図面 (/)

技術 系統安定化システム

出願人 株式会社東芝東芝エネルギーシステムズ株式会社
発明者 井上泰典石橋哲小俣和也石原祐二井脇洋森本智彦
出願日 2014年9月16日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-187922
公開日 2016年4月25日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-063573
状態 特許登録済
技術分野 交流の給配電 給配電網の遠方監視・制御
主要キーワード 最適演算 ローディング領域 電気事業連合会 確認範囲 計測値情報 事前演算 非回転体 緊急制御
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

マイコンを用いて実現することのできるオンライン事前演算型系統安定化システムを提供する。

解決手段

系統安定化システム1は、電力系統オンライン系統情報収集する系統情報収集部101と、プログラム11と基本系統データ12とオンライン系統情報とに基づいて、系統モデルを作成して、当該系統モデルに基づいて想定事故系統解析シミュレーションを行い、想定事故に対する制御対象を決定し、系統事故の発生に合わせて制御するマイコン2とを備える。マイコン2は、プログラムROM4aを含み、プログラム11に基本系統データ12をリンクして、それぞれプログラムROM4aに記憶している。

概要

背景

オンライン事前演算型系統安定化システムは、想定事故の発生時に、所定の制御対象に対する制御指令を出力して電力系統の不安定現象を未然に防止するシステムであり、予め設定した想定事故に対して系統解析シミュレーションを行い、不安定現象が起こりえる想定事故が発生した場合に備えて、制御対象を事前に選択しておく。シミュレーションは、解析用系統モデルを作成して行う。

系統モデルの作成には、系統の構成要素の諸元と各構成要素間の接続を定義する基本系統データが必要である。基本系統データは設定項目数が膨大であり、例えば、日本国内基幹系統縮約した標準系モデル規模でも設定項目数が1000から2000項目オーダに及ぶ。これら基本系統データは、系統設備に密接な関係があり、系統設備データベース構築データ管理するケースが通常である。よって、このデータベースを扱うためにデータベースエンジンが適用される。

従来、オンライン事前演算型の系統安定化システムには、ハードディスク等の大容量メモリを持つ外部記憶装置実装したワークステーション等の計算機システムが適用され、電力会社全系レベルの規模を対象とした大規模系統向けのシステムが実用化されている。

一方で、ディジタルリレーハードウェアを用いてオンライン事前演算型の系統安定化システムを実現しようとする試みがある。ディジタルリレーをはじめとする電力系統の保護制御装置社会インフラ支える重要な装置であり、電力の安定供給に大きく寄与している。そこでは高い信頼性と保守性が要求され、15年〜20年の長期に渡る装置使用期間の間24時間通電が基本であり、消耗品交換等のメンテナンスも不要である。そのなかでも特にディジタルリレーは自動監視機能の充実により、高い信頼性と保守性を確保している。また、オンライン事前演算型の制御方式時々刻々と変化する系統状態適応した最適演算が自動的に行えるので、制御の精度向上と、運用面での省力化、すなわち系統運用操作や設備停止等に応じた手動設定作業の省力化を図ることができる。以上より、電力系統の保護制御装置、そのなかでも特にディジタルリレーのハードウェアを用いてオンライン事前演算方式が実現できれば、非常に大きなメリットがある。

しかしながら、ディジタルリレーは保護制御装置に用いられるハードウェアであることから、高い信頼性と保守性を確保するためにマイコンベースのハードウェアであり、大容量メモリを持つ外部記憶装置は実装されていない。ディジタルリレーにはリレー要素動作判定閾値等の設定及びメンテナンスの機能として整定機能があり、この機能の実現にデータ書き換え可能なROMを用いているが、この整定機能にて基本系統データを扱うには記憶容量の制約が厳しく、データ項目数が膨大であるため通常の整定項目と同列に扱うことは現実的ではない。また、マイコンベースであるため処理能力及びメモリ(RAM)容量の制約もあり、計算機システムのようなデータベース及びデータベースエンジンを適用した系統データの記憶と系統モデルの作成の仕組みを実装することは困難である。

ディジタルリレーに大容量メモリを持つ外部記憶装置を実装しようとすれば、その大容量メモリの選択肢は、ハードディスクドライブ等の駆動部分を有する種類のものとなってしまう。しかしながら、ハードディスクドライブのような駆動部分を有する機器の適用は、ディジタルリレーは使用期間が15〜20年と長期にわたることから、ディジタルリレーの設計思想馴染まない。駆動部分を有する機器を適用すると、装置の定期的な保守整備が必要となり、ディジタルリレーのハードウェアの利点である信頼性及び保守性が失われてしまうからである。

すなわち、ディジタルリレーのハードウェアを適用したオンライン事前演算形の系統安定化システムの実現は、記憶容量の制限により阻まれ、記憶容量を大容量化しようとすればディジタルリレーに要求される信頼性や保守性の毀損につながるために困難とものとなっていた。

概要

マイコンを用いて実現することのできるオンライン事前演算型の系統安定化システムを提供する。系統安定化システム1は、電力系統のオンライン系統情報収集する系統情報収集部101と、プログラム11と基本系統データ12とオンライン系統情報とに基づいて、系統モデルを作成して、当該系統モデルに基づいて想定事故の系統解析シミュレーションを行い、想定事故に対する制御対象を決定し、系統事故の発生に合わせて制御するマイコン2とを備える。マイコン2は、プログラムROM4aを含み、プログラム11に基本系統データ12をリンクして、それぞれプログラムROM4aに記憶している。

目的

本発明の実施形態は、以上のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、マイコンを用いて実現することのできるオンライン事前演算型の系統安定化システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

電力系統系統事故に応じた緊急制御を行って電力系統を安定化する系統安定化システムであって、電力系統のオンライン系統情報収集する系統情報収集部と、基本系統データと前記オンライン系統情報とに基づいて、系統モデルを作成して、当該系統モデルに基づいて想定事故系統解析シミュレーションを行い、想定事故に対する制御対象事前に決定しておき、系統事故の発生に合わせて事前に決定した制御対象を制御するマイコンと、を備え、前記マイコンは、記憶手段を含み、プログラムに前記基本系統データをリンクして、前記記憶手段に記憶すること、を特徴とする系統安定化システム。

請求項2

前記マイコンは、前記オンライン系統情報と前記基本系統データを用いて前記系統モデルを作成する系統モデル作成部と、前記系統モデルを用いて各想定事故について前記系統解析シミュレーション計算を行い不安定現象を安定化するための制御対象を決定する系統安定化演算部と、前記系統安定化演算部の結果に基づいて各想定事故に対する制御対象を制御テーブルとして保存する制御テーブル作成部と、想定事故の発生を検出する想定事故検出部と、前記制御テーブルを参照して、想定事故の発生に対応する制御対象に制御指令を出力する制御指令出力部と、を備えること、を特徴とする請求項1記載の系統安定化システム。

請求項3

前記マイコンと前記系統情報収集部は、ディジタルリレーハードウェアとして備えられ、前記ディジタルリレーのハードウェアに、前記基本系統データと前記プログラムを記憶させること、を特徴とする請求項1又は2記載の系統安定化システム。

請求項4

前記記憶手段は、前記プログラムを記憶する第1の記憶手段と前記基本系統データを記憶する第2の記憶手段に物理的に分かれて備えられること、を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の系統安定化システム。

請求項5

通信回線データ通信可能に接続し、外部から前記基本系統データを受信して、前記記憶手段に書き込むローディング部を備えること、を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の系統安定化システム。

請求項6

非回転体からなる可搬記憶媒体とデータ通信可能に接続し、当該可搬記憶媒体から前記基本系統データを読み取って、前記記憶手段に書き込むローディング部を備えること、を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の系統安定化システム。

請求項7

前記記憶手段は、前記プログラムが参照する参照データ領域と、前記参照データ領域に複製されるデータが記憶されるローディング領域と、を有し、前記ローディング部は、前記ローディング領域に外部から受け取った前記基本系統データを書き込み、前記マイコンは、前記ローディング領域の前記基本系統データを前記参照データ領域に複製する複製部を有すること、を特徴とする請求項5又は6記載の系統安定化システム。

請求項8

前記記憶手段は、前記プログラムが参照する参照データ領域と、前記参照データ領域に複製されるデータが記憶されるローディング領域と、を有し、前記ローディング部は、前記ローディング領域に外部から受け取った前記基本系統データを書き込み、前記マイコンは、前記ローディング領域に前記基本系統データが記憶されると、前記ローディング領域を前記参照データ領域に切り換え、前記参照データ領域を前記ローディング領域に切り換える複製部を有すること、を特徴とする請求項5又は6記載の系統安定化システム。

請求項9

電力系統の系統事故に応じた緊急制御を行って電力系統を安定化する系統安定化システムであって、電力系統のオンライン系統情報を収集する系統情報収集部と、系統モデルに基づいて想定事故の系統解析シミュレーションを行い、想定事故に対する制御対象を事前に決定しておき、系統事故の発生に合わせて事前に決定した制御対象を制御するマイコンと、外部から前記系統モデルのデータを受信する受信部と、を備え、前記マイコンは、前記受信部で受信した前記系統モデルに基づいて系統解析シミュレーションを行うこと、を特徴とする系統安定化システム。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、系統安定化システムに係わり、特に、電力系統事故によって発生する不安定現象に対して、一部の制御対象機器を電力系統から高速解列、または電力系統へ高速に投入することにより、その不安定現象を安定化し、電力系統の安定運用を維持する系統安定化システムに関する。

背景技術

0002

オンライン事前演算型の系統安定化システムは、想定事故の発生時に、所定の制御対象に対する制御指令を出力して電力系統の不安定現象を未然に防止するシステムであり、予め設定した想定事故に対して系統解析シミュレーションを行い、不安定現象が起こりえる想定事故が発生した場合に備えて、制御対象を事前に選択しておく。シミュレーションは、解析用系統モデルを作成して行う。

0003

系統モデルの作成には、系統の構成要素の諸元と各構成要素間の接続を定義する基本系統データが必要である。基本系統データは設定項目数が膨大であり、例えば、日本国内基幹系統縮約した標準系モデル規模でも設定項目数が1000から2000項目オーダに及ぶ。これら基本系統データは、系統設備に密接な関係があり、系統設備データベース構築データ管理するケースが通常である。よって、このデータベースを扱うためにデータベースエンジンが適用される。

0004

従来、オンライン事前演算型の系統安定化システムには、ハードディスク等の大容量メモリを持つ外部記憶装置実装したワークステーション等の計算機システムが適用され、電力会社全系レベルの規模を対象とした大規模系統向けのシステムが実用化されている。

0005

一方で、ディジタルリレーハードウェアを用いてオンライン事前演算型の系統安定化システムを実現しようとする試みがある。ディジタルリレーをはじめとする電力系統の保護制御装置社会インフラ支える重要な装置であり、電力の安定供給に大きく寄与している。そこでは高い信頼性と保守性が要求され、15年〜20年の長期に渡る装置使用期間の間24時間通電が基本であり、消耗品交換等のメンテナンスも不要である。そのなかでも特にディジタルリレーは自動監視機能の充実により、高い信頼性と保守性を確保している。また、オンライン事前演算型の制御方式時々刻々と変化する系統状態適応した最適演算が自動的に行えるので、制御の精度向上と、運用面での省力化、すなわち系統運用操作や設備停止等に応じた手動設定作業の省力化を図ることができる。以上より、電力系統の保護制御装置、そのなかでも特にディジタルリレーのハードウェアを用いてオンライン事前演算方式が実現できれば、非常に大きなメリットがある。

0006

しかしながら、ディジタルリレーは保護制御装置に用いられるハードウェアであることから、高い信頼性と保守性を確保するためにマイコンベースのハードウェアであり、大容量メモリを持つ外部記憶装置は実装されていない。ディジタルリレーにはリレー要素動作判定閾値等の設定及びメンテナンスの機能として整定機能があり、この機能の実現にデータ書き換え可能なROMを用いているが、この整定機能にて基本系統データを扱うには記憶容量の制約が厳しく、データ項目数が膨大であるため通常の整定項目と同列に扱うことは現実的ではない。また、マイコンベースであるため処理能力及びメモリ(RAM)容量の制約もあり、計算機システムのようなデータベース及びデータベースエンジンを適用した系統データの記憶と系統モデルの作成の仕組みを実装することは困難である。

0007

ディジタルリレーに大容量メモリを持つ外部記憶装置を実装しようとすれば、その大容量メモリの選択肢は、ハードディスクドライブ等の駆動部分を有する種類のものとなってしまう。しかしながら、ハードディスクドライブのような駆動部分を有する機器の適用は、ディジタルリレーは使用期間が15〜20年と長期にわたることから、ディジタルリレーの設計思想馴染まない。駆動部分を有する機器を適用すると、装置の定期的な保守整備が必要となり、ディジタルリレーのハードウェアの利点である信頼性及び保守性が失われてしまうからである。

0008

すなわち、ディジタルリレーのハードウェアを適用したオンライン事前演算形の系統安定化システムの実現は、記憶容量の制限により阻まれ、記憶容量を大容量化しようとすればディジタルリレーに要求される信頼性や保守性の毀損につながるために困難とものとなっていた。

先行技術

0009

特開2011−61911号公報
電気学会技術報告第801号「系統脱調・事故波及防止リレー技術」、(社)電気学会、2000年10月、p5〜6、p52〜57、p61、p74〜75
電力用規格B−402「デジタル保護継電器および保護継電装置電気事業連合会、平成20年4月
電気工学ハンドブック(第6版)、(社)電気学会、2001年2月
運用者の負担を低減する次世代ディジタルリレーD4」、東レビューVol.63、No.2、2008年2月

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の実施形態は、以上のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、マイコンを用いて実現することのできるオンライン事前演算型の系統安定化システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記の目的を達成するために、実施形態の系統安定化システムは、電力系統の系統事故に応じた緊急制御を行って電力系統を安定化する系統安定化システムであって、電力系統のオンライン系統情報収集する系統情報収集部と、基本系統データと前記オンライン系統情報とに基づいて、系統モデルを作成して、当該系統モデルに基づいて想定事故の系統解析シミュレーションを行い、想定事故に対する制御対象を事前に決定しておき、系統事故の発生に合わせて事前に決定した制御対象を制御するマイコンと、を備え、前記マイコンは、記憶手段を含み、プログラムに前記基本系統データをリンクして、前記記憶手段に記憶すること、を特徴とする。

図面の簡単な説明

0012

第1の実施形態の系統安定化システムの機能構成を示すブロック図である。
第1の実施形態の系統安定化システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る系統安定化システムを示すブロック図である。
第3の実施形態に係る系統安定化システムの構成を示すブロック図である。
第4の実施形態に係る系統安定化システムの構成を示すブロック図である。
第5の実施形態に係る系統安定化システムの構成を示すブロック図である。

実施例

0013

(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る系統安定化システム1に関し、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、系統安定化システム1は、電力系統で想定事故が発生した場合に備えて、系統解析シミュレーションを行い、電力系統の安定化のための制御対象を事前に選択しておき、想定事故発生の際には選択済みの制御対象にトリップ信号等の制御指令を発するオンライン事前演算型である。

0014

この系統安定化システム1は、系統情報収集部101と、想定事故検出部102と、系統モデル作成部103と、系統安定化演算部104と、制御テーブル作成部105と、制御指令出力部107とを備える。

0015

系統情報収集部101は、オンライン系統情報を1台又は複数台の外部の端末から定期的に収集する。オンライン系統情報は、発電機、母線変圧器送電線、あるいは負荷等の電力系統の各設備接続状態および電力系統各所の計測値情報といった現在の状況を示す。電力系統の接続状態とは、例えば遮断器断路器等の開閉状態である。電力系統各所の計測情報とは、例えば、発電機出力や負荷、送電線の有効電力及び無効電力各電気所母線電圧である。

0016

系統モデル作成部103は、オンライン系統情報とプログラムROM4aに記憶された基本系統データ12とをパラメータとして状態推定計算潮流計算を行い、現在の潮流状態を表わす解析用の系統モデルを作成及び記憶する。ここで、基本系統データ12は、ノードデータブランチデータ発電機データ発電機制御系データ負荷特性データ、想定事故シーケンスデータ等から構成される。事故シーケンスデータ以外は、電力系統を構成する各要素の仕様や諸元を示している。ノードデータは発電機、母線、負荷等に対応しており、それぞれの電圧、有効電力、無効電力を指定する。ブランチデータは、送電線や変圧器の仕様や諸元である。想定事故シーケンスデータは、系統解析シミュレーションでの事象発生を時系列で指定するものであり、シミュレーション計算開始時点からシミュレーション計算終了時点の間に発生する事象、すなわち、系統事故の発生時刻事故点事故様相および継続時間事故除去リレー応動等を時刻とともに指定する。発電機制御系データとは、自動電圧調整器(AVR)、調速機(GOV)、系統を安定化するための補助励磁装置(PSS)等の仕様や諸元である。

0017

系統安定化演算部104は、系統モデル作成部103が作成した解析用系統モデルを用いて系統解析シミュレーション計算を行う。この系統安定化演算部104は、前記解析用系統モデルに含まれる予め複数の想定事故種別データ(想定事故シーケンスデータ)を用いて複数の解析条件を設定し、各解析条件に従って過渡安定度計算を行ない、各解析条件に対する電力系統の安定又は不安定を判定する。ここで不安定と判定した場合は、予め定めた方法で制御対象の組合せを選定し、それを想定事故シーケンスデータに追加したものを新たな解析条件として、再度過渡安定度計算を行い電力系統の安定又は不安定を判定する。更に不安定と判定した場合には、電制量が増加する制御対象の組合せを選定して同様に演算を繰り返す。この一連演算処理を安定と判定するまで繰り返すことによって、想定事故発生時の系統の不安定現象を安定化するための制御対象の組合せを求める。

0018

制御テーブル作成部105は、系統安定化演算部104が求めた系統安定化のための制御対象の組合せを想定事故種別対応付けて制御テーブルに記憶する。想定事故検出部102は、オンライン系統情報を参照して想定事故の発生と其の想定事故の種別を判定する。

0019

制御指令出力部107は、想定事故検出部102が想定事故の発生を検出すると、その想定事故の種別に対応して記憶されている制御対象の組み合わせを制御テーブルから読み出し、該当の制御対象を電力系統から解列させる。すなわち、制御指令出力部107は、制御対象の遮断器に対するトリップ信号を生成し、トリップ信号を出力する。

0020

この系統安定化システム1は、ディジタルリレーのハードウェアにオンライン事前演算型のプログラム11を実装して実現することができる。図2に示すように、ディジタルリレーのハードウェアは、入出力インターフェイスとマイコン2とを備えている。マイコン2は、CPU3、プログラムROM4a及びRAM5を備えている。プログラムROM4aは、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶手段であり、RAM5は、SRAM等の揮発性記憶手段である。入出力インターフェイスは、アナログ入力部6とアナログディジタル変換部7とディジタル入出力部8と伝送回路9を備えている。

0021

プログラムROM4aには、プログラム11と基本系統データ12が記憶されている。基本系統データ12は、テーブル形式記述され、コンパイル及びプログラム11とリンクされて、プログラムROM4aに記憶されている。

0022

CPU3は、入出力インターフェイスが出力する電力系統の各種電気量データ及びプログラムROM4aの基本系統データ12を適宜参照しつつ、プログラムROM4aのプログラム11に従って一連の演算処理、すなわち、系統モデル作成、系統安定化演算、制御テーブル作成を行い、RAM5にプログラム実行中の途中データ一時記憶しつつ、ディジタル入出力部8あるいは伝送回路9を介してトリップ指令を外部へ出力する。これにより、マイコン2は、系統安定化システム1として機能する。

0023

すなわち、系統情報収集部101は、主に入出力インターフェイスにより構成される。想定事故検出部102、系統モデル作成部103、系統安定化演算部104、制御テーブル作成部105は、基本系統データ12をリンクしたプログラム11に従って演算するCPU3を含み構成される。制御指令出力部107は、このCPU3と入出力インターフェイスを含み構成される。

0024

このように、基本系統データ12をリンクしてプログラム11とともに記憶手段の一例であるプログラムROM4aに記憶しておくことにより、マイコン2で、これら各構成が実現される。

0025

電気学会EAST10機系統モデルを例にとって具体的に説明する。電気学会EAST10機系統モデルは、新しい電力系統解析ツールや系統制御技術などを客観的に評価することを目的とした標準系統モデルである。この系統モデルにおける系統データのデータ規模は、ノードが47個、ブランチが100個、発電機が10台、負荷特性モデル数が1つ、発電機制御系モデル数が3つである。

0026

これらの系統データは系統規模としては小さいが、それでも設定する項目数は約1000から2000個に及ぶ。実システムにおいては、さらに大きな規模の系統を対象とするので、基本系統データ12の項目数は更に増えるため、オンライン事前演算型の系統安定化システム1が扱うデータの項目は膨大な数となる。

0027

一方、この系統安定化システム1では、系統設備データベースを基本とする方式ではなく、テーブル形式で基本系統データ12を記述しプログラム11とリンクする方式にすることで使用メモリ量を大幅にコンパクト化できる。また、ディジタルリレーのハードウェアに実装されるメモリのうち、プログラムROM4aが容量的に十分な余裕があり、基本系統データ12の実装に適している。以上より、第1の実施形態では、基本系統データ12をプログラム11にリンクしてプログラムROM4aに記憶する形態を採っている。

0028

これにより、冷却ファンやハードディスクなどの故障しやすい回転体をはじめとする多くの機械類や必要以上の機能や装置を備えた高価な計算機を用いる必要がなくなり、マイコン2に系統安定化システム1を実装することができる。また、回転体等の駆動部分を有しないために、従来と同様に優れた保守性及び信頼性を維持することができる。

0029

(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る系統安定化システム1に関し、図面を参照して詳細に説明する。尚、第1の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。

0030

図3は、第2の実施形態に係る系統安定化システム1を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の系統安定化システム1は、ディジタルリレー用のマイコン2に実装されるとともに、ROMが第1の記憶手段であるプログラムROM4aと第2の記憶手段であるデータROM4bとに物理的に分かれて備えられる。プログラムROM4aにはプログラム11が記憶され、データROM4bには基本系統データ12が記憶されている。

0031

この系統安定化システム1によると、データROM4bを取り替えるだけで基本系統データ12の更新が可能となる。そのため、電力系統の構成変化に対して基本系統データ12を更新する際、確認範囲基本形等データ12の変更に限定できるため、メンテナンス作業の効率が向上する。また、プログラムROM4aの変更を伴わないため品質管理面でのメリットがある。

0032

(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る系統安定化システム1に関し、図面を参照して詳細に説明する。尚、第2の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。

0033

図4は、第3の実施形態に係る系統安定化システム1の構成を示すブロック図である。この系統安定化システム1はローディング部108を備えている。ローディング部108は、LANやシリアル通信ケーブルを接続する通信ポートと其のコントローラUSBメモリ等のコネクタと其のコントローラ、又はSDカード等のリーダと其のコントローラ、及びCPU3を含み構成され、通信ポート、コネクタ又はリーダを介して入力されたデータをデータROM4bに書き込む。USBメモリやSDカードは、非回転体からなる可搬記憶媒体の一例である。

0034

この系統安定化システム1によれば、外部からデータROM4bに基本系統データ12を書き込むことが可能となる。従って、データROM4bの取り替え作業なしで基本系統データ12の更新が可能となる。通信回線を介する場合は、更に遠隔で基本系統データ12の更新が可能となる。そのため、電力系統の構成変化に対して基本系統データ12を更新するメンテナンス作業の効率が更に向上する。

0035

尚、ローディング部108による基本系統データ12の書き込み先としては、整定値を記憶するデータ書き換え可能なROMの空エリアをデータROM4bとして取り扱うようにしてもよい。

0036

(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係る系統安定化システム1に関し、図面を参照して詳細に説明する。尚、第3の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。

0037

図5は、第4の実施形態に係る系統安定化システム1の構成を示すブロック図である。この系統安定化システム1のデータROM4bには、系統モデルを作成する際にプログラム11によって参照される基本系統データ12の参照領域4cと、ローディング部108が更新用の基本系統データ12を書き込むローディング領域4dとがそれぞれ確保されている。また、この系統安定化システム1は、ローディング領域4dのデータを参照領域4cに書き込む複製部109を備えている。この複製部109は、主にCPU3を含み構成され、一連の演算処理が不実施のタイミング、すなわち、系統モデル作成、系統安定化演算、制御テーブル作成が終了した時点から次回の演算を開始するまでのアイドル時間内で、ローディング領域4dの基本系統データ12を参照領域4cに複製する。

0038

この系統安定化システム1によれば、プログラム11を実行中に基本系統データ12が途中から変化してしまう虞を無くすことができ、系統安定化演算の信頼性を維持することができる。

0039

(変形例)
第4の実施形態において、複製部109は、ローディング領域4dに基本系統データ12が記憶されると、ローディング領域4dと参照領域4cとを切り換えるようにしてもよい。この系統安定化システム1によれば、更新途中の基本系統データ12をプログラム11が参照してしまい、旧データ新データとを綯い交ぜにした系統モデルを作成してしまう虞がなくなり、システムの信頼性を更に向上させることができる。

0040

(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係る系統安定化システム1に関し、図面を参照して詳細に説明する。尚、第1の実施形態と同一構成又は同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。

0041

図6に示すように、この系統安定化システム1は、ROMに基本系統データ12を記憶しておらず、主にCPU3と伝送回路9を含み構成される系統モデル受信部110を備える。この系統モデル受信部110は、ネットワークを介して外部システムとデータを送受信する。

0042

外部システムは、基本系統データ12及び系統モデル作成部103を備え、系統モデルを作成し、系統安定化システム1に送信する。系統安定化システム1の系統モデル受信部110は、この系統モデルを受信し、系統安定化演算部104、及び制御テーブル作成部105を経て制御テーブルを作成する。

0043

すなわち、この系統安定化システム1は、自装置では系統モデルを作成せず、外部から系統モデルを受信して記憶する。これにより、この系統安定化システム1は、基本系統データ12を記憶する必要がなく、ROMの容量について考慮する必要がないために簡便にディジタルリレーのハードウェアに系統安定化システム1を実装することができるとともに、基本系統データ12を更新する必要がないため、メンテナンスの頻度下げることができる。

0044

(他の実施形態)
以上、本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。各実施形態の全て又はいずれかを組み合わせたものも発明の範囲に包含される。また、各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0045

例えば、設定テーブルや系統モデル等の系統安定化システム1で作成されたデータを伝送回路9を介して外部に出力するようにしてもよく、これらデータのチェックを可能とし、系統安定化システム1の信頼性を高めることができる。

0046

また、実施形態の系統安定化システムは、ディジタルリレーのハードウェアを利用するものではあるが、そのハードウェア自体は保護継電装置として利用されなくてもよいし、保護継電装置を兼ねていても良い。すなわち、ディジタルリレーに保護継電装置としての演算プログラムを共に記憶させる必要はない。

0047

また、ディジタルリレーのハードウェアを利用するものであっても、系統情報のうち一部を自所で計測する必要がある場合や、自所の制御対象に対する制御指令の機能を出力装置においてフェイルセーフ要素として実装する場合を除き、アナログ入力部6及びアナログ/ディジタル変換部7を排除することもできる。

0048

また、プログラム11と基本系統データ12を記憶する記憶手段として、プログラムROM4a、またはプログラムROM4aとデータROM4bを例に採り説明したが、RAM5をプログラム11や基本系統データ12の記憶先とすることもできる。RAM5をプログラム11や基本系統データ12の記憶先とする場合、電源切れるとデータが消失する揮発性メモリの特性に対応して、系統安定化システム1に電源バックアップバッテリ等の無停電電源対策機構を備えておくことが望ましい。

0049

1系統安定化システム
2マイコン
3 CPU
4aプログラムROM
4b データROM
4c参照領域
4dローディング領域
5 RAM
6アナログ入力部
7アナログ/ディジタル変換部
8ディジタル入出力部
9伝送回路
11 プログラム
12基本系統データ
101系統情報収集部
102想定事故検出部
103系統モデル作成部
104 系統安定化演算部
105 制御テーブル作成部
107制御指令出力部
108ローディング部
109 複製部
110 系統モデル受信部
200 端末

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ