図面 (/)

技術 沸騰冷却装置用媒体

出願人 三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社
発明者 菊地秀明小川素右
出願日 2015年7月28日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-148388
公開日 2016年5月9日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-069632
状態 特許登録済
技術分野 中間熱伝達媒体をもつ熱交換装置 熱効果発生材料
主要キーワード メチルノナフルオロブチルエーテル 検証試験 毛細管構造 パーフルオロアルケン 媒体タンク 酢酸ノルマルプロピル 環境性能 大電力化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

本発明は、低温から高温までの幅広温度環境下での安定した冷却性能を有し、さらに、金属に対する反応性が低く、熱安定性、安全性、環境性能にも優れる、沸騰冷却装置媒体を提供することを目的とする。

解決手段

沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む、沸騰冷却装置用媒体を提供する。

概要

背景

各種の発熱体から熱を除去し、冷却するために、内部に毛細管構造ウィック)を備えたヒートパイプなどの沸騰冷却方式熱交換器(以下、「沸騰冷却装置」ともいう。)が用いられてきた。沸騰冷却装置とは、装置内に封入された熱媒体冷媒)が、冷却対象部にて気化することで、蒸発潜熱として吸熱して対象部を冷却する装置である。

沸騰冷却装置は、例えば、電子機器に内蔵される半導体デバイスの冷却に用いられているが、近年、半導体は、微細化・高集積化に伴って発熱量が増加しており、さらなる冷却性能の向上が求められている。例えば、電力制御に用いられるパワー半導体、およびパワー半導体デバイスを組み込んだパワーモジュールでは、発熱量が特に大きく、ある温度を超えると半導体デバイス自体が機能停止してしまうことから、安定した迅速な冷却が求められている。

特に、近年の電気自動車ハイブリッド車の普及に伴い、これらに搭載される発熱量の大きなパワー半導体の冷却に用いられる沸騰冷却装置の開発が望まれており、これには、安全性、耐久性はもちろんのこと、低温から高温までの幅広温度環境下での安定した迅速な冷却性能が求められている。

沸騰冷却装置に用いられる熱媒体(以下、「沸騰冷却装置用媒体」という。)としては、使用する目的・条件に応じて、例えば、水とグリコールの混合物(特許文献1、特許文献2)が知られている。水は、安全性、取り扱い易さの点で優れているが、金属に対して反応性を有し、また、氷点下凍結してしまう(凝固点が高い)ことから、使用環境に制限があるという欠点を有する。一方、グリコールは、凝固点は低いものの、可燃性であり、毒性の点でも問題がある。

沸騰冷却装置用媒体として、フッ素系溶剤、例えば、クロロフルオロカーボン(特許文献3)、ハイドロフルオロカーボン(特許文献4)、フルオロエーテル(特許文献5)、フルオロオレフィン(特許文献6)も知られている。これらの従来のフッ素系溶剤は、金属に対する低い反応性、熱安定性不燃性、低い凝固点、小さい比熱、低毒性、低粘度である点で優れている。しかしながら、沸点がそれほど高くないことから、高温下での使用に制限があり、また、オゾン破壊係数ODP)や地球温暖化係数(GWP)の値の高さから、近年の環境重視の情勢において満足なものとはいえない。
すなわち、従来より様々な沸騰冷却装置用媒体が存在してはいるが、より優れた沸騰冷却装置用媒体の開発が望まれている。

概要

本発明は、低温から高温までの幅広い温度環境下での安定した冷却性能を有し、さらに、金属に対する反応性が低く、熱安定性、安全性、環境性能にも優れる、沸騰冷却装置用媒体を提供することを目的とする。沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む、沸騰冷却装置用媒体を提供する。

目的

すなわち、従来より様々な沸騰冷却装置用媒体が存在してはいるが、より優れた沸騰冷却装置用媒体の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む、沸騰冷却装置媒体

請求項2

ハイドロフルオロカーボンがエーテル結合を含むハイドロフルオロエーテルである、請求項1に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項3

ハイドロフルオロエーテルがアルコキシパーフルオロアルケンである、請求項2に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項4

パーフルオロアルケンの炭素数が5〜8である、請求項3に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項5

アルコキシ基の炭素数が1〜3である、請求項3または4に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項6

アルコキシパーフルオロアルケンがメトキシパーフルオロヘプテンである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の沸騰冷却装置用媒体と、それより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンを混合してなる、沸騰冷却装置用媒体。

請求項8

沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンが1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンのいずれかである、請求項7に記載の沸騰冷却装置用媒体。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の沸騰冷却装置用媒体を用いた沸騰冷却装置。

請求項10

半導体冷却に用いる、請求項9に記載の沸騰冷却装置。

請求項11

自動車搭載半導体冷却に用いる、請求項10に記載の沸騰冷却装置。

請求項12

請求項1〜6のいずれか1項に記載の沸騰冷却装置用媒体と、それより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンを混合することによる、沸騰冷却装置用媒体の沸点調整方法

技術分野

0001

本発明は、沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む、沸騰冷却装置媒体、それを用いた沸騰冷却装置、および沸騰冷却装置用媒体の沸点調整方法に関する。

背景技術

0002

各種の発熱体から熱を除去し、冷却するために、内部に毛細管構造ウィック)を備えたヒートパイプなどの沸騰冷却方式熱交換器(以下、「沸騰冷却装置」ともいう。)が用いられてきた。沸騰冷却装置とは、装置内に封入された熱媒体冷媒)が、冷却対象部にて気化することで、蒸発潜熱として吸熱して対象部を冷却する装置である。

0003

沸騰冷却装置は、例えば、電子機器に内蔵される半導体デバイスの冷却に用いられているが、近年、半導体は、微細化・高集積化に伴って発熱量が増加しており、さらなる冷却性能の向上が求められている。例えば、電力制御に用いられるパワー半導体、およびパワー半導体デバイスを組み込んだパワーモジュールでは、発熱量が特に大きく、ある温度を超えると半導体デバイス自体が機能停止してしまうことから、安定した迅速な冷却が求められている。

0004

特に、近年の電気自動車ハイブリッド車の普及に伴い、これらに搭載される発熱量の大きなパワー半導体の冷却に用いられる沸騰冷却装置の開発が望まれており、これには、安全性、耐久性はもちろんのこと、低温から高温までの幅広温度環境下での安定した迅速な冷却性能が求められている。

0005

沸騰冷却装置に用いられる熱媒体(以下、「沸騰冷却装置用媒体」という。)としては、使用する目的・条件に応じて、例えば、水とグリコールの混合物(特許文献1、特許文献2)が知られている。水は、安全性、取り扱い易さの点で優れているが、金属に対して反応性を有し、また、氷点下凍結してしまう(凝固点が高い)ことから、使用環境に制限があるという欠点を有する。一方、グリコールは、凝固点は低いものの、可燃性であり、毒性の点でも問題がある。

0006

沸騰冷却装置用媒体として、フッ素系溶剤、例えば、クロロフルオロカーボン(特許文献3)、ハイドロフルオロカーボン(特許文献4)、フルオロエーテル(特許文献5)、フルオロオレフィン(特許文献6)も知られている。これらの従来のフッ素系溶剤は、金属に対する低い反応性、熱安定性不燃性、低い凝固点、小さい比熱、低毒性、低粘度である点で優れている。しかしながら、沸点がそれほど高くないことから、高温下での使用に制限があり、また、オゾン破壊係数ODP)や地球温暖化係数(GWP)の値の高さから、近年の環境重視の情勢において満足なものとはいえない。
すなわち、従来より様々な沸騰冷却装置用媒体が存在してはいるが、より優れた沸騰冷却装置用媒体の開発が望まれている。

先行技術

0007

特開平4−251178
特開昭61−240094
特開昭52−30952
特開2001−349682
特開2014−5419
特開2014−5418

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、低温から高温までの幅広い温度環境下での安定した迅速な冷却性能を有し、さらに、金属に対する反応性が低く、熱安定性、安全性、環境性能にも優れる、沸騰冷却装置用媒体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、沸騰冷却装置用媒体として、沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを使用することにより、上記目的を達成することを見出した。

0010

すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む、沸騰冷却装置用媒体。
2.ハイドロフルオロカーボンがエーテル結合を含むハイドロフルオロエーテルである、1.に記載の沸騰冷却装置用媒体。
3.ハイドロフルオロエーテルがアルコキシパーフルオロアルケンである、2.に記載の沸騰冷却装置用媒体。
4.パーフルオロアルケンの炭素数が5〜8である、3.に記載の沸騰冷却装置用媒体。5.アルコキシ基の炭素数が1〜3である、3.または4.に記載の沸騰冷却装置用媒体。
6.アルコキシパーフルオロアルケンがメトキシパーフルオロヘプテンである、3.〜5.のいずれかに記載の沸騰冷却装置用媒体。
7.1.〜6.のいずれかに記載の沸騰冷却装置用媒体と、それより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンを混合してなる、沸騰冷却装置用媒体。
8.沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンが1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンのいずれかである、7.に記載の沸騰冷却装置用媒体。
9.1.〜8.のいずれかに記載の沸騰冷却装置用媒体を用いた沸騰冷却装置。
10.半導体冷却に用いる、9.に記載の沸騰冷却装置。
11.自動車搭載半導体冷却に用いる、10.に記載の沸騰冷却装置。
12.1.〜6.のいずれかに記載の沸騰冷却装置用媒体と、それより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンを混合することによる、沸騰冷却装置用媒体の沸点調整方法。

発明の効果

0011

本発明の沸騰冷却装置用媒体は、低温から高温までの幅広い温度環境下での、安定した迅速な冷却を実現でき、特に、発熱量の大きなパワー半導体、中でも、自動車(電気自動車やハイブリッド車)に搭載されるパワー半導体の冷却に最適である。
また、本発明の沸騰冷却装置用媒体は、大気中で分解されやすく、環境性能が優れている(オゾン破壊係数(ODP)、及び地球温暖化係数GWPが小さい)。特に、地球温暖化係数(GWP)が非常に小さく、優れている。

0012

さらに、本発明の沸騰冷却装置用媒体は、アルミニウムなどの金属に対する反応性が低いことから、装置の金属材料腐食することがなく、熱安定性(変性、分解しない)、安全性(低可燃または不燃性、低毒性)にも優れる。

図面の簡単な説明

0013

実施例に用いた沸騰冷却装置の概略図である。
メトキシパーフルオロヘプテン異性体混合物(MPHE)と1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(DFP)の混合比を変えて測定した冷却性能を示すグラフである。
メトキシパーフルオロヘプテン異性体混合物(MPHE)とシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFB)の混合比を変えて測定した冷却性能を示すグラフである。

0014

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、沸騰冷却装置用媒体とは、沸騰冷却方式の熱交換器(沸騰冷却装置)に使用される相変化する熱媒体(冷媒)であり、媒体の気化(潜熱の吸収)と液化(潜熱の放出)を繰り返すことによって発熱体(冷却対象部)を冷却する。この潜熱を利用した冷却は、液体気体との間で相変化を伴わない顕熱を利用した冷却と比較して、高い冷却効果が得られる。

0015

本発明の沸騰冷却装置用媒体は、沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンを含む。

0016

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンは、沸点が100℃以上であって二重結合を有する、炭素水素フッ素原子よりなる化合物、その異性体およびその異性体の混合物であり、その炭素鎖にエーテル結合を含んでいてもよい。
本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの沸点は、100℃以上、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上である。また、本発明に使用されるハイドロフルオロカーボンの融点は、例えば、−50℃以下、好ましくは−70℃以下、より好ましくは−90℃以下である。本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンは、高沸点であることから、高温条件下での発熱体の冷却に好適に使用できる。さらに、高沸点でありながら低融点であることから、幅広い温度環境下での使用が可能である。
また、本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンは、地球温暖化係数(GWP)が低減される。これは、二重結合を有することにより、紫外線の存在下でOHラジカルとの反応が促進され、二重結合が切断・分解されるので、大気寿命が短くなることによるものと考えられる。

0017

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの蒸発潜熱は、例えば、80kJ/kg以上、好ましくは90kJ/kg以上、より好ましくは100kJ/kg以上、特に好ましくは110kJ/kg以上である。蒸発潜熱が大きいと、除去できる熱量が増えるため好ましい。

0018

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの炭素数は、少ないと沸点が低くなりすぎ、蒸発潜熱も小さくなることから、好ましくは6個以上、より好ましくは7個以上、特に好ましくは8個以上である。また、炭素数の上限は、特に限定されるものではないが、多すぎると沸点が高くなりすぎ、冷却用途に適さなくなることから、好ましくは11個以下、より好ましくは10個以下、特に好ましくは9個以下である。

0019

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンのオゾン破壊係数(ODP)は、低いことが好ましく、特に好ましくはゼロである。

0020

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの地球温暖化係数(GWP)は、低いことが好ましく、例えば100以下、より好ましくは50以下、特に好ましくは10以下である。

0021

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンは、好ましくは、エーテル結合を含むハイドロフルオロエーテル、すなわち、沸点が100℃以上であって二重結合を有する、炭素、水素、フッ素および酸素原子よりなるエーテル結合を有する化合物、その異性体ならびにその異性体の混合物である。ハイドロフルオロエーテルは、大気寿命が短く、GWPが低減される。これは、求電子剤によってエーテル結合が切断されるためと考えられる。更には、液の動粘度が低下して沸騰冷却装置内で移動しやすくなり、冷却能力が向上する、融点が低下して使用可能な温度範囲が広がるといった利点も有するが、これは、エーテル結合部で分子構造が柔軟になるためと考えられる。

0022

本発明に使用される上記ハイドロフルオロエーテルは、好ましくは、アルコキシパーフルオロアルケン、すなわち、アルコキシ基を有するパーフルオロアルケンである。具体的には、アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個であり、一方、パーフルオロアルケンの炭素数は、好ましくは5〜8個、より好ましくは6〜8個である。アルコキシ基中の水素原子がフッ素で置換されていても良い。

0023

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの具体例としては、メトキシパーフルオロヘプテン(沸点110.5℃)、エトキシパーフルオロヘプテン(沸点120〜122℃)、メトキシパーフルオロオクテン(沸点133〜135℃)が挙げられ、好ましくはメトキシパーフルオロヘプテンである。

0024

本発明に使用される上記ハイドロフルオロカーボンの異性体としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシパーフルオロヘプテンの場合、cis/trans−2−メトキシ−トリデカフルオロ−2−ヘプテン、cis/trans−3−メトキシ−トリデカフルオロ−3−ヘプテン、cis/trans−4−メトキシ−トリデカフルオロ−2−ヘプテン、cis/trans−4−メトキシ−トリデカフルオロ−3−ヘプテン、cis/trans−5−メトキシ−トリデカフルオロ−3−ヘプテンが挙げられる。

0025

本発明に使用されるハイドロフルオロカーボンは、既知の方法(例えば、特表2012−518010号公報)により調製することができ、また、市販されているものを使用することもできる。
本発明に好適に使用される市販のハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、バートレル(登録商標)シネラTMが挙げられる。

0026

本発明の沸騰冷却装置用媒体に含まれる、沸点が100℃以上であって二重結合を有するハイドロフルオロカーボンは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0027

また、本発明の沸騰冷却装置用媒体において、それより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンを、1種または2種以上混合してもよい。2種以上のハイドロフルオロカーボンを含む沸騰冷却装置用媒体の沸点は、高沸点成分低沸点成分の間の温度となることから、沸点差のあるハイドロフルオロカーボンを任意の割合で混合して沸点を調整することにより、その調整された沸点範囲内で任意の冷却温度を選択することができる。

0028

本発明の沸騰冷却装置用媒体と混合することができるそれより沸点が20℃以上低いハイドロフルオロカーボンは、その炭素鎖にエーテル結合を含んでいてもよく、本発明の沸騰冷却装置用媒体との沸点差が、20℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、100℃未満であれば特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、メチルノナフルオロブチルエーテル(沸点:61℃)、エチルノナフルオロブチルエーテル(沸点:76℃)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ
ペンタン(沸点:55℃)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(沸点:33℃)であり、好ましくは1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである。混合する上記ハイドロフルオロカーボンの沸騰冷却装置用媒体中の割合は、使用する目的・条件に応じて任意に適宜設定することができる。

0029

各種冷却に使用される沸騰冷却装置では、冷却する部分によって求められる冷却温度が異なるが、本発明により沸騰冷却装置用媒体の沸点を調整することにより、目的の冷却温度に応じて安定した迅速な冷却が可能となる。さらに、沸点の異なる2種以上の混合により、沸点に達しても蒸発が起きないオーバーシュートの低減の効果も期待できる。

0030

本発明の沸騰冷却装置用媒体はまた、その他の溶剤と混合せずに用いることが好ましいが、蒸発潜熱向上のため、少量の有機溶剤と混合してもよい。混合する有機溶剤としては、例えば、炭化水素類塩素化炭化水素類アルコール類ケトン類エステル類およびこれらの混合物が挙げられる。ここで、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサンヘプタン等、塩素化炭化水素類としては、ジクロロエチレン等、アルコール類としては、メタノールエタノールプロパノール等、ケトン類としてはアセトンメチルイソブチルケトン等、エステル類としては、酢酸エチル酢酸メチル酢酸ブチル酢酸メトキシブチル酢酸セロソルブ酢酸アミル酢酸ノルマルプロピル酢酸イソプロピル乳酸メチル乳酸エチル乳酸ブチル等が挙げられる。混合する上記有機溶剤の沸騰冷却装置用媒体中の割合は、5質量%を超えず、引火点を有さない範囲で適宜設定することができる。

0031

本発明において、沸騰冷却装置とは、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートパイプであり、この場合、内部の毛細管構造(ウィック)の有無や、冷却対象物放熱板を介して媒体と接触するか、直接媒体に浸漬されるかは問わない。

0032

本発明において、沸騰冷却装置により冷却される冷却対象物は、特に限定されるものではないが、例えば、半導体であり、中でも、発熱量が大きな、電力制御に用いられるパワー半導体およびパワー半導体デバイスを組み込んだパワーモジュールである。パワー半導体は、自動車、例えば、電気自動車やハイブリッド車のパワーコントロールユニット(PCU)に採用されており、車両の高性能化、高機能化に伴うPCUの高出力化大電力化には、それに伴う温度上昇をいかに抑制するかが課題となる。本発明の沸騰冷却装置用媒体を用いた沸騰冷却装置は、発熱量の大きな半導体、中でも、自動車に搭載される大電力を扱うパワー半導体の冷却に好適に用いることができる。

0033

特に、自動車用途において、本発明の沸騰冷却装置用媒体は、自動車に搭載される半導体の冷却に求められる、低温から高温までの幅広い温度環境下での安定した冷却性能を実現できる。さらに、自動車用途には、安全性が厳しく求められ、使用される冷却温度ごとに異なる媒体それぞれについて、安全性、適合性等の検証試験が必要とされるが、本発明は、最低2種の沸点の異なる媒体を混合して沸点を調整できることから、上記検証試験にかかるコスト、労力の低減を図ることができる。

0034

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない

0035

実施例1
800Wの熱源媒体タンク外側に貼り付け、上部に冷却機能を有するフィン(図示せず)および冷却ファンを取り付けた沸騰冷却装置<住友精密工業株式会社製サイフレックス型式RA1728、媒体タンクの幅135mm、厚さ(奥行)20mm、高さ145mm、内容積約0.4L)>に、約150mlの沸騰冷却装置用媒体を充填し、密封
した(図1)。800Wの熱源と媒体タンクの間に熱電対を差し込んで、熱源の温度を測定した。沸騰冷却装置用媒体には、メトキシパーフルオロヘプテン異性体混合物<三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)シネラTM、沸点:110.5℃>(MPHE)と1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン<三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)XF、沸点:55℃>(DFP)を用い、これらの混合比(質量比)を変えて熱源の温度を測定した(MPHF:DFP=100:0、70:30、50:50、30:70、0:100)。

0036

22℃〜25℃でコントロールした部屋内に装置を静置し、冷却ファンを回転させた後、熱源の電源を入れて発熱させた。熱源の温度を2秒に1度読み取る記録計にて記録しながら、熱源の温度が一定になるまで加熱を続けた。
熱源の温度の測定結果図2に示す。高沸点成分と低沸点成分の混合により、任意の冷却温度を選択できることがわかる。

実施例

0037

実施例2
沸騰冷却装置用媒体として、メトキシパーフルオロヘプテン異性体混合物<三井・デュポンフロロケミカル株式会社製バートレル(登録商標)シネラTM、沸点:110.5℃>(MPHE)とシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン<沸点:33℃>(HFB)を用いた以外は、実施例1と同様に、これらの混合比(質量比)を変えて熱源の温度を測定した(MPHF:HFB=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100)。
熱源の温度の測定結果を図3に示す。高沸点成分と低沸点成分の混合により、任意の冷却温度を選択できることがわかる。

0038

1冷却ファン
2熱源
3熱電対
4 媒体タンク

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 古河電気工業株式会社の「 ヒートシンク」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】本発明は、複数のヒートパイプのうち、冷却対象である発熱体からの入熱量が相対的に多いヒートパイプに、より優れた最大熱輸送量が付与されることにより、冷却対象に対して優れた冷却性能を発揮できるヒート... 詳細

  • カストロールリミテッドの「 工業用流体」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題・解決手段】工業用流体が開示される。流体は、油性成分、水性成分、及び水性成分中に分散された界面活性剤を含む。工業用流体は、消泡剤又は発泡防止化合物を含有しない。界面活性剤は、油性成分及び水性成分... 詳細

  • カストロールリミテッドの「 工業用流体」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題・解決手段】工業用流体が開示される。流体は、油性成分、水性成分、及び水性成分中に分散された界面活性剤を含む。ミセルの平均径は、平均μを有するガウス分布に従い、標準偏差σは、0.2μ以下である。工... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ