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技術 膜接合構造体、その製法及びガスセンサ

出願人 日本碍子株式会社
発明者 森山聡子村上美佳吉岡邦彦榊原啓功
出願日 2015年3月16日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2015-052401
公開日 2016年4月28日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-065850
状態 特許登録済
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード トンネル形 菱形マーク 製造済み 内部空所 コネクタ電極 多個取り 側部電極 公転攪拌
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

外形が均一な多孔質厚膜基体を覆う膜接合体を備えたガスセンサを提供する。

解決手段

接合構造体製法は、(a)基体を用意する工程と、(b)成形型の内部に原料粉重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤及び分散媒として有機溶媒を含むスラリーが入れられ、かつ、前記成形型の内部の所定位置に前記基体が配置された状態とする工程と、(c)前記ゲル化剤の重合反応によって前記スラリーを成形固化することにより、前記基体に未焼成膜一体化したグリーン構造体を得る工程と、(d)前記グリーン構造体を焼成することにより、前記未焼成膜が焼成されて多孔質膜となった膜接合構造体を得る工程と、を含む。

概要

背景

従来、自動車排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの所定のガスの濃度を検出するセンサ素子を備えたガスセンサが知られている。こうしたガスセンサにおいて、センサ素子の表面に多孔質保護膜を形成することが知られている。例えば、特許文献1では、成形型キャビティ内に多孔質保護膜形成用のスラリー注入し、そのスラリー中にセンサ素子の検知部を配置し、スラリーを硬化することで検知部の周囲に多孔質保護膜を形成している。スラリーとしては、セラミック粒子シリカゾル硝酸を含み、pHが3.4以下に調整されたものを用いている。これにより、ディップ法を適用する際に問題となる膜厚が均一にならない点が解消されるとしている。

概要

外形が均一な多孔質厚膜基体を覆う膜接合体を備えたガスセンサを提供する。膜接合構造体製法は、(a)基体を用意する工程と、(b)成形型の内部に原料粉重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤及び分散媒として有機溶媒を含むスラリーが入れられ、かつ、前記成形型の内部の所定位置に前記基体が配置された状態とする工程と、(c)前記ゲル化剤の重合反応によって前記スラリーを成形固化することにより、前記基体に未焼成膜一体化したグリーン構造体を得る工程と、(d)前記グリーン構造体を焼成することにより、前記未焼成膜が焼成されて多孔質膜となった膜接合構造体を得る工程と、を含む。

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、外形が均一な多孔質の厚膜で基体を覆うことを主目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

(a)基体を用意する工程と、(b)成形型の内部に原料粉重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤及び分散媒として有機溶媒を含むスラリーが入れられ、かつ、前記成形型の内部の所定位置に前記基体が配置された状態とする工程と、(c)前記ゲル化剤の重合反応によって前記スラリーを成形固化することにより、前記基体に未焼成膜一体化したグリーン構造体を得る工程と、(d)前記グリーン構造体を焼成することにより、前記未焼成膜が焼成されて多孔質膜となった膜接合構造体を得る工程と、を含む膜接合構造体の製法

請求項2

前記多孔質膜の厚みは、100〜1000μmである、請求項1に記載の膜接合構造体の製法。

請求項3

前記原料粉は、セラミック粉末であり、前記スラリーは、前記セラミック粉末の焼結助剤を含むものである、請求項1又は2に記載の膜接合構造体の製法。

請求項4

前記成形型は、該成形型を複数個に分割したものを隙間なく密着させたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜接合構造体の製法。

請求項5

前記少なくとも2種類の有機化合物は、ウレタン反応によって重合可能なものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜接合構造体の製法。

請求項6

前記基体は、少なくとも表面が焼成体及び/又は金属からなるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜接合構造体の製法。

請求項7

前記基体は、ジルコニアを主成分とする固体電解質層を備えたセンサ素子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜接合構造体の製法。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の製法によって製造された膜接合構造体。

請求項9

基体の少なくとも一部の表面に多孔質膜が形成された膜接合構造体であって、前記基体は、直方体で、長手方向の両端の端面が長方形であり、該長方形の互いに向かい合う長辺の中点を結んだ線に沿って前記膜接合構造体を切断したときの切断面において、前記多孔質膜の長手方向の長さをXとし、前記多孔質膜の両端からX/12だけ内側に入った位置をそれぞれ基準位置とし、2つの基準位置を結んだ直線を基準線とし、前記基準線上で前記2つの基準位置からX/12だけ内側に入った点とその2つの点を結んだ線分を4等分する3つの点の合計5点を測定位置とし、各測定位置で前記基準線と直交する垂線を引き、各測定位置から前記多孔質膜の表面までの垂線の長さをΔdとしたとき、各測定位置でのΔdがすべて50μm未満である、膜接合構造体。

請求項10

請求項8又は9に記載の膜接合構造体を備えたガスセンサ

技術分野

0001

本発明は、膜接合構造体、その製法及びガスセンサに関する。

背景技術

0002

従来、自動車排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの所定のガスの濃度を検出するセンサ素子を備えたガスセンサが知られている。こうしたガスセンサにおいて、センサ素子の表面に多孔質保護膜を形成することが知られている。例えば、特許文献1では、成形型キャビティ内に多孔質保護膜形成用のスラリー注入し、そのスラリー中にセンサ素子の検知部を配置し、スラリーを硬化することで検知部の周囲に多孔質保護膜を形成している。スラリーとしては、セラミック粒子シリカゾル硝酸を含み、pHが3.4以下に調整されたものを用いている。これにより、ディップ法を適用する際に問題となる膜厚が均一にならない点が解消されるとしている。

先行技術

0003

特開2013−217733号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1には、スラリーから多孔質保護膜を形成する具体的な手順が記載されていないが、スラリーを硬化した後つまり酸化珪素重合した後は、ディップ法と同様、乾燥工程を採用してスラリーの水分を蒸発させて多孔質保護膜を形成していると推察される。しかしながら、特許文献1では、重合・乾燥工程において体積収縮量が非常に大きくなるため、乾燥収縮に伴う応力によって多孔質保護膜にクラック等が発生しやすかった。そのため、多孔質保護膜の厚みについては80μm程度かそれ以下と記載されており、厚膜化することが困難であった。

0005

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、外形が均一な多孔質の厚膜で基体を覆うことを主目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。

0007

本発明の膜接合構造体の製法は、
(a)基体を用意する工程と、
(b)成形型の内部に原料粉重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤及び分散媒として有機溶媒を含むスラリーが入れられ、かつ、前記成形型の内部の所定位置に前記基体が配置された状態とする工程と、
(c)前記ゲル化剤の重合反応によって前記スラリーを成形固化することにより、前記基体に未焼成膜一体化したグリーン構造体を得る工程と、
(d)前記グリーン構造体を焼成することにより、前記未焼成膜が焼成されて多孔質膜となった膜接合構造体を得る工程と、
を含むものである。

0008

この製法によれば、均一な多孔質の厚膜で基体を覆うことができる。すなわち、少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤を重合させて基体の周囲のスラリーを成形・固化することによりグリーン構造体とするため、スラリーが固化したときの体積収縮量が小さい。そのため、固化後や、焼成後に多孔質膜にクラックが生じにくい。したがって、多孔質の厚膜で基体を覆うことができる。また、成形時、成形型の内部にスラリーが入れられ、かつ、成形型の内部の所定位置に基体が配置された状態とするため、焼成後の多孔質膜と基体との位置関係は焼成前のスラリーと基体との位置関係を反映したものとなる。そのため、焼成後の多孔質膜の膜厚は、焼成前のスラリーと基体との位置関係を調整することにより容易に均一にすることができるし、部分的に膜厚を厚くすることもできる。ここで言う「固化」とは、ゲル化剤が反応して形状保持され、更に分散媒除去の工程まで含む。「膜厚」とは膜単体の厚みのことを指す。例えば、基体を挟んで両側に膜が形成されていた場合は、片側の膜自体のみの厚みを膜厚という。多孔質膜の外形は、成形型によって自由に設定することができ、成形型の内部に配置される基体の形状に依存しない。また、上述したとおり成形型により外形が規定され、体積収縮量が小さいことから、曲率半径の小さい箇所を有する形状の多孔質膜を作製することも可能である。

0009

本発明の膜接合構造体の製法において、前記多孔質膜の厚みを100〜1000μmとしてもよい。本発明の製法によれば、このように100μmを超えるような多孔質の厚膜をクラックを生じさせることなく容易に基体に接合することができる。

0010

本発明の膜接合構造体の製法において、前記原料粉は、セラミック粉末であり、前記スラリーは、前記セラミック粉末の焼結助剤を含むものとしてもよい。こうすれば、工程(d)において比較的低温でセラミック粉末を焼成することができるため、未焼成膜を容易に多孔質膜にすることができる。ここで、焼結助剤としては、特に限定するものではないが、酸化アルミニウム酸化ジルコニウム酸化亜鉛、酸化珪素、炭酸カルシウム炭酸バリウム炭酸マグネシウム窒化珪素窒化アルミニウムチタニアスピネルの中から選ばれた1つとしてもよいし、これらの中から選ばれた2つ以上の材料を含む複合酸化物複合窒化物としてもよい。焼結助剤の具体的な材料は、セラミック粉末の材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、焼成温度が低温(セラミック粉末を助剤なしで焼結させる温度よりも低い温度)であってもセラミック粉末間の結合を保つ助けとなるものを選択すればよい。低温で未焼成膜中のセラミック粉末を焼成体にすることで、基体への熱によるダメージを低減することができる。また、焼結助剤としては、ガラス層を形成する成分が含まれるものや比表面積が大きくセラミック粉末の焼結を低温でも進行させるものが好ましい。

0011

本発明の膜接合構造体の製法において、前記成形型は、該成形型を複数個に分割したものを隙間なく密着させたものとしてもよい。こうすれば、基体と未焼成膜が一体化したグリーン構造体を成形型から離型する際、成形型を分割すれば離型作業を容易に行うことができる。また、成形型の形状は特に限定しないが、一つの流入口から枝分かれ多個取りするようなランナーゲートベントが備えられていてもよい。また、離型が容易となるようにテーパがついていてもよい。なお、特許文献1で適用されている技術では、乾燥収縮率が大きいため、このような機構を必要としない。

0012

本発明の膜接合構造体の製法において、前記ゲル化剤に含まれる少なくとも2種類の有機化合物は、ウレタン反応によって重合可能なものとしてもよい。こうすれば、スラリーが固化したときの体積収縮量を非常に小さくすることができる。

0013

本発明の膜接合構造体の製法において、前記スラリーに樹脂を添加してもよい。樹脂の種類は特に限定されない。樹脂の選定によっては、それらの膜に弾性可塑性を付与することができる。それにより、乾燥時や離型時の体積収縮によるクラックの発生を更に抑制することができる。

0014

本発明の膜接合構造体の製法において、前記基体は、少なくとも表面が焼成体及び/又は金属からなるものとしてもよい。こうすれば、基体は耐熱性を有しているため、工程(d)で焼成する際に熱による影響を受けることがほとんどない。また、基体の表面に金属部分が露出している場合であっても、スラリーの分散媒として水ではなく有機溶媒を使用しているため、その金属部分が酸によって腐食するおそれがない。

0015

なお、焼成体の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、チタニア、スピネルなどが挙げられる。金属の材質は、特に限定されるものではないが、モリブデンタングステンニッケルサーメットなどが挙げられる。また、多孔質膜と基体とは、熱膨張係数差が小さいことが好ましい。

0016

本発明の膜接合構造体の製法において、前記基体は、ジルコニアを主成分とする固体電解質層を備えたセンサ素子としてもよい。こうすれば、センサ素子を多孔質の厚膜で容易に被覆することができる。また、センサ素子は表面に金属部分(例えば電極)が露出しているが、スラリーの分散媒として水ではなく有機溶媒を使用しているため、その金属部分が酸によって腐食するおそれがない。

0017

本発明の膜接合構造体は、上述した本発明の製法によって製造されたものである。本発明の膜接合構造体は、上述のスラリーを用いて成形型により成形されるため、均一な外形寸法となる。

0018

本発明の膜接合構造体は、基体の少なくとも一部の表面に多孔質膜が形成された膜接合構造体であって、前記基体は、直方体で、長手方向の両端の端面が長方形であり、該長方形の互いに向かい合う長辺の中点を結んだ線に沿って前記膜接合構造体を切断したときの切断面において、前記多孔質膜の長手方向の長さをXとし、前記多孔質膜の両端からX/12だけ内側に入った位置をそれぞれ基準位置とし、2つの基準位置を結んだ直線を基準線とし、前記基準線上で前記2つの基準位置からX/12だけ内側に入った点とその2つの点を結んだ線分を4等分する3つの点の合計5点を測定位置とし、各測定位置で前記基準線と直交する垂線を引き、各測定位置から前記多孔質膜の表面までの垂線の長さをΔdとしたとき、各測定位置でのΔdがすべて50μm未満(好ましくは20μm未満)である。こうした膜接合構造体は、上述した本発明の製法によって製造することができる。

0019

本発明のガスセンサは、上述した膜接合構造体を備えたものである。このガスセンサも上述のスラリーを用いて成形型により成形されるため、均一な外形寸法となる。

図面の簡単な説明

0020

ガスセンサ100の概略斜視図。
図1のA−A断面図。
ガスセンサ100の製造工程図。
変形例のガスセンサ100の断面図。
成形型110と未焼成膜191との境界付近の様子を示した模式図。
未焼成膜191の表面付近の断面写真
ガスセンサ100の説明図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図。
ガスセンサ100を図7の線CLで切断したときの断面図。
一つの測定位置MPの周辺の断面拡大図。
実施例1及び比較例1のガスセンサを複数作製し、それらの長さΔdを測定した結果を示すグラフ

0021

次に、本発明の実施の形態の一例であるセンサ素子101を備えたガスセンサ100の概略構成について説明する。図1は、ガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。なお、ガスセンサ100は、例えば自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの所定のガスの濃度を、センサ素子101により検出するものである。また、センサ素子101は長尺直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(図1の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(図1の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。なお、図1は、センサ素子101を右上前方からみた様子を示している。また、図2は、センサ素子101の左右方向の中心に沿った断面図である。

0022

図2に示すように、センサ素子101は、それぞれが酸素イオン伝導性を有するジルコニア(ZrO2)を主成分とする固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターン印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。

0023

センサ素子101の一先端部(前方向の端部)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。

0024

ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。

0025

第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第2内部空所40に至る部位をガス流通部とも称する。

0026

また、ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。

0027

大気導入層48は、多孔質セラミックスからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。

0028

基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内や第2内部空所40内の酸素濃度酸素分圧)を測定することが可能となっている。

0029

ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。

0030

主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。

0031

内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。

0032

内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。

0033

主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。

0034

また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。

0035

主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。

0036

第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。

0037

第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。

0038

第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。

0039

補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101と外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。

0040

係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。

0041

補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。

0042

また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。

0043

なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。

0044

また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。

0045

測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。

0046

測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。

0047

第4拡散律速部45は、セラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護層としても機能する。測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。

0048

また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。

0049

第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。

0050

また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。

0051

また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。

0052

このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。

0053

さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、を備えている。

0054

ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。

0055

ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。

0056

また、ヒータ72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。

0057

ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。

0058

圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇緩和する目的で形成されてなる。

0059

また、センサ素子101は、図1,2に示すように、一部が多孔質保護膜91により被覆されている。多孔質保護膜91は、センサ素子101の6個の表面のうち5面にそれぞれ形成された多孔質保護膜91a〜91eを備えている。多孔質保護膜91aは、センサ素子101の上面の一部を被覆している。多孔質保護膜91bは、センサ素子101の下面の一部を被覆している。多孔質保護膜91cは、センサ素子101の左面の一部を被覆している。多孔質保護膜91dは、センサ素子101の右面の一部を被覆している。多孔質保護膜91eは、センサ素子101の前端面の全面を被覆している。なお、多孔質保護膜91a〜91dの各々は、自身が形成されているセンサ素子101の表面のうち、センサ素子101の前端面から後方に向かって距離L(図2参照)までの領域を全て覆っている。また、多孔質保護膜91aは、外側ポンプ電極23が形成された部分も被覆している。多孔質保護膜91eは、ガス導入口10も覆っているが、多孔質保護膜91eが多孔質体であるため、被測定ガスは多孔質保護膜91eの内部を流通してガス導入口に到達可能である。多孔質保護膜91は、センサ素子101の一部(センサ素子101の前端面から距離Lまでの部分)を被覆して、その部分を保護するものである。多孔質保護膜91は、例えば被測定ガス中の水分等が付着することによる熱衝撃でセンサ素子101にクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。また、多孔質保護膜91aは、被測定ガスに含まれるオイル成分等が外側ポンプ電極23に付着するのを抑制して、外側ポンプ電極23の劣化を抑制する役割を果たす。なお、距離Lは、ガスセンサ100においてセンサ素子101が被測定ガスに晒される範囲や、外側ポンプ電極23の位置などに基づいて、(0<距離L<センサ素子の長手方向の長さ)の範囲で定められている。

0060

なお、本実施形態では、図1に示すように、センサ素子101は前後方向の長さと、左右方向の幅と、上下方向の厚さとがそれぞれ異なっており、長さ>幅>厚さとなっている。また、距離Lはセンサ素子101の幅及び厚さよりも大きい値であるものとした。そのため、多孔質保護膜91a〜91eのうち、多孔質保護膜91a,91bの形成面積(=距離L×センサ素子101の幅)が最も広く、次に多孔質保護膜91c,91dの形成面積(=距離L×センサ素子101の厚さ)が広く、多孔質保護膜91eの形成面積(=センサ素子101の幅×厚さ)が最も狭い。

0061

多孔質保護膜91は、アルミナを主成分とする多孔質焼結体からなるものである。また、多孔質保護膜91には、ジルコニア成分を含んでいてもよい。特に限定するものではないが、多孔質保護膜91の気孔率は例えば10%〜60%である。また、多孔質保護膜91の膜厚t(図2参照)は例えば300μm〜700μmとすることが好ましい。なお、多孔質保護膜91a〜91eの膜厚tはそれぞれ異なっていてもよいが、いずれの膜厚tも300μm〜700μmの範囲内にあることが好ましい。

0062

次に、こうしたガスセンサ100の製造方法について、図3を用いて以下に説明する。図3は、ガスセンサ100の製造工程図である。ガスセンサ100の製造方法は、(a)センサ素子101を用意する工程と、(b)成形型110の内部にゲルキャスト法で用いるスラリーが入れられ、かつ、成形型110の内部の所定位置にセンサ素子101が配置された状態とする工程と、(c)スラリーを成形・固化することによりセンサ素子101に未焼成膜191が一体化したグリーン構造体102を得る工程と、(d)グリーン構造体102を焼成することによりガスセンサ100を得る工程と、を含む。

0063

工程(a)では、図3(a)に示すセンサ素子101を製造する。まず、6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。セラミックスグリーンシートは、ジルコニアを含むセラミックス粒子有機バインダー有機溶剤とを混合し、テープ成形により作製することができる。セラミックス粒子としては、安定化剤イットリアを4mol%添加したジルコニア粒子(安定化ジルコニア粒子とも称する)を用いることができる。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに電極や絶縁層、抵抗発熱体等のパターンを印刷する。各種のパターンを形成したあと、各グリーンシートを乾燥する。その後、それらを積層して積層体とする。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分け、所定の焼成温度で焼成して、センサ素子101を得る。複数のグリーンシートを積層してセンサ素子101を製造する方法は公知であり、例えば特開2009−175099号公報,特開2012−201776号公報などに記載されている。なお、工程(a)では、センサ素子101を製造する代わりに、製造済みのセンサ素子101を用意してもよい。また、工程(a)では、焼成後のセンサ素子101のうち層1〜6の表面をサンドブラストなどで荒らすことで、センサ素子101の表面の算術平均粗さRaを2.0μm〜5.0μmとしてもよい。センサ素子101の表面のうち少なくとも工程(d)で多孔質保護膜91を形成する領域の算術平均粗さRaを2.0〜5.0μmとしておくことで、多孔質保護膜91とセンサ素子101の表面とが密着しやすくなる。

0064

工程(b)では、まず、所定の成形型110の矩形凹部112の予め定められた位置にセンサ素子101の先端部位位置決めする(図3(b),(c)参照)。成形型110は、コップ状の型であり、成形型110を縦割りした形状の2つの半割体110a,110bを隙間なく密着させたものである。この成形型110の矩形凹部112にセンサ素子101の先端部位を配置する。先端部位とは、センサ素子101のうち図2で多孔質保護膜91に被覆される部位であり、外側ポンプ電極23を含む部位である。その際、センサ素子101の面積の広い2つの面が矩形凹部112を囲う面積の広い2つの面とそれぞれ平行に、かつ、センサ素子101の面積の狭い2つの面が矩形凹部を囲う面積の狭い2つの面とそれぞれ平行になるように配置する。センサ素子101の固定は、センサ素子101を図示しないクランプで挟んだり、吸引したり、図示しない粘着性テープで貼り付けることにより行う。クランプは、金属製や樹脂製でもよいが、弾性素材(例えばシリコーンゴムなど)で行うのが好ましい。また、ゲルキャストに用いるスラリーSを用意し、このスラリーSをセンサ素子101が位置決めされた矩形凹部112へ投入する(図3(d)参照)。スラリーSの成分については後で詳述するが、ゲル化剤を含むものである。

0065

工程(c)では、矩形凹部112内でスラリーSをゲル化剤の重合反応によってゲル化させてセンサ素子101の先端部位に未焼成膜191を形成し、未焼成膜191が形成されたセンサ素子101(グリーン構造体102)を成形型110から離型して乾燥する(図3(e)参照)。このとき、成形型110は2つに割ることができるため、容易に離型作業を行うことができる。この工程(c)は、通常、大気圧常温下で行う。成形型110の材質は、スラリーを成形型110の矩形凹部112へ注入する際に圧力を加えることがないため耐圧を考慮する必要がなく、金属(例えばアルミニウム、SUS等)や樹脂(例えばPP、POM等)、ガラスなどが使用可能である。離型のタイミングは、特に限定されず、ゲル化反応が十分に進行し、離型作業のハンドリングが可能な程度となっていればよい。グリーン構造体102の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば加熱乾燥送風乾燥などが使用可能である。なお、離型後に乾燥してもよいし、乾燥後に離型してもよいし、乾燥しながら離型を行ってもよい。また、離型性の向上を考慮して、矩形凹部112の内面に潤滑剤(例えばフッ素系離型剤など)を塗布してもよい。

0066

ここで、スラリーについて詳説する。ゲルキャストに用いるスラリーは、原料粉としてのセラミック粉末、焼結助剤、有機溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むものである。

0067

セラミック粉末としては、ここではアルミナにジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア)を添加したものを使用する。但し、セラミック粉末の材料は、センサ素子101の材料に応じて、適宜選定すればよい。例えば、センサ素子101の材料と熱膨張係数差が小さいものを選定すればよい。

0068

焼結助剤としては、セラミック粉末の種類に応じて適宜決めればよいが、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、チタニア、スピネルの中から選ばれた1つとしてもよいし、これらの中から選ばれた2つ以上の材料を含む複合酸化物や複合窒化物としてもよい。焼結助剤の具体的な材料は、例えば、焼成温度が低温(セラミック粉末を助剤なしで焼結させる温度よりも低い温度)であってもセラミック粉末間の結合を保つ助けとなるものを選択すればよい。低温で未焼成膜中のセラミック粉末を焼成体にすることで、基体への熱によるダメージを低減することができる。また、焼結助剤としては、ガラス層を形成する成分が含まれるものや比表面積が大きくセラミック粉末の焼結を低温でも進行させるものが好ましい。

0069

有機溶媒としては、分散剤及びゲル化剤を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば炭化水素系溶媒トルエンキシレンソルベントナフサ等)、エーテル系溶媒エチレングリコールモノエチルエーテルブチルカルビトールブチルカルビトールアセテート等)、アルコール系溶媒イソプロパノール、1−ブタノールエタノール、2−エチルヘキサノールテルピネオールエチレングリコールグリセリン等)、ケトン系溶媒アセトンメチルエチルケトン等)、エステル系溶媒酢酸ブチルグルタル酸ジメチルトリアセチン等)、多塩基酸溶媒グルタル酸等)などが挙げられる。このうちエステル系溶媒、特に、多塩基酸エステル(グルタル酸ジメチル等)や多価アルコールの酸エステル(トリアセチン等)等の2以上のエステル結合を有する溶媒を使用することが好ましい。

0070

分散剤としては、セラミック粉末を有機溶媒中に均一に分散するものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリカルボン酸系共重合体ポリカルボン酸塩ソルビタン脂肪酸エステルポリグリセリン脂肪酸エステルリン酸エステル塩系共重合体スルホン酸塩系共重合体、3級アミンを有するポリウレタンポリエステル系共重合体などが挙げられる。このうち、特に、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩等を使用することが好ましい。こうした分散剤を添加することで、成形前のスラリーを、低粘度とし、且つ高い流動性を有するものとすることができる。

0071

ゲル化剤としては、重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むものであれば、特に限定されないが、例えば、ウレタン反応が可能な2種類の有機化合物を含むものなどが挙げられる。このような2種類の有機化合物としては、イソシアネート類ポリオール類が挙げられる。イソシアネート類としては、イソシアネート基官能基として有する物質であれば特に限定されないが、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートMDI)又はこれらの変性体などが挙げられる。なお、分子内にイソシアネート基以外の反応性官能基を有していてもよく、更には、ポリイソシアネートのようにイソシアネート基を複数有していてもよい。ポリオール類としては、イソシアネート基と反応し得る水酸基を2以上有する物質であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコールPG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリヘキサメチレングリコール(PHMG)、ポリビニルアルコールPVA)、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。分子量の大きい樹脂は、成形時のクラック発生を抑制する作用を有する。これにより、膜強度が向上する。また、弾性や可塑性が得られる。その結果、乾燥時や離型時の体積収縮によるクラックの発生を一層抑制することができる。このような樹脂をポリオール類又はイソシアネート類として一種類のみ用いてもよいし、複数種類併用してもよい。または、ウレタン反応に関与しない樹脂を添加してもよい。ゲル化剤は、重合を促進する触媒を含んでいてもよい。例えば、イソシアネート類とポリオール類とのウレタン反応を促進させる触媒としては、トリエチレンジアミンヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノ1−ヘキサノール等が挙げられる。

0072

スラリーを調製するに当たっては、まず、セラミック粉末、焼結助剤、有機溶媒及び分散剤を所定の割合で添加して所定時間に亘ってこれらを混合することによりスラリー前駆体を調製する。そして、スラリーを使用する直前に、そのスラリー前駆体にゲル化剤を添加して混合することによりスラリーとする。このスラリーは、数分〜数時間でゲル化する。なお、スラリー前駆体に、ゲル化剤を構成するイソシアネート類、ポリオール類、樹脂、可塑剤及び触媒のいずれか1つか2つを添加しておき、その後、スラリーを調製する際に、残りの成分を添加してもよい。スラリー前駆体を調製するときの混合方法は、特に限定されるものではなく、例えばボールミルなどが使用可能である。また、スラリーを調製するときの混合方法も、特に限定されるものではなく、例えば自公転攪拌プロペラ式攪拌スタティックミキサーなどが使用可能である。スラリー前駆体にゲル化剤を添加したあとのスラリーは、時間経過に伴いゲル化剤の化学反応(ウレタン反応)が進行し始めるため、速やかに成形型110内に流し込むことが好ましい。

0073

工程(d)では、グリーン構造体102を焼成することにより、未焼成膜191を多孔質保護膜91にすると共にセンサ素子101に接合し、ガスセンサ100を得る(図3(f)参照)。焼成温度は、焼結助剤を用いずにセラミック粉末を焼結させる温度よりも低い温度に設定する。例えば、アルミナ粉末の場合、焼結助剤を用いずに焼結させるには1500〜1700℃で焼成するが、ここでは焼結助剤を用いるため900〜1300℃で焼成する。焼成収縮や添加されている焼結助剤(例えばガラス層を形成する酸化珪素)の溶融により、センサ素子101と未焼成膜191中のセラミック粉末とが接着したり未焼成膜191中のセラミック粉末同士が接着したりして、未焼成膜191は多孔質保護膜91になる。焼成温度は、未焼成膜191に含まれる材料のほか、センサ素子101と多孔質保護膜91との焼成収縮量の差などを考慮して、最適温度を設定することが好ましい。焼成温度が高すぎると、焼成収縮量が大きくなりクラックが発生しやすくなるため好ましくない。また、焼成温度が低すぎると、センサ素子101とセラミック粉末との接着やセラミック粉末同士の接着が不十分になるため好ましくない。

0074

ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のガスセンサ100が本発明の膜接合構造体に相当し、センサ素子101が基体に相当し、多孔質保護膜91が多孔質膜に相当する。

0075

以上詳述した本実施形態のガスセンサ100の製法によれば、センサ素子101を均一で厚膜の多孔質保護膜91で覆うことができる。すなわち、少なくとも2種類の有機化合物を含むゲル化剤を重合させてセンサ素子101の周囲のスラリーSを成形・固化することによりグリーン構造体102とするため、スラリーSが固化したときの体積収縮量が小さい。そのため、焼成後に多孔質保護膜91にクラックが生じにくい。したがって、センサ素子101を多孔質の厚膜(例えば厚みが100〜1000μmの膜)で覆うことができる。また、成形時、成形型110の内部にスラリーSが入れられ、かつ、成形型110の矩形凹部112の所定位置にセンサ素子101が配置された状態とするため、焼成後の多孔質保護膜91とセンサ素子101との位置関係は焼成前のスラリーSとセンサ素子101との位置関係を反映したものとなる。そのため、焼成後の多孔質保護膜91の膜厚は、焼成前のスラリーSとセンサ素子101との位置関係を調整することにより容易に均一にすることができる。

0076

また、スラリーSはセラミック粉末の焼結助剤を含むため、比較的低温でセラミック粉末を焼成することができ、未焼成膜191を容易に多孔質保護膜91にすることができる。

0077

更に、成形型110として、該成形型110を複数個に分割した半割体110a,110bを隙間なく密着させたものを用いたため、グリーン構造体102を成形型110から離型する際、成形型110を分割すれば離型作業を容易に行うことができる。

0078

更にまた、スラリーSに含まれる2種類の有機化合物は、ウレタン反応によって重合可能なものであるため、スラリーSが固化したときの体積収縮量を非常に小さくすることができる。

0079

そしてまた、センサ素子101の表面には焼成体(ジルコニアを主成分とする固体電解質層)に金属製の外側ポンプ電極23が付いているが、上述したゲルキャスト法では、強酸性水溶液を使用せず、有機溶媒を使用したスラリーSを使用するため、外側ポンプ電極23が酸によって腐食するおそれがない。したがって、センサ素子101の外側ポンプ電極23を腐食させることなく多孔質保護膜91で覆うことができ、センサ精度に悪影響が及ぶことがない。

0080

そして更に、センサ素子101に寸法バラツキがあったとしても多孔質保護膜91の外形寸法は成形型110の矩形凹部112の形状によって決まるため、多孔質保護膜91の外形寸法は均一になる。また、成形型110の内面の形状を工夫することにより、膜厚や外形、表面形状(例えば、粗さ、うねり)を制御することができる。例えば、矩形凹部112の形状を変更すれば、多孔質保護膜91の角に丸みを持たせたり境界部分(図1で多孔質保護膜91の後部端面)の角度を自由に設定したりすることができる。

0081

そして更にまた、ガスセンサ100は上述した製法によって製造されたものであるため、多孔質保護膜91の最表面部分の気孔率は断面内部に比べて気孔率が高いものの、断面内部の気孔率は概ね同じなる。これは、ゲルキャスト法で未焼成膜191を形成し、その未焼成膜191を焼成しているからである。

0082

なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。

0083

例えば、上述した実施形態では、図3(b)〜(d)に示すように、空の状態の矩形凹部112の所定位置にセンサ素子101の先端部位を配置したあと矩形凹部112にスラリーSを加えたが、矩形凹部112にスラリーSを入れたあとそのスラリーS内の所定位置にセンサ素子101の先端部位を配置してもよい。

0084

上述した本実施形態では、工程(a)で焼成後のセンサ素子101を用意したが、焼成前のものつまりセラミックグリーンシートの積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り出したものを用意してもよい。この場合、工程(c)で焼成前のセンサ素子と未焼成膜191とをまとめて焼結すればよい。

0085

上述した実施形態では、距離Lはセンサ素子101の幅及び厚さよりも大きい値であるものとしたが、これに限られない。例えば距離Lがセンサ素子101の幅と厚さとの少なくとも一方より小さくてもよい。

0086

上述した実施形態では、成形型110は成形型110を2つに縦割りした形状の半割体110a,110bを隙間なく密着させたものとしたが、成形型110を3つ以上に縦割りした形状の分割体を隙間なく密着させたものとしてもよい。また、分割方向分割位置も特に限定されるものではなく、欠損なく離型できる方向や位置であればよい。

0087

上述した実施形態では、厚膜の多孔質保護膜91を作製する場合を例示したが、同様の製法で薄膜(厚みが100μm未満の膜)を作製することも可能である。同様に1000μm以上の厚膜を作成することも可能である。

0088

上述した実施形態では、成形型110は矩形凹部112を有するものとしたが、特にこの形状に限定するものではない。例えば、成形型には、一つの流入口から枝分かれし多個取りするようなランナーやゲート、ベントが備えられていてもよい。また、離型が容易となるようにテーパがついていてもよい。

0089

上述した実施形態では、ガスセンサ100のセンサ素子101は第1内部空所20,第2内部空所40を備えるものとしたが、これに限られない。例えば、さらに第3内部空所を備えていてもよい。この場合の変形例のガスセンサ100の断面図を図4に示す。図4では、図2と同じ構成要素については同じ符号を付した。図4に示すように、この変形例のガスセンサ100では、測定電極44が第4拡散律速部45で被覆されていない。代わりに、補助ポンプ電極51と測定電極44との間には、第3拡散律速部30と同様の第4拡散律速部60が形成されている。これにより、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されており、ガス流通部の一部を構成している。そして、補助ポンプ電極51は第2内部空所40内に配設されており、測定電極44は第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に配設されている。この変形例のガスセンサ100は、第4拡散律速部60が図2の第4拡散律速部45と同様の働きをするため、上述した実施形態と同様に被測定ガス中のNOx濃度を検出することができる。また、この変形例のガスセンサ100も、上述した実施形態と同様の構成や製造方法を採用することで、上述した実施形態と同様の効果が得られる。

0090

以下には、ガスセンサ100を具体的に作製した例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。また、純度の単位は質量%であるが、便宜上、単に%で表記した。

0091

[実施例1]
実施例1として、上述した実施形態の製法により、ガスセンサ100を作製した。まず、工程(a)として、前後方向(長手方向)の長さが70mm、左右方向の幅が4mm、上下方向の厚さが1.5mmのセンサ素子101を作製した。このセンサ素子101の長手方向の両端の端面は1.5mm×4mmの長方形である。なお、センサ素子101を作製するにあたり、セラミックスグリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶媒とを混合し、テープ成形により成形した。

0092

次に、工程(b)及び(c)として、センサ素子101の外側ポンプ電極23を含む先端部位に、有機溶剤が分散媒のスラリーを用いるゲルキャスト法で未焼成膜191を形成した。ここでは、成形型110として、矩形凹部112に設計値どおりの外形を備えたセンサ素子101(基準素子)を配置したときに未焼成膜191の前後方向(センサ素子101の長手方向)の長さが12mm、厚みが450μmとなるように設計したものを用いた。センサ素子101の固定は、金属ではなく粘着テープを介して把持することにより行った。こうすることで、センサ素子101が設計値どおりの外形を備えていなくても、センサ素子101を固定することが可能となった。スラリーSは、以下のようにして調製した。アルミナ粉末(平均粒径2μm,純度99.9%)44質量部とジルコニア(平均粒径0.3μm,純度90%)49質量部との混合粉末に、焼結助剤(ガラス層を形成する成分)として酸化珪素を7質量部添加した。これらを、有機溶媒として多塩基酸エステルを24質量部、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体を4質量部、ポリオール類としてエチレングリコールを0.2質量部混合した混合液へ投入した。その混合液を玉石と共にポットに入れ、12時間混合し、スラリー前駆体とした。このスラリー前駆体に、イソシアネート類としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートをスラリー前駆体に対して5体積%添加し、更に、触媒として6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールを0.1質量部を添加し、自公転式撹拌機で90秒混合し、スラリーSを得た。このスラリーSを矩形凹部112に注入し、1時間経過後、離型可能な程度まで硬化し、未焼成膜191とした。図5は、成形型110と未焼成膜191との境界付近の様子を示した模式図である。図5では、粒径の大きなアルミナ粒子の間に粒径の小さなジルコニア粒子が入り込み、更にこれらの粒子の隙間にはゲル化剤の硬化物充填されていた。この図5から、成形型110によって未焼成膜191の表面形状が制御できていることがわかる。その後、成形型110を2つに分割してグリーン構造体102の離型作業を行った。図6は、未焼成膜191の表面付近の断面写真(倍率5000倍)である。粒径の大きな粒子がアルミナ粒子、粒径の小さな粒子がジルコニア粒子である。この写真からも、成形型によって未焼成膜191の表面形状が制御できていることがわかる。

0093

次に、工程(d)として、未焼成膜191が形成されたセンサ素子101をセッターに並べ、100℃/hrで所定温度1100℃まで昇温し、その温度で2時間保持したあと室温まで自然冷却した。これにより、未焼成膜191は多孔質保護膜91になった。多孔質保護膜91は前後方向の長さが12mm、厚みが450μmであった。

0094

[比較例1]
最初に、ディップ用のスラリーを作成した。このスラリーは焼成後に多孔質保護膜となるものである。まず、アルミナ粉末(平均粒径2μm、純度99.9%)44質量部とジルコニア(平均粒径0.3μm、純度90%)49質量部との混合粉末に、焼結助剤(ガラス層を形成する成分)として酸化珪素を7質量部添加した。これらに、有機溶媒としてキシレン/ブタノール混合液を24質量部、分散剤としてポリカルボン酸系重合体を4質量部添加した。更に、レオロジーコントロール剤を添加し、せん断速度0.1sec-1の時の粘度が30〜50万cPとなるように調整した。次に、ディップ用のスラリーに実施例1と同様のセンサ素子をディッピングすることにより、センサ素子表面に未焼成膜を形成した。未焼成膜の前後方向(長手方向)の長さは、実施例1と同様、12mmとした。また、センサ素子をスラリーから引き抜くときの引き抜き速度は1mm/secとし、引き抜き方向は鉛直方向とした 次に、未焼成膜を形成したセンサ素子を乾燥炉を用いて80〜90℃で15分×2回乾燥し、未焼成膜を乾燥させた。乾燥時には、センサ素子のうち未焼成膜が形成された部分を鉛直下向きになるようにした。次に、未焼成膜を焼成した。焼成条件は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。このようにして、比較例1のガスセンサを得た。比較例1のガスセンサの多孔質保護膜は、前後方向の長さが12mm、厚みが450μmであった。

0095

[多孔質保護膜の厚みのバラツキ
実施例1のガスセンサ100につき、多孔質保護膜91の厚みのバラツキを調べた。図7はガスセンサ100の説明図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。図7に示すように、センサ素子101の長手方向の両端面(長方形)の互いに向かい合う長辺の中点を結んだ線CLに沿ってガスセンサ100を切断した。図8はその断面図である。切断面において、多孔質保護膜91の長手方向の長さをX(=12mm)とし、多孔質保護膜91の両端からX/12(=1mm)だけ内側に入った位置をそれぞれ基準位置BPとした。そして、2つの基準位置BPを結んだ直線を基準線とし、基準線上で2つの基準位置BPからX/12(=1mm)だけ内側に入った点とその2つの点を結んだ線分を4等分する3つの点の合計5点を測定位置MPとした。ここでは、隣合う測定位置MPの間隔は2mmであった。図9は一つの測定位置MPの周辺の断面拡大図である。図9に示すように、測定位置MPで基準線と直交する垂線を引き、各測定位置MPから多孔質保護膜91の表面までの垂線の長さをΔdとした。各測定位置MPにおける長さΔdの値を表1に示す。表1では、前端側(図8で左側)の基準位置BPを原点とし、そこから後端に向かって2mmおきに並んだ5つの測定位置MPをその順にMP1,MP2,……,MP5と表記した。比較例1のガスセンサについても、同様にして多孔質保護膜のバラツキを調べた。その結果を表1に併せて示した。表1から明らかなように、実施例1では各測定位置MP(MP1〜MP5)の長さΔdは2〜15μmであり、多孔質保護膜の厚みのバラツキは非常に小さかった。これに対して、比較例1では長さΔdは100〜275μmであり、多孔質保護膜の厚みのバラツキは大きかった。図10は、実施例1及び比較例1のガスセンサを5本ずつ作製し、それらの長さΔdを測定してグラフ化したものである。図10から明らかなように、実施例1では比較例1に比べて長さΔd(つまり多孔質保護膜の厚みのバラツキ、図10菱形マーク)が小さく、しかもガスセンサの個体間のバラツキ(図10で上下に延びる線分の長さ)も小さかった。

0096

実施例

0097

[多孔質保護膜の気孔率]
実施例1のガスセンサ100を別途作製し、多孔質保護膜91の最表面と断面を機械研磨したサンプルを作製し、SEM観察を実施し、気孔率を測定した。気孔率の測定には、倍率1万倍の画像を利用した。その結果から、最表面部分の気孔率は断面内部に比べて気孔率が高いことが確認された。また、断面内部(厚み方向100〜400μmまで100μmピッチで評価)の気孔率は概ね同じとなっていた。

0098

1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5スペーサ層、6 第2固体電解質層、10ガス導入口、11 第1拡散律速部、12緩衝空間、13 第2拡散律速部、20 第1内部空所、21主ポンプセル、22内側ポンプ電極、22a天井電極部、22b底部電極部、23外側ポンプ電極、25可変電源、30 第3拡散律速部、40 第2内部空所、41測定用ポンプセル、42基準電極、43基準ガス導入空間、44測定電極、45 第4拡散律速部、46 可変電源、48大気導入層、50補助ポンプセル、51補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、52 可変電源、60 第4拡散律速部、61 第3内部空所、70ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72 ヒータ、73スルーホール、74ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、76,76a〜76cヒータ用リード線、80主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83センサセル、91,91a〜91e多孔質保護膜、100ガスセンサ、101センサ素子、102グリーン構造体、110成形型、110a,110b半割体、112矩形凹部、191未焼成膜、Sスラリー。

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