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技術 1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法

出願人 セントラル硝子株式会社
発明者 石井章央大塚隆史三村俊介小林春樹
出願日 2014年9月30日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-200181
公開日 2016年5月9日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2016-069327
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 蒸留搭 湯浴温度 回収有機層 トリフルオロプロピン 精製対象 塩基性金属酸化物 接触液 II液
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月9日)のものです。
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課題

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的な製造を提供する。

解決手段

3,3,3−トリフルオロプロピニル金属とトリフルオロ酢酸エステルを、反応溶媒中で反応させて1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る第1工程、第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る第2工程、第2反応混合液等を蒸留濃縮する第3工程、第3工程で留去された有機溶媒回収して、所定の塩基性化合物と接触させて得られた接触液から反応溶媒を回収する第4工程、回収した反応溶媒を、第1工程の反応溶媒として再利用するか、または第2反応混合液等の抽出溶媒として再利用する第5工程、を含む1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物の製造方法。

概要

背景

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンは、式[4]:

で示され、医農薬および電子材料中間体として重要な化合物である。

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの代表的な製造方法としては、トリフルオロアセトントリフルオロ酢酸エステルを反応させる方法(非特許文献1)と、トリフルオロアセト酢酸エステルトリフルオロ酢酸無水物を反応させる方法(特許文献1)が挙げられる。

一方、3,3,3−トリフルオロプロピニル金属(例えばCF3C≡CLi)と各種求電子剤との反応が報告されている(非特許文献2〜5)。

概要

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的な製造を提供する。3,3,3−トリフルオロプロピニル金属とトリフルオロ酢酸エステルを、反応溶媒中で反応させて1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る第1工程、第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る第2工程、第2反応混合液等を蒸留濃縮する第3工程、第3工程で留去された有機溶媒回収して、所定の塩基性化合物と接触させて得られた接触液から反応溶媒を回収する第4工程、回収した反応溶媒を、第1工程の反応溶媒として再利用するか、または第2反応混合液等の抽出溶媒として再利用する第5工程、を含む1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物の製造方法。なし

目的

本発明の課題は、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的に採用容易な製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

以下の第1工程乃至第5工程を少なくとも含む、一般式[3]:[式中、nは正の整数を表す。]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン水和物を製造する方法。第1工程:一般式[1]:[式中、Mはリチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子臭素原子またはヨウ素原子を表す。]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]:[式中、Rはアルキル基を表す。]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとを、反応溶媒の存在下で反応させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る工程、第2工程:第1工程で得た第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る工程、第3工程:第2工程で得られた第2反応混合液をそのまま蒸留により濃縮する、または、第2反応混合液を水層有機層とに分離して該有機層を蒸留により濃縮する工程、第4工程:第3工程で留去された有機溶媒の一部又は全部を回収して、少なくとも1種の塩基性化合物と接触させて得られた接触液から反応溶媒を回収する工程、第5工程:第4工程で回収した反応溶媒を、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として再利用するか、または第2反応混合液もしくはそれから分離された水層の抽出溶媒として再利用する工程。

請求項2

以下の第6工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。第6工程:第3工程で濃縮された第2反応混合液の残渣から、精製用溶媒を用いて一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を精製する工程。

請求項3

以下の第7工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。第7工程:第4工程で回収した反応溶媒を、第6工程の精製用溶媒の少なくとも一部として再利用する工程。

請求項4

第4工程の塩基性化合物が、アルカリ金属水酸化物炭酸塩および炭酸水素塩アルカリ土類金属の水酸化物および炭酸塩、塩基性金属酸化物水酸化テトラアルキルアンモニウムトリアルキルアミンならびに含窒素複素環式化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

第4工程の塩基性化合物が、水酸化ナトリウム水酸化カルシウム水酸化マグネシウム水酸化バリウム・8水和物、炭酸水素ナトリウム炭酸セシウム炭酸カリウム炭酸カルシウム塩基性アルミナおよびトリブチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

第4工程の塩基性化合物が、水酸化バリウム・8水和物、炭酸カルシウムおよびトリブチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

反応溶媒が、エーテル系溶媒芳香族炭化水素系溶媒および脂肪族炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

反応溶媒が、n−ヘプタンを主成分とする脂肪族炭化水素系溶媒および、tert−ブチルメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の方法により一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を製造し、次いで、得られた該水和物を脱水することにより、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造する方法。

技術分野

0001

本発明は、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的な製造方法に関する。

背景技術

0002

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンは、式[4]:

0003

0004

で示され、医農薬および電子材料中間体として重要な化合物である。

0005

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの代表的な製造方法としては、トリフルオロアセトントリフルオロ酢酸エステルを反応させる方法(非特許文献1)と、トリフルオロアセト酢酸エステルトリフルオロ酢酸無水物を反応させる方法(特許文献1)が挙げられる。

0006

一方、3,3,3−トリフルオロプロピニル金属(例えばCF3C≡CLi)と各種求電子剤との反応が報告されている(非特許文献2〜5)。

0007

中国特許出願公開第102260151号明細書

先行技術

0008

J.Am.Chem.Soc.(米国),1956年,第78巻,p.2790−2792
J.Fluorine Chem.(オランダ),1990年,第47巻,p.45−57
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(英国),1992年,p.2485−2494
J.Fluorine Chem.(オランダ),1993年,第62巻,p.39−49
J.Org.Chem.(米国),1995年,第60巻,p.6046−6056

発明が解決しようとする課題

0009

非特許文献1の1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法は、高価な原料基質(具体的にはトリフルオロアセトン)を用いる必要があり、原料基質の入手容易性の観点から、工業的に採用し難いものであった。

0010

特許文献1の製造方法では、原料基質としてトリフルオロアセトンを用いていないため、非特許文献1の方法に比べてコス競争力が改善されている。しかしながら、さらに工業的に採用容易な製造方法が強く望まれている。

0011

したがって、本発明の課題は、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的に採用容易な製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した。その結果、以下の第1工程乃至第5工程を少なくとも含む、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を製造する方法、
第1工程:
一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとを、反応溶媒の存在下で反応させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る工程、
第2工程:
第1工程で得た第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る工程、
第3工程:
第2工程で得られた第2反応混合液をそのまま蒸留により濃縮する、または、第2反応混合液を水層有機層とに分離して該有機層を蒸留により濃縮する工程、
第4工程:
第3工程で留去された有機溶媒の一部又は全部を回収して、少なくとも1種の塩基性化合物と接触させて得られた接触液から反応溶媒を回収する工程、
第5工程:
第4工程で回収した反応溶媒を、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として再利用するか、または第2反応混合液もしくはそれから分離された水層の抽出溶媒として再利用する工程、により、反応溶媒を容易に再利用することができる工業的に有利なプロセスを有する1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。

0013

すなわち、本発明は、発明1乃至発明9を含む。
[発明1]
以下の第1工程乃至第5工程を少なくとも含む、一般式[3]:



[式中、nは正の整数を表す。]
で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を製造する方法。
第1工程:
一般式[1]:



[式中、Mはリチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子臭素原子またはヨウ素原子を表す。]
で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]:



[式中、Rはアルキル基を表す。]
で示されるトリフルオロ酢酸エステルとを、反応溶媒の存在下で反応させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る工程、
第2工程:
第1工程で得た第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る工程、
第3工程:
第2工程で得られた第2反応混合液をそのまま蒸留により濃縮する、または、第2反応混合液を水層と有機層とに分離して該有機層を蒸留により濃縮する工程、
第4工程:
第3工程で留去された有機溶媒の一部又は全部を回収して、少なくとも1種の塩基性化合物と接触させて得られた接触液から反応溶媒を回収する工程、
第5工程:
第4工程で回収した反応溶媒を、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として再利用するか、または第2反応混合液もしくはそれから分離された水層の抽出溶媒として再利用する工程。
[発明2]
以下の第6工程をさらに含む、発明1の方法。
第6工程:
第3工程で濃縮された第2反応混合液の残渣から、精製用溶媒を用いて一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を精製する工程。
[発明3]
以下の第7工程をさらに含む、発明2の方法。
第7工程:
第4工程で回収した反応溶媒を、第6工程の精製用溶媒の少なくとも一部として再利用する工程。
[発明4]
第4工程の塩基性化合物が、アルカリ金属水酸化物炭酸塩および炭酸水素塩アルカリ土類金属の水酸化物および炭酸塩、塩基性金属酸化物水酸化テトラアルキルアンモニウムトリアルキルアミンならびに含窒素複素環式化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、発明1乃至発明3のいずれか一つの方法。
[発明5]
第4工程の塩基性化合物が、水酸化ナトリウム水酸化カルシウム水酸化マグネシウム水酸化バリウム・8水和物、炭酸水素ナトリウム炭酸セシウム炭酸カリウム炭酸カルシウム塩基性アルミナおよびトリブチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、発明1乃至発明4のいずれか一つの方法。
[発明6]
第4工程の塩基性化合物が、水酸化バリウム・8水和物、炭酸カルシウムおよびトリブチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、発明1乃至発明5のいずれか一つの方法。
[発明7]
反応溶媒が、エーテル系溶媒芳香族炭化水素系溶媒および脂肪族炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、発明1乃至発明6のいずれか一つの方法。
[発明8]
反応溶媒が、n−ヘプタンを主成分とする脂肪族炭化水素系溶媒および、tert−ブチルメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、発明1乃至発明7のいずれか一つの方法。
[発明9]
発明1乃至発明8のいずれか一つの方法により一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を製造し、次いで、得られた該水和物を脱水することにより、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造する方法。

0014

3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、求電子剤としてのエステルを反応させることにより、トリフルオロメチル基を有するイノン(CF3C≡CCOR1;R1はアルキル基、アリール基等を表す。)もしくはその等価体が収率良く得られる例は報告されていない。例えば、3,3,3−トリフルオロプロピニルリチウムは、アルデヒドケトンとは良好に反応して目的生成物を高収率で与えるが、一方でエステルとは複雑な混合物を与えるのみである(非特許文献5)。当然、本発明で開示するトリフルオロ酢酸エステルを求電子剤とする反応も一切報告されていない。さらに本発明では、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノン(CF3C≡CCOCF3)またはその等価体の三重結合が水和されることになるが、ヒドロキシル基が所望の4位に導入できるか否かも全く不明であった。例えば、非特許文献4、非特許文献6[J.Org.Chem.(米国),1986年,第51巻,p.4082−4083]および非特許文献7[J.Org.Chem.(米国),1992年,第57巻,p.5530−5532]において、トリフルオロメチル基を有する炭素炭素多重結合化合物[CF3C≡CCH(OAc)Me、CF3C≡CCOPh、(CF3)2C=CHCO2Et;Acはアセチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基、Etはエチル基を表す。]と各種求核剤との反応が報告されているが、トリフルオロメチル基を電子求引基とする共役付加物主生成物として得られており、本発明での所望の位置選択性とは逆である。

0015

なお、本発明者らは、工業的に採用容易な1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法として、3,3,3−トリフルオロプロピニル金属とトリフルオロ酢酸エステルを反応させて1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を少なくとも含む反応混合物を得て(第1工程)、次いで該反応混合物を酸の存在下で水と接触させることにより、一般式[3]:



[式中、nは正の整数を表す。]
で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を製造し(第2工程)、さらに、該水和物を脱水することで、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造できることを見出し、特許出願した(特願2014−065450号)。より具体的には、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物の製造方法は、以下の第1工程と第2工程を少なくとも含む。
第1工程:
一般式[1]:



[式中、Mはリチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。]
で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]:



[式中、Rはアルキル基を表す。]
で示されるトリフルオロ酢酸エステルを反応させて1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を少なくとも含む反応混合物(A)を得る工程。
第2工程:
第1工程で得た反応混合物(A)を酸の存在下で水と接触させることにより、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を得る工程。

0016

特願2014−065450号においても、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの工業的に採用容易な製造方法が提供されるが、本発明では、反応溶媒を容易に再利用することが可能であるため、より効率的な工業的プロセスによる1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法を提供することができる。

発明の効果

0017

本発明によれば、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを工業的に有利に製造することができる。

0018

本発明の1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造方法について詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。また、本明細書において引用された全ての刊行物は、参照として本明細書に組み込まれる。

0019

本発明では、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとを、反応溶媒の存在下で反応させて第1反応混合液を得て(第1工程)、次いで、得られた第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させることにより、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る(第2工程)。この水和物を脱水する(脱水工程)ことにより、式[4]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造することができる。

0020

ここで、第1工程で得られる第1反応混合液中には、反応溶媒のほかに、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体が成分として少なくとも含まれる。1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体は、後述する第2工程(酸存在下での水との接触)で、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を与えるものであれば、特に限定されない。前記等価体としては例えば、一般式[5]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタール、一般式[6]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物またはアルキルヘミケタールが挙げられるが、これらに限定されない。これらは1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの非常に重要な等価体であり、さらには、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンまたはその水和物の非常に重要な前駆体となる。

0021

また、第2工程で得られる第2反応混合液中には、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物のほかに、第1工程で用いた反応溶媒が含まれる。この反応溶媒は、第2反応混合液を蒸留により濃縮する(第3工程)ことで留去された有機溶媒の一部又は全部を回収した後、この有機溶媒に所定の処理を施すことで回収される(第4工程)。回収した反応溶媒は、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として、および/または第2反応混合液の抽出溶媒として再利用することが可能である(第5工程)。再利用可能な反応溶媒を得るためには、第4工程において、第2反応混合液から留去された有機溶媒に対して、所定の塩基処理を施した後に、蒸留精製することが重要となる。この一連の処理、操作により、再利用可能な高純度の反応溶媒の回収を可能とする。この反応溶媒を循環させることで、効率的に1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造することができる。

0022

本発明においては、第3工程で濃縮された第2反応混合液の残渣から、精製用溶媒を用いて一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を精製する(第6工程)ことも可能であり、また、そうすることが好ましい。さらに、本発明においては、この精製用溶媒の少なくとも一部として、前述の第4工程で蒸留精製した反応溶媒を再利用する(第7工程)ことも可能であり、また、そうすることが好ましい。

0023

以下、第1工程〜第7工程について詳細に説明する。

0024

[第1工程]
本発明に係る第1工程では、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとを、反応溶媒の存在下で反応させて、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体を含む第1反応混合液を得る。

0025

一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属のMは、リチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。その中でも、第1工程における所望の反応を円滑に進行させるには、リチウム原子、塩化マグネシウム基(MgCl)および臭化マグネシウム基(MgBr)が好ましく、リチウム原子が特に好ましい。

0026

一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属は、非特許文献2〜4およびRussian Journal of Organic Chemistry(ロシア),1993年,第29巻,p.1445−1449等を参考にして、3,3,3−トリフルオロプロピンから誘導することができる。具体的には、3,3,3−トリフルオロプロピンと、一般式[7]:

0027

0028

[式中、R3は炭素数が1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数が3〜8の環式のアルキル基を表し、Mはリチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。]
で示される有機リチウム試薬またはグリニャール試薬を、後述する調製溶媒中で、−150〜+50℃で12時間以内で反応させることにより、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属を収率良く調製することができる。この調製においては、市販の濃度調整された有機リチウム試薬またはグリニャール試薬の各種溶液を用いるのが簡便である。3,3,3−トリフルオロプロピンの使用量は、有機リチウム試薬またはグリニャール試薬1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8〜1.6モルが好ましく、0.9〜1.3モルが特に好ましい。また、調製溶媒の使用量は、後述の第1工程における反応溶媒の使用量に記載された内容を考慮すれば良い。また、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属は、非特許文献5およびChem.Commun.(英国),2002年,p.2420−2421等を参考にして、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたは1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンから誘導することもできる。当然、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属の調製方法は、これらの上記の方法に限定されるものではない。

0029

上述の3,3,3−トリフルオロプロピンの入手方法は、特に限定されない。例えば、国際公開2008/132964号等で開示された製造方法を採用すれば、大量規模での入手が容易である。したがって、3,3,3−トリフルオロプロピンは、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの製造における求核剤(CF3COCH2−等価体)として、従来用いられていたトリフルオロアセトンやトリフルオロアセト酢酸エステルに比べて、工業的に採用容易である。そのため、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピン金属を3,3,3−トリフルオロプロピンから誘導することは、本発明における好ましい態様である。

0030

第1工程で用いる一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属は、第1工程および後述する第2工程の反応を阻害しないものであれば不純物を含んでいても良く、どのような経緯で得たものを用いても良い。この3,3,3−トリフルオロプロピニル金属は精製したものを反応に供しても良いが、熱、水分および酸素等に対して不安定なため、生成物としてこの3,3,3−トリフルオロプロピニル金属を含む溶液(調製溶液)を直接反応に供するのが良い。この溶液の溶媒(調製溶媒)には、第1工程で用いる反応溶媒を用いることが好ましい。

0031

また、反応原料である3,3,3−トリフルオロプロピニル金属の調製方法によっては、水素化リチウム、リチウムのハロゲン化物フッ化物塩化物臭化物またはヨウ化物)、マグネシウムのハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、メタンエタンプロパン、n−ブタンベンゼンジイソプロピルアミンヘキサメチルジシラザンもしくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が調製溶液に混入する場合もあるが、敢えて取り除く必要はなく、これらの存在下で第1工程の反応を行うことができる。当然、これらの系内に混入する化合物を意図的に添加して反応を行うこともできる。

0032

本発明に係る一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属には、これ自体(CF3C≡CM)の会合体、調製溶液に混入する化合物または溶媒との錯体、および該錯体の会合体等も含まれるものとする。

0033

第1工程における一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRは、アルキル基を表す。該アルキル基は、炭素数が1〜12の直鎖状もしくは分枝状の鎖式のアルキル基または炭素数が3〜12の環式のアルキル基である。その中でも炭素数が1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。また、該アルキル基は、所望の反応に対して実質的に影響を与えることのない置換基を有していても良く、この様な置換アルキル基も、本発明の請求項に記載した、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRに含まれるものとして扱う。係る置換基としては、フッ素原子および塩素原子等のハロゲン原子、並びにメトキシ基およびエトキシ基等の炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。

0034

一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルの使用量は、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルが特に好ましい。

0035

第1工程において、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルの反応は、亜鉛のハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、12−クラウン−4、ポリエチレングリコールヘキサメチルリン酸トリアミド略称HMPA)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(略称:TMEDA)等の添加剤を加えることにより、所望の反応が円滑に進行する場合がある。当然、本発明の好適な反応条件を採用することにより、必ずしも添加剤を加える必要はない。

0036

また、第1工程は、バッチ型反応だけでなく、フロー型反応で行うこともできる。当然、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属の調製から一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとの反応までを連続的にフロー型反応で行うこともできる。

0037

第1工程に係る反応溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。中でも、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒およびエーテル系溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。

0038

脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ペンタンn−ヘキサンシクロヘキサン、n−ヘプタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。中でも、沸点が90〜110℃であり、かつ炭素数が6〜8の直鎖状アルカン分岐鎖状アルカン、もしくはシクロアルカンを主成分とすることが好ましく、n−ヘプタンを主成分とすることが特に好ましく、これらは単一成分であってもよいし、副成分としてその他の脂肪族炭化水素系溶媒を含む混合物であってもよい。

0039

芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエンキシレンクメンメシチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0040

エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(略称:MTBE)、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランジエトキシメタンジイソプロピルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテルアニソール、ジn−ブチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0041

アミド系溶媒としては,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドN−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0042

第1工程に係る反応溶媒としては、さらに好ましくは、n−ヘプタンを主成分とする脂肪族炭化水素系溶媒および、tert−ブチルメチルエーテル(略称:MTBE)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。

0043

第1工程における反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属1モルに対して0.05L(Lはリットルを表す。以下同じ。)以上を用いれば良く、上限は特に限定されない。中でも、0.1〜30Lが好ましく、0.2〜20Lが特に好ましい。該使用量には、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属の調製溶液に伴う溶媒量も含まれる。

0044

第1工程における反応温度は、+75℃以下で行えば良く、+50〜−100℃が好ましく、+25〜−75℃が特に好ましく、0〜−50℃が極めて好ましい。本反応温度は、3,3,3−トリフルオロプロピニル金属の調製温度ではなく、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとの反応温度を対象とする。

0045

第1工程における反応時間は、48時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー液体クロマトグラフィー核磁気共鳴等の分析手段により、反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすれば良い。

0046

第1工程の反応の後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することができる。この後処理により、本発明に係る第1反応混合液を得ることができる。この第1反応混合液中には成分として、反応溶媒とともに、中間体である1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノン(CF3C≡CCOCF3)または1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体が少なくとも含まれる。該等価体は具体的には、金属ヘミケタール、水和物およびアルキルヘミケタール等が挙げられる。その他には、第1工程の反応の副生成物(例えば、対応する金属アルコキシド:ROM)、未反応原料資材等が含まれることもある。

0047

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの構造式は、下記式:

0048

0049

で示される。

0050

1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体の具体例として、一般式[5]:

0051

0052

[式中、Mはリチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Rはアルキル基を表す。MおよびRは、それぞれ一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属のM、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRに由来し、同じ金属およびアルキル基を採る。]
で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタールがある。例えば、参考例1で後述する様に、3,3,3−トリフルオロプロピニルリチウムとトリフルオロ酢酸エチルを反応させて得られた反応混合液を、直接、トリメチルシリルクロリドと反応させることにより、下記式:

0053

0054

[式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。]
で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタールを収率良く得ることができる。このことから、一般式[5]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタール(M;リチウム原子、R;エチル基)が、前記反応混合液中に存在していることが証明される。

0055

ここで、一般式[5]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタールのMは、リチウム原子またはハロゲン化マグネシウム基(MgX)を表し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。

0056

また、一般式[5]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタールのRは、アルキル基を表す。該アルキル基は、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRに由来し、同じアルキル基を採る。

0057

第1反応混合液中に成分として含まれる1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体は、一般式[5]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの金属ヘミケタールに限定されるものではなく、続く第2工程(酸存在下での水との接触)を経て、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を与えるものであれば良い。この様な1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体としては、一般式[6]:

0058

0059

[式中、R2は水素原子またはアルキル基を表す。このR2がアルキル基の場合には、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRに由来し、同じアルキル基を採る。]
で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物またはアルキルヘミケタールも挙げられる。

0060

ここで、一般式[6]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物またはアルキルヘミケタールのR2は、水素原子またはアルキル基を表す。該アルキル基は、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルのRに由来し、同じアルキル基を採る。

0061

[第2工程]
本発明に係る第2工程では、第1工程で得た第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させて、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含む第2反応混合液を得る。

0062

第2工程は、第1工程で、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と、一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルとの反応で得られる反応終了液に対して、一切処理をすることなく、そのまま行うのが簡便で且つ工業的である。

0063

第2工程における酸の種類としては、特に制限はない。例えば、塩化水素臭化水素ヨウ化水素過塩素酸硫酸硝酸およびフルオロスルホン酸等の無機酸、メタンスルホン酸トリフルオロメタンスルホン酸エタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸およびパラトルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。その中でも、第2工程における水との接触を円滑に進行させるには、無機酸が好ましく、硫酸が特に好ましい。

0064

第2工程における酸の使用量は特に制限はなく、通常一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属1モルに対して0.01〜200モルを用いれば良い。

0065

第2工程における水の使用量は、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属1モルに対して0.03L以上を用いれば良く、0.04〜30Lが好ましく、0.05〜15Lが特に好ましい。

0066

第1工程で得られた第1反応混合液に対して本工程を行う場合、水との接触が2相系になることがある。この様な2相系の接触は、テトラメチルアンモニウムクロリドテトラメチルアンモニウムブロミドテトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびメチルトリn−オクチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩、ならびにテトラ−n−ブチルホスホニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドおよびメチルトリフェニルホスホニウムクロリド等の4級ホスホニウム塩等の相間移動触媒の存在下で行うことにより、所望の水との接触が円滑に進行する場合がある。当然、本発明の好適な反応条件を採用することにより、必ずしも相間移動触媒を加える必要はない。

0067

第2工程において、第1工程で得た第1反応混合液をそのまま酸の存在下で水と接触させることができるが、新たに溶媒(前記第1工程の反応溶媒と区別するために「接触溶媒」と呼ぶ。)を用いても良い。ここで用いる接触溶媒の種類としては、第1工程で使用可能な反応溶媒から選ばれることが好ましいが、他の溶媒を選ぶこともできる。他の溶媒としては、例えば、塩化メチレンクロロホルムおよび1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系、メタノールエタノールn−プロパノールイソプロパノールn−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール系、ならびにアセトニトリルプロピオニトリルおよびベンゾニトリル等のニトリル系等が挙げられる。これらと第1工程で使用可能な反応溶媒も含めた中でも、脂肪族炭化水素系芳香族炭化水素系、エーテル系およびアルコール系が好ましく、脂肪族炭化水素系、エーテル系が特に好ましく接触溶媒として用いることができる。ここで挙げた溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。

0068

第2工程における接触溶媒の使用量(第1工程の溶媒が含まれる場合は合計の使用量)は、一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属1モルに対して0.05L以上を用いれば良く、上限は特に限定されない。中でも、0.1〜30Lが好ましく、0.2〜20Lが特に好ましい。

0069

第2工程において、第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させる際の接触温度は、150℃以下で行えば良く、125〜10℃が好ましく、100〜20℃が特に好ましく、75〜30℃が極めて好ましい。

0070

第2工程において、第1反応混合液を酸の存在下で水と接触させる際の接触時間は、通常48時間以内で行えば良く、中間体(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体)および接触条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により、接触反応の進行状況を追跡し、該中間体の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすれば良い。

0071

第2工程の接触の後処理の方法は、特に限定されず、有機合成における一般的な操作を採用することにより、目的生成物である一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を得ることができる。このような有機合成における一般的な操作としては、晶析、抽出、蒸留などの種々の方法が挙げられる。例えば、接触終了液(第2反応混合液)が2相分離しない場合は、接触終了液を所定の目的生成物濃度となるまで蒸留で濃縮し、残渣に貧溶媒(精製用溶媒)を加えて冷却し、析出した結晶を濾取、乾燥する操作が一例として挙げられる。接触終了液(第2反応混合液)が2相分離する場合は、有機層を回収して所定の目的生成物濃度となるまで蒸留で濃縮し、残渣に貧溶媒(精製用溶媒)を加えて冷却し、析出した結晶を濾取、乾燥する操作が一例として挙げられる(後述の第3工程および第6工程を参照)。析出した結晶を濾取した後の濾液中に含まれる貧溶媒(精製用溶媒)は、前述の貧溶媒(精製用溶媒)として再利用することもできる。このとき、濾液をそのまま再利用することもできるが、濾液中から前述の貧溶媒(精製用溶媒)を蒸留で精製してから再利用することが好ましい。接触終了液(第2反応混合液)が2相分離する場合、2相分離した水層には、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物が含まれることがある。そのため、これを抽出し、抽出液の一部又は全部を、前述の有機層に加えることができ、また、そうすることが好ましい。これにより、精製操作による目的物の収率の低下を抑制することができる。

0072

この抽出に用いる溶媒(抽出溶媒)としては、第1工程の反応溶媒として例示した種類のものを用いることができ、第1工程で用いた反応溶媒と同じ種類のものを用いることが好ましい。また、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物は、gem−ジオール基を有するにも拘わらず、エーテル系の抽出溶媒で、水層から効率良く回収することができるため、第1工程で例示したエーテル系の反応溶媒を抽出溶媒として用いることも好ましい態様の一つとして挙げられる。

0073

前述の貧溶媒(精製用溶媒)の種類としては、有機合成において一般的に採用される貧溶媒を用いることができる。例えば、第1工程で前述した脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒を用いることができる。この脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。中でも、沸点が90〜110℃であり、かつ炭素数が6〜8の直鎖状アルカン、分岐鎖状アルカン、もしくはシクロアルカンを主成分とすることが好ましく、n−ヘプタンを主成分とすることが特に好ましく、これらは単一成分であってもよいし、副成分としてその他の脂肪族炭化水素系溶媒を含む混合物であってもよい。また、芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、メシチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの貧溶媒(精製用溶媒)は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。

0074

後述するように、第2反応混合液(有機層)の濃縮により留去された有機溶媒から、所定の方法により、第1工程で用いた反応溶媒を蒸留により精製し(第4工程)、回収した反応溶媒を第1工程の反応溶媒および/または上述の抽出溶媒として再利用することができる。同様に、上述の残渣に加える貧溶媒(精製用溶媒)として再利用することもできる。

0075

ここで、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物のnは、正の整数を表し、上限は特に設定されない。nが1の場合は、1水和物を表し、下記式:

0076

0077

で示され、nが2の場合は、2水和物を表し、下記式:

0078

0079

で示される。nが3以上の場合は、2水和物に水素結合等を介して、さらに1つ以上の水分子が存在することを表し、nが極端に大きな正の整数の場合は、2水和物が水溶液の状態で存在することを表す。当然、片方または両方のカルボニル基が残存する状態(それぞれ1水和物、無水物に対応する。)で、1つの水分子と共存する場合も、それぞれ2水和物、1水和物として扱う。その中でもnが1および2の水和物が好ましく、nが2の水和物が特に好ましい。

0080

後述の第3工程で蒸留により濃縮された第2反応混合液(有機層)の残渣に含まれる一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物は、精製用溶媒による精製(第6工程)や、分別蒸留等の簡便な操作を経ることで、高純度に精製することができる。分別蒸留により精製する際には、必要に応じて活性炭処理再結晶カラムクロマトグラフィー等による精製を組み合わせてもよい。このような精製を行うことで、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの2水和物は、固体(結晶)として単離することが可能である。その後、後述する脱水工程を経て、高純度の1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(無水物)を得ることができる(特開2001−187760号公報を参照)。

0081

また、前述した1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタールからも、酸の存在下で水と接触させることにより、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を収率良く得ることができる(参考例1を参照)。本発明の第1反応混合液中の成分として、第1工程で得られた1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたは1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体をこの様に変換した誘導体も含まれていても良い。該誘導体の種類には、特に制限はなく、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.等に記載されているヒドロキシル基の保護基の中でも、酸存在下で水との接触により、脱保護できる保護基で保護された誘導体が好ましく、ホルミル基、アセチル基およびベンゾイル基等のアシル保護基、ならびにトリメチルシリル基トリエチルシリル基およびジメチル−tert−ブチルシリル基等のシリル保護基で保護された誘導体が特に好ましい。

0082

[第3工程]
第3工程は、第2工程で得られた第2反応混合液を、該第2反応混合液中の一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物が所定の濃度となるまで蒸留により濃縮する工程である。この濃縮により、第2反応混合液中に含まれる有機溶媒が留去される。この有機溶媒には第1工程で用いた反応溶媒が含まれる。

0083

第3工程では、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物の濃度が、1〜100質量%、好ましくは5〜100質量%となる程度に第2反応混合液を濃縮する。この濃縮は、第2工程で得られた第2反応混合液に特別な処理を施さずにそのまま行うことができる。この際、第2工程で得られた第2反応混合液が水層と有機層とに分離する場合には、分離して得られた該有機層を濃縮に供することが好ましく、前述の濃度となる程度に濃縮することが好ましい。この有機層を濃縮する態様も、第3工程に係る「第2反応混合液を蒸留により濃縮する」態様の一つとして含まれる。

0084

このとき、分離した水層には、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物が含まれることがあるため、これを抽出し、抽出液の一部又は全部を、この有機層に加えることができ、また、そうすることが好ましい。この抽出に用いる溶媒(抽出溶媒)としては、第2工程の接触の後処理で前述したものを採用することができる。

0085

濃縮された第2反応混合液(またはその有機層)は、後述する第6工程に付されるか、または、その他の精製方法により、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物が精製される。

0086

本発明では、濃縮工程で留去された有機溶媒の一部又は全部は、後述する第4工程を経た後、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として、および/または、第2反応混合液もしくはそれから分離して得られた水層の抽出溶媒として再利用する。さらには、後述する第6工程の精製用溶媒として再利用することもでき、また、そうすることが好ましい。

0087

[第4工程]
一般式[1]で示される3,3,3−トリフルオロプロピニル金属と一般式[2]で示されるトリフルオロ酢酸エステルの反応においては、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンまたはその等価体の他に、副生成物として、種々の含フッ素化合物が副生することがある。この含フッ素化合物は、その種類によっては容易に特定でき、反応過程精製過程で容易に溶媒(反応溶媒など)や目的物と分離することが可能である。しかしながら、この含フッ素化合物の中には、容易に特定することができない単数または複数の含フッ素化合物(「含フッ素化合物群」と呼ぶことがある。)や、特定が容易であっても分離が難しいもの(これらを総称して、「フッ素原子含有不純物」と呼ぶことがある。)が含まれることがある。また、反応原料の種類によっては、溶媒との分離が困難な場合もある。このようなフッ素原子含有不純物や反応原料を含有する溶媒(反応溶媒、抽出溶媒など)を循環使用すると、フッ素原子含有不純物や反応原料が反応系内で次第に蓄積されていき、そのまま連続運転を行っていると、反応系における反応原料資材の存在割合バランス崩れ、目的物の収率の低下をもたらすことがある。そこで、循環使用する溶媒に含まれるフッ素原子含有不純物を低減させるまたは増加を抑制するために、前述のとおり、第3工程で留去された有機溶媒に所定の処理を施す必要がある。具体的には、第3工程で留去された有機溶媒の一部または全部を回収し、所定の塩基性化合物と接触させる。回収した有機溶媒には不純物として反応原料が含まれることもあるが、上述の塩基性化合物との接触により、この反応原料を除去することができる場合もある。

0088

本工程においては、循環使用する溶媒に含まれるフッ素原子含有不純物を低減させるまたは増加を抑制することを目的として所定の処理を施すが、これらのフッ素原子含有不純物の中でも、含フッ素化合物群を低減させるまたは増加を抑制することが好ましい。

0089

本発明に係る塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩、アルカリ土類金属の水酸化物および炭酸塩、塩基性金属酸化物、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンならびに含窒素複素環式化合物が挙げられる。これらの塩基性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水酸化セシウムなどが挙げられ、アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどが挙げられ、アルカリ金属の炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化バリウム・8水和物などが挙げられ、アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。塩基性金属酸化物としては、塩基性アルミナ、酸化カルシウムなどが挙げられる。水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム水酸化テトラエチルアンモニウム水酸化テトラn−プロピルアンモニウムおよび水酸化テトラn−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。トリアルキルアミンとしては、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミンジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。含窒素複素環式化合物としては、ピリジン、2,6−ジメチルピリジンピラジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム・8水和物、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、塩基性アルミナおよびトリブチルアミンが好ましく、水酸化バリウム・8水和物、炭酸カルシウムおよびトリブチルアミンが特に好ましい。また、本発明に係る塩基性化合物は水溶液として、回収された有機溶媒との接触に供することも可能である。

0090

本発明に係る塩基性化合物の使用量は、第3工程で留去された有機溶媒中に含まれる1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物、トリフルオロ酢酸エステル(反応原料)、およびトリフルオロ酢酸(副生成物)の合計モル数に対して0.001モル当量以上を用いれば良く、0.005〜50モル当量が好ましく、0.1〜10モル当量が特に好ましい。

0091

有機溶媒と塩基性化合物との接触温度は、通常+150℃以下で行えば良く、+125〜−50℃が好ましく、+100〜−25℃が特に好ましい。

0092

有機溶媒と塩基性化合物との接触時間は、通常48時間以内で行えば良く、接触条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により接触の進行状況を追跡し、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物、トリフルオロ酢酸エステル、およびトリフルオロ酢酸の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。

0093

有機溶媒と塩基性化合物とを接触させる方法は、特に制限はないが、本発明の効果を最大限に発揮させるには、回収した有機溶媒と塩基性化合物とを攪拌装置を用いて接触させることが好ましい。また、塩基性化合物を水溶液として接触させる場合には、該水溶液における塩基性化合物の濃度は0.01〜99.99質量%であれば良く、1.0〜99.99質量%が好ましい。

0094

接触後の溶液(接触液)中に、結晶の析出が見られる場合には、これを濾過などにより除去することが好ましい。

0095

続いて、得られた接触液を蒸留精製に供することで、再利用可能な高純度の溶媒(反応溶媒、抽出溶媒)を回収することができる。

0096

この蒸留精製の条件は、特に制限されず、単数または複数の蒸留塔を用いて蒸留精製を行ってもよい。蒸留搭では精製効率を高めるために、還流させることができる。理論段数は1〜100段、好ましくは5〜100段である。還流比塔頂温度塔底温度、圧力などの蒸留精製の条件は、精製対象の反応溶媒の種類や精製状態に合わせて適宜調節して蒸留を行うことが好ましい。塔頂温度は20〜140℃であることが好ましく、圧力は1〜760mmHgであることが好ましい。

0097

また、蒸留塔の接液部を構成する材質としては、特に制限されず、アルミニウム、銅、七−三黄銅チタン鋳鉄炭素鋼およびステンレス鋼などの金属、セラミックプラスチックカーボンなどを用いることができる。この中でも、金属成分が溶出されにくい金属、セラミック、プラスチックおよびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、セラミック、プラスチックおよびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。接液部を構成する材質として、金属成分が溶出され得る金属製の蒸留塔を用いて蒸留精製を行うと、留出液が赤色に変色することがある。この変色の原因の詳細は明確ではないが、接触液中に含まれることがある一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物が、接液部の材質(金属成分)に由来する金属化合物錯形成していることが推測される。Inorganic Chemistry (米国),1992年,第31巻,p.4436−8によると、下記式:

0098

0099

で示される化合物については報告がされているが、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物と金属化合物だけで対応する金属錯体化合物を形成するかは不明であった。実際に、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を含有している留出液を接液部がステンレス鋼製の蒸留塔を用いて分別蒸留を実施すると、溶液が赤色に変色することがある(参考例2を参照)。

0100

また、精製効率を高めるために、蒸留塔には充填物が備えられていてもよい。充填物の材質は、特に制限されず、アルミニウム、銅、七−三黄銅、チタン、鋳鉄、炭素鋼およびステンレス鋼などの金属、セラミック、プラスチック、カーボンなどを用いることができるが、前述したとおり、留出液の変色を防止する観点から、金属成分が溶出されにくい金属、セラミック、プラスチックおよびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、セラミック、プラスチックおよびカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。

0101

蒸留精製して回収された反応溶媒は、そのまま第5工程に供することもできるし、必要に応じてこの反応溶媒に脱水処理を施してから第5工程に供してもよい。

0102

[第5工程]
本発明に係る第5工程は、前述の第4工程で回収された反応溶媒を、第1工程の反応溶媒の少なくとも一部として再利用するか、および/または、第2反応混合液もしくはそれから分離して得られた水層の抽出溶媒として再利用するか、又は両者として再利用する工程である。

0103

[第6工程]
本発明に係る第6工程は、前述の第3工程で濃縮された第2反応混合液の残渣から、精製用溶媒を用いて一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を精製する工程である。

0104

具体的には、特開2001−187760号公報を参考に、精製用溶媒中に前述の第3工程で濃縮された第2反応混合液の残渣を分散させ、その後濾過・分離する方法、濾過装置においてフィルター上に保持された一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物に精製用溶媒を散布する方法等を単独で又は組み合わせて実施することにより、一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を精製することができる。この精製用溶媒としては、前述の第2工程で挙げた貧溶媒(精製用溶媒)を用いることができる。また、これらの操作の後は通常乾燥させるが、必ずしも乾燥は必要としない。また、これらの濾過操作で生じる濾液中に含まれる貧溶媒(精製用溶媒)は、本工程の精製用溶媒として再利用することができる。その際、濾液をそのまま再利用することもできるが、濾液中から前述の貧溶媒(精製用溶媒)を蒸留で精製してから再利用することが好ましい。

0105

[第7工程]
本発明に係る第7工程は、前述の第4工程で回収した反応溶媒を、前述の第6工程の精製用溶媒の少なくとも一部として再利用する工程である。

0106

上述の方法により製造された一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物から、続く脱水工程を経て、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造することができる。

0107

[脱水工程]
一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物を脱水して1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを製造する工程について説明する。

0108

上述の方法により得られた一般式[3]で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物は、本工程に好適に用いることができ、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンを高い選択率で且つ収率良く得ることができる。本工程の具体的な操作は、特開2001−187760号公報、特開2001−261607号公報、特開2001−354610号公報、特開2004−2466号公報ならびに、これらの引用文献(J.Inorganic and Nuclear Chemistry,1956年,第2巻,p.11−31および非特許文献1等)等を参考にして同様に行えば良い。例えば特開2001−187760号公報では、脱水剤として濃硫酸を用いて1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン・二水和物を脱水する方法が記載されている。

0109

脱水の方法は、特に制限はなく、例えば、熱分解する方法、共沸脱水する方法、脱水剤を用いる方法が例示できる。その中でも脱水剤を用いる方法が好ましい。

0110

前記脱水剤は、前述の特開2001−187760号公報で用いられる濃硫酸以外に、無水酢酸五酸化二リンソーダ石灰塩化カルシウム無水塩化亜鉛、無水硫酸ナトリウム無水硫酸マグネシウム無水硫酸カルシウムアルミナシリカゲルおよび合成ゼオライト等を用いることができる。

0111

実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0112

[調製例]
tert−ブチルメチルエーテル(略称:MTBE)36kgに、3,3,3−トリフルオロプロピン6.5kg(69mol、1.0eq)を−98〜−44℃で加え、さらにn−ブチルリチウムのn−ヘプタン溶液(25wt%)17kg(66mol、1.0eq)を−103〜−28℃で加え、−30℃で30分間撹拌した。さらに、トリフルオロ酢酸エチル9.5kg(67mol、1.0eq)を−38〜−33℃で加え、−30℃で2時間撹拌した(反応終了液)。ここまでの操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。次いで、硫酸水溶液64kg[濃硫酸16kg(160mol、2.4eq)と水48kgから調製]に、この反応終了液を3℃で加え、5℃で30分攪拌した(2相系)。攪拌後、2相分離して水層と有機層をそれぞれ回収した。19F−NMR分析により内部標準法内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、回収有機層には、下記式:

0113

0114

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタールが37molと、下記式:

0115

0116

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物が29mol含まれていた。該等価体の合算収率は、定量的であった。1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタールと水和物の19F−NMRをそれぞれ以下に示す。
19F−NMR(基準物質;CFCl3、重溶媒;使用せず、回収有機層のままで測定)
エチルヘミケタール/δ ppm;−85.05(3F)、−52.52(3F)。
水和物/δ ppm;−86.37(3F)、−52.52(3F)。

0117

得られた回収有機層に、新たに硫酸水溶液29kg[濃硫酸0.29kg(3.0mol、0.045eq)と水29kgから調製]を加え、52℃で10時間撹拌した(2相系)。これを2相分離し、水層と有機層をそれぞれ回収した。19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、この回収有機層には、下記式:

0118

0119

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの2水和物が58mol含まれていた。目的生成物の収率は、88%であった。この回収有機層を水40kgで洗浄した後、減圧濃縮油浴温度〜29℃/減圧度〜6.2kPa)して、留出液を得た。この留出液を除いた後の残渣にn−ヘプタン30kgを加え、再び減圧濃縮(油浴温度〜33℃/減圧度〜5.5kPa)し、留出液を得た。この留出液を除いた後の残渣にn−ヘプタン45kgを加え、4℃で2時間撹拌した。攪拌後、析出した結晶を濾過し、減圧乾燥することにより、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物(2水和物:1水和物=92:8)が13kg得られた。トータル収率は、82%であった。

0120

[実施例1〜7]
<留出液に含まれるMTBEの精製>
調製例で得られた留出液61gの精製を実施した。
19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、この留出液には、MTBEのほかに、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物0.5mmol、トリフルオロ酢酸エチル0.8mmol、トリフルオロ酢酸0.5mmol、および、その他の含フッ素化合物群0.3mmolが含まれていた。また、水分分析の結果、留出液には水0.1gが含まれていた。

0121

この留出液61gに、表1に示す塩基性化合物を加えて湯浴温度50〜60℃で1時間攪拌した。攪拌後の溶液に含まれるトリフルオロ酢酸エチルとその他の含フッ素化合物群を、19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量した。表1に、加えた塩基性化合物と定量結果をそれぞれ示す。

0122

0123

[実施例8]
<留出液に含まれるMTBEの精製(塩基性化合物:水酸化バリウム・8水和物)>
調製例で得られた留出液2075.7gの精製を実施した。19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、この留出液には、MTBEのほかに、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物17mmol、トリフルオロ酢酸エチル27mmol、トリフルオロ酢酸10mmol、および、その他の含フッ素化合物群10mmolが含まれていた。また、水分分析の結果、この留出液には水4.8gが含まれていた。

0124

この留出液2075.7gに水酸化バリウム・8水和物19.7g(62mmol)を加え、54〜56℃で45分間攪拌した。その後、この溶液を室温まで冷却し、次いで15時間攪拌した。攪拌後、溶液中に析出した結晶を濾過した。得られた濾過後の溶液を蒸留塔(接液部:ガラス製、充填材:ガラス製)で分別蒸留[理論段数15段、釜内温59〜103℃、塔頂温度53〜100℃、還流比(開:閉)1:20〜3:1]することにより、MTBE1207.9g、n−ヘプタン334.5gを無色透明液体としてそれぞれ得た。このMTBEのガスクロマトグラフィー純度は99.3%であり、n−ヘプタンのガスクロマトグラフィー純度は99.6%であった。分別蒸留後のMTBEを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群2mmolを含んでおり、分別蒸留後のn−ヘプタンを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群2mmolを含んでいた。このMTBEの水分が高かったため(水分:1.1%)、モレキュラーシーブス5A(MTBE1.0gに対して0.13g使用)を用いて脱水した(脱水後の水分:0.0%)。

0125

<精製MTBEの再利用>
上記の脱水後のMTBE150mLに、3,3,3−トリフルオロプロピン20.0g(213mmol、1.07eq)を−62〜−56℃で加え、さらにn−ブチルリチウムのn−ヘプタン溶液(25wt%)51.2g(200mmol、1.0eq)を−64〜−34℃で加え、−30℃で30分撹拌した。さらに、トリフルオロ酢酸エチル28.4g(200mmol、1.0eq)を−44〜−38℃で加え、−30℃で2時間撹拌した(反応終了液)。ここまでの操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。硫酸水溶液157g[濃硫酸39g(400mmol、2.0eq)と水118gから調製]に、この反応終了液を3℃で加え、3℃で30分間攪拌した(2相系)。攪拌後、2相分離して水層と有機層をそれぞれ回収した。回収有機層の19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、回収有機層には、下記式:

0126

0127

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタールが72mmolと、下記式:

0128

0129

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物が118mmol含まれていた。該等価体の合算収率は、95%であった。1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタールと水和物の19F−NMRをそれぞれ以下に示す。
19F−NMR(基準物質;CFCl3、重溶媒;使用せず、回収有機層のままで測定)
エチルヘミケタール/δ ppm;−85.05(3F)、−52.52(3F)。
水和物/δ ppm;−86.37(3F)、−52.52(3F)。

0130

得られた回収有機層に、新たに硫酸水溶液98g[濃硫酸1.0g(10mmol、0.05eq)と水97gから調製]を加え、50℃で17時間撹拌した(2相系)。これを2相分離し、水層と有機層をそれぞれ回収した。19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、この回収有機層には、下記式:

0131

0132

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの2水和物が163mol含まれていた。目的生成物の収率は、82%であった。

0133

[実施例9]
<留出液に含まれるMTBEの精製(塩基性化合物:トリブチルアミン)>
調製例で得られた留出液614.0gの精製を実施した。
19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、当該留出液には1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物5mmol、トリフルオロ酢酸エチル8mmol、トリフルオロ酢酸5mmol、およびその他の含フッ素化合物群3mmolを含んでいた。また、水分分析より当該留出液には水1.4gを含んでいた。

0134

この留出液614.0gにトリブチルアミン4.1g(22mmol)を加えて蒸留塔(接液部:ガラス製、充填材:ガラス製)で分別蒸留[理論段数15段、釜内温59〜98℃、塔頂温度54〜95℃、還流比(開:閉)1:2]することにより、無色透明のMTBE424.1gを得た。分別蒸留後のMTBEのガスクロマトグラフィー純度は98.7%であった。また、分別蒸留後のMTBEを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、トリフルオロ酢酸エチル8mmol、およびその他の含フッ素化合物群1mmolを含んでいた。

0135

[実施例10](回収n−ヘプタンの再利用)
純品のMTBE157gに、3,3,3−トリフルオロプロピン27.0g(287mmol、1.1eq)を−55〜−30℃で加え、さらにn−ブチルリチウムのn−ヘプタン溶液(24wt%)70.1g(261mmol、1.0eq)を−55〜−25℃で加え、−30℃で30分撹拌した。さらに、トリフルオロ酢酸エチル38.8g(273mmol、1.05eq)を−45〜−35℃で加え、−30℃で2時間撹拌した(反応終了液)。ここまでの操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。硫酸水溶液216g[濃硫酸54g(549mmol、2.1eq)と水162gから調製]に、反応終了液を3℃で加え、純品のMTBE70gを加え、5℃で15分攪拌した(2相系)。2相分離し、回収した有機層の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、下記式:

0136

0137

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタール74mmolと、下記式:

0138

0139

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物180mmolを含む有機層が得られた。該等価体の合算収率は97%であった。

0140

この有機層に、新たに硫酸水溶液134g[濃硫酸1.3g(13mmol、0.05eq)と水133gから調製]を加え、50℃で17時間撹拌した(2相系)。2相分離し、回収有機層の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、下記式:

0141

0142

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの2水和物が222mol含まれていた。目的生成物の収率は、85%であった。回収有機層を水167gで洗浄し、減圧濃縮(減圧度:〜14kPa)した。この減圧濃縮後の残渣に、調製例と同様の操作で得られた留出液に実施例3と同様の精製を実施して得られたn−ヘプタン(「回収n−ヘプタン」と呼ぶことがある。)107gを加えて、再び減圧濃縮(減圧度:〜7.3kPa)した。その後、回収n−ヘプタン161gを加え、析出した結晶を濾過した。この結晶を回収n−ヘプタンで洗浄し、減圧乾燥することにより、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物(2水和物:1水和物=97:3)が47.6g得られた。トータル収率は、75%であった。

0143

[実施例11]
<留出液に含まれるMTBEの精製(塩基性化合物:水酸化ナトリウム)>
調製例と同様の操作で得られた留出液2109.0gの精製を実施した。19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、当該留出液には1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物105mmol、トリフルオロ酢酸エチル33mmol、トリフルオロ酢酸21mmol、およびその他の含フッ素化合物群134mmolを含んでいた。

0144

この留出液2109.0gに、33%水酸化ナトリウム水溶液26.4g[水酸化ナトリウム8.8g(220mmol)と水17.6gから調製]を加えて、室温で30分間攪拌した(2相系)。攪拌後、2相分離して水層と有機層をそれぞれ回収した。この回収有機層の19F−NMR分析により内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群200mmolを含んでいた。この回収有機層を蒸留塔(接液部:ガラス製、充填材:ガラス製)で分別蒸留(理論段数10段)することにより、無色透明のMTBE[留出温度〜62℃、大気圧]を887.6g、n−ヘプタン[留出温度〜99℃、大気圧]を726.9g回収した。分別蒸留後のMTBEを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群60mmolを含んでいた。このMTBEの水分は0.0%であった。また、分別蒸留後のn−ヘプタンを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群21mmolを含んでいた。

0145

<精製MTBEの再利用>
上記のMTBE120mLに、3,3,3−トリフルオロプロピン16.0g(170mmol、1.1eq)を−51〜−38℃で加え、さらにn−ブチルリチウムのn−ヘプタン溶液(25wt%)41.0g(160mmol、1.0eq)を−51〜−29℃で加え、−30℃で30分撹拌した。さらに、トリフルオロ酢酸エチル23.9g(168mmol、1.1eq)を−42〜−39℃で加え、−30℃で2時間撹拌した(反応終了液)。ここまでの操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。硫酸水溶液157.2g[濃硫酸39.2g(400mmol、2.5eq)と水118gから調製]に、反応終了液を3℃で加え、5℃で10分攪拌した(2相系)。2相分離し、回収有機層の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、下記式:

0146

0147

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのエチルヘミケタールが55mmolと、下記式:

0148

0149

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの水和物が70mmol含まれていた。該等価体の合算収率は79%であった。

0150

[実施例12]
<留出液に含まれるMTBEの精製(塩基性化合物:塩基性アルミナ)>
調製例で得られた留出液1000.0gの精製を実施した。
19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、当該留出液には1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物8mmol、トリフルオロ酢酸エチル13mmol、トリフルオロ酢酸8mmol、およびその他の含フッ素化合物群5mmolを含んでいた。また、水分分析より当該留出液には水2.3gを含んでいた。

0151

この留出液1000.0gに塩基性アルミナ100.0gを充填したカラムクロマトグラフィー(留出速度0.5g/秒)により精製を実施して、無色透明の前半画分546.6g、後半画分396.9gを得た。得られた前半画分を19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、トリフルオロ酢酸エチル1mmol、およびその他の含フッ素化合物群4mmolを含んでいた。また、得られた後半画分を19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物2mmol、トリフルオロ酢酸エチル3mmol、およびその他の含フッ素化合物群7mmolを含んでいた。

0152

[比較例1]
<留出液に含まれるMTBEの精製(塩基性化合物:使用せず)>
調製例と同様の操作で得られた留出液1067gの精製を実施した。
19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、当該留出液には1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物52mmol、トリフルオロ酢酸エチル17mmol、トリフルオロ酢酸11mmolおよびその他の含フッ素化合物群66mmolを含んでいた。また、水分分析より当該留出液には水2.1gを含んでいた。

0153

この留出液を蒸留塔(接液部:ガラス製、充填材:ガラス製)で分別蒸留[理論段数15段、釜内温69〜101℃、塔頂温度54〜100℃、還流比(開:閉)1:5〜1:2]することにより、無色透明のMTBE569.4g、n−ヘプタン312.2gを得た。分別蒸留後のMTBEを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物1mmol、トリフルオロ酢酸46mmol、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン32mmol、およびその他の含フッ素化合物35mmolを含んでいた。分別蒸留後のn−ヘプタンを19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、その他の含フッ素化合物群16mmolを含んでいた。

0154

上述の実施例1〜9および実施例11〜12で示すように、含フッ素化合物群、トリフルオロ酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸を含有する留出液を、塩基性化合物と接触させることにより、該留出液中に含まれる含フッ素化合物群、トリフルオロ酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の総量を低減することができる。一方で、比較例1で示すように、塩基性化合物を用いない場合には、留出液中に含まれる含フッ素化合物群、トリフルオロ酢酸エチルおよびトリフルオロ酢酸の総量の増加が見られた。

0155

また、上記の実施例1、2、8および9で示すように、含フッ素化合物群を含有する留出液を特定の塩基性化合物と接触させることにより、含フッ素化合物群の増加を抑制することができる。その結果、含フッ素化合物群の増加が抑制されたMTBEを再利用した場合(実施例8)には、反応中間体である1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンの等価体の合算収率は良好であった。

0156

[参考例1]
テトラヒドロフラン40mLに、トリフルオロ酢酸エチル7.1g(50mmol、1.9eq)を加え、撹拌しながら−78℃に冷却してI液とした。一方、テトラヒドロフラン60mLに、3,3,3−トリフルオロプロピン2.5g(27mmol、1.0eq)を0℃で加え、さらにn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M)16mL(26mmol、1.0eq)を−78℃で加え、同温度で30分撹拌してII液とした。I液にII液を加え、−78℃で1時間撹拌した(反応混合液)。ここまでの操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。トリメチルシリルクロリドのテトラヒドロフラン溶液21g[トリメチルシリルクロリド3.0g(28mmol、1.1eq)とテトラヒドロフラン18gから調製]に、反応混合液を0℃で加え、室温で3日間撹拌した(反応終了液)。この反応終了液の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、下記式:

0157

0158

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタールが20mmol含まれていた。該等価体の収率は、77%であった。反応終了液を直接、減圧濃縮し(40℃/200hPa)、析出した塩化リチウムデカンテーションにより取り除き、減圧蒸留(46〜65℃/〜2.8kPa)することにより、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタールが4.2g得られた。トータル収率は、54%であった。ガスクロマトグラフィー純度は、97.4%であった。1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタールの1H−NMR、13C−NMRおよび19F−NMRを以下に示す。
1H−NMR[基準物質;(CH3)4Si、重溶媒;CDCl3]
δ ppm;0.26(9H)、1.29(3H)、3.78(2H)。
13C−NMR[基準物質;(CH3)4Si、重溶媒;CDCl3]
δ ppm;0.82、14.78、61.37、73.89、79.53、91.02、113.42、120.57。
19F−NMR(基準物質;C6F6、重溶媒;CDCl3)
δ ppm;78.09、109.95。

0159

得られた1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−ペンチ−2−ノンのトリメチルシリルエチルケタール0.15g(0.49mmol、1eq)に、テトラヒドロフラン2.0mLと硫酸水溶液1.3g[濃硫酸0.30g(3.1mmol、6.3eq)と水1.0gから調製]を加え、40℃で3時間30分撹拌し、さらに50℃で4時間30分撹拌した(均一溶液)。反応終了液の19F−NMR分析より、下記式:

0160

0161

で示される1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの2水和物への変換率を測定したところ、93%であった。

0162

[参考例2]
<留出液に含まれるMTBEの精製>
調製例と同様の操作で得られた留出液54gの精製を実施した。19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質;α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、当該混合溶液には1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの水和物3mmol、トリフルオロ酢酸エチル1mmol、トリフルオロ酢酸1mmolおよびその他の含フッ素化合物群3mmolを含んでいた。また、水分分析より当該混合溶液には水0.1gを含んでいた。

実施例

0163

この留出液を蒸留塔(接液部:ステンレス鋼製、充填材:ステンレス鋼製)で分別蒸留[理論段数:10段、釜内温度:67〜70℃、油浴温度:90℃]すると、1〜2時間後には溶液が赤色に着色していた。

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