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技術 水力機械のガイドベーン及びその改修方法

出願人 株式会社東芝東芝エネルギーシステムズ株式会社
発明者 榎本保之日向剛志ステペン
出願日 2014年9月12日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-186774
公開日 2016年4月25日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-061151
状態 特許登録済
技術分野 水力タービン
主要キーワード 延長ピース 対数近似 流れ角度 出口側部分 回動軸周り 入口角度 改修作業 高落差
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月25日)のものです。
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図面 (13)

課題

強度に関する信頼性を確保できると共に、損失を効果的に低減することができる水力機械ガイドベーンを提供する。

解決手段

実施の形態によるガイドベーン3は、キャンバーラインを形成する羽根本体20と、羽根本体20の外周面のうち水車運転時における出口側の端に設けられ、全閉状態の時に、隣り合う他のガイドベーンの内周面に接する出口側接点21と、出口側接点21よりも前記出口側に設けられた出口側部分22と、を備える。断面視で、出口側接点21からキャンバーラインCLに直交するように延ばした直線が羽根本体20の内周面と交差する内周交点24が設けられる。出口側接点21と内周交点24とで羽根本体20の外周面と内周面とに接する内接円Xを描いた場合に、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置し、且つ、キャンバーラインの出口側部分側への延長線L1よりもランナ軸線側に位置する。

概要

背景

水力機械としての一般的なフランシスポンプ水車では、水車運転時に、水がケーシングからステーベーン及びガイドベーンを通ってランナに流れ込み、その水流によってランナが回転駆動され、主軸を介して発電機が回転駆動される。ランナを回転駆動した水は、吸出し管を経て放水路へと流出する。一方、ポンプ運転時には、発電機が電動機として作動し、ランナが水車運転時とは逆方向に回転駆動されることで、下池の水を吸い上げる。このとき、下池からの水は、吸出し管を通り、ランナを経て、ガイドベーン、ステーベーン、及びケーシングを通り、上池揚水される。

図9には、水車運転時における水流の様子が矢印で示され、図10には、ポンプ運転時における水流の様子が矢印で示されている。図9及び図10において、符号30は一般的なフランシスポンプ水車に設けられたガイドベーンを示し、符号40は一般的なフランシスポンプ水車に設けられたステーベーンを示している。

図9及び図10に示すように、一般的なフランシスポンプ水車では、ガイドベーン30及びステーベーン40がそれぞれ、ランナの周方向に間隔を空けて複数設けられている。このうち、ガイドベーン30のそれぞれは、図示省略する回動軸に連結され、当該回動軸を中心に回動可能とされている。これにより、ガイドベーン30は、回動軸周りに回動されることで、その開度を調整することが可能となっている。なお、ガイドベーン30に連結される回動軸は、ランナ4を軸線方向の両側から覆う上カバーと下カバーとに支持されている。

このようなフランシスポンプ水車においては、水車運転時に、ガイドベーン30の開度を変化させることで、ランナに流入する水の流量を調整し、発電量を変化させることができる。一方、ポンプ運転時には、揚水量または揚程に応じてランナからガイドベーン30に入る流れの角度が異なることから、ガイドベーン30の開度を適切な開度に設定することで、ガイドベーン30での損失が小さくなる状態でフランシスポンプ水車をポンプ運転させることができる。

ガイドベーン30を回動させる機構は、ガイドベーン30の例えば、上カバーの上方に設けられる、ガイドリング、ガイドリングを回動させるサーボモータ、及びガイドベーン30を回動軸を介してガイドリングに連結させるガイドベーンアーム等で構成されている。ガイドベーン30は、前記サーボモータが駆動されることで開度を変えることが可能となっている。

また、ガイドベーン30は、上述のように水車運転時及びポンプ運転時に運転状態を調整する役割を有する一方で、運転停止時には、全閉状態となって流水遮断するという役割も有している。図11には、ガイドベーン30の全閉状態が示され、図12には、ガイドベーン30が拡大されて示されている。

図12に示すように、ガイドベーン30は、キャンバーラインCLを形成する羽根本体30Aと、羽根本体30Aよりも水車運転時における出口側に設けられた出口側部分30Bと、羽根本体30Aよりも水車運転時における入口側に設けられた入口側部分30Cと、を備えている。このうち、羽根本体30Aは水を効率良く通過させるように設計された部分である。また、羽根本体30Aの外周面と出口側部分30Bの外周面との境界に、全閉状態の時に、水車運転時における出口側で隣り合う他のガイドベーン30の内周面に接する出口側接点30Dが設けられている。このようなガイドベーン30では、図11に示すように、全閉状態の時に、ガイドベーン30の前述した出口側接点30Dが、出口側で隣り合う他のガイドベーン30の内周面に接すると共に、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30C寄りの部分の内周面が、入口側で隣り合う他のガイドベーン30の外周面に接するようになっている。

ところで、このフランシスポンプ水車では、水車運転時またはポンプ運転時に、水流がガイドベーン30に流入する際に発生する衝突損失、ガイドベーン30周り摩擦によって発生する摩擦損失、ガイドベーン30の形状によって発生する形状損失、ガイドベーン30の水車運転時の出口後流またはガイドベーン30のポンプ運転時の出口の後流によって発生する損失等が生じる。

また、上述したように、運転状態に応じてガイドベーン30を回動させることがあり、ガイドベーン30と上カバー及び下カバーとの間のそれぞれに、隙間が設けられる。この隙間を通る流れは、ガイドベーン30に沿わない流れとなってしまうため、この隙間における流れが大きいと損失が大きくなる。

このうち、ガイドベーン30と上カバー及び下カバーとの隙間による漏れ損失を低減する技術としては、ガイドベーン30のカバー側を向く面に溝を形成して漏れ損失の低減を図る技術等が知られている。

また、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30C(図12参照)の厚さを緩やかに薄くなるようにすれば、ガイドベーン30の水車運転時には衝突損失の低減が可能であるとともに、ポンプ運転時には後流が小さくなり損失の低減が可能であることも知られている。同様に、ガイドベーン30の水車運転時における出口側部分30B(図12参照)の厚さを緩やかに薄くなるようにすれば、水車運転時に後流が小さくなり損失の低減が可能であるとともに、ポンプ運転時には衝突損失の低減が可能であることも知られている。

しかしながら、水車運転時においては、ステーベーン40におけるガイドベーン30へ向けた流れの角度は運転状態に応じて大きく異ならない一方で、ガイドベーン30が運転状態に応じて開度が変更される場合には、ステーベーン40からガイドベーン30への相対的な流入角度は変化する。この際に、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cの厚さが過度に薄く、鋭角な形状であると、ステーベーン40からガイドベーン30への流れ角度とガイドベーン30の入口角度との差が大きく異なる場合があり、逆に、損失が大きくなることがある。

このため、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cは、通常、強度とともに損失低減を図って性能も考慮した厚さに設計されている。なお、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cでの損失を低減する技術としては、例えば、翼形状定義方法によって水力損失を低減する技術等が知られている。

一方、ガイドベーン30は、全閉状態とされる際にサーボモータによって回動され、この際、サーボモータからモーメントを受け、さらに、全閉状態では、ガイドベーン30の前述した出口側接点30Dが、他のガイドベーン30の内周面に向けて押されることにより、締め付け力を受ける。

このため、ガイドベーン30の出口側接点30Dを含み厚さ方向に延びる部分(以下、接点部分と呼ぶ。)は、通常、運転時の水圧に耐え得る強度を有するだけでなく、サーボモータから受ける力に耐え得る強度を有する厚さに設計されている。特に、高落差のフランシスポンプ水車では、水流のエネルギーが大きく、全閉時にサーボモータから受ける締め付け力が大きくなる。そのため、ガイドベーン30の接点部分の厚さは、一般的に厚くなるように設計されている。

再度、図12を参照し、図12に示すガイドベーン30においては、出口側部分30Bの輪郭円弧によって形成されており、当該円弧は、羽根本体30Aの外周面の出口側の端と内周面の出口側の端とで羽根本体30Aの外周面と内周面とに接する内接円Yの一部に沿って画定されている。このガイドベーン30では、羽根本体30Aの外周面と出口側部分30Bの外周面との境界に前述した出口側接点30Dが設けられ、前述した接点部分の厚さは、内接円Yの直径程度に設定されており、大きく確保されている。

概要

強度に関する信頼性を確保できると共に、損失を効果的に低減することができる水力機械のガイドベーンを提供する。実施の形態によるガイドベーン3は、キャンバーラインを形成する羽根本体20と、羽根本体20の外周面のうち水車運転時における出口側の端に設けられ、全閉状態の時に、隣り合う他のガイドベーンの内周面に接する出口側接点21と、出口側接点21よりも前記出口側に設けられた出口側部分22と、を備える。断面視で、出口側接点21からキャンバーラインCLに直交するように延ばした直線が羽根本体20の内周面と交差する内周交点24が設けられる。出口側接点21と内周交点24とで羽根本体20の外周面と内周面とに接する内接円Xを描いた場合に、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置し、且つ、キャンバーラインの出口側部分側への延長線L1よりもランナの軸線側に位置する。

目的

本発明はこのような点に鑑み、水力機械のガイドベーンであって、全閉状態の時に厚さが確保された部分で隣り合う他のガイドベーンに接することができることで強度に関する信頼性を確保できると共に、水車運転時及びポンプ運転時における損失を効果的に低減することができる水力機械のガイドベーン及びその改修方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ランナの外周側に配置され、その回動軸を中心に回動可能とされており、前記回動軸の回動に応じて、前記ランナの周方向で隣り合う他のガイドベーンに接する全閉状態と、当該他のガイドベーンから離れる開放状態とを切り替えるように、水力機械に取り付けられる水力機械のガイドベーンであって、キャンバーラインを形成する羽根本体と、前記羽根本体の外周面のうち水車運転時における出口側の端に設けられ、全閉状態の時に、前記出口側において隣り合う他のガイドベーンの内周面に接する出口側接点と、前記出口側接点よりも前記出口側に設けられた出口側部分と、を備え、前記回動軸に直交する方向における断面視で、前記出口側接点から前記キャンバーラインに直交するように延ばした直線が前記羽根本体の内周面と交差する内周交点が設けられ、前記出口側接点と前記内周交点とで前記羽根本体の外周面と内周面とに接する内接円を描いた場合に、前記出口側部分の先端点が、前記内接円よりも外側に位置し、且つ、前記キャンバーラインの前記出口側部分側への延長線上または該延長線よりも前記ランナの軸線側に位置することを特徴とする、水力機械のガイドベーン。

請求項2

前記出口側部分は、曲率半径R1の円弧で形成された外周面と、曲率半径R2の円弧で形成された内周面と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の水力機械のガイドベーン。

請求項3

R1<R2であることを特徴とする、請求項2に記載の水力機械のガイドベーン。

請求項4

R1/R2<0.25であることを特徴とする、請求項3に記載の水力機械のガイドベーン。

請求項5

前記出口側部分の外周面のうち前記出口側の端と、前記出口側部分の内周面のうち出口側の端とが、前記先端点を含む先端面で接続され、前記出口側接点と前記内周交点との間の距離をT1とし、前記出口側部分の外周面のうち前記出口側の端と前記出口側部分の内周面のうち前記出口側の端との間の距離をT2としたとき、T2/T1≦0.75であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の水力機械のガイドベーン。

請求項6

前記羽根本体の内周面に、外周面側に向けてへこむ凹部が形成され、前記凹部は、前記羽根本体の内周面のうちの、全閉状態の時に、水車運転時における入口側において隣り合う他のガイドベーンと接する入口側接点から出口側にわたる領域に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の水力機械のガイドベーン。

請求項7

前記凹部は、曲率半径R3の円弧によって形成され、前記出口側部分は、曲率半径R1の円弧で形成された外周面を有し、R1<R3であることを特徴とする、請求項6に記載の水力機械のガイドベーン。

請求項8

前記出口側部分のうちの少なくとも前記内接円よりも外側に位置する部分は、前記羽根本体と別体の部材で形成されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の水力機械のガイドベーン。

請求項9

ランナの外周側に配置され、その回動軸を中心に回動可能とされる水力機械の既存ガイドベーンを改修する水力機械のガイドベーンの改修方法であって、延長ピースを準備する工程と、前記既存ガイドベーンの出口側部分に、前記延長ピースを接合し、請求項1乃至7のいずれかに記載のガイドベーンの出口側部分を形成する工程と、を備えることを特徴とする、水力機械のガイドベーンの改修方法。

技術分野

0001

本発明の実施の形態は、水力機械ガイドベーン及びその改修方法に関する。

背景技術

0002

水力機械としての一般的なフランシスポンプ水車では、水車運転時に、水がケーシングからステーベーン及びガイドベーンを通ってランナに流れ込み、その水流によってランナが回転駆動され、主軸を介して発電機が回転駆動される。ランナを回転駆動した水は、吸出し管を経て放水路へと流出する。一方、ポンプ運転時には、発電機が電動機として作動し、ランナが水車運転時とは逆方向に回転駆動されることで、下池の水を吸い上げる。このとき、下池からの水は、吸出し管を通り、ランナを経て、ガイドベーン、ステーベーン、及びケーシングを通り、上池揚水される。

0003

図9には、水車運転時における水流の様子が矢印で示され、図10には、ポンプ運転時における水流の様子が矢印で示されている。図9及び図10において、符号30は一般的なフランシスポンプ水車に設けられたガイドベーンを示し、符号40は一般的なフランシスポンプ水車に設けられたステーベーンを示している。

0004

図9及び図10に示すように、一般的なフランシスポンプ水車では、ガイドベーン30及びステーベーン40がそれぞれ、ランナの周方向に間隔を空けて複数設けられている。このうち、ガイドベーン30のそれぞれは、図示省略する回動軸に連結され、当該回動軸を中心に回動可能とされている。これにより、ガイドベーン30は、回動軸周りに回動されることで、その開度を調整することが可能となっている。なお、ガイドベーン30に連結される回動軸は、ランナ4を軸線方向の両側から覆う上カバーと下カバーとに支持されている。

0005

このようなフランシスポンプ水車においては、水車運転時に、ガイドベーン30の開度を変化させることで、ランナに流入する水の流量を調整し、発電量を変化させることができる。一方、ポンプ運転時には、揚水量または揚程に応じてランナからガイドベーン30に入る流れの角度が異なることから、ガイドベーン30の開度を適切な開度に設定することで、ガイドベーン30での損失が小さくなる状態でフランシスポンプ水車をポンプ運転させることができる。

0006

ガイドベーン30を回動させる機構は、ガイドベーン30の例えば、上カバーの上方に設けられる、ガイドリング、ガイドリングを回動させるサーボモータ、及びガイドベーン30を回動軸を介してガイドリングに連結させるガイドベーンアーム等で構成されている。ガイドベーン30は、前記サーボモータが駆動されることで開度を変えることが可能となっている。

0007

また、ガイドベーン30は、上述のように水車運転時及びポンプ運転時に運転状態を調整する役割を有する一方で、運転停止時には、全閉状態となって流水遮断するという役割も有している。図11には、ガイドベーン30の全閉状態が示され、図12には、ガイドベーン30が拡大されて示されている。

0008

図12に示すように、ガイドベーン30は、キャンバーラインCLを形成する羽根本体30Aと、羽根本体30Aよりも水車運転時における出口側に設けられた出口側部分30Bと、羽根本体30Aよりも水車運転時における入口側に設けられた入口側部分30Cと、を備えている。このうち、羽根本体30Aは水を効率良く通過させるように設計された部分である。また、羽根本体30Aの外周面と出口側部分30Bの外周面との境界に、全閉状態の時に、水車運転時における出口側で隣り合う他のガイドベーン30の内周面に接する出口側接点30Dが設けられている。このようなガイドベーン30では、図11に示すように、全閉状態の時に、ガイドベーン30の前述した出口側接点30Dが、出口側で隣り合う他のガイドベーン30の内周面に接すると共に、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30C寄りの部分の内周面が、入口側で隣り合う他のガイドベーン30の外周面に接するようになっている。

0009

ところで、このフランシスポンプ水車では、水車運転時またはポンプ運転時に、水流がガイドベーン30に流入する際に発生する衝突損失、ガイドベーン30周り摩擦によって発生する摩擦損失、ガイドベーン30の形状によって発生する形状損失、ガイドベーン30の水車運転時の出口後流またはガイドベーン30のポンプ運転時の出口の後流によって発生する損失等が生じる。

0010

また、上述したように、運転状態に応じてガイドベーン30を回動させることがあり、ガイドベーン30と上カバー及び下カバーとの間のそれぞれに、隙間が設けられる。この隙間を通る流れは、ガイドベーン30に沿わない流れとなってしまうため、この隙間における流れが大きいと損失が大きくなる。

0011

このうち、ガイドベーン30と上カバー及び下カバーとの隙間による漏れ損失を低減する技術としては、ガイドベーン30のカバー側を向く面に溝を形成して漏れ損失の低減を図る技術等が知られている。

0012

また、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30C(図12参照)の厚さを緩やかに薄くなるようにすれば、ガイドベーン30の水車運転時には衝突損失の低減が可能であるとともに、ポンプ運転時には後流が小さくなり損失の低減が可能であることも知られている。同様に、ガイドベーン30の水車運転時における出口側部分30B(図12参照)の厚さを緩やかに薄くなるようにすれば、水車運転時に後流が小さくなり損失の低減が可能であるとともに、ポンプ運転時には衝突損失の低減が可能であることも知られている。

0013

しかしながら、水車運転時においては、ステーベーン40におけるガイドベーン30へ向けた流れの角度は運転状態に応じて大きく異ならない一方で、ガイドベーン30が運転状態に応じて開度が変更される場合には、ステーベーン40からガイドベーン30への相対的な流入角度は変化する。この際に、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cの厚さが過度に薄く、鋭角な形状であると、ステーベーン40からガイドベーン30への流れ角度とガイドベーン30の入口角度との差が大きく異なる場合があり、逆に、損失が大きくなることがある。

0014

このため、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cは、通常、強度とともに損失低減を図って性能も考慮した厚さに設計されている。なお、ガイドベーン30の水車運転時における入口側部分30Cでの損失を低減する技術としては、例えば、翼形状定義方法によって水力損失を低減する技術等が知られている。

0015

一方、ガイドベーン30は、全閉状態とされる際にサーボモータによって回動され、この際、サーボモータからモーメントを受け、さらに、全閉状態では、ガイドベーン30の前述した出口側接点30Dが、他のガイドベーン30の内周面に向けて押されることにより、締め付け力を受ける。

0016

このため、ガイドベーン30の出口側接点30Dを含み厚さ方向に延びる部分(以下、接点部分と呼ぶ。)は、通常、運転時の水圧に耐え得る強度を有するだけでなく、サーボモータから受ける力に耐え得る強度を有する厚さに設計されている。特に、高落差のフランシスポンプ水車では、水流のエネルギーが大きく、全閉時にサーボモータから受ける締め付け力が大きくなる。そのため、ガイドベーン30の接点部分の厚さは、一般的に厚くなるように設計されている。

0017

再度、図12を参照し、図12に示すガイドベーン30においては、出口側部分30Bの輪郭円弧によって形成されており、当該円弧は、羽根本体30Aの外周面の出口側の端と内周面の出口側の端とで羽根本体30Aの外周面と内周面とに接する内接円Yの一部に沿って画定されている。このガイドベーン30では、羽根本体30Aの外周面と出口側部分30Bの外周面との境界に前述した出口側接点30Dが設けられ、前述した接点部分の厚さは、内接円Yの直径程度に設定されており、大きく確保されている。

先行技術

0018

特開平7−279809号公報
特開平10−184523号公報

発明が解決しようとする課題

0019

上述したように、水力機械のガイドベーンにおいては、損失の低減のためにガイドベーンの厚さを薄く設計することが望ましいが、強度とのバランスを考慮して厚さが設定されることが一般的である。上述したガイドベーン30のように、一般的なフランシスポンプ水車に設けられているガイドベーンは、サーボモータからの締め付け力等を考慮して、全閉状態の時において他のガイドベーンと接する前述した接点部分の厚さが比較的厚く確保されている。しかし、接点部分よりも出口側(先端側)に位置する部分は全閉状態の時に隣り合うガイドベーンとの干渉を避けるために短くなっており、その厚さは、先端に向けて急激に小さくなっている。このため、損失の低減に改善の余地がある。

0020

本発明はこのような点に鑑み、水力機械のガイドベーンであって、全閉状態の時に厚さが確保された部分で隣り合う他のガイドベーンに接することができることで強度に関する信頼性を確保できると共に、水車運転時及びポンプ運転時における損失を効果的に低減することができる水力機械のガイドベーン及びその改修方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0021

実施の形態による水力機械のガイドベーンは、ランナの外周側に配置され、その回動軸を中心に回動可能とされており、前記回動軸の回動に応じて、前記ランナの周方向で隣り合う他のガイドベーンに接する全閉状態と、当該他のガイドベーンから離れる開放状態とを切り替えるように、水力機械に取り付けられるガイドベーンである。このガイドベーンは、キャンバーラインを形成する羽根本体と、前記羽根本体の外周面のうち水車運転時における出口側の端に設けられ、全閉状態の時に、前記出口側において隣り合う他のガイドベーンの内周面に接する出口側接点と、前記出口側接点よりも前記出口側に設けられた出口側部分と、を備える。前記回動軸に直交する方向における断面視で、前記出口側接点から前記キャンバーラインに直交するように延ばした直線が前記羽根本体の内周面と交差する内周交点が設けられる。前記出口側接点と前記内周交点とで前記羽根本体の外周面と内周面とに接する内接円を描いた場合に、前記出口側部分の先端点が、前記内接円よりも外側に位置し、且つ、前記キャンバーラインの前記出口側部分側への延長線上または該延長線よりも前記ランナの軸線側に位置する。

0022

また、実施の形態による水力機械のガイドベーンの改修方法は、ランナの外周側に配置され、その回動軸を中心に回動可能とされる水力機械の既存ガイドベーンを改修する水力機械のガイドベーンの改修方法である。この方法は、延長ピースを準備する工程と、前記既存ガイドベーンの出口側部分に、前記延長ピースを接合し、上記実施の形態によるガイドベーンの出口側部分を形成する工程と、を備える。

図面の簡単な説明

0023

第1の実施の形態によるフランシスポンプ水車の子午面断面図である。
図1に示すフランシスポンプ水車のガイドベーンの全閉状態を示した図である。
図1に示すフランシスポンプ水車のガイドベーンの断面図である。
図1に示すフランシスポンプ水車と、図12に示したガイドベーンを備える一般的なフランシスポンプ水車と、の損失を比較した図である。
第2の実施の形態によるフランシスポンプ水車のガイドベーンの断面図である。
図5に示すフランシスポンプ水車と、図12に示したガイドベーンを備える一般的なフランシスポンプ水車と、の損失を比較した図である。
第3の実施の形態によるフランシスポンプ水車のガイドベーンの断面図である。
第4の実施の形態によるフランシスポンプ水車のガイドベーンの断面図である。
一般的なフランシスポンプ水車の水車運転時における水流の様子を示した図である。
図9に示すフランシスポンプ水車のポンプ運転時における水流の様子を示した図である。
図9に示すフランシスポンプ水車のガイドベーンの全閉状態を示した図である。
図9に示すフランシスポンプ水車に設けられているガイドベーンの拡大図である。

実施例

0024

以下に、添付の図面を参照して、本発明の各実施の形態を詳細に説明する。

0025

(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態による水力機械としてのフランシスポンプ水車100の子午面断面図である。このフランシスポンプ水車100は、水車運転時に上池から水圧鉄管(いずれも図示せず)を通って水が流入する渦巻き状のケーシング1と、複数のステーベーン2と、複数のガイドベーン3と、ランナ4と、を備えている。ランナ4の外周側にガイドベーン3が配置され、ガイドベーン3の外周側にステーベーン2が配置されている。

0026

ランナ4は、主軸7を介して発電機8に結合されている。ランナ4は、主軸7に連結されたクラウン4Cと、バンド4Bと、クラウン4Cとバンド4Bとの間に設けられた複数のランナ羽根4Aと、を有している。ランナ羽根4Aは、周方向に所定の間隔をあけて配置されており、ランナ羽根4Aの間には、水が流れる流路が形成されている。

0027

図1において、符号Oは、主軸7の回転中心を通る軸線を示している。以下では、軸線Oのことを、ランナ4の軸線Oと呼ぶ場合もある。

0028

ステーベーン2は、水車運転時にケーシング1に流入した水をガイドベーン3及びランナ4に導くためのものであり、ランナ4の周方向に所定の間隔をあけて配置され、ステーベーン2の間に水が流れる流路が形成されている。また、ガイドベーン3は、水車運転時に流入した水をランナ4に導くためのものであり、ランナ4の周方向に所定の間隔をあけて配置され、ガイドベーン3の間には水が流れる流路が形成されている。ガイドベーン3からランナ4に水が流入することでランナ4が回転駆動され、主軸7を介して発電機8が回転駆動される。これにより、発電が行われる。ランナ4を駆動した水は、吸出し管5を経て放水路へと流出する。

0029

ガイドベーン3には回動軸14が連結され、ガイドベーン3は回動軸14を中心に回動可能とされている。ガイドベーン3は、回動して開度を変えることにより、ランナ4に流入する水の流量を調整可能となっている。これにより、発電機8の発電量が調整され得る。回動軸14は、ランナ4を図面における上方から覆う上カバー10と、下方から覆う下カバー11とに支持されている。図中の符号C1は、回動軸14の軸線を示している。回動軸14の軸線C1と主軸7(ランナ4)の軸線Oとは平行である。

0030

また、ガイドベーン3は、運転停止時に全閉状態となって流水を遮断する機能を有している。図2には、ガイドベーン3の全閉状態が示されている。図2に示すように、全閉状態のガイドベーン3においては、詳細は後述するガイドベーン3の外周面に設けられた出口側接点21が、出口側で隣り合う他のガイドベーン3Dの内周面に接するようになっている。また、詳細は後述するガイドベーン3の内周面に設けられた入口側接点20Bが、入口側で隣り合う他のガイドベーン3Uの外周面に接するようになっている。すなわち、ガイドベーン3は、その回動軸14の回動に応じて、ランナ4の周方向で隣り合う他のガイドベーン3U,3Dに接する全閉状態と、当該他のガイドベーン3U,3Dから離れる開放状態と、を切り替えるように、フランシスポンプ水車100に取り付けられている。

0031

また、フランシスポンプ水車100におけるポンプ運転時には、発電機8が電動機として作動し、ランナ4が水車運転時とは逆方向に回転駆動されることで、下池の水を吸い上げる。このとき、下池からの水は、吸出し管5を通り、ランナ4を経て、ガイドベーン3、ステーベーン2、及びケーシング1を通り、上池に揚水される。

0032

なお、ガイドベーン3を回動させる機構は、ガイドベーン3の例えば、上カバー10の上方に設けられる、ガイドリング、ガイドリングを回動させるサーボモータ、及びガイドベーン3を回動軸14を介してガイドリングに連結させるガイドベーンアーム等(いずれも図示せず)で構成されている。ガイドベーン3は、前記サーボモータが駆動されることで開度を変えることが可能となっている。

0033

図3は、ランナ4の軸線Oに直交する方向におけるガイドベーン3の断面図を示している。以下、ガイドベーン3について詳述する。なお、図3では、説明の便宜のために、ガイドベーン3の断面におけるハッチングが省略されている。また、二点鎖線で囲まれたZ1領域が拡大されて示されている。

0034

図3に示ように、ガイドベーン3は、キャンバーラインCLを形成する羽根本体20と、羽根本体20の外周面のうち水車運転時における出口側の端に設けられ、全閉状態の時に、前記出口側において隣り合う他のガイドベーン3Dの内周面に接する前述した出口側接点21(図2も参照のこと)と、出口側接点21よりも前記出口側に設けられた出口側部分22と、を備えている。また、ガイドベーン3は、羽根本体20の外周面のうち水車運転時における入口側の端よりも前記入口側に設けられた入口側部分23と、羽根本体20の内周面うち入口側部分23寄りの部分に設けられ、全閉状態の時に、水車運転時における入口側において隣り合う他のガイドベーン3Uの外周面に接する入口側接点20Bと、を備えている。図示のように、ガイドベーン3は全体として流線形状に形成されている。

0035

このうち、羽根本体20は、ガイドベーン3の主要部分を構成する部分であり、水を効率良く通過させるように設計された部分である。なお、図3においては、説明の便宜のために、羽根本体20と出口側部分22との境界線B1と、羽根本体20と入口側部分23との境界線B2とが、二点鎖線で示されている。

0036

本実施の形態では、ガイドベーン3の出口側部分22における、全閉状態の時に他のガイドベーン3Dと接する出口側接点21を含み、厚さ方向に延びる部分のことを接点部分THと呼ぶ。この接点部分THの厚さは、前述したサーボモータからの締め付け力等を考慮して、強度確保のために十分に厚く形成されている。

0037

図示の出口側部分22は、曲率半径R1の円弧で形成された外周面22Aと、曲率半径R2の円弧で形成された内周面22Bと、外周面22Aのうち水車運転時における出口側の端と内周面22Bのうち水車運転時における出口側の端とを接続する、曲率半径R1及び曲率半径R2とは異なる曲率半径の円弧で形成された先端面22Cと、を有している。これら外周面22Aと、内周面22Bと、先端面22Cとによって、出口側部分22の輪郭は、流線形状に画定されている。

0038

本実施の形態では、外周面22Aを形成する曲率半径R1と内周面22Bを形成する曲率半径R2との間には、R1<R2の関係が成り立っている。また、本実施の形態の先端面22Cは、外周面22Aのうち前記出口側の端と内周面22Bのうち前記出口側の端から突出するように形成されており、先端面22Cを形成する円弧は、外周面22Aの前記出口側の端と内周面22Bの前記出口側の端とで、これら外周面22Aと内周面22Bとに接する内接円の一部によって画定されている。当該内接円の半径、すなわち、先端部22Cを形成する円弧の曲率半径は、曲率半径R1及び曲率半径R2よりも小さくなっている。

0039

なお、図3においては、説明の便宜のために、外周面22A及び内周面22Bと、先端面22Cとの境界線B3が、二点鎖線で示されている。

0040

一方、本実施の形態の入口側部分23の輪郭は単一の円弧で形成されている。入口側部分23の輪郭を形成する円弧は、羽根本体20の外周面における入口側の端と内周面における入口側の端とで羽根本体20の外周面と内周面に接する内接円の一部によって画定されている。なお、本実施の形態のガイドベーン3は、単一の材料から形成されており、羽根本体20、出口側部分22、入口側部分23等は一体に形成されている。

0041

図3には、出口側接点21からキャンバーラインCLに直交するように延ばした直線L1(本実施の形態では、境界線B1に重なる)が羽根本体20の内周面と交差する、ガイドベーン3に設けられた内周交点24が示されている。また、図3には、出口側接点21と内周交点24とで羽根本体20の外周面と内周面とに接する内接円Xが二点鎖線で示されている。

0042

ここで、本実施の形態の形態では、図3に示すように、出口側部分22の先端面22Cに含まれる先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置し、且つ、キャンバーラインCLの出口側部分22側への延長線L2よりもランナ4の軸線O側に位置している。先端点22Dとは、先端面22Cのうちの円弧の両端間の中央に位置する点である。また、本実施の形態において延長線L2は、一例として、キャンバーラインCLの端点(出口側部分寄りの端点)に接する接線によって画定されている。本実施の形態では、このような出口側部分22が、全閉状態の時に隣り合う他のガイドベーン3Dに干渉しないように形成されている。なお、本実施の形態では、延長線L2をキャンバーラインCLの端点に接する接線によって画定したが、延長線L2は、その他の態様で画定してもよい。例えば、キャンバーラインCLの多項式近似曲線対数近似曲線等によって延長線L2を画定してもよい。

0043

なお、以上のようなガイドベーン3にランナ4の周方向で隣り合う他のガイドベーン3U,3Dも、ガイドベーン3と同様の形状になっている。

0044

次に、本実施の形態によるガイドベーン3の作用について説明する。

0045

本実施の形態によるガイドベーン3では、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置している。これにより、出口側部分22の厚さは、先端点22Dに向けて緩やかに薄くなるように形成されている。また、本実施の形態によるガイドベーン3では、出口側部分22の先端点22Dが、キャンバーラインCLの出口側部分22側への延長線L2よりもランナ4の軸線O側に位置している。これにより、ガイドベーン3は、全閉状態の時に、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で隣り合う他のガイドベーン3Dと干渉し難くなっている。

0046

これにより、本実施の形態によれば、水車運転時には、ガイドベーン3の出口側部分22を通過した水による後流の発達を抑制して損失を低減し、ポンプ運転時には、ガイドベーン3の出口側部分22での衝突損失を抑制して損失を低減することができる。また、全閉状態の時に、ガイドベーン3は、厚さが確保された接点部分THで隣り合う他のガイドベーン3Dに接することができる。

0047

このことにより、第1の実施の形態のガイドベーン3によれば、全閉状態の時に、厚さが確保された部分(接点部分TH)で隣り合う他のガイドベーン3Dに接することができることで強度に関する信頼性を確保できると共に、水車運転時及びポンプ運転時における損失を効果的に低減することができる。

0048

また、本実施の形態では、出口側部分22が、曲率半径R1の円弧で形成された外周面22Aと、曲率半径R2の円弧で形成された内周面22Bと、を有する。この場合、ガイドベーン3の出口側部分22を水がスムーズに通過するために、効率の向上を図ることができる。また、R1<R2であることで、全閉状態の時に、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分が、先端点22Dに向かうに従い隣り合う他のガイドベーン3Dから離れるように延びるため、隣り合う他のガイドベーン3Dと一層干渉し難くなる。したがって、全閉状態の時に、ガイドベーン3は、厚さが確保された接点部分THで、確実に隣り合う他のガイドベーン3Dに接することができ、強度に関する信頼性を向上させることができる。さらに、R1<R2である場合には、出口側で隣り合う他のガイドベーン3Dとの干渉を回避しつつ出口側部分22を長く延ばし易い。これにより、本実施の形態のガイドベーン3では、出口側部分22の長さを確保することで、損失の低減効果を向上させている。なお、この種の羽根の端部では、その厚さが緩やかに薄くなる部分が長いほど、損失が低減する傾向にある。

0049

図4は、図1に示すフランシスポンプ水車100と、図12に示したガイドベーン30を備える一般的なフランシスポンプ水車と、の損失を比較した図である。図4においては、R1/R2と、図1に示すフランシスポンプ水車100の水車運転時及びポンプ運転時の損失を図12に示したガイドベーン30を備えるフランシスポンプ水車の損失で除した損失比と、の関係が示されている。

0050

図4からも明らかなように、本実施の形態のガイドベーン3が用いられるフランシスポンプ水車100の損失は、水車運転時及びポンプ運転時の双方で、図12に示したガイドベーン30を備える一般的なフランシスポンプ水車の損失に比べて小さくなっている。

0051

図4では、R1/R2が大きいほど、図1に示すフランシスポンプ水車100の水車運転時及びポンプ運転時の損失が、図12に示したガイドベーン30を備えるフランシスポンプ水車の損失に比べて小さくなっている。これは、R1/R2が大きいほど出口側部分22の厚さをより緩やかに薄くできるため、損失が小さくなること意味している。また、R1/R2が小さいと、急激な形状変化になってしまうことから損失の低減効果が小さくなることを意味している。また、R1/R2が過度に小さくなると、出口側部分22は、図12で示したガイドベーン30よりも長く延ばすことができなくなるため、損失としてはガイドベーン30と大きくは変わらなくなってしまう。

0052

一方、R1/R2が過剰に大きい場合には、出口側部分22の外周面に、全閉状態の時に隣り合う他のガイドベーン3Dが、干渉する可能性が高くなり、また薄くなり過ぎて強度不足となる可能性が高くなる。図4に示すように、R1/R2が、0.25よりも大きくなると、損失の低減効果に大きな変化が生じなくなっている。したがって、強度の確保等を考慮して、本実施の形態の出口側部分22においては、R1/R2<0.25の関係をもたせることが好ましいといえる。

0053

(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態によるガイドベーンについて図5及び図6を用いて説明する。本実施の形態における第1の実施の形態と同様の構成要素は同一符号で示し、説明は省略する。なお、図5においては、二点鎖線で囲まれたZ2領域が拡大されて示されている。

0054

本実施の形態においても、ガイドベーン3の出口側部分22は、曲率半径R1の円弧で形成された外周面22Aと、曲率半径R2の円弧で形成された内周面22Bと、外周面22Aのうち水車運転時における出口側の端と内周面22Bのうち水車運転時における出口側の端とを接続する、曲率半径R1及び曲率半径R2とは異なる曲率半径の円弧で形成された先端面22Cと、を有している。また、本実施の形態においても、外周面22Aを形成する曲率半径R1と内周面22Bを形成する曲率半径R2との間には、R1<R2の関係が成り立っている。また、先端面22Cを形成する円弧の曲率半径は、本実施の形態においても、曲率半径R1及び曲率半径R2よりも小さくなっている。

0055

そして、図5に示すように、本実施の形態では、出口側接点21と内周交点24との間の距離をT1とし、出口側部分22の外周面22Aのうち出口側の端と出口側部分22の内周面のうち出口側の端との間の距離をT2としたとき、T2/T1≦0.75の関係が成り立っている。なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置し、且つ、キャンバーラインCLの出口側部分22側への延長線L2よりもランナ4の軸線O側に位置している。

0056

図6は、図5に示すフランシスポンプ水車100と、図12に示したガイドベーン30を備える一般的なフランシスポンプ水車と、の損失を比較した図である。図6においては、T2/T1と、図5に示すフランシスポンプ水車100の水車運転時及びポンプ運転時の損失を図12に示したガイドベーン30を備えるフランシスポンプ水車の損失で除した損失比と、の関係が示されている。

0057

図6においては、T2/T1が小さいほど、図5に示すフランシスポンプ水車100の水車運転及びポンプ運転の損失が、図12に示したガイドベーン30を備えるフランシスポンプ水車の損失に比べて小さくなっている。これは、T2/T1が小さいほど、出口側部分22が薄くなるため、損失が小さくなっているものと考えられる。特に、T2/T1=0.75よりも小さくなった場合に、損失比が、顕著に小さくなっている。これは、T2/T1=0.75であれば、損失を効果的に低減できる程度に出口側部分22が十分に薄くなっており、T2/T1≦0.75であれば、より効果的に低減できる程度に出口側部分22が十分に薄くなることを示していると考えられる。したがって、本実施の形態では、T2/T1≦0.75を満たすように、ガイドベーン3が構成されている。

0058

このような第2の実施の形態のガイドベーン3によれば、第1の実施の形態で説明した、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置し、且つ、キャンバーラインCLの出口側部分22側への延長線L2よりもランナ4の軸線O側に位置している構成に加えて、ガイドベーン3に、T2/T1≦0.75の関係をもたせることで、確実に損失の低減を図ることができる。

0059

また、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、R1<R2であることで、全閉状態の時に、ガイドベーン3は、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で隣り合う他のガイドベーン3Dと一層干渉し難くなる。したがって、本実施の形態においても、R1<R2であることで、全閉状態の時に、ガイドベーン3は、厚さが確保された接点部分THで、確実に隣り合う他のガイドベーン3Dに接することができ、強度に関する信頼性を向上させることができる。さらに、R1<R2である場合には、出口側で隣り合う他のガイドベーン3Dとの干渉を回避しつつ出口側部分22を長く延ばし易い。これにより、本実施の形態のガイドベーン3でも、出口側部分22の長さを確保することで、損失の低減効果を向上させている。なお、本実施の形態においても、強度の確保等を考慮して、出口側部分22においては、R1/R2<0.25の関係をもたせることが好ましい。

0060

(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態によるガイドベーン3について図7を用いて説明する。本実施の形態における第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成要素は同一符号で示し、説明は省略する。本実施の形態では、既存のガイドベーンに延長ピース28を接合して、第1の実施の形態によるガイドベーン3を得る例について説明する。なお、図7においては、二点鎖線で囲まれたZ3領域が拡大されて示されている。

0061

すなわち、本実施の形態のガイドベーン3では、図中白抜きの領域で示される既存のガイドベーンの出口側部分に、図中符号28で示す延長ピース(ハッチング付きの部分)が接合されており、既存のガイドベーンの出口側部分よりも緩やかに薄くなる部分が形成されている。延長ピース28は、全閉状態の時に隣り合う他のガイドベーンに干渉しないように接合されている。

0062

具体的に、既存のガイドベーンの出口側部分に接合された延長ピース28は、第1の実施の形態の出口側部分22と同様の、曲率半径R1の円弧で形成された外周面22Aと、曲率半径R2の円弧で形成された内周面22Bと、外周面22Aのうち水車運転時における出口側の端と内周面22Bのうち水車運転時における出口側の端とを接続する、曲率半径R1及び曲率半径R2とは異なる曲率半径の円弧で形成された先端面22Cと、を有している。

0063

本例では、既存のガイドベーン(既存ガイドベーン)として、図12に示したガイドベーン30が用いられている。既存のガイドベーン30は、前述したように、キャンバーラインCLを形成する羽根本体30Aと、羽根本体30Aよりも水車運転時における出口側に設けられた出口側部分30Bと、羽根本体30Aよりも水車運転時における入口側に設けられた入口側部分30Cと、を備えている。このうち、出口側部分30Bに、本実施の形態による延長ピース28が接合されている。これにより、既存のガイドベーン30は、第1の実施の形態で説明した羽根本体20と出口側部分22とを有するガイドベーン3として改修されている。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した羽根本体20が、既存のガイドベーン30のうちの羽根本体30Aで構成され、第1の実施の形態で説明した出口側部分22が、既存のガイドベーン30のうちの出口側部分30Bと延長ピース28によって形成されている。

0064

このような第3の実施の形態では、例えば、既設のフランシスポンプ水車の既存のガイドベーンを、全閉状態の時に、厚さが確保された部分で隣り合う他のガイドベーンに接することができることで強度に関する信頼性を確保できると共に、水車運転時及びポンプ運転時における損失を効果的に低減することができるガイドベーンに、改修することができる。なお、改修したガイドベーン3は、第2の実施の形態と同様に、T1/T2≦0.75の関係を有していてもよい。

0065

運転開始から数十年経過するような既設のフランシスポンプ水車においてはガイドベーンの材料が、現在使用しているような強度の高いものでないことが多く、ガイドベーンが厚く設計されているものが多い。このため、ガイドベーンでの損失が大きくなり得る。ガイドベーンを現在使用されているような強度の高い材料を使用して、第1の実施の形態または第2の実施の形態で説明したようなガイドベーンを新規製作して交換することも可能であるが、高価になり改修作業も煩雑になり得る。本実施の形態のように、既存のガイドベーンに延長ピース28を接合することにより、ガイドベーンを改修すれば、新規にガイドベーンを製作するよりも安価な方法で損失の低減を図ることが可能である。

0066

(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態による水車のランナについて図8を用いて説明する。本実施の形態における第1〜第3の実施の形態と同様の構成要素は同一符号で示し、説明は省略する。なお、図8においては、二点鎖線で囲まれたZ4領域が拡大されて示されている。

0067

図8に示すように、本実施の形態では、羽根本体20の内周面に、外周面側に向けてへこむ凹部20Aが形成されている。凹部20Aは、羽根本体20の内周面のうちの、全閉状態の時に、水車運転時における入口側において隣り合う他のガイドベーン3Uと接する入口側接点20Bから出口側にわたる領域に形成されている。凹部20Aは、曲率半径R3の円弧によって形成されている。

0068

一方、ガイドベーン3の出口側部分22は、第1の実施の形態と同様の形状となっている。なお、ガイドベーン3は、第2の実施の形態と同様に、T1/T2≦0.75の関係を有していてもよい。そして、本実施の形態では、出口側部分22の外周面が曲率半径R1の円弧で形成され、この曲率半径R1と、凹部20Aの曲率半径R3との間で、R1<R3の関係が成り立っている。

0069

そして、以上のような本実施の形態のガイドベーン3にランナ4の周方向で隣り合う他のガイドベーン3U,3Dも、ガイドベーン3と同様の形状になっている。したがって、ガイドベーン(3,3U,3D等)が周方向に複数設けられた場合には、隣り合うガイドベーンの間には、一方のガイドベーンの出口側部分の外周面の曲率半径が、他方のガイドベーンの内周面の凹部の曲率半径よりも小さいという関係が成り立つようになっている。

0070

図8では、ガイドベーン3U,3Dにおける、ガイドベーン3と同様の構成部分について同一の符号を示している。そして、図8では、ガイドベーン3の凹部20Aと、ガイドベーン3に入口側で隣り合う他のガイドベーン3Uの出口側部分22とが示されている。図示するように、全閉状態の時に、他のガイドベーン3Uの出口側接点21は、ガイドベーン3の入口側接点20Bに接する。他のガイドベーン3Uの出口側部分22の外周面の曲率半径R1は、ガイドベーン3の凹部20Aの曲率半径R3よりも小さくなっている。そして、全閉状態の時には、他のガイドベーン3Uの出口側部分22の外周面と、ガイドベーン3の凹部20Aとの間には隙間が形成されるようになっている。

0071

このような第4の実施の形態によるガイドベーン3によれば、同様の形状のガイドベーン(3U,3D等)が周方向に複数設けられた場合に、このガイドベーン3に凹部20Aが形成されていることで、水車運転時における入口側で隣り合う他のガイドベーン3Uが、全閉状態の時に、その出口側部分22、すなわちその出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で、このガイドベーン3の内周面に接し難くなる状態にすることができる。これにより、当該他のガイドベーン3Uが、その厚さが確保された接点部分で、確実に出口側で隣り合うガイドベーン3に接するようにすることができる。したがって、本実施の形態によるガイドベーン3によれば、隣り合う他のガイドベーン3Uの強度に関する信頼性を向上させることができる。一方、ガイドベーン3自身も、出口側で隣り合う他のガイドベーン3Dに凹部20Aが形成されていることによって、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で他のガイドベーン3Dの内周面に接し難くなる状態となることで、信頼性が向上する。

0072

また、本実施の形態によるガイドベーン3では、R1<R3の関係となっている。このような関係の場合、全閉状態の時に、ガイドベーン3の内周面(凹部20A)と、前記他のガイドベーン3Uの出口側部分22との間隔を広く確保し易くなるので、他のガイドベーン3Uが、全閉状態の時に、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分でガイドベーン3の内周面に一層接し難くなる。これにより、他のガイドベーン3Uの強度に関する信頼性を一層向上させることができる。一方、ガイドベーン3自身も、出口側で隣り合う他のガイドベーン3Dに凹部20Aが形成され、この凹部20Aとの間で、R1<R3の関係が成り立つことで、出口側部分22、すなわち出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で他のガイドベーン3Dの内周面に接し難くなる状態となることで、信頼性が一層向上する。

0073

このように本実施の形態によるガイドベーン3によれば、周方向に複数設けられた場合に、凹部20Aによって他のガイドベーンの信頼性を向上させることができる点で有益である。

0074

以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0075

例えば、上述の各実施の形態では、出口側部分22の先端点22Dが、キャンバーラインCLの出口側部分22側への延長線L2よりもランナ4の軸線O側に位置している例を説明した。しかしながら、出口側部分22の先端点22Dは、延長線L2上に位置していてもよい。出口側部分22の先端点22Dが延長線L2上に位置する場合であっても、出口側部分22は、その先端点22Dが延長線L2よりも外周側に位置しないことで、ガイドベーン3は、全閉状態の時に、出口側接点21よりも先端側の厚さの薄い部分で、隣り合う他のガイドベーン3Dと干渉し難くなる。したがって、全閉状態の時に、ガイドベーン3は、厚さが確保された接点部分THで隣り合う他のガイドベーン3Dに接することができ、これにより、強度に関する信頼性を確保できる。また、出口側部分22の先端点22Dが、内接円Xよりも外側に位置していることで、水車運転時及びポンプ運転時における損失を効果的に低減することができる。

0076

また、上記各実施の形態では、出口側部分22の先端点22Dを含む先端面22Cが円弧で形成される例を説明したが、先端面22Cは、直線状の線分、または折れ線(出口側に先細りとなるV字状等)で形成されてもよい。また、上記各実施の形態では、出口側部分22の外周面22A及び内周面22Cが円弧で形成される例を説明したが、外周面22A及び内周面22Cは直線状であってもよい。

0077

3ガイドベーン、3D,3U 他のガイドベーン、4ランナ、7主軸、14回動軸、20羽根本体、20A 凹部、20B 入口側接点、21出口側接点、22出口側部分、22A外周面、22B内周面、22C 先端面、22D先端点、23 入口側部分、24内周交点、28延長ピース、100フランシスポンプ水車、B1,B2,B3境界線、CLキャンバーライン、C1軸線(回動軸)、L1 直線、L2延長線、O 軸線(主軸またはランナ)、X,Y内接円。

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