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技術 燃料噴射制御装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 滝川展啓豊島善生
出願日 2014年9月16日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-187465
公開日 2016年4月25日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-061167
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 通電作動 圧力平均値 噴射開始点 各燃料配管 圧力降下量 パルスオン パルスオフ 燃焼駆動
関連する未来課題
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図面 (5)

課題

燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなくエンジンの損傷を抑制することのできる燃料噴射制御装置を提供する。

解決手段

コモンレール42と、コモンレール42に対して燃料を圧送する燃料ポンプ41と、気筒ごとに設けられ燃料を噴射する燃料噴射弁10と、各燃料通路42b,11a内の燃料圧力をそれぞれ逐次検出する燃圧センサ20と、を備える燃料噴射システムに適用される燃料噴射制御装置30であって、燃圧センサ20により検出された燃圧波形に基づいて、燃料噴射弁10からの燃料の噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出する異常気筒検出手段と、異常気筒が検出された場合に、異常気筒の燃料噴射弁10から燃料を間欠的に複数回噴射させる間欠駆動手段と、異常気筒が検出された場合に、異常気筒と異なる気筒の燃料噴射弁10により、非燃焼期間に燃料を噴射させる非燃焼駆動手段と、を備える。

概要

背景

エンジンの異常態様の一つとして、燃料噴射弁ニードル弁ボデーシート部との間に異物が噛み込むことで、燃料噴射弁から燃料が噴きっ放しになる過剰噴射異常がある。このような過剰噴射異常の発生時に、エンジンの損傷を抑制すべくフェールセーフ制御を実施する装置が種々提案されている。

例えば、特許文献1に記載の制御装置では、エンジンから排出された排気に基づき空燃比を検出し、燃料配管内の圧力に対する空燃比の検出値に基づいた空燃比の補正量を算出するとともに、空燃比の補正量に基づいて筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料の漏れ量を推定している。そして、上記装置では、推定した燃料の漏れ量に基づいて、筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料の漏れ量が許容値を超えているか否かを判定し、燃料の漏れ量が許容値を超えている場合に、筒内噴射用燃料噴射弁による燃料噴射からポート噴射用燃料噴射弁による燃料噴射に切り換えたり、筒内噴射用燃料噴射弁に対して燃料を供給するポンプを停止させたりしている。

概要

燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなくエンジンの損傷を抑制することのできる燃料噴射制御装置を提供する。コモンレール42と、コモンレール42に対して燃料を圧送する燃料ポンプ41と、気筒ごとに設けられ燃料を噴射する燃料噴射弁10と、各燃料通路42b,11a内の燃料圧力をそれぞれ逐次検出する燃圧センサ20と、を備える燃料噴射システムに適用される燃料噴射制御装置30であって、燃圧センサ20により検出された燃圧波形に基づいて、燃料噴射弁10からの燃料の噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出する異常気筒検出手段と、異常気筒が検出された場合に、異常気筒の燃料噴射弁10から燃料を間欠的に複数回噴射させる間欠駆動手段と、異常気筒が検出された場合に、異常気筒と異なる気筒の燃料噴射弁10により、非燃焼期間に燃料を噴射させる非燃焼駆動手段と、を備える。

目的

本発明は、上記実情に鑑み、燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなくエンジンの損傷を抑制することのできる燃料噴射制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

燃料蓄圧保持する蓄圧容器(42)と、前記蓄圧容器に対して前記燃料を圧送する燃料ポンプ(41)と、多気筒内燃機関気筒ごとに設けられ前記燃料を噴射孔(11b)から噴射する燃料噴射弁(10)と、前記蓄圧容器から各前記燃料噴射弁の前記噴射孔までの各燃料通路(42b,11a)内の燃料圧力をそれぞれ逐次検出する燃圧センサ(20)と、を備える燃料噴射システムに適用される燃料噴射制御装置(30)であって、前記燃圧センサにより検出された前記燃料圧力の変化を表す燃圧波形に基づいて、前記燃料噴射弁からの前記燃料の噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出する異常気筒検出手段と、前記異常気筒検出手段により前記異常気筒が検出された場合に、前記異常気筒の前記燃料噴射弁から前記燃料を間欠的に複数回噴射させる間欠駆動手段と、前記異常気筒検出手段により前記異常気筒が検出された場合に、前記異常気筒と異なる気筒の前記燃料噴射弁により、前記燃料の燃焼が行われていない非燃焼期間に前記燃料を噴射させる非燃焼駆動手段と、を備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。

請求項2

前記非燃焼期間は、前記内燃機関排気行程である請求項1に記載の燃料噴射制御装置。

請求項3

前記間欠駆動手段による間欠的噴射の開始後に、前記燃圧波形に基づいて、前記異常気筒の前記燃料噴射弁が正常状態復帰したか否か判定する復帰判定手段を備え、前記復帰判定手段により正常状態に復帰しなかったと判定されたことを条件として、前記非燃焼駆動手段は、前記燃料を噴射させる請求項1又は2に記載の燃料噴射制御装置。

請求項4

前記複数回は、前記気筒の最大許容筒内圧から決まる最大噴射回数を超えない回数であり、前記復帰判定手段は、前記間欠駆動手段により前記燃料が前記最大噴射回数噴射された時点で、前記異常気筒の異常が継続している場合に、正常状態に復帰しなかったと判定する請求項3に記載の燃料噴射制御装置。

請求項5

前記間欠駆動手段は、前記間欠的噴射の噴射回数が前記最大噴射回数を超える前に、前記復帰判定手段により正常状態に復帰したと判定されたことを条件として、前記間欠的噴射を停止させる請求項4に記載の燃料噴射制御装置。

請求項6

前記復帰判定手段により正常状態に復帰しなかったと判定されたことを条件として、前記蓄圧容器の減圧弁(18)を開弁し、前記蓄圧容器内の燃料を排出する弁駆動手段を備える請求項3〜5のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。

請求項7

前記復帰判定手段により正常状態に復帰しなかったと判定されたことを条件として、前記燃料ポンプによる前記燃料の圧送を停止する圧送停止手段を備える請求項3〜6のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。

技術分野

0001

本発明は、燃圧センサにより検出される燃料圧力に基づいて、燃料噴射制御を行う燃料噴射制御装置に関する。

背景技術

0002

エンジンの異常態様の一つとして、燃料噴射弁ニードル弁ボデーシート部との間に異物が噛み込むことで、燃料噴射弁から燃料が噴きっ放しになる過剰噴射異常がある。このような過剰噴射異常の発生時に、エンジンの損傷を抑制すべくフェールセーフ制御を実施する装置が種々提案されている。

0003

例えば、特許文献1に記載の制御装置では、エンジンから排出された排気に基づき空燃比を検出し、燃料配管内の圧力に対する空燃比の検出値に基づいた空燃比の補正量を算出するとともに、空燃比の補正量に基づいて筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料の漏れ量を推定している。そして、上記装置では、推定した燃料の漏れ量に基づいて、筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料の漏れ量が許容値を超えているか否かを判定し、燃料の漏れ量が許容値を超えている場合に、筒内噴射用燃料噴射弁による燃料噴射からポート噴射用燃料噴射弁による燃料噴射に切り換えたり、筒内噴射用燃料噴射弁に対して燃料を供給するポンプを停止させたりしている。

先行技術

0004

特開2009−250060号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載の制御装置では、筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料の漏れ量が許容値を超えている場合に、全ての筒内噴射用燃料噴射弁に対してフェールセーフ制御を実施しており、エンジンの効率の低下等が懸念される。

0006

本発明は、上記実情に鑑み、燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなくエンジンの損傷を抑制することのできる燃料噴射制御装置を提供することを主たる目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、上記課題を解決するため、燃料を蓄圧保持する蓄圧容器と、前記蓄圧容器に対して前記燃料を圧送する燃料ポンプと、多気筒内燃機関気筒ごとに設けられ前記燃料を噴射孔から噴射する燃料噴射弁と、前記蓄圧容器から各前記燃料噴射弁の前記噴射孔までの各燃料通路内の燃料圧力をそれぞれ逐次検出する燃圧センサと、を備える燃料噴射システムに適用される燃料噴射制御装置であって、前記燃圧センサにより検出された前記燃料圧力の変化を表す燃圧波形に基づいて、前記燃料噴射弁からの前記燃料の噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出する異常気筒検出手段と、前記異常気筒検出手段により前記異常気筒が検出された場合に、前記異常気筒の前記燃料噴射弁から前記燃料を間欠的に複数回噴射させる間欠駆動手段と、前記異常気筒検出手段により前記異常気筒が検出された場合に、前記異常気筒と異なる気筒の前記燃料噴射弁により、前記燃料の燃焼が行われていない非燃焼期間に前記燃料を噴射させる非燃焼駆動手段と、を備える。

0008

本発明によれば、燃料ポンプから蓄圧容器へ燃料が圧送され、蓄圧容器に燃料が蓄圧保持される。そして、蓄圧容器から各気筒の燃料通路内へ燃料が流通させられ、各燃料通路内の燃料圧力が燃圧センサによりそれぞれ逐次検出される。よって、気筒ごとに検出された燃圧波形に基づいて、燃料噴射弁からの燃料の噴きっ放し異常を瞬時に検出できるとともに、噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出できる。

0009

異常気筒が検出された場合には、異常気筒の燃料噴射弁から燃料が間欠的に複数回噴射される。これにより、燃料噴射弁の異物噛み込みが解消し、正常状態復帰できることがある。さらに、異常気筒とは異なる気筒の燃料噴射弁により、非燃焼期間に燃料が噴射される。これにより、ドライバ予期しないトルクの発生によるドライバビリティの低下を抑制しつつ、蓄圧容器内の燃料圧力を低下させることができる。その結果、異常気筒の燃料噴射弁からの噴きっ放し量を低減させ、異常気筒の筒内圧を低下させることができる。よって、燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなく、内燃機関の損傷を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0010

本実施形態に係る燃料噴射システムの構成を示す図。
(a)噴射指令信号、(b)噴射率、及び(c)検出圧力を示すタイムチャート
噴きっ放し異常発生時における(a)噴射指令信号、(b)噴射率、及び(c)検出圧力を示すタイムチャート。
フェールセーフ制御を実施する処理手順を示すフローチャート

実施例

0011

以下、燃料噴射制御装置を具現化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る燃料噴射制御装置は、4気筒のディーゼルエンジンを対象にしたコモンレール式燃料噴射システムに適用されることを想定している。

0012

まず、図1を参照して、燃料噴射制御装置を提供する燃料噴射システムについて説明する。本実施形態に係る燃料噴射システムは、エンジン(内燃機関)の各気筒#1〜#4に搭載された燃料噴射弁10、燃圧センサ20、コモンレール42(蓄圧容器)、燃料ポンプ41、燃料タンク40及びECU30を備える。

0013

燃料ポンプ41は、例えばプランジャポンプであり、エンジンのクランク軸連動して駆動され、燃料タンク40内の燃料をコモンレール42へ圧送する。圧送された燃料はコモンレール42内に蓄圧保持される。コモンレール42には、コモンレール42内の燃料圧力を調整する電磁駆動式の減圧弁18が設けられている。コモンレール42内の燃料圧力が目標圧力を上回った場合には、減圧弁18を開弁することにより、コモンレール42内から燃料が排出される。コモンレール42内から排出された燃料は、排出配管19を介して燃料タンク40に戻される。

0014

コモンレール42内に蓄圧された燃料は、コモンレール42の各吐出口42aから各燃料配管42bを通じて、各気筒の燃料噴射弁10(#1〜#4)へ分配されて供給される。各気筒の燃料噴射弁10は、予め設定された順番で順次燃料を噴射する。

0015

燃料噴射弁10は、ボデー11と、ニードル弁12と、電磁コイルピエゾ素子等の電動アクチュエータ13とを備えて構成される。ボデー11は、内部に、高圧通路11aと、低圧通路11dと、高圧通路11aと繋がる噴射孔11bとが形成されている。コモンレール42から供給された燃料は、高圧通路11aを通って噴射孔11bから噴射される。ニードル弁12は、ボデー内部に収容されて噴射孔11bを開閉する。低圧通路11dは、排出配管19と繋がっており、低圧通路11dから排出された低圧燃料は、排出配管19を介して燃料タンク40へ戻される。なお、燃料配管42b及び高圧通路11aによって、コモンレール42から噴射孔11bまで燃料を流通させる燃料通路が構成されている。

0016

ボデー11内にはニードル弁12に背圧を付与する背圧室11cが形成されており、高圧通路11a及び低圧通路11dは背圧室11cと接続されている。電動アクチュエータ13は、高圧通路11a及び低圧通路11dと背圧室11cとの連通状態を切り換えるように、制御弁14を作動させる。

0017

電動アクチュエータ13の通電オンにすると、制御弁14が噴射孔11b側へ押し下げられ、背圧室11cが低圧通路11dと連通する。その結果、ニードル弁12にかかる背圧は低下して、ニードル弁12はリフトアップする。よって、ニードル弁12のシート面12aが、噴射孔11bと繋がるように形成されたボデー11のシート面11eから離座し、噴射孔11bが開いて燃焼室へ燃料が噴射される。一方、電動アクチュエータ13の通電をオフにすると、制御弁14が電動アクチュエータ13側へ押し上げられ、背圧室11cが高圧通路11aと連通する。その結果、ニードル弁12にかかる背圧は上昇して、ニードル弁12はリフトダウンする。よって、ニードル弁12のシート面12aが、ボデー11のシート面11eに着座し、噴射孔11bが閉じられて燃料噴射が停止される。電動アクチュエータ13の通電は、ECU30により制御される。

0018

燃圧センサ20は、以下に説明するステム21及び圧力センサ素子22等を備えている。ステム21はボデー11に取り付けられており、ステム21(起歪体)に形成されたダイヤフラム部21aが、高圧通路11aを流通する高圧燃料の圧力を受けて弾性変形する。圧力センサ素子22はダイヤフラム部21aに取り付けられており、ダイヤフラム部21aで生じた弾性変形量に応じて圧力検出信号をECU30へ出力する。よって、燃圧センサ20により、燃料通路内の燃料圧力が検出される。燃圧センサ20は、全ての燃料噴射弁10に搭載されている。

0019

ECU30(燃料噴射制御装置)は、CPU、ROM、RAM、及びI/O等を備える周知のマイクロコンピュータである。CPUがROMに記憶されている各種プログラムを実行することにより、後述する異常気筒検出手段、間欠駆動手段、非燃焼駆動手段、復帰判定手段、弁駆動手段、及び圧送停止手段の各機能を実現する。

0020

ECU30は、車両のアクセルペダル操作量エンジン負荷エンジン回転速度等に基づき目標噴射状態噴射段数噴射開始点噴射終了点、噴射量等)を算出する。例えば、エンジン負荷及びエンジン回転速度に対応する最適噴射状態を噴射状態マップにして、記憶装置に記憶させておく。そして、現状のエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき、噴射状態マップを参照して目標噴射状態を算出する。

0021

そして、算出した目標噴射状態に基づいて、図2(a)に示すような噴射指令信号を設定する。例えば、目標噴射状態に対応する噴射指令信号を指令マップにして、記憶装置に記憶させておき、算出した目標噴射状態に基づき、指令マップを参照して噴射指令信号を設定する。以上により、エンジン負荷及びエンジン回転速度に応じた噴射指令信号が設定され、ECU30から燃料噴射弁10へ出力される。

0022

噴射指令信号のパルスオン時点t1において、噴射開始が指令され、燃料噴射弁10の電動アクチュエータ13が通電作動して噴射孔11bが開く。そして、噴射指令信号のパルスオフ時点t2において、噴射終了が指令され、燃料噴射弁10の電動アクチュエータ13が通電作動を停止して噴射孔11bが閉じる。よって、指令信号パルスオン期間Tq、すなわち電動アクチュエータの通電期間により燃料噴射弁10の開弁期間を制御することで、噴射量Qが制御される。ただし、ニードル弁12のリフトアップ時に、ニードル弁12とボデー11のシート面11eとの間に異物が噛み込むと、噴射終了が指令されても、噴射孔11bを完全に閉じることができなくなる。その結果、燃料が噴きっ放し状態になる噴きっ放し異常が発生する。上記異物は、燃料噴射弁10の作動停止時に燃料が温度上昇により劣化して堆積した堆積物等である。

0023

図2(b)及び(c)は図2(a)の噴射指令信号に対応するものであり、図2(b)は単位時間当たりの噴射量である噴射率を示し、図2(c)は燃圧センサ20で検出された検出圧力の時間変化を表す燃圧波形を示す。指令信号のパルスオンに伴いニードル弁12が上昇を開始するR1時点から噴射率が上昇を開始する。そして、R1時点からC1時間経過したP1時点で、検出圧力は下降を開始する。その後、R2時点で噴射孔11bが完全に開いて噴射率が最大噴射率に到達したことに伴い、燃料圧力の下降はP2時点で停止する。次に、指令信号のパルスオフに伴いニードル弁12が下降を開始するR3時点から噴射率が下降を開始する。そして、R3時点からC3時間経過したP3時点で燃料圧力は上昇を開始する。その後、噴射孔11bが完全に閉じて噴射率がゼロになり実際の噴射が終了したことに伴って、燃料圧力の上昇は停止する。

0024

よって、燃圧波形と噴射率波形とは相関が高い。詳しくは、圧力波形において基準圧Pbaseから圧力降下を開始する時点P1と、実際の噴射開始点R1とには相関がある。基準圧Pbaseは、例えば、噴射指令信号のパルスオン時点t1から所定時間経過するまでの圧力平均値とすればよい。また、基準圧Pbaseよりも所定圧だけ低下させた圧力を検出基準圧Pdとする。所定圧は、例えば、噴射指令信号のパルスオン期間Tqが長いほど大きい値に設定される。検出基準圧Pd及び燃圧波形の交点であるP4時点と、実際の噴射終了点R4とには相関がある。また、燃圧波形における燃圧下降の傾きPαと噴射率が上昇する部分の噴射率上昇傾きRαとには相関があり、燃圧波形においてP3時点からの燃圧上昇の傾きPβと噴射率が下降する部分の噴射率下降傾きRβとには相関がある。さらに、P1時点における燃料圧力からP2時点における燃料圧力までの圧力降下量と最大噴射率Rhとには相関がある。

0025

上述したように、燃圧波形と噴射率波形とは相関が高いため、燃圧波形から噴射状態を検出できる。噴射状態が正常であれば、目標噴射状態に対応する燃圧波形に近い燃圧波形が検出される。これに対して、燃料噴射弁10からの燃料の噴きっ放し異常が生じると、その燃料噴射弁10に搭載された燃圧センサ20により逐次検出された燃圧波形は、正常時と異なる燃圧波形となる。よって、燃圧センサ20により逐次検出された検出圧力の変化を表す燃圧波形に基づいて、噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出することができる。

0026

次に、噴きっ放し異常時の検出方法及びフェールセーフ制御について、図3を参照して説明する。図3に示すタイムチャートは、4気筒のうちのいずれかの気筒に対応するものであり、図2に示すタイムチャートよりも長い期間を示している。図3(a)は、噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を実施する場合の噴射指令信号を示す。図3(b)は噴射率の時間変化である噴射率波形を示し、図3(c)は、検出圧力の時間変化である圧力波形を示す。図3(b)及び(c)において、実線は正常時を示し、破線及び一点鎖線は、噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を実施した場合を示す。また、図3(b)及び(c)において、二点鎖線は、噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を実施しない場合を示す。

0027

目標噴射状態に応じた噴射指令信号S1を燃料噴射弁10へ送信すると、検出圧力は、噴射開始に伴い下降する。そして、ta時点において噴射終了が指令されると、燃料噴射弁10が正常状態の場合、図3(c)に実線で示すように、検出圧力は、噴射終了に伴いtb時点よりも前の時点で上昇を開始し、tb時点では上昇を続けている。この場合の噴射率は、図3(b)に示すように、tb時点よりも前の時点で下降を開始する。

0028

一方、燃料噴射弁10が噴きっ放し異常の場合、図3(c)に破線及び一点鎖線で示すように、検出圧力は、ta時点における噴射終了指令後も下降を続け、tb時点でも下降を続けている。この場合の噴射率は、図3(b)に示すように、tb時点でも上昇を続ける。

0029

そこで、噴射終了が指令されたta時点から所定時間Δt経過したtb時点において、検出圧力が下降を続けている場合に、噴きっ放し異常が生じていると判定する。異常気筒検出手段は、燃圧波形に基づいて、燃料噴射弁10から燃料の噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出する。

0030

異常気筒検出手段により異常気筒が検出された場合には、フェールセーフ制御を実施する。まず、第1フェールセーフ制御として、間欠駆動手段により間欠的な噴射を複数回実施する。詳しくは、間欠駆動手段は、所定の噴射間隔で、間欠的噴射の噴射量に応じた噴射指令信号S2を異常気筒の燃料噴射弁10へ送信し、噴きっ放し異常の燃料噴射弁10から、燃料を間欠的に複数回噴射させる。

0031

ここで、間欠的噴射中に燃料の噴きっ放し異常が継続しても、筒内圧が気筒の最大許容筒内圧を超えないようにする必要がある。最大間欠噴射期間は、間欠的噴射を行う最大期間(例えば720°CA)であり、この期間中に燃料の噴きっ放し異常が継続したとしても、筒内圧が最大許容筒内圧を超えない期間である。最大間欠噴射期間と、間欠的噴射時の1回の噴射期間(噴射指令信号S2のパルス幅)及び噴射間隔(噴射指令信号S2同士の間隔)とから、間欠的噴射の最大噴射回数が決まる。間欠駆動手段は、間欠的噴射の回数が最大噴射回数を超えない範囲で、噴きっ放し異常の燃料噴射弁10から、燃料を間欠的に噴射させる。本実施形態では、間欠的噴射時の噴射量は通常時の噴射量よりも少なくし、間欠的噴射時の噴射間隔は、通常時の噴射間隔よりも短くする。なお、最大許容筒内圧は、筒内圧の設計上の上限値であり、筒内圧がこの上限値を超えるとエンジンが損傷するおそれがある。

0032

間欠的噴射された燃料により噛み込んでいた異物が押し出されると、噴射孔11bが完全に閉じて燃料噴射弁10の噴きっ放し異常が解消する。噴きっ放し異常が解消すると、図3(c)に破線で示すように、最大間欠噴射期間内のtc時点において、すなわち間欠的噴射時に燃料を最大噴射回数噴射する前のtc時点において、検出圧力は上昇する。この場合の噴射率は、間欠的噴射後に下降を開始して0になる。

0033

そこで、復帰判定手段は、間欠駆動手段による間欠的噴射の開始後に、燃圧波形に基づいて、異常気筒の燃料噴射弁10が正常状態に復帰したか否か判定する。すなわち、復帰判定手段は、間欠的噴射の開始後に、検出圧力が上昇を開始した場合に、異常気筒の燃料噴射弁10が正常状態に復帰したと判定する。間欠駆動手段は、間欠的噴射の噴射回数が最大噴射回数を超える前に、復帰判定手段により正常状態に復帰したと判定された場合には、間欠的噴射を停止させる。すなわち、第1フェールセーフ制御を終了して、通常の制御に戻る。

0034

一方、図3(c)に一点鎖線で示すように、間欠的噴射を行っても燃料噴射弁10の噴きっ放し異常が解消せず、最大間欠噴射期間の終了時点であるtd時点においても、検出圧力が下降を続けている場合もある。復帰判定手段は、噴きっ放し異常の燃料噴射弁10から燃料が最大噴射回数噴射された時点tdで、異常気筒の異常が継続している場合に、すなわち検出圧力が下降を続けている場合に、正常状態に復帰しなかったと判定する。この場合、第2フェールセーフ制御を実施し、コモンレール42内の燃料圧力を低下させる。

0035

詳しくは、非燃焼駆動手段により、異常気筒と異なる気筒の燃料噴射弁10により、燃料の燃焼が行われていない非燃焼期間に燃料を噴射させる。非燃焼期間は、気筒に燃料を噴射させてもトルクにならない期間である。ドライバの意図しない燃料の燃焼が行われ、ドライバの予期しないトルクが発生することを抑制するために、非燃焼期間において燃料を噴射させる。特に、非燃焼期間をエンジンの排気行程とすると、燃料は排気とともに気筒外に流出するため、異常気筒とは異なる気筒内に燃料が溜まることによるエンジンの圧縮負荷の増加を抑制できる。また、弁駆動手段により、コモンレール42の減圧弁18を開弁して、コモンレール42内の燃料を燃料タンク40へ排出する。さらに、圧送停止手段により、燃料ポンプ41による燃料の圧送を停止する。

0036

td時点において第2フェールセーフ制御を実施した場合、図3(c)に一点鎖線で示すように、td時点以降、異常気筒における検出圧力は噴射停止圧まで急激に低下する。この場合噴射率は、図3(b)に示すように、td時点以降、急激に低下して0になる。よって、非燃焼駆動手段、弁駆動手段、及び圧送停止手段により、コモンレール42内の燃料圧力を急速に低下させることができる。その結果、異常気筒の燃料噴射弁10からの噴きっ放し量を速やかに低減させ、異常気筒の筒内圧を速やかに低下させることができる。

0037

一方、図3(c)に二点鎖線で示すように、フェールセーフ制御を実施しない場合、td時点後も検出圧力は緩やかに低下する。この場合噴射率も緩やかに低下する。すなわち、噴きっ放し状態が継続する。

0038

次に、噴きっ放し異常発生時にフェールセーフ制御を行う処理手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。本処理手順は、ECU30が、気筒毎に所定の周期で繰り返し実行する。

0039

まず、噴射の終了を指令した時点からΔt経過した時点において、燃料の噴きっ放し異常を検出したか否か判定する(S10)。すなわち、検出圧力が下降を続けているか否か判定する。噴きっ放し異常を検出していない場合は(S10:NO)、本処理を終了する。

0040

噴きっ放し異常を検出した場合は(S10:YES)、まず第1フェールセーフ制御を実施する。詳しくは、燃料噴射弁10から燃料を間欠的に噴射させるとともに(S11)、正常状態に復帰したか否か、すなわち検出圧力が上昇を開始したか否か判定する(S12)。検出圧力が上昇を開始している場合は、正常状態に復帰したと判定して(S12:YES)、本処理を終了する。一方、検出圧力が下降を続けている場合は、正常状態に復帰していないと判定して(S12:NO)、間欠的な噴射の回数が最大噴射回数に到達したか否か判定する(S13)。間欠的な噴射の回数が最大噴射回数に到達していない場合は(S13:NO)、S11の処理に戻り、S11〜S13の処理を繰り返し実行する。

0041

間欠的な噴射の回数が最大噴射回数に到達した場合は(S13:YES)、最大間欠噴射期間を経過した時点で異常が継続しているため、正常に復帰しなかったと判定する(S14)。この場合、第2フェールセーフ制御を実施する(S15)。詳しくは、異常気筒とは異なる気筒の燃料噴射弁10から、エンジンの排気行程に燃料を噴射させる。さらに、燃料ポンプ41によるコモンレール42への燃料の圧送を停止する。さらに、コモンレール42の減圧弁18を開弁して、コモンレール42内の燃料を燃料タンク40へ排出する。これにより、コモンレール42内の燃料圧力が急激に低下し、噴きっ放し量が低減される。この後、エンジンは停止する。以上で本処理を終了する。なお、エンジンが停止された以降は、異常が修理されるまで本フェールセーフ処理を実行しない。

0042

以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。

0043

・気筒ごとに、燃料通路42b,11a内の燃料圧力が燃圧センサ20によりそれぞれ逐次検出される。よって、気筒ごとに検出された燃圧波形に基づいて、燃料噴射弁10からの燃料の噴きっ放し異常を瞬時に検出できるとともに、噴きっ放し異常が生じている異常気筒を検出できる。そして、異常気筒が検出された場合には、異常気筒の燃料噴射弁10から燃料が間欠的に複数回噴射される。これにより、燃料噴射弁10の異物噛み込みが解消し、正常状態に復帰できることがある。

0044

さらに、異常気筒とは異なる気筒の燃料噴射弁10により、非燃焼期間に燃料が噴射される。これにより、ドライバの予期しないトルクの発生によるドライバビリティの低下を抑制しつつ、コモンレール42内の燃料圧力を低下させることができる。その結果、異常気筒の燃料噴射弁10からの噴きっ放し量を低減させ、異常気筒の筒内圧を低下させることができる。よって、燃料の噴きっ放し異常時にフェールセーフ制御を過剰に行うことなく、エンジンの損傷を抑制することができる。ひいては、エンジンの強度を過剰に高くすることを抑制してエンジンを軽くし、燃費を向上させることができる。

0045

・エンジンの排気行程に燃料を噴射することにより、燃料は排気とともに気筒外に流出する。よって、ドライバの意図しない燃料の燃焼が行われることを抑制することができるとともに、異常気筒とは異なる気筒内に燃料が溜まることによるエンジンの圧縮負荷の増加を抑制できる。

0046

・燃料の間欠的噴射の開始後に、燃圧波形に基づいて、異常気筒の燃料噴射弁10が正常状態に復帰したか否か判定される。そして、正常状態に復帰しなかったと判定されたことを条件として、異常気筒とは異なる気筒の燃料噴射弁10により、非燃焼期間に燃料が噴射される。よって、フェールセーフ制御の実施を必要最低限に抑制することができる。

0047

・気筒の最大許容筒内圧から決まる最大噴射回数を超えない範囲で、異常気筒の燃料噴射弁から燃料が間欠的に噴射される。そして、燃料が最大噴射回数噴射された時点で異常気筒の異常が継続している場合に、正常状態に復帰しなかったと判定される。よって、異常気筒の筒内圧が最大許容筒内圧に到達するまでに、正常状態に復帰したか否か判定して次の処理を実施できるため、筒内圧が最大許容筒内圧よりも高くなることを抑制するとともに、エンジンの損傷を確実に抑制できる。

0048

・間欠的噴射の噴射回数が最大噴射回数を超える前に、正常状態に復帰したと判定された場合には、異常気筒の燃料噴射弁10からの燃料の間欠的噴射が停止される。これにより、正常状態に復帰した気筒の筒内圧の上昇を抑制できる。一方、正常状態に復帰したと判定されなかった場合には、最大噴射回数を超えない範囲で、燃料の間欠的噴射が継続されるため、燃料噴射弁10の異物噛み込みが解消される可能性を向上させることができる。

0049

・正常状態に復帰しなかったと判定された場合には、コモンレール42の減圧弁18も駆動することにより、コモンレール42内の燃料圧力を速やかに低下させることができる。その結果、異常気筒の燃料噴射弁10からの噴きっ放し量を速やかに低減させ、異常気筒の筒内圧を速やかに低下させることができる。一方、正常状態に復帰したと判定された場合には、コモンレール42内の燃料圧力が維持されるため、噴射を継続してエンジンの運転を継続ことができる。

0050

・正常状態に復帰しなかったと判定された場合には、燃料ポンプ41による燃料の圧送を停止することにより、コモンレール42内の燃料圧力を速やかに低下させることができる。その結果、異常気筒の燃料噴射弁10からの噴きっ放し量を速やかに低減させ、異常気筒の筒内圧を速やかに低下させることができる。一方、正常状態に復帰したと判定された場合には、コモンレール42への燃料の圧送が継続されるため、噴射を継続してエンジンの運転を継続することができる。

0051

(他の実施形態)
・間欠的噴射の実施とともに、異常気筒と異なる気筒の燃料噴射弁により非燃焼期間に燃料を噴射させてもよい。このようにすれば、異常気筒への燃料の噴きっ放し量を低減させつつ、異物噛み込みを解消させる機会を得られる。

0052

・間欠的噴射を行っても正常状態に復帰しなかったと判定された場合には、非燃焼駆動手段、弁駆動手段及び圧送停止手段の全ての手段による処理を実施しなくてもよい。非燃焼駆動手段、弁駆動手段及び圧送停止手段のうちの少なくとも1つの手段による処理を実施すればよい。

0053

10…燃料噴射弁、11a,42b…燃料通路、11b…噴射孔、20…燃圧センサ、30…ECU、41…燃料ポンプ、42…コモンレール。

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