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技術 機能性繊維糸

出願人 日本エステル株式会社ユニチカトレーディング株式会社
発明者 山内直哉山本真史
出願日 2014年9月30日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-201417
公開日 2016年5月9日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-069765
状態 特許登録済
技術分野 複合繊維
主要キーワード 照射率 放射性微粒子 衣服着用者 デッドエア 照射性 発熱性微粒子 放射効果 レフランプ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月9日)のものです。
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図面 (3)

課題

遠赤外線放射性能及び発熱性能に優れ、室内でも十分に保温効果を発揮できる織編物に好適で、しかも紡糸操業性が良好で織編物を作製する際にガイド摩耗が生じ難い、新規機能性繊維糸を提供すること。

解決手段

断面が芯鞘構造をなすと共に芯部に発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有する機能性繊維から構成される糸条であって、前記機能性繊維において、前記発熱性微粒子及び前記遠赤外線放射性微粒子を前記芯部100質量部に対してそれぞれ0.1〜2.5質量部ずつ含有し、両微粒子を前記芯部100質量部に対して合計で0.2〜3.5質量部含有し、かつ芯鞘質量比(芯/)が75/25〜10/90の範囲にあることを特徴とする機能性繊維糸。

概要

背景

従来、保温を目的とした織編物は数多く上市されており、中空糸等によるデッドエアーの利用や吸湿発熱効果の利用、太陽光を熱に変換して利用する方法等、様々な手法を用いた素材が提案されている。しかしながら、デッドエアーの利用は、空気を含ませることで放熱を抑えるという消極的な手法であるため、寒さに対する保温性には限界があり、また空気層を利用するため、織編物が嵩高になってしまうという問題があった。また、吸湿発熱効果の利用については、不感蒸泄等の湿気を吸収することで発熱するものであるが、湿気を吸収した際には発熱するものの、持続性が低く、すぐに放熱してしまうという問題があった。一方、太陽光を熱に変換する方法は、晴天時の屋外においては十分な効果が認められるものの、雨天時や室内ではその効果がほとんど期待できないという問題があった。

これに対して、近年、遠赤外線放射性微粒子を利用して繊維に保温効果を付与する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遠赤外線放射性微粒子を3重量%以上含有又は付着させた繊維が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステル平均粒子径2.5〜5.0μmの雲母と平均粒子径8.0〜13.0μmの雲母を重量比4/6〜8/2の割合で合計3〜8重量%含有させた遠赤外線照射性ポリエステルが開示されている。さらに、特許文献3には、特定の遠赤外線照射率を示す遠赤外線放射性微粒子を1〜10重量%含有するポリマーからなる部と、当該微粒子を10〜70重量%含有するポリマーからなる芯部より構成される遠赤外線放射性機能性繊維が開示されている。また、特許文献4には、遠赤外線放射性微粒子を含有する熱可塑性重合体を鞘部に含む芯鞘構造の機能性繊維であって、遠赤外線放射性微粒子が繊維全体の3重量%である機能性繊維が開示されている。

概要

遠赤外線放射性能及び発熱性能に優れ、室内でも十分に保温効果を発揮できる織編物に好適で、しかも紡糸操業性が良好で織編物を作製する際にガイド摩耗が生じ難い、新規な機能性繊維糸を提供すること。断面が芯鞘構造をなすと共に芯部に発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有する機能性繊維から構成される糸条であって、前記機能性繊維において、前記発熱性微粒子及び前記遠赤外線放射性微粒子を前記芯部100質量部に対してそれぞれ0.1〜2.5質量部ずつ含有し、両微粒子を前記芯部100質量部に対して合計で0.2〜3.5質量部含有し、かつ芯鞘質量比(芯/鞘)が75/25〜10/90の範囲にあることを特徴とする機能性繊維糸。

目的

本発明は、遠赤外線放射性能及び発熱性能に優れ、室内でも十分に保温効果を発揮できる織編物に好適で、しかも紡糸操業性が良好で織編物を作製する際にガイド摩耗が生じ難い、新規な機能性繊維糸を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

断面が芯鞘構造をなすと共に芯部に発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有する機能性繊維から構成される糸条であって、前記機能性繊維において、前記発熱性微粒子及び前記遠赤外線放射性微粒子を前記芯部100質量部に対してそれぞれ0.1〜2.5質量部ずつ含有し、両微粒子を前記芯部100質量部に対して合計で0.2〜3.5質量部含有し、かつ芯鞘質量比(芯/)が75/25〜10/90の範囲にあることを特徴とする機能性繊維糸。

請求項2

前記機能性繊維において、前記芯部の断面形状が繊維のほぼ中心から放射状に延びる多葉型断面形状をなし、かつ前記多葉型断面形状の葉数が6〜20の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の機能性繊維糸。

請求項3

前記発熱性微粒子として炭化ジルコニウム及びカーボンの少なくとも一方を使用し、前記遠赤外線放射性微粒子としてマイカを使用することを特徴とする請求項1又は2記載の機能性繊維糸。

技術分野

0001

本発明は、発熱性能及び遠赤外線放射性能に優れた機能性繊維糸に関するものである。

背景技術

0002

従来、保温を目的とした織編物は数多く上市されており、中空糸等によるデッドエアーの利用や吸湿発熱効果の利用、太陽光を熱に変換して利用する方法等、様々な手法を用いた素材が提案されている。しかしながら、デッドエアーの利用は、空気を含ませることで放熱を抑えるという消極的な手法であるため、寒さに対する保温性には限界があり、また空気層を利用するため、織編物が嵩高になってしまうという問題があった。また、吸湿発熱効果の利用については、不感蒸泄等の湿気を吸収することで発熱するものであるが、湿気を吸収した際には発熱するものの、持続性が低く、すぐに放熱してしまうという問題があった。一方、太陽光を熱に変換する方法は、晴天時の屋外においては十分な効果が認められるものの、雨天時や室内ではその効果がほとんど期待できないという問題があった。

0003

これに対して、近年、遠赤外線放射性微粒子を利用して繊維に保温効果を付与する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遠赤外線放射性微粒子を3重量%以上含有又は付着させた繊維が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステル平均粒子径2.5〜5.0μmの雲母と平均粒子径8.0〜13.0μmの雲母を重量比4/6〜8/2の割合で合計3〜8重量%含有させた遠赤外線照射性ポリエステルが開示されている。さらに、特許文献3には、特定の遠赤外線照射率を示す遠赤外線放射性微粒子を1〜10重量%含有するポリマーからなる部と、当該微粒子を10〜70重量%含有するポリマーからなる芯部より構成される遠赤外線放射性機能性繊維が開示されている。また、特許文献4には、遠赤外線放射性微粒子を含有する熱可塑性重合体を鞘部に含む芯鞘構造の機能性繊維であって、遠赤外線放射性微粒子が繊維全体の3重量%である機能性繊維が開示されている。

先行技術

0004

特開昭63−227828号公報
特開平9−77961号公報
特開昭63−152413号公報
特開平2−154009号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射性微粒子のみを利用して繊維の保温効果を高めるには、遠赤外線放射性微粒子を多量に含有又は付着させる必要があり、紡糸の際に糸切れガイド摩耗等が生じやすくなり、紡糸操業性を悪化させるという問題があった。また、特許文献4の技術では、遠赤外線放射性微粒子を芯鞘構造の鞘部に局在化させることにより、紡糸操業性の改善が図られているものの、依然として満足できるものではない。

0006

さらに、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射特性を有する微粒子のみを利用して繊維に保温効果を付与する技術では、実現可能な保温効果には限界があり、十分な暖かさを実現するには至っていないのが現状である。

0007

本発明は、遠赤外線放射性能及び発熱性能に優れ、室内でも十分に保温効果を発揮できる織編物に好適で、しかも紡糸操業性が良好で織編物を作製する際にガイド摩耗が生じ難い、新規な機能性繊維糸を提供することを技術的な課題とするものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。

0009

(1)断面が芯鞘構造をなすと共に芯部に発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有する機能性繊維から構成される糸条であって、前記機能性繊維において、前記発熱性微粒子及び前記遠赤外線放射性微粒子を前記芯部100質量部に対してそれぞれ0.1〜2.5質量部ずつ含有し、両微粒子を前記芯部100質量部に対して合計で0.2〜3.5質量部含有し、かつ芯鞘質量比(芯/鞘)が75/25〜10/90の範囲にあることを特徴とする機能性繊維糸。
(2)前記機能性繊維において、前記芯部の断面形状が繊維のほぼ中心から放射状に延びる多葉型断面形状をなし、かつ前記多葉型断面形状の葉数が6〜20の範囲にあることを特徴とする(1)記載の機能性繊維糸。
(3)前記発熱性微粒子として炭化ジルコニウム及びカーボンの少なくとも一方を使用し、前記遠赤外線放射性微粒子としてマイカを使用することを特徴とする(1)又は(2)記載の機能性繊維糸。

発明の効果

0010

本発明によれば、保温効果に優れる織編物を構成するのに好適な機能性繊維糸が提供できる。本発明では、機能性繊維糸を構成する機能性繊維において、その芯部に発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有させているため、両者が近接している。これため、発熱性微粒子が発する熱を遠赤外線放射性微粒子そのものの温度上昇にも利用できる結果、より多くの遠赤外線が発せられ、より一層の保温効果が期待できる。

0011

さらに本発明では、繊維芯部の断面形状として特定の多葉型断面形状を採用することで、保温効果を一層発揮させつつより紡糸操業性を改善できる。

図面の簡単な説明

0012

本発明における機能性繊維の好ましい断面形状を例示する模式図である。
本発明における機能性繊維の好ましい断面形状を例示する模式図である。

0013

以下、本発明を詳細に説明する。

0014

本発明の機能性繊維糸は、特定の機能性繊維から構成される。機能性繊維は、断面が芯鞘構造をなし、その芯部に発熱性微粒子と遠赤外線放射性微粒子とを特定量含有する。本発明における保温効果は、このような特定の微粒子に由来するものであるから、この微粒子を含有する繊維並びにこの繊維を含む糸条及び布帛も同様の効果を有する。

0015

機能性繊維を構成するポリマーとしては、溶融紡糸が可能であることを限度として特に限定されず、従来、繊維の原料として使用されているポリマーを使用することができる。このようなポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6ナイロン66ナイロン46、ナイロン11ナイロン12等のポリアミドポリプロピレンポリエチレン等のポリオレフィンポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ポリマー;ポリ4フッ化エチレンポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマーPLA(ポリ乳酸)やPBSポリブチレンサクシネート)等のバイオマス由来モノマー化学的重合してなるバイオマスポリマー;これらのポリマーを構成するモノマーの2種以上からなる共重合体等が挙げられる。

0016

これらのポリマーは、粘度、熱的特性、相溶性等を鑑みて、他の構成モノマーを含む共重合体であってもよい。例えば、ポリエステルの共重合体(共重合ポリエステル)を使用する場合であれば、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸アジピン酸コハク酸スベリン酸セバシン酸ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸エチレングリコールプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオールグリコール酸ヒドロキシ酪酸ヒドロキシ吉草酸ヒドロキシカプロン酸ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸ヒドロキシオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトンと、ポリエステルとの共重合体を使用してもよい。

0017

また、本発明では発熱性微粒子を用いるが、発熱性微粒子としては、例えば電磁波(太陽光を含む)の吸収により発熱可能な物質からなる微粒子が使用できる。本発明において使用される発熱性微粒子としては、特に制限されないが、例えば、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、カーボン等が挙げられる。これらの発熱性微粒子の中でも、紡糸操業性と発熱性能をより向上させるという観点から、好ましくは炭化ジルコニウム、カーボンが挙げられる。これらの発熱性微粒子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用してもよい。

0018

発熱性微粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、例えば0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜2μmが挙げられる。発熱性微粒子の平均粒子径が前記範囲内であれば、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことなく、より優れた保温効果を奏することができる。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径である。

0019

さらに、本発明では遠赤外線放射性微粒子も用いるが、遠赤外線放射性微粒子としては、遠赤外線を放射可能な物質であればどのようなものでも使用できる。例えば、マイカ、タルク方解石等の鉱物酸化錫アルミナ二酸化珪素等の酸化物系セラミックス炭化珪素炭化ホウ素等の炭化物系セラミックス白金タングステン等の金属類が挙げられる。これらの遠赤外線放射性微粒子の中でも、紡糸操業性と遠赤外線放射性能をより向上させるという観点から、好ましくはマイカ、酸化錫、タルク、さらに好ましくはマイカ、酸化錫、最も好ましくはマイカが挙げられる。特に、マイカは硬度が低く、製織編工程においてガイド摩耗を抑えるのに効果的であるため、本発明に好適である。また、価格が比較的廉価である点でも好ましい。これらの遠赤外線放射性微粒子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用してもよい。

0020

遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、例えば4μm以下、好ましくは0.1〜4μm、さらに好ましくは0.3〜3μmが挙げられる。遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径が前記範囲内であれば、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことなく、より優れた保温効果を奏することができる。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径である。

0021

本発明に用いる繊維は、以上の発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含有する。この場合、製織編時の糸切れ、ローラ摩耗、ガイド摩耗等を抑える観点から、両微粒子を繊維内部に配する必要がある。すなわち、機能性繊維の断面形状を芯鞘構造にしたうえで微粒子を芯部に配する必要がある。微粒子を繊維鞘部に配してしまうと、繊維表面に微粒子が露出する。その状態で糸を走行させると、次第にローラやガイド等が損傷することになる。

0022

繊維芯部の断面形状としては、任意の形状が採用できる。具体的には、円形三角星形などが挙げられ、例えば円形を採用すれば、繊維は同心芯鞘構造又は偏心芯鞘構造となる。中でも同心芯鞘構造は、芯鞘構造の最も一般的な形状であり、紡糸、延伸生産性を安定させるうえで好ましい。図1に同心芯鞘構造の繊維断面を例示する。

0023

そして、両微粒子の含有量としては、芯部100質量部に対してそれぞれを0.1〜2.5質量部ずつ含有させる。各微粒子の含有量のうち一方でも上記範囲に満たない場合、遠赤外線放射性能及び発熱性能のいずれかに欠ける織編物しか得られず、十分な保温効果を持つ織編物が得られない。一方、いずれかの含有量が上記範囲を超えてしまうと、糸の紡糸操業性が低下する。糸を紡糸するときの生産性すなわち紡糸操業性は、繊維に異物を含ませると一般に低下するといわれており、その意味で上記微粒子は異物に相当するから、当該微粒子を多く使用することは、紡糸操業性の観点でいえば好ましいとはいえない。

0024

本発明では、このように発熱性微粒子を含有することで、太陽光を効率的に熱に変換し、十分な暖かさを付与できる。同時に、雨天時や室内など太陽光の届きにくい場合でも、遠赤外線放射性微粒子により暖かさを維持することができる。しかも本発明では、発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を同一繊維の同一部位(芯部)に含有させているため、両者が近接している。これにより、上記発熱性微粒子が発する熱を、暖かさを付与することに利用するのみならず、近接する遠赤外線放射性微粒子そのものの温度を上昇させることに利用できる。これにより、遠赤外線放射性微粒子からは温度上昇に応じてより多くの遠赤外線が発せられるから、結果としてより優れた保温効果が奏される。

0025

本発明ではこのように保温効果が効率的に奏されるから、微粒子の含有量をことさら増やなくてもよく、これにより所望の紡糸操業性が確保できる。本発明では、保温効果と紡糸操業性とを両立させる観点から、機能性繊維において、芯部100質量部に対して微粒子を合計で0.2〜3.5質量部含有させる。両微粒子の合計の含有量がこの範囲を下回ると、十分な保温効果が得られず、この範囲を上回ると、満足できる紡糸操業性が得られない。

0026

本発明における機能性繊維には、このように特定の微粒子が特定量含有されており、さらに必要に応じて艶消し剤難燃剤酸化防止剤制電剤抗菌剤等の各種微粒子を併含させてもよい。

0027

さらに、機能性繊維の芯鞘質量比(芯/鞘)としては、75/25〜10/90とする必要があり、50/50〜20/80とするのが好ましい。芯鞘質量比がこの範囲を満足することで、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことなく、より優れた保温効果を奏することができる。

0028

本発明では、機能性繊維の断面形状を芯鞘構造とし、微粒子のそれぞれの含有量及び合計の含有量、さらには芯鞘質量比を特定範囲に規定することで、保温効果を発揮させつつ紡糸操業性も良好なものにできるが、本発明者らがさらに検討を進めたところ、繊維芯部の断面形状を工夫すると、両性能を一層両立できることがわかった。具体的には、多葉型断面形状を採用するとよいことを見出した。

0029

一般に、織編物における保温効果は、繊維表層により多くの微粒子を配することにより強く奏される傾向にある。これは、繊維中で微粒子が配合されている位置と外気との距離を縮めることで、発熱性微粒子であればより多くの光を吸収できる結果、発熱効果が高まり、一方、遠赤外線放射性微粒子であれば、衣服着用者の身体との距離が縮まる結果、着用者が遠赤外線放射効果をより享受できるようになるからである。しかし、繊維表層近くまで微粒子を配してしまうと、繊維断面において、芯部がかなり肉厚となり、繊維全体に占める微粒子の含有量が大幅に増えることになる。そうすると、紡糸操業性は大きく低下する。

0030

そこで、本発明者らは、繊維芯部の断面形状を検討した結果、部分的に繊維表層近傍に突き出したような形状、すなわち多葉型断面形状を採用すれば、一部分ながらも芯部と外気との距離が縮まり、より多くの保温効果を創出できることを見出した。この考えの下、さらに最適な多葉型断面形状について検討を重ねたところ、繊維のほぼ中心から放射状に延びる形状をなし、その葉数が6〜20の範囲にある多葉型断面形状を採用すると、保温効果と紡糸操業性との一層の両立が可能となることを見出したのである。

0031

このような多葉型断面形状としては、図2記載のものが例示され、同(a)に図示する放射状型、同(b)(c)に図示する分離型フルーツセクション状型、同(d)に図示する連結型フルーツセクション状型等が好ましく採用できる。中でも、(a)に例示する形状が好ましい。(a)における形状では、葉数は8である。

0032

多葉型断面形状の先端から繊維の縁に至る距離としては、葉の先端から繊維の縁に至る最短距離と繊維半径との比率(DC)、すなわち、DC=(葉の先端から繊維の縁に至る最短距離)/繊維半径×100(%)なる式で算出されるDCを、40%以下とするのが好ましく、25%以下とするのがより好ましい。このような数値範囲を採用することで、保温効果をより向上できる。DCの下限としては、特に限定されないが、過度に小さく設計すると、紡糸、延伸又は製織編や糸加工の過程で繊維芯部の断面形状が崩れたとき、微粒子が繊維表面に露出することがあり、それが要因となって糸切れやガイド摩耗等が起こることがある。このような点から、DCは5%以上とするのがよい。DCは、紡糸ノズルを適宜選択することにより調整できる。

0033

本発明の機能性繊維糸は、このような機能性繊維からなる糸条であり、通常、複数の機能性繊維を束にすることにより構成される。

0034

本発明において、機能性繊維の形態としては、ステープルフィラメントのいずれでもよい。特にフィラメントとして使用する場合、モノフィラメント又はマルチフィラメントのいずれの形態でも使用できるが、一般にマルチフィラメントが好ましい。この場合、当該機能性繊維のみでマルチフィラメントを構成することが好ましいが、本発明の効果を損なわない限り、他の任意の繊維と混用してマルチフィラメントを構成してもよい。

0035

本発明の機能性繊維糸がマルチフィラメント糸の形態である場合、その単糸繊度としては、例えば0.2〜30dtexが好ましく、1〜10dtexがより好ましく、2〜5dtexがさらに好ましい。また、総(トータル繊度としては、例えば1〜500dtexが好ましく、5〜300dtexがより好ましく、10〜200dtexがさらに好ましい。単糸繊度を小さくすることにより繊維表面積が増加し、それに伴って遠赤外線放射性能及び発熱性能を向上させ、保温効果を一層高めることができる。また、単糸繊度を小さくするか又は仮撚りを付与すると、空気層が増加し、結果としてデッドエアーに起因する保温効果がさらに付加され得る。

0036

本発明の機能性繊維糸は、既述した溶融紡糸可能なポリマー、及び上記発熱性微粒子、上記遠赤外線放射性微粒子を用いて従来公知の方法により得ることができる。この場合、予めポリマーと両微粒子とを混ぜ合わせた混合物を用意し、この混合物とポリマーとを複合紡糸することにより、目的の機能性繊維糸となすのがよい。

0037

ポリマー、発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を混ぜる方法としては、特に限定されないが、例えば、発熱性微粒子を含むポリマーと遠赤外線放射性微粒子を含むポリマーとをドライブレンドする方法、ポリマーに発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を添加する方法等が挙げられる。

0038

そして、複合紡糸としては、紡糸速度が2000m/分以上の高速紡糸により半未延伸糸を得るPOY法;一旦2000m/分未満の低速又は2000m/分以上の高速で溶融紡糸し、巻き取った糸条を延伸熱処理する方法;巻き取ることなく続いて延伸を行う直接紡糸延伸法等が挙げられる。

0039

本発明では、このような機能性繊維糸を用いて織編物とするが、これに先立ち、機能性繊維糸を糸加工してもよい。糸加工としては、撚糸、仮撚り、インターレース加工、タスラン加工等が挙げられる。特に仮撚糸とする場合、半未延伸糸とした後、延伸仮撚りするのがよい。また、糸加工にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で他の任意の繊維を混用してもよく、通常は、本発明の機能性繊維糸を50質量%以上混用させるのがよい。

0040

織編物とするには、公知の織機編機を使用して製織編すればよい。この場合も、本発明の効果を損なわない範囲で、他の糸条が組み合わされていてもよい。

0041

製織編後は、従来公知の方法に従って後加工する。この場合、必要に応じて染色、着色プリントエンボス加工撥水加工抗菌加工蓄光加工消臭加工等されていてもよい。

0042

本発明にかかる織編物の用途については、特に制限されないが、例えば、各種インナーTシャツジャケットウインドブレーカーウェットスーツスキーウエア手袋帽子テント中敷き、布団側地等の保温性が求められる繊維製品の素材として好適である。

0043

以下、実施例及び比較例を挙げて更に詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0044

測定方法及び評価方法は以下の通りである。

0045

(1)極限粘度
フェノール四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。

0046

(2)遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径
株式会社島津製作所製「SALD−7100」を使用して測定した。測定分散液の調製は、エチレングリコール溶媒に、回折散乱光強度が40〜60%になるように微粒子を希釈混合し、これを測定分散液とした。測定は各4回行い、その平均を平均粒子径とした。

0047

(3)DC
機能性繊維糸から機能性繊維(単糸)を取り出した後、その単糸の断面を光学顕微鏡(稲産業株式会社製「PCSCOPE PCS−81X(商品名)」)を使用して写真撮影し、DCを下記式に基づいて算出した。
DC=(葉の先端から繊維の縁に至る最短距離)/繊維半径×100(%)
この場合、各葉について各々の先端から繊維外周に至る最短距離を測定し、それらを平均したものを、『葉の先端から繊維の縁に至る最短距離』とした。なお、葉がない場合は、芯部外周上に均一に配置された任意の8ヶ所を起点にして、芯部外周と繊維外周との距離を測定した。また、各々の葉の先端(又は芯部外周上に均一配置された任意の8ヶ所)を経由させるようにして、繊維中心から繊維外周まで各々線を引き、それらを平均したものを、『繊維半径』とした。

0048

(4)発熱性能
各実施例および比較例で得られた織物に、照度10000LUXとなるようにレフランプ照射し、裏面からサーモグラフィーで織物の表面温度を観察した。なお、測定の際の環境条件は、20℃65%RHとした。また、ブランクとして、発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子を含まないこと以外は、各実施例及び比較例と同組成の繊維を用いて作製した織物(比較例1)を用い、当該ブランクについても表面温度を測定した。発熱特性は、測定した各実施例および比較例の表面温度とブランクとの表面温度の差を算出して評価した。

0049

(5)遠赤外線放射性能
各実施例及び比較例で得られた織物の遠赤外線放射強度を測定した。測定は、赤外分光光度計FT−IR装置を使用し、測定温度40℃、測定波長域5〜20μmで行った。その際、同条件における黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体の放射強度を100%とした場合の各織物の放射強度の比率(%)を求め、各波長で算出された比率の平均値を平均放射率(%)として算出した。また、ブランクの織物(比較例1)を用い、同様に平均放射率(%)を求めた。そして、次式に基づいて、遠赤外線放射性能を算出した。
<遠赤外線放射性能の算出式
遠赤外線放射性能=〔(得られた織物の平均放射率(%)−ブランクの平均放射率(%))/ブランクの平均放射率(%)〕×100

0050

(6)紡糸操業性
機能性繊維糸を得るべく24時間操業したときの糸切れ回数計測し、下記基準に基づいて紡糸操業性を評価した。
<紡糸操業性の判定基準
○:糸切れ回数が0〜2回
△:糸切れ回数が3〜5回
×:糸切れ回数が6回以上

0051

(7)ガイド摩耗性
各実施例及び比較例で得られた機能性繊維糸について、ステンレス製トラベラーを有するリワインド機で100000mリワインドした後、トラベラーの表面状態顕微鏡で観察し、下記判定基準に従ってガイド摩耗性を評価した。
<ガイド摩耗性の判定基準>
○:摩耗が認められないか、又はわずかな摩耗があるが問題のない程度である。
△:やや摩耗している。
×:強い摩耗が認められる。

0052

(実施例1)
繊維の鞘部材料として、極限粘度が0.65のポリエチレンテレフタレートを用意した。一方、芯部材料として、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート98質量部に、発熱性微粒子としてカーボンを1.0質量部、及び遠赤外線放射性微粒子として平均粒子径1.4μmのマイカを1.0質量部含有させたものを用意した。そして、鞘部材料及び芯部材料を、孔数48孔の芯鞘複合ノズルプレートを備えた複合紡糸装置に導入し、芯鞘質量比(芯/鞘)20/80、紡糸温度290℃の条件で複合紡糸した。紡糸後、糸条を冷却し、油剤を付与した。そして、引き続き1400m/分の速度で回転する第一ローラに糸条を導入し、3600m/分の速度で回転する第二ローラとの間で2.57倍に熱延伸し、本発明の機能性繊維糸とした。ここで、上記第一ローラ温度は95℃であり、第二ローラ温度は100℃であった。

0053

得られた機能性繊維糸の総繊度は65dtex48fであり、繊維の断面形状は図2(a)記載のような芯鞘構造をなし、芯部断面は葉数8の多葉型断面形状をなしていた。

0054

次に、カーボン、マイカを含まないこと以外は、上記機能性繊維糸と同様の構成を有するポリエステル糸56dtex48fを用意し、経糸に上記ポリエステル糸を、緯糸に上記機能性繊維糸を用いて、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度111本/2.54cmの設計で平組織生機を製織した。そして、生機を常法に基づいて精練し、130℃で染色した後、仕上げセットし、目的の織物となした。

0055

(比較例1)
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのみを紡糸した以外は、実施例1と同様に行い、機能性繊維糸及び織物を得た。

0056

(実施例2〜9、比較例2〜4)
発熱性微粒子及び遠赤外線放射性微粒子の種類、含有量、並びに芯鞘質量比等を表1記載のものに変更する以外は、実施例1の場合と同様に行い、機能性繊維糸及び織物を得た。

0057

(実施例10)
繊維断面形状として図1に示すような同心芯鞘構造を採用すること(芯部材料に上記微粒子を含む)以外は、実施例1の場合と同様に紡糸して機能性繊維糸を得、以降も実施例1の場合と同様に行い、織物を得た。

0058

0059

上より、本発明の機能性繊維糸を含む織物は、発熱及び遠赤外線放出の両方の作用を同時に実現することができ、保温効果に優れていた。また、本発明の機能性繊維糸は、生産時、紡糸操業性に優れており、製織編時、ガイド摩耗等を引き起こしづらいものであった。

0060

なお、実施例6にかかる機能性繊維糸は、繊維断面において芯部の厚みが肉厚となったため、繊維全体に占める微粒子の含有量が増えた結果、実施例1の場合と比べ紡糸操業性が相対的に低下した。さらに、繊維芯部の厚みが増したことに伴い、糸の紡糸、延伸、仮撚りの過程で、繊維芯部の葉の一部が繊維表面に僅かに露出してしまい、ガイド摩耗性が相対的に低下した。

0061

また、実施例1、8、9の結果から、微粒子としてカーボン、マイカの組み合わせが保温効果の点で好ましいことがわかった。
実施例10にかかる機能性繊維糸は、繊維の芯鞘質量比や微粒子の含有量等が実施例1の場合と同じであるが、繊維形状が同心芯鞘構造をなしており、芯部外周と繊維外周との距離が、実施例1の場合よりも長くなったため、実施例1の場合と比べ総じて保温効果は低下した。

0062

これに対し、比較例2、3では、繊維に含まれる微粒子の含有量が所定範囲を満たしていなかったため、所望の保温効果、紡糸操業性のいずれかに欠ける結果となった。

実施例

0063

また、比較例4では、繊維芯部の質量比が大きくなり過ぎたことにより、鞘部の厚みが増し、結果、紡糸操業性及びガイド摩耗性が低下した。

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