図面 (/)

技術 糸監視装置及び糸巻取機

出願人 村田機械株式会社
発明者 川畑智史
出願日 2014年9月26日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-195963
公開日 2016年4月28日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-064916
状態 特許登録済
技術分野 パッケージ・線条体の安全装置
主要キーワード ゼロ点設定 検出判定閾値 分断状態 ゼロ点補正 ゼロ点調整 上流側ガイド 投光量 複数回取得
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

環境の変化(温度ドリフト等)の影響を軽減して糸の状態を正確に検出可能な糸監視装置を提供する。

解決手段

糸監視装置15は、センサユニット35と、ゼロ点測定部55と、評価用ゼロ点設定部58と、糸状態評価部53と、を備える。センサユニット35は、検出領域36の糸10の有無又は糸10の状態に応じた検出値を出力する。ゼロ点測定部55は、糸10が検出領域に存在しない状態での前記検出値を取得する。評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が導入される前にゼロ点測定部55が検出値の取得を繰り返すことにより得られた複数の検出値の少なくとも何れかに基づいて、糸10の状態を評価する際に用いるゼロ点である評価用ゼロ点を設定する。糸状態評価部53は、評価用ゼロ点設定部58が設定した評価用ゼロ点に基づいて、糸10の状態を評価する。

概要

背景

従来から、紡績機自動ワインダなど、糸をボビンに巻き取るように構成された糸巻取機が知られている。この種の糸巻取機は、糸監視装置ヤーンクリアラ)を備えている。光学式の糸監視装置は、走行する糸に光を照射するとともに、糸を透過した透過光又は糸で反射した反射光を測定することで、糸の状態をリアルタイム監視し、糸欠陥(糸の品質に異常がある箇所)を検出する。特許文献1から3までは、光学式の糸監視装置を開示する。

概要

環境の変化(温度ドリフト等)の影響を軽減して糸の状態を正確に検出可能な糸監視装置を提供する。糸監視装置15は、センサユニット35と、ゼロ点測定部55と、評価用ゼロ点設定部58と、糸状態評価部53と、を備える。センサユニット35は、検出領域36の糸10の有無又は糸10の状態に応じた検出値を出力する。ゼロ点測定部55は、糸10が検出領域に存在しない状態での前記検出値を取得する。評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が導入される前にゼロ点測定部55が検出値の取得を繰り返すことにより得られた複数の検出値の少なくとも何れかに基づいて、糸10の状態を評価する際に用いるゼロ点である評価用ゼロ点を設定する。糸状態評価部53は、評価用ゼロ点設定部58が設定した評価用ゼロ点に基づいて、糸10の状態を評価する。

目的

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、環境の変化の影響を軽減して糸の状態を正確に検出可能な糸監視装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

検出領域の糸の有無又は糸の状態に応じた検出値を出力する検出部と、糸が前記検出領域に存在しない状態での前記検出値を取得するゼロ点測定部と、糸の状態を評価する際に用いるゼロ点である評価用ゼロ点を設定する評価用ゼロ点設定部と、前記評価用ゼロ点設定部が設定した評価用ゼロ点と前記検出部が出力した前記検出値とに基づいて、糸の状態を評価する糸状態評価部と、を備え、前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が導入されるまでに前記ゼロ点測定部が前記検出値の取得を繰り返すことにより取得した複数の前記検出値の少なくとも何れかに基づいて、又は、前記検出領域に糸が導入される時期を外部から取得して当該時期に基づいて決定されたタイミングで前記ゼロ点測定部が取得した1若しくは複数の前記検出値に基づいて、前記評価用ゼロ点を設定することを特徴とする糸監視装置

請求項2

請求項1に記載の糸監視装置であって、前記検出領域に糸が位置しているか否かを判定する糸有無判定部を備え、前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が位置したと前記糸有無判定部が判定する前に前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値に基づいて前記評価用ゼロ点を設定することを特徴とする糸監視装置。

請求項3

請求項2に記載の糸監視装置であって、前記検出部は、糸が走行する空間に光を投光する投光部と、前記投光部が投光した光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光部と、を備えるとともに、前記検出領域に糸が存在しない状態での前記検出値が予め定められた値になるように前記投光部の投光量を調整するゼロ点調整処理を行うゼロ点調整部を備えることを特徴とする糸監視装置。

請求項4

請求項3に記載の糸監視装置であって、糸が前記検出領域に存在しない状態での前記検出値に対する所定範囲を示す第1閾値と、前記検出領域に糸が位置しているか否かを判定するための閾値であって前記所定範囲外の値である第2閾値と、を記憶する記憶部を備え、前記ゼロ点測定部が、前記第1閾値を越える前記検出値を取得した直後に、前記第1閾値と前記第2閾値の間の前記検出値を1回以上の所定回数取得した場合、前記ゼロ点調整部は前記ゼロ点調整処理を行うことを特徴とする糸監視装置。

請求項5

請求項4に記載の糸監視装置であって、前記ゼロ点測定部が、前記第1閾値を越える前記検出値を取得した直後に、前記第2閾値を越える前記検出値を取得した場合、前記糸有無判定部は、前記検出領域に糸が位置していると判定することを特徴とする糸監視装置。

請求項6

請求項4又は5に記載の糸監視装置であって、前記記憶部には、前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値が記憶され、前記評価用ゼロ点設定部は、前記記憶部に記憶された前記検出値に基づいて前記評価用ゼロ点を設定し、前記検出値が前記所定範囲外の値である場合、前記記憶部への記憶が停止されることを特徴とする糸監視装置。

請求項7

請求項2から6までの何れか一項に記載の糸監視装置であって、前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が位置していると前記糸有無判定部が判定した場合、当該判定時から所定の回数だけ前の前記検出値の取得タイミング以前に得られた前記検出値に基づいて、前記評価用ゼロ点を設定することを特徴とする糸監視装置。

請求項8

請求項2から7までの何れか一項に記載の糸監視装置であって、前記評価用ゼロ点設定部は、前記ゼロ点測定部が取得した複数の前記検出値の平均値を前記評価用ゼロ点として設定することを特徴とする糸監視装置。

請求項9

請求項1から8までの何れか一項に記載の糸監視装置であって、前記検出領域に糸が静止している状態での経過時間をカウントするカウント部を備え、前記カウント部のカウントが所定時間を超えた場合に、当該糸監視装置が備える切断装置又は外部の切断装置によって糸を切断することを特徴とする糸監視装置。

請求項10

請求項1から9までの何れか一項に記載の糸監視装置と、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取部と、糸継ぎを行う糸継装置と、前記糸継装置に糸を案内する糸捕捉案内装置と、を備え、前記ゼロ点測定部は、前記糸捕捉案内装置が糸を前記糸継装置に案内するタイミングに基づいて決定されたタイミングで前記検出値を取得し、前記評価用ゼロ点設定部は、前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値を前記評価用ゼロ点として設定することを特徴とする糸巻取機。

技術分野

0001

本発明は、主として、走行する糸を監視する糸監視装置に関する。

背景技術

0002

従来から、紡績機自動ワインダなど、糸をボビンに巻き取るように構成された糸巻取機が知られている。この種の糸巻取機は、糸監視装置(ヤーンクリアラ)を備えている。光学式の糸監視装置は、走行する糸に光を照射するとともに、糸を透過した透過光又は糸で反射した反射光を測定することで、糸の状態をリアルタイムに監視し、糸欠陥(糸の品質に異常がある箇所)を検出する。特許文献1から3までは、光学式の糸監視装置を開示する。

先行技術

0003

特開2013−204190号公報
特許第3707413号公報
特開2013−203527号公報

発明が解決しようとする課題

0004

糸監視装置の投光部から照射される光の量(投光量)は、温度ドリフトにより変化することがある。特に糸監視装置の電源投入直後の一定の間は、糸の導入前の数秒の間に投光部の温度が大きく上昇し、投光量が低下することがある。この結果、糸監視装置のゼロ点を設定してから数秒経過した後に糸監視装置に糸が導入された場合、糸監視装置が正確に糸の状態を検出することができなかった。また、投光部の熱だけでなく、例えば湿度等によって糸監視装置の特性が変化することもある。静電容量式の糸監視装置の場合、湿度が糸監視装置の特性に影響する。

0005

ここで、特許文献1から3では、糸監視装置のゼロ点を調整することについて記載されているが、温度ドリフトを考慮してゼロ点を調整する技術については記載されていない。

0006

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、環境の変化の影響を軽減して糸の状態を正確に検出可能な糸監視装置を提供することにある。

課題を解決するための手段及び効果

0007

本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。

0008

本発明の第1の観点によれば、以下の構成の糸監視装置が提供される。即ち、この糸監視装置は、検出部と、ゼロ点測定部と、評価用ゼロ点設定部と、糸状態評価部と、を備える。前記検出部は、検出領域の糸の有無又は糸の状態に応じた前記検出値を出力する。前記ゼロ点測定部は、糸が前記検出領域に存在しない状態での前記検出値を取得する。前記評価用ゼロ点設定部は、糸の状態を評価する際に用いるゼロ点である評価用ゼロ点を設定する。前記糸状態評価部は、前記評価用ゼロ点設定部が設定した評価用ゼロ点と前記検出部が出力した前記検出値とに基づいて、糸の状態を評価する。前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が導入されるまでに前記ゼロ点測定部が前記検出値の取得を繰り返すことにより取得した複数の前記検出値の少なくとも何れかに基づいて、又は、前記検出領域に糸が導入される時期を外部から取得して当該時期に基づいて決定されたタイミングで前記ゼロ点測定部が取得した1若しくは複数の前記検出値に基づいて、前記評価用ゼロ点を設定する。

0009

これにより、検出部が出力する検出値を継続的かつ反復的に取得することで、例えば検出領域に糸が導入される直前に検出部が出力した検出値を得ることができる。また、検出領域に糸が導入される時期を外部から取得して、その時期に基づく適宜なタイミングで検出値を取得することによっても、同様に、検出領域に糸が導入される直前に検出部が出力した検出値を得ることができる。そのため、これらのタイミングで取得した検出値を用いて評価用ゼロ点を定めることで、環境の変化(温度ドリフト、湿度の変化、汚れの付着等)の影響が軽減される。従って、糸の状態を正確に評価することができる。

0010

前記の糸監視装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸監視装置は、前記検出領域に糸が位置しているか否かを判定する糸有無判定部を備える。前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が位置したと前記糸有無判定部が判定する前に前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値に基づいて前記評価用ゼロ点を設定する。

0011

即ち、検出領域に糸が位置した後に検出値を取得してもゼロ点として利用できないため、この検出値を用いないようにすることで、適切な評価用ゼロ点を設定することができる。

0012

前記の糸監視装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記検出部は、糸が走行する空間に光を投光する投光部と、前記投光部が投光した光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光部と、を備える。また、糸監視装置は、前記検出領域に糸が存在しない状態での前記検出値が予め定められた値になるように前記投光部の投光量を調整するゼロ点調整処理を行うゼロ点調整部を備える。

0013

即ち、環境の変化によって、投光部の投光量や受光部の受光量は変動する可能性がある。従って、ゼロ点調整処理を行うことで、環境の変化に合わせてゼロ点を調整し、糸の状態の評価精度を安定させることができる。

0014

前記の糸監視装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸監視装置は、糸が前記検出領域に存在しない状態での前記検出値に対する所定範囲を示す第1閾値と、前記検出領域に糸が位置しているか否かを判定するための閾値であって前記所定範囲外の値である第2閾値と、を記憶する記憶部を備える。前記ゼロ点測定部が、前記第1閾値を越える前記検出値を取得した直後に、前記第1閾値と前記第2閾値の間の前記検出値を1回以上の所定回数取得した場合、前記ゼロ点調整部は前記ゼロ点調整処理を行う。前記第1閾値は、前記所定範囲の境界値である。

0015

即ち、糸が検出領域に入るとき、検出部が出力する検出値は通常は大きく変動するが、その変動の初期をゼロ点測定部が検出値として取得する場合がある。一方で、温度ドリフトの影響が許容できない程大きい場合は、ゼロ点調整処理を行い、環境の変化に適応させることが好ましい。この点、上記の構成によれば、前記ゼロ点測定部が検出値を複数回取得する過程で、第1閾値を越える前記検出値が得られ、その後に第1閾値と第2閾値の間の検出値が得られた場合は、温度ドリフトの影響により検出値が上昇した状況であると考えられるので、ゼロ点調整処理が行われる。こうすることで、必要な場合にだけゼロ点調整処理が行われるので、効率を低下させずに温度ドリフトの影響を的確に除去し、糸状態評価部による糸の状態の評価を精度良く行える状態に復帰させることができる。

0016

前記の糸監視装置においては、前記ゼロ点測定部が、前記第1閾値を越える前記検出値を取得した直後に、前記第2閾値を越える前記検出値を取得した場合、前記糸有無判定部は、前記検出領域に糸が位置していると判定することが好ましい。

0017

これにより、温度ドリフト等による影響で検出値が第1閾値を越えた場合と明確に区別しつつ、糸が検出領域に入ったか否かを簡単な処理で判定することができる。

0018

前記の糸監視装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記記憶部には、前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値が記憶される。前記評価用ゼロ点設定部は、前記記憶部に記憶された前記検出値に基づいて前記評価用ゼロ点を設定する。前記検出値が前記所定範囲外の値である場合、前記記憶部への記憶が停止される。

0019

即ち、通常とるべき正常な範囲を外れた値が検出値として取得された場合に、当該検出値を評価用ゼロ点の根拠に用いることは適切でない。この点、上記の構成によれば、所定範囲外の検出値が記憶部に記憶されることを防止することで、正常な範囲を外れた検出値が評価用ゼロ点のために用いられることを確実に防止できる。

0020

前記の糸監視装置においては、前記評価用ゼロ点設定部は、前記検出領域に糸が位置していると前記糸有無判定部が判定した場合、当該判定時から所定の回数だけ前の前記検出値の取得タイミング以前に得られた前記検出値に基づいて、前記評価用ゼロ点を設定することが好ましい。

0021

即ち、糸が検出領域に導入される過程において、検出部が出力する検出値が不安定な挙動を示すことがある。この点、上記の構成によれば、検出領域に糸があると判定された時点から所定の回数だけ遡った時点以前での検出値を採用することで、上記の影響を除去した適切な検出値を用いて評価用ゼロ点を設定することができる。

0022

前記の糸監視装置においては、前記評価用ゼロ点設定部は、前記ゼロ点測定部が取得した複数の前記検出値の平均値を前記評価用ゼロ点として設定することが好ましい。

0023

これにより、各種ノイズによる個々の検出値の変動が評価用ゼロ点に過剰に反映されることを防止して、評価用ゼロ点を適切に定めることができる。

0024

前記の糸監視装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸監視装置は、前記検出領域に糸が静止している状態での経過時間をカウントするカウント部を備える。前記糸監視装置は、前記カウント部のカウントが所定時間を超えた場合に、当該糸監視装置が備える切断装置又は外部の切断装置によって糸を切断する。

0025

即ち、例えば手動玉揚作業を行う場合等、検出領域に糸が存在したまま走行せず長時間が経過することがあり、この場合、温度ドリフト等の影響が問題になる。一方で、古い評価用ゼロ点の設定値破棄して評価用ゼロ点を再設定しようとしても、検出領域に既に糸があるため、糸がない状態での検出値をゼロ点測定部が取得することができない。この点、上記のように糸を強制的に切断することで、検出領域に糸が存在しない状態での検出値を再取得して、評価用ゼロ点を設定し直すことができる。

0026

本発明の第2の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、前記の糸監視装置と、巻取部と、糸継装置と、糸捕捉案内装置と、を備える。前記巻取部は、糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸継装置は、糸継ぎを行う。前記糸捕捉案内装置は、前記糸継装置に糸を案内する。前記ゼロ点測定部は、前記糸捕捉案内装置が糸を前記糸継装置に案内するタイミングに基づいて決定されたタイミングで前記検出値を取得する。前記評価用ゼロ点設定部は、前記ゼロ点測定部が取得した前記検出値を前記評価用ゼロ点として設定する。

0027

即ち、糸が分断された状態では、糸監視装置の検出領域に糸は存在しないが、糸継装置によって糸継ぎが行われると、検出領域に糸が導入されることになる。従って、糸捕捉案内装置が糸を糸継装置に案内するタイミングに基づいて決定されたタイミングで検出値を取得することで、糸が検出領域に導入される直前における検出値を合理的に得ることができる。また、検出値の取得回数を少なくすることができる。

図面の簡単な説明

0028

本発明の一実施形態に係る糸巻取ユニットの概略を示す側面図。
第1糸捕捉装置及び第2糸捕捉装置が糸端捕捉している様子を示す糸巻取ユニットの側面図。
第1糸捕捉装置及び第2糸捕捉装置が糸端を糸継装置へ案内している様子を示す糸巻取ユニットの側面図。
糸監視装置の電気的構成を示すブロック図。
検出値に対する温度ドリフトの影響を説明するグラフ
検出値が温度ドリフトの影響で大きく増加した場合の処理を説明するグラフ。
糸が検出領域に導入される場合の検出値の推移の例を示すグラフ。
糸が検出領域に導入される場合の検出値の推移の他の例を示すグラフ。
監視制御部によって行われる処理を示すフローチャート
糸が検出領域に導入されてから長時間放置された場合の処理を説明するグラフ。

実施例

0029

次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る糸巻取機が備える糸巻取ユニット1の概略的な側面図である。

0030

本実施形態の糸巻取機は、複数の糸巻取ユニット1を並べて配置した構成となっている。この糸巻取機は、糸巻取ユニット1を集中的に管理する機台管理装置(図略)を備える。

0031

図1に示す糸巻取ユニット1は、図略の給糸部から供給される糸10を巻取ボビン21上に巻き取ってパッケージ20を形成するように構成されている。図1に示すように糸巻取機が自動ワインダであるときは、給糸ボビンを支持する機構が給糸部に該当する。

0032

各糸巻取ユニット1は、ユニット制御部30を備えている。このユニット制御部30は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアと、ROM及び/又はRAMに記憶された制御プログラム等のソフトウェアと、から構成されている。そして、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、ユニット制御部30が糸巻取ユニット1の各構成を制御する。また、各糸巻取ユニット1のユニット制御部30は、機台管理装置と通信可能に構成されている。これにより、各糸巻取ユニット1の動作を、機台管理装置において集中的に管理することが可能となっている。

0033

糸巻取ユニット1は、上流側から順に、上流側ガイド11と、第1糸捕捉装置(糸捕捉案内装置)12と、第2糸捕捉装置(糸捕捉案内装置)13と、糸継装置14と、糸監視装置15と、下流側ガイド17と、巻取部18と、を備えている。

0034

上流側ガイド11は、給糸部のやや上流側に配置されている。上流側ガイド11は、給糸部側から送られてくる糸10をガイドする。

0035

第1糸捕捉装置12は、ユニット制御部30が図略のモータを駆動することで、図1から図3に示すように回動可能に構成されている。第1糸捕捉装置12は図略の負圧源に接続されており、第1糸捕捉装置12の先端側(回動中心の反対側)に吸引流を発生させることができる。

0036

第2糸捕捉装置13は、ユニット制御部30が図略のモータを駆動することで、第1糸捕捉装置12と同様に回動可能に構成されている。第2糸捕捉装置13は図略の負圧源に接続されており、第2糸捕捉装置13の先端側(回動中心の反対側)に吸引流を発生させることができる。

0037

給糸部側と巻取部18側との間の糸10が何らかの理由により分断状態となったときは、図2に示すように、第1糸捕捉装置12は、給糸部側へ回動して当該給糸部側の糸端を吸引して捕捉する。一方、第2糸捕捉装置13は、巻取部18側へ回動してパッケージ20の糸端を吸引して捕捉する。

0038

その後、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13は、糸端を吸引した状態のまま待機位置に戻るように回動する。これにより、図3に示すように給糸部側の糸端と、巻取部18側の糸端と、が糸継装置14へ案内される。

0039

糸継装置14は、給糸部側の糸端と、巻取部18側の糸端と、に旋回空気流を作用させることで、2つの糸端を撚り合わせて接続する空気式スプライサ装置として構成されている。ただし糸継装置14はこれに限らず、例えば機械式ノッタ装置であっても良い。

0040

なお、糸継ぎの一連の工程において、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13を回動させるタイミングは、ユニット制御部30によって制御されている。ユニット制御部30は、例えば糸切れが発生してから所定時間後に第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13を駆動する。

0041

糸監視装置15は、走行する糸10の状態(太さ、色糸ポリプロピレン等の異物混入等)を監視し、糸10に含まれる糸欠陥(糸10に異常がある箇所)を検出する。また、糸監視装置15には、当該糸監視装置15が糸欠陥を検出した場合に糸10を切断するためのカッタ(切断装置)16が内蔵されている。なお、糸監視装置15の詳細な構成については後述する。

0042

下流側ガイド17は、糸監視装置15のやや下流側に配置されている。この下流側ガイド17は、巻取部18へ送られる糸10をガイドする。

0043

巻取部18は、図略のパッケージ支持部と、巻取ドラム19と、を備える。巻取ドラム19は、巻取ボビン21又はパッケージ20の外周面に接触した状態で駆動される。巻取部18は、巻取ドラム19を図略のモータによって駆動することで、巻取ドラム19に接触するパッケージ20を回転させながら糸10をトラバースしつつ巻き取ることでパッケージ20を形成する。巻取ドラム19にはトラバースするための溝が形成されている。

0044

なお、トラバースを行う方法は任意であり、トラバース装置が糸巻取ユニット1毎に個別に設けられる構成であっても良いし、複数の糸巻取ユニット1の糸10を1つのトラバース装置がトラバースする構成であっても良い。また、巻取部18の構成は上述した構成に限定されない。例えば、溝付きの巻取ドラム19に替えて、溝なしの接触ローラと、当該接触ローラから独立したアーム式のトラバース装置とを備える構成でも良い。この構成では、巻取ボビン21(パッケージ20)をモータによって直接駆動する。そして、巻取ボビン21(パッケージ20)を接触ローラに接触させた状態で、アーム式のトラバース装置で糸10をトラバースしつつ巻き取ることでパッケージ20を形成する。

0045

巻取ボビン21に所定長さの糸10が巻き取られ、パッケージ20が満巻となると、糸10が自動的に糸監視装置15のカッタ16又はその他の切断手段で切断され、巻取部18の巻取りが停止する。その後、当該パッケージ20は自動玉揚装置又はオペレータ手作業によりパッケージ支持部から取り外され、代わりに空の巻取ボビン21がパッケージ支持部に装着されて、巻取りが再開される。自動玉揚装置は、例えば玉揚要求信号発信した糸巻取ユニット1へと移動してパッケージ20を回収する。その後、自動玉揚装置は、パッケージ支持部に新たな巻取ボビン21を装着して所定の糸掛け作業を行う。

0046

次に、図4を参照して、糸監視装置15の詳細、特に電気的構成について説明する。図4は、糸監視装置15の電気的構成を示すブロック図である。

0047

図4に示すように、糸監視装置15は、光学式のセンサユニット(検出部)35と、糸監視制御部50と、を備える。

0048

センサユニット35は、糸10の状態を測定することができる。このセンサユニット35は、駆動回路40と、投光部41と、受光部42と、増幅器43と、ハイパスフィルタ44と、増幅回路45と、表示ランプ表示器)46と、を備える。また、このセンサユニット35のハウジングには、前記カッタ16が取り付けられている。

0049

投光部41は、発光ダイオードLED)で構成される発光素子を備える。投光部41は、駆動回路40から入力された駆動電圧に応じた光量で、糸10が走行する空間(図4スリット状の凹部)に対して光を照射する。駆動回路40が発生する駆動電圧は、糸監視制御部50が備えるDAコンバータ52から入力される電気信号に基づいて決定される。

0050

受光部42は、糸道を挟んで投光部41の反対側に配置されている。受光部42は、フォトダイオード等で構成される受光素子を備える。受光部42は、投光部41から糸10へ照射された光の透過光を受光して、受光量に応じた電気信号(電圧)を出力する。この電気信号は、検出領域36に存在する糸10の形状(断面形状)に応じて変化する。ここでいう透過光とは、投光部41から出射された光が糸10の存在によって一部遮断されながら受光部42に到達した光である。換言すれば、透過光は、糸10を通り過ぎた光である。検出領域36は、スリット状の凹部のうちの、投光部41からの光が当たる領域であって、受光部42の受光量に応じて糸10を検出可能な領域である。

0051

受光部42が出力する電気信号は、増幅器43で増幅された後に、ハイパスフィルタ44で所定の高周波数の信号が抽出され、再び増幅回路45で増幅される。増幅器43では反転処理が行われ、受光部42の受光量が大きいほど増幅器43の出力する電気信号が小さくなるようになっている。増幅器43及び増幅回路45によって増幅された電気信号は、センサユニット35から検出値として出力され、糸監視制御部50のADコンバータ51によってデジタル信号へ変換される。

0052

表示ランプ46は、例えばセンサユニット35のハウジングに固定されており、点灯及び消灯することで、糸監視装置15の動作状態をオペレータに示すことができる。本実施形態において、表示ランプ46はいわゆる2色LEDとして構成されており、例えば緑色及び赤色で光ることができる。この表示ランプ46の点灯状態は、糸監視制御部50によって制御される。

0053

カッタ16は、センサユニット35のハウジングに形成された検出領域36の近傍に配置されている。また、カッタ16は、例えばソレノイドにより駆動される図示しない切断刃を備えている。カッタ16は糸監視制御部50に電気的に接続されており、糸監視制御部50が出力する切断信号に基づいて、糸10を切断できるように構成されている。

0054

また、糸監視制御部50は、検出領域36に糸10が存在しない時にセンサユニット35が出力する検出値である基準値(後述の評価用ゼロ点)を、後述する記憶部57に記憶している。糸監視制御部50が備える糸状態評価部53は、この評価用ゼロ点と、検出領域36に糸10が存在するときにセンサユニット35が時々刻々と出力する検出値とを比較することで、糸10の状態を評価(測定)する。

0055

次に、糸監視装置15が行うゼロ点調整処理、ゼロ点測定処理及びゼロ点補正について説明する。糸監視制御部50は、これらの処理を行う構成として、ゼロ点調整部54と、ゼロ点測定部55と、糸有無判定部56と、評価用ゼロ点設定部58と、記憶部57と、を備える。具体的には、糸監視制御部50は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成されており、ROM及び/又はRAMには、制御プログラム等のソフトウェアが記憶されている。そして、上記のハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、糸監視制御部50を、ゼロ点調整部54、ゼロ点測定部55、糸有無判定部56、及び評価用ゼロ点設定部58等として動作させることができる。

0056

ゼロ点調整部54は、ゼロ点調整処理を行う。ゼロ点調整処理とは、糸監視装置15の検出領域36に糸10が配置されていない状態において、センサユニット35が出力する検出値(具体的には、出力電圧)が所定の調整用基準値になるように、当該センサユニット35において投光部41に印加される駆動電圧を調整する処理である。

0057

ゼロ点測定部55は、ゼロ点測定処理を行う。ゼロ点測定処理とは、糸監視装置15の検出領域36に糸10が配置されていない状態において、ゼロ点調整処理によって調整された電圧が投光部41に印加されるようにセンサユニット35を制御し、実際にセンサユニット35が出力する検出値を取得する処理である。これにより得られた検出値(具体的には、センサユニット35の出力電圧)は、前記ゼロ点調整処理における調整用基準値とほぼ同様の値になるはずであるが、例えば環境の変化(温度ドリフト等)の影響で、乖離した値になることもある。ゼロ点測定部55が取得した検出値については、所定の条件を満たすか否か(具体的には、後述の正常範囲閾値未満であるか否か)が判定され、当該条件を満たす検出値は後述の記憶部57に記憶される。

0058

糸有無判定部56は、糸監視装置15の検出領域36(特には、糸道)に糸10が存在するか否かを、ゼロ点測定部55が取得した検出値に基づいて判定する。具体的には、糸有無判定部56は、センサユニット35の出力電圧が所定の閾値(糸有無判定閾値)以上であれば糸10が存在する(糸有り)と判定し、そうでなければ糸10が存在しない(糸なし)と判定する。なお、検出領域36内の糸道は、糸10が走行する位置であって、上下一対の図略の糸道ガイド規制される位置(平面視で一点の位置)と表現することができる。

0059

記憶部57は、内容を更新可能な記憶領域を有しており、例えば、書換可能な揮発性又は不揮発性メモリ(例えばRAMやEEPROM)等により実現される。この記憶部57は、糸監視装置15を制御するための各種のパラメータ等を記憶することができる。

0060

具体的には、記憶部57は、ゼロ点測定部55により得られた測定値を複数記憶しておくことができる。即ち、ゼロ点測定部55は、上記のゼロ点測定処理を1回だけ実施するのではなく、糸10が糸監視装置15の検出領域36に入るまでの間に所定の時間間隔ごとにゼロ点測定を複数回繰り返して実施し、検出値をその都度取得する。記憶部57は、所定回数分の検出値のデータを時系列順に記憶することができる。

0061

また、記憶部57は、糸監視装置15の検出領域36に糸10が存在しない場合に検出値が通常とるべき範囲(所定範囲)の境界を規定するための正常範囲閾値(第1閾値)を記憶することができる。ゼロ点測定部55による検出値が正常範囲閾値で定められる範囲を外れた場合、異常な検出値とみなされ、当該検出値は記憶部57に記憶されない。

0062

なお、詳細は後述するが、評価用ゼロ点は記憶部57に記憶された検出値に基づいて定められる。従って、ゼロ点測定部55が得た検出値が正常範囲閾値以上であった場合、そのイレギュラーな検出値は記憶部57に記憶されないのであるから、評価用ゼロ点設定部58による評価用ゼロ点の決定の際に用いられることもない。

0063

更に、記憶部57は、糸有無判定部56が糸10の有無を判定する境界として用いられる閾値である前述の糸有無判定閾値(第2閾値)を記憶することができる。この糸有無判定閾値としては、正常範囲閾値よりも大きな値(糸が存在する状態に近い側の値)が設定される。なお、本実施形態では、前述したように、受光部42の受光量が大きいときに検出値が小さくなるように増幅器43で反転処理を行うが、この反転処理を行わなくても良い。反転処理を行わない場合、検出値の大小関係が逆となる。すなわち、糸有無判定閾値として正常範囲閾値よりも小さな値(糸が存在する状態に近い側の値)が設定される。反転処理の有無に関わらず、糸有無判定閾値は正常範囲外の値である。

0064

また、記憶部57は、後述の評価用ゼロ点設定部58によって決定された評価用ゼロ点の設定値を記憶することもできる。前記糸状態評価部53は、この評価用ゼロ点を基準として用いて、糸10の状態を評価する。具体的にいえば、評価用ゼロ点として設定された電圧と、糸10が糸監視装置15の検出領域36に入った状態でセンサユニット35から得られた電圧と、の差の平均値が、糸10の監視(例えば、糸10の平均太さの算出)のために用いられる。

0065

評価用ゼロ点設定部58は、ゼロ点測定部55により得られて記憶部57に記憶された検出値のうち所定の条件を満たす検出値に基づいて評価用ゼロ点の値を決定(算出)し、その結果を新しい設定値として記憶部57に記憶する。従って、前述の「ゼロ点補正」とは、本実施形態では、新しい評価用ゼロ点の設定値を記憶部57に記憶し直すことを意味する。換言すれば、ゼロ点補正とは、投光部41に印加する駆動電圧を調整してゼロ点を変更するのではなく、演算上でゼロ点を変更する処理である。

0066

静止時間カウント部59は、糸有無判定部56が糸有りと判定してから、糸10が走行を開始せずに静止している時間をカウントする。このカウント値は、後述する糸10の強制切断を行うか否かを判定するために用いられる。

0067

次に、本実施形態における評価用ゼロ点の決定について説明する。

0068

上述したように、例えば周囲の環境(温度、湿度等)の変化や、汚れの付着等、様々な原因で、投光部41の投光量や受光部42の受光量が変動する可能性がある。これに対し、従来は、投光部41の駆動電圧を調整するゼロ点調整処理をした上で、その直後に測定したゼロ点を基準として糸を監視することとしていた。

0069

しかしながら、本実施形態において、投光部41はLEDから構成されている。従って、例えば糸監視装置15に電源投入された直後の場合、ゼロ点調整を行った直後にゼロ点を測定しても、当該ゼロ点の測定後に投光部41の温度が徐々に上昇すること(温度ドリフト)によって、投光部41から照射される光の量(投光量)が変化してしまうことがある。

0070

投光部41の投光量の変化は、糸10の状態の評価等に影響を与える。図5のグラフには、温度ドリフトがない理想的な場合(破線)と、温度ドリフトがある場合(実線)と、のそれぞれの場合における検出値の変化が示されている。温度ドリフトがない場合は、ゼロ点調整処理後、糸10が糸監視装置15の検出領域36に導入されるまで、得られる検出値は一定である。一方、温度ドリフトが生じる場合は、ゼロ点調整処理の直後から検出値が徐々に増大する。

0071

これに関し、従来は、検出領域36に導入された糸10を、ゼロ点調整処理の直後の検出値を基準として評価していた。温度ドリフトがなければそれでも問題はないが、実際には、特に電源投入直後は温度ドリフトが発生し易い。そのため、従来の手法では、糸10の太さの平均値が、温度ドリフト分の誤差を含んだものになる場合がある。

0072

一方で、本実施形態では、ゼロ点調整処理の直後ではなく、糸10を検出領域36に導入する直前のタイミングにおいて取得した検出値を評価用ゼロ点として利用し、これを基準として糸10を評価することができる。従って、温度ドリフト等の影響を取り除いた正確な糸評価が可能になる。

0073

続いて、様々な場合において本実施形態の糸監視制御部50が評価用ゼロ点を決定する方法を、図6から図8のグラフを参照して説明する。

0074

上述したとおり、ゼロ点測定部55は、ゼロ点調整部54がゼロ点調整を行った後、検出領域36への糸10の導入が検出されるまで、適宜の時間間隔で検出値を反復して取得している。図6のグラフには、横軸を時間、縦軸を検出値として、t1〜t15までのタイミングでそれぞれ取得された検出値(ゼロ点データ)が示されている。また、図6のグラフには、正常範囲閾値と、糸有無判定閾値と、が併せて示されている。

0075

ゼロ点測定部55は、t1のタイミング、t2のタイミング、・・・と検出値の取得を繰り返す。図6に示される例では、検出値の取得を重ねるにつれて、温度ドリフトの影響により、センサユニット35が出力する検出値が大きくなっている。やがて、t14の取得タイミングで検出値が正常範囲閾値を上回り、t15でも同様である。ただし、t14,t15のどちらの取得タイミングでの検出値も、糸有無判定閾値未満である。

0076

糸監視制御部50は、ゼロ点測定部55が取得した検出値が正常範囲閾値以上にならない限り、当該検出値を、後の評価用ゼロ点の計算のために用いる候補として、記憶部57に随時保存していく。従って、t1〜t13のタイミングで取得された検出値は記憶部57に保存される。一方、t14,t15のタイミングで取得された検出値は、正常範囲閾値以上になっているので記憶部57に保存されない。

0077

なお、t14,t15のように検出値が連続的に正常範囲閾値以上になるということは、許容できない程の温度ドリフトの影響が現れているものと考えられる。従って、正常範囲閾値以上かつ糸有無判定閾値未満である検出値(正常範囲閾値と糸有無判定閾値の間の検出値)が2回連続して得られた場合には、糸監視装置制御部50は、ゼロ点調整部54によるゼロ点調整処理を再び行うように制御する。これに伴い、ゼロ点測定処理は、再度のゼロ点調整処理の完了後にやり直されることになる。

0078

次に、図7のように検出値が推移する場合について説明する。図7の例では、t1のタイミングから検出値が増加傾向にあるが、やがて温度ドリフトの影響はほぼ収束し、t11〜t13では検出値が安定している。しかし、t14のタイミングの検出値は正常範囲閾値を上回り、t15では更に糸有無判定閾値を上回っている。

0079

この場合、糸監視装置制御部50は、t1〜t13のタイミングでゼロ点測定部55が取得した検出値は正常範囲閾値未満であるため、当該検出値を記憶部57に保存する。一方で、t14及びt15のタイミングにおける検出値は、正常範囲閾値以上であるので、記憶部57に保存されない。

0080

t15のタイミングで得られた検出値が糸有無判定閾値を上回っているので、糸有無判定部56は、糸10が検出領域36に導入された(糸有り)と判定する。このとき、評価用ゼロ点設定部58は、糸有りと判定された時点から所定回数(本実施形態では、3回)だけ遡った取得タイミング以前の、所定個数最新の検出値を記憶部57から読み出して平均値を計算し、得られた値を評価用ゼロ点として設定する。以上により、ゼロ点補正を行うことができる。

0081

なお、図7の場合も、図6の場合も、t14のタイミングにおいて、検出値が初めて正常範囲閾値を越えた点では共通する。一方で、図7の場合は、次のt15のタイミングでの検出値が糸有無判定閾値を越えているために、糸有りと判定されて評価用ゼロ点が計算されるのに対し、図6の場合は、次のt15のタイミングでの検出値が正常範囲閾値と糸有無判定閾値の間であるために、ゼロ点調整処理からやり直されることになる。このように、本実施形態では、検出値が正常範囲閾値を越えた場合、次回の検出値が糸有無判定閾値を越えた否かに応じて、以後の処理が異なることになる。

0082

以上のように、本実施形態の糸監視装置15では、糸10が検出領域36に導入されたことが糸有無判定部56により判定されるまで、評価用ゼロ点を確定させず、ゼロ点測定部55が新しい検出値(ゼロ点データ)を反復して取得し続ける。これにより、糸10が検出領域36に導入されるタイミングに近い検出値を用いて評価用ゼロ点を定めることができるので、温度ドリフト等の影響を最大限に排除することができる。

0083

なお、評価用ゼロ点の平均を計算するために採用される検出値として、糸有りと判定されたタイミングから所定回数(3回)だけ遡った検出値が選択される理由は、糸10が導入される直前の検出値が糸10の移動の影響で変動する場合が多いためである。例えば図8に示すように、t12のタイミングまでは検出値が安定しているものの、糸10が検出領域36の糸道に移動し終えるまでのt13とt14のタイミングではいったん検出値が下がって、その直後であるt15のタイミングで検出値が急激に増加して糸有無判定閾値を上回る、というような推移をとることがある。なお、この現象の理由は、糸10が検出領域36に導入される過程において、受光部42には、投光部41から直接照射される光に加え、投光部41から照射されて糸10で反射した光も照射されるため、検出値が一度下がってしまうためと考えられる。図8のように検出値が推移する場合、t13とt14のタイミングにおける検出値は記憶部57に記憶されることになるが、当該変動中の検出値を用いて評価用ゼロ点を求めることは適切でない。そこで本実施形態の評価用ゼロ点設定部58は、上記のように、糸有りと判定されてから3個遡った取得タイミングまでの最新の検出値を使って評価用ゼロ点を計算する。これにより、糸10が導入される瞬間に近過ぎるタイミングでの検出値の不安定な挙動が評価用ゼロ点に反映されることを防止することができる。

0084

次に、糸監視制御部50のゼロ点調整部54、ゼロ点測定部55、糸有無判定部56、及び評価用ゼロ点設定部58等が行う具体的な処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。

0085

図9に示すゼロ点調整処理及びゼロ点測定処理等は、糸監視装置15の電源投入時のほか、何らかの事情で糸10が分断されて糸監視装置15の検出領域36から無くなり、糸継装置14による糸継ぎが行われて糸10が検出領域36に再び導入される毎に行われる。なお、糸10が分断される場合とは、糸監視装置15が糸欠陥を発見してカッタ16により糸10を切断した場合、パッケージ20が満巻になってカッタ16等により糸10を切断した場合、及び、糸切れが発生した場合を含む。このようにゼロ点調整処理及びゼロ点測定処理が頻繁に行われることにより、周囲の環境変化や、糸監視装置15の投光部41、受光部42等への汚れの付着等があっても、糸10の監視を安定して行うことが可能になる。

0086

糸監視装置15の検出領域36に糸10が存在しない状態で、図9の処理がスタートすると、最初にゼロ点調整部54によるゼロ点調整処理が行われ、センサユニット35における投光部41の駆動電圧が上述のとおり調整される(ステップS101)。ゼロ点調整処理が完了すると、直ちに、ゼロ点測定部55による検出値の反復的な取得処理(ステップS102〜S106)が開始される。

0087

具体的には、ゼロ点測定部55は、ゼロ点調整処理によって調整された駆動電圧を投光部41に印加するようにセンサユニット35を制御し、実際にセンサユニット35が出力する検出値を取得する(上記のゼロ点測定処理、ステップS102)。その後、糸有無判定部56は、ゼロ点測定部55が取得した検出値が前記の糸有無判定閾値以上になっているか否かを判定する(ステップS103)。検出値が糸有無判定閾値を下回っている場合は、当該検出値が正常範囲閾値以上になっているか否かが判定される(ステップS104)。検出値が正常範囲閾値を下回る場合は、当該検出値を記憶部57に保存した後(S105)、ステップS102に戻り、再びゼロ点測定部55によって検出値の取得を繰り返す。

0088

ステップS104の判断で、検出値が正常範囲閾値以上であった場合は、前回にゼロ点測定部55が取得した検出値も正常範囲閾値以上であったか否かが判定される(ステップS106)。今回の検出値も前回の検出値も正常範囲閾値以上だった場合は、許容できない温度ドリフトが生じているものと考えられるので、ステップS101に戻り、ゼロ点調整部54によるゼロ点調整からやり直す。S106の判断で、今回の検出値は正常範囲閾値以上だったが前回の検出値は正常範囲閾値を下回っていた場合には、記憶部57に検出値を保存する処理(ステップS105)をスキップしてS102に戻り、ゼロ点測定部55が検出値を再び取得することになる。

0089

ステップS103の判断で、検出値が糸有無判定閾値以上であった場合は、評価用ゼロ点設定部58による評価用ゼロ点の設定処理(ステップS107)が行われる。具体的には、評価用ゼロ点設定部58は、記憶部57に時系列順に記憶された複数の検出値のうち、現時点から所定回数だけ遡ったタイミング以前に取得された最新の所定個数の検出値を選択して読み出し、この平均値を計算することで、評価用ゼロ点の新しい値を取得する。そして、得られた評価用ゼロ点の値が、記憶部57に記憶される。

0090

その後、糸10の巻取りが開始され、糸状態評価部53は、新しい評価用ゼロ点の値に基づいて、検出領域36を走行する糸10を評価する(ステップS108)。

0091

以上の処理により、糸監視制御部50の糸状態評価部53は、投光部41の温度ドリフト等の影響を良好に排除して、糸10の状態を正確に評価することができる。

0092

次に、表示ランプ46の制御について説明する。糸監視制御部50は、表示ランプ46を、ステップS101のゼロ点調整処理中は消灯するように、ステップS102のゼロ点測定処理中とステップS108の糸監視中とは緑色で点灯するようにそれぞれ制御する。そして、糸監視装置15に異常が生じた場合には、糸監視制御部50は表示ランプ46が赤色で点灯するように制御する。即ち、本実施形態の糸監視装置15において、表示ランプ46は、ゼロ点調整処理中は消灯、ゼロ点測定処理中は緑色点灯というように、表示状態が異なるように制御される。また、表示ランプ46は、糸10を監視しているときと、ゼロ点測定処理中とで、表示状態が緑色点灯で同一となるように制御される。更に、表示ランプ46は、異常発生時には、ゼロ点調整処理中(消灯)、ゼロ点測定処理中(緑色点灯)、及び糸監視中(緑色点灯)の何れとも異なる表示状態である赤色点灯となるように制御される。以上のような表示ランプ46の制御により、オペレータは、糸監視装置15で行われている処理の状況等を容易に理解することができる。

0093

なお、本実施形態の糸巻取ユニット1では、上述したように、満巻となったパッケージ20を取り外して空の巻取ボビン21を取り付ける玉揚作業は、オペレータの手作業にて行われることがある。この玉揚作業は、図略の給糸部から糸10を引き出して、糸監視装置15の検出領域36に糸10を通過させるとともに、当該糸10の端部を空の巻取ボビン21に固定し、糸巻取ユニット1に巻取開始を指示する操作を行う作業を含む。

0094

ところが、オペレータが玉揚作業を行う際に、糸10の糸監視装置15へのセット及び巻取ボビン21への固定を完了したものの、何らかの事情で糸巻取ユニット1への巻取開始の指示をせずに長時間放置する場合がある。

0095

この場合、糸監視制御部50としては、玉揚作業が行われるのに伴って、糸監視装置15の検出領域36に糸10が導入される直前の検出値を用いて評価用ゼロ点の設定(ゼロ点補正)を行ったにもかかわらず、その後に糸10の監視を実質的に開始できずに長時間が経過してしまう状況になる。放置されていた間に、許容できない程の大きな温度ドリフトが投光部41に発生した可能性もあるため、その後にオペレータにより巻取開始が指示されたとしても、もはや今回設定した評価用ゼロ点をそのまま用いて糸10を評価するのは適切でない。一方で、糸監視装置15の検出領域36に糸10が導入された状態が継続しているため、評価用ゼロ点の古い設定値を破棄して設定をやり直すこともできない。

0096

この課題を解決するため、本実施形態の糸監視装置制御部50は、糸有無判定部56が糸有りと判定してから、センサユニット35から得られる検出値を糸状態評価部53が引き続き監視することにより、糸10が走行を開始したか否かを判定するように構成されている。なお、糸10が走行しているか静止しているかの判定(以下、走行判定と呼ぶことがある)は、例えば、センサユニット35から得られる検出値の変動の大きさに基づいて行うことができる。

0097

糸監視制御部50が備える静止時間カウント部59は、糸状態評価部53による上記の走行判定の結果、糸10が静止していると判定された場合には、静止状態での経過時間を示すカウント値を1ずつ増加させるように構成されている。そして、このカウント値が所定値に達したタイミング(図10に示す例では、t95のタイミング)で、糸監視制御部50はカッタ16を作動させて、糸10を切断するように制御する。

0098

これにより、糸10が検出領域36に存在するものの走行開始を検出できない状態が一定時間以上継続した場合には、糸10が強制的に切断され、糸監視装置15の検出領域36から糸10が取り除かれた状態からオペレータが玉揚作業をやり直すことになる。従って、糸監視制御部50(評価用ゼロ点設定部58)が評価用ゼロ点を再設定する機会を確保でき、糸10の状態の正確な監視を実現することができる。

0099

以上に説明したように、本実施形態の糸監視装置15は、センサユニット35と、ゼロ点測定部55と、評価用ゼロ点設定部58と、糸状態評価部53と、を備える。センサユニット35は、検出領域36の糸10の有無又は糸10の状態に応じた検出値を出力する。ゼロ点測定部55は、糸10が検出領域に存在しない状態での前記検出値を取得する。評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が導入されるまでにゼロ点測定部55が検出値の取得を繰り返すことにより得られた複数の検出値の少なくとも何れかに基づいて、糸10の状態を評価する際に用いるゼロ点である評価用ゼロ点を設定する。糸状態評価部53は、評価用ゼロ点設定部58が設定した評価用ゼロ点に基づいて、糸10の状態を評価する。

0100

これにより、検出値を継続的かつ反復的に取得することで、例えば検出領域36に糸10が導入される直前の検出値を得ることができる。そのため、当該タイミングで取得した検出値を用いて評価用ゼロ点を定めることで、温度ドリフト等の影響が軽減される。従って、糸10の状態を正確に検出することができる。

0101

また、本実施形態の糸監視装置15は、検出領域36に糸10が位置しているか否かを判定する糸有無判定部56を備える。そして、評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が位置したと糸有無判定部56が判定する前にゼロ点測定部55が取得した検出値に基づいて、評価用ゼロ点を設定する。

0102

即ち、検出領域36に糸10が位置した後に検出値を取得してもゼロ点として利用できないため、この検出値を用いないようにすることで、適切な評価用ゼロ点を設定することができる。

0103

また、本実施形態の糸監視装置15において、センサユニット35は、糸10が走行する空間に光を投光する投光部41と、投光部41が投光した光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光部42と、を備える。また、糸監視装置15は、ゼロ点調整部54を備える。このゼロ点調整部54は、糸10が存在しない状態の検出値が予め定められた値(調整用基準値)になるように投光部41の投光量を調整するゼロ点調整処理を行う。

0104

即ち、温度ドリフト等の環境の変化によって、投光部41の投光量や受光部42の受光量は変動する可能性がある。従って、ゼロ点調整処理を行うことで、環境の変化に合わせてゼロ点を調整し、糸10の状態の評価精度を安定させることができる。

0105

また、本実施形態の糸監視装置15は、正常範囲閾値と、糸有無判定閾値と、を記憶する記憶部57を備える。正常範囲閾値は、糸10が検出領域36に存在しない状態での検出値に対する所定範囲を示すものである。糸有無判定閾値は、検出領域36に糸10が位置しているか否かを判定するための閾値であり、正常範囲閾値よりも大きい閾値である。そして、ゼロ点測定部55が、正常範囲閾値以上である検出値を取得した直後に、正常範囲閾値以上かつ糸有無判定閾値未満である検出値を取得した場合、ゼロ点調整部54はゼロ点調整処理を行う。

0106

即ち、糸10が検出領域36に入るとき、センサユニット35が出力する検出値は通常は大きく変動するが、その変動の初期をゼロ点測定部55が検出値として取得する場合がある。一方で、温度ドリフトの影響が許容できない程大きい場合は、ゼロ点調整処理を行い、環境の変化に適応させることが好ましい。この点、本実施形態の構成によれば、ゼロ点測定部55が検出値を複数回取得する過程で、図6のt14及びt15で示すように、正常範囲閾値以上の検出値が得られ、その直後に正常範囲閾値以上かつ糸検出判定閾値未満の検出値が得られた場合は、温度ドリフトの影響により検出値が上昇したものと考えられるので、ゼロ点調整処理が行われる。こうすることで、必要な場合にだけゼロ点調整処理が行われるので、効率を低下させずに温度ドリフト等の影響を的確に除去し、糸状態評価部53による糸10の状態の評価を精度良く行える状態に復帰させることができる。

0107

また、本実施形態の糸監視装置15において、ゼロ点測定部55が、正常範囲閾値以上である検出値を取得した直後に、糸有無判定閾値以上である検出値を取得した場合、糸有無判定部56は、検出領域36に糸10が位置していると判定する。

0108

これにより、温度ドリフト等による影響で検出値が正常範囲閾値以上になった場合と明確に区別しつつ、糸10が検出領域36に入ったか否かを簡単な処理で判定することができる。

0109

また、本実施形態の糸監視装置15において、記憶部57には、ゼロ点測定部55が取得した検出値が記憶される。評価用ゼロ点設定部58は、記憶部57に記憶された検出値に基づいて評価用ゼロ点を設定する。ただし、ゼロ点測定部55が取得した検出値が正常範囲閾値以上となった場合、記憶部57への記憶は停止される。

0110

即ち、通常とるべき範囲を外れた値が検出値として取得された場合に、当該検出値を評価用ゼロ点の根拠に用いることは適切でない。この点、正常範囲閾値以上のゼロ点が記憶部57に記憶されることを防止することで、正常範囲閾値以上になった検出値が評価用ゼロ点のために用いられることを確実に防止できる。

0111

また、本実施形態の糸監視装置15において、評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が位置していると糸有無判定部56が判定した場合、当該判定時から所定の回数だけ前の検出値取得タイミング以前に得られた検出値に基づいて、前記評価用ゼロ点を設定する。

0112

即ち、糸10が検出領域36に導入される過程において、センサユニット35が出力する検出値が不安定な挙動を示すことがある。この点、本実施形態では、検出領域36に糸10があると判定された時点から所定の回数だけ遡った時点以前での検出値を採用することで、上記の影響を除去した適切な検出値を用いて評価用ゼロ点を設定することができる。

0113

また、本実施形態の糸監視装置15において、評価用ゼロ点設定部58は、ゼロ点測定部55が取得した複数の検出値の平均値を前記評価用ゼロ点として設定する。

0114

これにより、各種ノイズによる個々の検出値の変動が評価用ゼロ点に反映されることを防止して、評価用ゼロ点を適切に定めることができる。

0115

また、本実施形態の糸監視装置15は、静止時間カウント部59を備える。この静止時間カウント部59は、検出領域36に糸10が静止している状態での経過時間をカウントする。そして、糸監視装置15は、静止時間カウント部59がカウントする経過時間が所定時間を超えた場合に、当該糸監視装置15が備えるカッタ16によって糸を切断する。

0116

即ち、例えば手動で玉揚作業を行う場合等、検出領域36に糸10が存在したまま長時間が経過することがあり、この場合、温度ドリフト等の影響が問題になる。一方で、古い評価用ゼロ点の設定値を破棄して評価用ゼロ点を再設定しようとしても、検出領域36に既に糸10があるため、糸10がない状態での検出値をゼロ点測定部55が取得することができない。従って、上記のように糸10を強制的に切断することで、検出領域36に糸10が存在しない状態での検出値を再取得して、評価用ゼロ点を設定し直すことができる。

0117

次に、上記実施形態の変形例を説明する。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。

0118

上記実施形態では、ゼロ点測定部55は、検出領域36に糸10が存在すると糸有無判定部56が判定するまで、反復して検出値を取得していた。一方で、本変形例では、糸監視制御部50に対し、検出領域36に糸10が導入される時期(以下、糸導入タイミングと呼ぶことがある)に関する信号がユニット制御部30から供給されるようになっている。

0119

本変形例において、糸導入タイミングに関する信号とは、具体的には、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13が糸10を糸継装置14に案内するタイミングを示す信号である。例えば、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13は、糸10を糸継装置14に案内するために図1から図3に示すように回動するが、この回動を開始するタイミングを表す信号が、ユニット制御部30から糸監視制御部50に供給される。通常、糸10が糸監視装置15の検出領域36に導入されるタイミングは、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13の回動開始から一定時間経過後である。従って、糸監視制御部50は、糸導入タイミングを計算により予測することができる。

0120

糸監視制御部50は、上記の糸導入タイミングより少し前のタイミングを、検出値の取得タイミングとして決定する。そして、ゼロ点調整部54によるゼロ点調整処理の完了後、上記の取得タイミングまで待機し、当該取得タイミングが到来すると、ゼロ点測定部55が、センサユニット35が出力する検出値の取得を所定回数だけ行う。評価用ゼロ点設定部58は、これらの検出値の平均値を、評価用ゼロ点として設定する。

0121

その後、予測された糸導入タイミングの直後に、センサユニット35が出力する検出値が取得され、この検出値は糸有無判定部56による糸10の有無の判定のために用いられる。これにより、予測したとおりに糸10が検出領域36に導入されたか否かを確認することができる。そして、糸10の走行が開始されれば、糸状態評価部53が糸10の状態を評価する。一方、糸10が静止したまま長時間が経過した場合には、上記の実施形態と同様に、カッタ16により糸10を強制的に切断する。

0122

以上の構成によっても、糸10が検出領域36に導入される直前における検出値を取得して、評価用ゼロ点を設定することができる。

0123

以上に示すように、本変形例の糸監視装置15において、評価用ゼロ点設定部58は、検出領域36に糸10が導入される時期を外部から取得して当該時期に基づいて決定されたタイミングでゼロ点測定部55が取得した複数の検出値に基づいて、評価用ゼロ点を設定する。

0124

この構成により、ゼロ点測定部55は、検出領域36に糸10が導入される直前にセンサユニット35が出力した検出値を得ることができる。従って、当該検出値を用いて評価用ゼロ点を定めることで、温度ドリフト等の影響を軽減し、糸10の状態を正確に評価することができる。

0125

また、本変形例における糸巻取機(糸巻取ユニット1)は、糸監視装置15と、巻取部18と、糸継装置14と、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13と、を備える。巻取部18は、糸10を巻き取ってパッケージ20を形成する。糸継装置14は、糸継を行う。第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13は、糸継装置14に糸10を案内する。ゼロ点測定部55は、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13が糸10を糸継装置14に案内するタイミングに基づくタイミングで検出値を取得する。評価用ゼロ点設定部58は、ゼロ点測定部55が測定した検出値に基づいて評価用ゼロ点を設定する。

0126

即ち、糸10が分断された状態では、糸監視装置15の検出領域36に糸10は存在しないが、糸継装置14によって糸継ぎが行われると、検出領域36に糸10が導入されることになる。従って、第1糸捕捉装置12及び第2糸捕捉装置13が糸10を糸継装置14に案内するタイミングに基づいて決定されたタイミングで検出値を取得することで、糸10が検出領域36に導入される直前における検出値を合理的に得て、評価用ゼロ点を設定することができる。この結果、温度ドリフト等の影響を効果的に排除することができる。また、検出値の取得回数を少なくできるので、コンピュータの負荷を減らすことができる。

0127

以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。

0128

上記の実施形態及び変形例では、評価用ゼロ点は、複数回取得された検出値の平均を求めることで算出されている。しかしながらこれに限らず、評価用ゼロ点設定部58が、1回だけ取得された検出値をそのまま評価用ゼロ点として設定するようにしても良い。

0129

上記の実施形態では、正常範囲閾値以上(糸有無判定閾値未満)である検出値を取得した直後に、正常範囲閾値以上糸有無判定閾値未満である検出値を1回でも取得した場合は、ゼロ点調整からやり直すこととしている。しかしながら、ゼロ点調整を再び行う条件を、正常範囲閾値以上である検出値を取得した直後に、正常範囲閾値以上糸有無判定閾値未満である検出値を2回以上の所定回数取得した場合としても良い。

0130

上記の実施形態では、糸有無判定部56によって糸有りと判定されたタイミングから3回だけ遡った取得タイミング以前の検出値が、評価用ゼロ点の算出のために用いられている。しかしながら、取得タイミングを何回分遡るべきかは、3回に限定されず、検出値を取得する時間間隔等を考慮して適宜定めれば良い。

0131

上記の変形例では、外部からの情報に基づいて決定したタイミングでゼロ点測定部55による検出値の取得が行われる。しかしながら、変形例の構成においても上記実施形態と同様に、ゼロ点調整部54によるゼロ点調整処理の直後から、ゼロ点測定部55が反復的に検出値を取得しても良い。この場合、上記実施形態と同様に、検出値が前記の正常範囲閾値以上になっているかどうかをリアルタイムにチェックすることで、許容できない温度ドリフトの影響が発生していた場合にゼロ点調整処理をやり直す制御が可能になる。

0132

上記の実施形態及び変形例では、糸監視装置15に、投光部41と受光部42とを有する光学式のセンサユニット35が備えられている。これに代えて、静電容量式のセンサユニットが糸監視装置に備えられても良い。光学式であっても静電容量式であっても、検出領域36に存在する糸10の断面形状に応じた検出値を出力する点では共通する。ただし、静電容量式の糸監視装置は、その特性上、温度ドリフトよりは、湿度変化の影響を強く受ける。この点、上記の実施形態及び変形例のように糸10の導入の直前の検出値を用いて評価用ゼロ点を設定するようにすれば、湿度変化の影響を効果的に排除しつつ糸10の状態を監視することができる。

0133

上記の実施形態において、糸監視装置15は、カッタ16を内蔵した構成になっている。しかしながらそれに限らず、カッタを糸監視装置15の外部に配置して、当該カッタをユニット制御部30により制御するように構成しても良い。この場合、糸監視制御部50が糸切断信号をユニット制御部30に出力し、ユニット制御部30は、この糸切断信号に基づいてカッタを駆動させることになる。また、糸巻取機としての紡績機に本発明を適用する場合は、カッタを特に設けず、紡績装置紡績動作を停止させることによって糸10を切断させる(即ち、紡績装置が切断装置を兼ねる)構成であっても良い。さらに、糸監視装置15は、カッタ16又はその他の切断装置によって、糸欠陥を検出した場合に糸10を切断し、糸欠陥を除去できる構成としたが、本発明の糸監視装置は、カッタ16又はその他の切断装置によって糸10を切断させず、糸10の状態を監視のみする装置であっても良い。

0134

糸監視装置15の状況を示す表示器としては、上記の2色LEDによる表示ランプ46に代えて、例えば液晶ディスプレイ等を備えても良い。

0135

上記の実施形態では、投光部41から糸10へ向かって照射され、糸10を通り過ぎた光である透過光を受光する受光部42を用いて、評価用ゼロ点を設定する構成とした。しかしながら、投光部41から糸10へ向かって照射され、糸10に反射した光である反射光を受光する受光部を用いて、評価用ゼロ点を設定する構成としても良い。

0136

本発明の構成は、自動ワインダに限らず、上述のように例えば紡績機など、他の種類の糸巻取機にも適用できる。本発明の構成を紡績機に適用する場合は、例えば空気紡績装置が給糸部に該当する。紡績機では、糸継装置及び糸捕捉案内装置が複数の糸巻取ユニットに対して1つ(1組)設けられていると好ましい。すなわち、糸継装置及び糸捕捉案内装置を搭載した糸継台車が、複数の糸巻取ユニットに対して1つ設けられ、複数の糸巻取ユニットの並び方向に沿って移動する構成であると好ましい。しかし、1つの糸巻取ユニットに1つの糸継装置が備えられる紡績機の構成でも良い。

0137

1糸巻取ユニット
15糸監視装置
16カッタ(切断装置)
18巻取部
35センサユニット(検出部)
36 検出領域
41投光部
42受光部
53糸状態評価部
54ゼロ点調整部
55ゼロ点測定部
56 糸有無判定部
57 記憶部
58評価用ゼロ点設定部
59 経過時間カウント

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ