって均一に分散しているか、或いは基板界面付近偏在していると考えられる。このような状態の液晶配向剤が液晶分子に作用し、液晶分子の配向を制御していると推察される。

0043

液晶組成物中の液晶配向剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.01〜0.8質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。上記のような含有量とすることにより、液晶分子を配向制御する効果を安定して得ることができる。
本発明の液晶組成物に液晶配向剤を含有させる方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、液晶配向剤を液晶成分に加えた後、周知の混合手段を用いて混合させればよい。

0044

本実施の形態の液晶組成物に用いられる液晶成分としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の液晶(例えば、n型液晶、p型液晶)を用いることができる。ここで、「n型液晶」とは、誘電異方性が負であり、電界を印加した際に、電界に対して垂直に配向する液晶のことを意味する。また、「p型液晶」とは、誘電異方性が正であり、電界を印加した際に、電界に対して平行に配向する液晶のことを意味する。また、液晶成分は、単一の液晶成分であっても、2種以上の液晶成分を含む混合液晶であってもよい。

0045

本実施の形態の液晶組成物は、液晶表示装置の液晶層として用いた場合に、液晶配向剤によって液晶分子の配向を制御することができる。したがって、本実施の形態の液晶組成物を用いれば、配向膜と同じように液晶分子の配向制御を行うことができるため、配向膜を設けなくてもよい。

0046

実施の形態3.
本実施の形態の液晶表示装置は、上記の液晶組成物を液晶層として備えている。ここで、液晶層は、上記の液晶組成物から構成されるため、液晶層の組成についての説明は省略する。
以下、図面を参照して本発明の液晶表示装置について詳細に説明する。なお、本発明の液晶表示装置は、液晶層の構成以外は公知の液晶表示装置の構成を採用することができ、以下の構成に限定されるものではない。また、この液晶層の構成を採用すれば、配向膜を形成しなくてもよいが、配向膜と併用して液晶配向制御を行ってもよい。ここで、「配向膜」とは、液晶の配列状態を制御する膜であり、一般的にポリイミドなどの樹脂からなる膜を意味する。

0047

図1は、平面型電極を用いた本発明のVAモード液晶表示装置の断面図である。図1において、(A)は電界OFFの場合、(B)は電界ONの場合を表す。この液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に形成された液晶層2とを備えている。基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4、カラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5及び平面型電極6が順次形成されており、基板1bには、平面型電極6が形成されている。そして、液晶層2は、基板1a,1bに形成された平面型電極6と直に接していると共に、シール材9によって封止されている。液晶層2に配合された液晶配向剤10は、液晶層2中で相分離し、液滴状となって液晶層2中に均一分散しているか、或いは基板1a,1bの界面付近に偏在し、液晶層2中の液晶分子3を基板に対して垂直に配向させる。したがって、このVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、液晶層2中の液晶分子(n型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(n型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に垂直に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。

0048

図2は、櫛型電極を用いた本発明のVAモード液晶表示装置の断面図である。図2において、(A)は電界OFFの場合、(B)は電界ONの場合を表す。この液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に形成された液晶層2とを備えている。基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4、及びカラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5が順次形成されており、基板1bには、櫛型電極7が形成されている。そして、液晶層2は、基板1bに形成された櫛型電極7と直に接していると共に、シール材9によって封止されている。液晶層2に配合された液晶配向剤10は、液晶層2中で相分離し、液滴状となって液晶層2中に均一分散しているか、或いは基板1a,1bの界面付近に偏在し、液晶層2中の液晶分子3を基板に対して垂直に配向させる。したがって、このVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、液晶層2中の液晶分子(p型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(p型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に平行に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向する。

0049

上記のように、VAモード液晶表示装置では、液晶配向剤10を液晶層2に配合することにより、液晶分子3の配向制御を行う。すなわち、液晶配向剤10は、配向膜と同じような作用効果を与えるため、図3及び図4に示すような従来のVAモード液晶表示装置とは異なり、配向膜8を設けなくても液晶分子3の配向制御が可能である。また、配向膜8を設けない場合には、液晶層2を平面型電極6や櫛型電極7と直に接触させることができるため、配向膜8による電圧ロスを低減して液晶表示装置の駆動電圧を低下させることもできる。また、配向膜8の削減によって、印刷による配向膜8の端の位置のバラツキを考慮する必要がなくなるため、表示エリアと液晶表示装置の端部との間の距離を狭めることが可能となる。更に、一般的に、基板1a,1b同士を接着しているシール材9と配向膜8との重なりがあるほどシール材9の接着力が低下する傾向にあるが、配向膜8がなくなることにより、接着力低下の懸念がなくなるため、シール材9の幅を狭くすることが可能となる。これらの理由により、液晶表示装置の狭額縁化をより促進することができる。

0050

次に、本発明の液晶表示装置の製造プロセスフロー、及び従来の液晶表示装置の製造プロセスフローを表す図を図5に示す。なお、このフローは、例示的なものであるため、ODF(液晶滴下注入法)以外の方法にて液晶セルを作製する方法、例えば、毛細管現象を利用する方法(すなわち、予め張り合わせた基板間に液晶組成物を注入する方法)などを除外することを意味するものではない。

0051

従来の液晶表示装置の製造プロセスでは、液晶配向制御のための配向膜を形成するために、一般的に、(1)基板上への配向膜の塗布、(2)仮焼成、(3)本焼成、(4)ラビング処理及び(5)ラビング処理後基板洗浄図5における点線枠内の工程)を行う必要があった。なお、駆動方式によっては、(4)ラビング処理及び(5)ラビング処理後の基板洗浄の工程が行われない場合もある。
これに対して本発明の液晶表示装置の製造プロセスでは、液晶組成物に含有される液晶配向剤によって液晶配向制御を行うことができるため、配向膜を形成しなくてもよく、またラビング処理も行わなくてもよい。したがって、配向膜の形成やラビング処理を行う際に必要となる上記(1)〜(5)の工程を要しないため、製造方法の簡素化及び設備投資の大幅な削減が可能になると共に、ガラス基板の大型化に伴う配向膜形成工程の投資コスト増大を抑制することができる。更に、配向膜形成工程やラビング工程におけるゴミやピンホールに起因する不良の懸念がなくなるため、製造歩留まりの向上が期待できる。

0052

以下、実施例等により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(ランダム共重合体の合成)
スチレンモノマー(597.3mg、5.74mmol)、一般式(3)においてR1及びR2がメチル基及びmが6である液晶性モノマー(181.3mg、0.44mmol)、1−ブロモエチルベンゼン(1.6mg、8.8×10−3mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(25.2mg、0.15mmol)、CuBr(8.1mg、5.6×10−2mmol)及びアニソール(2310.0mg)を混合した後、110℃で24時間、原子移動型ラジカル重合を行うことによってランダム共重合体を得た。
得られたランダム共重合体について特性を評価した結果、Mnが27,000、Mwが35,700、Tgが71℃であった。また、液晶性モノマーに由来する構成単位の数とスチレンモノマーに由来する構成単位の数との割合は11:89であった。

0053

次に、上記で合成したランダム共重合体と、液晶材料(6OCB:アルキルオキシシアノビフェニル)とを混合することによって液晶組成物を調製した。この液晶組成物におけるランダム共重合体の含有量は0.21質量%とした。なお、液晶材料6OCBのネマチック等方相転移温度(NI点)は75℃、結晶化温度は57℃である。

0054

次に、上記で調製した液晶組成物を用いて液晶セルを作製した。
まず、アルカリ溶液にガラス基板を浸漬し、超音波洗浄した後、基板を純水でリンスし、乾燥させた。次に、粒径5μmのスペーサーを介し、2枚のガラス基板を重ね合わせた。その後、ガラスセルホットステージ上に乗せ、120℃に加熱しながら液晶組成物を毛細管現象により注入した。このようにして得られた液晶セルのセルギャップは約4.8μmであった。

0055

得られた液晶セルをホットステージ(顕微鏡用加熱/冷却装置LK−600PM、リンカム社製)上に配置して120℃に加熱し、5℃/分の速度にて降温しながら偏光顕微鏡観察を行った。その結果、75℃で暗視野からネマチック相転移し、さらに70℃まで降温させると再び暗視野像が現れ、この状態が結晶化するまで維持された。次に、暗視野状態から5℃/分の速度にて昇温しながら偏光顕微鏡観察を行った結果、71℃で暗視野像からネマチック相を示す状態に転移し、75℃で再び暗視野像が現れた。これらの状態についてコノスコープ像を観察した結果、75℃以上の暗視野領域では等方相を示す状態であったが、70℃以下の暗視野領域では液晶分子が垂直配向していることを示す特徴的な像が観察された。

実施例

0056

以上の結果からわかるように、本発明によれば、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向させることができる安価な液晶配向剤及び液晶組成物、並びにそれらを用いた液晶表示装置を提供することができる。

0057

1a、1b基板、2液晶層、3液晶分子、4カラーフィルタ層、5オーバーコート層、6平面型電極、7櫛型電極、8配向膜、9シール材、10液晶配向剤。

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